原子力発電所の「新増設」を唯一公約に掲げる政党は「国民民主党」

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昨日、参議院選挙選は8日目を迎え、国民民主党の山中しゅんすけ候補は、午後から敦賀市入り。
 
市内各所を街宣に回った後、退社時間に合わせ、花城(はなじり)駐車場へ。
 
敦賀半島にて原子力関連の事業所に従事される皆様にご挨拶することを目的に、この場所を設定した訳ですが、仕事を終え、バスや社有車で退勤される方々からは、励ましのお手振りやガッツポーズなどをいただきありがたい限り。
 

【花城駐車場で挨拶する「山中しゅんすけ」候補】
 
山中候補自身、とりわけ原子力発電を積極的に活用して、エネルギー自給率を高めていくべきとの考えの方であり、私とも度々意見交換しているところ。
 
実際、原子力発電所などで働く皆さんからのエールを心強く感じられたことと存じます。
 
さて、エネルギーに関していえば、日本経済新聞が公示日の7月3日、各党の公約「エネルギー」を下表のようにまとめています。
 

【日本経済新聞がまとめた、エネルギーに関する各党公約】
 
他党の政策を批判するつもりはありませんが、ご覧いただくとおり、「現実的な」政策を掲げているのがどの党かの分類まではできるのではと思うところ。
 
さらに、「現実的な」政策を掲げる政党のうち、自民党と国民民主党の「原子力政策」を比較してみますと、まず自民党は、「総合政策集2025 J-ファイル」(自由民主党/政務調査会:令和7年7月2日)のP32、33に以下の記載となっています。
 

【自民党「総合政策集2025 J-ファイル」よりP32のみ抜粋】
 
これに対し、国民民主党の「2025参院選 政策パンフレット」(P24,25)では次のとおり。
 

【国民民主党「2025参院選 政策パンフレット」のP25のみ抜粋】
 
敢えて、赤線で囲みましたが、同じようなことを言っているかのように見えて、大きく異なるのは、国民民主党の政策に「新増設」の言葉が入っていること。
 
これは、日本のいま、そして将来の電力供給を考える上において、リプレースだけでは賄えない。
 
安全性をさらに向上させた次世代革新炉を持って、「新たな電源開発」をしていくとの強い意志の表れであります。
 
原子力推進を掲げる政党はいくつかあれど、最も真剣に、最も積極的に明確な表現で、これからの原子力のことを公約に掲げているのは間違いなく「国民民主党」です。
 
原子力発電所が多く集積する福井県の皆さん。
 
自民党の先を行く、「超現実的」な原子力・エネルギー政策を掲げる国民民主党、そして「山中しゅんすけ」候補をどうぞよろしくお願いいたします。

世界では原子力支持が反対の2倍

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一昨日の夜は、原子力ユニオン敦賀支部(原子力研究開発機構の労組)にて市政報告の機会をいただきました。
 
支部委員長のご挨拶によれば、コロナ禍で人数を絞っての開催から約3年ぶりとのことで、当時のことを思い返したところ。
 
この日は、お仕事上がりにも関わらず、支部の役員さんら約15名にお集まりいただき、敦賀市政のトピックスや課題、原子力・エネルギー政策、その他自身の活動などを40分程度お話しした後、意見交換の時間まで頂戴。
 
意見交換では、まちづくりやインバウンド対策などに関し、貴重なご意見をいただき、今後は定期的にこのような機会をいただければとお願いした次第です。
 

【お仕事でお疲れのところ、熱心に聞いていただき誠にありがとうございました。】
 
原子力関連産業に携わる皆さんはまさに同志であり、話しているとどこかホッとするのと同時に、一緒に頑張らねばと元気をもらうところ、原子力産業新聞でも勇気づけられる記事がありました。
 
こちらは、6月24日に同新聞に掲載された『多国間世論調査 世界では原子力支持が反対の2倍』との記事。
 
記事によれば、米国のエネルギーコンサルタント会社のラディアント・エナジー・グループ社がこのほど発表した2024年の多国間世論調査結果によれば、原子力発電を支持する人の割合が反対の割合の2倍となる結果となり、世界的に原子力に対する支持が一層高まっている傾向が明らかになった。2023年の調査結果より、支持の割合が増加している。
 
同調査は、ラディアント社が英国の市場調査会社サバンタ社に委託して、2024年11月25日~12月20日(一部の国は別日程)に31か国(うち、運転中の原子力発電所を所有する国は19か国。全運転基数の91%が含まれる)の成人約31,000名を対象にオンラインで実施したもの。本調査は、原子力に対する一般市民の考えを調査した世界最大規模のもので、業界、政府、投資家に対し、国民の期待やニーズを伝えるために一般公開されている。
 
とありました。
 

【原子力への支持(右の黄色部分)が反対(左の灰色部分)を上回っている(原子力産業新聞より引用)】
 
また、「世界的な世論の動向」として、世界人口のほぼ3分の2を占める31か国を調査対象とし、うち、原子力を「支持する」と回答した人は46%、一方「反対」は23%。22か国で、支持が反対を上回る。中国、ポーランド、ロシアでは支持が反対の3倍以上に
 
「エネルギー特性に関する認識」では、原子力のコストは、かつて原子力を廃止した国々で「風力・太陽光より安い」と認識され、ドイツ、台湾、日本、韓国、スウェーデンのような原子力の段階的廃止を経験した国々では、原子力が「エネルギーコストを下げる技術」として最も高く評価と、興味深い結果も。
 
なお、記事の結びにはこうありました。
 
ラディアント・エナジー・グループ社のパートナーのM. ヒル氏は、「原子力の登場から70年、放射性廃棄物は最も重要な議題として浮上してきた。世界中で共有されている重大な懸念事項であり、原子力の一般的な受け入れを妨げている。放射性廃棄物の解決策を約束していない数十か国と、対策を講じる数か国を調査したが、今後数年間でこの問題に大きな進展があることを期待している」と言及している。
 
原子力の最大限活用を決めた日本においても、まさに今後の利活用を進める上での課題は、最終処分までを含めた放射性廃棄物の問題であり、支持が反対の2倍となった世界の潮流を単に喜ぶのではなく、こうした課題を再認識する上においても、大変良い記事に出会えたこと、また、この記事の存在を教えていただいた「同志」に心から感謝する次第です。

原子力分野の”世界の潮流”は「事業環境整備」と「規制改革」

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昨日の福井新聞1面には、関西電力高浜発電所の敷地内で使用済燃料を一時保管する乾式キャスク貯蔵施設について、原子力規制委員会が5月28日に設置を許可(2ヶ所中の1ヶ所目)したとの記事。
 
いわゆる「ドライキャスク」と呼ばれる乾式キャスク貯蔵施設に関しては、既に日本原子力発電の東海第二発電所をはじめ、国内でも複数のプラントで設置されていることも踏まえ、今後、円滑に計画が進むことを期待するところです。
 
原子力に関しては、このように日々、何かしらのニュースが掲載される訳ですが、国内はもとより、世界各国の動向をまとめて読めるのが「原子力産業新聞(以下「原産新聞)」。
 
ネットで、会員登録なくともほぼ全文が読めるため、私も常日頃から勉強のため利用している訳ですが、「世界の潮流」は、原子力開発を着実に、かつスピード感をもって進めるための「事業環境整備」や「規制改革」を具現化しているということ。
 
 →「原子力産業新聞」HPはこちら
 
ここ数日の原産新聞を見ても、例えば、「事業環境整備」に関してはスウェーデン。
 
スウェーデンおいては現在、家庭や企業向けの不安定な電力価格と電力システムの不均衡という大きな問題に直面しており、これに対処し、化石燃料を使わないベースロードを拡大する必要から、2023年11月には、原子力発電の大規模な拡大をめざすロードマップを発表。
 
これには、カーボンフリーの電力を競争力のある価格で安定して供給することを目的に、社会の電化にともない総発電量を25年以内に倍増させるため、2035年までに少なくとも大型炉2基分、さらに2045年までに大型炉で最大10基分の原子力発電所を新設することなどが盛り込まれています。
 
また、スウェーデン議会(リクスダーゲン)は5月21日、国内の新規原子力発電プラントの建設を検討する企業への国家補助に関する政府法案を採択し、新規建設への投資が収益を生み出すまでの長いリードタイムを勘案し、政府の低い借入コストにより、信用リスクを政府に転嫁することで、資金調達コストの削減、ひいては原子力発電自体のコスト削減につなげるとしています。
 
また、大統領令により「新設の促進」や「原子力規制委員会(NRC)改革」を指示したのは米国。
 
米トランプ大統領は5月23日、原子力エネルギー政策に対する連邦政府のアプローチの再構築を目的とした一連の大統領令に署名し、人工知能(AI)産業、製造業、量子コンピューティングなどの最先端のエネルギー集約型産業での電力需要増に対し、豊富で信頼性のある電力を供給するため、エネルギー安全保障を確保するとともに、米国の原子力業界の世界的な競争力維持と国家安全保障の強化のため、2050年までに原子力発電設備容量を現在の約1億kWeから4倍の4億kWeとし、このために必要となる原子力の規制緩和を迅速に行う方針を示したとのこと。
 
なお、一連の大統領令は以下の4つ。
 
① 原子力産業基盤の再活性化
② エネルギー省(DOE)における原子炉試験の改革
③ 原子力規制委員会の改革
④ 国家安全保障強化のための先進的原子炉技術の導入
 
DOEに対しては、原子燃料の海外依存を回避するため、国内のウラン採掘と転換・濃縮能力の拡大計画や国内燃料サイクルの強化にむけた勧告を指示するほか、原子力拡大政策を支える労働力の拡大、NRCの改革の必要性を示しています。
 
特にNRCに対しては、許認可申請の迅速な処理と革新的な技術の採用を促進するため、政府効率化省との協業によるNRCの再編成、さらに民生用原子力発電の認可と規制に際し、安全性、健康、環境要因に関する従来の懸念のみならず、原子力発電が米国の経済と国家安全保障にもたらす利益を考慮するよう指示
 

【先進試験炉炉心 Ⓒ Idaho National Laboratory(原産新聞より引用)】
 
NRCにタイムリーな許認可を出すように要求することで規制上の障壁を取り除くとともに、新規炉は原子炉の種類に関わらず、建設と運転の認可プロセスの簡素化により、数年かかる審査プロセスを18か月に短縮、既設炉の運転期間延長の最終決定は1年以内と期限を定めるなど、許認可の迅速化を指示しています。
 
実際、先に施行されたADVANCE法は、原子力規制委員会(NRC)に対して、安全性を確保しつつ、審査プロセスの効率性も重視するよう求めており、NRCが昨年、2021年以来初となる第2回目の運転認可更新(subsequent license renewals)を承認したエクセル・エナジー社のモンティセロ原子力発電所(BWR, 69.1万kW)は、当初24,000時間を要すると予想されていた審査時間を、最終的に16,000時間で完了。
 
審査時間は3分の1に短縮されましたが、このような効率性は「例外」ではなく「ルール」とする必要があるとしています。
 
翻って日本。
 
原子力発電の最大限活用を掲げたものの、早期の再稼働が期待される既設炉の審査期間は10年を裕に超え、次世代革新炉の開発スピード、あるいは新設する際の事業環境整備はどこまで進んでいるのか。
 
第7次エネルギー基本計画にもある「国が前面に出て」との言葉が虚しく響くばかりと思うところですが、上記のスウェーデンや米国の例をはじめ欧州各国のように、国家経済や安全保障などの国益を踏まえた原子力規制や新設に対する国の資金支援など、そうした実が伴ってこそ、国の本気度が示されるのではないかと強く思う次第。
 
先の大戦がそうであったよう、世界は昔も今も「エネルギー獲得競争」であり、ロシアのウクライナ侵略以降、いわば「エネルギー戦争」状態にあるいま。
 
世界が自国の確実な電力供給、エネルギー自給率を上げるため「猛スピード」で原子力開発を進める一方、「掛け声だけ」のままでは、日本は遅れどころか、取り残されることになることは火を見るより明らかなこと。
 
日々、原産新聞を見る中で、こんな悠長にやっていて良いのかと、焦りは募るばかりです。

敦賀発電所1号機の廃止措置計画工程を変更

ブログ 原子力

55年前に開催された「1970大阪万博」会場に“原子の灯”を送った日本原子力発電株式会社(以下、日本原電)の敦賀発電所1号機(以下、敦1)。
 
営業運転開始日(1970年3月14日)を誕生日とすれば、私より2歳上。
 
私自身にとっては入社以来、愛情込めて機械設備の保修業務に携わった“マイプラント”であり、その思いについては、これまで幾度も述べているところ。
 
発電所に係る皆さんが、親しみを込めて呼ぶ「敦1(つるいち)」ですが、昨日はこちらに関する話題がありました。
 
既に日本原電より「敦賀発電所1号機 廃止措置計画の工程変更に伴う変更届の提出について」とのタイトルでプレス発表がされており、これをなぞる形になりますが、2017年4月19日に原子力規制委員会から廃止措置計画の認可を受けた以降、各種設備の解体撤去等を進めてきたところ、同社は、廃止措置完了時期を2040年から2047年に変更(7年延期)し、昨日、福井県及び敦賀市に報告するとともに、廃止措置計画の変更届を原子力規制委員会に提出したとのこと。
 
なお、今般の変更は、2026年度から原子炉本体等の解体を予定していたところ、解体廃棄物の保管予定エリアにある大型機器の解体に時間を要することから、原子炉本体等の解体着手を延期することとしたとあり、同社は、引き続き、安全確保を最優先に、敦1の廃止措置に取り組むとともに、廃止措置の状況については、丁寧な情報発信に努めるとしています。
 
 →日本原電のプレス資料(2025年5月19日)はこちらをご覧ください
 
これだけ読んでも、理由がよく分からないかと思いますので、同プレスに添付されていた説明資料を基に解説いたしますと、敦1に関してはこれまで、タービン・発電機等の解体や、原子炉建屋内・タービン建屋内の機器、屋外の機器の解体を進めてきているところ、2026年度からの原子炉本体等の解体のためには、解体廃棄物を保管する予定のエリアにある大型機器(※サプレッション・チェンバ)をまず解体する必要があります。
 
※サプレッション・チェンバは、原子炉運転中に事故が発生した際に、原子炉で発生した蒸気を凝縮して原子炉圧力の上昇を抑えるための設備。直径:約34m、断面直径:約8m、円環外周:約100mの円環状の容器の中に防錆剤を含んだ水を約1,500トン貯めている状態にある。
 

【図中右の赤斜線の部分を先に解体しないと、①(原子炉本体)の解体物を保管できない】
 
敦1に携わった我々は、略して「サプチャン」と呼ぶ、このサプレッション・チェンバの解体に向け、廃止措置計画申請当時からメーカーと検討を進め、解体の見通しを得ていたものの、当該メーカーが事情により受注体制の構築が困難となったこと、その後、新たなメーカーを選定し、検討した結果、解体に必要な装置の設計・製作や水処理、解体等に7年程度を要することを確認。
 
一方、廃止措置工程に影響が出ないよう、サプチャンの解体を、原子炉本体等の解体と並行して行えないかも検討した結果、解体廃棄物の保管に必要な移送ルートやスペース、放射線のしゃへい能力の十分な確保が難しいことから、安全を最優先に考え、当初の計画通りサプチャン解体完了後に 原子炉本体等の解体に着手とせざるを得ない(並行ではなく順番に)ことから、今回の工程変更に至ったとのことでした。
 
私は、原子炉建屋の中が手に取るように分かるだけに、構造的・技術的にそうせざるを得ないことを重々理解するものですが、延期の期間が「7年」と聞けば、遺憾に思う気持ちもまた理解するところ。
 
建設工事がそうであったよう、廃止措置工事も日本のトップランナーとして、パイオニア的存在として進める敦1。
 
安全第一は言うまでもなく、半世紀以上に亘り、ご理解とご支援をいただいている地元の皆様への感謝のもと、こうしたことを広く丁寧にご説明することは、地元に根差した企業の責務であり、私自身も同様、組織内議員としての役割と責任を果たしていきたいと存じます。

原子力基本法制定から70年 〜福井県原平協「第54回 定期総会」〜

ブログ 原子力

昨日は、福井県原子力平和利用協議会(以下、原平協)の「第54回定期総会」が、ニューサンピア敦賀で開催され出席。
 
総会では、河瀬一治会長(元敦賀市長)のご挨拶に続き、米澤光治敦賀市長、力野豊福井県議会議員からの祝辞があり、第7次エネルギー基本計画で掲げられた「原子力発電の最大限活用」や、現在開催中の「2025大阪・関西万博」に触れ、55年前の「1970大阪万博」で敦賀、美浜から送った“原子の灯”を思い返してのお言葉があったところです。
 

【祝辞を述べる米澤敦賀市長】
 
議案に関しては、令和6年度の活動実績や収支決算、令和7年度の事業計画や収支予算を承認した後、電力事業者からの報告として、関西電力、日本原電、原子力機構、北陸電力より順次、それぞれのトピックスや課題について報告をいただきました。
 
その後は、セッティングを変え、株式会社ユニバーサルエネルギー研究所 代表取締役社長の金田武司様より「世界の動向から日本のエネルギー政策を考える」をテーマにご講演をいただき、ロシアを見ても分かるよう、エネルギー資源を有する国は貨幣の価値が下がらないこと、先の大戦もエネルギー資源の獲得競争下に起因するものであり、日本にとって原子力発電は昔も今も無くてはならないものと、あらためて、グローバルな視点から日本の歴史を振り返ることが出来た次第です。
 
また、続く懇親会の場では、急遽の依頼ではありましたが、敦賀市議会副議長として、乾杯の発声役を務めることに。
 
私からはまず、定期総会のご盛会を心よりお慶び申し上げた後、「1970大阪万博」会場に”原子力の灯“を送ってから55年の節目の年。国においても次世代革新炉開発に舵を切る中、先般は、三菱重工業が原子力発電所の「リプレース」に向けて200社以上の部品メーカーと調達協議を進め、新型の「革新軽水炉(SRZ-1200)」の部品約150品目で調達可能とあり、世界に誇る日本の原子力サプライチェーン、電力事業者の技術力に期待し、応援すること。
 
加えて、今年は戦後80年。敗戦から10年後の1955年12月19日には『原子力基本法』が制定されましたが、これに向けては、故中曽根康弘元首相らが、まさに命懸けで尽力されたものであること。
 
「原子力の研究・開発・利用を推進し将来のエネルギー資源を確保する。学術の進歩と産業の振興とを図り、人類社会の福祉と国民生活の水準向上に寄与する。」(←実際は、全部言えてませんが)と書かれた基本法制定から、今年はちょうど70年。
 
基本法に込められた理念を、今一度この場で確認し合い、乾杯したいと挨拶した次第です。
 
なお、日本の原子力黎明期から、その礎を築いたのはここ敦賀、そして福井県嶺南地域であると言え、そのことを誇りに思いつつ、半世紀を超え、連綿と原子力への正しい知識と理解を深める活動を続けられている原平協の皆様に敬意と感謝を申し上げるところ。
 
同協議会の今後ますますの発展を心より祈念申し上げるとともに、私も微力ながらお役に立てればと思います。
 
一夜明け、原子力産業新聞(WEB版)を見ると、日立GEニュークリア・エナジーが5月9日、カナダ・オンタリオ州の州営電力オンタリオ・パワー・ジェネレーション(OPG)社が推進している小型モジュール炉(SMR)4基を建設するダーリントン新・原子力プロジェクト(DNNP)の初号機向けに、パートナーであるGEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GEベルノバ日立)と連携し、原子炉の主要機器を供給することを発表したとの記事がありました。
 
前述の三菱重工業への期待と同様、海外で供給、実証されるこうした技術が、近い将来、日本国内の技術開発に利用されることを、併せて期待いたします。
 
 

【日立GEニュークリア・エナジーのSMR「BWX-300」(原子力産業新聞より引用)】

浜野よしふみ議員より職場激励のごあいさつ

ブログ 原子力 政治

逆境の時に、激励の言葉で奮い立ったことは今まで幾度もありますが、昨日もその機会に。
 
昨日はお昼休みに、浜野よしふみ参議院議員(国民民主党・電力総連組織内議員)より職場激励のごあいさつがありました。
 
本来、敦賀までお越しいただける予定のところ、国会日程の関係から急遽、議員会館とオンラインでつないでの開催となりましたが、画面に映し出された浜野議員からは、電力関連産業に勤める職場の皆さんに対し感謝と敬意を表する旨の言葉があった上で、現在の国民主党が訴える主に経済政策について、また原子力に関しては、原子力を最大限活用していくとする「第7次エネルギー基本計画」も踏まえつつ、既設原子力発電所の早期再稼働に加え、リプレース(建替え)も必ず必要と、力強く述べられました。
 
さらに、敦賀発電所2号機に触れ、11月に審査書が許可されないとの結果になったものの、追加調査のうえ、再申請によって必ずや覆し、再稼働を目指していただきたい。
 
これは、日本原電だけの問題ではなく、他の電力会社、ひいては日本の原子力規制の問題であると述べられました。
 

【オンラインにてごあいさつされる浜野議員】
 
浜野議員におかれては、敦賀2号の、いわゆる「敷地内破砕帯問題」がはじまった当初から、法的根拠のない有識者会合の存在や規制側と事業者側との意見の食い違い(相互コミュニケーション)などについて、国会の場で指摘されてこられた方。
 
決して大袈裟ではなく、浜野議員がいなかったら、今頃敦賀2号は再稼働すら目指せていなかったのではと思う、言わば敦賀2号にとって恩人といっても過言ではないと思い続けている存在であります。
 
私自身、浜野議員とは労組本部役員時代からお付き合いさせていただいており、10数年来変わらず、科学的視点、規制行政の中立性や公平性の観点から、おかしいものはおかしいと指摘し続け、また敦賀2号の再稼働を願っていてくれていることに、冒頭のとおり奮い立った次第です。
 
なお、この敦賀2号に関しては、3日の原子力産業新聞(以下、原産新聞)に『敦賀2号機 再稼働に向け追加調査を検討』のタイトルで記事がありました。
 
当初、2025年3月末を目途に取りまとめる予定となっていた敦賀2号の新規制基準に係る適合性審査の再申請に向けた追加調査計画について、調査内容に万全を期すため、さらに検討を継続することとし、「まとまり次第、地域、関係者に知らせる」と発表した。
 
との書き出しから、これまでの経過を辿りつつ、敦賀2号は2011年5月以来、停止中であること、一部報道によると、追加調査の期間は2年以上を要するほか、再申請を行う時期も未定となっており、再稼働まで、今後の審査期間を考慮すると停止期間は十数年に及ぶこととなりそうだとありました。
 
そして、結びには、原電では、審査途上の2013~14年、旧原子力安全・保安院より引き継がれた敦賀発電所における敷地内破砕帯調査に関し、リスクマネジメントや地質学の専門家からなる2つの国際チームによるピアレビューも実施し、同社の調査について「正当な科学的基盤」があることを主張してきた。同時期、地球物理学分野で権威のある「米国地球物理学連合」も、専門家チームによる論文掲載を通じ、科学的知見に基づき、規制側と事業者側が十分に議論する必要性を指摘している。
 
原産新聞の言いたかったことは、結びの文章に集約されていると受け止めましたが、浜野議員や昨日ご紹介した小竹議員ほか、国民民主党の国会議員の方々や有識者の皆さま。
 
メディアにおいてはほかに産経新聞など、日本の原子力規制のあり方、とりわけ敦賀2号に関する審査対応に疑問を呈しておられます。
 
こうして問題意識を共有する、各方面からの激励の声を踏まえ、これまたおかしい、原子力規制委員長ご自身が「立証は困難」と仰るこの問題を何としてでも覆す。
 
浜野議員仰るよう、これは日本原電だけの問題ではないという、使命と責任を背負って対応せねばと、改めて認識を強めた次第です。

おだけかい議員が衆議院「原子力問題調査特別委員会」で本質論を質疑

ブログ 原子力 政治

9日は、「大波に備えるためにも『手取りを増やす』経済対策を」のタイトルでブログを書きましたが、昨日は国民民主党の玉木雄一郎代表、竹詰仁議員(参議院議員/全国比例)らが首相官邸を訪れ、先月取りまとめた経済政策「もっと!手取りを増やす」を林芳正内閣官房長官に申入れ、意見交換を行いました。
 
本経済政策は昨今の経済状況を踏まえ、国民民主党として、物価高に苦しむ国民の暮らしを守り、経済の好循環を生み出すため、①減税、②社会保険料引き上げ、③電気代ガス代の値下げ、④米の価格安定の4つを柱に取りまとめたもの。
 
詳細は以下リンクよりご覧ください。
 
→国民民主党『もっと!手取りを増やす』申入れ内容はコチラ
 
申入れ終了後、記者団の取材に応じた玉木代表は「経済有事ともいえる事態の中でいつまでも決断をできない政治ではダメだ。政府としては補正予算の編成も含め、万全の対策を速やかに打ってもらいたい」と述べました。
 
一方、与党においては、同じく物価高やトランプ米政権の関税措置を受けた経済対策として、国民への現金給付(所得制限なしで3万〜5万円)を実施するよう政府に対し要求を強めているとの報道。
 
既にX(旧Twitter)上では「また選挙前のバラマキか」など猛反発されていますが、減税は「財源がない」と言ってやらないのに、給付はすぐできるのは何故か。
 
単発と恒久の違いだと仰るのかと思いますが、考えを聞いてみたいところです。
 
さて、昨日は、今国会の衆議院で初開催となった「原子力問題調査特別委員会」が行われ、国民民主党からは、小竹凱(おだけかい)議員(石川1区)が質疑。
 
質疑の内容はまだ、Xのポストでしか把握できていませんが、堂々と本質論に立った意見をされました。
 

【委員会で質疑する「おだけかい」議員(同議員のXポストより)※後ろで爆睡しとる議員は誰や!(怒)】
 
<以下、おだけ議員のXポスト引用>
 
私からは、2040年の社会を見据えたエネルギー政策のバックキャスティング。
世論や政権によって揺らぐことのない、原子力政策の将来的な一貫性。
米国NRCを参考にした、規制委員会の『効率性』の重要性
“国が前面に立って”、地域住民への説明や科学リテラシーの向上にむけた取り組み。
次世代人材育成に向けた支援策。など質疑
 
高専の『廃炉創造ロボコン』も紹介させていただきました。原子力分野が将来につながる技術だというビジョンを描くことが、人材確保や安全性の向上にもつながると考えます。引き続き取り組みます。
 
<引用終わり>
 
ポストを拝見し、とりわけ原子力規制に触れられたことは大変重要と思い、私も以下のように引用ポスト(元の投稿を、自分のコメントを添えてシェアすること)。
 
<やまたけの引用ポスト>
 
#おだけかい 議員の視点はどれも重要なもの。
原子力規制に関しては、①独立性、②開放性、③効率性、④明瞭性、⑤信頼性 を掲げる米NRCの「活動原則」にあって、日本の規制にないのが「効率性」。
「費用便益分析」(規制によって国民が受けるメリット)の要求と併せて必要なことと考えます。
 
すると、これをご覧になったおだけ議員からは、
 
大事な視点ですね!
ありがとうございます!頑張ります!
 
とのコメントがあり、SNS上ではありますが、感謝とお礼を伝えられたことに加え、相互コミュニケーションが図れたことを嬉しく感じた次第です。
 
以前にもご紹介したとおり、おだけ議員は、石川県政史上最年少衆議院議員の27歳。
 
昨秋の衆院選で石川1区(金沢市など)から出馬し、北信越ブロックで比例当選された訳ですが、2024年2月には、「やまたけさんと街頭に立ちたい」とわざわざ敦賀まで来てくれた、「若武者」の言葉がピッタリの「ナイスガイ」(名前と掛けています)。
 

【2024年2月19日、いつもの粟野交番前で一緒に街頭演説した時の様子】
 
あれから約1年2ヶ月。
 
今では、国会議員として活動されていることを、親の感覚で嬉しく思うところであり、今後の大活躍を期待する次第です。
 
なお、質問された原子力・エネルギー政策は、北陸電力の志賀原子力発電所を有する石川県、多くの原子力発電所が立地する福井県、さらには柏崎刈羽の新潟県など、北信越ブロックにとって大変重要なもの。
 
引き続き、同じ国民民主党所属議員として、政策面でもしっかりお支えする所存です。

やめていただきたい「ゴールポスト」の先送り

ブログ 原子力

昨日は名子での辻立ちからスタート。
 
「新年度スタート」と関係あるのかは分かりませんが、昨朝はいつも以上に手を挙げたり、会釈でリアクションしてくれる方が多く、大変励みになりました。
 
年度の切り替わりは、それぞれ変化があろうかと思いますが、私自身も新たな気持ち、チャレンジ精神をもって日々の活動にあたりたいと思います。
 

【写真は昨日立ち寄った常宮神社。枝垂れ桜が咲き始めていました。】
 
さて、昨日のブログの冒頭で東京電力柏崎刈羽原子力発電所のことを書きましたが、ニュースを拝見するに、同発電所の再稼働の是非を問う県民投票に向けた検討が進められているとのこと。
 
条例案は、4月16日から3日間の日程で開く新潟県議会の臨時会で審議するとあり、知事は同日、自身の意見を付けた上で条例案を議会に提出。
 
県議会最大会派の自民党は、知事の意見を確認したうえで対応を検討するとしている一方、花角英世知事は、この条例案に付ける知事意見について、「いま検討している。簡単には(まとまらない)」と語ったとのこと。
 
知事はこれまで、再稼働の是非に対する県民の受け止めを確認した上で、自身の判断を示すとしてきたものの、県民投票が確認方法のひとつになり得るのかについては「(県民投票は)マルバツ(再稼働に賛成か反対か)で問うので、得られる情報としてはどうなのか」との見方を示したともあり。
 
その上で、「投票行動を起こせない人たちや、再稼働の是非について逡巡(しゅんじゅん)したり、悩んだりしている人たちもいるだろう。そういう人たちの考えがどのあたりにあるかを調べるには、県民投票では難しいと思う」と指摘し、「別のアプローチをしなくてはいけない」と発言したとあります。
 
同じ原子力立地自治体とはいえ、他県の事情であり、軽々に意見することは控えるべきかもしれませんが、対象となっている同発電所7号機に対しては、昨日ご紹介した国内外のエネルギー、原子力分野の第一人者が「お墨付き」を与えていること。
 
国の審査や住民説明に関しては、同機の新規制基準に係る審査は2017年12月に原子炉設置変更許可に至っており、その後に発覚した核物質防護事案に伴う追加検査および東京電力に対する適格性判断の再確認も2023年12月に完了。
 
2024年に入ってからは、IAEA専門家チームによる視察、東京電力や新潟県による説明会が開催されており、加えて資源エネルギー庁による地元説明会に至っては、本年2月7日の湯沢町で県内28市町村すべてが終了しています。
 
また、住民避難に関しては、資源エネルギー庁、内閣府(原子力防災)、国土交通省、新潟県による「原子力災害時の住民避難を円滑にするための避難路の整備促進に向けた協議の枠組み」会合が昨秋より行われている状況にあります。
 
こうして極めて丁寧かつ慎重に進めてきていることを踏まえつつ、「科学的視点」をもって言えば、判断材料は十二分に揃っており、答えは「再稼働OK」しかないと思いますが、新潟県の判断やいかに。
 
少なくとも、これ以上むやみな「ゴールポスト」の先送りはやめていただくとともに、「原子力発電の最大限活用」を掲げ、「原子力規制委員会の審査で安全が認められた発電所は再稼働」と言い続けているのは政府であり、その責任者である石破総理もこの状況を側から見ているだけではなく、自ら行動を起こしてはどうかと考える次第。
 
なお、柏崎刈羽原子力発電所7号機は、最新鋭の改良型BWR(ABWR)で定格出力は136万Kw。
 
東日本における電力需給の改善、電気料金の抑制に極めて大きな役割を果たすことはもとより、日本の国力を高めるために必要不可欠であることは言うまでもないのですから。

敦賀発電所2号機の追加調査計画は「万全を期すため」公表を延期

ブログ 原子力

若かりし頃、6,7号建設の研修(主にタービン据付工事)のため、約半年間お世話になった東京電力柏崎刈羽原子力発電所。
 
そうした経過から、私の中では、思い入れのある「第2のマイプラント」として、再稼働の行方を見守っているところ。
 
最も再稼働に近い7号機に関しては、あとは地元の了解を待つばかりでありますが、ここに来てエネルギー、原子力分野における国内外の第一人者が同発電所を視察。
 
3月21日には、原子力委員会の上坂充委員長が中央制御室(6,7号共用)や7号機原子炉建屋内オペレーティングフロア等を視察され、委員長からは、日々の努力と成果に対し、心からの感謝と敬意を表されたうえで、「再稼働へ向け、丁寧に、かつ真摯に作業に取り組まれていると感じた。原子力の分野にいる身として、困難な取組をされている皆さんを誇らしく思った」「再稼働へ向けて大変な時期かとは思うが、一人一人が最後まで気を抜かず、安全確保へ思いを巡らすことをお願いする」との激励があったとのこと(東京電力ホールディングス(以下、東京電力HD)ホームページより)。
 

【柏崎刈羽原子力発電所7号機の中央制御室を視察する上坂委員長(写真右)】
 
参考まで、同委員長は昨年9月に開催された国際原子力機関(IAEA)の第68回通常総会の場において、福島第一原子力発電所のALPS処理水海洋放出の安全性に関し、IAEAや専門家によるモニタリングとレビューにより裏付けられており、人や環境への影響はなく、処理水を汚染水と表現することは適切ではない、と改めて強調された方であることを補足いたします。
 
続いて、3月26日には国際エネルギー機関(IEA)のファティ・ビロル事務局長が視察。
 
ガスタービン発電機車や防潮堤などをはじめとする安全対策設備等をご覧になったうえで、事務局長からは、「技術者や作業員、発電所で働くすべての人々が、想定される課題はもちろん、さらに、想像を超えるような課題にも備えた対策を講じており、非常に満足している」と評価。
 
また、「柏崎刈羽原子力発電所は、日本をより安全で豊かな国にするうえで大きく貢献できる。この発電所が安全基準と規制要求に沿ったうえで、一刻も早く発電を開始することを強く期待する。これは日本政府に対する私の強いお願いである」との言葉があったとのこと(同じく東京電力HDホームページより)。
 
ビロル事務局長は視察の翌27日には、経済産業省で武藤容治経産相と会談し、「クリーンな電力を確保するのは大変重要。柏崎刈羽だけでなく、他の原子力も安全性の基準にのっとり、できるだけ早く再稼働することを期待する」と述べています。
 
こうした方々からの評価やご意見を聞けばなおのこと、科学的判断ではなく、どこか空気感で再稼働ができない状況に忸怩たる思いが込み上げてくる訳ですが、日々ご尽力されている関係者の皆様に敬意を表しつつ、一日も早い再稼働を切に期待する次第です。
 
さて、こちらは「マイプラント」の敦賀発電所2号機(以下、敦賀2号)。
 
敦賀2号に関しては、3月末までに県と市に示すとしていた敷地内破砕帯等の追加調査計画の公表を延期する旨、3月31日に発表しました。
 

【3月31日に日本原電が発表したプレス文】
 
追加調査は、先の審査で焦点となった原子炉建屋北側の試掘溝で見つかった「K断層」が活断層でないことなどを証明するために実施するもので、日本原電は外部有識者の意見を踏まえて調査内容を検討してきたものの、さらに慎重を期すため別の有識者からも第三者の視点で意見を聴くことにしたとあります。
 
なお、新たな公表時期は未定。
 
これを受け、米澤光治敦賀市長は「再申請に向けて必要となるデータが確実に得られるよう、調査内容を十分に検討した上で計画を策定し、真摯に調査に取り組んでもらいたい」とのコメントを発表されており、冷静に見守っていただいていると理解するところ。
 
公表延期の理由は「調査内容に万全を期すため」。
 
審査で許可されなかったことを覆すためには、取りこぼしや後戻りは許されないことから、計画の段階で「万全を期す」ことは極めて重要であり、あらゆることを想定のもと慎重に進めていただきたいと思う次第です。
 
敦賀2号のいわゆる敷地内破砕帯問題についてはそのうえで、過去からの経緯を知る私としては、「活断層ではない」ことを科学的に証明できると信じ止みません。
 
ついては、柏崎刈羽と同様、切に期待するのは「一日も早い再稼働」であると、「マイプラント」に思いを寄せる次第です。

営業運転開始から「55年」を迎えた敦賀発電所1号機

ブログ 原子力

終盤に入った令和7年第1回(3月)敦賀市議会定例会。
 
昨日は予算決算常任委員会を開催し、令和7年度当初予算案及び補正予算案の計10件について、各分科会長の審査報告から討論、採決まで。
 
その結果、全議案について「原案のとおり認めるべきもの」と決しました。
 
早いもので、今定例会も18日(火)の本会議を残すのみとなりましたが、会派として発言通告した2件の討論を含め、最後まで丁寧に臨む所存です。
 
さて、話は変わり、今日3月14日は、日本原電の敦賀発電所1号機(以下、敦1)が営業運転を開始した日。
 
この日を誕生日とすると、敦1(つるいち)は「55歳」となります。
 
私(53歳)とほぼ同世代の敦1は、わが国初の商業用軽水炉として運転を始め、1970大阪万博会場に原子力の灯(電気)を送ったことで有名であり、まさに原子力の黎明期、そして高度成長期の電力供給を支えたプラント。
 
万博と言えば、半世紀以上を経て再び大阪で、来月から開催されるところ、こうした歴史を振り返り、わが国の原子力エネルギーにもスポットを当てて欲しいと思う次第です。
 
その敦1は、2015年4月27日に約45年間の運転を終え、現在は廃止措置を進めているところですが、55年の歳月を思えば、何もかも初めて尽くしの発電所建設から運転までを乗り越えた先人に敬意を表するとともに、社員はもとより協力会社、メーカーの皆さんまで多くの人に愛され、支え続けられた「敦1」の存在を今でも誇りに思うところです。
 

【昭和42(1967)年10月。格納容器の据付が完了した敦賀発電所1号機(2020年12月に開催された「敦賀発電所50周年 げんでんふれあいギャラリー」より)】
 
そうした思いのもと、日本原電の社員をはじめ、携わっていただいた皆様、お支えいただいた多くの方々と、こうした思いを共有できればと、毎年このブログに書き綴っている訳ですが、兄貴のような敦賀2号と違い、私が生まれる前から運転していた敦1は、どこか父親のような存在。
 
新入社員の頃から発電所で保修業務に従事していた私にとって、設計者であるゼネラル・エレクトリック(GE)や東芝、日立などプラントメーカー、さらには多くの協力企業の皆さんとともに、担当する機器をまさに「愛車」をいたわるようメンテナンスしたことはもとより、幾度か経験したトラブル対応や毎回の定期検査後に無事起動できた時の達成感と充実感をもって、原子力発電で社会に貢献することの誇りを教えてもらったのが敦1。
 
なお、先の大戦後、エネルギー資源の乏しい日本が活路を見出すのは「原子力発電」だと、故中曽根康弘氏らが中心となって制定した『原子力基本法』には、次のとおり書かれています。
 
「原子力の研究・開発・利用を推進し将来のエネルギー資源を確保する。学術の進歩と産業の振興とを図り、人類社会の福祉と国民生活の水準向上に寄与する。」
 
このような方針のもと、敦1をはじめとする原子力開発に進んだ訳ですが、『原子力基本法』の制定(1955年12月19日)から今年はちょうど70年。
 
基本法に込められた崇高な理念、そしてその礎を築いたのはここ敦賀の地からであったことも誇りに思うところですが、これが成り立ったのは日本原電のパイオニア精神を理解し、お支えいただいた敦賀の皆様の存在があったからこそ。
 
現在、敦賀2号の長期停止が続く中においても、期待の声をいただく地元の皆様に心からの感謝をしつつ、これにお返しするのは一日も早い再稼働、そして敦賀3,4号をはじめとする新たな技術、時代にチャレンジしていくことであると、その気概を改めて胸に刻む次第です。

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