営業運転開始から「55年」を迎えた敦賀発電所1号機

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終盤に入った令和7年第1回(3月)敦賀市議会定例会。
 
昨日は予算決算常任委員会を開催し、令和7年度当初予算案及び補正予算案の計10件について、各分科会長の審査報告から討論、採決まで。
 
その結果、全議案について「原案のとおり認めるべきもの」と決しました。
 
早いもので、今定例会も18日(火)の本会議を残すのみとなりましたが、会派として発言通告した2件の討論を含め、最後まで丁寧に臨む所存です。
 
さて、話は変わり、今日3月14日は、日本原電の敦賀発電所1号機(以下、敦1)が営業運転を開始した日。
 
この日を誕生日とすると、敦1(つるいち)は「55歳」となります。
 
私(53歳)とほぼ同世代の敦1は、わが国初の商業用軽水炉として運転を始め、1970大阪万博会場に原子力の灯(電気)を送ったことで有名であり、まさに原子力の黎明期、そして高度成長期の電力供給を支えたプラント。
 
万博と言えば、半世紀以上を経て再び大阪で、来月から開催されるところ、こうした歴史を振り返り、わが国の原子力エネルギーにもスポットを当てて欲しいと思う次第です。
 
その敦1は、2015年4月27日に約45年間の運転を終え、現在は廃止措置を進めているところですが、55年の歳月を思えば、何もかも初めて尽くしの発電所建設から運転までを乗り越えた先人に敬意を表するとともに、社員はもとより協力会社、メーカーの皆さんまで多くの人に愛され、支え続けられた「敦1」の存在を今でも誇りに思うところです。
 

【昭和42(1967)年10月。格納容器の据付が完了した敦賀発電所1号機(2020年12月に開催された「敦賀発電所50周年 げんでんふれあいギャラリー」より)】
 
そうした思いのもと、日本原電の社員をはじめ、携わっていただいた皆様、お支えいただいた多くの方々と、こうした思いを共有できればと、毎年このブログに書き綴っている訳ですが、兄貴のような敦賀2号と違い、私が生まれる前から運転していた敦1は、どこか父親のような存在。
 
新入社員の頃から発電所で保修業務に従事していた私にとって、設計者であるゼネラル・エレクトリック(GE)や東芝、日立などプラントメーカー、さらには多くの協力企業の皆さんとともに、担当する機器をまさに「愛車」をいたわるようメンテナンスしたことはもとより、幾度か経験したトラブル対応や毎回の定期検査後に無事起動できた時の達成感と充実感をもって、原子力発電で社会に貢献することの誇りを教えてもらったのが敦1。
 
なお、先の大戦後、エネルギー資源の乏しい日本が活路を見出すのは「原子力発電」だと、故中曽根康弘氏らが中心となって制定した『原子力基本法』には、次のとおり書かれています。
 
「原子力の研究・開発・利用を推進し将来のエネルギー資源を確保する。学術の進歩と産業の振興とを図り、人類社会の福祉と国民生活の水準向上に寄与する。」
 
このような方針のもと、敦1をはじめとする原子力開発に進んだ訳ですが、『原子力基本法』の制定(1955年12月19日)から今年はちょうど70年。
 
基本法に込められた崇高な理念、そしてその礎を築いたのはここ敦賀の地からであったことも誇りに思うところですが、これが成り立ったのは日本原電のパイオニア精神を理解し、お支えいただいた敦賀の皆様の存在があったからこそ。
 
現在、敦賀2号の長期停止が続く中においても、期待の声をいただく地元の皆様に心からの感謝をしつつ、これにお返しするのは一日も早い再稼働、そして敦賀3,4号をはじめとする新たな技術、時代にチャレンジしていくことであると、その気概を改めて胸に刻む次第です。

「印象操作や不安の扇動に加担した」原子力発電所事故報道

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それぞれのお立場、それぞれの思いの中で過ごした、東日本大震災から14年の昨日。
 
私自身、この大地震、そして東京電力福島第一原子力発電所事故を決して忘れることなく、また得られた知見や教訓をもとに、自然災害への備え、弛みなき原子力安全の追求に取り組む思いを改めて強めたところです。
 
また、原子力発電所事故の影響に関しても同じく、当時を振り返るに、様々な誤情報が飛び交い、被災地の住民はもとより、国民の皆さんの不安を助長させたことから、いかに科学的に、正確な情報を伝えるかが大きな課題となったことを思い返す次第。
 
その関係でいえば、3月6日の産経新聞記事に、『「印象操作や不安の扇動に加担した」原子力発電所事故報道、風評「加害」にメディアの責任は』のタイトルで、東日本大震災から14年を前に疑問を投げ掛ける記事が掲載されていました。
 
※記事中の「原発」は「原子力発電所」に置き換えています。
 
記事によれば、『東日本大震災から間もなく14年。東京電力福島第1原子力発電所事故の処理を巡っては、風評被害が常に問題になってきた。福島在住のジャーナリストで東日本大震災・原子力災害伝承館客員研究員の林智裕氏は「印象操作や不安の扇動などの風評『加害』が生まれ、そこに一部メディアが加担する動きもあった」と指摘する。処理水の海洋放出や除去土壌の処分など、原子力発電所事故の対応は今後も続く。風評被害を防ぐため、メディアの役割が改めて問われている。』との書き出しから、代表的な事例を挙げ、指摘。
 
風評被害とは、根拠のない噂や臆測などで関係者が受ける経済的損失などを指すもので、福島第1原子力発電所事故の後では、周辺地域の農産物や水産物が、放射性物質の検査結果が基準値を下回っているにもかかわらず、買い控えられる状況が続きました。
 
林氏は著書「『正しさ』の商人 情報災害を広める風評加害者は誰か」(徳間書店)で、「情報災害」を「災害本体に付随する強い社会不安に伴った疑心暗鬼と風評、誤解によって起こる多様な悪影響のことを指す」と説明しており、分かりやすい例として「AERA」(朝日新聞出版)平成23年3月28日号で、根拠を示さず放射線被曝(ひばく)で鼻血が出たことを示唆する漫画や記事も相次いだことを、福島への差別や偏見の助長にメディアが加担する構図の具体例として、①誤解を招くタイトル、②事実の中に根拠不明な情報を混ぜ込む、③別の意味を持つ数値や単位の混同などを挙げました。
 
また、令和5年8月から行われた原子力発電所構内のタンクに貯蔵された処理水の海洋放出では、漁業関係者は風評被害の懸念から反対したものの、廃炉作業の障害となるため政府は放出を決断。
 
これに対し、中国政府は処理水を「核汚染水」と呼び、外交カードとして利用しましたが、経済産業省が処理水の定義を厳格化したことなどが影響し、造語や混同は減少。
 
令和5年に海洋放出が始まってからは、科学的データや国際比較に基づいて処理水を説明する報道が目立つようになったと。
 

【当時、東京電力ホールディングスも「処理水ポータルサイト」を立ち上げ、丁寧に説明していました。】
 
なお、海洋放出から1年を迎えた昨年8月、「あの」朝日新聞が中国政府の「言いがかり」を批判する社説を掲載したとありました。
 
さらに、原子力発電所事故後の除染によって、庭先や農地からはぎとって回収され、福島県内に大量に保管されている土を「放射能汚染土」と呼ぶことについては、環境省が放射性物質の濃度が1キロ当たり8千ベクレル以下の「除去土壌」は公共事業などでの再生利用が可能だと説明するとともに、全国数カ所で実証事業を検討中と説明し続けたことにより、その呼称はやがて消えたとも。
 
このように、原子力発電所事故を巡っては様々な「風評加害」がありましたが、結果して見れば、政府や関係機関、東京電力ホールディングスが科学的なデータをもって、丁寧に対応したことによって、それらを克服したと言えるのではないでしょうか。
 
私は以前より、築地市場の豊洲への移転問題の際に、当時の石原慎太郎元東京都知事が述べた「科学が風評に負けるのは国辱だ」との言葉を引用してまいりましたが、国や関係機関それぞれが、そうした信念に基づき対応されたことに敬意を表する次第です。
 
原子力発電所の事故のみならず、何かと「空気」で物事が決まる日本においては、「科学的根拠」をもって思考、判断することが重要であり、先に述べた事項を教訓としつつ、今後も自分の「ものさし」をしっかりと持ち続けたいと思います。

経済産業省より「エネルギー政策」について説明を受ける

エネルギー ブログ 原子力 敦賀市議会

「第7次エネルギー基本計画」が2月18日、早朝の閣議にて決定。
 
2021年10月以来となるエネルギー基本計画の改定は、現行計画の策定以降、海外では、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化など、エネルギー安全保障に係る地政学的リスクも高まる中において、総合資源エネルギー調査会では、2024年5月より計画の改定に向け検討に着手。
 
同年12月に原案を提示、その後1ヶ月間のパブリックコメントに付せたうえで昨日決定したもの。
 
新たなエネルギー基本計画では、「福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じ取り組む」ことを改めて原点に据えた上で、「S+3E」(安全性、安定供給、経済効率性、環境適合性)を基本的視点として掲げ、原子力に関しては、「優れた安定供給性、技術自給率を有し、他電源とそん色ないコスト水準で変動も少なく、一定の出力で安定的に発電可能」とのメリットを強調。
 
立地地域との共生、国民各層とのコミュニケーションの深化・充実、バックエンドプロセスの加速化、再稼働の加速に官民挙げて取り組むとしたほか、東日本大震災以降策定の基本計画で記載されてきた「原子力依存度を可能な限り低減」との文言は削除。新増設・リプレースについては、「廃炉を決定した原子力を有する事業者の原子力発電所サイト内での、次世代革新炉への建て替えを対象」に具体化していくとされました。
 
また、今回のエネルギー基本計画の裏付けとして、2040年のエネルギー需給見通しが「関連資料」として示され、発電電力量は1.1~1.2兆kWh程度、電源構成は、再生可能エネルギーが4~5割程度、原子力が2割程度、火力が3~4割程度などとなっています。
 
なお、「第7次エネルギー基本計画」の原文など詳細は、以下リンクより、経済産業省のホームページをご覧ください。
 
 →経済産業省HP「第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました」はこちら
 
そうして閣議決定のあった昨日、敦賀市議会では午前10時30分より議員説明会を開催。
 
経済産業省 原子力立地政策室(資源エネルギー庁 原子力広報室長)の前田博貴室長より、「エネルギー政策」について説明を受けました(経済産業省 原子力立地政策室 銀澤室長代理、若狭地域担当官事務所 山本所長も同席)。
 
室長からは約30分、①エネルギーを巡る状況、②近年のエネルギー政策の歩み、③第7次エネルギー基本計画(案)について資料に沿ってポイントを説明。
 
説明のあった時点では(案)が取れ成案となっています。
 
説明後、質疑の場においてはまず、議員お二方から、敦賀3、4号機などリプレースに向けたファイナンスについて、使用済み燃料の保管や電力消費地での広報などに関する意見がありました。
 

【議員説明会が開催された全員協議会室の自席より】
 
続いて私からは、原子力基本法改正により国の責務を明確にした上で、第7次エネルギー基本計画では「原子力依存度を可能な限り低減」の文言削除、S+3Eの原則のもと原子力を最大限活用するとした原案全体に対し評価する旨申し上げた後、以下について意見。
 
①既設原子力発電所の最大限活用と原子力規制について
毎年の夏・冬と電力間融通により何とか安定供給している需給ひっ迫の状況にあって、足下の需給逼迫改善に向けては、既設原子力発電所の最大限活用が急務。電力事業者も早期再稼働に向け取組む一方、課題の大きくは審査の長期化によるものであることは周知のとおり。エネルギー基本計画では、産業界や事業者に指導する旨の記載はあるが、規制に対する文言はない。アメリカでは、原子力3倍宣言と同時に規制側の体制も3倍にすると言っている。日本においても、規制サイドの体制強化や審査の効率化、確率論的評価(RPA)の手法も取り入れるべきと考えるため、敦賀からそういう意見があった旨、国においても共有いただきたい。
 
②今後の電力需要を見据えた時間軸を持った電源容量について
基本計画では、2040年の電力需要を最大1.2兆KWh程度と想定している。日本においては、生成AIの急激な進展による電力需要を2035年までに約600万KW増加想定とあるが、TSMC(熊本)やラピダス(北海道)など、半導体工場やデータセンター進出をはじめ、別の計画なども鑑みるに、既に先の予想を上回ることが明らかなのではないか。この電力需要にどう対応していくのかとの観点から、昨年敦賀市議会が意見書で求めたよう、将来的な時間軸と電源の必要容量を示すべきと考える。
 
③事業環境整備について
今後の事業環境整備に関し、基本計画原案24頁(成案では25頁)では、我が国においても、電力分野における必要な投資資金を安定的に確保していくためのファイナンス環境の整備に取り組む必要があるとし、具体的には、民間金融機関等が取り切れないリスクについて、公的な信用補完の活用をしていくとある。一方、こうした公的支援に関しては、とかく原子力発電に対して適用するとなると様々なハレーションが起こるのではと考える。ついては、そうした状況においても、確実に予見性ある事業環境整備が図られるよう検討・実施をお願いする。
 
なお、説明会終了後、前田室長とは立ち話でしたが、敦賀発電所2号機の審査の件に鑑み、確率論的評価がベースの米NRCやIAEAの地盤審査の考え方、AmazonやGoogle、メタ社(Facenookなど運営)がSMR等の次世代原子炉開発や原子力発電との直接契約をしている意味を考えれば、原子力の優位性がより分かりやすくなるのではなどお伝えした次第です(一方的に話したのみですが)。
 
正直、閣議決定された段階で意見することにどれだけの意義があるかと言われればそうかもしれませんが、日本のエネルギーを支えてきた原子力立地地域、議会の立場から、こうした機会を捉え国に意見することは責務であると考えるところ。
 
今後は、決定した「第7次エネルギー基本計画」を基に、いかに各電源ごとの課題を改善し具現化していくか。
 
冒頭述べたよう、我が国を取り巻くエネルギー安全保障に係る地政学的リスクは一層高まっていることを念頭に、引き続き「“超”現実的なエネルギー政策」実現に向け、微力ながら尽力してまいる所存です。

敦賀発電所2号機が「38歳」の誕生日を迎える

ブログ 原子力

厚手のジャンバー不要の暖かさ。
 
この週末は穏やかな天気が続き、近所の方とも「このまま春になってくれるといいんだけどね」と会話したところですが、そうはいかないようで。
 
今夜半あたりからは、全国的に再び寒波襲来ということで、真冬を思わせる厳しい寒さが続く1週間となるようです。
 
冬型の気圧配置が続き、冷たい北西風が吹きつけると一層寒く感じるとありますので、特に急激な寒暖差により体調など崩されませんよう十分ご注意ください。
 
さて、今日2月17日は、日本原子力発電(以下、日本原電)の敦賀発電所2号機(以下、敦賀2号)が営業運転を開始した日。
 
営業運転開始日を誕生日とすると、今日で38歳を迎えたことになります。
 
実は毎年、この周年を忘れないようブログに掲載しているところですが、日本原電のホームページでは、敦賀2号のことを以下のように紹介しています。
 
<以下、日本原電HP引用>
1982年3月に着工(第1回工事計画認可)、同年4月に建設工事を開始し、 当初の予定よりも工期を4ヶ月あまり短縮し、1987年2月に営業運転を開始。この発電所は、わが国最初のプレストレスト・コンクリート製格納容器を採用して耐震性の一層の向上を図るとともに、国内外の新技術を積極的に導入し、各種の設備に種々の改良・改善を加え、安全性、信頼性、環境保全の各面に優れた発電所です。
(引用終わり)。
 
発電所構内には「信頼と安心の敦賀2号」の標柱があるよう、これまでの発電電力量合計1,923億kWhを誇る敦賀2号。
 
一方、東日本大震災後の2011年5月7日20時00分に原子炉停止して以来、これで14年の歳月が流れようとしています。
 
ちょうど1年前のブログを読み返しますと、“2015年11月に新規制基準への適合性確認審査を申請して以降、現在は原子力規制委員会による審査が進められており、先週も審査会合があったよう、敷地内破砕帯評価を巡る議論が佳境を迎えようとしているところ”とあり、必ずや審査突破し早期再稼働をと、強い思いを述べていました。
 
しかし、その後は昨年11月13日に開催された原子力規制委員会に「日本原子力発電株式会社敦賀発電所の発電用原子炉設置変更許可申請書(2号発電用原子炉施設の変更)に対する処分の案」が議題に供され、“発電用原子炉設置変更許可をしないことの決定”について、いずれも規制委員会「全会一致」で決定されたことは既知のとおり。
 
日本原電はこれを受け、「当社としましては、敦賀発電所2号機の設置変更許可の再申請、稼働に向けて取り組んでまいります。申請に必要な追加調査の内容について、社外の専門家の意見も踏まえながら具体化してまいります。」とコメント。
 
現在は、追加調査の方法等について検討が進められており、可能な限り早期にその内容を公表することにより、再調査、さらにはその先にある再申請、再稼働に向けた意思を示していただきたいと思う次第です。
 
また、敦賀2号を救いたいがため、“規制を緩めよ”と言っている訳では決してないことをお断りした上で、これまでも述べているよう、地盤(断層変位)審査に関わる国際基準に照らし、日本の原子力規制においても「確率論的」評価を組み入れるべきと考えます。
 
実際に国内外の規制基準を比較すると、次のようになっています。
 
<日本>
◉約12〜13万年前以降の活動が否定できない断層の直上への設置を禁止(立地不適格)。
アメリカやIAEAのように、確率論的な評価を認めていない。
 
<アメリカ>
◉断層変位が想定される場合に立地不適格とする記載はない。
◉敷地において地表変形(断層変位を含む)の可能性がある場合は、審査者は地表変形の潜在的影響が施設の設計基準内であることを確認するという記載がある。
日本のような禁止規定はなく、実際、ディアブロキャニオンのように、既設発電所に対して「確率論」的に評価して認められた例がある。
 
<IAEA>
◉既設サイトに対しては、敷地及び/又は敷地近傍に存在する断層がcapable fault(活断層)ではないと結論づけるだけの十分な根拠(決定論的な根拠)がなく、原子炉施設の安全性に影響を与える可能性がある場合は、確率論によって評価するべき。
 
まさに、今回の敦賀2号のように「(活断層の)可能性が否定できないため不許可」とすることは、国際基準に照らせば奇異なものであると言っても過言ではないのではと。
 
もちろん、敦賀2号に関しては今後の調査において、「活断層ではない」ことを科学的データをもって証明することが最もクリアな解決になる訳ですが、国際基準では、「確率論的」評価手法が“標準”であるという事実を知っていただくとともに、私自身、こうしたことを調査しつつ、政治の側から意見できないか模索中であります。
 
1990(平成2)年に入社し、敦賀発電所の保修業務に携わってきた私にとって、敦賀2号は思い出の詰まった、愛する「マイプラント」。
 
一旦は適合性を認められなかったものの、今の日本が置かれたエネルギー事情を踏まえればなおのこと、必ずや再稼働を果たすことが使命と役割であると、今年の誕生日も思いを強める次第です。
 
人間も発電所も、38歳は働き盛り。
 
建設時代から現在に至るまで、これまで携わっていただいた多くの方々や支えていただいた市民の皆様の期待を背負い、一日も早い戦線復帰を目指すことに変わりはありません。
 

【信頼と安心の敦賀2号。必ずや再稼働を。】

一日を振り返り、思うは郷土と祖国

ブログ 原子力 政治 敦賀の歴史・文化

穏やかな晴天に恵まれた昨日は、ブログに書いた予定のとおり、敦賀の歴史、革新的原子炉や国家防衛に関する講座や懇談会に出席。
 
スタートの会場が知育・啓発施設「ちえなみき」ということで、久々に駅前立体駐車場の屋上に停車をするとこの景色。
 
胸の澄く風景のとおり、充実した実りある一日となりました。
 

【青空に映えるJR敦賀駅。やはりここからの眺めは自慢のポイント。】
 
順を追ってトピックス的にご紹介しますと、まず、午前中にちえなみき2階 セミナー&スタディで『ミニ歴史講座』を開催(主催は気比史学会)。
 
人数こそ、私を含めて7名と少数でしたが、何とSNSをご覧になった県外からの参加者もお見えになる中、今回は「平安時代の敦賀(前編)」について、主に「松原客館」はどこにあったのかをテーマに最新の知見(今期の敦賀市民歴史講座であった南出眞助教授の説)をご紹介。
 
拙い私からの説明ではありましたが、参加者間でも活発に質問や意見交換がされるなど、大変楽しくも有意義な機会となりました。
 

【ミニ歴史講座の様子。フランクな雰囲気を心掛けて進行しました。】
 
次回は3/23(日)10時30分から、後編は、紫式部も通った「深坂古道」や「古代の北陸道」等について触れてまいりますので、皆様ぜひお気軽に参加くださいませ。
 
続いて、場所をプラザ萬象に移し、革新的原子炉推進協議会主催のシンポジウム『エネルギーの未来を考える 〜脱炭素化、エネルギー自給等への原子力の貢献〜』に出席。
 
こちらは小ホールがほぼ満席となるほどの熱気のなか、以下のお三方より基調講演。
 
◉基調講演1 エネルギー・原子力政策
・テーマ:エネルギー政策及び原子力政策の動向
・講 師:経済産業省 資源エネルギー庁 電力・ガス事業部 原子力政策課長 吉瀬 周作氏
◉基調講演2 高速炉サイクルの役割
・テーマ:高速炉および高速炉サイクル導入による原子力エネルギーの持続的利用について
・講 師:東京科学大学 理事特別補佐(特任教授/名誉教授)竹下 健二氏
◉基調講演3 GX推進における原子力の役割
・テーマ:原子力政策の動向及びGX推進に対する原子力の役割
・講 師:革新的原子炉推進協議会 副理事長 辻倉 米蔵氏
 

【ほぼ席が埋まった会場全景】
 
講演1では、今後原子力を活用していく上で、①サプライチェーン、②規制の許認可性(ATENAと規制庁との予見性もった対話)、③コスト に関しブレイクスルーが必要であること。
 
原子力の海外展開を考える上で、日本の規制は特殊性があるため、米国基準ベースで売れるところを開拓してもらい、その先に日本の海外展開を考えていくべきか。
 
講演2では、当面は軽水炉のマルチサイクルを進めていくとした上で、今後は高速炉と軽水炉の共存時代を目指すべきであり、軽水炉を動かしている間に最終処分場の軽減を図る策を講じることが重要との言葉が印象に残りました。
 
私は、次の予定のため、ここまでで途中退席しましたが、その後行われた福井南高校、福井大学・京都大学の学生さんを交えた『エネルギーの未来を考える』と題したパネルディスカッションでは、原子力の関係者で集まってしまいがちだが一般の視点も重要、原子燃料サイクルについては「先人からバトンを受け取り自分たちの世代で実現」すること、原子力専攻の人気が上昇していることなど、若い方の視点に会場の皆さんも刺激を受けたとの伝言があった次第です。
 
そして、この日3コマ目は、場所を大ホールに移動し、敦賀防衛懇話会主催の「新春防衛懇談会」へ。
 
懇談会は、第1部として講演会、2部は懇親会で構成。
 
第1部では、130名を超える多くの方がご参加のもと、航空自衛隊第6航空団司令 兼 小松基地司令 空将補の村上博啓氏より、『大空とその先へ 〜To the Sky and Beyond〜』と題し、約1時間のご講演をいただきました。
 
自己紹介では何と、23回もの転勤経験がおありとのことに驚いたところですが、ご講演では、航空自衛隊や小松基地の変遷や役割・任務について、わが国を取り巻く安全保障環境、防衛に関する昨今の状況について、大変分かりやすくお話しいただきました。
 
安全保障環境においては、防衛白書にもあるよう、“戦後最大の試練の時を迎え、新たな危機の時代に突入しつつある”というのが現在の認識であること、小松基地におけるF35(ステルス戦闘機)の配備、従前の防衛機能に加えてサイバー防御やさらには宇宙戦略も見据えた対応が必要となっていることなど、今一度、日本が置かれている危機に対し、認識を高めた次第です。
 
柔らかな語り口の中にも凛とした雰囲気、そして「国を守る」という使命感に満ちた村上空将補に、心より敬意と感謝を申し上げます。
 

【ご講演される村上空将補。皆さん熱心に聞き入っておられました。】
 
こうして歴史、原子力に国防と学んだ一日を振り返るに、思うは郷土と祖国。
 
「自分の国(地域)は自分で守る」との思いのもと、郷土や祖国の発展に向けては、気比史学会の会是「過去に学び 未来に期待し 今日に生きる」。
 
今日お伺いしたことを今後の糧に、微力ながら自身も精一杯取り組む所存です。

敦賀の歴史、革新的原子炉に国家防衛と盛り沢山の一日

ブログ 原子力 敦賀の歴史・文化

昨日のブログに書きました、いわゆる「103万円の壁」引上げに向けた国民民主党と公明党の連携について。
 
公明党の西田実仁、国民民主党の榛葉賀津也両幹事長は14日、国会内で会談し、所得税が発生する「年収103万円の壁」の引上げに向け、自民党を含めた3党協議の膠着(こうちゃく)状態を打開することを確認した。財源を理由に慎重姿勢を示す自民に協力して働きかける。公明と国民民主は先の衆院選後から距離を縮めてきたが、与野党を超えたタッグで自民に政策実現を迫る異例の展開となった。
 
この日、榛葉氏に直接電話で会談を持ち掛けたという西田氏も「自民の森山裕幹事長には私の方から働きかけていく」と請け負った。
 
との報道あり。
 
実は現在、資料を精査している敦賀市の来年度予算(歳入)にも影響することにはなるものの、目指すは「178万円」とした上でのタッグであり、今後の動きに引き続き注視する次第です。
 
さて、来週から始まる令和7年第1回(3月)定例会に向けた準備を整えつつ、昨日午後は公務で福井県自治会館(福井市)へ。
 
敦賀市議会からは、副議長の私と中道恭子文教厚生常任委員長が議員となっている「福井県後期高齢者医療広域連合議会」の令和7年第1回定例会に出席。
 
13時30分からの全員協議会に続き、定例会では、令和6年度補正予算案、令和7年度一般会計・特別会計予算や同連合会に関わる条例の一部改正等について審議のうえ、全議案を可決しました。
 
管理者側は、広域連合会長の西行福井市長をはじめ、副管理者の佐々木鯖江市長、杉本池田町長、議員側は県内全市町議会から議長さんも多く出席されるとあって、閉会後、資料をカバンに入れている間に「あっ」という間に会場はもぬけの空。
 
皆様、お忙しいようで…。
 
おかげさまで、私自身もこうして充実した日々を送れていることに感謝するところですが、本日は公私ともにスケジュールが目白押し。
 
10時30分からは、自身が所属する「気比史学会」の『ミニ歴史講座』をちえなみき2階で開催。
 
13時30分からは、場所をプラザ萬象小ホールに移し、革新的原子炉推進協議会主催のシンポジウム「エネルギーの未来を考える」に参加した後、会議室に移動し、16時からは理事を務める「敦賀防衛懇話会」の定期総会、大ホールでの防衛講演会、新春防衛懇親会と流れるような予定となっています。
 
なお、このうち、防衛講演会ならびに新春防衛懇親会については、市議会議長の代理としても出席。
 
どれも優劣をつけられぬ大事なイベントばかりですが、『ミニ歴史講座』に関しては、自身がメインスピーカー役(決して講師ではなく)となって、「平安時代の敦賀」(松原客館の謎にも迫ります)についてお話しすることとしています。
 

 
こちらについては、どなたでも参加OK。
 
敦賀の地域史を“楽しく”一緒に学んでいきたいと思いますので、お気軽に参加いただけますようお願いいたします。
 
今日は穏やかな晴れ模様とのこと。
 
それでは、皆さま良い週末をお過ごしください。

Googleなど名だたるIT企業が原子力発電と直接契約 〜その意味とは?〜

エネルギー ブログ 原子力

1月26日までを提出期限としていた、現在策定中の次期『エネルギー基本計画』(原案)に対するパブリックコメント。
 
電気事業連合会(電事連)や全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)なども提出したとあるなか、24日には日本原子力産業協会(原産協会)も同じく付したことが原子力産業新聞(原産新聞)に掲載されていました。
 
なお、原産協会の意見としては、原子力産業の意思決定となる明確な指針を求め、主には以下のとおり。
 
(1)原子力の価値と必要性を明記し「原子力依存度低減」の記載を削除
(2)既設炉の早期再稼働、長期サイクル運転、運転中保全の拡大、出力向上など、既設炉の最大限活用に適切な支援を行うこと
(3)原子力発電の新規建設を前提に新増設・リプレースの必要な容量と時間軸を示し、同一敷地内に限られた建設制限を解除
(4)原子力発電所の追加安全対策や新規建設の投資回収の予見性を回復し、投資家が投資でき、事業者が資金を調達できる事業環境整備を早急に整備
(5)革新軽水炉にかかる規制整備の早期進展の必要性に鑑み、規制整備のスケジュールを示すこと
(6)原子力事業者が無過失・無限の賠償責任を集中して負うこととされている原子力損害賠償制度の見直しについて方向性を示すこと
 
いずれの項目も「原子力の最大限活用」を現実的に進めていくうえで必要なことであり、自身の考えと合致するもの。
 
こうした意見が反映され、より具体性のある計画となることを切に期待する次第です。
 
さて、日本がようやく原子力発電を将来に亘り活用していくとの意思を明確に示すなか、世界は原子力発電所の新増設や革新炉開発を急速に進めており、その状況は原産新聞の海外NEWSから実感するところ。
 
こちらはぜひ、ご覧いただいた方が早いので、以下のリンクから記事のタイトルだけでもご覧いただきたいのですが、欧米のみならず、中国、ロシア、アジア、豪州、アフリカに至る世界各国で、今後を見据えた「新規電源」を求め、原子力開発が展開されていることが分かります。
 
 →原子力産業新聞『海外NEWS』はこちら
 
とりわけ、長い間、原子力の新設がなかったアメリカが猛烈な勢いで開発しており、特徴的なのは、名だたるIT企業が、必要とする莫大な電力を原子力発電で、しかも発電事業者への直接出資や契約により、独占的かつ安定的に供給されることを確実なものにしようとしていること。
 
誰もが知っているGoogle、Amazon、メタ社(Facebookなどを運用)だけでも、取り上げたタイトルは以下のとおり。
 
◉Googleと米ケイロス・パワー社が先進炉導入で提携(2024年10月17日)
◉Amazon SMRプロジェクトを支援(2024年10月18日)
◉米IT大手メタ社 原子力から電力調達へ(2024年12月5日)
 

【Amazonが出資するX-エナジー社製SMR「Xe-100」中央制御室の想像図(原産新聞より引用)】
 
こうしたニュースを見るに、既に1周も2周も遅れをとっている日本の原子力開発に危機感すら覚える訳ですが、次期エネルギー基本計画の背景にもあるよう、電力安定供給がままならないことは=生成AIなどのIT分野(半導体やデータセンター等)でも遅れをとるということ。
 
なお、ここでいう「電力安定供給」とは、超精密製品を生むうえで、単に電気を受電するのみならず、極めて「周波数変動の小さい」電源供給を求めていることを補足しておきます。
 
日本においては、熊本のTSMCに続き、現在、北海道でラピダスが工場建設を進めていますが、北海道電力泊原子力発電所の再稼働なくして成り立つのかと、電力安定供給に対し懸念を呼んでいるところ。
 
こうしたことからも、必要な電源容量と時間軸を示し、原子力開発を進めていくことが極めて重要と考える次第です。
 
最後に参考まで、原産新聞によると、アメリカに関しては、自国での開発のみならず、視点は月にまで。
 
『米国 WE社が月面マイクロ炉開発を継続へ』
 
米ウェスチングハウス(WE)社は1月7日、米航空宇宙局(NASA)と米エネルギー省(DOE)から月面に原子炉を設置する「月面原子力発電(FSP)」プロジェクト向けのマイクロ炉の概念設計開発を継続する契約を獲得したことを明らかにしたとのこと。
 

【NASA 月面原子力発電(FSP)プロジェクトのイメージ図(原産新聞より引用)】
 
世界の「熾烈な電源(資源)獲得競争」はここまで来ているのかと、驚愕する次第です。

社会を取り巻く共通の課題は「科学リテラシーの底上げ」

ブログ 原子力 社会

多くの方が仕事始めとなった昨日。
 
あいにく冷たい雨が降るスタートとなったものの、今年初の週頭街頭を実施。
 
カッパ着用のうえ、いつも通り、車を停めさせてもらっている「ツルガ薬局」さんにご挨拶した後、街頭で話していると、同じくカッパを着て自転車通学(部活動かと)する高校生ともご挨拶。
 
雨をもろともせず、突っ走っていく姿を見送りつつ、約30分間、年頭の思いを伝えた次第です。
 
通勤、通学される皆様にはどう映っているか分かりませんが、「月曜日は必ず立つ」と決めている街頭活動。
 
天候に左右されることなく、自分で決めたことを今年も続けてまいる所存です。
 

【雨にも雪にも暑さにも負けず頑張ります!】
 
さて、その後は、カッパを脱いで市役所へ。
 
9時から行われた「仕事始め式」、続いて11時からはプラザ萬象での「新春市民交流会」に出席しました。
 
それぞれの場にて、米澤市長、中野議長のご挨拶を拝聴し、改めて敦賀の「今」と「これから」を考えたところですが、新春市民交流会の最後にご挨拶された敦賀商工会議所の奥井会頭からは、原子力の話題に多く時間を割かれ、第7次エネルギー基本計画案で示された建替え(リプレース)に関しては敦賀3,4号への第一歩、「福井県敦賀エリアを原子力・エネルギーの中核的研究開発拠点に整備していく」と明記(同計画P82)された点に関しては、敦賀市に設置する試験研究炉等へ寄せる大きな期待に加え、「このチャンスをまちづくりに生かしていきたい」と述べられました。
 
なお、敦賀2号の「再申請・再稼働」の言葉はありませんでしたが、これは言わずもがなと理解をし、エネルギーのまち「敦賀」にとって原子力は必要不可欠であるといった思いをありがたく受け止めるとともに、北陸新幹線効果、他産業の副軸化などによって、より強く、さらに発展するまちにとの考えを共有した次第です。
 
さて、原子力に関しては、エネルギー基本計画にもあるよう、将来に亘って利活用する大前提にあるのは「安全」と「国民理解」。
 
このうち、「国民理解」に関しては、昨日の福井南高校の調査結果にも表されるよう、原子力を「必要」と捉える方の割合が多数を占めるようになっているところですが、例えば放射線を「正しく恐れる」と言われるよう、根底にあるのは「科学的に」ご理解いただくことが肝要であることは、これまでも述べてきたところ。
 
これに関し、いつも拝読している「原子力産業新聞」の石井敬之編集長が昨日、同紙のWEB版 ABOUT from Editorsに「※科学リテラシーの底上げを」との記事を投稿。
 
※リテラシー:特定の分野に関する知識や理解力、それを活用する能力のこと
 
“2019年12月に「原子力産業新聞」を現在のWEBマガジン形式にリニューアルして以来、早くも5年が経過しました。かつては「業界内の壁新聞」との立ち位置であった「原子力産業新聞」ですが、今やGoogle検索のトップに躍り出るまでに成長しています。――「原子力」「新聞」で検索すると。”
 
との書き出しから、
 
“現在私たちの社会を取り巻く共通の課題は何か?それは科学リテラシーの底上げであることに、異論はないでしょう。や、もちろん他にもいろいろあるでしょうけれども。社会全体の科学分野のリテラシーを高めると、トンデモをトンデモだと見分けることができるようになりますよね。放射線で、食品照射で、ALPS処理水で、私たちを悩ませてきたトンデモを駆逐することができるはずです。”
 
“(中略)これからの「原子力産業新聞」は、社会全体の科学リテラシー向上に少しでも資するよう、貪欲に取り組んで参ります。そのためには原子力分野であろうがなかろうが、臆することなく積極的に取り上げていく所存です。すでに多くの企画が私の頭の中でゴウゴウと渦巻いています。あとは、実行に移す勇気のみ。”
 
と結ばれていました。
 
石井編集長とは、X(旧Twitter)でもつながる関係であり、社会全体の課題解決に向け、こうして臆することなく取り組まれていることに敬意を表する次第ですが、私自身、原子力産業新聞から多くのことを学ぶところであり、同じく「科学リテラシー」の底上げのため、微力ながら発信していく所存。
 
以下に、石井編集長の投稿ならびに原子力産業新聞のページをリンクいたしますので、それぞれご覧いただければ幸いです。
 
2025年も「原子力産業新聞」をよろしくお願い申し上げます。
 
 →2025年1月6日 原子力産業新聞 ABOUT from Editors(石井敬之編集長)
 
 →原子力産業新聞 WEBページ

『高校生の原子力に対する意識調査2024』が発行される

エネルギー ブログ 原子力

「小寒」の昨日は、終日冷たき風ながら、気持ちの良い快晴。
 
朝は神々しき野坂山を望み、夕方は金ヶ崎緑地でワンちゃんの散歩をした後、ランニングで自宅まで。
 
夕陽と重なる敦賀の景色で心身ともにリフレッシュしました。
 

【朝陽に照らされ、神々しき姿の野坂山】

【夕陽と重なる金ヶ崎緑地。多くの方が訪れていました。】
 
寒さ暑さはあるものの、今年も季節の移り変わりを楽しむ余裕をもって過ごせればと。
 
さて、話は変わり、昨日の福井新聞に掲載されていた、福井南高校の生徒たちが編集作成した『高校生の原子力に対する意識調査2024』について。
 
12月25日に発行されたこの調査は、埼玉県、東京都、福井県、京都府、兵庫県、島根県、鹿児島県、沖縄県、New Zealand(North IslandおよびSouth Islandで各1校抽出実施)を対象に2024年5月から6月にかけて一斉調査を行い、結果,国内外181校11,000名から得た回答を基に作成されたもの。
 
WEBに公開されているのは「調査概要及び結果」のみでしたが、早速拝見すると、「はじめに」には、“福井県内の原子力に対する意識差、という疑問を出発点に始まったこの調査も4回目を迎えました。調査対象地域の拡大とともに、その中身も大きく変更を重ねてきました。今年度は、「同世代の方々にエネルギー安全保障や原子力のバックエンドについて関心を持ってもらえるものにしたい」という私たちの思いを形にするために、掲載する情報やコンテンツも皆様が回答くださった自由記述欄を参考に試行錯誤を重ねました。”
 
“エネルギーや原子力、環境問題について考えるのは、難しいと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、この冊子を通じて「意外と身近だな」と思っていただけたり、「自分の生活や将来にどう関係しているのだろう」と考えるきっかけになれば幸いです。”
 
との生徒さんからの言葉がありました。
 
なお、意識調査のWEB公開版は、以下リンクよりご覧ください。
 
 →『高校生の原子力に関する意識調査2024』WEB公開版はこちら
 
国内合計や各都府県ごとの集計結果では、原子力発電にどの程度関心を持っているか、原子力へのイメージ、今後日本はどのようなエネルギーを利活用していけば良いか、原子力発電の廃炉に関連するクリアランス制度・資源についてどの程度知っているか、日本のエネルギー事情や原子力・教科書へのご意見などの設問があり、興味深く拝見。
 
とりわけ、原子力のイメージに関しては、「必要」とする回答が、“そう思う”、”ややそう思う”を含め68.3%である一方、今後のエネルギー利活用のトップは「太陽光」など再生可能エネルギーが上位を占める結果となっていました。
 

【WEB公開版より、上記設問部分を抜粋引用】
 
こうしたことを自身のXで紹介投稿すると、エネルギー関係にお詳しい方からは、「当たり前ですが、太陽光発電では日中した発電出来ない。一方使う側は24時間使いたい。そのギャップを埋めるのは何、って考えを進めて欲しいですね。高校生なら分かるでしょう。」とのご意見。
 
私からは、「自由記述欄も読みましたが、現時点では必ずバックアップ電源が必要なことまで理解して再エネを選択したか否かまでは?なお、東京や京都+福井ほか5県にニュージーランドまで、原子力立地・消費地を問わず、こうして高校生達がエネルギー安全保障やバックエンド等について考えることに意義があるものと感じました。」とお答えした次第。
 
各電源のメリット、デメリットは設問前にどこかで触れているのかもしれませんが、お答えしたとおり、まずは日本のエネルギー事情について関心を持っていただくこと、その次にS+3Eの基本的考え方を踏まえ、電力システム全体として何が最適解か考えていくことが肝要と感じた次第です(大人も然りですが)。
 
いずれにしても、次代を担う高校生の意識を知れることは、私にとっても意味のあることであり、本編も含めた調査資料をどこかで拝見したいと思います。
 
こうして毎年、テーマや規模を拡大し探求を進める福井南高校の生徒さん、先生方には頭が下がる思いであり、ここに敬意を表するとともに、今後も同世代の皆さんとともに、小資源国日本にとってのエネルギー・原子力について、意識を高める取組みを継続いただくことをお願いする次第です。

敦賀発電所2号機審査に関する二つの識者コラム

ブログ 原子力

昨日は、もんじゅ敷地内に設置する新試験研究炉について残念とするブログを書きましたが、一方、ここ数日、既設原子力発電所に関しては良いニュースがあったところ。
 
ひとつは、中国電力の島根原子力発電所2号機(以下、島根2号)が23日、約13年ぶりとなる再稼働(発電開始)を果たしたこと。
 
ふたつ目は、北海道電力 泊原子力発電所3号機(以下、泊3号)の新規制基準審査について、24日に開催された原子力規制員会(以下、規制委)の審査会合で全ての説明を終え、約11年に及ぶ審査を事実上終了。
 
今後は、安全対策などを修正した補正書を規制委に提出し、来年中に「合格」を得たい考えとありました。
 
島根2号の再稼働は、女川2号に次ぎBWRで2基目、泊3号は東日本で同じく女川2号、柏崎刈羽6、7号に次いで4基目の審査合格に向け見通しが立ってきたとあり、大変喜ばしく思うとともに、ここに至るまでの関係者のご尽力に心から敬意を表する次第です。
 
さて、そうした中、原子炉設置変更許可申請書の許可が認められなかった敦賀発電所2号機(以下、敦賀2号)においては、再稼働を目指すことに変わりなく、現在、再申請に向けた追加調査の検討を進めるところ。
 
私自身、一旦、法に基づく判断が下されたことを真摯に受け止めていることを前置きした上で、敦賀2号審査を巡る規制委の対応に関し、ここ最近あった、客観的視点からの識者コラムを2件ご紹介いたします。
 
時系列的に紹介しますと、1件目は、国際環境経済研究所 天野 健作氏(大和大学社会学部教授)が2024年11月14日に同研究所ホームページに投稿した『敦賀2号「不合格」にみる公正審査の疑わしさ』。
 
およそ12年間に及ぶ長期にわたる論争が決着した。とはいえ、何か腑に落ちない。日本原子力発電(以下、原電)が擁する敦賀発電所(福井県敦賀市)2号機は2024年11月13日、原子力規制委員会(以下、規制委)により、再稼働に向けた審査において、正式に「不合格」となった。新規制基準に照らし、敦賀2号は直下に活動層があることを「否定できない」と判断されたのである。規制委は2013年からこれまで、各地の原子力発電所27基を審査してきたが、初めての“落第”だ。
 
筆者は、2012年の規制委の発足直後から、記者として約4年にわたって東京・六本木にある規制委のビルに日夜通い続け、規制委の審査を見続けてきた。現地での活断層調査にも同行するなど、規制委の実態をつぶさに観察してきた経験がある(拙著『原子力規制委員会の孤独』に詳しい)。現在は大学教員として、環境問題の研究や教育に携わっているが、“古巣”の動向については、常に是々非々の立場で見守り続けてきた。果たして、今回の規制委の判断は胸を張って「公正」「中立」と言えるだろうか
 
とのイントロダクションにはじまり、「悪魔の証明」を求める規制委、「活断層は否定できない」、論調分かれるメディア、原電の逆襲は?の項目立てで述べられ、以下の通り結んでいます。
 
近く次期(第7次)エネルギー基本計画が策定されるが、原子力発電所の活用は増えこそすれ、減ることはない。規制委の審査への欺瞞が解消しない限り、こうした不幸な結論が今後も出てくる可能性がある。発足から12年経った規制委は、公正な審査のあり方を再検討し、規制委それ自体の組織を見直す必要があろう
 
→『敦賀原発「不合格」にみる公正審査の疑わしさ』全文はこちら
 
2件目は、クリスマスの昨日、原子力産業新聞に掲載された小島正美氏(元毎日新聞社編集委員)のコラムで、タイトルは『敦賀2号機の不許可理由「可能性を否定できない」は科学的な判断か?』
 

【同コラムのインターネット表示画面】
 
原子力関連で令和六年(二〇二四年)最大のニュースと言えば、福井県の敦賀2号機の再稼働の不許可だろう。「不許可」自体もビッグニュースだが、それを決めた原子力規制委員会の「活断層の可能性は否定できない」という主観的な判断理由も、歴史に残るだろう。ただ何か釈然としない気持ちがわいてくるのはなぜだろうか
 
との書き出しから、不許可の理由は「活断層の可能性を否定できず」、処理水に反対した地方紙はおおむね不許可を称賛、「悪魔の証明」は危うい論理、産経新聞だけは果敢に反対の論陣を張る、「予防原則の乱用」が怖い との構成にて述べた後、こちらも以下の通り結んでいます。
 
最後にひと言。今回の不許可報道で私が危惧の念を抱くのは「予防原則の乱用」が広がる恐れだ。「良くないことが起きる可能性が否定できない」という論理がまかり通れば、どんなテクノロジーも為政者の思うままに規制できてしまう
(中略)
もう一言。原子力発電所を動かすかどうかは、日本全体の未来を左右する極めて社会経済的な問題である。原子力規制委員会(五人の委員)に経済学やエネルギー、社会心理学など社会工学的な専門家がいないのはどうにも腑に落ちない。国民の代表である政治の側からの参戦をもっと期待したい
 
→『敦賀2号機の不許可理由 「可能性を否定できない」は科学的な判断か?』全文はこちら
 
(注)コラム中の「原発」は「原子力発電所」に、「敦賀原発」は「敦賀2号」に置き換えていますのでご承知置きください。
 
以上、本日は2件のコラムをご紹介しました。
 
規制委が、極めて「独立性」の高い3条委員会であるが故、「独善性」に陥らないようにとはこれまでも述べているところ。
 
欧米諸国の例も参考に、日本の原子力規制のあり方、改善すべき点等については引き続き、自分なりに研究してまいります。

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