福井県原子力平和利用協議会 第53回定期総会

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昨日は午前中に議会運営委員会、午後は福井県原子力平和利用協議会定期総会、夜は青少年健全育成敦賀市民会議定期総会に出席と中身の濃い一日。
 
議会運営委員会では、今年度予定しているタブレット導入や議員個人情報の公表などについて協議しましたが、昨今の社会情勢(プライバシー)や議員のなり手不足の関係から、市議会ホームページでの住所表記を現在の番地までから、選択制で町名までに留めることを可としてはとの提案に対し、議論はまとまらず。
 
議員は公人であり、従前通り住所はすべて公表すべきとの原則論は皆同じであるものの、どこまで配慮するのか、また議会として統一ではなく選択制として良いのか、論点はいくつかあるものの、再度会派に持ち帰り、改めて協議することになりました。
 
議会は「言論の府」であり、わが会派内においてもしっかりと協議をした上で、結論を出したいと思います。
 
また、敦賀観光ホテルで開催された福井県原子力平和利用協議会(以下、原平協)の第53回定期総会においてはまず、山口治太郎氏(元美浜町長)から河瀬一治氏(元敦賀市長)に会長が交代。
 
ご挨拶を聞いていても、まだまだお元気な山口氏ですが、高齢を理由に後任にバトンタッチするとのこと。
 
町長時代を含め、原子力発電の平和利用と理解促進に多大なるご尽力をいただいたことに心より感謝申し上げます。
 
後任の河瀬新会長におかれては、敦賀市長と併せ全国原子力発電所所在市町村協議会(全原協)の会長を20年お務めになられた、ご経験と知識はこの上ないお方。
 
国においては、第7次エネルギー基本計画への見直し論議が本格化する大事な時期からの任期スタートをなりますが、今後はますますリーダーシップを発揮され、会を牽引いただけますこと祈念する次第です。
 
総会では、令和5年度の活動実績や収支決算、令和6年度の事業計画や収支予算を承認した後、同協議会で作成した「福島視察研修ムービー」上映会、京都大学 複合原子力科学研究所所長・教授の黒崎健氏を講師に「原子力の魅力と課題・原子力の未来と人材育成」をテーマとした講演会と続きました。
 

【定期総会の様子】
 
ちょうど25日には、佐賀県玄海町議会が特別委員会で、高レベル放射性廃棄物の地層処分地選定に向けた第一段階の調査にあたる、「文献調査」への応募を町に働きかけるよう求める請願を、賛成多数で可決したところですが、上映された「ムービー」ではこの国家的課題にも触れ、「見て見ぬ振りは続けられない」、「今生きる大人の責任で解決する問題であり、他人ごとではなく自分ごととして考えよう」との言葉に大いに共感。
 
そのことも含め、非常にメッセージ性のあるものと感じた次第であり、ぜひ色々な場で放映いただくことを希望するところです。
 
最後に原平協副会長からありました閉会挨拶の中では、山口前会長からあった提案として、原平協では今後、「原発ではなく原子力発電(所)」、「核燃料サイクルではなく原子燃料サイクル」と言葉を正しく使う旨の周知、呼び掛けがありました。
 
これは、私も以前より、直接あるいはブログなどで申し上げてきたことと同じことですが、付け加えると、「核のごみではなく高レベル放射性廃棄物」であり、「老朽化ではなく高経年化」。
 
何が言いたいかと申せば、「原爆」や「核兵器」を思い浮かべるネガティブワードは使わないということ。
 
たかが呼称ひとつではありますが、非常に大事なことであり、これまた大いに共感をし、会場を後にした次第です。
 
原平協は私が生まれた1972年に設立した団体。
 
敦賀、嶺南に立地する原子力発電所とともに、原子力黎明期からの歴史は半世紀を超え、連綿と原子力への正しい知識と理解を深める活動を続けられていることに敬意を表するところ。
 
同協議会の今後ますますの発展を心より祈念申し上げるとともに、私も微力ながらお役に立てればと思います。

原子力災害時の住民避難は「効果的運用」を

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定期検査中の関西電力 高浜発電所4号機が4月23日夜に原子炉を起動。
 
東日本大震災以前も含めて、関西電力の原子力発電プラント全基が稼働するのは、全11基体制であった2008年12月~09年2月以来となるとのことであり、今夏の電力需給に対しても盤石の体制となることを喜ぶとともに、これを支える現場の皆さんに敬意を表する次第です。
 
原子力発電に関しては、こうして西日本のPWR(加圧水型)プラントの再稼働が進むなか、遅々として進まないのがBWR(沸騰水型)プラントですが、先般ブログでエールを送った東京電力の柏崎刈羽原子力発電所7号機を始め、東北電力 女川原子力発電所2号機や中国電力 島根原子力発電所2号機、日本原電 東海第二発電所の早期再稼働に期待が高まるところ。
 
そうしたなか、昨日は茨城県東海村議会の会派「新政とうかい」の皆さんが敦賀市を訪れ、嶺南Eコースト計画を始めとし行政視察をされ、一部私もアテンドさせていただきましたが、当地に設置される東海第二発電所の再稼働に向けた課題は、原子力災害発生時の「避難計画」。
 
この「避難計画」について、原子力規制委員会は4月22日、原子力災害時に屋内退避する場合の、効果的な運用を明確化するための検討チームを始動し、原子力規制庁および内閣府(原子力防災)の担当官に加え、放射線や原子力防災などの外部専門家、地方自治体の関係者をメンバーとして、今年度内に検討結果をとりまとめる方向で検討を進めています。
 
原子力災害対策指針では、原子力発電所が全面緊急事態となった場合にUPZ(概ね5~30km圏)内の住民は屋内退避をすることとしていますが、屋内退避の解除や避難への切替え等の判断は示されておらず、検討チームは2月14日の規制委で了承された、
 
・屋内退避の対象範囲及び実施期間の検討に当たって想定する事態の進展の形
・屋内退避の対象範囲及び実施期間
・屋内退避の解除又は避難・一時移転への切替えを判断するに当たって考慮する事項
 
の3点を検討課題とし、地方自治体等の意見も踏まえて効果的な運用の考え方や必要な事項をまとめるとしています。
 
原子力産業新聞の記事によれば、この課題に関連して、本検討チームの委員となっている敦賀市の藤村弘明危機管理対策課長は「住民への広報のタイミングや範囲も検討に加えていただきたい。能登半島地震以降、住民の皆さんの意識は高まっている」と指摘し、安定ヨウ素剤の確実な配布についても検討に含めることを要望。
 
規制委は、住民への周知とヨウ素剤配布について、検討課題に含めて必要な議論を行う考えを示したとのこと。
 
続く記事には、内閣府では屋内退避についてのわかりやすいリーフレットを作成し、各自治体に配布するなど、地域住民への理解促進につとめているが、今後とりまとめられる検討の結果をどう周知していくかも重要な課題になるとありました。
 

【内閣府の「屋外退避」リーフレット】
 
 →「屋外退避」の詳細はこちらをご覧ください
 
原子力発電所の再稼働に向けては、個々のプラントの安全性向上対策が整うことに加え、周辺自治体の避難計画策定も条件となるところ。
 
とりわけ首都圏に近く、100万人近い対象者を有する東海第二発電所においては、この計画策定が注視される訳ですが、先に述べたよう、「効果的な運用」に主眼を置いた議論が進むことを期待する次第です。

柏崎刈羽原子力発電所7号機が「再稼働」に向けて前進

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令和6年3月定例会の代表質問では、項目に掲げた「エネルギー政策」の中で、次期エネルギー基本計画見直し論議に向けて、既設原子力発電所の再稼働促進や次世代革新炉開発への投資支援、さらには「可能な限り原子力の依存度を低減」とする方針を削除することを国に進言いただけるよう、米澤市長に求めたところ。
 
とりわけ既設原子力発電所の再稼働に関しては、原子力産業新聞が電力各社から入手したデータによると、2023年度の国内原子力発電所の平均設備利用率は29.2%、総発電電力量は848億6,690万kWhで、それぞれ対前年度比0.9ポイント増、同51.4%増。
 
いずれも新規制基準が施行された2015年度以降で最高の水準となったことを歓迎する一方、現行エネルギー基本計画で定める2030年の電源構成における原子力比率「20〜22%」に向けては、既設の全プラントが稼働しなければ達成し得ない状況であり、未だ1基も稼働していない沸騰水型炉(BWR)の再稼働が期待されるところ。
 
そうしたなか、東京電力ホールディングス 柏崎刈羽原子力発電所7号機においては、プラントの健全性確認を進めるため、2024年3月28日に使用前確認変更申請書を原子力規制委員会へ提出。
 
あわせて同委員会と経済産業大臣へ使用前検査変更申請書を提出していましたが、4月15日に原子力規制委員会より、原子炉を起動する前までに行う使用前事業者検査を含む設備の健全性確認に向けて、安全対策設備の試験使用の承認を受けました。
 
これを踏まえ、同日より7号機の燃料装荷を開始。
 
同社のホームページでは、16日7時現在で12体/872体まで進んだとあり、慎重に作業を進めている旨、公表されていました。
 
さらに昨日、新潟県は柏崎刈羽原子力発電所の安全管理を有識者で議論する技術委員会を開催。
 
同委員会は専門的な知見をもとに、柏崎刈羽原子力発電所の安全対策について独自に確認している組織ですが、この日は原子力規制庁の担当者が出席し、審査における適合性判断などについて説明を行なったうえで、県や委員からの確認事項について回答。
 

【2時間を超え、説明ならびに質疑が行われた技術委員会(日本経済新聞より引用)】
 
小原座長は今後の方針について、「委員会として報告書など何らかの形で取りまとめることになる」との考えを明らかにしています。
 
なお、新潟県の花角英世知事は同委員会での議論を、同原子力発電所の再稼働を巡る議論の判断材料の一つにすると位置付けており、今後注目が集まるところ。
 
改良型沸騰水型炉(ABWR)の柏崎刈羽原子力発電所7号機。
 
実は、建設中に半年間、研修でお世話になった発電所であり、私にとっては「第2のマイプラント」。
 
今でも、原子炉圧力容器の吊込みやタービンの据付作業など、スケールの大きい建設現場を経験できたことに感謝するとともに、自身の貴重な財産となっているところ。
 
国内原子力プラントメーカーの叡智を結集した最新鋭プラントの早期再稼働を願うとともに、とりわけ東日本の安価で安定した電力供給に貢献されんことを切に応援する次第です。

敦賀の玄関口に彩りを添える「クリアランスポット」

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気温が20℃近くまで上がり、絶好のお花見日和となった昨日。
 
日曜と重なったこともあり、皆様方におかれましても、各所で見頃の桜に癒されたことと存じます。
 
敦賀では、金ケ崎宮の「花替えまつり」が終わったものの、桜はこれから満開を迎えます。
 
日本の桜の風情は散りゆくまでということで、今しばらくピンクの彩り、そこにある儚さを感じたいと思います。
 
さて、この時期は主役の桜を始め、様々な花が咲き始めており、まち全体に色彩があふれるところですが、これまでなかった敦賀駅前商店街を歩くと、そこにも彩りが。
 
3月の終わり頃からでしょうか、同商店街アーケードの柱部分に茶色のフラワーポットが設置され、今では植栽も終わり、可愛らしい花が観光客を迎える敦賀の玄関口に彩りを添えています。
 

【敦賀駅前商店街を彩るフラワーポット】
 
実はこのフラワーポット。
 
日本原子力発電株式会社(以下、日本原電)東海発電所(1998年に運転を停止)の解体工事で発生した廃棄物のうち、放射性廃棄物として扱う必要がないものを「クリアランス制度」に基づき、再利用して作られたもの。
 
なお「クリアランス制度」とは、廃止措置などに移行した原子力施設から出る金属製などの廃棄物のうち、極めて放射能レベルが低いものを分別し、原子力規制委員会の厳格な確認を経たうえでリサイクルする制度のことを言います。
 
そうして出来たフラワーポットは、駅からアルプラザ前の白銀交差点までの間に18箇所設置されるほか、柱には「クリアランス制度」に関する説明も掲示されています。
 

【ポットの銘板には「げんでん」の文字とともに、簡単な説明文が記載されています。】
 

【柱に掲示された「クリアランス制度」に関する説明板】
 
これまでは主に「クリアランスベンチ」として、経済産業省や文部科学省,原子力発電所構内や原子力に関わる学術機関、市役所などに設置されてきましたが,2021年4月には、高校では全国で初めて、福井南高校(日本原電から無償貸与)に設置されたところです。
 
さらに今回は、誰でも触れられ、目につく屋外のオープンな場所に設置されることで、広くクリアランス制度に対する周知,あるいは考えていただくきっかけになればと思う次第です。
 
また、敦賀港開港100周年を記念し、1999年に敦賀駅から神楽交差点までに設置された「宇宙戦艦ヤマト」、「銀河鉄道999」など松本零士先生監修のモニュメント28体は、敦賀が「鉄道と港」のまち、そして「科学都市」であることを表していますが、このクリアランスポットが加わることで、またひとつ、その意味合いにストーリー性や深みが増すのではと考えるところ。
 
いずれにしても、そういった意味合いをまずは市民の方、そして訪れる皆さんへと伝えていくことで、敦賀の魅力が一段と高まるのではと、併せて思う次第です。
 
結びに、クリアランスポットの設置を快く受け入れていただいた敦賀駅前商店街の理事長さんを始め、関係者の方々のご理解、ご協力に心より感謝申し上げるとともに、商店街の今後ますますの発展を祈念いたします。

関西電力美浜発電所3号機と高浜発電所1~4号機の運転差し止めを「認めず」

エネルギー ブログ 原子力

センバツ高校野球に続き、昨日は待ちに待ったプロ野球が開幕。
 
本格的な球春到来に加え、靖国神社の桜も開花宣言、そして敦賀では今日から「花換まつり」と、広がる青空と相まって春の訪れを感じる次第です。
 
そうしたなか、昨日は注目の裁判。
 
福井県内にある関西電力美浜発電所3号機と高浜発電所1~4号機について、地元住民らが関電に運転の差し止めを求めた2件の仮処分申請で、福井地裁は、いずれも差し止めを「認めない」決定を出しました。
 
2件の仮処分申請で、住民側はとりわけ、美浜3号機と高浜1、2号機が「40年超」で、※高経年化に伴う設備の劣化で事故発生のリスクが高まっていると訴えました。
 
※高経年化
原子力発電に慎重な方や、今ではマスコミも普通に「老朽化」のワードを使っていますが、技術用語にそのような言葉はありません。運転年数の長期化に伴う劣化などは「高経年化」、40年を超える発電所などは「高経年プラント」と呼ぶのが正しいため、皆様もお気をつけください。
 
これに対し、関電側は「施設の経年劣化を加味して安全性を確保している」などと反論。
 
訴えを退けるよう求めた結果、福井地裁は、関電の主張を認めました。
 

【写真は、安全性向上対策工事中の高浜発電所1(手前)、2号機(奥)】
 
全国の地裁では、過去に同様の裁判で原告側勝訴の例もあるだけに注視していた訳ですが、こうして科学的根拠に基づく、妥当な判断がされたことに安堵したところです。
 
なお、関電は運転開始から来年で40年となる高浜3、4号機も運転期間延長認可を規制委に申請しており、こちらも認可に向け、粛々と審査を進められることを見守る次第です。
 
また、エネルギーに関しては、連日追い掛けている「自然エネルギー財団」を巡る問題について、昨日は国民民主党の榛葉賀津也幹事長が会見で以下のように述べました。
 
そもそも管轄外なのに、なぜ河野太郎氏は気候変動の問題に携わっているのか。
 
河野太郎氏は外務大臣の時も、なぜか気候変動有識者会議を立ち上げ、この気候変動有識者会議に河野大臣は「自然エネルギー財団」の執行役員を3名も入れ政府の方針と異なる答申を出した。
 
河野太郎氏が防衛大臣の時も防衛施設を再エネにするという方針を出し、5割が再エネの基地もあるが、どの基地が、どれほどのエネルギーを使用するかが外部に漏れる事になる。
 
再エネ100%の基地や駐屯地もあるが、その再エネ企業の一部は華僑が大株主だ。
 
国家安全保障に直結する問題であり、なぜ河野太郎氏が「自然エネルギー財団」を重要するのか、本件の説明責任は内閣府と大臣にある。
 
以上が会見の要旨ですが、この重大な問題が大きく取り上げられないことが不思議でなりません。
 
ついては、国民民主党が追及しているよう、この問題の本質部分を明らかにしていただくとともに、次期、第7次エネルギー基本計画に向けた議論が本格化するにあたり、国の検討機関においては、真に公平公正な委員選定がされることを求めて止みません。

敦賀発電所1号機 営業運転開始から54年

ブログ 原子力

宇宙事業会社スペースワンの小型固体燃料ロケット「カイロス」初号機が昨日午前11時1分、和歌山県串本町のロケット発射場「スペースポート紀伊」から打ち上げられた直後に爆発。
 
民間単独による初の人工衛星打ち上げは失敗しました。
 
政府は民間を含め、2030年代には30機のロケット打ち上げを目指すとしているだけに残念ではありますが、歴史を見ても科学技術開発はチャレンジの連続。
 
この失敗を糧に、次の成功を期待する次第です。
 
さて、科学技術開発といえば、今日3月14日は、日本原電の敦賀発電所1号機(以下、敦1)が営業運転を開始した日。
 
この日を誕生日とすると、敦1(つるいち)は「54歳」。
 
私(52歳)とほぼ同世代の敦1は、我が国初の商業用軽水炉として運転を始め、1970大阪万博に原子力の灯(電気)を送ったことで有名で、まさに高度成長期の電力供給を支えたプラントです。
 
2015年4月27日には約45年間の運転を終え、現在は廃止措置を進めているところですが、原子力黎明期にあって、国益に資する新たなエネルギー源を確立するため、初めて尽くしの発電所建設から運転までを乗り越えた先人に敬意を表するとともに、社員はもとより協力会社、メーカーの皆さんまで多くの人に愛され、支え続けられた「敦1」の存在を今でも誇りに思うところです。
 

【昭和44(1969)年10月3日。初臨界を達成し握手する日本原電の一本松社長とカートライト GE東京支社長(2020年12月に開催された「敦賀発電所50周年 げんでんふれあいギャラリー」より)】
 
私も発電所で保修業務に携わっていた際には、敦1の設計者であるゼネラル・エレクトリック(GE)や東芝、日立などプラントメーカー、さらには多くの協力企業の皆さんとともに、担当する機器をまさに「愛車」をいたわるよう、愛着と情熱をもってメンテナンスにあたったことを思い返します。
 
そうした記憶、幾度かトラブル対応も経験しましたが、毎回の定期検査に無事起動できた時の達成感と充実感は即ち、原子力発電で社会に貢献することへの誇りでした。
 
なお、現在では敦賀発電所2号機が停止して10年以上が経過をし、運転経験のない発電所員の割合が増えてきているのは事実として、若い方々にはぜひ、今日のこの日を思い返し、原子力発電が果たす役割、そこに我々は必ずや貢献するとの強い意志をもって進んでいただきたいと思う次第。
 
冒頭のロケット開発と同様、原子力発電も2030年台には次世代革新炉による実証に進むロードマップとなっています。
 
「原子力の研究・開発・利用を推進し将来のエネルギー資源を確保する。学術の進歩と産業の振興とを図り、人類社会の福祉と国民生活の水準向上に寄与する。」との方針を目的に定めた「原子力基本法」(1955年12月19日)から69年。
 
基本法に込められた崇高な理念、そしてその礎を築いたのは、ここ敦賀の地であり、日本原電の先輩たちのパイオニア精神であったことに思いを馳せ、次の時代にチャレンジするとの気概を改めて胸に刻む次第です。

敦賀発電所2号機が営業運転開始から37年

ブログ 原子力

北陸新幹線敦賀開業日の切符が全国一斉に発売された昨日。
 
敦賀発東京行き「かがやき」の“一番列車”の切符を購入しようと、県内のJR各駅では鉄道ファンらが列をつくり、敦賀駅でも10人以上が並んだとのこと。
 
4分ほどで完売した切符争奪戦を制した人たちは「幸せ」「当日が楽しみ」と喜びをかみしめていたとあり、写真の表情に開業への期待の高まりを感じるところです。
 
そうしたなか、本日14時からは、第39期 敦賀市民歴史講座(最終講)「歴史の転換点としての北陸新幹線敦賀開業」(主催:気比史学会、共催:敦賀市、敦賀市教育委員会)を、きらめきみなと館で開催します。
 
「新幹線開業30日前イベント」ともなりますので、皆様奮ってご参加いただければ幸いです。
 
さて、今日は何の日?といえば、日本原子力発電(以下、日本原電)の敦賀発電所2号機(以下、敦賀2号)が営業運転を開始した日です。
 
営業運転開始日を誕生日とすると、今日で37歳を迎えたことになります。
 
実は毎年、この日を祝う気持ちを込め、このブログに掲載してきていますが、日本原電のホームページによれば、この敦賀2号は以下のように紹介されています。
 
<以下、日本原電HP引用>
1982年3月に着工(第1回工事計画認可)、同年4月に建設工事を開始し、 当初の予定よりも工期を4ヶ月あまり短縮し、1987年2月に営業運転を開始。この発電所は、わが国最初のプレストレスト・コンクリート製格納容器を採用して耐震性の一層の向上を図るとともに、国内外の新技術を積極的に導入し、各種の設備に種々の改良・改善を加え、安全性、信頼性、環境保全の各面に優れた発電所です(引用終わり)。
 
これまでの発電電力量合計1,923億kWhを誇る敦賀2号ですが、東日本大震災後の2011年5月7日20時00分に原子炉停止して以来、これで13年の歳月が流れようとしています。
 
なお、2015年11月に新規制基準への適合性確認審査を申請して以降、現在は原子力規制委員会による審査が進められており、先週も審査会合があったよう、敷地内破砕帯評価を巡る議論が佳境を迎えようとしているところ。
 
1990(平成2)年に入社し、敦賀発電所の保修業務に携わってきた私にとって、敦賀2号は思い出の詰まった、愛する「マイプラント」。
 
必ずや規制委員会の審査をパスし、再稼働を果たすことが使命と役割であると、今年の誕生日も思いを強める次第です。
 
人間も発電所も、37歳は働き盛り。
 
建設時代から現在に至るまで、これまで携わっていただいた多くの方々の期待を背負い、一日も早い戦線復帰を目指す所存です。
 

【再稼働を待つ敦賀2号。まずは審査突破!】

北海道寿都町と神恵内村の文献調査報告書案が公表される

ブログ 原子力

関西電力が昨年10月に策定した「使用済燃料対策ロードマップ」を踏まえ、2月8日には、美浜発電所、高浜発電所、大飯発電所における「使用済燃料の乾式貯蔵施設設置計画」について、福井県、美浜町、高浜町、おおい町に対し、安全協定に基づく事前了解願を提出したことは既にお知り置きのところ。
 
なお、乾式貯蔵は、東日本大震災時も、福島第一原子力発電所に設置された同貯蔵方式の頑健性が保たれましたが、原子力発電所構内の乾式貯蔵施設の設置については、日本原子力発電の東海第二発電所でも運用されているほか、現在、中部電力浜岡、四国電力伊方、九州電力玄海に関しても、原子力規制委員会による審査や、設計・工事認可の申請準備などが進められています。
 
先般開会した福井県議会においては、本件が大きな焦点だと取り上げられていますが、こうした背景や技術的観点を踏まえ、冷静な判断をお願いする次第です。
 
また、昨日開催された資源エネルギー庁「総合資源エネルギー調査会 電力・ガス分科会事業分科会 特定放射性廃棄物小委員会 第1回 地層処分技術ワーキンググループ」においては、原子力発電で生じる高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定を巡り、全国で初めて文献調査を進めてきた北海道寿都町と神恵内村の調査報告書案が公表され、政府が平成29年に公表した科学的特性マップで「好ましい地域」としたエリアとほぼ重なり、2町村いずれも次の段階の概要調査に進む適地があるとして、移行が可能としました。
 
文献調査は令和2年11月から開始し、対象地域の火山活動や活断層の記録、経済的価値の高い鉱物資源の有無などに関する約860点の研究論文や地質データを収集したものであり、同ワーキンググループでは、事業主体の原子力発電環境整備機構(以下、NUMO)が評価ならびに検討プロセスについて説明していますので、以下リンクよりご覧いただきたく。
 

→NUMO「文献調査段階の評価の考え方」 に基づいた評価及び検討のプロセス(2月13日 地層処分技術WG第1回会合 資料5より)はこちら
 
最終処分地選定を巡っては、次の概要調査に進むには地元の知事や市区町村長の同意が必要となりますが、北海道の鈴木直道知事はかねて調査反対を表明しており、この公表を受けて「現時点で反対」とするコメントを発表しています。
 
知事の考えの拠り所となっているのは、平成12年に制定された北海道における特定放射性廃棄物に関する条例が「処分場を受け入れる意思がないとの考えに立って制定されている」ことにあると考えられますが、一方、今後は道議会での議論とともに、様々な機会を通じて把握した道民意見を踏まえて「適切に対応したい」としており、「現時点で」の言葉と合わせ、まだ含みを持たせているものと認識する次第です。
 
国家的課題に果敢に手を挙げていただいた寿都町と神恵内村には心から感謝するとともに、次の段階に進むことを後押したい気持ちで一杯である他方、このまま鈴木知事がお考えを変えないまま判断された場合、また「ゼロ」の振り出しに戻ることから、全国で複数の自治体が文献調査に手を挙げることを、これも心から期するところです。
 
なお、繰り返しになりますが、本件は先送りできない「わが国が抱える課題」であり、「国主導で」とのスタンスは当然のこととしつつ、原子力発電所立地地域においても、真にわがこととして行動を起こす時期にあるのではと考える次第。
 
あくまでも私見ですが。
 
(お願い)
このブログをお読みいただいた方だけでも結構ですので、負のイメージを与える「核のごみ」ではなく、(少し長いですが)「原子力発電所で発生する高レベル放射性廃棄物」と称していただけるようお願いいたします。

#こころひとつに能登

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昨日の注目は、原子力規制委員会の「第1225回原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合」。
 
議題3として「日本原子力発電(株)敦賀発電所2号炉の敷地内のD-1トレンチ内に認められるK断層の活動性について」が取り上げられ、会合では、K断層の活動性評価(現地調査資料、コメントリスト及び回答時間、説明スケジュール、審査チーム作成資料)に係る確認を行い、審査チームと日本原子力発電株式会社(以下、日本原電)との間で共通認識となっていることが確認されました。
 
なお、今後の審査会合の進め方に関しても、審査チームと日本原電とで以下の事項について確認。
 
◉次回審査会合は、K断層の活動性に係る未回答の指摘事項への回答及びK断層の連続性についての確認、議論を予定していること。
◉次回審査会合後は、K断層の連続性に係る地質データの事前の確認を目的とした現地確認の実施を予定していること。
 
日本原電としては、K断層の活動性評価に係る指摘事項について、5月中旬までに全て回答するとしており、引き続き科学的議論によって、D-1破砕帯を含め、活断層ではないことが証明されることを注視する所存です。
 
なお、原子力規制委員会においては、令和6年能登半島地震に伴う原子力発電所への影響についても審査会合にて確認してきており、7日も北陸電力志賀原子力発電所に関する報告がされたところ。
 
同発電所においては、電源が確保されており、使用済み燃料の冷却に関しても問題はないとしており、こちらは規制当局の立場からも、引き続き強く発信いただくことをお願いする次第です。
 
一方、その能登地域においては、献身的な停電復旧作業が続けられた結果、北陸電力・北陸電力送配電が発表した「【停電・第40報】停電状況および電力設備の被害状況 (2月9日 12時00分現在)」によれば、石川県全体では99%以上の送電率に達し、甚大な被害が生じた輪島市・珠洲市においても約9割の送電率となり、全体として概ね停電が復旧した状況とのこと。
 
今後は、復旧の長期化が見込まれる輪島市や珠洲市それぞれの沿岸部などについて、現場へのアクセス改善に応じて順次、復旧作業を進めていくとしています。
 
配電設備に関しては、電柱傾斜:約2,240本、電柱折損:約730本、断線・混線:約1,600箇所という、想像を絶する被害のなか、最大約4万戸あった停電軒数は、今朝の時点で残り約1500戸。
 
ここまでの復旧に敬意を表するとともに、以降はより過酷で厳しい環境の中での復旧になろうかと思いますが、とにかく安全第一で作業にあたっていただきたいと思います。
 
最後に、北陸電力送配電がX(旧Twitter)に付けているハッシュタグ(#)は「#こころひとつに能登」。
 
同社の、そして現場で奮闘される皆さんの思いが込められたこの言葉が、胸にスッと染み入った次第です。
 

【北陸電力送配電のXポストより。本日もご安全に!】

原子力広報パンフレット「敦賀と原子力」

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閉会中の敦賀市議会ですが、昨日午前中は広報広聴委員会を開催。
 
2月末に発行予定の「議会だより」について内容をチェックするとともに、昨年11月に開催した「議会報告会」に関しては、委員会としてのまとめ、アンケートの集約結果などの確認を行いました。
 
「議会だより」も「報告会」も、身近で分かりやすい議会に向け取り組んでいるものですが、そうした観点からも、受け手側である市民の皆さんからのご意見は大変貴重なもの。
 
報告会のアンケートでは、実施方法や説明資料などに関する改善要望がありましたので、これを建設的に捉え、より良い形となるよう改善できればと思う次第です。
 
さて、「身近で分かりやすい」広報が欠かせないといえば原子力。
 
10年スパンでみれば、福島第一原子力発電所事故後の放射線の影響やALPS処理水海洋放出、関西電力の40年を超えるプラントの運転に関する対応。
 
また、直近では、令和6年能登半島地震における北陸電力志賀原子力発電所への影響に関することなど(1月18日のやまたけブログに関連投稿あり)。
 
振り返れば、風評の流布に対して、科学的に「いかに正確で分かりやすく」説明し、国民の皆様にご理解をいただくか。
 
このことは、自社の案件対応のみならず、「原子力の平和利用」を進める上で根幹にあるものとして、関係者の方々が対応されてきたものと認識するところです。
 
そうしたなか、半世紀以上に亘り原子力と共生してきた敦賀市においては毎年、原子力に関する知識の普及のため、広報パンフレット「敦賀と原子力」を発行しており、今年度版がつい先日、市ホームページにも掲載されました。
 
内容としては、日本原子力発電、日本原子力研究開発機構、関西電力が保有する敦賀半島に立地する原子力発電所の状況、高経年化した原子力発電所に対する規制について、放射性廃棄物の処分について(地層処分など)説明するほか、市民原子力研修会の開催も案内しています。
 
 →敦賀市HP「原子力広報パンフレット」はこちら
 

【令和5年度「敦賀と原子力」の表紙】
 
こうして毎年、最新の情報にアップデートし、行政の立場で発行されることは、知識の普及のみならず、住民の皆様の安心にもつながるものと受け止める次第です。
 
安心や不安の尺度は人それぞれであり、とりわけ原子力広報に「これで終わり」はないことから、事業者任せ、行政任せにするのではなく、自分自身も地道にコツコツと、伝え、発信することを続けていきたいと思います。

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