原子力人材の将来と「もんじゅサイトを活用した試験研究炉」

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6月定例会も後半戦に入った昨日は、予算決算常任委員会から議会運営委員会、議員説明会、さらには広報広聴委員会と続きました。
 
予算決算常任委員会においては、本定例会に提出された補正予算に関し、各分科会長からの報告、討論を踏まえ採決が行われ、全議案について原案通り認めるべきと決しました。
 
補正予算については、最終日29日の本会議にて予算決算常任委員会委員長からの審査結果を報告した後、採決の運びとなります。
 
さて、上記委員会審査と併せ、昨日の目玉は議員説明会。
 
内容は、文部科学省からの「もんじゅサイトを活用した試験研究炉に関する調査の概要について」の説明。
 
本件に関しては、突然決定された「もんじゅ廃炉」の後の平成28年12月、原子力関係閣僚会議における「もんじゅの取扱いに関する政府方針」により、「将来的には、もんじゅサイトを活用し、新たな試験研究炉を設置する」、「我が国の今後の原子力研究や人材育成を支える基盤となる中核的拠点となるよう位置付ける」との位置づけのもと、これまで外部委託により「新たな試験研究炉のあり方に関する調査」が行われてきているもの。
 
令和元年度までの外部委託調査結果については、本年5月20日に文部科学省の審議会(原子力科学技術委員会 原子力研究開発・基盤・人材作業部会)において報告がされており、令和2年度中には概念設計に着手、令和4年度中に詳細設計開始とのスケジュールまで示されているところ。
 
昨日の説明会では、ここまでの調査結果概要の説明に加え、質疑までが行われました。
 
もんじゅ敷地を活用した試験研究炉に関しては、私もこれまでの一般質問でも取り上げている他、福井県が進める「嶺南エネルギーコースト計画」との絡みや、先の国の審議会報告などの内容を注視してきたところでありますが、私も強く望む「原子力人材育成と産業利用」と背景にもある「地域振興」との兼ね合いから、大変シビアで難しいテーマであるとつくづく感じているところでもあります。
 
この日は、基本的な発電用原子炉と試験研究炉の違いや国内の試験研究炉の現状説明のうえで、本題の「もんじゅサイトを活用した新たな試験研究炉に関する検討状況」について報告がされました。
 
ちなみに、ここでは詳細説明まではありませんでしたが、研究炉については、学生など原子力人材の育成という用途、物質の性質を調べる基礎研究や放射線を使った医療、産業技術開発などの産業利用用途などがあり、京大研究炉では探査機「はやぶさ」が小惑星イトカワから持ち帰った微粒子の解析も行われるなど、まさに「原子力の平和利用」がされていることを補足させていただきます。
 
そのうえで、とりわけ注視すべきは、我が国の原子力人材育成と試験研究炉の現状。
 
これは私も以前から調べてきていることでもある訳ですが、原子力に係る人材は東日本大震災以降、大学院を含めて国内で原子力を専攻する学生は減少の一途を辿っている他、教員の減少と高齢化も深刻化していることに加え、現在4施設の稼働のみとなっている人材育成を支える試験研究炉に関しては、各大学が保有するその多くが建設から40年以上経過するなど高経年化が進んでいることや新規制基準への対応が困難となっていること、さらには国立大学法人に対する運営費の減少(研究費への影響)や使用済み燃料の問題などにより廃止の方針を示す研究機関もあることなどから、今後の運転再開予定は多くて8施設(現在稼働中を含む)となっており、将来に向けても大変危惧されるべき状況となっています。
 
代表的に取り上げられる京大複合原子力科学研究所(大阪府熊取町)の湊・京大理事からは「国が原子力や放射線の人材育成・研究が不可欠と考えるのならば、使用済み燃料の引受先を含めて政策を示して欲しい。京大だけではなく、国の将来像に係る問題だ。」と訴えているように原子力人材の育成と大学研究炉の将来については、政府としても早急に方策を示していく時期にある(2019年9月14日の読売新聞記事より)とされています。
 

【京都大学研究用原子炉(KUR)炉室 @同大学ホームページより】
 
話しがかなり拡散してしまいましたが、そういった国内の状況もある中で新たに検討されているのが、この「もんじゅサイトを活用した試験研究炉」であり、国の危機意識や本気度が示されるべきであろうと考えるところです。
 
文科省の資料によれば、「我が国全体の研究基盤が脆弱化する中、将来的にもんじゅサイトに設置する試験研究炉には、西日本における、研究開発・人材育成の中核的拠点としての役割が期待される」とあります。
 
私は、これまた議会でも発言している通り、原子力研究と言えば「東の東海村(茨城県)、西の敦賀」となり、「今後国内で原子力を学ぶ学生さんは必ずや敦賀の地を踏み、技術者として敦賀から世界に羽ばたく」ようなビジョンを持って進めるべきと強く考えるところであります。
 
なお、こうして学生さんを始め、国内の原子力研究者、さらには国外からも技術者が集うようなまちになれば、自ずと交流人口や定住人口も増え、国際会議なども開かれるようになれば尚のこと、地域振興の一助にもなるものと考える次第であります。
 
現段階においては、「役割が期待される」に留まった文科省の考えでありますが、この先調査が進むにつれ、「役割と位置付ける」との国の力強い考えが示されるよう、引き続きこの課題には注視のうえ対応にあたる所存です。

地元の声や職場の思いはどこから届いたのか?

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昨日は、地元福井選出(比例北陸信越)であり、連合福井が推薦する斉木武志議員が、衆議院 経済産業委員会にて「日本原電」をテーマに質問されるとの情報を得たことから質疑の模様を視聴させていただきました。
 
同じ日本原電の発電所が立地する地元同士との枕詞を述べられつつ、茨城県選出の梶山経済産業大臣と交わした質疑の内容のポイントは以下の通り。
 
①日本原電は、定款により原子力で手足を縛られている企業であり、原子力発電所を何としてでも動かそうとしており、敦賀2号審査での書き換え問題の「改ざん」のような、どんな手を使ってでも、リスクを犯してでもという話しになる。これは原子力でしか生き残る道がない企業として当たり前のことかも知れないが、縛りとなっている定款を変えて柔軟な選択肢を与えることが大事であり、経産省からも指導してはどうか。
日本原電も株主が良いと言えばやると言っている。
 
②敦賀3、4号増設の「空き地」がドライキャスク置場になるのでは無いか。中間貯蔵という名の最終処分場になるのではとの懸念が地元にはある。
 
③電力需要は既に低下し、今後もその低下傾向が進むという中で、敦賀3,4号の電気は受電会社である関西電力も北陸電力も「買わない」と言っている。コスト感のない増設は止め、1,600億円を投じて出来た「空き地」には「水素発電所」を建ててはどうか。
 
④日本原電は、国策民営として原子力をやってきた会社、国策としてリニューアルを促し、今度は電源開発や日本原燃と合併も視野に入れるべき。
 
私の議事メモベースにつき、詳細は国会議事録にて精査するとしまして、概ねこのような内容でした。
 
梶山大臣は、「仮定の話に考えを述べることは避ける」、「民間会社の経営に関わることであり答弁を控える」とのことで、明確な答弁はほぼなかったと認識しています。
 
私はこの斉木議員の質問を客観的に聞いていて、原子力産業に勤める当事者であるということを除いたとしても正直、違和感を覚えました。
その違和感とは次のようなことです。
 
◉議員が質問の裏取りとしてヒヤリングされたのであろう、発言の中で出てくる「地元の声」、「日本原電が良いと言っている(①の部分)」、「関電や北電は買わないと言っている(③の部分)」は、日本原電に勤め、地元敦賀に住む私の耳には全く入って来ておらず、むしろ聞こえてくるのは真逆の声(再稼働や新増設への期待など)であること。
◉敦賀2号審査での書き換えの事実はあったものの、恣意的な「改ざん」と断定(決め付けて)し、あたかも悪いことをする企業だと発言していること。
◉議員は連合福井の推薦を受けた国民民主党福井県連の代表であり、即ち「働く者の声を国政の場に伝える」立場でおられる訳ですが、本件に関して電力関係者、とりわけ原子力発電所の最前線で働いている者の思いや受け止めなどを汲み取られていない。つまり、発言された内容は「どこから聞いた、誰の声なのか」ということ。
◉一民間企業である日本原電の定款を、国が介入して変えさせるべきと言っていること。
◉敦賀3,4号の敷地は、今なおメンテナンスも行っている「増設予定地」であり、「空き地」ではない。
◉そもそも論として、国策を論ずるべき立場にあり、少資源国である日本が取るべきエネルギー政策「ベストミックス」における原子力の位置づけがあるものの、現実論としての政策転換がない中で、コスト論で原子力を排除していること。
 
先ほど述べたように議事精査のうえ、違和感の部分については再整理したいと思いますが、私も連合福井推薦議員の一人であり、原子力立地の地元議員として、斉木議員に真意を確認する権利はあろうかと思いますので、その旨心に留め今後対応していきます。
 
ちなみに敦賀市の最上段の政策である「総合計画」において「原子力とは今後も共存」としていることや、これまでの市議会の質疑でも「原子力があったうえでの産業の副軸化」と答弁されていることこそが「最たる地元の声」ではないかということも機会を捉え、議員にお伝えしたいと考えます。
 

【敦賀発電所3,4号機増設予定地全景(2017年11月撮影)←日本原電HPより】

原子の灯から半世紀、Fukushima50に思う

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1970年3月14日に日本原子力発電敦賀発電所1号機が営業運転を開始してから、昨日で50年。
 
半世紀前のこの日、原子の灯が大阪万博にも送られ、我が国における新たなエネルギーの時代が幕を明けました。
 
1972年生まれの私にとって、また入社当時から敦賀発電所1号機の保修業務に携わってきた立場として、「敦1(つるいち)」は、親友でもあり、親でもあり、同志でもあるような、単なる原子力施設や職場を通り越した存在でした。
 
そして、敦1に関わる人。
原電の先輩は勿論のこと、関連・協力企業の皆さん、メーカーの皆さん、携わる全ての人が敦1を大切にし、担当する設備を愛車や我が子のように可愛がる姿を見て育った私の中には、自然と強いマイプラント意識が芽生え、廃炉となった今でもその思いと育ててもらった感謝の気持ちは続いています。


 
そんな日に思いを馳せながら観た「Fukushima50」

 
故郷に背を向けなければならなかった方々、故郷を守るために命を張ってプラントを守った方々、原子力発電の黎明期から続く先人達の思い、自然の脅威、原子力に携わる自分、そして今。
 
様々な思いが交錯し、感情を抑えることが出来ませんでした。
 
ここで、これ以上感想を述べることはしません。
只々、「死の淵を見た男」吉田所長の思いとは何であったのかを常に自問自答し、原子力に携わるひとりとして役割を果たすのみであります。

福島第一原子力発電所「処理済水」の処分方法について

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以前にも投稿しました福島第一原子力発電所の処理済水(原子力規制委員会ではトリチウム水ではなく処理済水との言い方に努めている)の処分方法に関わる問題については、日本記者クラブ取材団が同発電所を取材したことを受け、昨日の新聞各紙で大きく取り上げられていました。
 

 
ALPS 処理水の処分方法については、経済産業省資源エネルギー庁の「多核種除去設備等処理水の取扱いに関する小委員会」において、科学的な安全性を大前提に、技術的に実現可能な処分方法として、地層注入、海洋放出、水蒸気放出、水素放出、地下埋設について検討を行い、その結果、①希釈して海に流す海洋放出、②蒸発させる水蒸気放出、③海洋放出と水蒸気放出の併用の3案に絞られています。
 
既に処理済水を海洋放出するにあたっては、放出基準を十分に下回ることを原子力規制委員会も確認しているところでありますが、上記の小委員会資料によれば、仮にタンクに貯蔵されているALPS処理水を1年間で処分を行ったとしても、海洋放出で0.000052~0.00062mSv/年、水蒸気放出で0.0013mSv/年となり、自然放射線による影響(2.1mSv/年)の千分の1以下のレベルであるということをご理解いただければと思います。
 

 
比較論で言えば、世界各国の原子力施設においては、福島第一を大きく上回るトリチウムを放出(例えば韓国:馬鞍山原子力は年間で約20倍の液体放出)しているものの、安全上の問題は発生していません。
 

 
すなわち、この問題に関しては、放射線影響について問題ないとしたうえで、小委員会でも述べている通り、関係者、国民の皆さん、報道機関への「情報不足」により、「風評被害」が拡大することのないよう、安全に関わる「科学的事実」を丁寧に説明することが重要としています。
 
原田前環境大臣が「海洋放出しか方法がない」と述べたように、国や政治家からの発信はもとより、皆が関心を持って「事実を知る」ことこそが、この問題を前進させ、ひいては福島の風評被害、さらには国益に資すると考えることから、自身も引き続き、その思いを持って行動していきたいと考えます。

ゆうあい倶楽部の仲間と大飯発電所へ

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人それぞれ、気心の知れた仲間やつながりというのをお持ちかと思いますが、私にとっては嶺南地区友愛会の流れを汲む「ゆうあい倶楽部」がそのひとつ。
 
昨日は、その「ゆうあい倶楽部」が年に一度開催している視察研修会に出席。
視察のメインは、関西電力大飯発電所。
 
大飯発電所は、1・2号機が平成30年3月に運転を終了、3・4号は新規制基準審査に合格の後、定格熱出力一定運転を継続しているところ。
とりわけ大飯3・4号機は、私のマイプラントである敦賀2号と同世代の、いわゆる「兄弟プラント」であることに加え、若かりし頃、タービン主機定期検査の現場作業を学ぶため、約1ヶ月間、民宿住まいで研修させていただいた思い出と親しみのある発電所です。
 
視察のほうはバスで工程を進め、おおい町にて関西電力が運営する「エルガイアおおい」にて事前説明と運転シュミレータ訓練の様子を拝見した後、青戸大橋を渡り発電所に向かいました。

 
余談のご紹介ですが、エルガイアでは施設内にある大型シアターを有効活用すべく、職員さんが描いたり、撮影した様々な絵や写真をバックに記念写真が撮れるサービスを行っています。
季節柄、私もクリスマスのショットで撮影いただきました。
(動画を掲載出来ないのが残念ですが、実際は雪降る動画で流れます)
一人の撮影はやや寂しい訳ですが、良き記念となりますので皆さんもお立ち寄りの際には、是非お試しくださいね。

 
思い出の発電所のほうは、セキュリティの関係もあり、バス乗車にて構内を回る形でありましたが、バーチャルリアリティー方式により、原子炉建屋やタービン建屋などに立ち入った感覚が得られることから、視察された皆さんの理解も深まったようでした。
 
新規制基準適合性審査対応の際には、所員の皆さんの大変な労苦と大規模な対策工事が行われた訳でありますが、昨日の発電所構内は、そのことを感じさせない静寂さ。
2機で236万kwを誇る発電所が、24時間弛むことなき運転監視と運営管理のもと、関西圏の電力供給に貢献していることに、同じ原子力産業に勤めるものとして、静かに胸の中でエールを送り、発電所を後にしました。
 
我が国における原子力発電の必要性に関しては、一昨日の議会の討論でも述べた訳でありますが、国民の約半数が必要性を「否」とする状況でありますので、客観的事実と科学的根拠をもって判断される方が増えるよう、「なぜ必要なのか」、「なぜ不要なのか」の議論が国レベルでオープンに進むよう期待するところであります。
 
視察のほうは、この後、「三方五湖に浮かぶ天空のテラス」をコンセプトに整備を進める「レインボーライン」、昨年完成した「世界標準の年代のものさし」と呼ばれる「年稿博物館」にて、詳細且つ丁寧な説明をいただきました。
こちらのほうは、また機会を改め報告したいと思います。
 
福井県嶺南地域にある財産を改めて見直しつつ、仲間とともに学ぶことが出来た大変有意義な一日となりました。

高経年プラントの再稼働反対請願に対し討論する!

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11月26日に開会した令和元年第7回定例会は、昨日、全提出議案の審議を終え閉会しました。
 
二度の入札不調により、工事への影響が心配されていた市庁舎建設工事においては、三度目の入札結果、12月12日に落札がされ、契約案件として最終日に議案提出のうえ、委員会付託を経て可決されました。
年明けの1月中旬には起工式を行う予定としており、生まれ変わる敦賀市のシンボルの完成を楽しみに、安全作業での完遂を祈念するところであります。
 
また、市民からの関心の高い「敦賀きらめき温泉リラ・ポートに係る調査特別委員会」からは福谷委員長から中間報告が行われ、調査の経過や詳細な状況が説明されました。
タイトなスケジュールのもと調査を進めてきた当委員会の一員として、議会での報告をひとりでも多くの市民の皆さんに聞いていただけたのであれば幸いかと思った次第。
今後、調査は本格化していきますが、公開の原則に基づき、公平・公正の視点をもって対応していく所存です。
 
最終日には、請願3件の採択も行われました。
このうち、関電の一連の問題に端を発し提出された「老朽原発再稼働に関する請願」については、付託先の原子力発電所特別委員会(原特)での審議結果「不採択」扱いとなった旨、本会議にて原特委員長からの報告がされた後、賛否討論のうえで採決が行われました。
 
少しややこしいのですが、「請願に賛成、すなわち委員長報告に反対」の立場では、日本共産党議員団の山本貴美子議員から、私は「請願に反対、すなわち委員長報告に賛成」の立場から各々討論を行いました。
※採決の結果、委員長報告の通り「不採択」
 
以下に、私の討論の内容を掲載しますのでご覧ください。
 
(やまたけ討論:全文掲載)
【請願第7号】老朽原発再稼働に関する請願に対する討論
 
市民クラブの山本たけしです。
 
私は、請願第7号「老朽原発再稼働に関する請願」を不採択とする委員長報告に賛成の立場から討論を行います。
 
まず、我が国における原子力発電所の運転期間については、原子力発電所が建設された当時、法令上の定めはありませんでしたが、福島第一原子力発電所事故の後に改正された原子炉等規制法によって、運転できる期間は運転開始から40年。
ただし、原子力規制委員会の認可を受ければ、20年を超えない期間で、1回に限り延長できるとする、いわゆる「運転期間延長認可制度」が規制されました。
 
そのうえで、関西電力のみならず、国内の原子力発電所においては、建設段階から、長期間の運転を考慮し、材料、強度、寸法等に十分な余裕を持たせて設計していることに加え、営業運転開始から30年を迎える前に「高経年化技術評価」を行うとともに、評価に基づき策定される「長期保守管理方針」により、個別機器の点検・修繕の計画(いわゆる保全計画)を運転サイクルごとに届け出て国の確認を受けています。
 
このように、原子力発電所の高経年化対策は、日常的な点検や計画的な機器の取替えなど、適切な健全性確認をするとともに、経年的な変化の傾向を把握し、故障に至る前の保全、さらに、常に最新の技術基準に対応していることから、長期間運転を継続した原子力プラントにおいても高い安全性が確保されているものと考えます。
 
よって、関西電力が保有する高浜1、2号機、美浜3号機は、先に述べた対応を図りつつ、運転期間延長認可申請をし、原子力規制委員会の厳格な審査を経て、結果60年までの運転について認可されたものであり、請願にある「運転を続けるとそれらの物がどんどん安全使用の限界を超えていく」との考えは、こうした客観的事実や科学的根拠に基づかないものであると考えます。
 
次に、「原子力発電所の再稼働」について。
 
まず、請願の事実認識について。記載には「福島原発事故から5年間は、原発が稼働せず原発で作られた電気は全くなくても私たちの暮らしに何の問題もありませんでした。現在でも原発で作られている電気は2%程度でしかありません」とありますが、実態としては、経済産業省 資源エネルギー庁「総合エネルギー統計」によれば、事故後原子力による発電がゼロであったのは、「2014年の1年のみ」、続いて現在の原子力発電の需給割合に関しては、同じく資源エネルギー庁が先月発表した「電力調査統計(2019年8月分)では「5.8%」となっており、事実認識が実態と異なるものであることを指摘させていただきます。
 
そのうえで、福島事故後の電力供給に関しては、各電力会社が既に運転停止、あるいは運転年数の古い火力発電所をフル稼働させ炊き増ししたことや、運転やメンテナンスに必要な人員を総動員し供給体制を整えるなど、昼夜分かたぬ対応を図ったことに加え、企業・国民の皆さんの節電に対する協力があったからこそ成り立ったものであり、容易に電力供給を維持出来た訳ではありません。
 
現時点においては、天候によって発電量が左右され、貯蓄機能のない太陽光を始めとする再生可能エネルギーは、主力電源に成り得ず、不安定な中での系統接続の問題や固定価格買取制度による賦課金は、年間2.4兆円に及ぶなど大きな国民負担となっています。
また、ベースロード電源を支える火力発電所は化石由来であることから、ホルムズ海峡に象徴される中東情勢の影響など、外的要因によって生じる大きなリスクを抱えていることを忘れてはなりません。
 
よって、既に閣議決定している「第5次エネルギー基本計画」や「第5次環境基本計画」、あるいは「パリ協定に基づく成長戦略」に示されているとおり、少資源国である我が国のエネルギー安全保障、経済性、気候変動や温暖化対策の観点から、「原子力発電は、安全性の確保を大前提に今後も活用すべき存在」としており、国民生活と経済活動の血液とも言える電気の「真の安定供給」につなげるためにも、安全が確認された原子力発電所の再稼働を進めるべきであるとの考えから、請願の項目に反対するものであります。
 
以上、本請願に対する私の考えを申し上げ、委員長報告に賛成の立場での討論といたします。
議員各位のご賛同を宜しくお願いいたします。
 
 
次回、3月定例会は2月25日開会となります。
年末年始を挟むこの間ではありますが、市民の皆さんへのご報告とご意見をお伺いする場をひとつでも多く設け、市政に反映できるよう取り組んで参ります。

飛翔(はばたく)原子力機構

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有楽町朝日ホールで開催された報告会

昨日は、横浜での図書館総合展(詳しくはFacebookで紹介)に続き、有楽町朝日ホールで開催された「第14回原子力機構報告会」に出席。

原子力機構報告会は、昨今の原子力・エネルギーに対する関心の高さを表すかのように約500名の参加のもと盛況に開催されました。

従来は、言葉通り、機構からの活動報告メインであったとのことですが、今回は若手技術者による研究成果発表や2つのテーマでのトークセッションなどもあり、大変興味深く拝聴させていただきました。

原子力機構となって15年を迎え、将来に亘って貢献するために何を目指し、そのために何をすべきかという将来の姿を「JAEA2050+」として取り纏め、①気候変動問題の解決、②エネルギーの安定確保、③Society5.0の実現の3つのテーマに貢献していくため、原子力技術を通じた取組みを進めていくとのことであり、2部構成でその内容紹介がされた。

第1部は、「将来ビジョン」に関する研究成果発表とトークセッション。
①機械学習が開く放射線計測の未来
②高温ガス炉による水素製造技術の研究開発
③スピンによるエネルギーの有効利用と展望
正直、私の知識レベルでは到底完全理解に至らない訳ですが、3項目ともに若手の技術者が理路整然と成果を語られる姿、原子科学で将来のエネルギー問題を解決していくとの強い気概に感銘を受けた次第。
特に③に関しては、電子が持つスピン(磁気の流れ)を利用し、起電力につなげていくとの研究であり、IoTなどを含む未来社会に向け、超小規模で分散的な電力供給を可能とする凄い発想と理解することが出来ました。

トークセッションでは、「原子力機構の研究と社会との関わり」をテーマとして、5名のパネリストのもと意見紹介されました。
機構に対して望むことの問いに対しては、
社会に役立つ研究成果、高温ガス炉や小型モジュールを30年以上も前から研究開発してきたことを知らない若い人も多いのではないか。
今さら「社会貢献」「社会に役立つ研究」と言わなくても、どうして研究成果が実現に至らなかったのかを話してもらうべき。
根本的な原因は、日本民族が将来を見ない、リスクに対する考えが乏しいことであり、そういう面のコミュニケーション(一般市民レベル)をしっかりやっていって欲しい。
説得できるための人材、タレントを作ることが重要で、コミュニケーションが足りないのでは。
などの提起がありました。

第2部のトークセッション

第2部においては、「福島の復興・再生への貢献」をテーマとし、復興・再生に向けた機構の取組み報告、除染廃棄土壌の現状についての基調講演の後、トークセッションが行われました。

イノベーション・コースト構想については、廃炉・ロボット、農林水産などに関し、特に人材育成に力を入れ進めてきており、南相馬のロボットテストフィールドには、大企業やベンチャー、研究者含めて集まってきているとの報告。

一方、夢だけでは食べていけない。
10年後に何をしているのか、子どもたちや若い世代にどういう道を進めて上げられるのかの筋道を大人が見せてあげることが必要。
教育は、一過性でなく、一連の道として、長いスパンでもう少しデザイン出来れば良いと考えている。
産業復興のためイノベーション構想で前を向いていくが、医療分野など、非生産部門も基盤を支えているという認識をもっと持つことが大事。
30年後の未来にあるべき姿を見つめながら進めていくことが必要。
といった意見に、思わず納得。

いずれにしても、今までもそしてこれからも日本を代表する原子力研究機関である原子力機構の役割は大きく、今後も様々な分野で貢献されることを期待する次第。

昨朝は朝一番の移動となりましたが、伊吹山と朝日、そして晴天の富士山と気持ちの良い眺め。
この眺めのように、我が国における原子力・エネルギーも気候変動対策も、明確な展望を掲げ進まねばならないと改めて誓う1日となりました。

(おまけ)昇る太陽と左は伊吹山
(おまけ)富士山と富士川の見事なコラボ

海洋放出論議は国会でも

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完成が近づく市庁舎立体駐車場

市庁舎右隣で工事が続けられていた立体駐車場。
外側を覆うシートも数日前に取り外され、いよいよ最終段階に入ってきたよう。
東京オリンピックの影響等による工事資材調達の関係から、当初計画より2ヶ月遅れの運用開始となったものの、やはり新しいものが出来るのは楽しみなもの。

さて、先般も取り上げた福島第一原子力発電所の処理水海洋放出に関する件について、昨日開催された衆議院経済産業委員会にて質疑が交わされました。

質問者は、日本維新の会の足立康史議員。

韓国は年間日本の6倍のトリチウム水を放出していると何故言わないのか。
韓国が国際社会で言うことを、日本のマスコミが発信することが日本国内での風評につながっている。
国民に対しては風評、世界に対しては数字、科学的根拠をもって発信すべし。
日本国民は知らしむべからず。
日本のどこでどれだけ放出されているかを国民に説明するのは、政府がやるべき仕事。

との質問、主張に対し、梶山経済産業大臣や経済産業省からは、

国際社会に対し、科学的な事実に基づいて透明性をもって丁寧に発信していく。
各国の原子力発電所からの放出量も含め、色々な場で適切に且つ丁寧に発信していく。
と回答されました。

足立議員は、続いて
日本政府自身が、国内外で適切な議論が出来ないのであれば本末顛倒。
タンクに貯めておくことのリスク(腐食による漏洩など)と風評のリスクどちらが大きいのか。
など吉村大阪府知事、松井大阪市長と同様、「科学が風評に負けてはいけない」とのスタンスで主張と提言をされました。

この点に関しては私も全くもって同感。
こういった国会論戦の内容こそ報道されるべきですが、恐らく新聞誌面を飾ることはないでしょう。
それであれば尚のこと、国民理解を深めるためにも、所管省庁や政府の発信を求めつつ、関係者自らがこのような議論がされていることを発信していかねばと考える次第。

役割を終える東濃地科学センター

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昨日から友好都市である岐阜県各務原市議会との交流会に出席。

各務原市と敦賀市は、平成元年に友好都市の締結をし、今年で30年を迎える。
これまでの間、産業、文化、スポーツなど様々な分野で交流を図り、両市の発展に寄与するなど結び付きは大変強く、今回初めて出席した私もその意義と役割を感じることが出来た。
数あるまちの中から敦賀市を友好都市として選択いただいたことへの感謝を忘れず、引き続きこの関係性を大切にしていきたい。

交流会に先立ち、議員研修として、同じ岐阜県の瑞浪市にある「東濃地科学センター」(日本原子力研究開発機構)へ。

このセンターは、原子力発電所の運転に伴って発生する高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、地下深部における地質環境の特性や長期の安定性などについて研究する、いわゆる「地層科学研究」を行っているもの。

センターロビーにて。これまで4万人を超える見学者が訪れている。

この研究センターにおいては、地層処分を安全に実施するため、地下について岩盤の強さや地下水の流れ、水質などの調査を始め、実際に研究坑道(立坑・水平坑道)を建設し、様々な角度から研究を行っており、特に立坑の深さは500mにも及ぶ。

15年ぐらい前に訪れた際には、確か地下深度300mまでしかなかった記憶があるが、その後も地道で確実な作業を続けられ、この深度まで到達したことに密かに驚いたところであり、この日は立ち入り可能な300m坑道を視察させていただいた。

地下300m坑道にて調査概要の説明を受ける。
深度500mまでの坑道レイアウト。

この「地層処分」については、世界中で様々な方法が考えられた結果、最も技術的に実現性が高いとして、既にフィンランド、スペイン、フランスでこの技術を採用しているほか、スイス、ドイツ、イギリス、アメリカ、カナダなどでも処分地の選定や研究開発を進めており、今や世界標準となりつつある。

日本国内においては現在、高レベル放射性廃棄物の最終処分に関しては、原子力発電環境整備機構(NUMO)が全国各地で説明会を開催するなど、「地層処分」について国民の理解活動にあたっているところ。

この「東濃地科学センター」は、瑞浪市との土地賃借契約の関係もあり、長年の研究の多大なる成果を残し、今後埋め戻し、令和4年1月までに更地にして返還するための作業に入るとのことで、大変勿体無くも感じるところですが、これも致し方なし。

約30年に亘る研究成果を無駄にしないためにも、国民理解のもと選定地を定め、着実に「地層処分」を前に進めるべきであり、その先頭に立つのは国でしかないと改めて考える次第。

大きな成果を残し、役割を終える東濃地科学センター。

海洋放出論議。科学が風評に負けてはならない。

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福島第一原子力発電所に溜まっているトリチウムを含んだ処理水に関しては、以前の原田前環境大臣の「海洋放出」発言、それを受けた小泉進次郎大臣の「謝罪対応」、さらには吉村大阪府知事、松井大阪市長の「大阪湾への放出」発言などと取り上げられたこともあり、そのことは私のブログにも掲載したところ。

そして今度は、これまた当時の福島事故に閣僚として対応にあたった細野豪志衆議院議員もSNS上で「選択肢はひとつ。海洋放出を判断すべき」との考えを発信し参戦してきている。
真意そのものの発言とは思うが、ネット上では「お前が言うな」「国会議員なんだから実行しろ」など辛辣な言葉がある一方、「真っ当な意見で見直した」「科学的判断を支援する」といった賛同の声も多い。

このトリチウムを含んだ処理水。
事実を申し上げれば、原子力規制委員会の更田委員長が8月21日に行った記者会見において、福島第一原子力発電所に溜まっている処理水を海洋放出するように改めて強く求めたところ。
そして、処理水は規制における放出基準を十分下回っており、物理的な安全上の問題は全くなく、あるのは社会的リスクとしての風評被害であるということ。

(出典)東京電力ホールディングスホームページ

ちなみに、このトリチウムを含んだ処理水ですが、エネルギーレビュー11月号にはこのように分かりやすく記載されています。
(以下、記事抜粋)
イメージとして捉えた場合、小学校にある25mプール(約500トン)の水に、目薬0.1滴(約5ミリグラム)を垂らして混ぜた状態にあるのが、福島第一のタンクの中に入っている濃度とのこと。
大きなプールの水から0.1滴の目薬を取り除くことは、何百年という時間が掛かり、ほぼ無意味。
世界で実施されているように、さらに薄めて放出すれば全くもって安全である。

隣国の韓国が、日本に対し海洋放出の危険性を主張してきていますが、実は、韓国自身も釜山から約30kmに位置するKori/Shinkori発電所(6基:PWR)でも海洋放出しています。
だからといって、釜山の海産物への影響を心配などされていません。

このように、風評被害に対しては、各国の対応の事実を把握し、国民の皆さんに発信したうえで、地元住民の皆さんと丁寧な対話を続けていくしか解決策はないのだと考えます。

繰り返しになりますが、「科学が風評に負けることがあってはならない」との松井大阪市長の言葉を私も信念として持ち、この問題に接していきたいと思います。

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