エネルギー危機を眼前にして何故「限定的」にするのか

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以前より、議会運営員会にて検討を進めている敦賀市議会の「業務継続計画(BCP)」。
 
昨日午後も委員会が開催され、素案を元に協議を行いましたが、本BCPが対象とする災害が発生した際の「議員の基本的役割」の部分で委員間の認識が一致せず、かなりの時間を掛けて議論となりました。
 
結果、文言修正により「双方納得する方向」が得られましたが、委員各位のBCPに対する視点や捉え方をまとめるには熟議が必要と、改めて勉強になった次第です。
 
自然災害などが発生した際に、いかに議会の機能を維持するか、また市の災害対応が円滑に進むよう、例えば被災状況・情報を議会側で一本化することなどの取り決めを策定する議会BCP。
 
行政視察で得た知見を最大限生かすことも念頭に、引き続き、より良い計画となるよう積極的に意見していきたいと思います。
 
さて、前述の「双方納得する方向」ですが、またこうなるのかと感じることが昨日の新聞にありました。
 
年末に政府が決定した「GX実現に向けた基本方針」ですが、原子力発電所の次世代革新炉への建て替え(リプレース)について、「まずは廃止決定した炉の建て替えを対象とする」としていたものを「廃止を決定した原子力発電所の敷地内に限る」よう条件を明確化するとのこと。
 
当初の方針よりも限定的な見直しになる訳ですが、公明党で「地元から強い要望があり、安全性が向上する場合に限り、例外的に考えるべき」との意見があるよう、与党内の原子力慎重派に配慮した形との見方がされています。
 
以前に公明党からは、対象となる具体的な地点として「敦賀や美浜」の名前が挙がっており、まさにそのことを示すものと受け止めるところです。
 
一方、そもそも「次世代革新炉とは何ぞや」(とりわけ「次世代軽水炉」のことを指す)ということが明確になっていない中で、建て替えの物理的条件だけを限定的にしていくのはいかがなものかとも思う次第ですが、これが「双方納得する方向」、いわゆる「落とし所」なのでしょうか。
 
エネルギー安全保障の観点において、脱炭素電源による「安定した」電力供給力を高めることが、いまの我が国にとって必要不可欠であることは明白ですが、こうして先に立地点を絞り込んでしまって大丈夫なのか。
 
私は甚だ疑問であり、エネルギー危機を眼前にしても「空気」で決まるかのこの見直しに違和感しかありません。
 
なお、話題に挙がる敦賀3,4号機は、2004年3月に原子炉設置変更許可申請を行なった「申請済」プラントであることに加え、もちろん敷地内であること、今後策定されるであろう次世代革新炉の規制基準を踏まえつつ、現設計の改良型加圧水炉(APWR)の安全性をさらに高めることによって、当然リプレースの対象になるものと、「私の中では」確信するところです。
 

【防波堤・護岸及び埋立地の状況<埋立地全景>(2022年12月21日 撮影)ー日本原電HPより引用ー】

【原子炉背後法面の状況 (2022年12月21日 撮影)ー日本原電HPより引用ー】

韓国のNGO団体が福島第一原子力発電所を視察

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「科学が風評に負けるのは国辱だ」と言ったのは故石原慎太郎氏。
 
今や懐かしい東京都の築地市場から豊洲市場への移転問題を巡っての発言でしたが、これと同義の「科学が風評に負けてはならない」との言葉は、とりわけ福島第一原子力発電所事故以降に同発電所敷地内に貯留するALPS処理水の海洋放出を巡り、吉村大阪府知事や松井前大阪市長が、科学的根拠や事実に基づいて判断することの重要性を世に問うたもの。
 
とかく本件に関する「風評」については、国内はもとより、周辺国からも揶揄する声が飛び交ってきた訳ですが、その中でも酷いと感じたのはお隣韓国の前政権による福島第一原子力発電所の敷地に保管された汚染処理水は放出してはならない危険物質」という主張。
 
原子力発電所から出るトリチウム水については、韓国を含む世界の発電所が同様に希釈して海洋放出しているほか、福島第一においては多核種除去設備(ALPS)で処理された「処理済水」であるのに対し、これを「汚染処理水」と称すること自体、「風評の流布」と感じるところですが、この前政権の主張は、まだ多くの韓国人の脳裏に強く残っているのだそう。
 
そうした中、26日付の原子力産業新聞に、韓国のNGO団体「The Fact and Science」が12月13日、福島第一原子力発電所を訪れ、廃炉作業の進捗やALPS処理水の放出に向けた準備状況などを視察したとの記事がありました。
 
同団体は、「事実と科学に基づく合理的な問題解決を通じた先進的な社会構築」を目指し、2018年に韓国内で設立されたネットワークであり、処理水がどのように管理されているか直接確認し、正確な情報を韓国政府、国会議員、韓国国民に伝えることを目的に、同団体ディレクターのパク・ギチョル氏(元韓国水力・原子力会社〈KHNP〉副社長)ら7名が福島第一原子力発電所を訪れたとのこと。
 
一行は、1〜4号機全景の他、原子炉建屋内の冷却に伴い発生する汚染水を浄化処理するALPS、ALPS処理水の海洋放出に係る設備の建設現場、測定・確認用タンクエリア、環境モニタリングの一環として行う海洋生物飼育試験の施設などを視察。
 

【敷地内のタンク群を視察するご一行(東京電力ホームページより引用)】
 
視察後、「ALPS処理水の海洋放出については、まずは地元の方々の理解を得なければならない。大変なことだが、信頼を得られるよう願っている」とコメントしたほか、現場を訪れた所感として、「数千人もの人員が復旧のために黙々と働く姿はとても感動的だった」と述べました。
 
そのうえで、ALPSで取り除くことのできないトリチウムに関し、韓国他、多くの国の原子力施設で排出されている事実に触れた上で、「韓国では海洋放出に反対する人々がまだ大勢いる。福島第一原子力発電所に対する歪んだ情報を正し、事実と科学に基づき原子力発電と放射能に対する誤解と恐怖を払拭していきたい」と意気込みを語りました。
 
こうした行動を大いに歓迎するところですが、既に視察のIAEA始め、国外からのレビューにより、安全で適切な処理方法であることの証明が重ねられ、より一層「科学的根拠」に基づく理解が進むよう期待する次第です。
 
なお、国内においては経済産業省が本格的な理解活動を開始し、「みんなで知ろう。考えよう。ALPS処理水のこと。」と題したインターネットサイトやテレビコマーシャルの放映を行っています。
 
とかく、日本は大事なことまで「空気」で決まる風潮がありますが、このALPS処理水のことを契機に、自分たち自身で「科学的」に思考することにつながれば、放射線も「正しく怖がる」、さらにその先には、「原子力か再エネか」といった不毛な二項対立議論とも決別できるのではと考えるところです。
 
考えが飛躍し過ぎかもしれませんが、皆様方におかれましても、まずは以下のリンクより「ALPS処理水」のことについて再確認いただければ幸いです。
 
→みんなで知ろう。考えよう。ALPS処理水のこと(経済産業省サイト)

レールと原子力でつながる嶺南地域

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敦賀から東舞鶴までを結ぶJR小浜線。
 
その歴史を振り返ると、大正6年12月15日に敦賀〜十村間が開業して以降、小浜、若狭高浜と順次西へとレールをつなぎ、新舞鶴(現東舞鶴)まで全線開業したのは大正11年12月20日。
 
全線開業からちょうど100周年にあたる今年は、様々なイベントが開催されてきているところですが、12月20日に向け、いよいよカウントダウンの時期に入ったところ。
 
一昨日からご一緒した若狭原電紀行の皆さんと別れ、昨朝は高浜和田駅から敦賀まで小浜線を利用することとなり、100年の歴史を思いながら、ゆったり1時間半、若狭の海や田園風景、うっすら雪化粧の山々と車窓からの眺めを楽しんだ次第。
 

【乗車したJR小浜線の若狭和田駅。青葉山も美しく見えました。】
 
青空広がる土曜日とあってか、車内は高校生からお年寄りの方まで、車内は各年代層で賑わいがあった訳ですが、終着駅の敦賀で一気に降りる姿を見るに、改めてここ敦賀は交通の結節点であることを認識するとともに、1年4ヶ月後には、乗り換える電車も特急から新幹線へと、同じ時間でも移動範囲が広がることはやはり、期待や可能性が広がるものと感じたところです。
 

【敦賀駅前立体駐車場からの眺め。北陸新幹線敦賀駅の外壁工事の足場はほぼ取り外されていました。】
 
そんな昨日は夕刻、サンピア敦賀にて開催された「関電労組若狭地区本部支部役員セミナー」に、北川博規・福井県議会議員、小幡憲仁・高浜町議会議員(現議長)とともに活動報告の機会をいただきました。
 
私からは、日頃のご支援に加え、電力安定供給を担う若狭の各原子力職場の皆さんに対し感謝の気持ちをお伝えしたうえで、引き続き、現場の思いを胸に取り組むことをお約束しました。
 
その後の質疑の場においては、3名の議員に対し、積極的にご質問もいただき、それぞれより考えをお返しした次第です。
 


【支部役員セミナーでの活動報告の様子】
 
ちょうど朝は鉄道で、夕方は原子力の両インフラ産業でつながる嶺南地域を感じ、どこか感慨深い気持ちとなりましたが、一世紀のJR、約半世紀の原子力発電、それぞれの歴史は極めて重いもの。
 
私たち世代は、レールと電力供給を守ってこられた先人の気概と努力のうえに立って今があるとの認識を強く持って、感謝と敬意を忘るることなく、これから先も、この歴史をつないでいかねばなりません。

「若狭原電紀行」の皆さんと嶺南地域の原子力施設を巡る

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政府は、今回成立した改正感染症法の付則に、新型コロナウイルス感染症の同法上の分類について、見直しを「速やかに検討する」と明記しました。
 
現在は結核などと同じ「2類」相当として強い感染症対策を取っていますが、季節性インフルエンザと同じ「5類」への緩和も視野に、見直しの議論を本格化させるとのこと。
 
これまで、高齢者らの致死率や重症化率が高かったことなどから、分類変更に慎重な姿勢をとってきましたが、主流のオミクロン株の致死率低下が顕著になっていることやワクチン接種も進み、11月には塩野義製薬の国産初の飲み薬「ゾコーバ」が緊急承認されたこと、インフルエンザとの同時流行対策に一定の目処が立ちつつあることを背景とした考えであり、科学的データに基づいた判断がされるよう期待する次第です。
 
さて、議会が休会の昨日はお休みをいただき、若狭原電紀行の皆さんと福井県嶺南地域の原子力施設を訪問。
 
若狭原電紀行とは、名古屋芸術大学の井上リサ先生が発起人となり、東日本大震災以降、被災地の支援を目的に、南相馬市を始め東北への訪問を続けるなか、風評被害によって全国の原子力立地地域も影響を受けていることに対し何かできないかと、原子力施設の視察はもとより、ご当地の食や人とつながる、いわゆる着地型観光を続けておられる有志の集まり。
 
私は、Twitterで井上先生と知り合い、今回3年ぶりとなる若狭を巡るツアーにお声掛けいただき、ちょうど議会も休会となる昨日のみ参加させていただいた次第。
 
集まったメンバーは私を入れて7名。
 
先生を始め、電力や原子力に携わる地元企業の方、ライターの方など様々でしたが、私以外の皆さんは既に面識があるということで、仲間に入れてもらう形でツアーをスタート。
 
最初の訪問先は、私のほうでツアーに組み込んでいただいた、日本原電が運営する美浜原子力緊急事態支援センター。
 
福島第一のような原子力災害発生時に備え、緊急支援を行う組織ですが、同センターの役割など机上説明いただいた後、遠隔で操作するロボットや重機、ドローン、実際にオペレーションする様子などを拝見しました。
 

【緊急時に出動する車両が並ぶ美浜原子力緊急事態支援センター】
 
その後は、日本原子力研究開発機構もんじゅにて、「ふげん」及び「もんじゅ」のこれまでの経過に加え、現在進める廃止措置の状況説明をいただくとともに、VR(バーチャルリアリティ)での建屋内見学、ナトリウム取扱棟では燃焼実験などを拝見。
 
幾度か訪れた「もんじゅ」ですが、米テラパワー社との技術協力や国内でも高速炉開発の動きがあるなか、こうして廃止措置に進むことを改めて無念に思うところでしたが、今さら嘆いても無駄であり、今後は「もんじゅ」に蓄積された技術と経験が国内で大いに生かされるよう、私自身も取り組まねばと認識を深めた次第です。
 
説明会場を出発した後は、敦賀市白木地区に立ち寄って「もんじゅ」を、美浜町丹生地区からは関西電力美浜発電所をそれぞれ望み、おおい町の「うみんぴあ」、宿泊する高浜町和田へと工程を進めました。
 

【久々に立ち寄った白木の浜から眺める高速増殖炉「もんじゅ」。昨日はまさに「冬の日本海」でした。】

【丹生地区からの美浜発電所(一番右が運転中の3号機)。数キロしか離れていないのに、内海のこちらは「凪」。】
 
コロナ対策に関しては、各人が1週間前からの体温計測、ワクチン接種の確認などを行い参加していますが、宿泊した民宿でも再度、それらを確認したうえで、一人ひとり距離を取り、マスク会食を徹底しての夕食懇談。
 
医学史、医療人類学を専門とする発起人の先生曰く、ウィズコロナ禍でも安心して観光できるスタイルを実践するとのことであり、私自身もそのことを体感した次第。
 
と言いつつ私は所用のため、朝食の後、ツアーから離脱させていただきますが、ご一行は本日、関西電力大飯発電所やおおい町魚連でのワークショップ(干物づくり)などに向かわれるとのこと。
 
コロナ対策を徹底している理由にはもちろん、原子力発電所に入構することがある訳ですが、日曜日まで続くこのツアーがより実のあるものとなりますようご祈念申し上げるところです。
 
たった一日でしたが、メンバーの方とエネルギーや原子力発電のことを語るなかで、大いに元気をいただきましたので、今回知り合えた皆様と連携のもと、私自身その期待に応えられるよう取り組んでいきたいと思います。

気候変動対策のアンサング・ヒーロー(影のヒーロー)は長期運転だ  

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ここ数日は敦賀市議会の活動報告が続きましたが、本日は、同時並行的に情報収集している原子力の話題。
 
これまで何度も触れてきている通り、8月の「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」での岸田首相の検討指示を受け、国の様々な検討体では、それぞれの課題に対する議論が進められてきているところ。
 
このうち、14日に開催された「産業構造審議会 産業技術環境分科会 グリーントランスフォーメーション推進小委員会/総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会 2050年カーボンニュートラルを見据えた次世代エネルギー需給構造検討小委員会 合同会合」と、とてつもなく長い名称の会合では、白石座長(熊本県立大学 理事長)より、「エネルギー政策というのは、S+3Eという4つの柱からなっている訳だが、この4つの柱の各々の中にはプライオリティ(優先順位)がある。CO2の削減それからカーボンニュートラルの実現ということと、安全・安心を重視して、原子力発電所については、その使用を少しずつ減らしていくという菅(すが)政権以来の政策、この両立が歴然と不可能になっている。そういう中で、岸田政権の下、私としてはあるべき政策がやっと採用されたということは、非常に喜ばしいと考えている。」との発言があったところ。
 
また、9月にエネルギー供給体制の見直しに向け検討を開始した、経済産業省の「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会」では、15日の会合で原子力政策について議論。
 
会議では、資源エネルギー庁が同調査会下の原子力小委員会における検討状況を、
・再稼働への関係者の総力結集
・運転期間延長など、既設原子力発電所の最大限活用
・次世代革新炉の開発・建設
・再処理・廃炉・最終処分のプロセス加速化
・国際連携の推進
の論点ごとに整理し説明した後、各委員より意見が述べられましたが、委員の杉本達治氏(福井県知事)は、運転期間延長に対し、「立地地域としては安全が最優先」、「事業者が安全対策に十分な投資を図れる制度設計を合わせて検討していくべき」と要望があったほか、原子力小委員会の委員長を務める山口彰氏(原子力安全研究協会理事)からは、今後の議論に向け、「様々な問題が絡み合った連立方程式を解くようなもの。原子力ワンイシューの中で二者択一的に対立するのではなく、様々な論点を合わせて解を求めていくべき」との意見がありました。
 
岸田首相が指示した検討期間は「年内」としているため、今後、各検討体においては取りまとめに入っていくのかと思いますが、敦賀市議会始め、嶺南の原子力立地自治体議会が提出した意見書にもある通り、「新増設等を含めた、原子力政策の明確化」を示していただきたいと強く望む次第です。
 
さて、これら論点のひとつである「運転期間延長」に着目しますと、米国のコンステレーション・エナジー社では、イリノイ州内で保有するクリントン原子力発電所(BWR、109.8万kW)とドレスデン原子力発電所(2、3号機、各BWR、91.2万kW)の運転期間を、それぞれ20年延長する方針を表明したとの報道がありました。
 
過去10年間の平均稼働率は93%~95%をマークしており、最も信頼性の高い電源である点を強調したうえでの判断とのことですが、米原子力規制委員会(NRC)への申請は、ともに2024年を予定しているとのこと。
 

【何とも美しきクリントン原子力発電所(原子力産業新聞より引用)】
 
ちなみに、米国の運転期間延長に対する規制は、
・運転期間は40年。
・規制当局の安全審査をクリアすれば、20年の延長が可能。
・回数制限無し。

となっており、現在運転中92基のうち、50基が40年超運転、これまでにNRCによる60年延長認可を取得した原子炉は94基で、うち80年延長認可を取得したものは6基の実績となっています。
 
クリントン発電所は2027年4月に40年目を迎えるため、初回となる今回の運転期間延長申請がNRCに認められれば2047年まで運転継続が可能。
 
一方のドレスデン2、3号機では既に初回の延長が認められており、現在の運転認可は2029年と2031年まで有効としたうえで。2回目の運転期間延長により、両プラントは2049年と2051年までそれぞれ80年間運転を継続できることになります。
 
また、先の基本政策分科会での杉本委員発言と通ずる「制度設計」に関しては、同州では、2021年9月にエネルギー部門と輸送部門の段階的な脱炭素化を目指し、クリーンエネルギー関係産業における雇用の創出促進を定めた「気候変動・雇用機会均等法」を成立させたほか、連邦政府レベルでは今年8月、原子力発電所に対する税制優遇措置を盛り込んだ「インフレ抑制法(IRA)」が成立し、現にコンステレーション社は、運転延長を決めた理由について、「環境影響面と経済面における原子力の価値を認める法律が州政府と連邦政府の両方で成立したため」と説明しています。
 
世界に目を向けると、いわゆる脱炭素に向けた実効的な取り組みとしての原子力発電所の長期運転、さらにはこうした支援措置により、州(あるいは国)の姿勢が明確にされていることを、我が国でも強く認識しておく必要があるのだと思います。
 
結びに、現在エジプトで開催されている国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)で行われた国際原子力機関(IAEA)のグロッシー事務局長とブルームバーグのエネルギー担当編集主幹ウィリアム・ケネディ氏との対話セッションにおいて、1970年代に運転を開始したプラントが50年を迎えつつあることから、その高経年化について問われたグロッシー事務局長はこのように断言しています。
 
「気候変動対策のアンサング・ヒーロー(影のヒーロー)は長期運転だ」
 
また、長期運転にかかるバックフィット等のコストは初期コストの半分以下であり、50年どころか80年近く経過しながらも安全なプラントもあることに言及し、「私は100年の運転も可能と考えている」と強調したとあります。
 
この発言が新聞やテレビで報じられることは、まず無いかと思いますが、国際的な視点や感覚を正しく伝えることも私の役割と思い紹介いたしました。
 
電力需給逼迫に電気料金高騰など、エネルギー危機に直面する我が国において、原子力政策で政治の駆け引きをしている場合ではありません。
 
野球で言えば、3ボール2ストライク。
 
見せ球を投げている場合ではないいま、真に現実的な政策を、まっすぐストレート勝負で国民に示すべきと考えるのは私だけでしょうか。

廃止措置ビジネスも「誇り」をもって進むべし

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写真は、11月2日(水)・3日(木・祝)で開催された文部科学省主催の「つるが国際シンポジウム2022」に出展していた日本原子力発電株式会社(以下、日本原電)のブース。
 
ご紹介したいのは「私」ではなく、私が腰掛けている「クリアランスベンチ」です。
 
まず、「クリアランス」とは簡単に言えば、廃止措置などに移行した原子力施設から出る金属製などの廃棄物のうち、極めて放射能レベルが低く、人への影響が無視できる「放射性物質として扱う必要のないもの」について、法令等で規定された手続きに基づき、資源としてリサイクル可能な有価物(スクラップ金属等)や一般の廃棄物として取り扱えるようにすること。
 
このベンチの脚部は、日本原電東海発電所(1998年に運転を停止)の解体工事で発生した廃棄物のうち、クリアランス制度を経てリサイクルした鉄を用い製作されたものであることから「クリアランスベンチ」と呼んでいます。
 
前置きが長くなりましたが、今回のシンポジウムのサブタイトルは「~原子力発電所の廃止措置から芽生えるビジネスと豊かな暮らしを楽しむまちづくり~」であり、まさに、このクリアランス物の再利用拡大を始め、廃止措置ビジネスを通じた地域振興をテーマとしたもの。
 
私が参加した3日は、「福井県・嶺南地域の地元自治体の取組み」に関する紹介講演(敦賀市企画政策部も登壇)、「国内外の廃止措置ビジネスの課題と展望」や「豊かな暮らしを楽しむまちづくり」などのテーマについて、原子力業界や地元の方々、高校生が参加してのパネルディスカッション等が行われました。
 

【会場は福井県若狭湾エネルギー研究センター】
 
それぞれ拝聴する中から、私にとって多くの学びと気づきがありましたが、すべては書き切れませんので、印象に残ったことをふたつだけご紹介します。
 
ひとつ目は、福井南高校の女子生徒の言葉。
 
福井南高校といえば、2021年4月21日に日本原電よりクリアランスベンチの貸与を受け、その際「ベンチ設置は,原子力にまつわる議論がより身近に感じられ,対話の輪が一層広がるきっかけになると思います」と生徒代表が述べるなど、現在もなお関心高く、原子力発電をテーマに探求学習されている学校。
 
パネルディスカッションであった彼女の言葉は、「原子力のことを誇りに思うことが大事。そう思う人が少ないからクリアランスのことも知らない。(原子力が)福井県の自慢にならない限り、福井県の子ども達に広がっていくのは難しい」とあったうえで、「大人みたいなアプローチはできないが、高校生以下の子ども達にどう伝えるかを考え活動していきたい」とあり、真剣に取り組んでいるからこそのご意見と受け止めた次第。
 
また、同じくパネルディスカッションで、廃止措置ビジネスの「福井モデルへのご示唆」を問われた米国原子力廃止措置共同体事務局長のジェームスA.ハミルトン,P.Eは、明確に以下の点をアドバイス。
 
①長期、短期の目標を明確にすること。
②クリアランスはステップのひとつに過ぎないとの意識を持つこと。
③コンセプトの設定、規則も実務者で協議すること。
④ステークホルダーとのエンゲージメント。金属業界とも議論し、原子力の金属は優良であることを意識してもらうこと。
⑤まずはやりやすい部分から始めて、成功を重ねていくこと。
⑥誇りを持つこと。続けていけば注目され、信頼される。
 
既に実績を挙げている方の言葉は重みと説得力がありましたが、ここでも最後に「誇り」の言葉が出てきたことが印象に残りました。
 
これに、ご示唆を仰いだ県の嶺南Eコースト計画室室長は「全国初の取り組みであり、気概を持って取り組んでいく」とありましたが、まさにこの福井県嶺南地域で国、県、立地自治体が連携のもと進める「廃止措置ビジネス」をポジティブに捉え、住民の皆さんのご理解のもと前進させるべきと考える次第。
 
とりわけ、今後「西日本の原子力研究拠点」に位置づけられ、既に敦賀発電所1号機、ふげん、もんじゅと炉型の異なるプラントが廃止措置に移行している敦賀は、半世紀を経て、再びトップランナーとして新たな原子力の道を切り拓く役割があるのかと思うところ。
 
奇しくも先の9月定例会では、これに関連した和泉明議員の一般質問に対し、渕上市長は「あまり好ましくない施設」との答弁がありました。
 
クリアランス制度が担保する安全性などを鑑みれば、私には答弁の意図が分かり兼ねるものでしたが、首長のリーダーシップと手腕は今後どう発揮されるのか。
 
前述のとおり、沸騰水型、新型転換炉、高速増殖炉、この先は加圧水型と、これだけ異なる炉型を取り扱うとすれば、それこそ「世界初」のことと認識する次第であり、私自身は「誇り」と「ポジティブマインド」のもと、言動は厳に慎重せねばと肝に銘じつつ、今後の敦賀市の動向に「超」注視するものであります。

美浜発電所での事故想定のもと「原子力総合防災訓練」を実施

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4日から行われている令和4年度原子力総合防災訓練。
 
関西電力美浜発電所3号機において、嶺南地方を震源とした地震による外部電源喪失後、原子炉冷却材の漏えいが発生、さらに設備故障により非常用炉心冷却装置による原子炉への全ての注水が不可能となり、全面緊急事態となるとの訓練想定事故のもと、参加機関約150、約3,100人、参加住民約5,750人(広域避難訓練約750人、屋内退避訓練約5,000人)が参加するという大規模なもの。
 
2日目の昨日は、政府の原子力災害対策本部会議などと連携した本部会議の運営訓練やドローンを活用した緊急搬送、敦賀市では実際に、PAZ圏の白木地区住民の皆さんを海上保安庁のヘリなどにて搬送する訓練が行われましたが、直接参加していない私のスマホにも敦賀市防災情報メール(トンボメール)や原子力規制委員会からの訓練メールが頻繁に届き、臨場感を感じたところ
 

【安定ヨウ素剤に見立てた包みを運ぶドローン。奥に見えるのは関西電力美浜発電所。(産経ニュースより引用)】
 
最終日の今日は、UPZ圏避難で、各市町においてはそれぞれの避難先に向かうこととなっていますが、敦賀市は奈良県天理市まで。
 
途中、北陸自動車道の賤ヶ岳サービスエリア(上り線)では、スクリーニング・除染訓練も行われるとのことであり、これら含め、関係者の皆さまの対応に敬意を表するとともに、避難受入先の自治体の皆さまには感謝申し上げる次第です。
 
なお、原子力事業者においてはもちろん、こうした重大事故を万が一にでも起こさない覚悟で安全向上対策を進めてきているところですが、「安全にゴールなし」。
 
最新の知見やプラントごとの特性を踏まえ、「原子力安全を追求」する姿勢を常に念頭に置き、関係者の皆さんとともに引き続き取り組まねばと肝に銘ずる次第です。

「“高経年化”した原子力発電プラントに関する安全規制の検討」について

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運転年数が経過した原子力や火力などの発電所に対して用いられる「老朽化」の言葉。
 
「老朽◯○」」と呼ぶことで、どこか古くて危ないものと印象操作しているのではと受け止めるものであり、私は一度も使ったことがないところ。
 
ではどう呼ぶのかといえば、状態を正しく表す言葉としては「高経年化」であり、原子力の分野では以前からこう呼んできています。
 
現に原子力発電所では、運転開始から30年を迎える際、以降も10年ごとに実施している評価は「高経年化技術評価」であり、私も敦賀発電所1号機の評価に携わったことがある訳ですが、皆様におかれても、「原発」ではなく「原子力発電」と同様、「老朽」ではなく「高経年」と使用していただければ幸いです。
 
さて、私のこだわりを冒頭述べさせていただきましたが、これにつながるのが「原子力発電所の長期運転」に関すること。
 
これに関しては、8月末のGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議において、運転期間の延長が「原子力政策の今後の進め方」の中で課題の一つに挙げられたことを踏まえ、現在、総合資源エネルギー調査会で検討が進められていることに加え、原子力規制委員会も今後、60年を超えて運転する可能性も見据え、規制側として制度設計の準備を進めるもの。
 
既に報道されているとおり、原子力規制委員会は11月2日の定例会合で、「高経年化した原子力発電プラントに関する安全規制の検討」に向け、現行の運転期間延長認可と高経年化技術評価の2者を統合する新たな制度案を示しました。
 
新たな制度案では、運転開始から30年以降、10年を超えない期間ごとに、安全上重要な機器の劣化状況を把握し経年劣化に関する技術的評価を行うとともに、その評価結果に基づいて施設の劣化を管理する「長期施設管理計画」を策定することを事業者に対し義務付ける。
 
同計画の認可を受けずに運転した場合は設置許可取り消しもあり得るというもの。
 
なお、運転期間の上限については言及していません。
 
福島第一原子力発電所事故後に、科学的根拠なく決められた「40年ルール」(表の左欄)と前述の「高経年化技術評価」(中欄)、そして現在「検討中の案」(右欄)が比較できる表がありましたので以下に示します。
 

【11月2日 原子力規制委員会資料より抜粋】
 
簡単に申せば、運転期間の上限を設けず、30年を超えて以降、定期的に技術的評価をしながら使用するということであり、置き換えてみれば、人間の身体と同じことかと。
 
また、別の視点では、最大でも60年運転という「40年ルール」では、安全向上対策のための機器の取り替えや修繕など設備投資した分を費用回収できるのかというのがネックになる部分があったかと思いますが、上限を設けないことでより予見性が高まり、事業者の経営面からも見通しと計画性をもった対応ができるものと認識する次第です。
 
GX実行会議において、岸田総理が求める検討の期限は「年内」。
 
原子力規制委員会の山中伸介委員長も、2日の会合終了後の記者会見で、制度の大枠については年内に固める考えを述べたとのことですが、上記の案どおりで進むのか、今後も注視するところです。

原子力発電所立地地域の課題と「つるが国際シンポジウム2022」

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昨日は、同じ原電労組組織内議員の寺門定範・東海村議会議員が来敦。
 
お昼休みの時間帯、敦賀発電所にて村政報告会が開催されました。
 
東海村議会では現在、再稼働を目指し安全向上対策工事を進める日本原電の東海第二発電所について、賛成の立場、反対の立場それぞれ2件の請願が提出されており、閉会中も慎重に審査を進めているとのこと。
 
審査にあたっては、原子力問題調査特別委員会にて、東海第二発電所の状況視察を行ったうえで、エネルギー政策、新規制基準、放射性廃棄物に加え、広域避難など4項目について、こちらもまた推進派・慎重派それぞれの立場の有識者を招いての調査・研究を続けているとのことであり、全てのヒヤリングを終えたうえで、その後の定例会(時期は未定)で判断することになるとの状況を伺いました。
 
ここでの判断が、いわゆる議会としての「再稼働判断」ということになろうかと思いますが、こうしてあらゆる角度から、公平・公正に審査する姿勢は勉強になったところ。
 
東海第二発電所再稼働に向けたひとつの大きな課題が、周辺自治体を含めた広域避難計画の策定とあるよう、原子力発電所立地地域では、置かれた環境によって様々な課題があることも改めて痛感した次第です。
 
私と同じ立場で、東海村の地で奮闘されている寺門議員に対しては、今後益々のご活躍をと言葉をお掛けし、敦賀駅でお見送りした次第です。
 
なお、敦賀から高浜まで、1市3町の立地地域がある福井県嶺南地方においては、国の共創会議や県の嶺南Eコースト計画の中で様々な取り組みが進むところであり、そのひとつが、原子力発電所の廃止措置ビジネス。
 
これに関してはちょうど昨日から本日に掛けて、文部科学省主催の「つるが国際シンポジウム2022~ 原子力発電所の廃止措置から芽生えるビジネスと豊かな暮らしを楽しむまちづくり~」が開催されています。
 
文部科学省では、現在廃止措置に移行している高速増殖原型炉「もんじゅ」の立地地域である福井県の敦賀エリアが、今後の原子力研究・人材育成拠点となる足がかりとなるよう、国際シンポジウムを定期的に開催しており、今年度は、原子力発電所の廃止措置とその中で芽生えるビジネスを通じた地域振興をテーマとし、廃止措置と地域振興に関する海外での先行事例の紹介、原子力業界や地元の方々が参加するパネルディスカッション等を行うとしています。
 
今日は「文化の日」でありますが、これも今後「原子力の文化」にもつながることに加え、私自身この方面の知識を習得する必要性があることから、本日は会場の若狭湾エネルギー研究センターに足を運びたいと思います。
 
皆様におかれましても、もし関心のある方がいらっしゃいましたら、以下の開催チラシを参考に参加いただければ幸いです。
 

敦賀発電所2号機「審査再開」

ブログ 原子力

心強いご支援に感謝。
 
昨日、福井フェニックスプラザにて開催された連合福井定期大会の第3号議案(統一地方選議案)を承認いただいた後、推薦決定を受けた候補予定者の一人として登壇のうえ、決意の一端を述べる機会をいただきました。
 
私からは、仲間の皆さんと連携のもと、連合が掲げる「働くことを軸とした安心社会の実現」に向け、引き続き地方議会でも声を挙げていくことをお約束した次第。
 
まずは与えられた任期を全力で全うし、来春の戦いに備えていきたいと思います。
 
さて、「原子力の日」でもあった昨日ですが、奇しくもこの日、私にとって安堵と期待が入り混じる出来事がありました。
 
それは、日本原子力発電株式会社(以下、日本原電)敦賀発電所2号機(以下、敦賀2号)の「ボーリング柱状図データの記載変更」の件に関し、原子力規制庁より原子力規制検査の通知が正式に発出されたこと。
 
日本原電の改善処置により、現時点で確認した範囲においては、継続的に品質を確保する取組みがなされていることなどの評価がされた訳ですが、この結果を踏まえ、昨年8月より中断していた敦賀2号の新規制基準適合性審査を再開することが確認されました。
 
これを受け日本原電は、「当社としては、本事案を重く受け止め、引き続き、審査資料の信頼性を確保するとともに、継続的な改善を行い、原子力規制検査及び審査に真摯に対応してまいります」とプレス発表していますが、今後は地域からの大きな期待に応えるとともに、国難とも言える電力需給逼迫改善のため、再稼働に向けた審査を鋭意進めるのみの思いと察するところです。
 
日本原電のプレス発表は以下リンクよりご覧ください。
 
→本件に係る日本原電のプレス発表はこちら
 
今後の審査では、いわゆる「破砕帯問題」と称される、敦賀2号の原子炉建屋直下を走る破砕帯が活断層か否かが最大の焦点と報道されていますが、日本原電はこれまでも、根拠となる科学的データを携え、確固たる自信をもって活動性を否定する反論を続けてきています。
 
再稼働に向けたハードルの最初がこの地盤関係の審査になろうかと思いますが、以前のように「悪魔の証明」を求めたり、「可能性を否定できないものは黒(立地不適格)」と扱うのではなく、原子力規制委員会におかれては、自らが掲げる通り、公正且つ透明性を担保したうえで、厳に科学的評価によって審査を進められるよう切に求めるところです。
 
こうして、日本で初の原子力による発電が成功した日が、我が愛するプラント「敦賀2号」にとって、戦線復帰を目指す再スタートの日となったことは何かの巡り合わせであり、一日も早く「原子力の平和利用」の一翼を担う存在に帰すことを信じて止みません。
 

【多くの方々とともに、情熱をもって維持管理にあたった敦賀2号。汗と涙、思い出が詰まった君は、心の底から「マイプラント」と言える存在であり、再び活躍する姿を、皆が期待して待っています。(写真は産経ニュースより)】

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