2025年8月31日
ブログ 敦賀の歴史・文化
昨日の福井新聞「越山若水」。
戦後80年の夏、犠牲者を追悼するいくつかを訪ね歩いたと書き出すコラムの結びにはこうありました。
忠霊碑、忠霊塔といった「慰霊の場」を世話にする人が減り、全国で維持が難しいと聞く。忘れてはいけない惨禍の教訓、それを形にして残し、伝え、気づかせようとした先人の意思が途絶えかねない。「寂しいけれど・・・」でよいのだろうか。
私自身、この節目の年に、戦没者戦災死没者を慰霊する場、戦争を「伝え、つなぐ」場に参列、参加してまいりましたが、そこで感じたのはは、「越山若水」にある、このままでは「途絶えかねない」との危機感でした。
現世を生きる人々が「大変だから」を理由に、先人が残した記憶を廃してしまっては、それこそ命と引き換えに国を護ろうとした英霊、犠牲になった方々は浮かばれないことから、ここ敦賀でも何をすべきか、しっかり考え、行動してまいる所存です。
さて、あらためてそうした思いをもって臨んだ敦賀市民歴史講座 シリーズI「戦後80年」第2講(主催:気比史学会)。
概要は、昨日ご紹介しましたとおり、「私が出会った三人の昭和の偉人たち」をテーマに、敦賀出身の元NHKプロデューサー山登義明氏にお話しいただくというもの。
昨日14時からの講座では、山登氏が「昭和の偉人」と称する「三人」。
戦後の日本文化の土台を築いた、向田邦子(作家、脚本家)、大江健三郎(作家、ノーベル文学賞受賞者)、河合隼雄(臨床心理学者、文化庁長官)の年譜をもとに、山登氏自身が制作した関連動画を交えながら、三人の生き方を見つめ直しました。

【配布した講座資料。左から、向田邦子氏、大江健三郎氏、河合隼雄氏】
プロデューサーとして山登氏が三人と関わる中で見せた、知られていない三人のエピソードなど交えてお話しいただき、向田邦子さんについては、森繁久弥さんとの出会いから、「週刊平凡」などで執筆を始め、その才能からすぐに頭角を表したこと。
また、その裏にいたのはNさん。
21歳で出会い、後に向田さんと交際する方で、結果的に彼のサポートにより彼女の才能が引き出されていったこと。
35歳の時にN氏が死去し、悲しみに打ちひしがれるものの、その後再起。
脚本家として名声を得、昭和50(1980)年の51歳の時には、小説を書いて2作目で「直木賞」を受賞するも、翌年、飛行機事故死。
N氏の死去から17年、52歳の若さで亡くなった向田氏は、「人に言えない悲しみがある」、「人生の悲しみに合うと死に近づく」とのメッセージを残したとありました。
続く、大江健三郎氏。
54歳で書いた著書「人生の親戚」にあるよう、人には切ろうと思っても切れない苦しみがある。
生涯小説家の大江さんは、自身が28歳の時に生まれた息子光(ひかる)が脳に障害を持っていることを知り、治療するか否かの究極の選択に迫られた際に、広島と出会う。
「被爆者に教えてもらった」との言葉どおり、これを機に光さんと生きていくことを決意した。
当時のことを大江さんは、「私と広島はジャストミートした。広島と出会うべくして出会った。」と語った。
1990年頃に初めて出会った山登さんに対し、大江さんが一番書きたいのは「こころ」と「魂」だと言い、その考えを貫いた結果、ノーベル賞受賞までに至った。
大江さんの生き様からは、「人生にはジャストミートする瞬間がある」ことを覚えておいてほしい。
最後の河井隼雄さんのテーマは、「コンステレーション」。
臨床心理学者の河合さんは、アメリカから持ち込んだ「箱庭療法」で一躍有有名に。
2002年に文化庁長官に就任した後に発生した※高松塚スキャンダルの対応に追われ、激務により倒れ、2007年に死去。
※1972年に発見された極彩色の壁画で知られる高松塚古墳が、発見後まもなく石室内部にカビが発生したことから始まった、文化財保護上の大問題
河合さんの研究テーマは最後まで「夢」であったが、晩年、「科学と宗教は近づいている」との言葉を残した。

【大江健三郎氏の生前最後の動画を前に熱弁される山登義明氏】
ポイントに過ぎませんが、以上が講座の概要。
三人の昭和の偉人が、その生き様から残した、それぞれのメッセージはまさに現世を見通しているかのようであり、とりわけ、大江さんがノーベル省の受賞式で発した言葉を踏まえた「曖昧さが重要な時代になってきている」との見方は、昨今のゼロか100かの、極めてデジタルな考え方、政治の世界も右傾、左傾双方が極端になってきているなど、私自身、そうしたリスクを胸に置いた次第です。
リアルな取材を通じて得た貴重なお話をいただいた山登さんには、気比史学会が節目で開催してきた、「戦後50年」、「戦後70年」の際にも登壇いただいたことを含め、重ねて感謝申し上げます。
結びに、昨日は約85名の方に参加いただきました。
大変暑いなか、足を運んでいただきましたこと、主催者の立場から厚く御礼申し上げます。
誠にありがとうございました。

【会場全景(講座開始前)。多くの皆様にお越しいただき感謝です。】
2025年8月30日
ブログ 敦賀の歴史・文化
自身が活動に参画する敦賀の市民歴史団体「気比史学会」。
昭和52(1977)年に会を設立後、昭和60(1985)年に開講したのが「敦賀市民歴史講座」であり、以来、体系的な年間テーマのもとに、歴史を学ぶ楽しさを市民と共有しながら連年開催をし、今年で第41期となります。
活動の中心を成す本講座においては、今期、二つのシリーズテーマ(各3講づつ)による全6講を企画。
一つは、日本海側で最初の“敦賀空襲”と、“太平洋戦争”終結80年に因む『戦後80年』シリーズ。
いま一つは、近世・近代における敦賀のまち形成の礎を築いたとされる最後の敦賀城主・大谷吉継にまつわる『大谷吉継生誕460年』シリーズ。
既に各1講目を終えたところですが、これら二つのテーマは、その時代と歴史的背景は大きく異なるものの、それぞれの分野における多彩な講師陣により展開される歴史ストーリーは、主催する側としても大変興味深く、多くの市民の方々に参加いただくことを期待するところです。

【再掲:昭和20(1945)年7月の敦賀空襲により、焼け野原となった敦賀市内】
さて、このように前置きをしたうえで、本日は14時より、シリーズ「戦後80年」の第2講を開催いたします。
テーマは『私が出会った三人の昭和の偉人たち』。
講師には、戦後50年、戦後70年の当会講座に続き、元NHKプロデューサーの山登義明(やまとよしあき)氏をお招きし、報道の立場、またジャーナリストとしての視点から戦後、そして「昭和」という時代についてお話しいただきます。
なお、山登氏は、敦賀のご出身。
簡単にプロフィールをご紹介しますと、1948年に敦賀市で生まれ、敦賀高校、金沢大学卒業後、1970年にNHK入社。
テレビディレクターとして大阪、東京、長崎で勤務し、プロデューサーとして広島、東京、NHKエンタープライズで、NHK特集「黒い雨 〜広島 長崎 原爆の謎〜」、ETV8「シリーズ・授業」など主にドキュメンタリー番組を制作。
親交が深い大江健三郎氏関係では、NHKスペシャル「響きあう父と子 −大江健三郎と息子光の30年」(1994年)は、国際エミー賞を受賞するなど大変高い評価を受け、その後も、ETV特集「大江健三郎・ノーベル賞の旅(1)・(2)」、他にも、「最後のひばり〜」や「冬のソナタ」の特番など、ジャンルを越えた幅広い社会派番組も数多く担当された方。
本日の講演で、山登氏が「昭和の偉人」と称する「三人」とは、向田邦子(作家、脚本家)、大江健三郎(作家、ノーベル文学賞受賞者)、河合隼雄(臨床心理学者、文化庁長官)。
三氏とも昭和ヒトケタ世代で、戦後の日本文化の土台を築いた人たちであり、敦賀との繋がりもあるとのことで、講演では、三人の生き方を見つめ、なぜ偉大なのかということを考えるほか、山登氏がロケする中で見せた各人の素顔のエピソードなどを映像も交えて面白く伝え、最後に、三人の死についても触れられるものと思います。
事前に山登氏と資料のやり取りをする中では、さすがプロデューサー。
三氏の素顔や生き方が浮かぶ動画も準備いただいており、どんなお話が聞けるのか、自分自身も楽しみが募るところです。
こうした内容で開催する市民歴史講座。
あらためまして、本日は14時より、敦賀市立図書館3階の研修室にて開催いたします。
まだまだ残暑厳しい折ではございますが、一人でも多くの皆様と一緒に、「戦後80年」を振り返り、そこから未来思考の何かをつかめれば幸いに存じます。
2025年8月29日
ブログ まちづくり
単身世帯の増加、持ち家率の低下等が進む中、今後、高齢者、低額所得者、障害者などの「住宅確保要配慮者」の賃貸住宅への居住ニーズが高まることが見込まれている一方で、賃貸人の中には、孤独死や死亡時の残置物処理、家賃滞納等に対して懸念を持っている方が多くいる状況を踏まえ、令和6年の通常国会において、誰もが安心して賃貸住宅に居住できる社会の実現を目指して、『住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)』が改正されました(施行は令和7年10月1日)。
本改正を受け、敦賀市においては、住宅確保要配慮者の民間賃貸住宅への円滑な入居を促進するため、必要な措置について協議することにより、福祉の向上と豊かで住みやすい地域づくりに寄与することを目的とし、令和6年5月27日に敦賀市居住支援協議会を設置し、以降、2回の協議がされているところ。
ここで言う「セーフティネット住宅」とは、基本的に民間賃貸住宅の制度を指すものですが、公共の市営住宅などが、どの程度まで「住宅確保要配慮者」の受け皿を担うべきなのかは、自治体によって考えが分かれるところ。
そうしたなか、敦賀市においては、公共施設そのもののあり方、市の現状や課題の観点なども勘案した形で、「敦賀市市営住宅のあり方検討委員会」による議論が進められており、昨日開催された「第2回」の委員会を傍聴してまいりました。
委員会は、学識経験者として大学准教授や弁護士、不動産鑑定士、市民団体代表として敦賀不動産業会、敦賀市社会福祉協議会、行政や市職員の計9名で構成。

【傍聴者にも配布された委員会資料】
議題ごとに、方向づけられたポイントのみ以下記載いたします。
(1)今後の管理運営手法の検討について
<市営住宅の現状と課題>
①管理戸数の適正化 → 維持管理費の経費負荷
②建物老朽化の進行 → 修繕箇所、案件の増大
③入居者の高齢化 → 団地コミュニティ機能の低下
④入居率の低下 → 応募倍率の低迷
◉現状、市による直営で対応しているが、対応に限界が生じてきている
◉市営住宅を今後、効率的、安定的に管理運営していくための方向性として、包括的な管理運営手法である「指定管理者制度」の導入も考える
◉福井県は、地元不動産団体等による指定管理者制度導入済
一気に指定管理者制度に行かなくても、見守りや夜間対応など、個別の事業者と提携して対応することもできるのではないかなどの意見はあったものの、既に実施している事項も含め、包括的に管理する方が入居者にとっても良いかと考えるなどの回答があり、結果、委員会として「指定管理者制度導入の方向で進めることを了」とする。
(2)敦賀市公営住宅等長寿命化計画の改定について
<計画改定のポイント>
・目標管理戸数の設定 → 2050年時点の目標管理戸数を「922戸」とする旨、決定
・各住棟別の事業手法を設定
①適正な管理戸数の設定について
②建物の方向性(事業手法)の見直しについて
・建て替えの際には、エレベータ設置を(高層階の入居率にも関わる)との意見
・清水、新津内は市内の中でも地価の高いエリア。地価の安い郊外の土地で建て替えることは考えていないのかとの意見に対しては、居住誘導区域内に建てることが考えにあるが、ご意見の点も検討する。
(3)敦賀市市営住宅の入居資格の検討について
①同居親族要件について
・事務局としては、廃止でも問題ないかと考える(単身世帯受入による入居率増加にもつながる)
→廃止の方向で決定
②連帯保証人要件について
・事務局としては、連帯保証人に自然人だけでなく、法人(債務保証会社)も含めることで見直してはどうか
→これに関しては、以下のように意見が分かれたため、意見も踏まえ、もう一度検討する(継続協議)こととなった
(挙げられた意見)
・生存権の保証に関わるものであり、対価を徴収できるか否かを優先すべきではない
・セーフティーネットとしての最低限のサービスであり、見直す機会がある中で、なぜ廃止しないのか
・民間賃貸住宅の家賃保証では、76%が債務保証会社を利用している。現実の管理として、保証人の保証能力が低下(高齢などにより)したり、亡くなることも考えると、自然人よりも債務保証会社の方が、現実の管理として良いのではないか
・県の場合は2名の連帯保証人を求めている(生活保護の方は1人)
③市税完納要件について
・事務局としては、撤廃を考えている → これを了とする
以上が、委員会の内容となります。
各界から出席された委員の皆さんの意見を拝聴しつつ、意外やすんなり話が進むものだなぁと傍聴する中で、(1)に関しては非常に大きな方向性が示されたもの、(3)の入居資格に関しては、従前の議会であった答弁と考えを変えていることに、特段の留意をしたところです。
次回の委員会は11月に開催とのこと。
昨日は、同じ会派の議員も傍聴していたため、これらの議論を踏まえ、会派内でも話し合ってみたいと考えます。
2025年8月28日
ブログ 敦賀市議会
昨日は、水曜日恒例の名子での辻立ちからスタート。
暑さを覚悟で立つと、意外や曇り空のお陰で日差しはやわらか。
また、先週に続き、20代の若手組合員と一緒に活動できることを嬉しく感じた訳ですが、さらに昨日の彼は、私の元職場にあたる発電所の保修業務に従事するということで、現況をお伺いするとともに自分の経験談などもお話ししたところ。
最後には、先日、追加調査計画を公表した、私たちのマイプラント「敦賀発電所2号機」の再稼働に向け、〝前進あるのみ“と思いをともにした次第です。

【明るくポーズまでとってくれる、頼もしき彼の活躍を祈念いたします】
さて、こうして気持ちが通ずる(私の一方的かもしれませんが)仲間との活動は楽しく、一層やる気と張り合いが出るなど「プラス」しかない訳ですが、昨日は議会の中でも同じことが。
敦賀市議会では、敦賀高校からの依頼を受け、生徒たちが作成する模擬請願の審査(以下、模擬請願審査)を11月に予定していますが、対応を預かる議会運営委員会では、「模擬請願審査ワーキング(WG)」を設置のもと、敦賀高校側との調整、企画を進めるところ。
3名で構成するWGのメンバーに私も入っており、既に7月末には、敦賀高校に出向いて打ち合わせを行うなど、鋭意準備を進めています。
そうしたなか、昨日もWGを開催し、9月12日(金)に実施する生徒たちへのオリエンテーションに向け、①行政(市長)と議会の関係、②総合計画とまちづくりに対する議会(議員)の視点、③請願作成にあたっての留意事項 の3テーマについて、それぞれ作成した資料を持ち寄り、相互確認。
3人で事前に申し合わせた訳ではありませんが、第一には、生徒さんにとって分かりやすく、次に、生徒さんたちの自由な発想を制限しない(議論誘導しない)、請願を考える中で、敦賀市・市議会の取り組みをより知ってもらうことについて、暗黙の了解で配慮されていたものと感じました。
また、相互確認においても、上記の視点で忌憚のない意見を交わすなど、こうした建設的な議論は、自身にとっても大変有意義であるとともに、他のお二方の視点は勉強になった次第です。
なお、こうした雰囲気で議論ができるのは、「趣旨目的を共有」していることは言うに及ばず、「相手をリスペクト」する姿勢があるからではと感じたところ。
この模擬請願審査は最終的に、全議員が各常任委員会に分かれて対応することになりますので、検討主体の議会運営委員会内はもとより、議会全体で今一度、趣旨目的を共有のうえ、敦賀高校の生徒さん、市議会双方にとってプラスの取り組みとなるよう尽力してまいる所存です。
結びに、昨日のWGも然り、段取りや細かな配慮まで、しっかりと支えていただいている議会事務局の皆様に感謝申し上げます。
2025年8月27日
エネルギー ブログ
連日、福井新聞の1面は、関西電力(以下、関電)に関する記事。
昨日は、関電が福井県内の原子力発電所立地地域の振興や課題解決に向けた新たな資金拠出の仕組みを公表し、本年度に総額207億円、来年度以降も当面の間、毎年50億円を基準に原子力発電所の稼働実績に応じて拠出する方針とのこと。
また、今日は、関電が保有する福井県内の原子力発電所3地点すべての敷地内で計画する使用済み燃料の乾式貯蔵施設の運用を巡り、遅くとも2035年末までに、同施設から県外の中間貯蔵施設へ搬出を開始すると県に説明することで調整していることが分かったとありました。
2件ともに、原子力行政を進めるうえで、福井県が重要視してきたものであることは認識するものの、とりわけ昨日の資金拠出に関しては、規模感も含め、1民間企業が負う役割としてどうなのか、個人的に疑問に感じた次第です。
一方、こうして地域振興に貢献する企業に対し、例えば関電では、美浜で進めようと計画するリプレースがありますが、これら新規電源立地や技術開発に、国はもちろん、十分な資金投資をしてくれるんですよねと大いに問い掛けたいところであります。
さて、福井新聞はこのような原子力に関する記事でしたが、全国版で気になるニュースはこちらもエネルギーに関するもの。
ひとつは、政府肝入りで進めてきた「再エネの切り札」と称する「洋上風力発電」について、三菱商事や中部電力などが、秋田県と千葉県沖の3海域で進める洋上風力発電所の建設計画から撤退する方向で調整に入ったことが26日、分かったとの記事。
3区域は「秋田県能代市、三種町および男鹿市沖」と「秋田県由利本荘市沖」、「千葉県銚子市沖」で、三菱商事や中部電力子会社の電気設備大手シーテック(名古屋市)などでつくる企業連合が受注し、千葉では2025年、秋田では2026年にそれぞれ建設を始め、風車計134基の設置を予定。
2028~2030年に順次運転を開始し、2052年まで操業する計画を掲げていたものの、資材や人件費などが上昇し、事業を取り巻く環境が厳しくなったことから、採算を確保できないと判断した。
なお、国が再生可能エネルギーの普及に向けた重点的な整備計画の第1弾として事業者を公募し、三菱商事を中心とする共同体が2021年に受注していたもの。
ふたつ目の記事は、太陽光発電に関して。
北海道の釧路湿原周辺で大規模太陽光発電所(メガソーラー)の建設を進める「日本エコロジー」(大阪市)に対し、有志の市議21人が15日付で、国の特別天然記念物タンチョウとひなの生息地付近で進めている事業の中止を要請したのに対し、同社は中止しない旨の見解書を釧路市長や市議、環境省に提出していたことが25日、市側への取材で分かったとの記事。
市議によると、同社は見解書で、事業は市と協議を重ねたもので、正当な手続きを踏んでいると主張。中止の要請には応じられないことに加え、環境への配慮は惜しまないと記していたとのこと。
なお、別の資料によれば、釧路市は本年6月19日、10kW以上の事業用太陽光発電設備の設置を許可制とする条例案を市議会民生福祉常任委員会に示しており、タンチョウやオジロワシなどの希少な野生生物の生息に重大な影響を及ぼすおそれがある場合は、太陽光発電設備の設置を許可しない方針とし、9月定例市議会に条例案を提出のうえ、来年1月1日の施行を目指すとしています。

【釧路高原で工事を進めるメガソーラー(産経新聞より引用)】
こうして同じ「再生可能エネルギー」でも、頓挫する洋上風力発電と、意に介さず拡大する太陽光発電。
特に、住民トラブルや山肌に設置したソーラーパネルにより治水量が低下し、災害にもつながっている太陽光発電がこの先も無秩序に開発され、さらには釧路高原や阿蘇山(熊本)のメガソーラのように、美しき日本の自然が次々に破壊される状況を看過していては決してなりません。
結びに、「第7次エネルギー基本計画」における、「2040年におけるエネルギー需給の見通し」は下表のとおり。
文中にある“複数シナリオ”の考え方については、「既存の再エネ技術に加え、ペロブスカイト太陽電池・浮体式洋上風力等の大幅なコスト低減が実現し、国内の再エネ導入量が拡大。」としています。
つまりは、大幅なコスト低減が実現すれば、こういった見通しになるとの希望的観測ともとれる訳です。
加えて、「様々な不確実性が存在」と、私には、達成できなかった場合の予防線を張りに張りまくっているとしか思えませんが、一体この見通しに誰が責任を持つのでしょうか。
2025年8月26日
ブログ 人生観
日本にとって8月は、古来からお御霊を慈しむお盆に、近現代の歴史である広島・長崎「原爆の日」や「終戦の日」が重なることから、人の命の尊さや儚さ、家族が平和に暮らせることがいかに大切なことかを特段に思う月。
加えて、いま世界で起きている、ロシアによるウクライナ侵略やイスラエルとパレスチナの問題などを見るに、いかなる理由があろうとも、武力による現状変更は断じて許されるものではなく、罪なき民間人、特に女性や子どもが犠牲になっている状況に、過ちを繰り返す人間の愚かさ、そして「人道」の二文字が大きく浮かび上がるところです。
そうしたなか、本日8月26日に迎えるのは「人権宣言の日」。
これは1789年8月26日、フランス革命勃発直後にフランス国民議会が制定した、普遍的な人間の権利を国家が承認した重要文書である「人間および市民の権利の宣言」が正式名称。
にわか知識であることをお断りしたうえで、同宣言は、1789年7月14日のバスティーユ牢獄襲撃、さらに全国に拡がった大恐怖といわれる農民蜂起を受けてフランス国民議会で制定されたもので、前文と17条から成り、これはフランス革命の最初の記念すべき成果であったとされています。

【1789年8月26日 フランス人権宣言(「世界史の窓」より引用)】
また、宣言の起草にあたったのはラ・ファイエットらで、国民の自由と平等、圧制への抵抗権、国民主権、法の支配、権力分立、私有財産の不可侵などを規定しており、実際、同宣言は、データベース『世界と日本』で次のように翻訳(田中明彦氏訳)されています。
(全文)
国民議会という形に組織されたフランス人民の代表者たちは、人の諸権利についての無知、忘却または蔑視が公共の不幸と政府の腐敗の諸原因であるにほかならないことに鑑みて、一つの厳粛な宣言のなかで、自然で、譲り渡すことができず、そして神聖な人の諸権利を表明することを決意した。それは、この宣言が社会のすべての構成員の前につねに提示され、彼らの権利と彼らの義務をたえず彼らに想起させるためである。それは、立法権の行為および行政権の行為が、すべての政治制度の目的と継続的に比較されることによって、よりいっそう尊重されるためである。それは、市民の要求が、これからは単純で争いえない諸原理にもとづくことになるため、つねに憲法の維持とすべての人々の幸福に向けられるようにするためである。
このようにして、国民議会は、至高の存在の面前でかつその庇護のもとに、つぎのような人および市民の諸権利を承認しかつ宣言する。
第1条 人は、自由かつ諸権利において平等なものとして生まれ、そして生存する。社会的区別は、公共の利益への考慮にもとづいてしか行うことはできない。
第2条 すべての政治的結合の目的は、人の自然かつ消滅しえない諸権利の保全にある。これらは、自由、所有権、安全および圧政に対する抵抗である。
第3条 あらゆる主権の原理は本質的に国民に存する。いかなる団体、いかなる個人も、国民から明示的に発するものではない権威を行使することはできない。
第4条 自由とは他者を害しないすべてをなしうるということである。したがって、すべての人の自然的諸権利の行使は、同じ諸権利の享有を社会の他の構成員にも確保するということ以外には、限界をもたない。この限界は法によってのみ決定されうる。
第5条 法は、社会に有害な行為のみを禁止する権利を持つ。法の禁止しないすべてのことは妨げられず、また、何人も法が命じないことをなすように強制されることはない。
第6条 法は一般意思の表明である。すべての市民は自ら直接またはその代表者によってその形成に参加する権利を持つ。法は、保護する場合にも、処罰する場合にも、すべての者にとって同一でなければならない。すべての市民は、法の目からは平等であるから、その能力に従って、かつ、その徳性と才能以外による差別をうけず、すべての公的な位階、地位、職務に等しく就く資格を有する。
(以下、省略)
1789年の日本はといえば、老中松平定信による「寛政の改革」が開始された年ですが、直接的ではないにせよ、フランス革命は鎖国下にあった幕府も無視できないものとなり、特に幕末の長州藩などは、フランスの軍事技術や近代化の動向に注目し、直接的な交流や技術導入を試みるなど、日本の近代化に影響を与えたとされています。
今や当たり前の如く叫ばれる、「すべての人間の自由と権利、法の下の平等」は、市民革命によって勝ち得たものであることを、今一度おさらいするところであり、「人権宣言の日」にあたりご紹介した次第です。
なお、昨朝は、いつものとおり、週初めの街頭演説を行いました。
部活動に向かう中学生、敦賀高校は学校祭の準備でしょうか、色とりどりのTシャツを着て自転車で通学するなか、先般発行した「やまたけNEWS」に沿ってお話ししましたが、その一番目は、敦賀市議会で制定した「ハラスメント防止条例」のこと。
相手の人格を否定し、尊厳を傷つけたりする行為は、絶対に「しない」、「許さない」。
人権宣言にある「すべての人間の自由と権利」は、身近にある、普段からの言動を一人ひとりが注意することによって、守ることができます。

【街頭では、ハラスメントのない議会、敦賀市役所、敦賀市になればとの思いを込め、お話ししました。】
2025年8月25日
エネルギー ブログ
早いもので、8月も最終週となりました。
敦賀市内の小学校の1学期後半開始は、明後日27日(水)のようで、夏休みの宿題も終わって余裕の子も、ラストスパートとばかり宿題に追われている子も、元気に登校日を迎えて欲しいと思うところ。
夏休みが終わると、敦賀の次のイベントは、9月2日(火)から始まる「敦賀まつり」。
ニュースにも取り上げられていた「山車」の組み立て、準備にあたる様子などを見るにつれ、この歳になってもワクワクするのは「敦賀っ子」の所以といったところでしょうか。
ただし、その前の9月1日(月)には、令和7年第3回(9月)敦賀市議会定例会 1週間前の、いわゆる「告示日議運」(議会運営委員会)が開催され、同時に議案も配布されます。
翌週8日(月)には定例会開会となりますので、こちらは気を引き締めて、準備にあたる所存です。
さて、この猛暑続き、電力需要が極めて高い夏季ピークも「電力の安定供給」にご尽力いただいている、電力関連産業の方々にあらためて感謝するところですが、一方、心配が募るのは、この先の電力不足。
第7次エネルギー基本計画でも明らかとなったよう、生成AIの急速な普及に伴うデータセンターや半導体工場に必要な分を見込むと、従前低下傾向にあった電力需要は増加に転じ、これをどう非化石エネルギーで賄っていけるかが、日本における大きな課題となっています。
これに対しては、既設原子力発電所をフルに活用するほか、次世代革新炉によるリプレース、新増設を速やかに進めていくことが鍵であり、日本が成長するための生命線と考えることは、これまでも述べているとおり。
と同時に、「原子力発電の最大限活用」を謳いながら、これらが遅々として進まない現状に忸怩たる思いを抱く訳ですが、この思いが一層募るのは、世界各国の原子力政策が極めて革新的かつスピード感をもって行われていることに他なりません。
例えて言うなら、先日の原子力産業新聞にも掲載されていた米国。
GoogleやAmazon、メタ社(Facebookを運営)など、膨大な電力を必要とする米大手IT企業は、自社データセンターへの電力供給を「原子力」で賄うため、開発協力、資金援助を行っているところ、米原子力新興企業のケイロス・パワー社は8月18日、米国の拡大するエネルギー需要に対応し、先進原子力分野における同国のリーダーシップを強化するため、IT大手のGoogle社および米テネシー峡谷開発公社(TVA)と新たな協力関係を発表したとありました。
Google社は2024年10月、自社のデータセンターへの電力供給を目的にケイロス社と2035年までにケイロス社が開発する先進炉のフッ化物塩冷却高温炉を複数基、合計出力にして最大50万kWeの導入による電力購入契約(PPA)を締結。
ケイロス社の実証プラント「ヘルメス2」は、Google社との同契約の下で最初に建設される発電所となり、さらにケイロス社はGoogle社のテネシー州モンゴメリー郡ならびにアラバマ州ジャクソン郡にあるデータセンターへの電力供給を加速するために、ヘルメス2の出力を2.8万kWから5万kWeに増強し、1基の原子炉で発電を行う予定で、2030年の運転開始を見込むなど、Google社は事業の脱炭素化をさらに推進していく考えとのこと。

【ケイロス・パワー「ヘルメス2」のイメージ(原子力産業新聞より引用)】
また、ヘルメスは2023年12月に、米原子力規制委員会(NRC)が半世紀ぶりに建設を許可した非水冷却炉。
つまりは、規制側も国策である新たな技術導入に対して、極めて迅速かつ合理的な対応をしていることが背景にあることも認識しておく必要があります。
これは世界で起こっていることの一例に過ぎず、欧米各国はもとより、中露、途上国を含め、先進的な原子力開発を進める中において、日本はどうか。
新規プラントを建設する期間を考慮すると、今に「電気が足りなくなる」状況に陥るのではないか。
そうなれば、もはや日本は先進国どころではなく二流国。
さらに言えば、「エネルギー資源獲得戦争」であった先の歴史すら思い浮かべる次第。
品質の高い、安定した電力供給は、生活と経済活動の血液であり、日本の生命線。
残暑厳しきこの夏にあって、一層の危機感を覚える次第です。
2025年8月24日
ブログ 人生観
昨日午前中は、両親が手掛けている家庭菜園へ。
さすがにこの暑さ続きでは、親だけでは大変だろうと、妹と一緒にお手伝い。
といっても、収穫の終わった2畝(うね)分の片付けや草むしりをしただけですが、それでも汗だくになっての作業は気持ちよく、綺麗になった畝を見ると達成感があるもの。
わが家もお裾分けの恩恵に預かっている両親が育てる野菜は、手間ひま、そして愛情を込めてできるものと、今さらながら実感した次第です。

【綺麗になった畝をバックに、仕事をした証拠写真(笑)】
さて、農作業と並行して行われていたのは、夏の全国高校野球決勝戦。
観れたのは終盤だけでしたが、行き詰まる熱戦を制したのは沖縄尚学。
「野球エリート集団」とも称される日大三(西東京)を3―1で破り、見事、夏の大会初の優勝を果たしました。

【深紅の優勝旗を手にした沖縄尚学】
県勢の夏の大会優勝は2010年の興南以来15年ぶりとのことで、「沖縄タイムス」によれば、「決勝当日、試合開始前から街は人影も車もまばらとなり、「道路から車がなくなる」といわれるほど、県民の視線はテレビ中継に注がれた。商業施設や公民館には人々が集まり、盛大なエールを送った。勝利の瞬間、各地で歓声が沸き起こり、沖縄は歓喜に揺れた。」とありました。
写真でも、閑散とした幹線通りが掲載されており、まさに沖縄県民が一体となって応援されたものであり、選手はもとより、関係者、地元の皆さんにお慶び申し上げる次第です。
厳しい練習や試合でのピンチを乗り越えるのは、強い気持ちの個がつながるチームワーク、そして選手たちの自主性にあると、あらためて高校野球、スポーツの素晴らしさを感じた一方、今大会においては、広陵高校(広島)が途中で出場辞退するという前代未聞の出来事もありました。
決勝戦が終わった23日夜に、朝日新聞デジタルに掲載された編集委員の記事は『暴力でなく言葉でやりとりを 主体性高める動き』とのタイトル。
広陵高校の件を発端に、過去にあった高校野球界での暴力事案を踏まえつつ、次のように述べています。
<以下、記事抜粋引用>
これらは選手を強くするため、チームを勝たせるための「指導の一環」として、指導者が選手を暴力で威圧し、自分の意のままに動かそうとした構図と似ている。高校生は大人のまねをしてきたのではないか。かつて先輩に殴られた部員が、上級生になって暴力をふるう「負の連鎖」もあるだろう。
最近はいろいろな部活動で、選手の主体性を高める動きが進んでいる。学校教育で主体的、対話的な学びが求められ、スポーツの現場でもそうした要素が重視されるようになってきた。チーム方針や練習内容、試合のメンバーなど、運営の多くを選手たちが話し合いで決める。指導者は見守り、問題が起こった時に修正のヒントを与える。勝利を目的の一つとしながらも、プロセスを通じた選手の成長にも多くの価値を置いている。
こうした取り組みを取材していると、暴力とは無縁だと感じる。指導者も選手も「言葉」が勝負になるからだ。自分の考えを通したければ、それなりの理由付けと実践が必要になる。仲間たちの考えを理解することが前提になる。
<引用終わり>
私も少年ソフトボールの指導者として5年間携わりましたが、その際、子どもたちと接する中で最も留意したのはこの部分にありました。
指導者の暴力や強い言葉でロボットを操るかのように、選手は指導者の顔色を伺い、失敗を恐れ、萎縮してプレーする。
そんな時代は終わりました。
高校野球ファンの1人として、広陵高校には、単に監督や部長を交替させることで終わらせることなく、本質的な問題を徹底的に洗い出した上で、次へのスタートを切って欲しいと思うとともに、高校野球に留まらず、日本のスポーツ全体が、暴力とは無縁の中で、自主性をもって自分の技術や精神を磨き、チームワークを高め、仲間やライバルと切磋琢磨する。
そのような環境となること、また、今回のような事案や報道が二度とないよう、切に願う次第です。
注ぐ、真の「愛情」が根底になくば、選手も、冒頭の野菜も、決して大きく健やかに育ちません。
2025年8月24日
ブログ 活動報告
『やまたけNEWS(第25号)』を発行しました。
敦賀市内は、本日の各朝刊に新聞折込みしていますのでご覧ください。

【今回は広告群に埋もれることなく、新聞を開くとパッと目に入る位置に。】
また、新聞購読されていない方や市外にお住まいの方におかれましては、ホームページ(トップ画面の最下欄)にPDF版を掲載していますので、以下リンクよりご覧いただければ幸いです。
→「やまたけNEWS(第25号)」はこちら
なお、ご質問やご意見がございましたら、是非お気軽に、NEWSに記載の連絡先へ連絡いただけますようお願いいたします。
2025年8月23日
ブログ 防犯/防災

写真は、昨朝撮影したもの。
以前にSNSで紹介したことがあるのですが、野坂山をバックに咲く赤い花(モミジアオイと言うそう)はまさに「紅一点」。
ここにしか咲いていないだけに、ひときわ存在感があります。
また、久しく雨が降っていない中においても、こうして「情熱的」に咲く花に元気をもらったところです。
さて、今日は、二十四節気の「処暑」。
「処」は落ち着く、「暑」は暑さという文字どおり、暑さが落ち着く時期、あるいは厳しい暑さの峠を越した頃を意味します。
本日の敦賀は日中の予想最高気温36℃と「真夏日」であり、暦との期ズレがあるようにも思いますが、散歩をしていても朝夕には涼しい風が吹き、夜に聞こえてくる心地よい虫の声、田んぼの稲穂が実る様子に「秋」の気配を感じるところです。
こうして待ち遠しい「秋」の到来ですが、併せて到来するのは「台風シーズン」。
こちらは歓迎されない季節であることは言うまでもありませんが、既に昨日22日、九州南部を横断した台風12号の影響で鹿児島県では24時間に降った雨の量が300ミリを超える記録的な大雨(8月ひと月分以上の雨が1日余りで降った)となり、浸水や土砂災害が相次ぎました。
台風は同日昼前に熱帯低気圧に変わりましたが、これまでの雨で地盤が緩んでいる地域があり、引き続き土砂災害に警戒が必要としています。
気象予報では、次に発生する見込みの台風は日本への影響はないものの、まだまだ台風シーズンは続き、平年では8月に5.7個、9月は5.0個の台風が発生しているとのこと。

【tenki.jpによる台風の発生件数(平年)】
今月は22日午後3時現在、3個の台風が発生(10号~12号)し、そのうちのひとつ「台風12号」が九州南部に上陸した訳ですが、9月は日本列島に近づくようなコースを取ることも多くなるため、注意が必要と呼びかけています。
タイトルには「来て欲しくない」と書いたものの、願いとは関係なくやってくるのが台風。
「備えあれば憂いなし」の言葉にあるよう、台風による大雨や暴風に備え、避難経路の確認や防災グッズの準備、側溝や雨どいの清掃、飛ばされやすい物の固定や片づけなど、心づもりと準備を進めておきましょう。
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