女川原子力発電所2号機が“約14年ぶり”に発電再開

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原子力の話題が続きますが、14日には、関西電力高浜発電所1号機(PWR,82万6千キロワット)が、稼働する国内原子力プラントで初めて運転開始から50年を迎えました。
 
商業用原子力発電所としては、国内で8番目に営業運転を開始して以降、こうして半世紀に亘り経済発展を支えるための貴重なエネルギーを送り届けてきた背景には、地域の皆様のご理解とご協力、そして発電所関係者の弛まぬ努力あってのことであり敬意を表するところ。
 
高浜発電所長の「国内外の知見を取り入れプラントの安全・安定運転を維持し、暮らしを支え続けたい」との言葉にあるよう、電力需要が一層高まる今後においても、貴重な脱炭素電源のひとつとして永く運転していただきたいと思います。
 
また、東北電力女川原子力発電所2号機(BWR、82万5千キロワット)は13日、原子炉を同日午前9時に再び起動した後、午前11時55分には核分裂反応が安定して継続する臨界に到達。
 
その後、原子炉の昇温・昇圧と原子炉格納容器内点検、タービン起動を経て、15日には発電機と系統を接続して並列し「発電再開」。
 
“約14年ぶり”に再稼働を果たしました。
 

【画面中央の黄色矢印の先が「出力表示」。発電機と並列し、0から「10MW」を表示しています。(東北電力のXポストを一部やまたけにて加工)】
 
私自身、中央制御室で発電機と並列する瞬間に何度も立ち会ってきた経験から、0表示から出力表示が出た瞬間(発電開始を意味)は毎回、達成感に満ち溢れる感動を覚えたことを思い返しましたが、東日本大震災で被災した地域の原子力発電所としても初、沸騰水型軽水炉(BWR)としても初となる再稼働を大いに喜ぶところです。
 
なお、これまで14年にも亘るご苦労とご尽力は言葉で表せないものがあったに違いありませんが、女川原子力発電所2号機の再稼働は、東日本の電力需給改善に大きく貢献することはもとより、「震災からの復興」という、日本にとって大きな意味があると考える次第。
 
東北電力はXで、「今後とも、原子力発電所の『安全対策に終わりはない』という確固たる信念のもと、原子力発電所のさらなる安全性の向上にむけた取り組みを着実に進めてまいります。」と発信しています。
 
先の高浜発電所長とも通ずる訳ですが、これは全国どの原子力発電所であっても同じ。
 
「何よりも安全を最優先する」との考えを第一義としていることをご理解いただければ幸いです。
 
さて、こうして嬉しい出来事が続く中、私の本日の予定は、10時30分より敦賀市議会の「議会報告会」、14時からは気比史学会主催の「敦賀市民歴史講座」となります。
 
会場はいずれも市立図書館3階 研修室ということで、1日図書館にて過ごすことになりますが、両方ともぜひお気軽に、多くの方にお越しいただけることを楽しみにしています。
 

【古くは平安時代の平重盛から、幾度も計画された「敦賀ー琵琶湖運河計画」。先人が考えた「壮大な計画」が聞けるとあって、議会報告会と併せ、ワクワク続きの一日になりそうです。】

「敦賀2号」の原子炉設置変更許可申請は許可されず 〜日本原電は今後も再申請、稼働に向けて取組む〜

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本日と明日は、敦賀市議会の「議会報告会」。
 
一人でも多くの方にお越しいただきたいとの思いを込めて、「広報つるが」や嶺南ケーブルネットワーク、敦賀FMなどでの広報宣伝に加え、先日は市内で開催されたイベントで各常任委員会にてチラシ配布を行ってきたところ。
 
本日15日(金)は18時30分からプラザ萬象大ホール、明日16日(土)は10時30分より市立図書館3階研修室の2回開催(議員も2グループに分かれて)しますので、ご家族、知人・友人お誘い合わせのうえ、ぜひご参加いただけますようお願いいたします。
 
※私は明日の報告会に出席します。
 
なお、開催チラシは、以下リンクよりご覧くださいませ。
 
 →11月15日・16日は敦賀市議会「議会報告会」(2024年10月25日 やまたけブログ)
 
さて、11月13日に開催された原子力規制委員会に「日本原子力発電株式会社敦賀発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(2号発電用原子炉施設の変更)に対する処分の案」が議題に供され、①審査書案に対する科学的・技術的意見(パブリックコメント)への考え方に関する原子力規制庁の方針について、②発電用原子炉設置変更許可申請書に関する審査の結果の取りまとめの決定、③発電用原子炉設置変更許可をしないことの決定について、いずれも規制委員会「全会一致」で決定されました。
 
この決定に関しては、インターネット、新聞、ニュースなど各媒体にて既に報道されていますが、同委員会での説明を拝見するに、審査書案に対して提出されたパブリックコメントは、提出意見として扱ったもの67件、該当しないと判断したものは215件とのこと。
 
すべての意見は机上配布資料として、同委員会のホームページに掲載されていましたので、ざっと目を通すとやはり、審査書案に異論あるいは強く説明を求めるものなどが多勢を占めていた訳ですが、「聞く耳」があるはずもなく。
 
パブコメに関しては、私も提出しましたので、以下に記録としてリンクしますので、関心のある方はお読みいただければ幸いです。
 
 →「第42回原子力規制委員会 令和6年11月13日 資料1 机上資料」はこちら
 
また、不許可処分を受け、昨日の福井新聞インタビュー記事にあった、今年9月に原子力規制委員を退任した石渡氏の言葉。
 
「これまでの審査で17基を許可した同じ基準で(事業者側が)それぞれ『悪魔の証明』を乗り越えている。たいした悪魔ではない。」
 
「グレーは全てクロ」の悪魔は本当に“たいした”ことないのだろうか。
 
そしてまた、「悪魔の証明」を求めてきた側の立場の方が、退任したとはいえ軽々にいう言葉なのか。
 
甚だ疑問、遺憾に思った次第です。
 
日本原電はこれを受け、「大変残念であります」とした上で、「当社としましては、敦賀発電所2号機の設置変更許可の再申請、稼働に向けて取り組んでまいります。申請に必要な追加調査の内容について、社外の専門家の意見も踏まえながら具体化してまいります。」とコメント。
 
杉本達治 福井県知事、米澤光治 敦賀市長はそれぞれ、次のように述べています。
 
杉本知事「事業者においては、安全を最優先に、今後の対応を十分検討し、地元に丁寧に説明していく必要がある。」
 
米澤市長「日本原子力発電株式会社は再申請に向けて、必要な追加調査の検討を進めるとのことであるので、真摯に取り組むともに、今後の取組について市民に丁寧に情報発情をいただきたい。また、原子力規制委員会においては再申請がなされた場合は、改めて審議を尽くしていただきたい。
 
厳に言葉を選びつつ、私としては、安全と地域を第一義に、日本原電に対しエールを送っていただいたものと受け止める次第です。
 
これまでも述べてきているよう、敦賀2号の審査に関しては言いたいことが山ほどあるものの、今回出されたのは「法に則った結論」。
 
原子力事業者が再稼働を目指す思い、目的は、原子力発電を通じて、我が国の「低廉な電気の安定供給」を果たすこと。
 
敦賀2号の申請は許可されませんでしたが、その大義まで失われた訳ではないことから、今後の追加調査、そして再申請による審査で“たいした悪魔でない”ことを何としてでも立証され、一日も早く、エネルギー危機にある日本の需給改善に向け戦線復帰されますこと、切に期待する次第です。
 

【絶対に諦められない敦賀2号の再稼働。日本の科学技術を守るためにも、ここで屈する訳にはいかない。】

「リサイクル燃料備蓄センター」が事業を開始

ブログ 原子力

先般、13年ぶりの原子炉起動を喜んだ東北電力の女川原子力発電所2号機。
 
既に報道にあるよう、11月3日、発電機試験併入中に、原子炉内の中性子を計測する検出器の校正用機器を原子炉内に入れる作業を行っていたところ、途中で動かなくなる事象が発生したため原子炉を停止。
 
東北電力はホームページで、「再稼働(発電再開)に向けた今回確認された事象の原因調査を行い、引き続き、安全確保を最優先に、一つひとつのプロセスをしっかりと対応してまいります。」とコメントしており、ここは焦ることなく、万難を備えて工程を進めていただきたいと思います。
 
一方、原子力に関しては、東京電力福島第一原子力発電所2号機で本年9月から行われてきた「※燃料デブリ」の試験的な取り出し作業が完了。
 
※燃料デブリとは
事故当時、1〜3号機は稼働中だったため炉心に燃料が格納されていました。事故発生後、非常用電源が失われたことで炉心を冷やすことができなくなり、この燃料が過熱、燃料等が溶融しました。その溶融した燃料等が冷えて固まったものを燃料デブリと言います。
 
東京電力によると、7日午前11時40分にデブリを格納した容器を専用のコンテナに移し、試験的取り出しが完了したとあり、廃炉の完了に向けては、総量で880トンにのぼると推定されるデブリの取り出しが最大の難関とされ、今回取り出したのは数グラムとみられるものの、今後の分析で得られるデータは、本格的な取り出し工法の検討に欠かせないとしていて、事故から13年半を経て廃炉は新たな段階に入ることになります。
 
ご参考まで、詳しくは東京電力HP「燃料デブリ取り出し状況」のページをご覧ください。
 
 →「燃料デブリ取り出し状況」のページはこちら
 
また、原子燃料サイクルの観点から大きなニュースとして、原子力規制委員会は11月6日、リサイクル燃料貯蔵(RFS)が青森県むつ市に立地する「リサイクル燃料備蓄センター」(むつ中間貯蔵施設)について、使用前確認証を交付。
 
同施設が、実質的な「事業開始」を迎えました。

【事業開始を迎えた「リサイクル燃料備蓄センター」のイメージ図(RFSホームページより引用)】
 
むつ中間貯蔵施設は、原子力発電に伴い発生する使用済み燃料(東京電力、日本原子力発電)を再処理するまで、最長50年間(順次設置する施設ごと、キャスクごと)、安全に貯蔵・管理するものですが、1990年代後半、使用済み燃料貯蔵対策について、官邸レベルで議論されるようになり、サイト外貯蔵に関しては「2010年までに確実に操業開始できるよう、国および電力事業者は直ちに所要の制度整備、立地点の確保等に取り組むことが必要」との報告書がまとめられました。
 
こうした背景も踏まえ、2000年には、むつ市より東京電力に対して立地に係る技術調査の依頼があり構想が具体化し、その後、施設の建設工事が進捗するも、2011年の東日本大震災発生により停滞。
 
原子力規制委員会の審査を経て2020年11月に許可、RFS他事業者は2024年8月、青森県およびむつ市との間で、むつ中間貯蔵施設に係る安全協定を締結するなど、一つひとつステップを進め、ようやく「事業開始」となったものであり、地域の皆様のご理解とご協力に感謝申し上げるとともに、これまでの関係者の方々のご尽力に敬意を表する次第です。
 
RFSでは、「安全最優先で事業に取り組むとともに、事業の透明性を高め、地域に根差した事業運営に努めていく」とコメントしていますが、使用済み燃料を再処理し、回収されるプルトニウムをMOX燃料として加工した上で、有効利用する原子燃料サイクルの推進は、わが国のエネルギー政策の基本的な方針。
 
先の衆院選福井選挙区で複数の候補者が述べていた「使用済み燃料の問題が解決していないのに、リプレースなど無責任(進めるべきではない)」との考えに対しては、今の日本のエネルギー事情を考えれば、バックエンドのことを盾に、新たな電源開発をしないことこそが「無責任」と思うところ。
 
「原子力か再エネか」の不毛な議論ではなく、「原子力も再エネも」活用すべきとの考えと同様、原子力関連事業を進めるには相当な期間を要することを踏まえた上で、最終処分地選定を含む「バックエンド側も」、リプレースや新増設など「フロントエンド側も」同時並行的に進めることこそが、とりわけ国の舵取りをする政治の責任であると、RFSの「事業開始」にあたり、改めて思うところです。

女川原子力発電所2号機が本日「原子炉起動」

ブログ 原子力

第50回衆院選について、昨日ブログでお伝えした後知ったことで、北関東ブロックで1議席、東海ブロックで2議席、国民民主党が議席を獲得したにも関わらず比例候補者がおらず(名簿重複候補者が小選挙区で当選したため)、北関東は公明に、東海は自民と立憲にそれぞれ議席が譲られたとありました。
 
党ではこれを猛省していましたが、全国で得た比例票は自民、立憲に次ぐ660万票。
 
「幻の3議席」を加えれば、「31議席」であったと認識しておきます。
 
また、福井県内の分析で、同じ選挙制度の令和3年第49回衆院選と各党比例獲得票を比較すると、
 
・国民民主党 (第49回) 12,954票 → (第50回)34,069票  2.62倍
・立憲民主党 ( 〃 ) 74,957票 → ( 〃 )76,657票  1.02倍
・日本維新の会( 〃 ) 32,760票 → ( 〃 )29,558票  0.90倍
・自由民主党 ( 〃 )164,749票 → ( 〃 )115,562票  0.70倍
・れいわ新選組( 〃 ) 12,348票 → ( 〃 ) 23,915票  1.93倍
 
であり、変動率で言えば、ここでも最も大きく伸ばしたのは国民民主党、立憲はほぼ変化なし、自民が大きく減となっていることが分かります。
 
なお、れいわ新選組がほぼ倍増しており、国民民主党同様、票数自体少ないものの、支持勢力が拡大していることに留意しておく必要があります。
 
選挙が終わり、既に関心は今後の政局に移っていますが、自公連立政権に打診があったとされる国民民主党 玉木代表は「政策によって連携することはあっても、連立入りはない」と断言していますので、その点ご承知置きいただきたく存じます。
 
さて、衆院選ではあまり論点とならなかったエネルギー・原子力政策ですが、今日は福島第一原子力発電所事故以降、東日本で初、沸騰水型炉(BWR)で初となる東北電力女川原子力発電所2号機が原子炉を起動する予定となっています。
 

【原子炉起動を待つ女川原子力発電所(東北電力ホームページより引用)】
 
同発電所が講じた安全性向上対策、とりわけ電力需給が逼迫する中における同発電所再稼働の大きな意義については、以前にこのブログでも述べましたが、ここに至るまでの関係者の皆様のご尽力、地元地域の皆様のご理解とご協力に心より敬意と感謝を申し上げる次第です。
 
東北電力のホームーページ(HP)を拝見すると、再稼働に向けた思いとして、以下のように記載されていました。
 
<以下、HP引用>
 
安全確保を最優先に再稼働に取り組んでおります。
女川原子力発電所2号機は、国の新規制基準の適合性審査へ適切に対応し、2024年5月27日に安全対策工事が完了いたしました。
現在は2024年11月頃の再稼働(発電再開)を目指し、各工程を進めております。
私たちは今回の再稼働を、単なる発電再開ではなく、発電所をゼロから立ち上げた先人たちの姿に学び、地域との絆を強め、東京電力福島第一原子力発電所事故の教訓を反映し、新たに生まれ変わるとの決意を込めて、「出発」と位置付けております。
引き続き安全確保を最優先に、再稼働に向けた一つひとつのプロセスをしっかりと進めてまいります。
 
<引用終わり>
 
いよいよ今日、その日がやってきました。
 
強い決意を込めた「出発」を見守るとともに、「より、そう、ちから」をキャッチフレーズに掲げる同社が、再び原子力の灯によって地域社会に貢献されますこと、心より期待し、応援したいと思います。
 
(参考)再稼働に向けた工程表・・・今日は③の工程に進みます

敦賀発電所2号機の審査書(案)に対する「パブリック・コメント」を提出

ブログ 原子力

9月24日のブログでご紹介した、ひばりケ丘町の「町界町名地番整理事業」に伴い、土地の名称及び地番号変更が行われたことについて。
 
実施日当日の24日には、これに伴う「本籍」の変更に関する通知と家族分の証明書、続く25日は「住所」の変更に係る同書類が届き、スピーディーな周知に驚くところ。
 
区としては、届いた証明書をもって、まずはマイナンバーカードや運転免許証など、本人確認に必要なものから順次、変更手続きを行なっていただく旨呼び掛けているところですが、市の担当部署におかれては、おそらく3連休返上で作業いただいたこと、さらには郵便局員の皆さんも、より早く届けるべく配達いただいたことに感謝するところです。
 
なお、令和5年度に「町界町名地番整理事業」を議決した“ひばりケ丘町”と“萩野町”の事務作業(町の区域設定や新旧地番対照表の作成等)に係る費用は、それぞれ「1,298万円」、「1,727万円」となっており(令和5年度決算資料より)、それだけの作業ボリュームを伴う事業であることも参考までご紹介しておきます。
 
さて、話しは変わり、現在パブリックコメントを募集している敦賀発電所2号機(以下、敦賀2号)の審査書(案)。
 
原子力規制委員会が発出した意見募集の正式な名称は、「日本原子力発電株式会社敦賀発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(2号発電用原子炉施設の変更)に関する審査書(案)に対する科学的・技術的意見の募集について」とあるものですが、9月28日0時の締切を前に、昨日私も提出した次第。
 

【原子力規制委員会HPから展開される「e-GOV パブリックコメント」の意見提出ページ】
 
 →上記「e-GOV パブリック・コメント」意見提出ページへのリンクはこちら
 
意見募集ページにある、原子力規制委員会が示した敦賀2号審査書案(案)に対し、論点の第一にある「K断層の活動性」に関する評価について4項目、審査のプロセスに対しては、①広く第三者の専門家の評価を受けるべき、②申請者の追加調査の申出を認めるべき の2項目について意見しました。
 
技術的な部分は、これまでの審査会合などでの議論を確認したうえで、また原子力規制委員会が自ら掲げる「活動原則」や審査の指針となる「審査ガイド」などと照らして意見書を作成した次第ですが、文字にして約6,000字(A4で6ページ)となったことから、ここでは意見のみご紹介し、それぞれの理由については割愛いたします。
 
※審査のプロセスに関しては、要約が難しいため全文掲載します
 
以下、提出したパブリック・コメント
 
1.審査書(案)に対する意見について
 
意見1
<該当箇所> P.14 9行目〜22行目
2.D-1トレンチ内におけるK断層の分布と性状
(3)D-1トレンチにおけるK断層の変位・変形
ii.原電道路ピットにおけるK断層の変位・変形
 規制委員会がK断層の活動性を評価することはできないとするa〜cの理由すべて。
 
<意見>
申請者の評価に対する規制委員会の考えを記載するとともに、一度途切れたK断層が、存在しない地層に再び現れていたかもしれないとする可能性の妥当性を記載すべき。また、上載地層が消滅している場合の手法として有効な鉱物脈法による評価についても関連づけて記載することに加え、申請者が8月2日開催の第24回原子力規制委員会 臨時会議の場で申し出た、上載地層が存在しない場合の追加調査を受け入れなかった明確な理由も付すべきではないか。
 
意見2
<該当箇所> P.15 1行目〜2行目
3.K断層の活動性
(4)K断層の活動性の評価
規制委員会は、K断層の活動性の評価について、以下のことから、K断層は後期更新世以降(12~13 万年前以降)の活動が否定できないと判断した。
 
<意見>
「活動が否定できないと判断した」を「活動を十分に否定できていないと判断した」に修正すべきではないか。
 
意見3
<該当箇所> P.15 14行目〜17行目
3.K断層の活動性
(4)K断層の活動性の評価
ⅱ.K断層の変形・変位
a. D-1トレンチでは、全体的に連続して分布する地層が存在しておらず、活動性の評価に用いる③層について、浸食で形成された溝(チャネル)に堆積した地層により連続性が断たれ、面的な広がりがなく局所的な地層で構成されているなど、活動性を評価する地点として妥当とはいえない。
 
<意見>
「D-1トレンチでは、全体的に連続して分布する地層が存在しておらず、活動性の評価に用いる③層について、浸食で形成された溝(チャネル)に堆積した地層により連続性が断たれ、面的な広がりがなく局所的な地層で構成されているなど、活動性を評価する地点として妥当とはいえない。」とする科学的根拠・妥当性について、上載地層法を用いて活動性評価を行っている他の地域での評価実績も考慮しつつ、客観的データを用いて示すこと等により、規制者としての説明責任を果たすべきではないか。
 
意見4
<該当箇所> P.15 24行目〜28行目
3.K断層の活動性
(4)K断層の活動性の評価
ⅱ.K断層の変形・変位
c.原電道路ピット及びふげん道路ピットにおけるK断層について、K断層は、上方に向かって断続的に出現する特徴を有していることを踏まえると、既に除去され、現在は存在しない地層で再び現れていた可能性があるが、現状では上位の地層におけるK断層の変位・変形の有無が確認できないため、K断層の活動性を評価することはできない。
 
<意見>
このような評価は「科学的な判断」といえず、申請者からの追加調査の申出を認めることなく結論付けた根拠を含め記載すべきではないか。
 
 
2.審査のプロセスに対する意見について
 
意見1 広く第三者の専門家の評価を受けるべき
 
本件審査の過程においては、第22回原子力規制委員会(令和6年7月31日)の場で委員からは、「明確な答えは分からないんだっていうのが科学技術的な限界なのかなっていう印象を持ちました」との発言があったことに加え、第27回原子力規制委員会(令和6年8月28日)では、規制庁からの審査書案説明の後、意見を求められた同委員からは、「専門的なことに踏み込んだ判断を私ができる訳ではないんですけれども、元々この分野の判断がシロクロつけることが簡単にできる分野ではないと認識しております。」とあった。
このように、高い専門性が求められる地質構造等に関わる審査に対し、委員自らが、本来追求すべき科学技術や自らの能力に限界を感じるような発言があったところであり、規制委員会は「高い専門性を伴う科学的・技術的な審議」を経ずに非専門家間で重要な判断を行ったことが明白である。
こうした状況や本件審査書案においても、明確な活動性を言うのではなく、「可能性を否定できない」や「不確かさ」などをもって判断されようとしていることを踏まえれば、まさに原子力規制委員会の活動原則にある、「国内外の多様な意見に耳を傾け、孤立と独善を戒める」ことが求められているものと考える。
また、原子力規制委員会「敷地内及び敷地周辺の地質・地質構造調査に係る審査ガイド」の「5.調査及び調査結果の信頼性」では、以下の記載がある。
 
基準地震動及び基準津波の策定等に関する調査に当たっては、調査手法の適用条件及び精度等に配慮し、目的に応じた調査手法により実施されることが必要であり、可能な限り、最先端の調査手法が用いられていることが重要である。また、立案段階の調査計画を含め調査結果・評価に係る全てについて公表されることが望ましく、広く第三者の専門家の評価を受けることによって調査結果の信頼性と精度が向上する。その際、一部の整合していないデータについても、その整合しない理由とともに公開されることが重要である。
なお、外部の学識経験者等に評価を依頼する場合には、中立性の確保が必要である。

 
ついては、原子力規制委員会が自ら定める「活動原則」、「審査ガイド」に照らせば、本件審査にこそ、広く第三者の専門家の評価も踏まえたうえで調査、評価すべきであったと考えるが、それを行わないとした規制委員会の考え方、あるいは第三者の意見や評価を求める基準について明らかに説明すべきである。
 
意見2 申請者の追加調査の申し出を認めるべき
 
令和6年7月24日に行われた原子力規制委員会の定例会見において、地層・地盤審査に関し問われた山中伸介委員長は、「非常に証明が困難で時間がかかったサイトもあるが、丁寧に評価をしていけば、事業者はキッチリとそれを証明することができるという問題なので、あくまでもこれは悪魔の証明ではないという、私はそういう見解です。」と述べている。これは、原子力規制委員会と申請者との間で丁寧なコミュニケーションを図り、申請者が重ねる追加調査から得られた最新知見や科学的データをもって、審査が進められてきたことを示すものと認識する。
一方、敦賀発電所2号機の審査に関しては、現申請書の範囲内か否かはあるにせよ、第1272回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合(令和6年7月26日)においては、追加調査の実施を申し出た申請者に対し、「そちらで将来やられるのはご自由」との発言がされている。
また、第24回原子力規制委員会 臨時会議(令和6年8月2日)では、「新しい立論方法に関して具体的に乏しい、期間が非常に不明確、多少データが付け加わったところで審査チームが出した技術的な評価というのが変更になる可能性というのは極めて乏しい」などとの見解が示され、結果して原子力規制庁の確認結果に基づき、審査書案を取りまとめることが指示されている。
前述の山中委員長の考えと今回の取扱いを比べるに、まずは、評価に関わる新たな科学的技術的データが得られる可能性のある追加調査を自ら否定をしていること、根拠を示すことなく、データが付け加わったとて評価が変更になる可能性は極めて乏しいと予断していること、さらには、申請者への「ご自由に」との発言は規制側と被規制側相互のコミュニケーションの観点から看過できないものと考える。
ついては、山中委員長曰く「丁寧に評価」するために不可欠な、科学的技術的データが補完される追加調査の申し出(現申請書の範囲内のものまでも)を、本件審査に限って何故求めなかったのか、あるいは受け入れなかったのか。
活動原則にある「孤立と独善を戒める」とする「透明で開かれた組織」として追加調査を認めるべきと考える。
 
 
以上が、私の提出した意見の概要です。
 
意見提出の締め切りは9月28日0時までとなっておりますが、より多くの意見が提出されることを期待するとともに、原子力規制委員会殿におかれては、集まった意見に真摯に耳を傾けていただき、修正をお願いする次第です。

議論してもらいたいのは「原子力規制委員会のあり方」だ

ブログ 原子力 政治

3連休が明け、敦賀市議会の9月定例会は今日から一般質問。
 
19日(木)までの3日間に15名が登壇予定となっており、「発言通告一覧」は以下リンクの通り(再掲)ですので、議場傍聴や嶺南ケーブルネットワーク(RCN)議会チャンネル、敦賀市議会インターネット中継などにてご覧いただきたく存じます。
 
 →「令和6年第3回定例会 一般質問発言通告一覧」はこちら
 
さて、今回の一般質問の中でも3名の方が「原子力」に関する項目を挙げられており、それぞれ注視するところ。
 
原子力を巡っては本当に様々な課題があり、そうした課題を丁寧にひとつづつ解決し、将来に亘って前進させるためには、こうして各級議会で論ぜられることに加え、原子力基本法で位置付けるよう「国」が前面に立って、政策を進めていただくことが何より重要と考える次第です。
 
なお、国として「原子力の最大限活用」を掲げるからには、安全を第一義に実態(特に既設発電所の早期再稼働)が伴わなければならず、そうした観点からも、今後の大きな視点は「原子力規制のあり方」にあり、先般発行の「やまたけNEWS(第21号)」でも考えの一端を述べたところです。
 
「原子力規制」に関しては、日米の違いを比較すれば明らかなことが多々あり、このことはまさに政治主導で、国会で議論いただくべき課題と考える訳ですが、ちょうど昨日、私とまったく同じ考えを、国民民主党の玉木雄一郎代表が自身のXでポスト(投稿)していましたので、以下ご紹介いたします。
 
※連日、国民民主党の話題となりますが、たまたまですのでご容赦のほど。
 
<以下、9/16 玉木代表のXポスト引用>
 
自民党総裁選挙で、ぜひ議論してもらいたいのは、原子力規制委員会のあり方だ。今のままでは、いくら原発再稼働や新増設をうたっても、現実問題として、審査にどれだけの時間とコストがかかるか分からないので、民間事業者としては判断に躊躇するだろう。
 
そこで、参考になるのが、米国の原子力規制当局であるNRCが採用している「良い規制原則」(Principles of Good Regulation)だ。
 
具体的には、以下の5つの原則で成り立っている。
 
独立性(Independence)
開放性(Openness)
効率性(Efficiency)
明瞭性(Clarity)
信頼性(Reliability)
 
日本の原子力規制委員会は、東日本大震災による過酷事故の反省も踏まえてできた組織であり、「独立性」などの原則が必要なことはもちろんだが、5原則のうち「効率性」の原則が欠けている
 
審査に10年以上かけて、突然、ダメ出しされるような審査のあり方は、予測可能性の観点から問題が多く、見直すべきだ。ちなみに、行政手続法に基づく標準処理期間は2年とされている。
 
安全基準を満たすことは大前提だが、それを審査する規制のあり方は、原子力規制委員会の発足から12年経つ今こそ、見直しが必要だと考える。
 
このままでは、次期エネルギー基本計画に「原発の最大限活用」などと書いても、絵に描いた餅になるし、結果として、カーボンニュートラルの目標も絵に描いた餅になるだろう。
 
北海道の泊原発の審査も10年以上の年月がかかっているが、泊原発が動かなければ、安価で安定的な電力供給もままならず、現在、建設が進んでいるラピダスの半導体製造の成否にも大きな影響を与える。
 
自民党総裁候補には、現実的かつ責任あるエネルギー政策の議論を期待したい。
 
<引用終わり>
 

【写真は、9月10日に行われた国民民主党 代表定例会見のもの】
 
米NRCにあって、日本の規制にはない「効率性」の話しは、これまで私自身、ブログやSNSでも考えを述べており、このポストがまったくもって考えをともにするものであったことから思わず、「仰る通り!」とコメントを添えて、引用リポスト(元の投稿を紐付けして自分がポストすること)したところです。
 
今の「エネルギー危機」から脱しなければ、国益の損失が続くばかりでなく、日本の再生は見通しすら立たないことは明白。
 
とりわけ鍵を握るのが原子力発電であり、掛け声としての「最大限活用」を謳うだけでなく、議論すべきは「最大限活用するためにどうするのか」。
 
今後、国会では玉木代表をはじめ、国民民主党の所属議員の皆さんが議論をリードしてくれると信じておりますが、これに自民党の皆さんも追従して「見直し議論」が加速することを切に期待するとともに、微力ながら自身も引き続き、理解者を増やすための取組みに尽力する所存です。

福島第一原子力発電所2号機で「デブリ試験採取」開始

ブログ 原子力

9月3日に開始された、東北電力女川原子力発電所2号機の燃料装荷が9月9日に完了。
 
同社はホームページで、「今後は、2024年11月頃を想定している再稼働に向けて、『原子炉起動』に係る各種試験 ・検査、作業などを進めていくこととしております。引き続き、安全確保を最優先に一つひとつのプロセスにしっかりと対応し、確実かつ丁寧に進めてまいります。」とコメントしています。
 
以前に記載しました通り、東日本の原子力発電所、沸騰水型(BWR)では初となる再稼働だけに、注目の高まるところでありますが、いよいよ近づく再稼働に向けた取組みを、敦賀の地から応援する所存です。
 
また、原子力の話題では、東京電力福島第1原子力発電所事故で溶け落ちた燃料(デブリ)の試験採取が10日、2号機で始まりました。
 
準備段階で機器の接続ミスが発覚し、開始直前に延期を決定したデブリ採取ですが、9月5日には、「2号機燃料デブリ試験的取り出し作業中断に関する原因と対策」に関する会見にて、福島第一廃炉推進カンパニー・プレジデントなどから説明があった上で再開したもの。
 
廃炉工程で最難関と位置付けられるデブリ採取。
 
堆積物の除去が完了した貫通孔から「テレスコ式試験的取り出し装置(※1)」を進入させるため、事前に工場で取り出し装置のモックアップによる機能検証等を行ってきた上で、昨日は、ガイドパイプ(内筒)に押し込みパイプを接続し、燃料デブリ試験的取り出し作業に着手(取り出し装置の先端治具が隔離弁を通過)。
 
今後は、先端治具をペデスタル(※2)底部へ吊り下ろし、燃料デブリ(3g以下)を採取するとのこと。
 
※1 テレスコ式試験的取り出し装置
  原子炉格納容器底部にある燃料デブリを採取するための、釣り竿(伸縮型)の装置
※2 ペデスタル
  原子炉圧力容器を下部から支える、配筋をコンクリートで覆った筒状の構造物
 

【「テレスコ式試験的取り出し装置」の説明図(東京電力ホールディングスHPより引用)】
 
なお、デブリは極めて強い放射線を出し、平成31年の同2号機内部調査では、毎時43シーベルトという人が近づけば数分間で死に至る放射線量が確認されていることから、採取では作業員の被曝(ひばく)を防ぐため、重装備に加え、1日当たりの作業時間を約2時間に設定。
 
厳しい環境下で限られた時間という制約の多い作業だけに、安全に作業を進めるためには事前の計画と準備がより重要となります。
 
このデブリ採取。
 
世界で唯一、1979年に起きた米国のスリーマイル原子力発電所の例があります。
 
この事故では、メルトダウンした1基の原子炉燃料が溶け落ち、約130トンのデブリが発生。
 
事故から6年後に、米政府と電力会社が取り出しに着手し、岩石を砕くボーリング機がデブリの硬い層で破損するなど、作業は想定よりも難航したものの、90年には総量の99%を取り出しました。
 
極めて高度で、長い年月を掛けての作業になることは言うまでもありませんが、このように人類には「不可能を可能」にする叡智と技術があります。
 
令和33(2051)年までの廃炉の実現に向けて、安全を大前提に試行錯誤を重ねながら、着実に進めていただくことをお願いし、女川同様、こちらも応援する次第です。

敦賀2号審査に係る審査書案「了承」を受けて

ブログ 原子力

昨朝は、嵐の前の静けさといった穏やかな天気の中、名子での辻立ち。
 
非常に強い勢力の台風10号は九州南部に上陸した後、九州から本州を舐めるように進む予報となっています。
 
辻立ちの際は笑顔でしたが、襲来する台風に向けて気は引き締めて。
 
繰り返しになりますが、全国各地で経験している「まさか」の災害に備えていきましょう。
 

【辻立ちポイントから見た敦賀湾。空と吹く風は秋めいていました。】
 
さて、大々的に報道されているという意味では、こちらも嵐と言えば良いのでしょうか。
 
原子力規制委員会は28日の定例会合で、日本原子力発電敦賀発電所2号機(以下、敦賀2号)の新規制基準適合に関する原子炉設置変更許可申請について事実上の不合格となる審査書案を了承しました。
 
不許可処分となるため経済産業相や原子力委員会への意見聴取は不要で、本日29日から1カ月間、任意の審査書案に対する科学的・技術的意見の募集(以下、パブリックコメント)を実施することも決めました。
 
パブリックコメントを踏まえ、10月以降に正式に結果(おそらく不許可)が示される見込みとしています。
 
私としては台風と同じく、この進路(方向性)は予想されていただけに、審査の結果取りまとめ案(審査書案)が報告された、昨日の第27回原子力規制委員会の模様(YouTube)も淡々と視聴していた次第です。
 
以下に、委員会にて提示、説明された、文章ベースの「資料1 日本原子力発電株式会社敦賀発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(2号発電用原子炉施設の変更)に関する審査の結果の案の取りまとめ(1/2)」と図等を用いた概要版「同(2/2)」をリンクいたしますが、資料(2/2)における、論点となったK断層の「①活動性」と「②連続性」それぞれ、それらを踏まえた「③審査まとめ」の部分のみ抜粋しますのでご覧ください。
 

【①K断層の「活動性」まとめ】

【②K断層の「連続性」まとめ】

【①②を踏まえた③K断層の審査「まとめ」】
 
※上記、資料1(1/2)及び(2/2)の原本は、以下リンクよりご覧ください(下にスクロールするとあります)
 →「第27回 原子力規制委員会 配布資料」はこちらから
 
この3枚のスライドをご覧になってお分かりいただけるよう、「評価結果の信頼性が乏しい」、「評価が安全側にされていない」などとした上で、「(活断層であることを)否定できない」とし判断がされています。
 
これが、規制側が言う「十分な時間を掛けて」、「科学的・技術的に行われた」審査の結果であり、やり方であることを、次に立証していくために今一度深く胸に刻むところです。
 
一方、規制庁からの審査書案説明の後、意見を求められた委員からは、「専門的なことに踏み込んだ判断を私ができる訳ではないんですけれども、元々この分野の判断がシロクロつけることが簡単にできる分野ではないと認識しております。だけれども、我々の立場として、かなりの確からしらをもって、活動性、連続性を否定できない限り許可はできないという立場に立って結論を出していただいたと。そういう認識でありまして、そのことについて私は了承しています。」とありました。
 
現在のわが国がおかれたエネルギー事情を考えれば、既設原子力発電所1基が稼働するか否かは、国益を左右する重大なことであるのに対し、堂々と「専門的なことに踏み込んだ判断を私ができる訳ではない」というような委員を、発言を否定しない他の委員の皆様はどう思っていらっしゃるのか。
 
いずれにしても、このような発言をされる委員に「判断」されるのが、今の日本の原子力規制であるとと、またまた愕然とした次第です。
 
なお、発言した委員は、敦賀2号の審査に関し、「科学的技術的な限界」、「(再補正することに)勝算はあるのか」、そして今回と3度、耳を疑う発言をされていることを記録として留めておきたいと思います。
 
これらを踏まえ、昨日は福井新聞記者からの電話取材に答え、今朝の朝刊では次のように掲載されています。
 
電力総連の組織内議員の山本武志敦賀市議は「敦賀2号機は国全体のエネルギー安全保障の観点から必要不可欠。敦賀市の人口や財政、地域経済にも大きな影響を及ぼす」と主張。敦賀原発敷地内の断層について、「過去に国内外の※地震学、地震工学者らで構成する国際チームが明確に『活断層ではない』と評価している。今後の追加調査で活断層でないことが科学的、技術的に立証されることを期待したい」と述べた。
 
※取材で答えたのは「地質学」ですが。
 
ここで、過去に「活断層でない」と評価した国際(レビュー)チームとは、以前にこのブログでも紹介した、英国シェフィールド大学のニール・チャップマン教授を始め、国内外の地質学、地震工学、リスクアセスメント、原子力を専門とし、政府機関、原子力産業、原子力規制機関及びIAEAのような国際機関とともに幅広く活動している科学者から成り、2013年3月と5月には敦賀発電所も訪れ評価しています。
 
こちらも再掲となりますが、このチームの評価では、結果を以下のようにまとめています。
 

【国際レビューチームが提出した評価結果概要(抜粋)】
 
詳しくは、以下のリンクより、過去ブログをご覧ください。
 
 →2024年7月31日ブログ「本日の原子力規制委員会にて『敦賀発電所の原子炉設置変更許可申請書』の今後の対応を協議」はこちら
 
専門的な判断ができないと仰る方が結論づけた「可能性を否定できない」と国内外一級の有識者が評価した「明確に活断層ではない」。
 
シロクロつけることが簡単にできる分野ではないと言っていては、永遠に「可能性」の世界のままであり、今後の追加調査ではっきり「シロクロ」を、もしくは「かなりの確からしさ」が導かれるものと、信じ、期待して止みません。

エネルギーがないことほど危険なことはない 〜『憂国の原子力誕生秘話』を振り返る〜

エネルギー ブログ 原子力

先ほどの【お知らせ】投稿にて「やまたけNEWS(第21号)」のご紹介をいたしました。
 
「思いと考えは自分の声と足で届ける」をモットーに、一昨日の晩と昨日午前中で町内全戸にはポスティングしましたが、今回のNEWSは敦賀市議会で「エネルギー基本計画見直し」に対して意見書を提出したことや、敦賀発電所2号機の審査の件もありエネルギーのことを中心に記載しています。
 
本日の朝刊に新聞折込みもいたしましたが、一人でも多くの方に伝われば何よりです。
 
さて、NEWSの最後にある「ちょっとひとこと」を書くにあたり、日本社会党機関誌編集局長を経て衆議院議員を6期お務めになられた後藤茂氏の著書『憂国の原子力誕生秘話』を手にしたところ。
 
タイトルの通り、この著書は、戦後日本において、原子力を研究、開発利用した当時の状況が克明に記録されていることに加え、中曽根康弘元総理大臣など、原子力黎明期に活躍された方々の国家観ある壮大且つ強い思いが紹介されており、これまで何度も読み返しているもの。
 
「ちょっとひとこと」にも記載したよう、世界唯一の戦争被爆国が原子力を選択した理由がまさにここに記載されている訳ですが、著書には「無資源国の日本が資源を止められたことが無謀な戦争の一因になったことを、当時はどの人も深刻に受け止めていた」、「エネルギーは国家百年の計だという考えが、自民党、社会党を問わず、政治家の頭にあった」とあり、自国のエネルギーを確保するかが国家の行方を左右するとの考えが根底にあることを改めて強く認識する次第です。
 

【私にとってバイブル的存在の『憂国の原子力誕生秘話』。原子力黎明期の歴史を読み返すたびに力が湧きます。】
 
著書の中で、昭和24(1949)年12月に、国連総会でソ連を含め満場一致で決定され開催された「原子力平和利用国際会議」の様子が記されており、それまでベールに包まれていた原子力の情報が平和利用のために公開されるとあって、72カ国の政府代表や約3,000人もの科学者が参加したとありました。
 
これに日本からは、中曽根康弘、松前重義、前田正男、志村茂治の4人の衆議院議員が参加しており、当時を振り返り中曽根氏は、「我々の時代は戦争を経験している。原子力平和利用国際会議への出席は、まるで出征兵士の意気込みで臨んだ。(米ソ)冷戦下でこれから日本がどう生きていくのか、”国の形”を真剣に考えていた」と語っています。
 
みな戦争経験者であり、だからこそ、原子力を平和利用することによって、新しい「国」を創る。念頭には「国」しかなかった。不退転の覚悟で進めようと、心に深く誓ったのである。
 
ジュネーブ国際会議場は、その格好の舞台だったのだ。国際会議という大舞台で、しかも慌ただしい日程を精力的にこなしながら、国土を荒廃させ、原爆の洗礼を受けてしまった祖国を思い、原子力によって復興させると、心昂らせたのであった
 
と文章は続きます。
 
様々な過程、議論を経つつ、日本の原子力利用は昭和30(1955)年の「原子力基本法」制定を根拠に始まります。
 
ここで、先の国際会議にも参加し、本法案の提出者ともなった中曽根康弘氏の提案理由説明でまず、「本原子力基本法案は自由民主党並びに日本社会党の共同提案になるものでありまして、両党の議員の共同作業によって、全議員の名前をもって国民の前に提出した次第であります。」との言葉ではじまり、基本法を議員立法とした熱い思いが、委員会室に伝わったとありましたが、中曽根氏が続けて述べた提案理由にすべてが包括していると思うことから、以下引用いたします(一部、中略)。
 
(前略)そこで、日本に原子力国策を確立する場合において、いかなる点を考慮すべきかといいますと、われわれの考えでは、まず国策の基本を確立するということが第一であります。日本には有能なる科学者があり、技術者があり、技術陣があります。しかし、国策が確立されておらないようでは、有能なる学者はここに集まってきません。そこで、機構的にも予算的にも、国家が、不動の態勢をもって、全国民協力のもとに、この政策を長期的に進めるという態勢を整えることが第一であります。これによって有能なる学者をこの方向に指向させることができるのであります。
 
第二点は、超党派性をもってこの政策を運用して、政争の圏外に置くということであります。国民の相当数が、日本の原子力政策の推進を冷やかな目で見るということは悲しむべきことであり、絶対避けなければならないのであります。全国民が協力するもとに、超党派的にこの政策を進めるということが、日本の場合は特に重要であるのであります。
 
第三点は、長期的計画性をもって、しかも日本の個性を生かしたやり方という考え方であります。原子力の問題は、各国においては、三十年計画、五十年計画をもって進めるのでありまして、わが国におきましても、三十年計画、五十年計画程度の雄大なる構想を必要といたします。それと同時に、資源が貧弱で資本力のない日本の国情に適当するような方途を講ずることが必要であります。
 
第四点は、原子力の一番中心の問題は金でもなければ機構でもない。一番中心の問題は、日本に存在する非常に有能なる学者に心から協力してもらうという態勢を作ることであります。具体的に申し上げれば、湯川博士や朝永博士以下、日本の学界には三十前後の非常に優秀なる世界的なる学者が存在いたします。これらの有能なる学者が、国家のために心から研究に精を出してもらうという環境を作ることが、政治家の一番重要なことであります。
そのようなことは、学者の意見を十分取り入れて、この原子力の研究というものが、日本の一部のために行われておらない、一政党の手先でもなければ、財界の手先でもない、全日本国民の運命を開拓するために国民的スケールにおいてこれが行われておるという態勢を作ることが一番大事な点であります。このような点にわれわれは機構その他についても十分配慮した次第であります。
 
第五点は、国際性を豊かに盛るということであります。原子力の研究は、各国におきましてはみな国際的な協力のもとに行われております。
 
第六点は、日本の原子力の問題というものは、広島、長崎の悲劇から出発いたしました。従って、日本国民の間には、この悲しむべき原因から発しまして、原子力に対する非常なる疑いを持っておるのであります。このような国民の誤解を、われわれはしんぼう強く解くという努力をする必要があると思うのであります。広島、長崎の経験から発した国民が、原子力の平和利用や外国のいろいろな申し出に対して疑問を持つのは当然であります。従って、政治家としては、これらの疑問をあくまで克明に解いて、ただすべきものはただして、全国民の心からなる協力を得るという態勢が必要であります。
 
この基本法案を総合的基本法としました理由は、日本の原子力政策の全般的な見通しを国民の各位に与えて、燃料の問題にしても、放射線の防止にしても、原子炉の管理にしても、危険がないように安心を与えるという考慮が第一にあったのであります。日本の原子力政策のホール・ピクチャーを国民に示して、それによって十分なる理解を得るというのが第一の念願でありました。
 
日本の現在の国際的地位は戦争に負けて以来非常に低いのでありますが、しかし、科挙技術の部面は、中立性を保っておりますから、そう外国との間に摩擦が起ることはありません。われわれが国際的地位を回復し、日本の科学技術の水準を上げるということは、原子力や科学によって可能であると思うのであります。(中略)原子力の熱を完全にとらえて原子炉文明というものが出てくれば、一億の人口を養うことば必ずしも不可能ではない、そのようにわれわれは考えます。
 
この演説はまさに、半世紀を経た現在にも通ずるもの。
 
著書には、「無資源国の日本が資源を止められたことが無謀な戦争の一因になったことを、当時はどの人も深刻に受け止めていた」、「エネルギーは国家百年の計だという考えが、自民党、社会党を問わず、政治家の頭にあった」ことを紹介しました。
 
国際会議に参加した中曽根氏の「(米ソ)冷戦下でこれから日本がどう生きていくのか、”国の形”を真剣に考えていた」との考えは、今に置き換えれば、ロシアのウクライナ侵略以降、世界は熾烈な「エネルギー資源獲得競争」を続けており、緊迫する国際情勢の中で「日本はどう生きていくのか」。
 
かのマリー・キューリー夫人の研究所で助手を務めたフランス原子力界のバートランド・ゴールドシュミット博士はこう言っています。
 
「エネルギーがないことほど危険なことはない。われわれは原子力を推進せねばならないが、一層強く核不拡散と事故のリスクを最小にすることに配慮しなければならない。これは原子力の壮大なストーリーが継続する中で、到達した確信である。」
 
答えはここにありと思う次第。
 
やまたけNEWSの「ちょっとひとこと」には、このような歴史背景と高まる危機感を踏まえ、思いを込めて書き上げました。
 
補足する本日のブログもお読みいただき、私の考えが少しでも伝われば幸いです。

敦賀市から県への「重要要望」と週末発行の「やまたけNEWS」

ブログ 原子力

以前に私も国土交通省近畿地方整備局にお伺いし、国道8号バイパスや敦賀第2環状道路整備などに関し、期成同盟会の一員として要望する役割をいただいたところですが、国や県が次年度予算編成時期に入る前のこの時期は、様々な形で要望活動が行われるところ。
 
そうしたなか、敦賀市のホームページを拝見すると、本市のさらなる発展に欠かせない重要な事業について、福井県に対して支援・協力を求めるため、22項目の要望(下記資料「要望項目一覧」参照)を22日に実施したとありました。
 
→(敦賀市HP)県への重要要望・要望項目一覧はこちら
 
要望は、「重点」と「重要」に分類され、この中でも特に県の協力を求める以下3項目については、知事への要望を実施しています。
 
<県知事に要望した事項>
1 福井県・原子力発電所の立地地域の将来像の実現について
2 北陸新幹線開業効果の最大化及び持続的な賑わいの創出について
3 敦賀第2環状道路の整備促進について
 
トップに挙げる項目だけに、今後の敦賀にとって、いずれも重要な視点であることに異論なきところ。
 
なお、上記リンクから要望項目を見るに、重点要望に掲げる10項目には、産業団地の整備促進及び企業誘致や笙の川水系・井の口川水系の整備促進、医師の確保及び嶺南地域の医療への財政支援についても挙げられており、いずれも産業振興、防災、地域医療の観点から、とりわけ後段2項目は「住民の命を守る」ことに直結することだけに、県にはより一層力を入れていただけるよう、私も求める次第です。
 
また、10項目のうち、3項目は「原子力関連」。
 
知事要望以外で「原子力政策と原子力発電所立地地域の安全確保について」、「原子力災害における防災体制の確立について」が挙げられていました。
 
やはり敦賀が、原子力との関わりが深いことを表すものと受け止めた訳ですが、これに関しては、市から県、県から国へと力強く要望されることを願うところ。
 
原子力関連では、敦賀市議会の6月定例会において、現在見直し論議が本格化している「エネルギー基本計画」に対し、「ベースロード電源としての原子力発電の長期的な必要容量と時間軸を明記すること」などを求める意見書を可決し、既に国会及び関係省庁に提出したところですが、こうした議会からの求めを含め、「責任をもって進める」としている国が、より具体的な政策を示すべきと考える次第であり、併せて申し上げれば、国益を失する原因となっている、既設原子力発電所の長期停止(再稼働が進まないこと)や、設置から10年以上を経過した原子力規制委員会のあり方などについても見直していくべきと考える次第です。
 
要望事項の話しから少し逸れるものの、こうした考えを、今週日曜日(8/25)に新聞折込み予定の「やまたけNEWS(第21号)」に記載しています。
 
敦賀市から県に要望した内容と合わせ、私が求めることについてもお読みいただき、皆様におかれてもご一考いただければ幸いに存じます。
 

【「やまたけNEWS(第21号)」のタイトル&挿絵の抜粋。内容は乞うご期待ください。】

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