「原子力の最大限活用」と世界秩序

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5月15日のブログでは、「『クリーンエネルギー戦略(中間整理)』のどこが『原子力を最大限活用』なのか」と少々生意気なタイトルで、政府は覚悟を決めて新増設・リプレースなどに踏み込むべきと意見したところですが、17日に開催された全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協、会長=渕上隆信・福井県敦賀市長)の2022年度定例総会の場でも同様の意見がされたとのこと。
 
渕上会長は冒頭の挨拶にて、昨年10月に閣議決定された第6次エネルギー基本計画について「新増設・リプレースを含めた将来を見据えた方向性が明確にされず大変遺憾」と述べたうえで、ロシアのウクライナ侵略による国際情勢緊迫化などを挙げ「エネ基策定時から国際情勢が変化している中で、原子力を含めたエネルギー政策がどうあるべきか、あらためて議論する必要がある」との認識を示したと報じられていました。
 
また、18日には敦賀市議会最大会派である市政会が岸田首相と官邸で面会し、エネルギーの安定供給と温室効果ガスの排出削減を両立させるためには原子力発電所を最大限活用する必要があるとし、新増設やリプレースを含めた原子力政策の方針を明確にするよう求めたと、昨日の福井新聞に大きく報じられていました。
 
会派で中央官庁への要望に行くことは事前に伺っていたものの、新聞を開いて、まさか首相に直接であったとは驚いた訳ですが、要望書では冒頭に述べた「クリーンエネルギー戦略」における原子力政策の方針明確化を求めるものであり、現下のエネルギー危機を踏まえ、原子力発電所所在地議会を代表するかの行動に敬意を表する次第です。
 
クリーンエネルギー戦略に対しては、他にも日本商工会議所なども同様の趣旨の意見書を経済産業省に提出していますが、これだけ多くの声が挙がっていることを踏まえ、岸田首相におかれては「覚悟を決めて」原子力政策について一層踏み込んだ検討を指示いただきたいと強く思う次第です。
 
こうした中、4月28日に日本原子力産業協会(原産協会)が刊行した「世界の原子力発電開発の動向」(2022年版)には、このような記載がありました。
 
この「動向」は、2022年1月1日現在の世界の原子力発電に係るデータを集計したもので、広範な情報を網羅したものですが、それによると、世界で運転中の原子力発電所は431基・4億689.3万kWで、前年より3基・98.9万kW分減少(出力変更を含む)。
 
2021年中は、中国、ベラルーシ、パキスタン、アラブ首長国連邦、ロシアで7基・829.1万kWが新設されたほか、中国、インド、ロシア、トルコで10基・987.4万kW分が着工し、建設中のプラントは計62基・6,687.4万kWとなった。
 
なお、計70基・7,970.3万kWが計画中で、中国では2021年中、3基が新設、6基が着工しており、躍進が際立っていた。
 
とありました。
 
日本が原子力技術や人材の維持継承を課題とするまでになっている一方、中国、そしてロシアでは着々と原子力発電の開発が進められており、このまま行けば、この両国に世界が席巻され兼ねない可能性を意味するものと、私自身は脅威を覚えるところです。
 
奇しくもロシアの軍事行動により、エネルギー安全保障の重要性を実体験として認識する昨今。
 
簡単に言えば、資源を持っている国は強い、持っていない国は弱いということになりますが、我が国においては先の大戦の反省を踏まえ、エネルギー自給率の向上、準国産エネルギーである原子力発電の開発を進めてきたことはご承知の通り。
 
そのことを思えば、日本が西側諸国とともに、真に「原子力の最大限活用」に向かうことは、我が国の安全保障のみならず、中露にとって脅威になる、つまりは世界秩序を保つことにも貢献出来るものと考えるところであり、繰り返しになりますが、この後の「クリーンエネルギー戦略」には文字通り、首相の仰る「最大限活用」を具現化した政策が反映されることを期して止みません。
 

【西側諸国が原子力に回帰していることにより、2023年版の数字は変化するものと予想。それにしても、各国が脱炭素一色から現実的なエネルギー政策に転換するキッカケがプーチンの非人道的行為とは、本当に皮肉なことです。】

「嶺南原子力フォーラム」にて「石川和男氏」のご講演を聞く

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最近は、ロシアの軍事行動のせいか、どちらかと言えば暗い話題が多い中、昨晩は胸の澄くような話しを聞く機会がありました。
 
その機会とは、美浜町生涯学習センター「なびあす」で開催された「嶺南原子力フォーラム」での講演。
 
同フォーラムとしては2回目となる「勉強会」では、元通商産業省(現経済産業省)、現在は社会保障経済研究所代表をお務めの石川和男氏をお招きし、「世界におけるエネルギー危機と原子力の必要性」と題した講演を拝聴しました。
 
この石川和男氏に関しては、日テレ系の「スッキリ」やフジ系の「ネプリーグ」などの番組に出演しているほか、最近ではBSテレ東で「危機のカナリア」というご自身の冠番組を持たれるなど、メディアにも登場していることから、ご存じの方もいらっしゃるかと思いますが、私は常日頃から石川氏のTwitterをフォローしており、エネルギー関連の話題を中心に、切れ味鋭い、至極真っ当な意見を主張されているのを拝読しているところ。
 
開演前には控え室に出向き、直接ご挨拶をさせていただきましたが、番組やTwitter通りの明るく屈託のない方で、暫し談笑もさせていただいた次第です。
 
ご講演では、まずロシアとの関係に触れ、我が国の原油やLNG、石炭の輸入におけるシェア、先進国のロシアへの依存度について説明があり、石炭輸入の48%をロシアが占めるようなドイツでは、現実問題として切っても切れない関係にあることに始まり、日本のエネルギーミックス目標や3月22日にあった東京電力ホールディングス管内であった電力需給逼迫関連では、圧倒的に供給力が不足する環境において原子力発電を早期に再稼働させるべきと力強く主張されました。
 
また、電気料金高騰や再生可能エネルギーへの「規制的資金移転」(制度設計に伴う国民負担)の問題に加え、最後には、オイルショック以降の世界のエネルギー供給の推移では、1973年当時、24.8%あった原油のシェアが、2918年では2.9%となっている点を例に、エネルギーの世界は長い時間を掛けて変化するものであり、拙速に変化させようとすることはスローガンとしては良いが、現実的ではないとの意見には大いに納得した次第です。
 
なお、強く再生可能エネルギーの優位性を主張する勢力は何故か「1+1」の答えが3や5になるとし、つまりは太陽光発電の出力を原子力発電所1基分相当などと例えるのは、瞬時の発電量と容量とを履き違えた全くのデタラメであり、科学の世界は「1+1=2」でしかないと仰っていたことも印象に残りました。
 
これを裏付けるかのように、少ない燃料、小さい面積で大容量のエネルギーを生み出すことの出来る原子力発電の優位性(例:110万kw級の原子力発電所1年分と同じ発電量を得るためには、太陽光だと山手線一杯、風力では山手線の3.4倍の面積が必要)も述べられましたが、まさにこうしたそれぞれの特性を理解した中で、資源の少ない我が国におけるエネルギーミックスを考えないといけないとの言葉に、深く頷いたところです。
 
こうして約75分間のご講演、その後の質疑でのご回答も含め、我が国のエネルギー事情の本質的な課題を突いた、歯に衣を着せぬお話しは、会場の共感を呼ぶ内容であったと感じた次第。
 

【講演中の会場の様子】
 
現在は、経産省の大臣官房臨時専門アドバイザーも務める石川氏ですが、このエネルギー危機に対応していくには、理想論は全く役に立たない訳であり、現実論をストレートに述べるこうした有識者の存在が益々重要になると考えます。
 
石川氏の今後引き続きの発信力に期待するとともに、昨日拝聴した力強い言葉を胸に置き、私自身も真っ当なエネルギー政策に向かうよう理解活動に励みたいと考えます。
 
最後に、石川和男氏のTwitterを参考までリンクいたしますので、Twitterをされている方は是非、「胸の澄く」ツイートをご覧になってみてください。
 
 →→→石川和男氏のTwitterはこちら

英が新たなエネルギー戦略。原子力発電所は今後最大8基を新設。

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福井県は昨日、杉本知事による会見を開き、独自に発令中の新型コロナウイルス感染に関わる「感染拡大特別警報」を期限の4月10日で解除し、11日から「警報」に切り替えると発表しました。
 
警報の期間は4月24日までとしており、入院患者数は減少傾向にあるとしつつ、一方で新規系統・新規感染者数は再び増加する兆候もあるとの見解を示しています。
 
特別警報から警報に引き下がったとしても、個々人の対策は変わらないかと思いますが、新学期も始まる中、これまで複数の保護者の方から聞いていた部活動に関しては、全ての部活動について感染対策を徹底したうえで、平日の時短解除、土日の部活動を解禁するとあったことにやや安堵。
 
今後も貴重な子どもたちの成長機会をコロナで奪ってしまうことのなきよう、収束方向に皆で努力していければと考えます。
 
さて、話題をガラリと変えますが、危機に直面し、現実的且つ迅速にエネルギー政策の舵を切る欧州各国ですが、またまた英国が新たな考えを発表。
 
英政府は、2030年までに原子力発電を大幅に拡大することを柱とする新たなエネルギー戦略を7日までに発表。
 
ロシアのウクライナ侵略や世界的なエネルギー価格高騰を背景に電力の自給を高めることを目指すとのことで、新戦略では、2030年までに最大8基の原子力発電所を新設し、2050年に予想される電力需要の25%を原子力で賄う計画とし、従来型よりも安全性が高いとされる次世代炉の「小型モジュール原子炉」を中心に新設するとのこと。
 
英政府統計によると、総発電に占める原子力発電の比率は2020年時点で16%とありますが、現在稼働中の原子力発電所は2030年代半ばには全て操業期間を終え、停止する可能性が高いため対策を急ぐとし、新規建設や技術革新で1割ほど引き上げるのが狙い。
 
建設地として、既に工事に入っている英南西部ヒンクリーポイントや、日立製作所が事業運営から撤退したウェールズのアングルシー島などの名前が挙がっており、英政府の採る政策は現状、さらに今後のエネルギー安全保障と国益を最優先するものと受け止める次第です。
 

【建設中のヒンクリーポイントC原子力発電所(2020年:Bloombergより)】
 
振り返って、状況が英と全くもって同じように思える我が日本。
 
ちょうど昨日知ったのは、経済産業省が原子力発電所の機器などの部品を生産する日本企業の海外展開を支援するとのニュース。
 
原子力発電所を建設する企業とのマッチングや現地で使うための規格取得を後押しする検討に入ったとのことですが、その背景には、国内で原子力発電所の早期建設は見込めず、官民で目指してきた原子力発電所全体の輸出も頓挫したことなどを受け、部品の輸出支援に政策を転換し、国内の原子力産業の維持を目指すと記事にはありました。
 
「国内で原子力発電所の早期建設は見込めず」とありますが、昨年10月のエネルギー基本計画策定段階で有識者や経団連など各団体、立地地域、立地議会などからあれほど「新増設・リプレース」の必要性を求める意見(原子力人材や技術の維持の観点を含む)があったことを「完全無視」し、一言も計画に書き込まなかったのは紛れもなく国であり、今回の件を聞き、思わず「何を言っているのか」と口に出してしまいましたが、根本的な問題に目を伏せ続けたうえのこの施策に呆れる次第です。
 
例えて言うなら、自動車産業で同じことを行った場合に、国内のトータルでの自動車製造システムや技能・技術はどうなるのか、優秀な国内技術の流出に加え、世界に誇る日本のものづくりを支えてきた現場の高いマインドまで失われやしないか。
 
これは原子力産業とて同じなのであります。
 
眼前の危機に世論を恐れず政策転換する欧州各国に対し、危機と分かっていながら世論の反発を恐れて(選挙を意識して)判断しない日本。
 
原子力発電の取扱いのみならず、問題が顕著化している電力システムを含めた見直し論議から逃げ続けた先にあるのは、国家全体の大きな代償であり、そうなってから嘆いても取り返せるものではないことだけは明らかであります。
 
「国民性だから」では看過することの出来ない局面であり、ここで判断しないことの影響は後々大きく響くものと強い危機感を覚える次第です。

原子力発電の最大限利用に進む英国、同じ島国日本は

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徐々に桜の開花予報を耳にする季節となりましたが、その前に春を知らせる花と言えば水仙。
 
昨日も車を運転していると、可愛らしく連なって咲く水仙を発見し、思わず撮影。
 
後で調べると、花言葉は「自己愛」や「神秘」、黄色の水仙は「私のもとへ帰って」とのことで私とは似つかないものの、こうして道端に咲く花の姿から元気をもらった次第です。
 

 
さて、話題をガラリと変えますが、一昨日は総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会が開催され、エネルギーを巡る社会動向と原子力の技術開発について議論がされました。
 
同委員会では2月、約10か月ぶりに開かれた前回会合で、今後の議論に向け、(1)着実な再稼働の推進、(2)革新的な安全性の向上等に向けた取組、(3)国民・自治体との信頼関係の構築、(4)原子力の安全を支える人材・技術/産業基盤の維持・強化、(5)原子力の平和利用に向けた国際協力の推進、(6)核燃料サイクルの着実な推進と最終処分を含むバックエンド課題への取組みの各論点を提示。
 
論点ごとの意見整理を踏まえ、今回は、革新炉開発、原子力を支える人材・技術に係る課題を抽出のうえ、海外電力調査会上席研究員の黒田雄二氏、日本原子力研究開発機構理事の大島宏之氏からのヒアリング、意見交換を行った上で、「原子力発電の新たな社会的価値を再定義し、わが国の炉型開発に係る道筋を示す」ため、同委員会のもとに「革新炉ワーキンググループ」を設置し議論を深めることとなりました。
 
専門委員として出席した原産協会の新井史朗理事長は、サプライチェーンの維持に関し、「原子力の持続的活用の観点から、高品質の機器製造、工事・保守などの供給は必須で、これらが国内で一貫して行われることが重要」とした上で、既存炉の徹底活用とともに、新増設・リプレースの明確な見通しなど、関連産業の長期的展望が求められると述べられましたが、足元の現状からすればまさに、革新炉を言う前にこうした意見に重きを置いた政策に舵を切るべきと思う次第です。
 
一方、海外を見てみると原子力発電の先進国でありながら、今や相次ぐ新電力の撤退により政府が巨額の補償をしている電力システムを「失敗」と認識、欧州エネルギー危機、ウクライナ情勢とも相俟って、島国が採るべきエネルギー政策を模索する英国では、3月17日に英国原子力産業協会(NIA)にて英国議会における超党派議員連盟(APPG)の原子力推進派(原子力APPG)が「英国がエネルギーの供給保証を強化するには、大小様々な規模の原子炉で2035年までに少なくとも1,500万kWの設備が新たに必要」と政府に訴える声明文を発表したとのこと。
 
折しも、英国のジョンソン首相が3月15日付けのThe Daily Telegraph紙で、「今こそ新たに原子力で大きな賭けに出るべきだ」との原稿を寄稿した直後のことでしたが、「賭け」の文言はやや引っ掛かるものの、労働党政権時代の歴史的な過ちを正し、ベースロード用電源として天候に左右されない原子力発電を大幅に拡大、ロシアのプーチン大統領の脅迫に翻弄されることのない盤石なエネルギー供給保証を英国内で確立すべきと述べたことと併せ、危機感をもって対応する政治の姿勢ここにありと認識する次第です。
 
なお、ジョンソン首相はその後の3月21日、首相官邸に英国原子力産業界の首脳を招いて円卓会議を開催し、英国の原子力発電開発を加速する方法や、国内のエネルギー供給保証の改善方法について協議しており、首相からは「クリーンで安全なエネルギー源である原子力が、英国の将来のエネルギー供給システムの中で主要部分を占める」という明確なビジョンを提示。
 
原子力産業界の代表者からは、それぞれが国内外の専門的知見に投資して開発中の大型炉やSMRなど、様々な原子力技術やプロジェクトを紹介したとあります。
 
振り返って今の日本。
 
絶対的に電源が足りない状況、調達価格高騰で崩壊寸前の電力システム、そして何より同じ島国であることは英国と同じなのに、「どうにかなる」とどこか悠長に構えているようにしか見えません。
 
目の前にある危機を認識しながら、敢えて目を瞑り、原子力発電利用の議論を避けているようにしか見えない政府、国でありますが、電源開発に時間を要するエネルギーなだけに、今すぐにでも英国のような現実的な政策、方針の明示をしていただきたいと強く求めるものであります。
 
何度も申し上げますが、政治の思考停止で負担を強いられるのはいつも国民であることを思えば、ジョンソン首相のように、岸田首相には早急な政治判断により、政策転換の声を挙げていただきたい。
 
この一心であります。

早く脱すべき「原子力」か「再エネ」かの不毛な二項対立議論    

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本日は天皇誕生日。
 
62歳の誕生日を迎えられるに先立ち、昨日は皇居で記者会見され、新型コロナウイルス禍の影響が続く現状に、「心に希望の火を絶やさずに灯し続け」、国や地域を越えて「人々や社会がつながり、お互いを認め合い、支え合える年になってほしい」との願いを明かされました。
 
また、人々が努力を続けることで「この厳しい現状を忍耐強く乗り越えていくことができる」とも述べられており、こうした陛下のお気持ちを思えば、とりわけ日本の舵をとる政治の世界においては、批判し合うのではなく、叡智を結集する方向に力を使うべきと、改めて認識する次第です。
 
さて、「お互いを認め合い」との言葉を聞いて浮かぶのは、私の場合どうしてもエネルギーのことになってしまうのですが、依然対立構図が続いているのが「原子力」と「再エネ」。
 
以前に拝聴した東京大学の有馬先生の講演であった、「日本は、原子力か再エネかの不毛な二項対立議論から早く脱しなければならない」との言葉が印象に残っていることもあるのかと思いますが、奇しくも昨日の新聞では「原子力発電活用か再エネ重視か 自民で議論活発化」との見出しがありました。
 
記事では、「政府が6月に取りまとめるクリーンエネルギー戦略は、2050年に温室効果ガス排出量を実質ゼロにする脱炭素社会の実現と経済成長を両立する具体策が焦点だが、再生可能エネルギーを重視し、原子力の活用に慎重だった菅前政権の方針が修正されるとの見方が強く、今後、エネルギー政策をめぐり、党内の駆け引きが激しくなりそうだ。」とありました。
 
記事ではさらに、岸田首相は以前の会見で「再エネ一本足打法では安定供給や価格の問題に十分対応できない」と発言し、エネルギーを賄う手段として「原子力も一つの選択肢」とも述べていて、菅政権からの変化を印象付けるものとだとあるほか、原子力活用を求める議員らは巻き返しに躍起だとし、党総合エネルギー戦略調査会の会合で、会長の額賀福志郎元財務相は「(脱炭素の)目標は立てられたが、地に足のついた形で進展させるかが問われる」とも述べ、再エネへの傾斜にくぎを刺した。
 
一方、議連では、菅政権で再エネ政策を取り仕切ってきた小泉進次郎前環境相を会長代理に迎え、存在感をアピールするとし、小泉氏の起用には、菅氏の退陣で政策そのものが後退しかねないとの危機感もあるとみられるとしています。
 
政権与党である自民党内においては、これまでもこうした議論のやり取りがあったかとも思いますが、再エネ偏重でエネルギー危機に直面している欧州や制度破綻が明らかな電力自由化、ウクライナ情勢なども踏まえたエネルギー安全保障の観点から、「二項対立」ではなく、バランスの取れた「現実的なベストミックス」に向けた議論を期待する次第です。
 
こうした議論の結果、生み出される国のエネルギー政策。
 
これまでその政策に大きく貢献してきた敦賀市ですが、ちょうど昨日ホームページを見ると「原子力広報誌」に関する掲載がありました。
 
毎年の情勢などを反映し作成されている「敦賀と原子力」の令和3年度版の発行を紹介するものでしたが、その趣旨には「敦賀市では、原子力に関する知識の普及のため、広報パンフレットを作成しています。」とありました。
 

 →→→敦賀市「原子力広報パンフレット」のページはこちらから
 
脈々と継続して取組んでおられることに敬意を表するとともに、原子力立地地域のみならず、こうした広報は電力消費地でこそ展開されるべきと感じたところです。
 
くどいようですが、「不毛な二項対立議論から脱するため」には、世代を問わず、国民の皆さんに広く、日本のエネルギー事情を知ってもらうことが不可欠であり、エネルギー基本計画にもあるよう、国は真に「国民理解」に向け、本腰を入れて取り組んでいただきたいと考える次第です。

我が同志「敦賀発電所2号機」営業運転開始から今日で35年

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経験上、静かな夜は雪が降っていることが多いのですが、今朝はやはりそう。
 
カーテンを開けると一面真白、と同時に「雪起こし」かのような雷鳴まで轟きました。
 
予報通りの降雪とはいえ、福井県嶺北南部には大雪警報も出されており、公共交通機関や道路への影響ない範囲に留まることを願うところです。
 
さて、35年前の天気も今日のような雪だったのでしょうか。
 
実は、今から35年前、1987年の今日は敦賀発電所2号機(以下、敦賀2号)が営業運転を開始した日。
 
営業運転開始日を誕生日とすると、今日で35歳を迎えたことになります。
 
日本原子力発電(以下、日本原電)のホームページによれば、この敦賀2号は、「1982年3月に着工(第1回工事計画認可)、同年4月に建設工事を開始し、 当初の予定よりも工期を4ヶ月あまり短縮し、1987年2月に営業運転を開始。この発電所は、わが国最初のプレストレスト・コンクリート製格納容器を採用して耐震性の一層の向上を図るとともに、国内外の新技術を積極的に導入し、各種の設備に種々の改良・改善を加え、安全性、信頼性、環境保全の各面に優れた発電所です。」と紹介しています。
 
発電電力量合計1,923億kWhを誇る敦賀2号ですが、東日本大震災後の2011年5月7日20時00分に原子炉停止して以降、発電することなく10年の歳月が流れています。
 
この敦賀2号に関しては、法的根拠なく設置された原子力規制委員会有識者会合による「敦賀発電所敷地内破砕帯評価」を巡り、約3年に亘る対応を行った後、2015年11月には新規制基準への適合性確認審査を申請。
 
現在は、この申請に基づき、敷地内破砕帯評価も含めて、原子力規制委員会による審査が進められているものの、昨年8月には、審査の取扱いに関する今後の方針として、日本原電の評価結果の信頼性が確保されるために必要な業務プロセスの構築が確認されるまでの間は「審査会合を実施しない」ことが規制委員会の方針として示され、現在、審査再開に向けた対応がされている状況にあります。
 
自社のことだけに、経過を踏まえた受け止めをここで述べることは控えますが、私自身、入社以来このプラントとともに育ち、発電所を見れば、汗が噴き出すほどのタービン建屋で点検作業を行ったことや、メーカーの三菱重工始め、協力会社の皆さんとも様々な意見を交わしながら定期検査対応したこと、トラブルなく「一発起動」した時の達成感など、数々の思い出と携わっていただいた方々の顔が浮かんでくるところです。
 
そんな数々の思いと人々の魂が詰まった敦賀2号は、言わば「愛車」であり「同志」とも言える存在であり、「何としてでも再稼働させる」。
 
その思いに尽きる次第です。
 
再稼働に向けては、まずは審査に復帰すること、そして本来の新規制基準審査の中で、敷地内破砕帯を始めとする設計基準をクリアしていく必要がありますが、再稼働の本来目的が「低廉で安定した電力供給の一翼を担う」ことであることを忘るることなく、使命感をもってこのハードルを乗り越えていかねばと強く認識するところです。
 
現在の再エネ賦課金に加え調達燃料価格高騰に伴う国民負担の増、さらには電力需給逼迫の常態化は、もはやエネルギー安全保障の危機と言っても過言ではないと考えます。
 
敦賀2号営業運転開始から35年目の今日、我が国における原子力発電の必要性を改めて考えつつ、一日も早く戦線復帰するとの思いを関係者一同で確認する。
 
そんな日にしたいと思います。
 

【私自身、設備管理を担当させていただいた敦賀2号の蒸気タービン。あの情熱や感動とともに運転再開する日を願って。(写真は日本原電ホームページより引用)】

「革新的」の前に「既存原子力」のフル活用を

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17日に行われた岸田首相の施政方針演説では、気候変動問題を「克服すべき最大の課題」として、その対応を前面に掲げられました。
 
課題解決に向けた取り組みとしては、2050カーボンニュートラルも視野に革新原子力や核融合などの非炭素電源に触れ「方向性を見いだしていく」と述べたこと、エネルギー供給構造の変革だけでなく「産業構造、国民の暮らし、地域の在り方全般にわたる経済社会全体の大変革に取り組む」と強調したこと、水素・アンモニアの海外展開にも言及し、技術標準や国際インフラ整備をアジア各国と進める「アジア・ゼロエミッション共同体」を構築すると表明しています。
 
「将来」に向けた選択肢を総花的に挙げられたとの印象は拭えない訳ですが、「最大の課題」は足下の電力需給ひっ迫にあると考える私としては、これを回避するための現実的で具体的な取組みが述べらなかったことは、どこか問題のすり替えがされているようにも受け止めた次第です。
 
結論から申し上げれば、「革新原子力」や「核融合」を挙げたとて実用までの道のりの長さを考えれば、「既設原子力発電」をフル活用するほか、今ある「軽水炉」の技術を生かして新増設を進めなければ、経済成長を後押しする「エネルギー源」は生まれないと考えるものです。
 
施政方針演説のこの部分に対しては、私がウォッチしている範囲だけでも、複数の有識者が私と同様の考えを示している訳ですが、絵空事を言っていては世界から取り残されるということだけは申し上げておきたいと思います。
 
そのことを裏付けるよう世界の動きを見てみますと(原子力産業新聞記事を基に)、まず先進的な側面としては、今年に入ってからだけでも、カナダではダーリントン発電所内で建設するSMR(小型モジュール炉)としてGE日立社の「BWRXー300」を選定したほか、英国では政府が2030年代初頭の実証に向けた先進的原子炉プログラムにHTGR(高温ガス炉)を選択するなど、既に明確な方向として進んでいます。
 
また、既存の軽水炉に関しては、1月1日に中国福建省で建設していた福清原子力発電所6号機(PWR、115万kW)が初併入。
 
同炉は中国が知的財産権を保有する第3世代の100万kW級PWR設計「華龍一号」を採用しており、「華龍一号」の完成は福清5号機に次いで中国国内2基目、世界全体ではパキスタンのカラチ原子力発電所2号機(110万kW)を含めて3基目となるとのこと。
 

【運転を開始した福清原子力発電所6号機(原子力産業新聞より)】
 
また、エジプト初の原子力発電設備となるエルダバ発電所の建設工事を請け負ったロシアのロスアトム社は1月12日、同発電所3、4号機(各120万kWのロシア型PWR:VVER)の建設許可を、エジプト原子力発電庁が昨年12月30日付で同国の原子力規制・放射線当局に申請したことを明らかにしました。
 
エジプトでは急速な人口の増加と産業活動の活発化により、電力需要が急増しており、停電のリスクを避けつつ需要の増加に対応するため、エジプト政府は発電設備の多様化を含めた意欲的なエネルギー計画を策定。
 
CO2を排出せずに低価格な電力を供給可能なエルダバ原子力発電所は、同国のエネルギー計画の要になると見られているとのこと。
 
ここで紹介したことは、世界で起きているほんの一端に過ぎない訳ですが、国家の至上命題である、「いま」そして「将来」に亘り自国のエネルギーを低廉且つ安定的に確保していくことに必死であることがお分かりいただけるものと思います。
 
これに照らして、我が日本はどうか。
 
政治の場で発せられる言葉は「革新的」ばかりで、今ある軽水炉の技術を用いた新増設・リプレースは、あたかも「禁句」にしているかのようです。
 
これまでも自身の考えとして述べてきているよう、先の大戦に至る過程で日本が思い知ったことは今も変わっていません。
 
つまり、世界は熾烈な「エネルギー資源獲得競争」環境にあり続けるということであり、「脱炭素化」により一層激化していると認識せねばなりません。
 
こうして世界で激化する環境の中で、まずは「今ある資源(人的技術を含む)」である軽水炉を最大限活用していくと考えることを「禁句」にしていてはいけないと強く思う次第です。
 
今日から国会は施政方針演説に対する代表質問が始まります。
 
岸田首相の考える「気候変動対策」や「エネルギー政策」に対して、「現実路線」で考えを述べる政党があるのか否か。
 
「絵空事ばかりでは日本は沈む」との認識をもって、この岐路に立つ国会を注視する所存です。

高校生の取組みに感銘を受ける 〜福井県 高校生の原子力に関する意識調査2021より〜

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「若い力」が持つ可能性は無限大とは良く言いますが、その言葉の通り、最近、高校生たちの取り組みで感銘を受けたことがありました。
 
少し前の新聞にも掲載されていたのですが、日本原子力文化財団が、全国の高校・高専生がエネルギー・原子力について調査、研究した成果を報告する発表会を東京大学で開催。
 
同財団は、自らの疑問に沿った調査、研究を進めることを通じ、生徒たちに原子力、エネルギーに対する理解を深めてもらうため、高校・高専を対象とした支援事業を実施しており、毎年10校程度の活動を支援しているとのことでしたが、今回オンラインでの参加を含め、10校11チームが約半年間の活動結果を報告のうえ、審査した結果、最優秀賞を受賞したのは「福井県 高校生の原子力に関する意識調査2021」に取り組んだ福井南高等学校(福井市)でした。
 
この福井南高校は、以前に廃止措置中の日本原子力発電(株)東海発電所から発生した廃材を用いた「クリアランスベンチ」を貸与設置した経過もある訳ですが、今回は原子力問題に関心を持った同校の女子生徒3人が、同じ福井県に住んでいて、原子力発電所が立地している嶺南とそうでない嶺北とでは、原子力発電に対する意識やイメージに違いがあるとの仮説を立てたうえで、同じ高校生が原子力や高レベル放射性廃棄物の地層処分をどう捉え、どのような考えを持っているかについて率直な意見を共有したいとの思いを持って、福井県内の高校2年生を対象に大規模な意識調査を行ったもの。
 
この意識調査は、県内外の大学教授らの指導を受けながら10月にインターネットを使ってアンケート方式で行われ、37校1807人から回答を得たこともさることながら、「さまざまな立場からのコメント」として、新聞記者やジャーナリスト、原子力推進側・慎重側双方の識者など23名もの方からの寄稿を掲載しており、大変内容の濃いものとなっています。
 
アンケートでは、原子力に対するイメージは、明るい、暗い、安全、危険、必要、不要など14項目から複数選んでもらう形で尋ねたところ、「必要」「役に立つ」の合計では、嶺南68.8%、嶺北61.2%、県外46.9%となったほか、「安全」の回答率は嶺北2.8%、県外4.1%で1桁台だったのに対し、嶺南は14.0%とあり、原子力発電所との距離と相関関係が見られる結果となったとのこと。
 
また、「原子力発電所を意識した年齢」では、小学生以前と答えたのが全体では4%であるのに対し、嶺南では10%に昇ることや、「危険」のイメージを選んだ割合が80%に対し、「怖い」は0.7%と極めて低く、出身地別でみると、嶺南69.4%、嶺北82.3%、電力消費圏を中心とした県外87.8%とここでも距離との相関があることを興味深く拝見した次第です。
 
なお、意識調査の結果についての詳細は、福井南高校のホームページ「生徒たちの探求活動報告」に掲載されていますので、関心のある方は以下リンクにてご覧ください。
 
 →→→福井南高校「福井県 高校生の原子力に関する意識調査2021」はこちらから
 

【同校ホームページ掲載の「意識調査2021」表紙】
 
私はたまたま冊子版を拝見する機会があったため、「さまざまな立場からのコメント」も拝見させていただきましたが、文字通り「さまざまな角度・視点」から本アンケートに対する細かな分析や原子力や地層処分の考え、さらには高校生の皆さんへのメッセージが記載されており、大変読み応えがありました。
 
紹介したいことは沢山あるのですが、その中でも「高校生に向けたメッセージ」で特に記憶に残った2点だけ紹介させていただきます。
 
1点目は、大手民間会社の福井県担当としてお勤めの方の言葉で、「これからの社会で生きてくる力」としてあった3項目について。
◉「批判的思考力(人を非難したり否定したりする意味ではなく、なぜ?本当?と問い、情報を正しく見つけ、論理的に考える力)」
◉「協働的思考力(自分の意見と違う意見も踏まえ、なんで違うのかな?この人はどう考えたのかな?とその人の裏にある考えを踏まえて議論を前に進める力)」
◉「創造的思考力(具体と抽象を行き来しながら、目標達成への課題と解決策を考える力)」
 
2点目は、公害問題などに取り組まれ、原子力に対しては反対の立場から活動を進めて来られた福井県内の元市議会議員の方の言葉。
 
「最後に、原子力の問題に限らず、高校生の皆さんには、私も含めて他人の意見を鵜呑みにしないようお願いしたい。日頃から新聞やテレビのニュースに目を通し、自ら情報を丹念に読み込んで、自説を持っていってほしい。」
 
これらの言葉は、自分自身にとっても非常に胸に沁みるものとなりました。
 
そして最後に、何と言ってもこの難しく壮大なテーマに取り組まれた3人の高校生の思い。
 
一人は、「地球温暖化は人類共通の課題であり、関係ない人はいない。特に、人生100年時代と言われる将来を生きていく私たちにとっては大問題であり、カーボンニュートラルについて、もっと若者視点で学ぶことのできる環境が必要である。」。
 
一人は、「地域の意識差が明確に表れている結果もあれば、変わらないものもあり、私の中のモヤモヤがひとつ晴れたような気がする。この結果を多くの高校生で共有して対話のきっかけとしてもらいたい。教育で地層処分の問題に触れられる土壌をこれからも創っていきたい。」
 
そして最後の方は、「原子力の話しになると決まって福島というキーワードが出てくる。イメージだけで福島県の人はこう思っているだろうと決めつける場面はよく見てきたし、自分自身も福島の高校生と対話するまではそうだった。これも風評被害だ。周りからの情報だけで判断せず、環境やエネルギーの問題を国民一丸となって議論していく。すぐ答えが出るものではないが、議論で出てくるモヤモヤとした感覚が、この問題を考えるうえで大切だと思う。その感覚こそが『知りたい』の原動力となるのだから。」
 
この3人それぞれの取り組んだことに対する成果、それを踏まえてのご自身の受け止めを聞けば、これ以上言葉を述べること自体が野暮というものでしょう。
 
財団の成果発表会では「嶺南と嶺北の生徒の意識の差を共有し、原子力発電所を知ることで、若者が議論する土台をつくることにつながる」とも述べられたとのこと。
 
冒頭述べたよう、私自身、この高校生たちの考えや取り組みに大きな感銘を受けるとともに大いに学ばせていただいた次第です。
 
こうして客観的視点をもって論理的に考えられるということは、エネルギーの分野のみならず、国内でも不一致課題とされる憲法改正や国家安全保障の問題にも通ずると思うところであります。
 
本当に頼もしい「若い力」は、地域の、いや日本の宝であり、大切に育てていくことに私自身、少しでも力になれればと思う次第です。

東海第二は特重施設申請を許可。福島第一はALPS処理水海洋放出計画を規制委に申請。

ブログ 原子力

12月定例会は閉会したものの、何かと会議続きの昨日は敦賀市議会の広報広聴委員会。
 
と言っても委員長を努める私自身が招集している訳でありますが、委員会では、いずれも年明けに開催を予定しているオンライン放映による「令和3年度議会報告会」ならびにコロナの感染状況を見ながら、現時点では学校に訪問する予定としている「高校生との意見交換会」について、その内容や進め方などの詳細を協議した次第。
 
8名で構成される本委員会ですが、女性議員と男性議員がちょうど4名づつという、おそらく県下でもないであろうジェンダーバランス(男女比のバランス)の取れた形となっているためか、毎回、細やかな点に至るまで活発な協議が行われているものであり、昨日も白熱した議論がされました。
 
委員会終了後、あるベテラン女性議員さんとお話しすると、随分以前(20年ほど前)は、極少数の女性議員に物言わせぬ雰囲気があったものの、それに比べ現在の敦賀市議会は、性別に関わらず公平に、自由闊達な意見ができる雰囲気があると仰っていました。
 
「男女平等参画社会の実現」とは良く言いますが、本来あるべき姿は、そうしたスローガンを意識せずとも皆が行動できる社会であると考えるため、私自身、労組役員時代から取り組んできたテーマであることも踏まえ、引き続き自ら率先して行動していきたいと考えます。
 
さて、こうして会議が続く毎日となっておりますが、常に念頭にあるのはエネルギー、とりわけ原子力発電のこと。
 
情報収集する中で、ここ最近もトピックス満載であり、22日には日本原子力発電株式会社(以下、日本原電)が2019年9月24日に原子力規制員会に申請した「東海第二発電所の特定重大事故等対処施設の設置等に係る原子炉設置変更許可申請」について許可がされました。
 
この対策施設は、原子炉建屋に大型の航空機が衝突するといったテロ行為などが発生した際に、原子炉を冷却する操作などを離れた場所から行うためのもので、福島第一原子力発電所事故を踏まえて設置が義務づけられているもの。
 
今回、東海第二発電所では、特定重大事故等対処施設に係る基本方針や基本設計について許可を受けたこととなり、「沸騰水型」の原子力発電所としては初めてということになります。
 
日本原電は、東海第二発電所の更なる安全性・信頼性向上を目指し、今後、準備が整い次第、東海第二発電所の特定重大事故等対処施設に係る設計及び工事計画認可申請並びに保安規定変更認可申請を行い、これらの審査に真摯に対応するとともに、引き続き、新規制基準に基づく安全性向上対策工事を安全第一で進め、地域の皆さまへの説明を尽くしていくとしており、今後、着実に各工程を進められることを期待したいと思います。
 
また、以前より注視してきている福島第一原子力発電所の多核種除去設備(ALPS)処理水の海洋放出の件について。
 
これに関しては、東京電力ホールディングス(HD)が21日、ALPS処理水を処分する施設の計画を原子力規制委員会に申請したと発表しました。
 
政府が4月に示した基本方針のスケジュールに沿えば、2023年春にも海洋への放出を開始することになっており、規制委員会の認可を経て、22年6月頃に現地で設備の据え付け・組み立てに着手し、23年4月中旬頃の設備設置と使用前検査の完了を目指すとしています。
 
原子力規制委員会は22日の定例会合で、東京電力が審査を申請した福島第一原子力発電所の処理水海洋放出計画について、今後、週1回程度のペースで公開会合を開き、審査を進めることを確認し、本日24日に初会合を開くとのこと。
 
計画では、処理水を海水で薄め、含まれる放射性物質トリチウムの濃度を国の基準値の40分の1未満にして、海底トンネルを通して原発の沖合約1キロで放出するとしており、審査においては、処理水を海水で薄める方法、十分に薄められないなど異常が発生した際の放出停止方法、地震や津波対策などが論点となる模様。
 
申請は当初めざした今年9月頃から約3ヶ月遅れたものの、東電HDは23年春頃とする放出開始目標に変更はないとしており、今後は審査並びに工事を順調に進め、予定通りの海洋放出実施を期待するものであります。
 
こうして国内の原子力発電においては様々な動きがあるものの、足下の電力需給に目を移すと、今冬の極めて厳しい需給ひっ迫に加え、昨日行われた電力広域的運営推進機関の有識者会合では、2022年度夏季に複数エリアで安定供給に最低限必要な予備率3%を下回る可能性があるとの見通しが示されたとのこと。
 
毎年叫ばれる需給ひっ迫から脱するための一番の方策は、確立した脱炭素電源である原子力発電のベースロード比率を高めることにあることは、誰が考えても明らかであることから、そうしたことも踏まえつつ、とにかく安全第一で着実に進むことを願うばかりです。
 
いま欧州で起きていることを反面教師とすれば、日本が選択すべき道も明らかであることから、この点はまた説明させていただきたく存じます。
 

【12月定例会初日に故障した本会議場空調機。そのピンチを救ったのはこの灯油ストーブたちでした。火力や原子力発電ではありませんが、やはりいざという時に役に立つのは実績のある器具であることを痛感。そして感謝です。】

同じ島国の英国では「高温ガス炉」を選択

ブログ 原子力

昨日から始まった一般質問には7名の議員が登壇され、様々な視点から理事者との議論が交わされました。
 
自身も関心の高いエネルギー政策やまちづくりの方向性を始め、コロナワクチン接種や中心市街地活性化、ふるさと納税などに関し、各議員の質問からは多くのことを吸収させていただき、毎度のことながら大変有意義な時間となった次第。
 
また、複数の議員より、今回の質問が現庁舎で最後になることを踏まえた「お礼と感謝」の言葉もあり、皆さんそれぞれ議員活動の中で感慨深い思いで質問席に立たれているのだと感じました。
 
そうした思いを感じながら、本日は私も出番となります。
 
質問順9番の私の登壇予定は、本日2番目、11時過ぎあたりになろうかと思いますので、お時間許す方は是非ご視聴などいただければ嬉しく思います。
 
さて、今日の質問とも少し関係するのですが、世界のエネルギー政策に関する動きに関し、日本と同じ島国の英国で2030年代初頭の実証を目指して建設する先進的モジュール式原子炉技術として、高温ガス炉(HTGR)を選択したことを明らかにしたとの報道がありました。
 
これは、英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)のG.ハンズ・エネルギー担当相が12月2日に明らかにしたもので、英国が2050年までにCO2排出量の実質ゼロ化を目指すにあたり、政府がHTGRを最も好ましい技術と認識していることを示したもの。
 
ハンズ大臣の今回の発表は、英国原子力産業協会の年次大会で述べられており、「得られたコメントを評価した上で、HTGRに重点的に取り組む判断を下した」と説明したうえでBEISの幅広い活動の一環として、今後もすべてのAMR開発を継続的に支援していく方針であるとし、将来的な可能性を秘めた先進的原子炉技術の実現に向け、原子燃料の強力なサプライチェーンを国内で構築・維持するための予算7,500万ポンド(約110億円)を確保したと述べました。
 
また同大臣は、「CO2の排出量を実質ゼロ化するには原子力が必要だ」と明言しており、近年はとりわけ、天然ガス価格の世界的な乱高下により、エネルギーミックスの多様化に向けた勢いが加速していることを踏まえ、エネルギーの自給を確実なものにするためにも、原子力など英国内の一層強力なエネルギーシステムに投資する推進力が増していると指摘しています。
 
同大臣によると、英国では1990年以降、CO2排出量の44%削減を達成するなど、実質ゼロ化に向けた取り組みが驚くほど進展したものの、今後30年の間はこのペースをさらに上げ、2035年までに発電部門を確実に脱炭素化する必要があるとし、そのためには低炭素なエネルギー技術を広範囲に取り入れること、新たな原子力発電設備については特に、大規模かつ迅速に開発していかねばならないとの考えのもと、再生可能エネルギー等のポテンシャルを全面的に活用するのに加えて、風が吹かなくても太陽が照らなくても、低炭素な電力を安定的かつ確実に供給可能な原子力が必要だと同大臣は訴えています。
 

【日本原子力研究開発機構が研究を進める「高温ガス炉(HTTR)」の概念図(同機構大洗研究所ホームページより引用)】
 
カーボンニュートラルをめざす欧米では、その実現に向けて「あらゆる脱炭素オプションを総動員している」状況は以前から把握していたところですが、この英国の政策がまさにそのことを示すものと痛感した次第です。
 
先日、カナダの小型モジュール炉開発についてもご紹介しましたが、脱炭素化に向けた世界の流れは「原子力の利用」に舵を切っています
 
というより、元々、CO2排出がなく、経済性にも優れる原子力発電のメリットが再認識されてきたというのが正しい表現なのかもしれませんが、いずれにしても、こうした合理的且つ現実的に目標を達成していくための政策を明確に示すことは、同じ島国で尚且つ資源小国の日本こそ大いに見習うべきことと強く思うところであります。
 
本日の一般質問では、「再生可能エネルギーと地域共生」をテーマに取り上げている訳ですが、最後となる現庁舎と同様、半世紀に亘り「原子力と共生」してきた敦賀に思いを馳せつつ、自身の考えるエネルギー政策についても触れていければと思います。

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