2025年5月3日
憲法施行78年 〜必要な憲法改正に向けた開かれた国民議論を〜
今日は「憲法記念日」。
祝日法によれば、昭和23年の「国民の祝日に関する法律」の制定当初に定められた計9日の「国民の祝日」の一つであり、「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」日とされています。
なお、日本国憲法は、制定から一度も改正されたことがないということもあり、国民も「憲法は不変」のもの、「変えてはいけない」ものという感覚があるのも当然と言えますが、国際的な常識は、実情に合わせて改正すること。
因みに、日本国憲法は、世界で成文憲法を保有する188ヶ国中、古い方から14番目(2019年時点)で、改正されてない成文憲法としては「世界最古」だそう。
他国が改正しているからということではなく、守るべきは守る、変えるべきは変えることが必要であり、とりわけ、国家の根幹に関わる外交防衛や安全保障に関しては、国際情勢を冷静に捉え、国民の安全と財産を守るための現実的な対応を可能な状態にすべきとの考えが私のスタンス。
「憲法 山本たけし」あるいは「憲法改正 山本たけし」で検索いただければ、そうした考えを書いた私の過去ブログがヒットしますので、そちらはまたご覧いただくとしまして、本日の「憲法記念日」は、国民ひとり一人が、自分ごととして考える、そんな日になることを願う次第です。
さて、憲法記念日を前に、報道各社が憲法改正の賛否を問う調査を行っており、主要なところを並べると以下のとおり。
<産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)>
◉19、20両日に実施した合同世論調査で、5月3日の憲法記念日を前に、憲法改正への賛否を尋ねたところ、「賛成」が59・0%で過半数となり、「反対」の29・9%を大きく上回った。
◉主要政党の支持層ごとにみると、自民党は賛成67・3%、反対23・4%。立憲民主党は賛成34・2%、反対61・7%で、国民民主党は賛成73・1%、反対22・7%だった。「支持政党はない」とする無党派層は賛成56・1%、反対29・2%だった。
<読売新聞社>
3~4月、憲法に関する全国世論調査(郵送方式)を実施した。憲法を「改正する方がよい」とした人は60%(昨年調査63%)で、4年連続で6割台となった。憲法を「改正しない方がよい」は36%(同35%)で、賛成と反対の差は24ポイントだった。
改憲の必要性は「どちらかといえば」を含め計70%が肯定し、否定は「どちらかといえば」と合わせて計26%。
<朝日新聞社>
全国世論調査(郵送)で、いまの憲法を「変える必要がある」と答えた人は53%(2024年調査は53%)で、「変える必要はない」の35%(同39%)を上回った。
<毎日新聞>
4月12、13の両日に実施した全国世論調査では、石破茂首相の在任中に憲法改正を行うことについて尋ねたところ、「賛成」との回答は21%で、「反対」の39%を下回った。「わからない」は39%だった。
ご覧いただくよう、同じ設問でも、下に行くほど「賛成」の率が低下しているのが不思議なところ。
また、産経新聞の調査において、「改正に賛成」の支持者が最も多かったのは国民民主党は、憲法記念日に合わせて次の談話を発表しています。
【国民民主党 憲法記念日にあたって(談話)】
党としての考えは、お読み取りいただくとおりでありますが、4段落目にある「9条」の点については、令和5(2023)年5月11日に行われた衆院憲法審査会におけるやり取りにより補足いたします。
この審査会では、日本国憲法に密接に関連する基本法制などについて議論がされ、「緊急集会」を定めた憲法54条、「戦略の不保持」に関する9条などについて、各政党より発言がありました。
これに関し、9条関連の議員間の議論では、自民党と国民民主党とで次のようなやり取りがありました。
◉自民党 新藤議員
自衛隊を憲法に明記すべき。自衛権の行使については、現在の解釈に変更はない。
◉国民民主党 玉木代表
自衛隊という組織を憲法に明記するだけでは、自衛隊の行使する自衛権についての違憲論が残り続ける。自衛権の範囲をある程度憲法に明記すべき。
◉自民党 新藤議員
国防を担う実力組織として自衛隊を憲法に明記する事は、基本法である憲法が掲げる《あるべき国の形を整える事に繋がる》と考える。国防及び自衛隊の規定を設けたとしても、現行の9条1項2項はそのまま維持するので【自衛権の行使は必要最小限度という現在の解釈に全く変更はない。」
◉玉木代表
自民・維新の憲法9条改正案は「自衛権の範囲は従来の解釈を維持」としているので、自衛隊という組織の違憲性は消えるが、自衛隊が行使する自衛権の範囲については解釈論争が残り続ける。目的である【違憲論に終止符を打つ事が達成できず、労多くして益少なしの改正になる】ことを懸念する。」
その上で、玉木代表はこう結んでいます。
「憲法9条こそ、軍事的公権力の行使という最大の統治行為に関する規定である。まさに厳格に解釈すべき『ルール』『準則』であるはず。だからこそ、無理な解釈から卒業し、自衛隊を明確に戦力と位置付けることが、憲法の規範性を回復する上でも必要であることを指摘しておきたい。」
なお、ここに記載していませんが、玉木代表が発言で引用した、1952年の「憲法改正と再軍備」に関する憲法学者の対談記事での「やはり重要な問題については憲法の無理な解釈をしないで、それを堂々と取り上げて、国民全体の※与論を聞いて、十分論議を盡した上で改正するかしないかを決めるという公明な態度をとる必要がある」との指摘はまさにその通りと思うところ。
※与論 ← 敢えてこの漢字を使っていたので間違いではありません
皆さんに考えを押し付けることを決してするつもりはありませんが、こうしたやり取りや改憲派・護憲派それぞれの主張はもとより、改憲派の中においても意見の分かれる9条ひとつとっても、前述のとおり、憲法改正論議を自分ごととして捉え、各政党が示す異なる考えの中で、どの考えが自分にしっくりくるのか、国民ひとり一人が思考しておくことが重要と考える次第です。
「憲法施行78年「9条」の限界を直視せよ 改正条文案の起草に着手を」のタイトルで掲載された、本日の産経新聞<主張>の結びにはこうありました。
改正に前向きな政党は、国民のために憲法があると自覚し、憲法審などで改正条文案起草に進んでもらいたい。
私も同感であることを述べ、憲法記念日にあたってのブログを閉じます。