日本の成長のためには3Eと電力需要増ヘの対応が必要

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父方の叔父が27日に逝去され、一昨日はお通夜、昨日午前中に葬儀が営まれました。
 
お通夜の際は、裏方のお手伝いをしていた訳ですが、葬儀には参列をし、最後のお別れから出棺までお見送りすることができました。
 
幼少期からお世話になった、97歳で逝かれた叔父が安らかに眠られますことをお祈りするとともに、生まれ育った大比田区の皆様を始め、葬儀に参列いただいた皆様のご厚情に、親戚の一人として心より御礼申し上げます。
 
なお、こうして人の死というものに立ち会うたびに、人は生まれた時、ろうそくに火が灯されるとの言葉を思い返します。
 
生の瞬間に、死に向かっていることを意味する言葉であり、しかも、このろうそくには太くて長いのもあれば、細く、短いものもある。
 
ろうそくは選べなくとも、灯火が消えるまでどう生きるかが人生であると、教えていただいている気がしてなりませんが、昨日、安らかな表情で逝った叔父もそう言っているかのように思えた次第です。
 
さて、冒頭、身内話から人生観の如くなってしまいましたことご容赦いただき、別の話題に。
 
昨日14時から敦賀市民文化センターで開催された、福井県原子力平和利用協議会主催の「2024エネルギーフォーラムin敦賀」に参加。
 
本フォーラムについては、27日のブログでご案内したところですが、「第7次エネルギー基本計画の展望と原子力への期待」をテーマに、エネルギー・環境政策の第一人者である秋元圭吾氏(地球環境産業技術研究機構)のお話を拝聴した次第。
 
トークセッション式で行われ、内容は以下のとおりで構成されました。
 
1.エネルギーと気候変動の現状
2.カーボンニュートラルに向けた各種対策技術の役割と課題
 2.1.再生可能エネルギーの役割と課題
 2.2.CCUS・CDR・水素系エネルギーの役割と課題
 2.3.原子力の役割と課題
3.第7次エネルギー基本計画の展望
4.まとめ
 

【フォーラム会場の様子】
 
基礎知識的な部分も多く、内容はほぼ理解するとともに、「まとめ」にありました、第7次エネルギー基本計画では、改めてS(安全・安心)+3E(①エネルギー安全保障・安定供給、②経済性、③環境)のバランスが強調されるのではないか(第6次では環境のEが強調され過ぎていた)など、現実路線の考え方を共有しました。
 
また、エネルギーにハンディキャップがある日本は、原子力の活用によって相対的なエネルギー価格の上昇を抑制し、産業の競争力を維持してきたことからも、成長のためには3Eと電力需要増ヘの対応が必要とも。
 
まさに私の考えと合致する秋元先生が、今後も国内外の中枢で、冷静且つ科学的な視点から意見提起いただくことをお願いする次第です。
 
結びに、貴重な機会を設けていただきました福井県原子力平和利用協議会の皆様、運営対応にあたられた方々に感謝申し上げます。

「2024年 エネルギーフォーラムin敦賀」が開催されます

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「ここまで電力需給は逼迫している」
 
改めて、厳しい状況を認識したのは、昨日、経済産業省・資源エネルギー庁が、広域予備率が低下した場合に一般送配電事業者が講じる追加供給力対策に関し、現在、広域予備率で「8%未満」としている実施の判断基準を「5%未満」に引き下げる旨見直すとしたこと。
 
理由は、電力の需給運用において、需要の増加等により需給の状況が厳しくなることが見込まれる場合には、一般送配電事業者が広域予備率の状況に応じて追加供給力対策を実施するとなっているところ、このうち、広域予備率8%未満が実施の判断基準となっている「発動指令電源の発動」は、容量市場のリクワイアメントに基づき、12回/年度の発動上限が設けられていますが、東京エリアにおいては9月24日時点で既に10回、中部エリアでは9回発動している状況にあり、発動指令電源の発動回数が年間上限に迫っていることから、2024年度内は基準を広域予備率5%未満に引き下げるとあります。
 
揚水リソースの運用切り替えなど、その他の対策も基準を厳格化する方向で検討するとのことですが、暑さ寒さの程度はあるにせよ、恒常的な供給力不足に陥っていることを露呈するものであり、審査を終えた原子力発電所を速やかに稼働させるなど、「今できること」を政治判断で速やかに実行いただかねばならないと強く思う次第です。
 
そうしたなか、電気料金の国民負担を含め、「エネルギー危機」にあることを国民皆で課題認識することが重要と思うところ、明日は、今後のエネルギー政策を考えるフォーラム」が敦賀の地で開催されます。
 
それは、福井県原子力平和利用協議会が主催する「2024年 エネルギーフォーラムin敦賀」。
 
開催日時やテーマに関しては以下のとおりとなっています。
 
◉日 時: 2024年9月28日(土) 14:00 ~ 16:00
◉場 所: 敦賀市民文化センター 大ホール
◉テーマ: 「カーボンニュートラルに向けて日本のエネルギーのこれからを考える」
          ~第7次エネルギー基本計画の展望と原子力への期待~
◉トークセッション 
・(公財)地球環境産業技術研究機構(RITE)システム研究グループ グループリーダー  東京工業大学 科学技術創成研究院 特任教授 秋元圭吾氏
・エネルギー広報企画舎 代表 高木利恵子氏
 

【福井県原子力平和利用協議会作成のチラシ】
 
ここで登壇される秋元圭吾先生は、誰もが認めるエネルギー・環境分野における日本の第一人者であり、これまで多くのエネルギー・環境システムの分析・評価や地球温暖化対応戦略の政策提言をされている方。
 
略歴を以下にリンクしますので是非ご覧いただきたく存じますが、「エネルギー基本計画」の検討を行う総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会委員はもとより、世界気象機関(WMO)及び国連環境計画(UNEP)により1988年に設立された政府間組織である気候変動に関する政府間パネル(IPCC: Intergovernmental Panel on Climate Change)委員も務められるなど、国内外でご活躍されています。
 
 →秋元圭吾氏の略歴はこちら
 
なお、秋元先生のお話は、以前に何度か拝聴したことがありますが、東日本大震災・原発事故を受けて、政府がエネルギー・環境政策を白紙から見直すことを決めた際に、内閣官房ホームページのあるコーナーにあった、先生の思いが印象に残っています。
 
<以下、秋元先生の言葉>
 
エネルギー・環境問題は複雑であり、広範かつ深い理解が必要です。コスト等検証委員会委員としても、客観的にデータを読み、より蓋然性が高いことは何かを追究してきました。エネルギー・環境戦略の選択肢については、経済分析を行う1研究機関としてこれに取り組みました。その分析でも、専門性を発揮し、客観的、論理的にデータを扱い、蓋然性が高い分析に努めました。原発への畏れ(おそれ)を覚えます。しかし同時に、各選択肢によって異なって表れる経済的なリスク、気候変動リスク、エネルギー安全保障・安定供給リスクなど、多くのリスク、その裏表となる便益を冷静に見つめることが重要です。一面的な判断、感情的な判断では、将来にわたって社会を幸福にすることはできません。多くの方々が一歩踏み込んだ理解をし、政治家の方々も、一層、広く深い理解に努められ、大きな判断がなされることを望みます。
 
震災、そして福島第一原子力発電所事故の後にあって、このように冷静に科学的な思考を持たれ、今もそのままのスタンスで意見提言を続ける秋元先生。
 
ぜひ明日のフォーラムには多くの方にお越しいただき、これからの日本のエネルギーを考える機会にしていただければと存じます。

エネルギーがないことほど危険なことはない 〜『憂国の原子力誕生秘話』を振り返る〜

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先ほどの【お知らせ】投稿にて「やまたけNEWS(第21号)」のご紹介をいたしました。
 
「思いと考えは自分の声と足で届ける」をモットーに、一昨日の晩と昨日午前中で町内全戸にはポスティングしましたが、今回のNEWSは敦賀市議会で「エネルギー基本計画見直し」に対して意見書を提出したことや、敦賀発電所2号機の審査の件もありエネルギーのことを中心に記載しています。
 
本日の朝刊に新聞折込みもいたしましたが、一人でも多くの方に伝われば何よりです。
 
さて、NEWSの最後にある「ちょっとひとこと」を書くにあたり、日本社会党機関誌編集局長を経て衆議院議員を6期お務めになられた後藤茂氏の著書『憂国の原子力誕生秘話』を手にしたところ。
 
タイトルの通り、この著書は、戦後日本において、原子力を研究、開発利用した当時の状況が克明に記録されていることに加え、中曽根康弘元総理大臣など、原子力黎明期に活躍された方々の国家観ある壮大且つ強い思いが紹介されており、これまで何度も読み返しているもの。
 
「ちょっとひとこと」にも記載したよう、世界唯一の戦争被爆国が原子力を選択した理由がまさにここに記載されている訳ですが、著書には「無資源国の日本が資源を止められたことが無謀な戦争の一因になったことを、当時はどの人も深刻に受け止めていた」、「エネルギーは国家百年の計だという考えが、自民党、社会党を問わず、政治家の頭にあった」とあり、自国のエネルギーを確保するかが国家の行方を左右するとの考えが根底にあることを改めて強く認識する次第です。
 

【私にとってバイブル的存在の『憂国の原子力誕生秘話』。原子力黎明期の歴史を読み返すたびに力が湧きます。】
 
著書の中で、昭和24(1949)年12月に、国連総会でソ連を含め満場一致で決定され開催された「原子力平和利用国際会議」の様子が記されており、それまでベールに包まれていた原子力の情報が平和利用のために公開されるとあって、72カ国の政府代表や約3,000人もの科学者が参加したとありました。
 
これに日本からは、中曽根康弘、松前重義、前田正男、志村茂治の4人の衆議院議員が参加しており、当時を振り返り中曽根氏は、「我々の時代は戦争を経験している。原子力平和利用国際会議への出席は、まるで出征兵士の意気込みで臨んだ。(米ソ)冷戦下でこれから日本がどう生きていくのか、”国の形”を真剣に考えていた」と語っています。
 
みな戦争経験者であり、だからこそ、原子力を平和利用することによって、新しい「国」を創る。念頭には「国」しかなかった。不退転の覚悟で進めようと、心に深く誓ったのである。
 
ジュネーブ国際会議場は、その格好の舞台だったのだ。国際会議という大舞台で、しかも慌ただしい日程を精力的にこなしながら、国土を荒廃させ、原爆の洗礼を受けてしまった祖国を思い、原子力によって復興させると、心昂らせたのであった
 
と文章は続きます。
 
様々な過程、議論を経つつ、日本の原子力利用は昭和30(1955)年の「原子力基本法」制定を根拠に始まります。
 
ここで、先の国際会議にも参加し、本法案の提出者ともなった中曽根康弘氏の提案理由説明でまず、「本原子力基本法案は自由民主党並びに日本社会党の共同提案になるものでありまして、両党の議員の共同作業によって、全議員の名前をもって国民の前に提出した次第であります。」との言葉ではじまり、基本法を議員立法とした熱い思いが、委員会室に伝わったとありましたが、中曽根氏が続けて述べた提案理由にすべてが包括していると思うことから、以下引用いたします(一部、中略)。
 
(前略)そこで、日本に原子力国策を確立する場合において、いかなる点を考慮すべきかといいますと、われわれの考えでは、まず国策の基本を確立するということが第一であります。日本には有能なる科学者があり、技術者があり、技術陣があります。しかし、国策が確立されておらないようでは、有能なる学者はここに集まってきません。そこで、機構的にも予算的にも、国家が、不動の態勢をもって、全国民協力のもとに、この政策を長期的に進めるという態勢を整えることが第一であります。これによって有能なる学者をこの方向に指向させることができるのであります。
 
第二点は、超党派性をもってこの政策を運用して、政争の圏外に置くということであります。国民の相当数が、日本の原子力政策の推進を冷やかな目で見るということは悲しむべきことであり、絶対避けなければならないのであります。全国民が協力するもとに、超党派的にこの政策を進めるということが、日本の場合は特に重要であるのであります。
 
第三点は、長期的計画性をもって、しかも日本の個性を生かしたやり方という考え方であります。原子力の問題は、各国においては、三十年計画、五十年計画をもって進めるのでありまして、わが国におきましても、三十年計画、五十年計画程度の雄大なる構想を必要といたします。それと同時に、資源が貧弱で資本力のない日本の国情に適当するような方途を講ずることが必要であります。
 
第四点は、原子力の一番中心の問題は金でもなければ機構でもない。一番中心の問題は、日本に存在する非常に有能なる学者に心から協力してもらうという態勢を作ることであります。具体的に申し上げれば、湯川博士や朝永博士以下、日本の学界には三十前後の非常に優秀なる世界的なる学者が存在いたします。これらの有能なる学者が、国家のために心から研究に精を出してもらうという環境を作ることが、政治家の一番重要なことであります。
そのようなことは、学者の意見を十分取り入れて、この原子力の研究というものが、日本の一部のために行われておらない、一政党の手先でもなければ、財界の手先でもない、全日本国民の運命を開拓するために国民的スケールにおいてこれが行われておるという態勢を作ることが一番大事な点であります。このような点にわれわれは機構その他についても十分配慮した次第であります。
 
第五点は、国際性を豊かに盛るということであります。原子力の研究は、各国におきましてはみな国際的な協力のもとに行われております。
 
第六点は、日本の原子力の問題というものは、広島、長崎の悲劇から出発いたしました。従って、日本国民の間には、この悲しむべき原因から発しまして、原子力に対する非常なる疑いを持っておるのであります。このような国民の誤解を、われわれはしんぼう強く解くという努力をする必要があると思うのであります。広島、長崎の経験から発した国民が、原子力の平和利用や外国のいろいろな申し出に対して疑問を持つのは当然であります。従って、政治家としては、これらの疑問をあくまで克明に解いて、ただすべきものはただして、全国民の心からなる協力を得るという態勢が必要であります。
 
この基本法案を総合的基本法としました理由は、日本の原子力政策の全般的な見通しを国民の各位に与えて、燃料の問題にしても、放射線の防止にしても、原子炉の管理にしても、危険がないように安心を与えるという考慮が第一にあったのであります。日本の原子力政策のホール・ピクチャーを国民に示して、それによって十分なる理解を得るというのが第一の念願でありました。
 
日本の現在の国際的地位は戦争に負けて以来非常に低いのでありますが、しかし、科挙技術の部面は、中立性を保っておりますから、そう外国との間に摩擦が起ることはありません。われわれが国際的地位を回復し、日本の科学技術の水準を上げるということは、原子力や科学によって可能であると思うのであります。(中略)原子力の熱を完全にとらえて原子炉文明というものが出てくれば、一億の人口を養うことば必ずしも不可能ではない、そのようにわれわれは考えます。
 
この演説はまさに、半世紀を経た現在にも通ずるもの。
 
著書には、「無資源国の日本が資源を止められたことが無謀な戦争の一因になったことを、当時はどの人も深刻に受け止めていた」、「エネルギーは国家百年の計だという考えが、自民党、社会党を問わず、政治家の頭にあった」ことを紹介しました。
 
国際会議に参加した中曽根氏の「(米ソ)冷戦下でこれから日本がどう生きていくのか、”国の形”を真剣に考えていた」との考えは、今に置き換えれば、ロシアのウクライナ侵略以降、世界は熾烈な「エネルギー資源獲得競争」を続けており、緊迫する国際情勢の中で「日本はどう生きていくのか」。
 
かのマリー・キューリー夫人の研究所で助手を務めたフランス原子力界のバートランド・ゴールドシュミット博士はこう言っています。
 
「エネルギーがないことほど危険なことはない。われわれは原子力を推進せねばならないが、一層強く核不拡散と事故のリスクを最小にすることに配慮しなければならない。これは原子力の壮大なストーリーが継続する中で、到達した確信である。」
 
答えはここにありと思う次第。
 
やまたけNEWSの「ちょっとひとこと」には、このような歴史背景と高まる危機感を踏まえ、思いを込めて書き上げました。
 
補足する本日のブログもお読みいただき、私の考えが少しでも伝われば幸いです。

東京電力PG「でんき予報」は電力需要・使用率ピークともに「98%」

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汗が滴る昨朝の街頭では、この厳しい暑さを踏まえ、熱中症対策の徹底を呼び掛けるとともに、対策にとっても大事な電気に関しては、令和6年能登半島地震で大きな被害を受けた北陸電力の七尾太田火力1・2号(合わせて120万kw)が、夏季の電力高需要期前に復旧、運転再開いただいていること。
 
また、地元の敦賀火力発電所1・2号(同120万kw)等の順調な運転があって、北陸管内の安定供給が成り立っている旨ご紹介しました。
 
なお、北陸地方はまだ梅雨明けしていないものの、既に夏本番の様相を呈しています。
 
自身の発電所勤務時代、敦賀2号タービン建屋の瞬時に汗が噴き出すような高温の場所で点検や保守作業の立会いにあたったことを懐かしくも感じましたが、いずれにしても、汗して働く現場の方々を思えば何のその。
 
この程度の暑さには負けていられないと、ネジを巻いた次第です。
 
さて、冒頭、電力需要のことをお話ししましたが、厳しい状況が続いているのが関東エリア。
 
昨日、栃木県の佐野では何と午後2時に41.0℃を観測し、全国を通じて今年の最高気温を更新しましたが、こうなると、クーラーの使用などにより増加するのが電力需要。
 
溜めて置けない電気には「同時同量」の原則、つまりは「需要と供給のバランス」を常に取る必要がある訳ですが、昨日は需要に対し、供給が不足することも予想されたところ。
 
こうした状況から、広域で電力の需給調整を行う「電力広域的運営推進機関(OCCTO)」では、“需給状況改善のための発電設備焚き増しへのご協力のお願い(依頼)”を発出。
 
29日の東京電力パワーグリッド(以下、東京電力PG)管内の電力需給は、高気温影響による冷房需要等の需要の増加が予想され、広域予備率が5%を下回る厳しい見通しとなっていることを踏まえ、同機関会員に対し、下記の事項について、電気の需給状況の改善への協力をお願いしています。
 
<OCCTOからの協力依頼事項>
 
1.ご協力いただきたい事項
(1)東京電力PG管内において、各会員が所有している又は他者から電力買取契約により電力を調達している発電設備等について、可能な範囲で出力を上げた焚き増し運転をすること。ただし、当該発電設備等が他の小売電気事業者等と電力買取契約を締結している場合は、当該契約に従うことを優先し、その上で可能な範囲で出力を上げた焚き増し運転をすること。
(2)発電設備等の焚き増しによって生じた余剰電力は、卸電力市場(時間前市場)への供出を行うこと。小売電気事業者等との相対契約を持つ場合には、当該契約に従い電力の受け渡しを行うこと。なお、精算については、卸電力市場での取引又は相対契約に基づき行うこと。
 
2.ご協力いただきたい期間
 2024年7月29日(月曜日)11時~21時半
 
また、同機関の会員以外の電気供給事業者に対しても、本依頼の直接の対象ではありませんが、こうした状況をご理解いただき、上記の依頼内容に準じて、電気の需給状況の改善への協力をお願いしています。
 
なお、以下は、本日の東京電力パワーグリッドの「でんき予報」ですが、東京エリアの使用率では、需要・使用率ピークともに「98%」(5時20分現在)となっています。
 

【7月30日5時20分現在の東京電力PG「でんき予報」】
 
使用率は、電気の使用量(総需要)を電気の使用可能量(総供給力)で割って算出していますので、この数字からも昨日と同様、大変厳しい状況であることが分かります。
 
足りない供給力にあって、東京電力と中部電力が折半出資する発電会社JERA(ジェラ)は26日、五井火力発電所(千葉県市原市)で建て替えた1号機を8月1日に稼働させると明らかにしました。
 
猛暑で電力需要が高まる中、当初予定より約1ヶ月早めて稼働する五井火力1号機の出力は78万キロワット。
 
新たな設備は液化天然ガス(LNG)を燃料とする世界最高水準、高効率の最新鋭発電設備で、二酸化炭素(CO2)の排出削減にも貢献するとのこと。
 
このような状況に鑑みれば、東京電力PG管内にある、柏崎刈羽6・7号(ともに135.6万キロワット)や東海第二など、100万キロワットを超える原子力発電所が使えればと、忸怩たる思いが立ち上がってきますが、これまでも、そして今もなお、日本はこうした火力発電所に助けられて成り立っていることを忘れてはなりません。
 
今日も電力の安定供給を果たすとの思い一心で現場でご奮闘いただいている皆様、そしてトラブルなく運転する発電所各設備・機器に心より敬意を表するとともに、綱渡りの電力需給を一日でも早く改善せねばとの思いが一層募る次第です。

どんなときにも電力の安定供給を守り抜く『秋田火力魂』

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一昨日、敦賀市内で開催された「日本海六県港湾都市議会協議会 令和6年度総会」の際、ちょうど秋田市議会の議長さんと東北電力 秋田火力発電所(秋田市)の「廃止」についてお話ししたところでしたが、昨日は、7月1日付で廃止した同火力発電所4号機(出力60万キロワット)の「発電納め式」が開かれたとのこと。
 
日本経済新聞の記事によると、発電納め式には運転に携わった東北電力や協力会社、メーカーなどの関係者約50人が出席し、同発電所の清水徳行所長は「どんなときにも電力の安定供給を守り抜く『秋田火力魂』を後世に伝えていかなければならない」と強調したとありました。
 
同4号機は1980年7月に運転開始。
 
重油や原油を燃料にし、主に電力需要が高まる夏や冬のピーク時に、東北管内の需給バランスを調整する役割を担ってきましたが、設備の経年化が進行していることから、今後の需給動向や供給力確保の見通しなどを総合的に評価した結果、東北電力が廃止判断をされたもの。
 
なお、秋田火力発電所は既に1〜3並びに5号機が廃止となっており、今回の4号機により同発電所は全発電設備が廃止となったことから、本年10月頃を目途に発電所(地点)としても廃止とする予定としています。
 
1970年8月の1号機運転開始以来、電力の安定供給を通じて東北地方と秋田県の経済発展に寄与するべく、約54年間にわたって運転を継続されたことに深く敬意と感謝を表する次第です。
 
本当にお疲れ様でした。
 

【秋田火力発電所4号機「発電納め式」の様子(日本経済新聞ウェブ版より引用)】
 
さて、日本の高度成長期を支えた重要な電力供給設備がまた一つ無くなることを非常に寂しくも思うところですが、10日のブログで記載しましたよう、恒常的な電力需給逼迫から抜け出すことが、わが国が持続的な成長と遂げられるか否かの「生命線」であることは言うまでもないところ。
 
今後、わが国の電力需要が増加する見通しとなっている大きな要因が、人工知能(AI)やChatGPTに代表される大規模言語モデル(LLM)等の開発・学習やクラウドサービスを拡大するために必要なデータセンター(以下、DC)の電力(2033年までに約537万kW増)であることはご承知置きのことと存じますが、世界最大のDC拠点である米バージニア州北部では、広さ約4.7平方kmのDC専用のスペースがあることに加え、80万世帯分の電力を消費しており、この度同州全体の電力消費量に占めるDC電力需要は「15%」に到達したとのこと。
 
ケタ違いの規模に驚くところですが、国際エネルギー機関(IEA)によると、世界の8,000を超えるDCのうち、約33%が米国、16%が欧州、10%が中国にあるとされ、米国の電力消費量は、2022年は米国の電力需要の約4%に当たる約200TWh※から、2026年には同6%に相当する約260TWhに増加すると予想されています。
 
※TWh:テラワットアワー → 1TWhは1MWhの百万倍で1兆ワットアワーに相当
 
なお、AI及びDCによる世界全体の電力需要増見込みは、2026年(ハイケース)で「1,050TWh」となっており、これは日本の年間電力消費量とほぼ同じであることを再掲しておきます。
 

【IEAによる世界のDC・AI等による電力需要見通し(総合エネルギー調査会 基本政策分科会資料より抜粋)】
 
話をバージニア州に戻しますと、この電力需要増加を見込み、2022年には既に同州としての「エネルギー計画」を公表し、州内で増加するエネルギー需要を満たすには、原子力や天然ガス、再生可能エネルギー、新しいエネルギー源など、利用可能なエネルギー技術をすべて活用するという「全方位的アプローチ」を取るべきだと表明するとともに、原子力利用を拡大し同州を原子力技術革新の主要なハブとする考えを明らかにしています。
 
実際、同州にあるドミニオン・エナジー社が保有するサリー発電所(87.5万kWのPWR×2基)については、原子力規制委員会(NRC)が2021年5月に、運転期間の延長に向けた同社の2回目の申請を承認し、これら2基はそれぞれ2050年代まで「80年間運転」を継続できることになったこと、また、ノースアナ発電所(約100万kWのPWR×2基)についても、NRCは同社が2020年9月に提出した2回目の運転期間延長申請を審査中とのこと。
 
また、水素製造やCO2の回収・貯留、有効利用(CCSU)、小型モジュール炉(SMR)の開発も挙げ、商業用SMRを同州南西部で10年以内に建設するという目標の設定に向け、財政支援の必要性を支持するとしています。
 
さらに、商業用SMRと併せ、使用済燃料のリサイクル技術を開発すべきだと提唱しており、それによってCO2を排出せず、使用済燃料の量も最小限というエネルギーシステムを確立することを訴えており、将来の電力需要にも安定供給を果たしつつ、カーボンニュートラルの実現にも寄与する、これぞ「超現実的な」エネルギー政策と考える次第です。
 
生成AIなどの性能・進化スピードは恐ろしく早く、世界を席巻しつつあり、州単位でこうした政策を進めるアメリカに比べ日本はどうか。
 
冒頭の秋田火力発電所然り、高度成長期を支え、大きな役割を果たした全国の火力・原子力発電所が廃止に進むことは、ひとつまた一つと貴重な電力供給源を失うことを意味します。
 
2033年までにDC・AI分だけで537万kW増加すると見込まれる電力需要のなか、ではどの電源でどうやってそれを確保していくのか。
 
「どんなときにも電力の安定供給を守り抜く『秋田火力魂』」。
 
今ほど、この魂が求められていることはなく、政府にはこの魂で、その達成に向けた明確な「決断」を過給的速やかにすべきと考える次第です。
 

【日本のDC・半導体工場の新増設による影響(総合エネルギー調査会 基本政策分科会資料より抜粋)】

眠ったままの設備容量「2,148万キロワット」

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季節は本来、梅雨のはずですが、連日テレビでは「猛暑」のニュースが流れるところ。
 
真夏を思わせる暑さとなっていますが、これに伴い増加するのが「電力需要」。
 
公平性と正確性を期すため、最近の電気新聞の記事を引用すると、
 
◉電力広域的運営推進機関(広域機関)は5日、関西エリアで夕方の時間帯に需給が逼迫したことに伴い、東京電力パワーグリッド(PG)など5社に電力融通を指示した。同日は厳しい暑さで冷房の利用が広がり、想定より需要が増加。調整用電源のトラブルも影響したようだ。6月の東北エリアに続き、融通を受けるケースが相次いでいる。
 
◉午前中から厳しい暑さに見舞われ、電力融通を受けた東京エリアで8日、高気温に伴う電力需要の増加で需給が逼迫した。広域予備率は同日午前に3%台にまで低下。電力広域的運営推進機関(OCCTO)は午前9時~正午に20万キロワット供給するよう、中部電力パワーグリッド(PG)に電力融通を指示した。複数の火力電源が計画外停止しており、供給力が万全でなかったことも影響したようだ
 
このように、東西ともに電力融通により需給逼迫を乗り越えている、いわば「綱渡り」状態とも言える訳ですが、火力発電所も緊急稼働や増出力運転などにより、懸命の対応をされていることも認識しておかなければなりません。
 

【7月9日の各ブロック電気使用状況(OCCTO需給関連情報より)】
 
そうした中、重要を極めるのが「次期エネルギー基本計画」ですが、経済産業省・資源エネルギー庁は8日、計画策定に向けた「※総合資源エネルギー調査会 第58回基本政策分科会」で、脱炭素電源の確保について意見を聴取。
 
※総合資源エネルギー調査会:経産相の諮問機関。同分科会長は隅修三・東京海上日動火災保険相談役。
 
原子力は経年化により設備容量が減少していくため、新増設に早急に対応すべきとする意見が相次ぐとともに、再生可能エネルギーの導入量も足元で減少傾向にあるため、政策の強化が必要とし、国の積極的な関与により電源開発の予見性を高める施策が不可欠という声が占めた
 
事務局は、データセンターや半導体工場が経済成長の基盤となる中、電力需要の増大に対し脱炭素電源が不足すれば、経済成長に悪影響を及ぼす問題意識を提示したうえで、再エネや原子力、系統増強や蓄電池の導入促進に向けた支援策について聴取したとあります。
 
こうした議論を見る限り、現実的なエネルギー政策構築に向けた真っ当な議論がされているものと認識するところ。
 
なお、冒頭に述べた、いま現在の恒常的な需給逼迫を改善するため、鍵を握るのは既設原子力発電所の早期再稼働であることは言うまでもありませんが、同時に経済効率性を含めた長期運転も重要であり、昨日は、原子力規制委員会から40年超運転の認可を受けた関西電力高浜原子力発電所3、4号機(PWR:出力87万キロワット)について、福井県の杉本達治知事は、「(2基の)運転延長に理解を示す」と容認する考えを示したところ。
 
40年超運転に合わせて関電が実施する蒸気発生器(SG)の取り換え計画についても、安全性が向上するとして了承され、賢明な判断がされた訳ですが、忸怩たる思いは、やはり眠ったままの審査中プラント。
 
以下のスライドは、8日の第58回基本政策分科会で資源エネルギー庁が提出した資料の抜粋ですが、現在再稼働していない原子力発電所の設備容量は「2,148万キロワット」。
 

【資源エネルギー庁提出資料による「(原子力発電所)既設炉の最大限活用」】
 
「たられば」を言えば、柏崎刈羽の1基を速やかに再稼働すれば、東京電力管内の需給状況は相当改善するとともに、企業や国民も猛暑のなかでの「節電」を強いられなくて済むことになります。
 
この「宝の持ち腐れ」とも言える、原子力の「2,148万キロワット」ものポテンシャルを使わずして「需給逼迫」だとする日本の姿を、さぞかし他国はあざ笑っているかと思う訳ですが、この中には、地盤審査の佳境を迎えつつある我が敦賀発電所2号機も含まれています。
 
いま現在の需給の状況(供給力不足)、さらには2030年に向けて電力需要が大幅に増加することが明らかなことを踏まえれば、敦賀2号の「116万キロワット(定格出力)」も極めて重要な電源であり、「活動性を否定できない」の一言に屈する訳にはいきません。
 
繰り返しになりますが、敦賀2号をはじめ、審査中のプラントすべてを早期に稼働させることが、日本が現在置かれた状況を改善する唯一の手段であり、原子力規制委員会が「経済合理性は知ったことではない」と言うのであれば、安全を第一義にそれを追求するのは政治の責任であると考える次第。
 
何故なら、政治には国民の生命と財産、そして豊かな暮らしを守る使命と責任があるのですから。

原子力小委員会が「原子力政策の論点」について議論開始

エネルギー ブログ 原子力

昨朝は、水曜日恒例の名子での辻立ちから。
 
発電所に向かう皆さんに対してはいつも、お手振り、アイコンタクトでご挨拶していますが、気持ちは「ご安全に」。
 
昨日は比較的過ごしやすい日であったものの、今は熱中症リスクが高い時期でもあり、安全第一の作業を願い、お見送りした次第です。
 
さて、昨日のブログでは6月定例会最終日に採択した議員提出議案「エネルギー基本計画見直しに対する意見書」の件をご紹介したところですが、ちょうど同じ日(6月25日)には、「総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会」(以下、原子力小委)の第39回会合が開催され、エネルギー基本計画改定への反映を見据えた、原子力政策の論点について議論を開始したとありました。
 
原子力を取り巻く世界の情勢に関しては、本年6月13〜15日にイタリア・プーリアで開催されたG7首脳会合で、ネット・ゼロへの移行及びエネルギー安全保障の改善における原子力の可能性を強調し、研究開発やサプライチェーン強靱化等に向けた協力方針を確認。
 
マイクロ炉を含む革新炉や小型モジュール炉のような革新的技術の研究開発を促進し、プロジェクト資金調達手段へのアクセス拡大を可能にするために協力し、セクター間の協力を支援することや、COP28期間中に発表された2050年までに世界の原子力発電能力を3倍にするとの世界的な宣言に留意すること。
 
さらには、最高水準の原子力の安全性とセキュリティが、全ての国とそれぞれの国⺠にとって重要であることを強調するとし、今後こうした考えに従い原子力発電の活用を進めるとしています。
 
そうした情勢のなか、25日の原子力小委では、資源エネルギー庁が原子力発電の再稼働や新増設・リプレースに加え、※核燃料サイクルなどのバックエンド分野も含めた幅広い現状について説明。
 
※本来、「原子燃料サイクル」と書きたいところですが、提出資料に沿い、「核燃料サイクル」と表現いたします
 
前回のエネルギー基本計画策定時からの国際情勢、電力需要見通しの変化などを踏まえ、次世代革新炉の開発・建設に向けた事業環境整備や国際的な燃料サプライチェーンの確立など、具体化が急がれる取り組みについて議論を深めたとありました。
 
具体的に、議題に挙げられたのは以下2点。
 
(1)原子力に関する動向と課題・論点について
(2)核燃料サイクルの確立に向けた取組と今後の検討事項について
 
さらに、(1)に関する資源エネルギー庁提出資料では、
 
1. エネルギーを巡る状況について
2.原子力政策を巡る動向
(1)国内における状況
(2)海外における状況
3.原子力の特⻑
4.原子力活用にあたっての前提
5.原子力活用に向けた環境整備
 
について説明。
 
1.では、今後、エネルギーを巡る様々な論点について、6月以降「GX2040リーダーズパネル(仮称)」を開催し、有識者から見解を聴取した上で、それを踏まえてGX2040ビジョンにつなげること、こうした議論も踏まえ、エネルギー基本計画・地球温暖化対策計画の見直しや、カーボンプライシングの制度設計につなげていくとあり。
 
「GX2040リーダーズパネル(仮称)」については、5月13日に開催された「第11回 GX実行会議」においても示されていますが、ここを起点として議論が展開されることに留意をしておかねばなりません。
 

【6月25日の「原子力小委員会」資料より抜粋】
 
また、5.では、原子力活用に向けた環境備に関する課題や論点などを挙げた上で、最終ページには、「昨年の原子力関係閣僚会議にて決定した『今後の原子力政策の方向性と行動指針』について、現在の情勢を踏まえ、今後、どの取組の具体化を特に加速していくべきか」とし、以下のようにまとめられていました。
 

【上記と同じ】
 
意見書にて求めた「エネルギー基本計画見直し」につながるこの議論。
 
「今後、どの取組の具体化を特に加速していくべきか」とありますが、「どの取組『も』具体化を加速」いただけるよう、前向きな議論を切に求める次第です。
 
 →(参考)6月25日の原子力小委関連資料はこちらをご覧ください

敦賀を世界に誇る「エネルギーの未来都市」に

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5月27日の議員説明会にて、令和3年11月の稼働以来、故障が頻発しているとの理由により解体撤去するとあった「自立型水素エネルギー供給システム(H2One:エイチツーワン)」については、敦賀市が進める他の水素の取組みの中止や開発遅れなどから、市が掲げている「調和型水素社会形成計画」の存在が薄らいでいるのではないか、とりわけ原子力とも親和性の高い「水素」の取組みを評価し、応援していただけに、今回のことは遺憾でもあり、極めて残念な気持ちであると、自身の思いをこのブログでも述べたところ。
 
その後、担当課より、故障の技術的原因や撤去判断に至るまでの過程などについてヒヤリング(関連する費用が、今定例会に提出の補正予算に計上されていることから、予算の事前審査に当たらないよう留意)したことに加え、一昨日行われた米澤光治敦賀市長の定例会見では、「敦賀市としては地の利を生かし、トップランナーであり続ける姿勢は変わらない」、「H2Oneだけをもって(水素活用が)後退ということではない」と述べ、国の政策の進捗に合わせながら、市としても引き続きエネルギーの多元化を進めていく姿勢を示したとの新聞記事を拝見。
 
これにより、撤去の判断に至った根拠、今後の水素活用に対する敦賀市の考えを把握するものです。
 

【敦賀市役所西側に設置されている「自立型水素エネルギー供給システム(H2One)」(やまたけ撮影)】
 
ついては、撤去によって明らかに機能低下となる、災害時における市庁舎の電源多重性(現在:ディーゼル発電機+H2One → 撤去後:ディーゼル発電機のみ)が失われる(単一化)ことに対する対応をどうするのか、また水素に関しては、従前の姿勢を変えないとした場合に「調和型水素社会形成計画」と照らして、今後いかに進めていくのか。
 
私自身、※世界に誇るオンリーワンの「エネルギーの未来都市」となるポテンシャルを持っていると考えるのが「ここ敦賀」であり、これを自負する立場として引き続き、その辺りの考えを意見してまいる所存です。
 
※なぜそう考えるかについては、以前に発行した「やまたけNEWS」の最下段”ちょっとひとこと”をご覧ください。
 
 →「やまたけNEWS」第19号(2024年1月)はこちら
 
さて、そのようなことを考えながら、水曜日の昨朝は名子ヨットハーバー前での辻立ちからスタート。
 
名子での辻立ちに関しては、一昨日夜のある会議で「いつも立たれているのをバスの中から見てますよ!」とお声掛けをいただき嬉しい限り。
 
会釈やお手振りなどリアクションいただける方以外でも、こうして見てくれている方がいると思うだけで元気100倍(意外に単純です)。
 
そんなお声も励みに、昨朝はスモーク貼りの窓越しにも届くよう、一段と気持ちを込めてご挨拶した次第です。
 

【昨日の辻立ちのワンシーン。曇天ながら気持ちは晴れ晴れ。】
 
また、夜は東洋紡労組敦賀支部の執行委員会にお招きいただき、活動報告の時間を頂戴しました。
 
以前からこうした機会をいただいていることもあり、フランクな雰囲気での意見交換も盛り上がり、気付けば1時間半経過していました(汗)。
 
職場からのリアルなご意見やご支援の声は「活動の源泉」。
 
ご期待に応えられるべく、引き続き尽力してまいります。

世界から取り残される日本を選ぶのか、再び成長する日本を選ぶのか

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令和6年度予算にも計上し、「デジタル人材育成」に取組む敦賀市ですが、市のホームページを見ると「IT×地域課題解決のデジタル人材育成プログラムを開催します!」のタイトルが。
 
デジタル人材育成の一環として、今年度は、ITものづくり(webサイト制作)で地域課題解決を目指す「1DAYプログラミングイベント」、生成AIを学び、使い、活用しながら地域課題解決を目指す「Z-SCHOOL」を開催するとのこと。
 
詳しくは、以下のリンクよりご覧いただきたく存じますが、敦賀市内在住又は在学の中学生・高校生を対象(定員50名)として開催するとのことであり、多くの参加を期待するところです。
 
 →敦賀市HP「IT×地域課題解決のデジタル人材育成プログラムを開催します!」はこちら
 
さて、急速に進展するデジタルの世界。
 
ChatGPTの急速な普及を転換点として、かつてない規模とエネルギーで、多くの研究者・開発者・企業が人工知能(AI)の分野に参入しているところ、OpenAIは13日に最新のAIモデル「GPT-4o(フォー・オー)」を発表。
 
私も無料版ChatGPTをさわりだけ使ったことはあるものの、さらに能力が向上し、テキストはもちろん、音声・画像・映像をシームレスに扱い、自然なテンポでのリアルタイム音声会話が可能になったとのこと。
 
「GPT-4o」は既存モデルと比較して、特に視覚と音声の理解向上が際立っており、音声入力は最短232ミリ秒、平均320ミリ秒で応答可能(こんな単位で表現することは滅多にありませんが…)で、人間の会話の応答時間とほぼ同じであることに加え、会話の割り込みや背景ノイズ、複数の声、声のトーンなど、複雑な対話の要素を理解できるようになったとのことで驚く限り。
 
前述の通り、研究者や開発者が次々と参入していることを踏まえれば、これに留まることなく今後も開発されることを末恐ろしくも思う訳ですが、いよいよ「ターミネーター」の世界が現実味を帯びてきたものと認識する次第です。
 
こうしたなか、人工知能AIなどの莫大なデータを支えるのは、これまた莫大な電力。
 
国際エネルギー機関(IEA)が試算した、データ流通量の急増から来る世界のデータセンター(DC)の電力消費量は2026年に、22年比2.2倍の1000TWh(テラ・ワット時)に拡大するとのこと。
 
※テラは1兆
 
これは、日本の年間総電力消費量に相当する規模であり、膨大なデータ処理を伴うAIの普及が拍車をかけていることが分かります。
 

【IEAによる世界のデータセンター、AI等の電力需要の見通し(令和6年5月15日 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第55回会合)資料より)】
 
日本においては、電力広域的運営推進機関が算出した需要想定において、データセンターや半導体工場の新増設により、2024年度で+48万kW、2033年度で+537万kWの最大電力需要の増加を見込んでおり、人口減少や節電・省エネ等により家庭部門の電力需要は減少傾向だが、データセンターや半導体工場の新増設等による産業部門の電力需要の大幅増加により、全体として電力需要は増加傾向となっています。
 

【今後10年間の電力需要の想定(令和6年5月15日 総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会(第55回会合)資料より)】
 
5月15日に開催された「総合資源エネルギー調査会 基本政策分科会」(第55回会合)により「エネルギー基本計画」見直しの本格議論着手となった訳ですが、引用資料を見てお分かりの通り、前回見直しの際には、2030年の電力需要は「減少」としていたものが、現時点で「増加」、しかも「大幅に」となっています。
 
つまりは、議論の「前提条件」が大きく変わったことを認識しておく必要があります。
 
資源のない我が国におけるエネルギー政策の基本的考えは、安全性(Safety)を第一義に、安定供給(Energy Security)、経済効率性(Economic Efficiency)、環境適合(Environment)を同時達成する、いわゆる「S+3E」。
 
この中の「安定供給」に関しては、原子力発電の長期停止(2030年の電源構成で20〜22%目標のところまだ6%)によって、綱渡りの電力供給が続いていますが、今後はデータセンターだけで100万Kw級発電所5基以上分の電力を確保する必要があります。
 
まずは既設原子力発電所の再稼働ですが、火力を含めた新規電源の建設、開発を急がねば、この先、電力不足となるのは火を見るより明らか。
 
世界から取り残される日本を選ぶのか、再び成長する日本を選ぶのか。
 
次期「エネルギー基本計画」が、究極に「現実的」なものとなるかに掛かっていると言っても過言ではありません。

大幅な電力消費量「増加」予測に対し「現実的」な電力供給力を

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昨日は、週初めの街宣活動からスタートした後、お昼休みは、日本原電敦賀発電所の協力企業棟にて活動報告会を開催。
 
やや遅くなりましたが、3月定例会の内容や市政のトピックスなどに加え、原子力産業を取り巻く状況について説明いたしました。
 

【協力企業棟での報告会の様子】
 
今月は、原電総連以外の労組からもいくつか報告会の機会をいただいており嬉しい限り。
 
自身の報告のみならず、ひとつでも多く、職場からのご意見を頂戴できるよう進めてまいります。
 
さて、同じく昨日は、脱炭素社会の実現に向けた施策を検討する、政府の「グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」(議長:岸田首相)が開催されました。
 
この会議では、2040年に向けた新たな国家産業戦略の策定に着手。
 
長期の産業政策の見通しを示すことで企業の投資を後押しし、脱炭素と同時にエネルギーの安定供給、経済成長を目指すとのこと。
 
政府は2050年までに温室効果ガスの排出量を「実質ゼロ」にする目標を掲げており、首相は会議で「経済、社会全体の大変革と脱炭素への取り組みを一体的に検討し、脱炭素への現実的なルートを示したい」と述べました。
 
ここで異なるのは、菅元首相が「2050カーボンニュートラル」を掲げた際、達成に向けては「野心的」との言葉を用いたのに対し、岸田首相が使ったのは「現実的」の言葉。
 
その点は大いに評価するところですが、CO2の削減目標と産業成長の同時達成が求められるなか、以前と環境が大きく変わってきているのが、予想される電力消費量。
 
膨大なデータ計算が必要な生成AI(人工知能)の利用拡大で電力の消費量が急増しており、データの計算や保存を行うデータセンターを新設する企業が相次いでいることによって、日本では2050年に電力消費量が4割弱増えるとの予測もあるとのこと。
 
関連して、NTT東日本の記事には、「AIが奪うのは仕事ではなく電力?生成AIのエネルギー事情」といったタイトルのものもあり、AIを使ったチャットサービス「ChatGPT」など、自動で文章や画像を生成するには大量の電力が必要になるとあります。
 
例えて言うなら、人間の脳がエネルギーを沢山消費するのと同じですね。
 
なお、3年前に策定された「エネルギー基本計画」では、2030年度に向けて電力需要が「※減る」見通しでしたが、世界の変化は劇的に早く、まさに「安定した電力供給」が、今後の国家の生命線になると改めて認識するところです。
 
※この時でさえ、電気自動車(EV)の普及などにより、電力消費量は「増える」と見込むべきところ、「減る」としたことに、私は懐疑的でしたが…。
 
こうして、急速な技術革新に伴い、想定以上に電力消費が進むなか、脱炭素化を進める政府のエネルギー戦略は極めて「現実的」でなければなりません。
 
その鍵を握るのはやはり「原子力発電」。
 
2,000万kw以上の電力供給力を持ちながら、未だ停止したままの既設原子力発電所の再稼働はもとより、リプレースのみならず、新増設として進めなければ、その先に待っているのは、「電力不足」或いは、そのために成長できない「日本」の姿。
 
岸田首相におかれては、そんなことは百も承知と思いますので、今後は強いリーダーシップのもと、実効性ある議論、取組みを進めていただくことを切に期待する次第です。

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