処理水の海洋放出は「安全」と公的に評価

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7月22日の原子力規制委員会臨時会合で計画が承認された福島第一原子力発電所における処理水の海洋放出について。
 
計画では処理水中の放射性物質トリチウムの濃度が国基準の40分の1未満になるよう薄めて放出するとしており、具体的な放出方法など、これらの安全性について、国の規制機関から正式にお墨付きが得られたことになります。
 

【敷地内に処理水が溜まったタンクが並ぶ福島第一原子力発電所(産経ニュースより)】
 
また、この承認を受け、福島県などは26日、県庁で会合を開き、「東電が示した対策で周辺地域の安全は確保される」とした報告書を取りまとめ。
 
福島県などが有識者らと共に策定した報告書は、処理水の放射性物質濃度測定や海底工事の安全対策などがいずれも適切に計画されていると評価。
 
その上で東電に対し、放射線環境影響評価の分かりやすい情報発信など8項目の要求事項を掲げたとのこと。
 
この処理水の問題を巡っては、私も以前から幾度となくブログにも取り上げ、安全性などに関する事実をお伝えしてきているところ。
 
※処理水に関する過去ブログのいくつかを以下にリンクします。宜しければご覧ください。
 
 →「科学が風評に負けてはならない」〜福島第一の処理水問題を煽っているのは誰か〜【2021年4月19日ブログ】
 
 →ALPS処理水について知って欲しい3つのこと【2021年4月25日ブログ】
 
 →「福島第一原子力発電所”ALPS処理水”の海洋放出に係る放射線影響評価結果」が公表される【2021年11月18日ブログ】
 
今後、知事と大熊・双葉両町長は報告書を参考に、原子力発電所敷地と沖合1キロの放出口をつなぐ海底トンネルなどの本体着工を了解するかどうかの判断に進む訳ですが、時間を要した分、慎重に慎重を期して議論がされたものと受け止め、今後は科学的な評価結果に基づき、工事着手に向けた判断が早期にされることを願うばかりです。
 
何度も申し上げますが、「科学が風評に負ける」ことがあっては、絶対にいけませんので。

広く国民に伝えるべきUNSCEARの「科学的評価」

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関西電力は15日に原子炉起動した大飯発電所4号機に続き、高浜発電所3号機(PWR、87万キロワット)も運転再開の見通しが立ったとし、23日に原子炉を起動、26日に並列(発電開始)すると発表しました。
 
順調に進めば8月19日に本格運転を開始する予定であり、経済産業省が6月末の審議会で示した8月の広域予備率5.7%に対し、今夏の運転再開を織り込んでいなかった高浜3号機の戦線復帰により、0.5ポイント程度改善する見通しとのこと。
 
定期検査中に見つかった蒸気発生器(SG)内の伝熱管損傷のため再稼働時期が未定となっていたものではあるものの、厳しい夏季の電力需給を改善するため対応にあたられた関係者の皆さんに敬意を表する次第です。
 
さて、こうして再稼働を果たす原子力発電所ですが、大前提にあるのが「安全」と「国民理解」。
 
このうち「国民理解」に関し、2012年3月に発生した福島第一原子力発電所事故による影響は、11年を経過した今も、負のイメージが払拭されていない状況にあると認識するところ。
 
この影響に関しては、偏見を持たず、中立的・公正な視点のもと、科学的に評価することが極めて重要であると、これまでも述べてきているところですが、7月19日「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」のメンバーらが日本記者クラブで記者会見し、福島第一原子力発電所事故について「放射線被曝(ひばく)を原因とする健康被害は認められない」とする解析結果を紹介しました。
 
メンバーは、昨年3月に公表した事故影響に関する報告書を住民や科学者らに解説するため来日しており、22日まで東京と福島で住民や学生、科学者らと対話イベントを開くとのこと。
 
この「UNSCEAR(アンスケアー)」とは、「United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation=原子放射線の影響に関する国連科学委員会」の頭文字をとったもので、国連の中でも最も歴史のある委員会のひとつ。
 
東西冷戦下で大気圏核実験が頻繁に行われていた1950年代。
 
環境中に放射性物質が大量に放出され、放射性降下物による環境や健康への影響について懸念が増大する中、1955年の国連総会でのUNSCEAR設立は全会一致で決議され、それ以来、核兵器《非》保有国の委員が持ち回りで議長を務めながら、放射線の発生源と影響に関する国際的な調査研究成果を包括的に取りまとめ国際社会に提供。
 
設立当初、日本を含め15カ国だった加盟国は、その後21カ国に増え、さらに今年からは27カ国になっています。
 
その同委員会が昨年3月に公表した報告書は、世界の放射線医学などの専門家が参加し、500本超の論文や調査を基にまとめたものであり、住民の避難経路などを精査した結果、被曝線量は高くないと推計し、「被曝によるがんなどの健康影響が増加する可能性は低い」と結論づけたほか、前議長のギリアン・ハース氏は「報告書は最新の知見やデータに基づいている。結論は堅固で将来も大きく変わるとは思われない」と強調されています。
 

【日本記者クラブで会見するUNSCEARのギリアン・ハース前議長(読売新聞WEB版より)】
 
科学的・中立的な立場から、放射線の人・環境等への影響等を調査・評価等を行う国際機関「UNSCEAR」の重大な報告は、先にあった「国民理解」の醸成に寄与すると思われるものの、私の見る限り、報道の扱いは極めて小さいもの。
 
福島第一原子力発電所に滞留する処理(済)水に対するIAEAの見解然り、こうした国際機関の「お墨付き」は、我が国にとって都合の悪いものなのでしょうか。
 
私は決してそうは思いません。
 
真の福島復興に向けては「風評」を払拭することが極めて重要であること、そのためには「空気感」ではなく、透明性と中立性のもと「科学的」な判断によって物事を進めることが必要不可欠です。
 
本日は、重要な「事実」を一人でも多くの方に知っていただきたく書かせていただきました。
 
「空気感」ではなく「科学的」に物事を判断する国「日本」に。
 
微力ながら、今後も引き続き発信を続けていく所存です。

「原子力発電を最大限活用」の意味するところとは

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東北電力は14日、原町火力発電所2号機(石炭:100万キロワット)が同日午前0時に運転を再開したと発表。
 
原町2号機は元々、3月5日から7月3日を期間として進めていた定期点検中に、3月16日の福島県沖地震で被災し、変形したボイラー内部の配管を補修する関係から、当初の点検期間を10日程度延長していたもの。
 
先行復旧した1号機(同)を含め、厳しい電力需給にプラスの影響を与えることを喜ばしく思うところです。
 
また、西日本では関西電力の大飯発電所4号機(加圧水型軽水炉:定格電気出力118万キロワット)が定期検査を終え、15日に原子炉を起動。
 
本日16日には臨界に達すると発表しており、その後は7月17日に定期検査の最終段階である調整運転(実際に送電すること)を開始、8月12日には総合負荷性能検査を実施のうえ、本格運転を再開する予定としています。
 

【15日に原子炉を起動した大飯発電所4号機(手前)】
 
同機は、新規制基準で要求されるテロなどに備えた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の運用を8月10日に開始する予定で、調整運転中に同施設が運用を開始する初のケースとなるとのこと。
 
ちなみに、この特重施設の設置に関しては、プラント本体の設計・工事計画認可から5年間の猶予期間が設けられており、大飯4号機は8月24日が期限となっています。
 
特重施設の設置については、現在13基で原子炉設置変更許可に、5基が運用開始に至っており、最近では、7月13日に東京電力柏崎刈羽6・7号機について、規制委員会が審査書案を了承しているところ。
 

【特定重大事故等対処施設の状況(原子力産業新聞より)】
 
こうして火力、原子力、それぞれの発電所が稼働することにより供給力が増す状況にありますが、忘れてならないのは、この夏を乗り越えたとて、電力需給が一層厳しいのは「今冬」であるということ。
 
現に、安定供給に最低3%は必要とされる予備率についても、来年1~2月に東電、東北電管内では1.5%に留まる厳しい状況が見込まれていることからも明らか。
 
岸田首相は「今冬に原子力発電所最大9基稼働」を掲げ、さも特段の判断をしたかのように報道されていますが、既に原子力規制委員会の審査に合格して再稼働済みのプラントは西日本の10基、そのうち、検査のため運転を停止する九州電力玄海4号機を除く9基で、今冬をやりくりするしかないのが実情であり、何か政治判断がされた訳ではないと言えます。
 
さらに言えば、9基の原子力発電所がすべて稼働したとて、これらはすべて規制委員会による安全審査に合格した「西日本」の発電所が対象です。
 
3月の需給逼迫警報や6月の需給逼迫注意報は、すべて首都圏を含む「東日本」で発令され、同地域の電力不足は深刻さを極めていますが、西日本で発電した電力を東日本に融通できる量は、周波数変換や送電網の容量もあって限定的です。
 
「原子力発電を最大限活用」し、電力の安定供給を確保するためには、東日本における原子力発電所の再稼働が欠かせない訳であり、即ちそれは、審査が進んでいる日本原電の東海第二、東電柏崎刈羽7号機、東北電力女川2号機と福島第一原子力発電所と同じ「沸騰水型軽水炉」の再稼働判断を意味するもの。
 
立地自治体の地元の皆さんはもちろんのこと、近隣市町、さらには東京を始めとする電力大量消費地の皆さんのご理解を得ることに対して、事業者任せにせず、この場面でこそ国が全面に出て、再稼働の必要性を説明する。
 
「原子力発電を最大限活用」の意味のひとつには、こうしたことが挙げられると考えますが、岸田首相の覚悟、腹はいかに。

世界に誇る日本の原子力サプライチェーン。国内で活かさないでどうする。

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常日頃から「アンテナを高く、広く」、つまりは最新の情報を感度良く収集することを意識はしているものの、中々難しいもの。
 
そんな私の情報収集力の低さをカバーしていただけるのは、各方面から情報を寄せてくれる仲間や支援者。
 
そうして寄せていただいた情報をつぶさに拝見するに、自分自身の知識向上のみならず、気付きや課題解決に向けた道筋などにもつながることも多々あり、本当にありがたく、そうして対応いただいている皆さんに、この場をお借りして心から感謝申し上げる次第です。
 
さて、本日は、そうして寄せていただいた情報から「日本の原子力技術」に関して得たことをご紹介したいと思います。
 
内容は、7月1日に開催された「第3回 総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会 革新炉ワーキンググループ」のオンライン会合について。
 
その名の通り、「革新炉開発について」を議題とする会議で、この日は事務局より「エネルギーを巡る社会動向を踏まえた革新炉開発の課題」について説明がされた後、アメリカ合衆国原子力規制委員会(NRC)より「革新炉の今後の見通し」、原子力エネルギー協会(NEI)より「革新的な原子力技術」についてヒヤリングがされるなど、幅広い知見を収集したうえで、日本が進むべき方向性や課題整理がされました。
 
会議映像や資料から、私がポイントかなと感じた部分を以下に紹介します。
 
<小野 委員 (一社)日本経済団体連合会資源・エネルギー対策委員会企画部会長代行>
◉原子力発電設備の停止が長期化し、新設プロジェクトも進捗が無い中で、日本の原子力産業はサプライチェーンの多くの部分を今だ国内に保持していること、またその技術がフランスにも匹敵する高い技術力を持っていることに少なからず安堵した。しかし、日本が原子力の前に立ちすくむ状況が今後も続いた場合、技術も人材も失われてしまうことは必定である。
◉資料に米国・英国の例があるが、新設の凍結がさらに長期となれば、原子炉の主要機器の製造能力の多くが失われてしまう。英米と比べれば新設停止の期間が短い今のうちに、早急な対応が必要。
◉昨日IEAが気候変動並びにエネルギー安全保障の観点から、2050年までに世界の原子力発電能力を2倍にする必要があるとの報告書を公表した。更に本年2月以降のウクライナ情勢は、これからのエネルギー安全保障に大きな懸念を投げかけていることになり、原子力の意義が再認識されている。そのような中、最近の円安傾向は日本が今だに保有している原子力関連技術の海外展開の可能性を拡大させている。日本の革新的技術を今後拡大が予想されている海外への積極的に輸出することは、世界の気候変動対策やエネルギー安全保障に貢献するのみならず、国内のサプライチェーンの維持強化に極めて有効である。
◉事務局資料にもあったが、原子力産業の海外展開に対する戦略的な政府支援の拡充を期待する。しかし、最も重要なのは、日本の技術を日本で使うことだと思う。日本の原子力技術がどんなに世界の課題に貢献したとしても、肝心かなめの日本のエネルギー安全保障が脅かされるままであれば元も子もない。民間企業が原子力分野の技術開発に向けたモチベーションを維持し、人材や予算を確保し続ける上でも、政府が新増設・RPも含めた明確な方向性、メッセージを打ち出すことが不可欠である。
 

【現に長期に亘り新規建設がない米英はサプライチェーンの技術力を失っている。その穴を埋めているのが、原子炉容器や大型タービンなどの日本の技術であることも分かる。】

【一方、原子力を維持した仏はサプライチェーンも維持(ここでも原子炉圧力容器は日本製ですが)】
 
<斉藤 委員(東京大学大学院工学系研究科原子力専攻准教授)>
◉研究体制という点で、特に研究開発の体力が今落ちてきていると、私も大学にいるので思う。施設が老朽化しているし、震災以降開発が規制対応を含めて難しくなってきているという部分があった。したがって、施設をどう活用していくのか、おそらく今ある施設をそのままの形でということにはならないと思うので、予算を上手く集約的に統括して、施設の共通化と解放を上手くやっていく必要があると思うし、その中でやはり研究開発を支える人材を質・量ともにある程度揃えていくという、そういったロードマップが必要ではないかと感じている。
 →もんじゅ敷地内に設置される試験研究炉はまさに、この役割を果たすものと期待する。
 
<遠藤 委員(慶應義塾大学グローバルリサーチインスティテュート特任教授)>
◉本日のワーキンググループ、NRC、NEIの海外の事例を聞いて、やはり規制が産業界との対話をしながらイノベーションを行い、規制自体もイノベーションしていくということが非常にわかりやすい回だったと思う。
 →多くは言いませんが、「独立性」が高いが故の日本の原子力規制委員会に向けた言葉と理解。
 
<山口 委員(公益財団法人原子力安全研究協会理事)>
◉やはり一番最初のポイントは、カーボンニュートラルとエネルギー経済安全保障の両立ということ。そこに対して原子力あるいは革新炉の役割、貢献というのは改めて今日米国からの話を伺っても認識されるところ。実際に過去ここ10年間のカーボンフリーの発電というのは何で行われてきたかというと、世界中の発電の50%は原子力、あと40%が水力、そういう状況。それを踏まえても確立された信頼性の高いエネルギー源として原子力を持続的に活用すると、その一つの方向性としてどういう革新炉を描いていくかという点、大変重要であるという認識を得られた。
 
<大野 委員(一社)日本原子力産業協会 情報・コミュニケーション部課長>
◉今後の革新炉の展開を見据えつつ、サプライチェーンの維持強化を図るためにも、まずは早期再稼働が必須で、さらに新増設・リプレースを早期に検討を開始する必要があると考える。その際、自由化された電力市場においても、新増設・リプレース事業に予感性をもって取り組むことが出来るよう、投資環境の整備も合わせて検討する必要があると考える。
 
他にも専門性の高い技術革新やポートフォリオの関係等で参考になった点が多々ありましたが、革新炉を含む原子力発電の位置付けに対する基本的な考え方については、先に委員が述べられた言葉は「ごもっとも」と大きく頷いた次第です。
 
日本初の商業炉である日本原電「敦賀発電所1号機」(BWR:1972年運開)の国産化率は「55%」であったのに対し、九州電力の玄海2号機(PWR:1981年運開)時点では「99%」、BWRでも東京電力福島第二原子力発電所2号機(1982年)では「98%」にまで国産化率は高まっています。
 

【一番下をご覧いただくと国産化率の推移が分かります】
 
これは、裾野の広い原子力の分野で、日本のサプライチェーン企業の技術力の総力を結集してきた賜物であると、実際に現場で勤め、このことを実感する私自身も誇りに思うところ。
 

【日本が誇る原子力サプライチェーン企業】
 
その誇るべき技術力と人材を米英のように枯渇させてしまうのか、維持するのかの瀬戸際にあるのが「今」です。
 
失ってから嘆いても取り返せないこの状況を打開するためには、国が早期に「新増設・リプレース」を政策として示すこと以外にありません。
 
ひいては、この参議院選挙が終わった後、真にエネルギー・原子力政策の見直しが行われることを切に求める次第です。
 
(投稿後追記)
ちなみに、上記趣旨も踏まえ「リプレースが必要」と公約に掲げている政党は「国民民主党のみ」です。

今ある資源を活かす最たるものは「原子力発電」

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燃油価格や物価は高騰、電力や水は不足と、日本経済にとってマイナス要因は尽きませんが、考えてみれば元々あった新型コロナウイルス感染の影響にウクライナ情勢もあって、ダブル、トリプル、さらにもう一発とパンチを打ち込まれている気がしてならない今日この頃。
 
そうした中、トヨタ自動車が29日に発表した5月の国内生産台数は前年同月比28.5%減の14万4204台で、3ヶ月連続で前年実績を下回り、減少率は1月(32.2%減)以来の大きさとのこと。
 
今度は、世界的な半導体不足や、新型コロナウイルス対策の中国・上海のロックダウン(都市封鎖)による部品調達難で減産を強いられたとあり、ここでも「不足」の文字が浮かぶところに、こうした部品の国内生産化、いわゆる自給率を高めることが重要性と考える次第です。
 
さて、「不足」と言えば、連日の記載でしつこいと思われるかもしれませんが、昨日だけでも「8度」に亘る電力供給指示が電力広域的運営推進機関(OCCTO)から発出された東京電力パワーグリッド(以下、東電PG)管内での電力需給逼迫。
 
昨日の最後、17時17分に出された指示を見ると「東電PGは、東北電力ネットワーク、中部電力パワーグリッド、北陸電力送配電、中国電力ネットワーク、四国電力送配電から6月29日の18:00から24:00の間、最大87.64万kWの電気の供給を受けること」とありましたが、一昨日も然り、その理由は「高気温により想定以上に需要が増加したことにより、東電PGエリアの供給力が不足し、最終的な需給調整手段となる揚水発電所の電気を大量に使用することにより、上池水量が枯渇し、需給ひっ迫に至ることが想定されたため、広域的な融通を行い上池水量の維持および回復を図ったものです。引き続き断続的に需給ひっ迫融通等を活用しながら上池水量を維持および回復する場合があります。」とありました。
 
つまりは、3月22日の需給逼迫の際、100%を超えているのに停電しなかった仕組みとして挙げられた、最終手段の「揚水発電」に必要な「水」を夜間の余剰電力を使ってポンプアップし、上池に溜めておくということを意味するものです。
 
実はこのシステムは、原子力発電がベースロード電源としてフル活用されていた際は、原子力の夜間余剰電力を用いて行われ、東電PGに関しては、福島第1並びに第2、そして当時、ひとつの発電所としては世界最大の出力を有していた柏崎刈羽がその役割を担っていた訳ですが、今やこうして他電力から電力融通を受けてポンプアップ(揚水)していることを、どこか虚しく感じた次第です。
 
加えて言えば、揚水発電所は「最終手段」としてではなく、昼間も使用していた訳であり、言わば、震災以降の11年で発電所の持つ機能や役割さえも変えてしまったと言わざるを得ないところ。
 
このような環境に追い込まれていることを考える矢先、28日には電力各社の株主総会が開かれ、東京電力ホールディングスの株主総会では、株主から「そもそも発電能力が足りていないのではないか」などの足元の電力需給に対する不安や不満の声が相次いだとのこと。
 
また、株主の東京都が休停止中の発電所の再稼働による、電力の安定確保を定款に明記することを求める議案を提案したほか、他の株主からも原子力発電所の再稼働など電力供給力の増強に関する質問が相次ぎ、電力の安定供給に対する関心は高まっているとありました。
 
エネルギー危機でそれどころでなくなっている「脱炭素」ですが、原子力発電は確立した脱炭素電源、純国産電源であり、少ない燃料で大きな出力を発電出来る電力の安定供給に寄与する存在です。
 
こう考えれば考えるほど、使える原子力発電所を眠らせたまま、需給逼迫だ節電だとあたふたする姿は、いかに滑稽か。
 
世界の国々は、この日本の姿をどう見ているのか。
 
中国やロシアや北朝鮮は、しめしめとほくそ笑んで見てると思うのは私だけでしょうか。
 

【昨夕の野坂の麓。沈む夕日を見て思うのは、この頃には役に立たなくなる太陽光発電。再エネか原子力かの不毛な二項対立から一刻も早く脱しなければ、日本は三流国に転落するとまで考えるのは私だけではないはず。】

再稼働に向け「島根原子力発電所2号機」が大きく前進

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原子力の分野においては「司法リスク」という言葉がありますが、先日はまたやこの言葉に直面。
 
5月31日、札幌地方裁判所において、泊発電所の運転差止め請求を認容する判決(以下、原判決)が出されました。
 
北海道電力においてはこれまで、泊発電所の安全性等について、裁判所の理解が得られるよう説明を重ねてきたところですが、この主張が理解されない原判決となったことに対し、同社は誠に遺憾、到底承服できるものではないとし、昨日、札幌高等裁判所へ控訴。
 
控訴審で原判決が取り消されるよう、引き続き泊発電所の安全性等の主張・立証を尽くすとしています。
 
判決に対する受け止めは、私も全くもって北海道電力と同じでありますが、いつまでこの「司法リスク」に苦しまなければならないのか、忸怩たる思いが込み上げてくる次第です。
 
一方、こちらは同じ原子力でも大きな前進となる朗報。
 
2日、中国電力島根原子力発電所2号機(沸騰水型炉:BWR、出力82万kW)の再稼働について、丸山達也島根県知事が「現状では原子力発電が一定の役割を担う必要がある」と述べ、島根県議会の正式同意の判断を踏まえ再稼働に同意すると表明。
 
地元自治体の再稼働への同意は、沸騰水型軽水炉(BWR)では東北電力(株)女川原子力発電所2号機に続いて2番目となりました。
 
 →→→中国電力ホームページ「原子力発電」のサイトはこちらから
 
中国電力においては、東日本大震災以降の原子力発電所の停止に伴い、火力発電所の高稼働により供給力を確保してきましたが、現下の厳しいエネルギー情勢において、原子力発電所の再稼働が安定供給に及ぼす効果は大きく、同社によると、島根2号機の稼働によって、燃料費減少額は年間400億円程度が見込まれ、燃料価格の変動による影響を受けにくくなり、電気料金の安定化に寄与するとしています。
 
また、CO2排出量は年間約260万トン削減できる見込みであり、中国電力全体のCO₂排出量の約1割の削減が可能とも試算されており、まさに経済性、環境への適合の観点からも同発電所の再稼働は大きな意義を有するものであります。
 
我が国のエネルギー政策を考えるうえで根幹となる「S+3E」(安全確保を大前提に、安定供給、経済性、環境への適合を同時に達成すること)に、この島根2号機の再稼働は大きく貢献するものであり、改めてここまでの関係者の皆さんのご尽力、地域の皆さまのご理解に対し、心から敬意を表するものであります。
 
ただ、同発電所の再稼働にはまだ時間を要するのも事実。
 
安全対策工事を終えた後、原子力規制委員会の審査手続きが残っているからでありますが、これに関しては「安全確保を大前提」に規制委員会の審査が迅速且つ効率的に進められることを期待する次第です。
 
何故ならば、我が国の極めて深刻な電力需給逼迫は、最早「エネルギー危機」と捉えるべきあり、政府が企業や家庭に節電を要請してばかりの状況を打開するためには「原子力発電」を早期に再稼働させていくことしかないことはで明白であるからであります。
 
「司法リスク」や「政治リスク」にあっても歯を食いしばり、全国の現場で汗する仲間の思いは、只々「安価で安定した電気を届ける」との電力マンスピリッツ。
 
そうした同志とも言える仲間の皆さんの思いを胸に、私にできることは、少しでもエネルギー政策に関する理解を広めることとと思い、引き続き活動にあたる所存です。
 

【中国電力のパンフレット「島根原子力発電所の安全対策」表紙を抜粋】

「危機感」と「時間軸」がない日本の原子力政策

ブログ 原子力

既にバイデン米国大統領と岸田首相との首脳会談で発出した共同声明の内容が報じられているところですが、注目していたエネルギーの関係に関し、とりわけ原子力については、「CO2を排出しない電力および産業用の熱の重要かつ信頼性の高い供給源」として重要性を認識した上で、革新的原子炉・小型モジュール炉(SMR)の開発・世界展開、原子力サプライチェーンの構築などに向け、両国間の協力を拡大していくとしたところ。
 
ここでも出てくるのは「革新的」の言葉でしたが、ちょうど首脳会談が行われる前の5月19日には、総合資源エネルギー調査会の革新炉ワーキンググループが2回目の会合を開催し、米国テラパワー社、同ニュースケール社からの発表を受け、革新炉開発の海外動向・国際連携を中心に議論したとありました。
 
テラパワー社に関しては、2022年1月に日本原子力研究開発機構、三菱重工業他が覚書を締結、ニュースケール社に関しては同社のプロジェクトに昨春の日揮・IHIに続き、同年4月には国際協力銀行が出資を発表するなど、海外の革新炉開発への国内企業・機関の進出機運も高まっている訳ですが、同WGは、こうした状況も踏まえ「原子力発電の新たな社会的価値を再定義し、わが国の炉型開発に係る道筋を示す」ことを目指し4月20日に始動したもの。
 
今回のWGで発表された事項について、原子力産業新聞の記事をお借りすると、米国エネルギー省(DOE)の原子力サプライチェーンに関する報告書によれば、「米国では、今後高経年化石炭火力の多くが閉鎖され、石炭火力の設備容量を同規模の小型モジュール炉(SMR)にリプレースすることにより、既存送電線の活用および労働者の再雇用ができる」との分析結果が示されている。また、日立製作所が米国GE日立・ニュークリアエナジーと共同開発するBWR型SMR「BWRX-300」に関しては、カナダのオンタリオ州営電力(OPG)で最速2028年の運転開始を目指すプロジェクトが進んでいるが、同プロジェクトでは、製造建設段階(7年間)で約1,700人/年、運転段階(60年間)で約200人/年の雇用創出が図られる見込みとの報告。
 
さらに、テラパワー社からは、小型ナトリウム冷却高速炉「Natrium」の開発状況の説明があり、その立地に関し、原子炉建屋や燃料建屋などを配置する「ニュークリアアイランド」と、蒸気発生器やタービン建屋などを配置する「エネルギーアイランド」に敷地を二分した完成イメージを披露した上で、初号機はワイオミング州で閉鎖される石炭火力の代替として建設が計画されており、建設ピーク時に2,000~2,500人、プラント稼働時に200~250人のフルタイム雇用が創出されるとの試算を示し、「地元のコミュニティが非常に前向きにとらえており喜ばしい」などと述べたとありました。
 

【「Natrium」のイメージ図(テラパワー社発表資料より引用)】
 
こうして見れば、米国やカナダでは2028年の具体的な運転開始時期の目標を持って開発を進めていることが分かるとともに、原子力発電が自動車産業などと同じく、裾野の広い産業であることを改めて認識した次第。
 
日本が将来に亘って、より安全性を高めた原子力技術を開発していくことに異論は全くありませんが、それ以前に常々感じるのは「危機感」と「時間軸」の無さ。
 
これまでのブログでも紹介している通り、欧米の場合は、このエネルギー危機に対し現実論で、速やかに政策判断をし、「いつまでに誰が何をやるか」を明示した上で開発や投資をしていくのに対し、日本は「やるのかやらないのか」さえ曖昧のまま、具体的な期日も明示せず、政策判断までに時間が掛かり過ぎると感じるところ。
 
特に、この夏には予備率3%を切り、冬にはマイナスになるとまで予測されている電力需給逼迫を前に、いつになるやも知れぬ「革新炉」ばかりを言っている場合なのかと、正直私は憤りすら感じています。
 
繰り返しになりますが、こうしたエネルギー危機に直面するいま、行うべきは、原子力規制審査を加速し(決して安全を蔑ろにするという意味ではない)、既存の原子力発電所を早期に再稼働させること、既に実績があり、開発を進めている改良型軽水炉による新増設・リプレースによって電力供給力を増すことであると考える次第ですが、政府は支持率低下を恐れてか、これを具体的に進めようとしていません。
 
昨秋の衆議院選挙前の「エネルギー基本計画」でも明確にせず、今夏の参議院選挙前にも明示せぬままでは刻々と時間が過ぎるばかりであり、今年も需給逼迫の夏、そして冬がまたやってくる。
 
電力需要と産業の成長率とは比例の関係にあることを考えれば、需給逼迫が恒常化しているような国に将来があるとは言えません。
 
国内ではなく、海外で働きたいという若者が増えているのも、こうした環境を冷静に見ているからであり、このままでは日本を支える人材すら流出していく国家的危機にあると思う次第ですが、日本が先進国から取り残されることなく、もう一度、世界一の産業立国を目指すためにも、今度こそ岸田首相には英断をしていただきたい。
 
論点のすり替えのような「革新炉開発」の言葉を聞く度に、その思いは募るばかりです。

「原子力の最大限活用」と世界秩序

ブログ 原子力

5月15日のブログでは、「『クリーンエネルギー戦略(中間整理)』のどこが『原子力を最大限活用』なのか」と少々生意気なタイトルで、政府は覚悟を決めて新増設・リプレースなどに踏み込むべきと意見したところですが、17日に開催された全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協、会長=渕上隆信・福井県敦賀市長)の2022年度定例総会の場でも同様の意見がされたとのこと。
 
渕上会長は冒頭の挨拶にて、昨年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画について「新増設・リプレースを含めた将来を見据えた方向性が明確にされず大変遺憾」と述べたうえで、ロシアのウクライナ侵略による国際情勢緊迫化などを挙げ「エネ基策定時から国際情勢が変化している中で、原子力を含めたエネルギー政策がどうあるべきか、あらためて議論する必要がある」との認識を示したと報じられていました。
 
また、18日には敦賀市議会最大会派である市政会が岸田首相と官邸で面会し、エネルギーの安定供給と温室効果ガスの排出削減を両立させるためには原子力発電所を最大限活用する必要があるとし、新増設やリプレースを含めた原子力政策の方針を明確にするよう求めたと、昨日の福井新聞に大きく報じられていました。
 
会派で中央官庁への要望に行くことは事前に伺っていたものの、新聞を開いて、まさか首相に直接であったとは驚いた訳ですが、要望書では冒頭に述べた「クリーンエネルギー戦略」における原子力政策の方針明確化を求めるものであり、現下のエネルギー危機を踏まえ、原子力発電所所在地議会を代表するかの行動に敬意を表する次第です。
 
クリーンエネルギー戦略に対しては、他にも日本商工会議所なども同様の趣旨の意見書を経済産業省に提出していますが、これだけ多くの声が挙がっていることを踏まえ、岸田首相におかれては「覚悟を決めて」原子力政策について一層踏み込んだ検討を指示いただきたいと強く思う次第です。
 
こうした中、4月28日に日本原子力産業協会(原産協会)が刊行した「世界の原子力発電開発の動向」(2022年版)には、このような記載がありました。
 
この「動向」は、2022年1月1日現在の世界の原子力発電に係るデータを集計したもので、広範な情報を網羅したものですが、それによると、世界で運転中の原子力発電所は431基・4億689.3万kWで、前年より3基・98.9万kW分減少(出力変更を含む)。
 
2021年中は、中国、ベラルーシ、パキスタン、アラブ首長国連邦、ロシアで7基・829.1万kWが新設されたほか、中国、インド、ロシア、トルコで10基・987.4万kW分が着工し、建設中のプラントは計62基・6,687.4万kWとなった。
 
なお、計70基・7,970.3万kWが計画中で、中国では2021年中、3基が新設、6基が着工しており、躍進が際立っていた。
 
とありました。
 
日本が原子力技術や人材の維持継承を課題とするまでになっている一方、中国、そしてロシアでは着々と原子力発電の開発が進められており、このまま行けば、この両国に世界が席巻され兼ねない可能性を意味するものと、私自身は脅威を覚えるところです。
 
奇しくもロシアの軍事行動により、エネルギー安全保障の重要性を実体験として認識する昨今。
 
簡単に言えば、資源を持っている国は強い、持っていない国は弱いということになりますが、我が国においては先の大戦の反省を踏まえ、エネルギー自給率の向上、準国産エネルギーである原子力発電の開発を進めてきたことはご承知の通り。
 
そのことを思えば、日本が西側諸国とともに、真に「原子力の最大限活用」に向かうことは、我が国の安全保障のみならず、中露にとって脅威になる、つまりは世界秩序を保つことにも貢献出来るものと考えるところであり、繰り返しになりますが、この後の「クリーンエネルギー戦略」には文字通り、首相の仰る「最大限活用」を具現化した政策が反映されることを期して止みません。
 

【西側諸国が原子力に回帰していることにより、2023年版の数字は変化するものと予想。それにしても、各国が脱炭素一色から現実的なエネルギー政策に転換するキッカケがプーチンの非人道的行為とは、本当に皮肉なことです。】

「嶺南原子力フォーラム」にて「石川和男氏」のご講演を聞く

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最近は、ロシアの軍事行動のせいか、どちらかと言えば暗い話題が多い中、昨晩は胸の澄くような話しを聞く機会がありました。
 
その機会とは、美浜町生涯学習センター「なびあす」で開催された「嶺南原子力フォーラム」での講演。
 
同フォーラムとしては2回目となる「勉強会」では、元通商産業省(現経済産業省)、現在は社会保障経済研究所代表をお務めの石川和男氏をお招きし、「世界におけるエネルギー危機と原子力の必要性」と題した講演を拝聴しました。
 
この石川和男氏に関しては、日テレ系の「スッキリ」やフジ系の「ネプリーグ」などの番組に出演しているほか、最近ではBSテレ東で「危機のカナリア」というご自身の冠番組を持たれるなど、メディアにも登場していることから、ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、私は常日頃から石川氏のTwitterをフォローしており、エネルギー関連の話題を中心に、切れ味鋭い、至極真っ当な意見を主張されているのを拝読しているところ。
 
開演前には控え室に出向き、直接ご挨拶をさせていただきましたが、番組やTwitter通りの明るく屈託のない方で、暫し談笑もさせていただいた次第です。
 
ご講演では、まずロシアとの関係に触れ、我が国の原油やLNG、石炭の輸入におけるシェア、先進国のロシアへの依存度について説明があり、石炭輸入の48%をロシアが占めるようなドイツでは、現実問題として切っても切れない関係にあることに始まり、日本のエネルギーミックス目標や3月22日にあった東京電力ホールディングス管内であった電力需給逼迫関連では、圧倒的に供給力が不足する環境において原子力発電を早期に再稼働させるべきと力強く主張されました。
 
また、電気料金高騰や再生可能エネルギーへの「規制的資金移転」(制度設計に伴う国民負担)の問題に加え、最後には、オイルショック以降の世界のエネルギー供給の推移では、1973年当時、24.8%あった原油のシェアが、2918年では2.9%となっている点を例に、エネルギーの世界は長い時間を掛けて変化するものであり、拙速に変化させようとすることはスローガンとしては良いが、現実的ではないとの意見には大いに納得した次第です。
 
なお、強く再生可能エネルギーの優位性を主張する勢力は何故か「1+1」の答えが3や5になるとし、つまりは太陽光発電の出力を原子力発電所1基分相当などと例えるのは、瞬時の発電量と容量とを履き違えた全くのデタラメであり、科学の世界は「1+1=2」でしかないと仰っていたことも印象に残りました。
 
これを裏付けるかのように、少ない燃料、小さい面積で大容量のエネルギーを生み出すことの出来る原子力発電の優位性(例:110万kw級の原子力発電所1年分と同じ発電量を得るためには、太陽光だと山手線一杯、風力では山手線の3.4倍の面積が必要)も述べられましたが、まさにこうしたそれぞれの特性を理解した中で、資源の少ない我が国におけるエネルギーミックスを考えないといけないとの言葉に、深く頷いたところです。
 
こうして約75分間のご講演、その後の質疑でのご回答も含め、我が国のエネルギー事情の本質的な課題を突いた、歯に衣を着せぬお話しは、会場の共感を呼ぶ内容であったと感じた次第。
 

【講演中の会場の様子】
 
現在は、経産省の大臣官房臨時専門アドバイザーも務める石川氏ですが、このエネルギー危機に対応していくには、理想論は全く役に立たない訳であり、現実論をストレートに述べるこうした有識者の存在が益々重要になると考えます。
 
石川氏の今後引き続きの発信力に期待するとともに、昨日拝聴した力強い言葉を胸に置き、私自身も真っ当なエネルギー政策に向かうよう理解活動に励みたいと考えます。
 
最後に、石川和男氏のTwitterを参考までリンクいたしますので、Twitterをされている方は是非、「胸の澄く」ツイートをご覧になってみてください。
 
 →→→石川和男氏のTwitterはこちら

英が新たなエネルギー戦略。原子力発電所は今後最大8基を新設。

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福井県は昨日、杉本知事による会見を開き、独自に発令中の新型コロナウイルス感染に関わる「感染拡大特別警報」を期限の4月10日で解除し、11日から「警報」に切り替えると発表しました。
 
警報の期間は4月24日までとしており、入院患者数は減少傾向にあるとしつつ、一方で新規系統・新規感染者数は再び増加する兆候もあるとの見解を示しています。
 
特別警報から警報に引き下がったとしても、個々人の対策は変わらないかと思いますが、新学期も始まる中、これまで複数の保護者の方から聞いていた部活動に関しては、全ての部活動について感染対策を徹底したうえで、平日の時短解除、土日の部活動を解禁するとあったことにやや安堵。
 
今後も貴重な子どもたちの成長機会をコロナで奪ってしまうことのなきよう、収束方向に皆で努力していければと考えます。
 
さて、話題をガラリと変えますが、危機に直面し、現実的且つ迅速にエネルギー政策の舵を切る欧州各国ですが、またまた英国が新たな考えを発表。
 
英政府は、2030年までに原子力発電を大幅に拡大することを柱とする新たなエネルギー戦略を7日までに発表。
 
ロシアのウクライナ侵略や世界的なエネルギー価格高騰を背景に電力の自給を高めることを目指すとのことで、新戦略では、2030年までに最大8基の原子力発電所を新設し、2050年に予想される電力需要の25%を原子力で賄う計画とし、従来型よりも安全性が高いとされる次世代炉の「小型モジュール原子炉」を中心に新設するとのこと。
 
英政府統計によると、総発電に占める原子力発電の比率は2020年時点で16%とありますが、現在稼働中の原子力発電所は2030年代半ばには全て操業期間を終え、停止する可能性が高いため対策を急ぐとし、新規建設や技術革新で1割ほど引き上げるのが狙い。
 
建設地として、既に工事に入っている英南西部ヒンクリーポイントや、日立製作所が事業運営から撤退したウェールズのアングルシー島などの名前が挙がっており、英政府の採る政策は現状、さらに今後のエネルギー安全保障と国益を最優先するものと受け止める次第です。
 

【建設中のヒンクリーポイントC原子力発電所(2020年:Bloombergより)】
 
振り返って、状況が英と全くもって同じように思える我が日本。
 
ちょうど昨日知ったのは、経済産業省が原子力発電所の機器などの部品を生産する日本企業の海外展開を支援するとのニュース。
 
原子力発電所を建設する企業とのマッチングや現地で使うための規格取得を後押しする検討に入ったとのことですが、その背景には、国内で原子力発電所の早期建設は見込めず、官民で目指してきた原子力発電所全体の輸出も頓挫したことなどを受け、部品の輸出支援に政策を転換し、国内の原子力産業の維持を目指すと記事にはありました。
 
「国内で原子力発電所の早期建設は見込めず」とありますが、昨年10月のエネルギー基本計画策定段階で有識者や経団連など各団体、立地地域、立地議会などからあれほど「新増設・リプレース」の必要性を求める意見(原子力人材や技術の維持の観点を含む)があったことを「完全無視」し、一言も計画に書き込まなかったのは紛れもなく国であり、今回の件を聞き、思わず「何を言っているのか」と口に出してしまいましたが、根本的な問題に目を伏せ続けたうえのこの施策に呆れる次第です。
 
例えて言うなら、自動車産業で同じことを行った場合に、国内のトータルでの自動車製造システムや技能・技術はどうなるのか、優秀な国内技術の流出に加え、世界に誇る日本のものづくりを支えてきた現場の高いマインドまで失われやしないか。
 
これは原子力産業とて同じなのであります。
 
眼前の危機に世論を恐れず政策転換する欧州各国に対し、危機と分かっていながら世論の反発を恐れて(選挙を意識して)判断しない日本。
 
原子力発電の取扱いのみならず、問題が顕著化している電力システムを含めた見直し論議から逃げ続けた先にあるのは、国家全体の大きな代償であり、そうなってから嘆いても取り返せるものではないことだけは明らかであります。
 
「国民性だから」では看過することの出来ない局面であり、ここで判断しないことの影響は後々大きく響くものと強い危機感を覚える次第です。

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