どんなときにも電力の安定供給を守り抜く『秋田火力魂』

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一昨日、敦賀市内で開催された「日本海六県港湾都市議会協議会 令和6年度総会」の際、ちょうど秋田市議会の議長さんと東北電力 秋田火力発電所(秋田市)の「廃止」についてお話ししたところでしたが、昨日は、7月1日付で廃止した同火力発電所4号機(出力60万キロワット)の「発電納め式」が開かれたとのこと。
 
日本経済新聞の記事によると、発電納め式には運転に携わった東北電力や協力会社、メーカーなどの関係者約50人が出席し、同発電所の清水徳行所長は「どんなときにも電力の安定供給を守り抜く『秋田火力魂』を後世に伝えていかなければならない」と強調したとありました。
 
同4号機は1980年7月に運転開始。
 
重油や原油を燃料にし、主に電力需要が高まる夏や冬のピーク時に、東北管内の需給バランスを調整する役割を担ってきましたが、設備の経年化が進行していることから、今後の需給動向や供給力確保の見通しなどを総合的に評価した結果、東北電力が廃止判断をされたもの。
 
なお、秋田火力発電所は既に1〜3並びに5号機が廃止となっており、今回の4号機により同発電所は全発電設備が廃止となったことから、本年10月頃を目途に発電所(地点)としても廃止とする予定としています。
 
1970年8月の1号機運転開始以来、電力の安定供給を通じて東北地方と秋田県の経済発展に寄与するべく、約54年間にわたって運転を継続されたことに深く敬意と感謝を表する次第です。
 
本当にお疲れ様でした。
 

【秋田火力発電所4号機「発電納め式」の様子(日本経済新聞ウェブ版より引用)】
 
さて、日本の高度成長期を支えた重要な電力供給設備がまた一つ無くなることを非常に寂しくも思うところですが、10日のブログで記載しましたよう、恒常的な電力需給逼迫から抜け出すことが、わが国が持続的な成長と遂げられるか否かの「生命線」であることは言うまでもないところ。
 
今後、わが国の電力需要が増加する見通しとなっている大きな要因が、人工知能(AI)やChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)等の開発・学習やクラウドサービスを拡大するために必要なデータセンター(以下、DC)の電力(2033年までに約537万kW増)であることはご承知置きのことと存じますが、世界最大のDC拠点である米バージニア州北部では、広さ約4.7平方kmのDC専用のスペースがあることに加え、80万世帯分の電力を消費しており、この度同州全体の電力消費量に占めるDC電力需要は「15%」に到達したとのこと。
 
ケタ違いの規模に驚くところですが、国際エネルギー機関(IEA)によると、世界の8,000を超えるDCのうち、約33%が米国、16%が欧州、10%が中国にあるとされ、米国の電力消費量は、2022年は米国の電力需要の約4%に当たる約200TWh※から、2026年には同6%に相当する約260TWhに増加すると予想されています。
 
※TWh:テラワットアワー → 1TWhは1MWhの百万倍で1兆ワットアワーに相当
 
なお、AI及びDCによる世界全体の電力需要増見込みは、2026年(ハイケース)で「1,050TWh」となっており、これは日本の年間電力消費量とほぼ同じであることを再掲しておきます。
 

【IEAによる世界のDC・AI等による電力需要見通し(総合エネルギー調査会 基本政策分科会資料より抜粋)】
 
話をバージニア州に戻しますと、この電力需要増加を見込み、2022年には既に同州としての「エネルギー計画」を公表し、州内で増加するエネルギー需要を満たすには、原子力や天然ガス、再生可能エネルギー、新しいエネルギー源など、利用可能なエネルギー技術をすべて活用するという「全方位的アプローチ」を取るべきだと表明するとともに、原子力利用を拡大し同州を原子力技術革新の主要なハブとする考えを明らかにしています。
 
実際、同州にあるドミニオン・エナジー社が保有するサリー発電所(87.5万kWのPWR×2基)については、原子力規制委員会(NRC)が2021年5月に、運転期間の延長に向けた同社の2回目の申請を承認し、これら2基はそれぞれ2050年代まで「80年間運転」を継続できることになったこと、また、ノースアナ発電所(約100万kWのPWR×2基)についても、NRCは同社が2020年9月に提出した2回目の運転期間延長申請を審査中とのこと。
 
また、水素製造やCO2の回収・貯留、有効利用(CCSU)、小型モジュール炉(SMR)の開発も挙げ、商業用SMRを同州南西部で10年以内に建設するという目標の設定に向け、財政支援の必要性を支持するとしています。
 
さらに、商業用SMRと併せ、使用済燃料のリサイクル技術を開発すべきだと提唱しており、それによってCO2を排出せず、使用済燃料の量も最小限というエネルギーシステムを確立することを訴えており、将来の電力需要にも安定供給を果たしつつ、カーボンニュートラルの実現にも寄与する、これぞ「超現実的な」エネルギー政策と考える次第です。
 
生成AIなどの性能・進化スピードは恐ろしく早く、世界を席巻しつつあり、州単位でこうした政策を進めるアメリカに比べ日本はどうか。
 
冒頭の秋田火力発電所然り、高度成長期を支え、大きな役割を果たした全国の火力・原子力発電所が廃止に進むことは、ひとつまた一つと貴重な電力供給源を失うことを意味します。
 
2033年までにDC・AI分だけで537万kW増加すると見込まれる電力需要のなか、ではどの電源でどうやってそれを確保していくのか。
 
「どんなときにも電力の安定供給を守り抜く『秋田火力魂』」。
 
今ほど、この魂が求められていることはなく、政府にはこの魂で、その達成に向けた明確な「決断」を過給的速やかにすべきと考える次第です。
 

Screenshot


【日本のDC・半導体工場の新増設による影響(総合エネルギー調査会 基本政策分科会資料より抜粋)】

眠ったままの設備容量「2,148万キロワット」

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季節は本来、梅雨のはずですが、連日テレビでは「猛暑」のニュースが流れるところ。
 
真夏を思わせる暑さとなっていますが、これに伴い増加するのが「電力需要」。
 
公平性と正確性を期すため、最近の電気新聞の記事を引用すると、
 
◉電力広域的運営推進機関(広域機関)は5日、関西エリアで夕方の時間帯に需給が逼迫したことに伴い、東京電力パワーグリッド(PG)など5社に電力融通を指示した。同日は厳しい暑さで冷房の利用が広がり、想定より需要が増加。調整用電源のトラブルも影響したようだ。6月の東北エリアに続き、融通を受けるケースが相次いでいる。
 
◉午前中から厳しい暑さに見舞われ、電力融通を受けた東京エリアで8日、高気温に伴う電力需要の増加で需給が逼迫した。広域予備率は同日午前に3%台にまで低下。電力広域的運営推進機関(OCCTO)は午前9時~正午に20万キロワット供給するよう、中部電力パワーグリッド(PG)に電力融通を指示した。複数の火力電源が計画外停止しており、供給力が万全でなかったことも影響したようだ
 
このように、東西ともに電力融通により需給逼迫を乗り越えている、いわば「綱渡り」状態とも言える訳ですが、火力発電所も緊急稼働や増出力運転などにより、懸命の対応をされていることも認識しておかなければなりません。
 

【7月9日の各ブロック電気使用状況(OCCTO需給関連情報より)】
 
そうした中、重要を極めるのが「次期エネルギー基本計画」ですが、経済産業省・資源エネルギー庁は8日、計画策定に向けた「※総合資源エネルギー調査会 第58回基本政策分科会」で、脱炭素電源の確保について意見を聴取。
 
※総合資源エネルギー調査会:経産相の諮問機関。同分科会長は隅修三・東京海上日動火災保険相談役。
 
原子力は経年化により設備容量が減少していくため、新増設に早急に対応すべきとする意見が相次ぐとともに、再生可能エネルギーの導入量も足元で減少傾向にあるため、政策の強化が必要とし、国の積極的な関与により電源開発の予見性を高める施策が不可欠という声が占めた
 
事務局は、データセンターや半導体工場が経済成長の基盤となる中、電力需要の増大に対し脱炭素電源が不足すれば、経済成長に悪影響を及ぼす問題意識を提示したうえで、再エネや原子力、系統増強や蓄電池の導入促進に向けた支援策について聴取したとあります。
 
こうした議論を見る限り、現実的なエネルギー政策構築に向けた真っ当な議論がされているものと認識するところ。
 
なお、冒頭に述べた、いま現在の恒常的な需給逼迫を改善するため、鍵を握るのは既設原子力発電所の早期再稼働であることは言うまでもありませんが、同時に経済効率性を含めた長期運転も重要であり、昨日は、原子力規制委員会から40年超運転の認可を受けた関西電力高浜原子力発電所3、4号機(PWR:出力87万キロワット)について、福井県の杉本達治知事は、「(2基の)運転延長に理解を示す」と容認する考えを示したところ。
 
40年超運転に合わせて関電が実施する蒸気発生器(SG)の取り換え計画についても、安全性が向上するとして了承され、賢明な判断がされた訳ですが、忸怩たる思いは、やはり眠ったままの審査中プラント。
 
以下のスライドは、8日の第58回基本政策分科会で資源エネルギー庁が提出した資料の抜粋ですが、現在再稼働していない原子力発電所の設備容量は「2,148万キロワット」。
 

【資源エネルギー庁提出資料による「(原子力発電所)既設炉の最大限活用」】
 
「たられば」を言えば、柏崎刈羽の1基を速やかに再稼働すれば、東京電力管内の需給状況は相当改善するとともに、企業や国民も猛暑のなかでの「節電」を強いられなくて済むことになります。
 
この「宝の持ち腐れ」とも言える、原子力の「2,148万キロワット」ものポテンシャルを使わずして「需給逼迫」だとする日本の姿を、さぞかし他国はあざ笑っているかと思う訳ですが、この中には、地盤審査の佳境を迎えつつある我が敦賀発電所2号機も含まれています。
 
いま現在の需給の状況(供給力不足)、さらには2030年に向けて電力需要が大幅に増加することが明らかなことを踏まえれば、敦賀2号の「116万キロワット(定格出力)」も極めて重要な電源であり、「活動性を否定できない」の一言に屈する訳にはいきません。
 
繰り返しになりますが、敦賀2号をはじめ、審査中のプラントすべてを早期に稼働させることが、日本が現在置かれた状況を改善する唯一の手段であり、原子力規制委員会が「経済合理性は知ったことではない」と言うのであれば、安全を第一義にそれを追求するのは政治の責任であると考える次第。
 
何故なら、政治には国民の生命と財産、そして豊かな暮らしを守る使命と責任があるのですから。

原子力小委員会が「原子力政策の論点」について議論開始

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昨朝は、水曜日恒例の名子での辻立ちから。
 
発電所に向かう皆さんに対してはいつも、お手振り、アイコンタクトでご挨拶していますが、気持ちは「ご安全に」。
 
昨日は比較的過ごしやすい日であったものの、今は熱中症リスクが高い時期でもあり、安全第一の作業を願い、お見送りした次第です。
 
さて、昨日のブログでは6月定例会最終日に採択した議員提出議案「エネルギー基本計画見直しに対する意見書」の件をご紹介したところですが、ちょうど同じ日(6月25日)には、「総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会」(以下、原子力小委)の第39回会合が開催され、エネルギー基本計画改定への反映を見据えた、原子力政策の論点について議論を開始したとありました。
 
原子力を取り巻く世界の情勢に関しては、本年6月13〜15日にイタリア・プーリアで開催されたG7首脳会合で、ネット・ゼロへの移行及びエネルギー安全保障の改善における原子力の可能性を強調し、研究開発やサプライチェーン強靱化等に向けた協力方針を確認。
 
マイクロ炉を含む革新炉や小型モジュール炉のような革新的技術の研究開発を促進し、プロジェクト資金調達手段へのアクセス拡大を可能にするために協力し、セクター間の協力を支援することや、COP28期間中に発表された2050年までに世界の原子力発電能力を3倍にするとの世界的な宣言に留意すること。
 
さらには、最高水準の原子力の安全性とセキュリティが、全ての国とそれぞれの国⺠にとって重要であることを強調するとし、今後こうした考えに従い原子力発電の活用を進めるとしています。
 
そうした情勢のなか、25日の原子力小委では、資源エネルギー庁が原子力発電の再稼働や新増設・リプレースに加え、※核燃料サイクルなどのバックエンド分野も含めた幅広い現状について説明。
 
※本来、「原子燃料サイクル」と書きたいところですが、提出資料に沿い、「核燃料サイクル」と表現いたします
 
前回のエネルギー基本計画策定時からの国際情勢、電力需要見通しの変化などを踏まえ、次世代革新炉の開発・建設に向けた事業環境整備や国際的な燃料サプライチェーンの確立など、具体化が急がれる取り組みについて議論を深めたとありました。
 
具体的に、議題に挙げられたのは以下2点。
 
(1)原子力に関する動向と課題・論点について
(2)核燃料サイクルの確立に向けた取組と今後の検討事項について
 
さらに、(1)に関する資源エネルギー庁提出資料では、
 
1. エネルギーを巡る状況について
2.原子力政策を巡る動向
(1)国内における状況
(2)海外における状況
3.原子力の特⻑
4.原子力活用にあたっての前提
5.原子力活用に向けた環境整備
 
について説明。
 
1.では、今後、エネルギーを巡る様々な論点について、6月以降「GX2040リーダーズパネル(仮称)」を開催し、有識者から見解を聴取した上で、それを踏まえてGX2040ビジョンにつなげること、こうした議論も踏まえ、エネルギー基本計画・地球温暖化対策計画の見直しや、カーボンプライシングの制度設計につなげていくとあり。
 
「GX2040リーダーズパネル(仮称)」については、5月13日に開催された「第11回 GX実行会議」においても示されていますが、ここを起点として議論が展開されることに留意をしておかねばなりません。
 

【6月25日の「原子力小委員会」資料より抜粋】
 
また、5.では、原子力活用に向けた環境備に関する課題や論点などを挙げた上で、最終ページには、「昨年の原子力関係閣僚会議にて決定した『今後の原子力政策の方向性と行動指針』について、現在の情勢を踏まえ、今後、どの取組の具体化を特に加速していくべきか」とし、以下のようにまとめられていました。
 

【上記と同じ】
 
意見書にて求めた「エネルギー基本計画見直し」につながるこの議論。
 
「今後、どの取組の具体化を特に加速していくべきか」とありますが、「どの取組『も』具体化を加速」いただけるよう、前向きな議論を切に求める次第です。
 
 →(参考)6月25日の原子力小委関連資料はこちらをご覧ください

敦賀を世界に誇る「エネルギーの未来都市」に

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5月27日の議員説明会にて、令和3年11月の稼働以来、故障が頻発しているとの理由により解体撤去するとあった「自立型水素エネルギー供給システム(H2One:エイチツーワン)」については、敦賀市が進める他の水素の取組みの中止や開発遅れなどから、市が掲げている「調和型水素社会形成計画」の存在が薄らいでいるのではないか、とりわけ原子力とも親和性の高い「水素」の取組みを評価し、応援していただけに、今回のことは遺憾でもあり、極めて残念な気持ちであると、自身の思いをこのブログでも述べたところ。
 
その後、担当課より、故障の技術的原因や撤去判断に至るまでの過程などについてヒヤリング(関連する費用が、今定例会に提出の補正予算に計上されていることから、予算の事前審査に当たらないよう留意)したことに加え、一昨日行われた米澤光治敦賀市長の定例会見では、「敦賀市としては地の利を生かし、トップランナーであり続ける姿勢は変わらない」、「H2Oneだけをもって(水素活用が)後退ということではない」と述べ、国の政策の進捗に合わせながら、市としても引き続きエネルギーの多元化を進めていく姿勢を示したとの新聞記事を拝見。
 
これにより、撤去の判断に至った根拠、今後の水素活用に対する敦賀市の考えを把握するものです。
 

【敦賀市役所西側に設置されている「自立型水素エネルギー供給システム(H2One)」(やまたけ撮影)】
 
ついては、撤去によって明らかに機能低下となる、災害時における市庁舎の電源多重性(現在:ディーゼル発電機+H2One → 撤去後:ディーゼル発電機のみ)が失われる(単一化)ことに対する対応をどうするのか、また水素に関しては、従前の姿勢を変えないとした場合に「調和型水素社会形成計画」と照らして、今後いかに進めていくのか。
 
私自身、※世界に誇るオンリーワンの「エネルギーの未来都市」となるポテンシャルを持っていると考えるのが「ここ敦賀」であり、これを自負する立場として引き続き、その辺りの考えを意見してまいる所存です。
 
※なぜそう考えるかについては、以前に発行した「やまたけNEWS」の最下段”ちょっとひとこと”をご覧ください。
 
 →「やまたけNEWS」第19号(2024年1月)はこちら
 
さて、そのようなことを考えながら、水曜日の昨朝は名子ヨットハーバー前での辻立ちからスタート。
 
名子での辻立ちに関しては、一昨日夜のある会議で「いつも立たれているのをバスの中から見てますよ!」とお声掛けをいただき嬉しい限り。
 
会釈やお手振りなどリアクションいただける方以外でも、こうして見てくれている方がいると思うだけで元気100倍(意外に単純です)。
 
そんなお声も励みに、昨朝はスモーク貼りの窓越しにも届くよう、一段と気持ちを込めてご挨拶した次第です。
 

【昨日の辻立ちのワンシーン。曇天ながら気持ちは晴れ晴れ。】
 
また、夜は東洋紡労組敦賀支部の執行委員会にお招きいただき、活動報告の時間を頂戴しました。
 
以前からこうした機会をいただいていることもあり、フランクな雰囲気での意見交換も盛り上がり、気付けば1時間半経過していました(汗)。
 
職場からのリアルなご意見やご支援の声は「活動の源泉」。
 
ご期待に応えられるべく、引き続き尽力してまいります。

世界から取り残される日本を選ぶのか、再び成長する日本を選ぶのか

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令和6年度予算にも計上し、「デジタル人材育成」に取組む敦賀市ですが、市のホームページを見ると「IT×地域課題解決のデジタル人材育成プログラムを開催します!」のタイトルが。
 
デジタル人材育成の一環として、今年度は、ITものづくり(webサイト制作)で地域課題解決を目指す「1DAYプログラミングイベント」、生成AIを学び、使い、活用しながら地域課題解決を目指す「Z-SCHOOL」を開催するとのこと。
 
詳しくは、以下のリンクよりご覧いただきたく存じますが、敦賀市内在住又は在学の中学生・高校生を対象(定員50名)として開催するとのことであり、多くの参加を期待するところです。
 
 →敦賀市HP「IT×地域課題解決のデジタル人材育成プログラムを開催します!」はこちら
 
さて、急速に進展するデジタルの世界。
 
ChatGPTの急速な普及を転換点として、かつてない規模とエネルギーで、多くの研究者・開発者・企業が人工知能(AI)の分野に参入しているところ、OpenAIは13日に最新のAIモデル「GPT-4o(フォー・オー)」を発表。
 
私も無料版ChatGPTをさわりだけ使ったことはあるものの、さらに能力が向上し、テキストはもちろん、音声・画像・映像をシームレスに扱い、自然なテンポでのリアルタイム音声会話が可能になったとのこと。
 
「GPT-4o」は既存モデルと比較して、特に視覚と音声の理解向上が際立っており、音声入力は最短232ミリ秒、平均320ミリ秒で応答可能(こんな単位で表現することは滅多にありませんが…)で、人間の会話の応答時間とほぼ同じであることに加え、会話の割り込みや背景ノイズ、複数の声、声のトーンなど、複雑な対話の要素を理解できるようになったとのことで驚く限り。
 
前述の通り、研究者や開発者が次々と参入していることを踏まえれば、これに留まることなく今後も開発されることを末恐ろしくも思う訳ですが、いよいよ「ターミネーター」の世界が現実味を帯びてきたものと認識する次第です。
 
こうしたなか、人工知能AIなどの莫大なデータを支えるのは、これまた莫大な電力。
 
国際エネルギー機関(IEA)が試算した、データ流通量の急増から来る世界のデータセンター(DC)の電力消費量は2026年に、22年比2.2倍の1000TWh(テラ・ワット時)に拡大するとのこと。
 
※テラは1兆
 
これは、日本の年間総電力消費量に相当する規模であり、膨大なデータ処理を伴うAIの普及が拍車をかけていることが分かります。
 

【IEAによる世界のデータセンター、AI等の電力需要の見通し(令和6年5月15日 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第55回会合)資料より)】
 
日本においては、電力広域的運営推進機関が算出した需要想定において、データセンターや半導体工場の新増設により、2024年度で+48万kW、2033年度で+537万kWの最大電力需要の増加を見込んでおり、人口減少や節電・省エネ等により家庭部門の電力需要は減少傾向だが、データセンターや半導体工場の新増設等による産業部門の電力需要の大幅増加により、全体として電力需要は増加傾向となっています。
 

【今後10年間の電力需要の想定(令和6年5月15日 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第55回会合)資料より)】
 
5月15日に開催された「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会」(第55回会合)により「エネルギー基本計画」見直しの本格議論着手となった訳ですが、引用資料を見てお分かりの通り、前回見直しの際には、2030年の電力需要は「減少」としていたものが、現時点で「増加」、しかも「大幅に」となっています。
 
つまりは、議論の「前提条件」が大きく変わったことを認識しておく必要があります。
 
資源のない我が国におけるエネルギー政策の基本的考えは、安全性(Safety)を第一義に、安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)を同時達成する、いわゆる「S+3E」。
 
この中の「安定供給」に関しては、原子力発電の長期停止(2030年の電源構成で20〜22%目標のところまだ6%)によって、綱渡りの電力供給が続いていますが、今後はデータセンターだけで100万Kw級発電所5基以上分の電力を確保する必要があります。
 
まずは既設原子力発電所の再稼働ですが、火力を含めた新規電源の建設、開発を急がねば、この先、電力不足となるのは火を見るより明らか。
 
世界から取り残される日本を選ぶのか、再び成長する日本を選ぶのか。
 
次期「エネルギー基本計画」が、究極に「現実的」なものとなるかに掛かっていると言っても過言ではありません。

大幅な電力消費量「増加」予測に対し「現実的」な電力供給力を

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昨日は、週初めの街宣活動からスタートした後、お昼休みは、日本原電敦賀発電所の協力企業棟にて活動報告会を開催。
 
やや遅くなりましたが、3月定例会の内容や市政のトピックスなどに加え、原子力産業を取り巻く状況について説明いたしました。
 

【協力企業棟での報告会の様子】
 
今月は、原電総連以外の労組からもいくつか報告会の機会をいただいており嬉しい限り。
 
自身の報告のみならず、ひとつでも多く、職場からのご意見を頂戴できるよう進めてまいります。
 
さて、同じく昨日は、脱炭素社会の実現に向けた施策を検討する、政府の「グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」(議長:岸田首相)が開催されました。
 
この会議では、2040年に向けた新たな国家産業戦略の策定に着手。
 
長期の産業政策の見通しを示すことで企業の投資を後押しし、脱炭素と同時にエネルギーの安定供給、経済成長を目指すとのこと。
 
政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」にする目標を掲げており、首相は会議で「経済、社会全体の大変革と脱炭素への取り組みを一体的に検討し、脱炭素への現実的なルートを示したい」と述べました。
 
ここで異なるのは、菅元首相が「2050カーボンニュートラル」を掲げた際、達成に向けては「野心的」との言葉を用いたのに対し、岸田首相が使ったのは「現実的」の言葉。
 
その点は大いに評価するところですが、CO2の削減目標と産業成長の同時達成が求められるなか、以前と環境が大きく変わってきているのが、予想される電力消費量。
 
膨大なデータ計算が必要な生成AI(人工知能)の利用拡大で電力の消費量が急増しており、データの計算や保存を行うデータセンターを新設する企業が相次いでいることによって、日本では2050年に電力消費量が4割弱増えるとの予測もあるとのこと。
 
関連して、NTT東日本の記事には、「AIが奪うのは仕事ではなく電力?生成AIのエネルギー事情」といったタイトルのものもあり、AIを使ったチャットサービス「ChatGPT」など、自動で文章や画像を生成するには大量の電力が必要になるとあります。
 
例えて言うなら、人間の脳がエネルギーを沢山消費するのと同じですね。
 
なお、3年前に策定された「エネルギー基本計画」では、2030年度に向けて電力需要が「※減る」見通しでしたが、世界の変化は劇的に早く、まさに「安定した電力供給」が、今後の国家の生命線になると改めて認識するところです。
 
※この時でさえ、電気自動車(EV)の普及などにより、電力消費量は「増える」と見込むべきところ、「減る」としたことに、私は懐疑的でしたが…。
 
こうして、急速な技術革新に伴い、想定以上に電力消費が進むなか、脱炭素化を進める政府のエネルギー戦略は極めて「現実的」でなければなりません。
 
その鍵を握るのはやはり「原子力発電」。
 
2,000万kw以上の電力供給力を持ちながら、未だ停止したままの既設原子力発電所の再稼働はもとより、リプレースのみならず、新増設として進めなければ、その先に待っているのは、「電力不足」或いは、そのために成長できない「日本」の姿。
 
岸田首相におかれては、そんなことは百も承知と思いますので、今後は強いリーダーシップのもと、実効性ある議論、取組みを進めていただくことを切に期待する次第です。

浜野よしふみ、竹詰ひとし両参議院議員が「中国ロゴ」問題の本質を「徹底追及」

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連日、同じ話題で恐縮ですが、内閣府の再エネタスクフォース(TF)元民間構成員、大林ミカ氏(自然エネルギー財団)の提出資料に中国の国営電力会社「国家電網公司」のロゴマークが入っていた問題について。
 
昨日行われた参議院内閣委員会では、竹詰仁(ひとし)議員、環境委員会では浜野喜史(よしふみ)議員の、両電力総連組織内国会議員(国民民主党)が登壇。
 
両委員会での質疑の様子をインターネット録画中継にて拝見した次第です。
 
まず、10時からの内閣委員会では、竹詰議員が登壇。
 
河野太郎規制改革担当相に対し、「国家電網公司と河野担当相との関係は」との問いに河野氏は、「私は国家電網公司と何の関係もない」との答弁。
 

【内閣委員会で質疑する「竹詰ひとし」議員】
 
また、河野氏は、大林氏が所属する公益財団法人「自然エネルギー財団」と中国の関係について「不当な影響力を行使される可能性があったか否か、調査をしっかり進めている」と重ねて表明したうえで、「懸念が払拭されるまでの間(同省の有識者会議で)自然エネルギー財団から意見を聞くことは控える」との方針を示しました。
 
さらに竹詰議員からの、「再エネTFに疑義が生じているということであれば、開催中止や解散をすべきでないか」との意見に対しては、「調査したうえで判断したい」との答弁がありました。
 
続く午後の環境委員会では、浜野議員が登壇。
 
環境省は令和3年、再エネ導入に向けた環境影響評価に関する有識者会議で自然エネルギー財団からヒアリングした経緯があることを踏まえ、「審議会は偏りのない人選をすべきところ、委員4人中、自然エネルギー財団が半数も入っているのは何故か」との問いに対し、環境省からは「次から責任を持って選ぶ」。
 
また、「国家電網公司は中国共産党の支配下にある団体と考えるが今後どうしていくつもりか」との問いに対しては「まずは大林ミカ氏が所属する財団が中国とどういう関係があったのか調査していく」としたうえで、「任命責任は河野太郎大臣にある。何故再エネTFはワーキンググループ内に設置しなかったのか。」との問いには、「スピード感を持って見直さなければならなかったから」と、何とも噛み合わない答弁。
 

【環境委員会で徹底追及する「浜野よしふみ」議員】
 
浜野議員は、こうした答弁を捉え、以下2点の資料提出を三原順子環境委員長に求めました。
 
〈提出要求した資料〉
① 再生可能エネルギーに関する規制について、規制改革推進会議におけるワーキンググループの設置を選択しなかった理由と経緯が分かる資料
② 再エネTFの報告を総理向けの答申に掲載するに至った意思決定の経過が分かる資料
 
なお、浜野議員は、同省の有識者会議のメンバー選定について、「経済安全保障上の機密情報へのアクセスを官民の有識者に限るセキュリティー・クリアランス(SC)が必要」と指摘し、伊藤信太郎環境相からは「内閣府などで事実関係の調査が行われている。内容を確認した上で関係省庁と連携し、政府として必要な対策を検討していく」との考えが示されました。
 
こうして内閣委員会と環境委員会、それぞれ本質を突いた質疑は大変聞き応えがあった訳ですが、大きく以下の考えが明らかにされたと認識するところ。
 
◉自然エネルギー財団と中国との関係については政府においてもしっかり調査される
◉両省においては、自然エネルギー財団への懸念が払拭されるまでの間(有識者会議などで)同財団から意見を聞くことは控える
◉有識者会議のメンバー選定にあたっては今後、SCの観点を踏まえて人選される
◉再エネTFの開催中止や解散は、調査したうえで判断

 
次期「第7次エネルギー基本計画」の見直し論議が今後、本格化、加速化する局面で、こうしたことが明らかになったことは、ある意味良かったと受け止めるところですが、もちろんこれで終わりではありません。
 
浜野議員、竹詰議員におかれましては、国家の根幹に関わる政策に影響を与えかねないこの問題について、今後も徹底追及をお願いする次第です。
 
結びに、両議員が質問した委員会の録画中継をリンクしますので、以下よりご覧いいただければ幸いです。
 
 →参議院インターネット審議中継
 
<閲覧手順>
①リンクを開いたサイトの「審議中継カレンダー」から「4月9日」を選択
②「会議」の中から、竹詰議員であれば「内閣委員会」、浜野議員であれば「環境委員会」を選択
③開いた画面を下にスクロールすると「発言者一覧」があるので、そこから議員を選択
④当該議員の質問から録画放送スタート

我が国のエネルギー政策に外国企業が関与しているかもしれない疑念について、徹底的に質します!

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事態の発覚以降ウォッチしている、内閣府の「再生可能エネルギー等に関する規制等の総点検タスクフォース(以下、再エネTF)」元民間構成員の提出資料に中国の国営電力会社「国家電網公司」のロゴマークが入っていた問題(同構成員は既に委員を辞任)。
 
これを巡り、元民間構成員が所属する公益財団法人「自然エネルギー財団」は8日までに、財団と中国側の関係に関する報告書を政府に提出し、中国側の影響下にあるとの指摘に「全く根拠のないもの」と反論しました。
 

【内閣府「再エネTF」第30回会合(令和6年3月22日)で上記構成員が提出した資料。右上の(赤四角囲み)に中国企業のロゴが入っている。】
 
なお、同財団においてはホームページにて、寄せられた「質問に対する報告書」として考えを公表していますので、以下リンクよりご覧ください。
 
 →自然エネルギー財団と中国国家電網の関係について(同財団HPより)
 
これに対し、国家の根幹に関わるエネルギー政策に関し、本来の検討体と異なる組織を立ち上げ、さらには偏った委員構成とし発言力を強めたのではないか、その背景に他国の関与があったのではないかと、岸田首相を始め政府内で※徹底調査を求めているのが国民民主党。
 
※4日の参議院内閣委員会において、国民民主党の竹詰仁(ひとし)参議院議員の同趣旨の質問に対し、加藤鮎子内閣府特命担当相は「自然エネルギー財団」に公益法人認定法に基づく立ち入り検査などを行う可能性に言及している。
 
私も同じ視点で大いに問題視しているだけに、党と考えを同じくするところです。
 
そうしたなか、本日行われる参議院環境委員会において、同党の浜野喜史(よしふみ)議員がこの問題を取り上げ質問する旨、メルマガやSNSなどにて告知がありました。
 
以下は、届いたメルマガの内容となりますが、質問のポイントが記載されていますのでご覧ください。
 
(以下、メルマガの記載)
 
明日(4/9)の環境委員会において、伊藤環境大臣、環境省、内閣府、経産省に対して以下内容を中心に質疑します。
 
我が国のエネルギー政策に外国企業が関与しているかもしれない疑念について、徹底的に質します!
 
1.再エネTFの非合理な位置づけを質します!
 
⇒内閣府には法令に基づいた規制改革推進会議という審議会があり、河野規制改革担当大臣のもと、論点毎にワーキンググループが開催され、議論されております。
一方、再生可能エネルギーに係る規制については、規制改革推進会議のもとではなく、2020年11月に河野大臣が設置した再エネTFで議論されています。
規制改革推進会議でのワーキンググループではなく、別途再エネTFを立ち上げた理由・経緯について、しっかりと質します!
 
2.エネルギー政策への外国企業関与の有無を質します!
 
⇒再エネTFの構成員の半数を占める自然エネルギー財団は、資源エネルギー庁所管の審議会で参考人として数々の意見提起をしてきており、意見提起の内容に外国政府の影響が無かったか等、徹底調査すべきです。
具体的には託送料金の発電側課金について、既設FIT/FIP電源が課金対象外となり、不公平な制度として運用が開始されているのは再エネTFの関与が影響しているのではないかという観点で政府に質します!
 
(引用終わり)
 
思い返せば、福島第一原子力発電所事故後に設置された原子力規制委員会において、法的根拠のない「有識者会合」が立ち上がり、あれよあれよという間に敦賀発電所2号機敷地内の破砕帯を「活断層であることを否定できない」と結論付け、立地不適格の烙印を押されそうになった際、「それはおかしい!」と、国会の場で有識者会合の位置付けや検討プロセス、事業者と規制委員会の見解の齟齬などについて、関係閣僚や原子力規制委員長らを徹底追及したのも浜野議員。
 
今回の件もどこか重なるところがある訳です、そうした経過もあって、私にとって浜野議員は「公正公平の正義」を貫く、尊敬する存在であり、今日もそうした思いのもと、徹底追及されるものと期待する次第です。
 
なお、浜野議員の質疑は14時20分頃から20分程度を予定。
 
また、参議院内閣委員会では「竹詰ひとし」議員が、河野大臣、内閣府、経産省らに対し、再エネTFの設置根拠や位置付け、規制改革推進会議の答申に再エネTFの内容が盛り込まれている点などについて質問する予定となっています。
 
質問予定時刻は、10時00分頃から20分程度。
 
いずれも20分しか質問時間が与えられないのが残念ではありますが、下記の審議中継からぜひご覧いただければ幸いです。
 
 →「参議院インターネット審議中継」はこちら

「エネルギー基本計画」改定に向け、今後議論が本格化

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政治資金パーティー収入不記載事件を巡り、自民党の茂木幹事長は1日、4幹部を含む安倍派と二階派(志帥会)の議員ら39人を処分対象として党紀委員会の招集を要請しました。
 
不記載と判明したのは、安倍派と二階派の現職82人と、選挙区支部長3人の計85人で、処分対象となった39人以外は茂木氏が注意を行うとのこと。
 
処分は4日にも党紀委員会で決定するとありますが、結局、誰の判断でキックバックを再開したのかは分からずのまま。
 
処分はすれど、党自らが徹底究明し、真相を明らかにする姿と国民に映ったか否か。
 
この対応の是非、審判は、今後行われる選挙の結果のみぞ知るということでしょうか。
 
さて、その自民党総裁でもある岸田首相は、3月28日に「2024年度中を目途とするエネルギー基本計画改定に向けて、議論を集中的に行う」ことを表明。
 
現行の第6次エネルギー基本計画は2021年10月に閣議決定しており、エネルギー政策基本法に基づく3年ごとの見直し時期を間もなく迎え、今後、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会を中心に議論が本格化することになります。
 
首相は会見で、「エネルギーの輸入によって海外に数十兆円が流出している現状は変えなければならない」と、経済安全保障の観点からもエネルギー政策の重要性をあらためて強調。
 
なお、首相の言う「海外への流出」(国富の流出)とは以下グラフが実状となっています(東日本大震災以降の原子力比率低下に伴い、火力発電焚き増し→海外依存度の高い燃料量輸入増→原油価格高騰により一段とコスト増加)。
 

【日本の化石燃料輸入金額・輸入量の推移(「今後のエネルギー政策について」2023年6月28日 資源エネルギー庁資料より)】
 
また、国の動きとしては、2023年2月に「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」が閣議決定され、関連法が成立したほか、現在、電力政策関連では、総合資源エネルギー調査会において、電力システム改革の検証、元旦に発生した能登半島地震を踏まえた対応など、また、電力広域的運営推進機関(OCCTO)においては、将来の電力需給シナリオに関する検討が行われており、これらの検討結果が次期エネルギー基本計画の議論に資する状況にあります。
 
私の方は、2024年が計画の改定年にあたることを踏まえ、先の令和6年第1回(3月定例会)の代表質問にて「エネルギー政策」について質問。
 
主には原子力発電の取扱いについて意見したところですが、現エネルギー基本計画策定時にも異を唱えた「可能な限り原子力依存を低減する」との文言について。
 
経産省の説明によれば、「全体としての原子力依存度を低減するとしつつ、2030年の電源比率20〜22%の中で最大限活用する」との折衷案的な意味合いとなっているところ。
 
私からは、「GX実行会議で示されたことは、原子力を今後も力強く推進していくということであり、これは当然、〝可能な限り原子力依存を低減する”という文言は削除されるべき。」とし、全原協会長である敦賀市長からも国に進言していただきたいと意見。
 
これに対し、市長からは「〝可能な限り低減”というのはまさに、GX基本方針の中で転換されたというふうに認識しているんですが、これは転換したからこそ基本計画のほうにも反映されるべきだと私も思います。」との答弁がありました。
 
この文言に拘るのは、政府がGXで転換を図った原子力政策を真に国の基本政策で謳うか否かが問われるからであり、この点は次期エネルギー計画論議の中のポイントとして声を挙げていきたいと考えます。
 
いずれにしても、現在問題となっている「自然エネルギー財団」の例の如く、一部の団体、一部の議員の主張ばかりが通ることのなきよう、厳に公平公正な委員構成のもと、資源の少ないわが国において、「S+3E」(下図参照)の基本的考えのもと検討が進められるよう切に求める次第です。
 
<以下、参考資料>

【経済産業省 資源エネルギー庁スペシャルコンテンツより】
 

【2030年度におけるエネルギー需給の見通し(エネルギーミックス)と2022年速報値との比較:引用元は上記に同じ】

関西電力美浜発電所3号機と高浜発電所1~4号機の運転差し止めを「認めず」

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センバツ高校野球に続き、昨日は待ちに待ったプロ野球が開幕。
 
本格的な球春到来に加え、靖国神社の桜も開花宣言、そして敦賀では今日から「花換まつり」と、広がる青空と相まって春の訪れを感じる次第です。
 
そうしたなか、昨日は注目の裁判。
 
福井県内にある関西電力美浜発電所3号機と高浜発電所1~4号機について、地元住民らが関電に運転の差し止めを求めた2件の仮処分申請で、福井地裁は、いずれも差し止めを「認めない」決定を出しました。
 
2件の仮処分申請で、住民側はとりわけ、美浜3号機と高浜1、2号機が「40年超」で、※高経年化に伴う設備の劣化で事故発生のリスクが高まっていると訴えました。
 
※高経年化
原子力発電に慎重な方や、今ではマスコミも普通に「老朽化」のワードを使っていますが、技術用語にそのような言葉はありません。運転年数の長期化に伴う劣化などは「高経年化」、40年を超える発電所などは「高経年プラント」と呼ぶのが正しいため、皆様もお気をつけください。
 
これに対し、関電側は「施設の経年劣化を加味して安全性を確保している」などと反論。
 
訴えを退けるよう求めた結果、福井地裁は、関電の主張を認めました。
 

【写真は、安全性向上対策工事中の高浜発電所1(手前)、2号機(奥)】
 
全国の地裁では、過去に同様の裁判で原告側勝訴の例もあるだけに注視していた訳ですが、こうして科学的根拠に基づく、妥当な判断がされたことに安堵したところです。
 
なお、関電は運転開始から来年で40年となる高浜3、4号機も運転期間延長認可を規制委に申請しており、こちらも認可に向け、粛々と審査を進められることを見守る次第です。
 
また、エネルギーに関しては、連日追い掛けている「自然エネルギー財団」を巡る問題について、昨日は国民民主党の榛葉賀津也幹事長が会見で以下のように述べました。
 
そもそも管轄外なのに、なぜ河野太郎氏は気候変動の問題に携わっているのか。
 
河野太郎氏は外務大臣の時も、なぜか気候変動有識者会議を立ち上げ、この気候変動有識者会議に河野大臣は「自然エネルギー財団」の執行役員を3名も入れ政府の方針と異なる答申を出した。
 
河野太郎氏が防衛大臣の時も防衛施設を再エネにするという方針を出し、5割が再エネの基地もあるが、どの基地が、どれほどのエネルギーを使用するかが外部に漏れる事になる。
 
再エネ100%の基地や駐屯地もあるが、その再エネ企業の一部は華僑が大株主だ。
 
国家安全保障に直結する問題であり、なぜ河野太郎氏が「自然エネルギー財団」を重要するのか、本件の説明責任は内閣府と大臣にある。
 
以上が会見の要旨ですが、この重大な問題が大きく取り上げられないことが不思議でなりません。
 
ついては、国民民主党が追及しているよう、この問題の本質部分を明らかにしていただくとともに、次期、第7次エネルギー基本計画に向けた議論が本格化するにあたり、国の検討機関においては、真に公平公正な委員選定がされることを求めて止みません。

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