期待高まる三菱重工の「革新軽水炉」開発

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「手取りを増やす」を掲げる国民民主党ですが、このうち、高止まりの「電気代」を引き下げる方策として主張するのが「再生可能エネルギー賦課金(以下、再エネ賦課金)」の徴収停止。
 
再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーなどによる発電事業者(以下、再エネ事業者)が発電した電気の買取価格を政府が保証する「固定価格買取制度(以下、FIT)」に基づき、国民ひとり一人が電気代に併せて徴収されているもので、今や各家庭の電気代の約15%を占める額になっていることは、これまでもお伝えしてきたとおり。
 
これに関連し、帝国データバンクが6日に発表したレポートによると、再エネ事業者の倒産と休廃業・解散件数が2024年度に過去最多の52件に達したことが分かったとあり、再エネ事業者の淘汰は、今後も進む可能性が高いとのこと。
 
2023年度も過去最多の45件であり、2020年度以降の5年間では、倒産した発電事業者19件のうち太陽光が7件と最多。
 
次いで木質バイオマスの4件で、天然ガスなどの火力発電(3件)、風力発電(2件)が続いており、要因としては、発電設備などの投資に対して維持管理コストや、発電に使用する燃料価格が当初計画を上回り、再エネ発電事業者の採算性が低下していることとあります。
 
加えて、FITの水準が引き下げられたことで利益が見込めなくなり、事業継続が困難となるケースが目立ったとあるものの、再エネ事業者の経営環境について、帝国データでは「減収や設備コストの増加が課題だ」と指摘しています。
 
なお、FITによる事業用太陽光発電の買い取り期間は、2032年以降に順次終了することを思えば、年間4兆円近くに及ぶ国民負担(再エネ賦課金)無くして成り立たないエネルギー源を「主力」に置くのかと、沸々と疑問が湧いてくる次第です。
 
一方、原子力発電においては、早期の再稼働が待たれる東京電力柏崎刈羽原子力発電所7号機に関し、経済産業省・資源エネルギー庁は2日、新潟県内で行ったエネルギーや原子力に関する広報事業の調査結果を発表。
 
アンケート調査で同発電所を「再稼働すべき」との回答は18.2%、「規制許可と避難対応があれば容認」は31.4%で、合計49.6%が再稼働を認める立場の回答。
 
なお、「規制許可と避難対応があっても容認できない」は8.2%、「再稼働すべきでない」は22.7%で合計30.9%。
 
「わからない」と答えた19.4%を除くと、容認が反対を大きく上回っている結果となっています。
 
また、既設原子力発電所再稼働の先にある話題として、三菱重工業が原子力発電所の「建て替え(リプレース)」に向けて200社以上の部品メーカーと調達協議を進めていることがわかったとの日経新聞記事。
 
新型の「革新軽水炉(SRZ-1200)」の安全弁などについて約150品目で調達可能と判断したとあり、国内で原子力発電所建造が滞る中で、今後のリプレースに備えて部品調達網を維持すること。
 
三菱重工では2030年代の実用化を目指して、開発中の革新軽水炉の仕様の概略をサプライヤー企業に示したとあり、こちらはリプレースの具現化に加え、日本の原子力技術、サプライチェーンの底力を見せる時と士気高まるところです。
 

【「SRZ-1200」のイメージ図(三菱重工HPより)】
 
この革新軽水炉。
 
決定した事項はないものの、建設候補として最も可能性が高いのは、関西電力美浜発電所4号機としてか…(あくまで私見です)。
 
いずれにしても、日本原電の敦賀発電所1号機(BWR:沸騰水型軽水炉)、関西電力美浜発電所1号機(PWR:加圧水型軽水炉)が発電を開始してから、今年で55年。
 
半世紀以上を経て、安全性をさらに高めた新たな型式の原子力発電所により、ここ福井県から日本の電力供給に貢献されることを期待し、応援する次第です。

2026年度の電力供給力500万キロワット不足

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4月18日に開催された新潟県議会において、東京電力柏崎刈羽原子力発電所の再稼働の是非を県民投票で決める条例案が否決されたことは既に報道のとおり。
 
「賛成、反対の二者択一では多様な意見を把握できない」「原子力は専門分野であり県民投票には適さない」などの理由で、最大会派の自民党が反対に回ったことから「否決」となったとあります。
 
この結果を受け、花角英世知事は県民に「信を問う」と繰り返すものの、23日の記者会見では、自身が再稼働の是非を判断するにあたり、県民の受け止めを確認する方法について、今、手元にあるわけではないとしたうえで、公聴会などを例示し、「できるだけ早く開催場所や方法、時期を示したい」と述べています。
 
なんとも悠長な対応に忸怩たる思いは募るばかりですが、まさか、任期満了に伴う来年6月の知事選まで引っ張ることを考えてはいないか。
 
電力需給ひっ迫の夏は目の前であり、時間軸と国家観をもった早期の判断を求める次第です。
 
さて、そうしたなか、電気新聞の4月24日の記事では、『2026年度、供給力500万キロワット不足/エネ庁、容量市場で追加入札へ』とのタイトルで、経済産業省・資源エネルギー庁が23日開いた有識者会合で、容量市場の2025年度追加オークション(実需給26年度)を全国で実施する方針を示した。
 
22年度メインオークション時点から目標調達量が増える一方、市場退出する電源が一定数生じたことなどで、供給力が500万キロワット程度不足した。追加オークションの開催は2年連続。6月上旬に入札を実施する。
 
とありました。
 
聞き慣れない「容量市場」の言葉に何のことか分からないかと思いますが、まず、ここで言う「容量」というのは「必要な時に発電することができる能力(kW)」のことを意味しています。
 
例えば火力発電のような、電力が必要となった時すぐに発電できる設備を持っている発電事業者は、その能力があるといえるでしょう。
 
こうした発電所の設備を維持するためには、人件費や修繕費など、さまざまなコストがかかることや、新設もしくはリプレース(建替)する場合には長い期間が必要となりますが、電力の市場価格が低下する傾向にあると、卸電力取引市場などでの電力(kWh)の取引や相対契約では、新設やリプレースにかかったコストを将来的に回収できるという予測が立てづらくなるため、新たな投資が進まなくなってしまいます(いわゆる投資回収の予見性)。
 
出力を調整できる発電所の設備が維持できなければ、電力需要に見合った供給ができなくなるおそれが生じ、その結果、再エネの出力が下がったときや需給がひっ迫したときに電力が不足したり、需要に対して供給力が不足することで電気料金の上昇につながったり、最悪の場合、停電するおそれがあります。
 
こうした課題を解決し、電力供給の長期的な安定をはかるために、導入が検討されてきたのが「容量メカニズム」。
 
「容量メカニズム」とは、そのような「容量」に応じて対価が支払われるしくみで、日本では、海外の制度を参考に、2020年に「容量市場」が導入されました。
 
電力に関する市場としては、「電力量(kWh)」を取引する「卸電力取引市場」がありますが、容量市場で取引されるのは、「将来にわたって見込める供給力(kW)」です。
 
つまり、容量市場とは、発電事業者が持っている「容量」に対して、小売電気事業者が、市場メカニズムで決まった額を支払うものであり、具体的には、「4年後の電力の供給力」を取引きすることとなります。
 
さらに具体的に言えば、まず、「電力広域的運営推進機関(広域機関)」が、4年後に使われる見込みの電気の最大量(最大需要)を試算のうえ、その需要を満たすために必要な「4年後の電力の供給力」を算定。
 
その際、「気象や災害によるリスク」も含めながら「調達すべき電力」の目標容量を算定したうえで、次に、その調達量をまかなうために、「4年後に供給が可能な状態にできる電源」を募集。
 

【容量市場のしくみ(資源エネルギー庁HP「くわしく知りたい!4年後の未来の電力を取引する『容量市場』より引用)
 
これはオークション方式でおこなわれ、価格が安い順に落札されるというのが、一連の「容量市場」の説明となります。
 
こうしたしくみの中にあって、今回、資源エネ庁が示したのは、来年度の供給力の話。
 
電力需要に見合った供給ができなくなった際のリスク、しかも不足分は「500万キロワット」。
 
なお、再稼働を今かと待つ、柏崎刈羽原子力発電所7号機の電気出力は135.6万キロワット。
 
すぐに使える、大きな供給力を使わずして、電力の供給力不足や需給ひっ迫への対応を議論している日本。
 
先に「国家観」と申し上げましたが、こうした状況も踏まえ判断していくのが政治家の役割であり責任と、なお強く思う次第です。

茨城の同志お二方が敦賀へ

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ここ最近、頻発している山林火災。
 
発生から6日目となる愛媛県今治市を中心とした山林火災では、焼損面積(27日午後2時半時点)およそ442ヘクタール、住宅や倉庫などあわせて21棟が焼け、現在も今治市と西条市のあわせて3848世帯、7494人に避難指示が出ているとのこと。
 
まずもって、山林火災の被害を受けた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。
 
必死の消火活動に加え、昨晩から降る雨によって鎮火することを願うところですが、加えて心配されるのが停電(火災範囲に鉄塔あり)。
 
北陸電力送配電(株)からは、火災による広範囲の停電に備え、社員44名、高圧発電機車等の車両計22台を派遣し、迅速な応急送電要請への対応準備が行われましたが、四国電力送配電(株)によれば、一昨日以降、​他電力会社からの応援を含め、発電機車約100台を周辺エリアに​受け入れており、このうち3台は消火活動用に必要な個所へ配備を​行っているとのこと。
 

【全国から集結した発電機車(四国電力送配電のXより引用)】
 ​
また、これらの運転に必要な燃料も十分に確保するとともに、停電が発生した場合に、各発電機車によって速やかに送電できるよう事前の確認・準備を徹底するなど、万一の場合に鋭意備えているとあり、何かあった時は「お互いさま」と、電力供給を守る誇りをもって全電力で支え合う体制を心強く思う次第です。
 
さて、遠方から集結いただいたという点でいえば、一昨日からは茨城県より、労組役員時代からお付き合いのある東京電力労働組合組織内議員の佐藤昭雄・水戸市議会議員、当選同期で日頃から連携いただいているUAゼンセンの奥谷崇・土浦市議会議員のご両名に、敦賀発電所及び美浜原子力緊急事態支援センターをご視察いただきました。
 
以前から、旧知のお二人にお越しいただくことを懇願していただけに、今回の来敦を心から嬉しく思うところであり、行程の一部ではありましたが、私も同行させていただいたところです。
 
視察に関しては、一昨日は敦賀発電所1号機の廃止措置、敦賀発電所2号機構内や破砕帯調査現場に加え、敦賀3,4号機建設予定地まで。
 

【3月26日 敦賀原子力館前にて(左から2人目が奥谷議員、中央が佐藤議員)】
 
昨日は、福島第一原子力発電所事故を踏まえ設立された美浜原子力緊急事態支援センターにて、その役割の説明、原子力災害発災時に遠隔で支援するロボットや重機等をご覧いただきました。
 


【3月27日 美浜原子力緊急事態支援センターでの視察の様子(上は遠隔操作ロボット、下はドローン訓練)】
 
また、移動の道中には、茨城県で課題となっている原子力発電所事故時の避難計画や原子力防災に関して意見交換もでき、私にとっても大変貴重な機会となりました。
 
なお、本件を紹介した私のXポスト(投稿)に奥谷議員からは、「皆さんのご説明を聞き、現場の最前線で電力産業に関わる誇りや、安全に対する意識の高さに感動しました。これからも日本の産業や、私たちの暮らしを支えてください。よろしくお願いします!」とのコメント。
 
視察を通じ、このように感じていただけたことは大変嬉しいことであり、対応いただいた方々をはじめ、現場の皆さんにこのお言葉を届けたいと思うところです。
 
改めて、お二方におかれては公務多忙のなか、目的意識をもってここ敦賀までお越しいただいたことに心から感謝申し上げます。
 
ありがとうございました。
 

【まさに「わが同志」のお二人。引き続いての連携をお願いいたします。】

経済産業省より「エネルギー政策」について説明を受ける

エネルギー ブログ 原子力 敦賀市議会

「第7次エネルギー基本計画」が2月18日、早朝の閣議にて決定。
 
2021年10月以来となるエネルギー基本計画の改定は、現行計画の策定以降、海外では、ロシアによるウクライナ侵略や中東情勢の緊迫化など、エネルギー安全保障に係る地政学的リスクも高まる中において、総合資源エネルギー調査会では、2024年5月より計画の改定に向け検討に着手。
 
同年12月に原案を提示、その後1ヶ月間のパブリックコメントに付せたうえで昨日決定したもの。
 
新たなエネルギー基本計画では、「福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じ取り組む」ことを改めて原点に据えた上で、「S+3E」(安全性、安定供給、経済効率性、環境適合性)を基本的視点として掲げ、原子力に関しては、「優れた安定供給性、技術自給率を有し、他電源とそん色ないコスト水準で変動も少なく、一定の出力で安定的に発電可能」とのメリットを強調。
 
立地地域との共生、国民各層とのコミュニケーションの深化・充実、バックエンドプロセスの加速化、再稼働の加速に官民挙げて取り組むとしたほか、東日本大震災以降策定の基本計画で記載されてきた「原子力依存度を可能な限り低減」との文言は削除。新増設・リプレースについては、「廃炉を決定した原子力を有する事業者の原子力発電所サイト内での、次世代革新炉への建て替えを対象」に具体化していくとされました。
 
また、今回のエネルギー基本計画の裏付けとして、2040年のエネルギー需給見通しが「関連資料」として示され、発電電力量は1.1~1.2兆kWh程度、電源構成は、再生可能エネルギーが4~5割程度、原子力が2割程度、火力が3~4割程度などとなっています。
 
なお、「第7次エネルギー基本計画」の原文など詳細は、以下リンクより、経済産業省のホームページをご覧ください。
 
 →経済産業省HP「第7次エネルギー基本計画が閣議決定されました」はこちら
 
そうして閣議決定のあった昨日、敦賀市議会では午前10時30分より議員説明会を開催。
 
経済産業省 原子力立地政策室(資源エネルギー庁 原子力広報室長)の前田博貴室長より、「エネルギー政策」について説明を受けました(経済産業省 原子力立地政策室 銀澤室長代理、若狭地域担当官事務所 山本所長も同席)。
 
室長からは約30分、①エネルギーを巡る状況、②近年のエネルギー政策の歩み、③第7次エネルギー基本計画(案)について資料に沿ってポイントを説明。
 
説明のあった時点では(案)が取れ成案となっています。
 
説明後、質疑の場においてはまず、議員お二方から、敦賀3、4号機などリプレースに向けたファイナンスについて、使用済み燃料の保管や電力消費地での広報などに関する意見がありました。
 

【議員説明会が開催された全員協議会室の自席より】
 
続いて私からは、原子力基本法改正により国の責務を明確にした上で、第7次エネルギー基本計画では「原子力依存度を可能な限り低減」の文言削除、S+3Eの原則のもと原子力を最大限活用するとした原案全体に対し評価する旨申し上げた後、以下について意見。
 
①既設原子力発電所の最大限活用と原子力規制について
毎年の夏・冬と電力間融通により何とか安定供給している需給ひっ迫の状況にあって、足下の需給逼迫改善に向けては、既設原子力発電所の最大限活用が急務。電力事業者も早期再稼働に向け取組む一方、課題の大きくは審査の長期化によるものであることは周知のとおり。エネルギー基本計画では、産業界や事業者に指導する旨の記載はあるが、規制に対する文言はない。アメリカでは、原子力3倍宣言と同時に規制側の体制も3倍にすると言っている。日本においても、規制サイドの体制強化や審査の効率化、確率論的評価(RPA)の手法も取り入れるべきと考えるため、敦賀からそういう意見があった旨、国においても共有いただきたい。
 
②今後の電力需要を見据えた時間軸を持った電源容量について
基本計画では、2040年の電力需要を最大1.2兆KWh程度と想定している。日本においては、生成AIの急激な進展による電力需要を2035年までに約600万KW増加想定とあるが、TSMC(熊本)やラピダス(北海道)など、半導体工場やデータセンター進出をはじめ、別の計画なども鑑みるに、既に先の予想を上回ることが明らかなのではないか。この電力需要にどう対応していくのかとの観点から、昨年敦賀市議会が意見書で求めたよう、将来的な時間軸と電源の必要容量を示すべきと考える。
 
③事業環境整備について
今後の事業環境整備に関し、基本計画原案24頁(成案では25頁)では、我が国においても、電力分野における必要な投資資金を安定的に確保していくためのファイナンス環境の整備に取り組む必要があるとし、具体的には、民間金融機関等が取り切れないリスクについて、公的な信用補完の活用をしていくとある。一方、こうした公的支援に関しては、とかく原子力発電に対して適用するとなると様々なハレーションが起こるのではと考える。ついては、そうした状況においても、確実に予見性ある事業環境整備が図られるよう検討・実施をお願いする。
 
なお、説明会終了後、前田室長とは立ち話でしたが、敦賀発電所2号機の審査の件に鑑み、確率論的評価がベースの米NRCやIAEAの地盤審査の考え方、AmazonやGoogle、メタ社(Facenookなど運営)がSMR等の次世代原子炉開発や原子力発電との直接契約をしている意味を考えれば、原子力の優位性がより分かりやすくなるのではなどお伝えした次第です(一方的に話したのみですが)。
 
正直、閣議決定された段階で意見することにどれだけの意義があるかと言われればそうかもしれませんが、日本のエネルギーを支えてきた原子力立地地域、議会の立場から、こうした機会を捉え国に意見することは責務であると考えるところ。
 
今後は、決定した「第7次エネルギー基本計画」を基に、いかに各電源ごとの課題を改善し具現化していくか。
 
冒頭述べたよう、我が国を取り巻くエネルギー安全保障に係る地政学的リスクは一層高まっていることを念頭に、引き続き「“超”現実的なエネルギー政策」実現に向け、微力ながら尽力してまいる所存です。

Googleなど名だたるIT企業が原子力発電と直接契約 〜その意味とは?〜

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1月26日までを提出期限としていた、現在策定中の次期『エネルギー基本計画』(原案)に対するパブリックコメント。
 
電気事業連合会(電事連)や全国電力関連産業労働組合総連合(電力総連)なども提出したとあるなか、24日には日本原子力産業協会(原産協会)も同じく付したことが原子力産業新聞(原産新聞)に掲載されていました。
 
なお、原産協会の意見としては、原子力産業の意思決定となる明確な指針を求め、主には以下のとおり。
 
(1)原子力の価値と必要性を明記し「原子力依存度低減」の記載を削除
(2)既設炉の早期再稼働、長期サイクル運転、運転中保全の拡大、出力向上など、既設炉の最大限活用に適切な支援を行うこと
(3)原子力発電の新規建設を前提に新増設・リプレースの必要な容量と時間軸を示し、同一敷地内に限られた建設制限を解除
(4)原子力発電所の追加安全対策や新規建設の投資回収の予見性を回復し、投資家が投資でき、事業者が資金を調達できる事業環境整備を早急に整備
(5)革新軽水炉にかかる規制整備の早期進展の必要性に鑑み、規制整備のスケジュールを示すこと
(6)原子力事業者が無過失・無限の賠償責任を集中して負うこととされている原子力損害賠償制度の見直しについて方向性を示すこと
 
いずれの項目も「原子力の最大限活用」を現実的に進めていくうえで必要なことであり、自身の考えと合致するもの。
 
こうした意見が反映され、より具体性のある計画となることを切に期待する次第です。
 
さて、日本がようやく原子力発電を将来に亘り活用していくとの意思を明確に示すなか、世界は原子力発電所の新増設や革新炉開発を急速に進めており、その状況は原産新聞の海外NEWSから実感するところ。
 
こちらはぜひ、ご覧いただいた方が早いので、以下のリンクから記事のタイトルだけでもご覧いただきたいのですが、欧米のみならず、中国、ロシア、アジア、豪州、アフリカに至る世界各国で、今後を見据えた「新規電源」を求め、原子力開発が展開されていることが分かります。
 
 →原子力産業新聞『海外NEWS』はこちら
 
とりわけ、長い間、原子力の新設がなかったアメリカが猛烈な勢いで開発しており、特徴的なのは、名だたるIT企業が、必要とする莫大な電力を原子力発電で、しかも発電事業者への直接出資や契約により、独占的かつ安定的に供給されることを確実なものにしようとしていること。
 
誰もが知っているGoogle、Amazon、メタ社(Facebookなどを運用)だけでも、取り上げたタイトルは以下のとおり。
 
◉Googleと米ケイロス・パワー社が先進炉導入で提携(2024年10月17日)
◉Amazon SMRプロジェクトを支援(2024年10月18日)
◉米IT大手メタ社 原子力から電力調達へ(2024年12月5日)
 

【Amazonが出資するX-エナジー社製SMR「Xe-100」中央制御室の想像図(原産新聞より引用)】
 
こうしたニュースを見るに、既に1周も2周も遅れをとっている日本の原子力開発に危機感すら覚える訳ですが、次期エネルギー基本計画の背景にもあるよう、電力安定供給がままならないことは=生成AIなどのIT分野(半導体やデータセンター等)でも遅れをとるということ。
 
なお、ここでいう「電力安定供給」とは、超精密製品を生むうえで、単に電気を受電するのみならず、極めて「周波数変動の小さい」電源供給を求めていることを補足しておきます。
 
日本においては、熊本のTSMCに続き、現在、北海道でラピダスが工場建設を進めていますが、北海道電力泊原子力発電所の再稼働なくして成り立つのかと、電力安定供給に対し懸念を呼んでいるところ。
 
こうしたことからも、必要な電源容量と時間軸を示し、原子力開発を進めていくことが極めて重要と考える次第です。
 
最後に参考まで、原産新聞によると、アメリカに関しては、自国での開発のみならず、視点は月にまで。
 
『米国 WE社が月面マイクロ炉開発を継続へ』
 
米ウェスチングハウス(WE)社は1月7日、米航空宇宙局(NASA)と米エネルギー省(DOE)から月面に原子炉を設置する「月面原子力発電(FSP)」プロジェクト向けのマイクロ炉の概念設計開発を継続する契約を獲得したことを明らかにしたとのこと。
 

【NASA 月面原子力発電(FSP)プロジェクトのイメージ図(原産新聞より引用)】
 
世界の「熾烈な電源(資源)獲得競争」はここまで来ているのかと、驚愕する次第です。

『高校生の原子力に対する意識調査2024』が発行される

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「小寒」の昨日は、終日冷たき風ながら、気持ちの良い快晴。
 
朝は神々しき野坂山を望み、夕方は金ヶ崎緑地でワンちゃんの散歩をした後、ランニングで自宅まで。
 
夕陽と重なる敦賀の景色で心身ともにリフレッシュしました。
 

【朝陽に照らされ、神々しき姿の野坂山】

【夕陽と重なる金ヶ崎緑地。多くの方が訪れていました。】
 
寒さ暑さはあるものの、今年も季節の移り変わりを楽しむ余裕をもって過ごせればと。
 
さて、話は変わり、昨日の福井新聞に掲載されていた、福井南高校の生徒たちが編集作成した『高校生の原子力に対する意識調査2024』について。
 
12月25日に発行されたこの調査は、埼玉県、東京都、福井県、京都府、兵庫県、島根県、鹿児島県、沖縄県、New Zealand(North IslandおよびSouth Islandで各1校抽出実施)を対象に2024年5月から6月にかけて一斉調査を行い、結果,国内外181校11,000名から得た回答を基に作成されたもの。
 
WEBに公開されているのは「調査概要及び結果」のみでしたが、早速拝見すると、「はじめに」には、“福井県内の原子力に対する意識差、という疑問を出発点に始まったこの調査も4回目を迎えました。調査対象地域の拡大とともに、その中身も大きく変更を重ねてきました。今年度は、「同世代の方々にエネルギー安全保障や原子力のバックエンドについて関心を持ってもらえるものにしたい」という私たちの思いを形にするために、掲載する情報やコンテンツも皆様が回答くださった自由記述欄を参考に試行錯誤を重ねました。”
 
“エネルギーや原子力、環境問題について考えるのは、難しいと感じられる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、この冊子を通じて「意外と身近だな」と思っていただけたり、「自分の生活や将来にどう関係しているのだろう」と考えるきっかけになれば幸いです。”
 
との生徒さんからの言葉がありました。
 
なお、意識調査のWEB公開版は、以下リンクよりご覧ください。
 
 →『高校生の原子力に関する意識調査2024』WEB公開版はこちら
 
国内合計や各都府県ごとの集計結果では、原子力発電にどの程度関心を持っているか、原子力へのイメージ、今後日本はどのようなエネルギーを利活用していけば良いか、原子力発電の廃炉に関連するクリアランス制度・資源についてどの程度知っているか、日本のエネルギー事情や原子力・教科書へのご意見などの設問があり、興味深く拝見。
 
とりわけ、原子力のイメージに関しては、「必要」とする回答が、“そう思う”、”ややそう思う”を含め68.3%である一方、今後のエネルギー利活用のトップは「太陽光」など再生可能エネルギーが上位を占める結果となっていました。
 

【WEB公開版より、上記設問部分を抜粋引用】
 
こうしたことを自身のXで紹介投稿すると、エネルギー関係にお詳しい方からは、「当たり前ですが、太陽光発電では日中した発電出来ない。一方使う側は24時間使いたい。そのギャップを埋めるのは何、って考えを進めて欲しいですね。高校生なら分かるでしょう。」とのご意見。
 
私からは、「自由記述欄も読みましたが、現時点では必ずバックアップ電源が必要なことまで理解して再エネを選択したか否かまでは?なお、東京や京都+福井ほか5県にニュージーランドまで、原子力立地・消費地を問わず、こうして高校生達がエネルギー安全保障やバックエンド等について考えることに意義があるものと感じました。」とお答えした次第。
 
各電源のメリット、デメリットは設問前にどこかで触れているのかもしれませんが、お答えしたとおり、まずは日本のエネルギー事情について関心を持っていただくこと、その次にS+3Eの基本的考え方を踏まえ、電力システム全体として何が最適解か考えていくことが肝要と感じた次第です(大人も然りですが)。
 
いずれにしても、次代を担う高校生の意識を知れることは、私にとっても意味のあることであり、本編も含めた調査資料をどこかで拝見したいと思います。
 
こうして毎年、テーマや規模を拡大し探求を進める福井南高校の生徒さん、先生方には頭が下がる思いであり、ここに敬意を表するとともに、今後も同世代の皆さんとともに、小資源国日本にとってのエネルギー・原子力について、意識を高める取組みを継続いただくことをお願いする次第です。

『第7次エネルギー基本計画』の原案が示される

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先日発行した「やまたけNEWS(第22号)」でも触れた、次期『第7次エネルギー基本計画』について。
 
恒常的な電力需給ひっ迫と電気料金高騰に喘ぐわが国においては、安価で安定的な電力供給が強く求められるところであり、「原子力か再エネか」の不毛な二項対立ではなく、他国依存度の低い脱炭素電源を幅広く確保していくことが、日本再生の生命線。
 
加えて、2017年以降、世界で建設された32基の原子力発電所のうち、27基がロシアと中国であり、このままでは早晩、原子力技術分野が中露に掌握されてしまうことから、「エネルギー安全保障」の観点からも、現行計画にある「原子力依存度を可能な限り低減」の文言を削除することによって、将来に亘って活用する意思を明確にすべきと述べたところ。
 
その『第7次エネルギー基本計画』が17日、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会計画にて原案が示され、全文に目を通しました。
 
 →「エネルギー基本計画(原案)の概要」はこちら
 →「エネルギー基本計画(原案:全文)」はこちら
 
部分的に『第6次』とも見比べながら読み進めましたが、前回と同様、エネルギー政策の原点としてまず「福島第一原子力発電所事故の経験、反省と教訓を肝に銘じて取り組む」ことを第一に挙げつつ、基本的視点に掲げる「S+3E」(安全性、安定供給、経済効率性、環境適合性)の観点では、置かれた状況を含め、より丁寧に書かれている印象を持ちました。
 
また、基本的考え方の総論では、「DXやGXの進展による電力需要増加が見込まれる中、それに見合った脱炭素電源を十分確保できるかが我が国の経済成長や産業競争力を左右する状況にある。脱炭素電源を拡大し、我が国の経済成長や産業競争力強化を実現できなければ、雇用の維持や賃上げも困難となるため、再生可能エネルギーか原子力かといった二項対立的な議論ではなく、再生可能エネルギーと原子力をともに最大限活用していくことが極めて重要となる。」と、まさにNEWSで述べたことと同じ認識に立っていることを確認。
 
原子力に関しては、同じく冒頭述べた、これまでの「原子力依存度の可能な限りの低減」の文言を削除したことは良かったと。
 
原子力発電の「優れた安定供給性、技術自給率を有し、他電源とそん色ないコスト水準で変動も少なく、一定の出力で安定的に発電可能」とのメリットを強調した上で、立地地域との共生、国民各層とのコミュニケーションの深化・充実、バックエンドプロセスの加速化、再稼働の加速に官民挙げて取り組む。
 
新増設・リプレースについては、「廃炉を決定した原子力を有する事業者の原子力発電所サイト内での、次世代革新炉への建て替えを対象として、(中略)具体化を進めていく」と記載されたほか、次世代革新炉の開発・設置に向けては、研究開発を進めるとともに、サプライチェーン・人材の維持・強化に取り組むことが明記されました。
 
一方、『既設炉の最大限活用』の項では「再稼働加速タスクフォース」等の取組み、『次世代革新炉の開発・設置』では〝規制当局と共通理解の醸成を図る”とありましたが、主語はいずれも事業者。
 
とりわけ、喫緊の課題である電力需給の改善に向けては、長期化している適合性審査を加速させることが不可欠であり、規制機関の体制強化や審査の効率化を図ることが必要と考えますが、計画にこれを書くことはタブーなのか。
 
また、他の電源についても同様、考え方が示された上で、2040年のエネルギー需給見通しに関しては、発電電力量は1.1~1.2兆kWh程度、電源構成では、再生可能エネルギーが4~5割、原子力が2割程度、火力が3~4割程度と提示されました。
 

【参考:2040年度におけるエネルギー需給の見通し(令和6年12月17日 基本政策分科会資料より抜粋)】
 
電源比率に関しては、2040年までの既設原子力の再稼働、次世代革新炉によるリプレースなどの進捗予想の中で脱炭素電源比率を引き上げねばならないことを考えれば、「致し方ない」と思いつつも、主力電源を「再エネ」に置くことにはやはり違和感を唱えるところ。
 
先日、各電源のコスト試算も発表されましたが、重く乗っているのは、再エネ比率上昇に伴う統合費用の増加であり、さらには、年間約3.5兆円にも及ぶ、国民の皆さんかが負担している「再エネ賦課金」を思えば、将来主力にすべきはやはり「原子力発電」と考える次第です。
 
とはいえ、火力発電の活用なども含め、前回に比べれば「現実的」となった基本計画案であり、引き続き、年内にも最終原案を固める見通しとされる今後の議論を注視する所存です。

国民民主党が「現実的なエネルギー政策」を石破総理に直接要請    

エネルギー ブログ 敦賀市議会

敦賀市議会は昨日、補正予算案審査のための予算決算常任委員会を開催しました。
 
10時から行われた全体会では、事前に発言通告のあった33件(重複を除くと17件)について基本質疑。
 
全体会終了後、14時15分からは総務民生、産経建設、文教厚生に分かれての分科会にて、所管する事業について審査しました。
 
なお、全体会で発言通告が3人以上重なったのは、以下4件。
 
◉粟野地区認定こども園整備事業費(2692万9千円)
粟野地区(櫛林地係)における認定こども園建設について、園への道路接続(約120m)及び敷地造成(約5400平方メートル)に係る設計を行う。
 
◉コミュニティバス運行事業費(920万7千円)
新幹線開業後の状況を踏まえ、コミュニティバスのダイヤ改正の準備を行う。
 
◉まちづくり法人運営事業費補助金(2182万円)
港都つるが株式会社と一般社団法人敦賀観光協会の一体化による「新たなまちづくり会社」の設立に向け、人件費や備品購入費、内部管理システム導入費等を補助する。
 
◉学校管理運営費(小学校費:343万9千円、中学校費:507万円)
学校や教室に居づらさを感じ、不登校の兆しが見られる児童生徒の居場所づくりを目的とする「校内サポートルーム」の環境整備を行う。
 
質疑の重複を、議員の関心が高いものと取るか、懸念される点があるからと取るか、それぞれあろうかと思いますが、いずれにしても全体会ならびに分科会での質疑を通して事業の目的や費用の妥当性をクリアにしていくもの。
 
他の事業も含め、同会派の議員と各分科会での審査状況を共有した上で、賛否の判断をしていく所存です。
 
さて、国会のほうは本日、第2次石破茂内閣にとって初の本格的論戦の場となる第216臨時国会が招集され、令和6年度補正予算案や政治資金規正法の再改正案などの審議を行う予定としています。
 
これに先立ち昨日、国民民主党は、第7次エネルギー基本計画がまもなく策定されることを踏まえ、同党が公約でも訴えた現実的なエネルギー政策について、首相官邸にて石破総理に直接伝えました。
 

【石破総理に要請書を渡す玉木代表ら国民民主党議員団(左から竹詰仁参議院議員、浜野喜史参議院議員、浅野哲衆議院議員、浜口誠参議院議員)】
 
なお、要請した内容は、以下文面のとおり。
 

 
要請の後、玉木代表はXポストで次のように述べています。
 
<以下、引用>
安価で安定的な電力供給がなければ経済成長も賃上げもできません。「再エネか、原発か」の二項対立ではなく、他国依存度の低い脱炭素電源を幅広く確保していかなくてはなりません
 
安全を前提とした原子力発電所の再稼働とともに、建替えと新増設の必要性を明記することを求めました。先が見通せなければ、人材の育成・確保や、技術の維持・強化もできません。
 
2017年以降、世界で32基の原発が建設されましたが、そのうち27基がロシアと中国です。今のままでは、早晩、原子力発電の技術もロシアや中国に依存することになりかねません。
 
石破内閣には、戦略的なエネルギー基本計画の策定を求めます。
<引用終わり>
 
政府のGX方針では「原子力の最大限活用」を掲げつつ、エネルギー基本計画では現行の「原子力の依存度低減」の文言を残そうとするかの動きがあるなか、電力総連などとも連携を図りつつ、国民民主党が要請した内容は極めて現実的と考える次第です。
 
併せて、足下の電力需給をより安定的且つ低廉なものにするため原子力規制に言及しているのは唯一、国民民主党(要請文の下から2番目のポツ)。
 
「安全が確認された原子力発電所は稼働」と至極当たり前のことではなく、要請文にあるよう、「長期化している適合性審査を加速する」ことは、日本経済・エネルギー安全保障の観点から極めて重要であり、米NRC(原子力規制員会)の考えなども参考に、見直すべきと考えます。
 
30年ぶりに動いた「103万円の壁」にあるよう、今度は、国の根幹に関わるエネルギー政策も動かす覚悟で求めていますので、ぜひともご理解の上、国民世論で後押しいただけますようお願いいたします。

福井県市議会議長会「令和6年度中央要望」〜敦賀市議会からは原子力政策について求める〜

エネルギー ブログ

一昨日のブログで、野坂山の山頂が白くなっていたことをお伝えしましたが、二十四節気では今日から「小雪(しょうせつ)」。
 
「寒くなって雪が降る頃」になります。
 
天気予報を見るとまだ雪マークはないものの、「小雪」を合図にそろそろ冬支度。
 
早目にタイヤ交換などを済ませ、本格的な冬に備えましょう。
 
さて、寒さが厳しくなるにつれ、暖房器具の使用等により電力需要が増加し、以前にあった「需給ひっ迫」の心配をまたしないといけないのかと忸怩たる思いが浮かぶ訳ですが、これに関し、現在国で進めているのが「エネルギー基本計画」改定に向けた議論。
 
原子力に関しては一部報道で、現行の「第6次エネルギー基本計画」にある“原子力依存度を可能な限り低減する”との文言が残るのではとあるところです。
 
議論を遡ると、改定論議を始めたあたりの5月15日に開催された第55回エネルギー資源調査会基本政策分科会で委員の杉本達治福井県知事は、「(現行エネルギー基本計画では)可能な限り依存度を低減するとし、原子力の将来像が明らかになっていない」と意見しています。
 
岸田政権時に決めた、政府の「GX実現に向けた基本方針」や「原子力の最大限活用」からすれば当然、次期エネルギー基本計画では、この文言が削除されるものと思っていましたが本当に残すつもりなのか。
 
何の勢力に配慮して躊躇しているのか分かりませんが、この文言が残る場合、国の方針との間で自己矛盾が生じることも含め、明確な判断を切に求める次第です。
 
そうした中、昨日は全国都市会館(東京都千代田区)で開催された福井県市議会議長会(9市の正副議長で構成)の令和6年度中央要望に出席。
 
福井県選出の国会議員に対し、各議会からそれぞれの課題を踏まえ、要望を伝えました。
 

【各議会の思いが込められた要望書】
 
トップバッターで意見した敦賀市議会からは中野史生議長より、「原子力政策と原子力発電所立地地域の安全確保」について要望。
 
原子力政策の方向性を明確に位置付けるとともに、原子力利用に係る取組について、時間軸を含めて具体的に示すことや原子力災害時の即時避難ルートの確保、道路寸断等に伴う市内の孤立化防止に向けて、「敦賀一高島連絡道路」の整備実現のための調査委託等の事業を推進することなどを強く求めました。
 
なお、その後の意見交換会で自民党議員の方とお話しした際、「国民民主党さんの原子力政策は?」と聞かれたので「リプレースはもちろんのこと、新増設まで公約に書いてますよ」と申し上げました。
 
また、同じく自民党のもうお一方の議員さんは国民民主党の政策を把握されており、原子力政策も協力して進めていければとの言葉がありました。
 
同じ党でこうも違うのかと感じましたが、「自民党より踏み込んでいる」ことをお伝えできたことは良かったかと。
 
いずれにせよ、先の“依存度を可能な限り低減”の文言然り、石破政権下でエネルギー基本計画はどうなるのかに注目が集まるところであり、「自分の国は自分で守る」との考えのもと、原子力のみならず、再エネ偏重を是正するという国民民主党の考えをどう反映していくか。
 
「103万円の壁」が30年ぶりに動いた訳ですが、エネルギー基本計画は「3年ごと」の改定。
 
原子力を今の3倍にするとの世界の潮流も背景に、日本再生のためにこの壁も動かしていかねばと考える所存です。

政局はあれど「超現実的」な「エネルギー基本計画」策定を

エネルギー ブログ

昨日午後は、福井県自治会館で行われた「市町議会議員合同研修会」に出席。
 
一般社団法人 地方公共団体政策支援機構 長内紳悟氏による「議会のデジタル化とDX」、政治ジャーナリスト 細川隆三氏による「衆院選を分析!石破政権の課題」と題した講義を拝聴いたしました。
 
長内氏の「議会改革は市民のためにならない」との発言には違和感を覚えましたが、それぞれお聞きした話の中で得たヒントは、今後の活動に活かしていきたいと思います。
 
さて、昨日お伝えした女川原子力発電所2号機の原子炉起動。
 
予定通り起動をし、今後は11月上旬を想定している再稼働(発電再開)に向けて、各種試験・検査、作業などを進めることとなります。
 
13年ぶりとなる再稼働に向けて、引き続き、安全確保を最優先に工程を進めていただきたく存じます。
 
また、女川原子力発電所と同じ沸騰水型(以下BWR)で続くのは、中国電力の島根原子力発電所2号機。
 
安全性向上対策工事が完了し、昨日28日には、燃料装荷を開始したとの発表がありました。
 
同2号機での燃料装荷作業は2010年10月以来約14年ぶり。
 
原子力規制委員会から、燃料装荷に必要な試験使用承認書が同日交付された上で行われたもので、1週間程度かかる見込みの燃料装荷を終えた後、計画通りに進めば12月上旬にも原子炉を起動するとのこと。
 
福島第一原子力発電所事故から13年余り。
 
生成AI(人工知能)の普及に伴う電力需要の拡大で、世界の原子力政策は転換期に入り、脱炭素と電力の安定供給を実現する原子力発電所は、資源に乏しい日本のエネルギー戦略を考える上で欠かせないことは言うまでもありません。
 

【生成AIに対応するためのデータセンター、半導体工場新設などに伴う今後の電力需要予測(資源エネルギー庁 基本政策分科会資料より)】
 
林芳正官房長官は29日の記者会見で「わが国全体の経済成長の観点から再稼働の重要性が高まっている」と言及しましたが、その意味でも、女川、島根と続くBWRの再稼働は大きな節目と言えます。
 
岸田政権では「原子力発電の最大限活用」を掲げ、再稼働を加速する構えとした政府ですが、それは当たり前のこととして、上述の通り、データセンターなどの増加で拡大する電力需要を支える脱炭素電源として原子力発電は欠かせず、今後は建替え(リプレース)や新増設も進めなければ、「電力不足」によって、国民生活や経済活動が行き詰まることは明白と考えます。
 
なお、衆院選の福井1区、2区候補者にリプレースや新増設の必要性について問うたアンケートで、「○」としたのは、1区の稲田朋美氏と2区の高木毅氏の2名のみで、他の候補は「×」または「△」でした。
 
原子燃料サイクルが回っていない、最終処分の問題が解決していないのに進めるのは無責任だとの回答が多かったように思いますが、では、その条件がクリアになったら良いのですね?或いは、いわゆるバックエンド側の課題解決に向けて取り組んでくれるんですね?と問い直したいところ。
 
衆院選で自民、公明両党が過半数割れし政権が不安定化する中、今年度に見直す「エネルギー基本計画」は、議論の曲折も危惧されるところですが、この見直しは日本再生に向けた肝であり、使用済み燃料の問題を含め、「超現実的」な計画を策定いただくことを切に願うところです。

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