何事も「現実的に」と感じた一日

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元日の能登半島地震では、大津波警報の発令直後にNHKの女性アナウンサーが「今すぐ逃げること!」と強い命令口調で叫ぶように呼び掛けたことに賛否の声があったところ。
 
同局のアナウンス室では、東日本大震災の経験をもとに、災害時には「自分だけは大丈夫」という正常性バイアスが働くことを踏まえ、2023年秋に強い命令口調で避難を呼び掛けるマニュアルを策定。
 
その後も豪雨災害や地震のたびにアナウンサー自身が被災地を訪れ、被災者からの聞き取りで実際の避難につながった言葉を探っていったとのこと。
 
こうした経過を経て、緊急時には「ですます調」を止めたことは「現実的」な改善と受け止める次第ですが、呼び掛けひとつにも探求するプロ根性を見た次第です。
 
さて、「現実的」と言えば、昨日は東京で開催された母体の「原電総連新春賀詞セミナー」に出席。
 
国民民主党 エネルギー調査会長の浅野哲(さとし)衆議院議員(茨城5区)をお招きし、「当面のエネルギー政策」について講義いただきました。
 
国内外における原子力政策の動向や国民民主党のエネルギー政策の変遷についてご紹介いただいたうえで、地政学的リスクなども踏まえ、今後も「現実的な」エネルギー政策の実現に向け取り組むと、力強く述べられました。
 

【まっすぐ前を見て、ご自身の考えを述べられる浅野哲衆議院議員】
 
日立労組ご出身で、現在、経済産業委員会を中心にものづくり支援や中小企業支援、IT化・デジタル化の推進などに取り組む浅野議員は、日本が持続的に発展する意味においても重要なのは安価で安定した電気だと真剣に考えておられる、我々にとって本当に心強い存在。
 
今後引き続いての連携をお願いする次第です。
 
また、賀詞セミナーに続いて開催された「賀詞交歓会」(年頭のご挨拶のみ)では、主催者を代表し岩本原電総連会長、会社側を代表し村松原電社長の挨拶に続き、組織内議員として、寺門東海村議会議員と私もお時間を頂戴。
 
私からは、日頃のご支援への御礼と能登半島地震発生以降の状況共有、敦賀における原子力の位置付けなどについてご紹介しました。
 

【私からもひとことご挨拶】
 
来週16日に東海村議会議員選挙の告示を迎える寺門議員からは、東海第二発電所の再稼働を巡る東海村議会における対応動向を中心にご報告いただいたほか、ご自身の決意を述べられました。
 
同じ組織内議員の立場として、これまでも連携とご指導をいただいている寺門議員。
 
こちらも「現実的な」視点で道筋をつけていくに欠かせない存在であることは言うまでもありませんので、私自身、出来うる限りの「熱伝導」でともに戦う思いであります。
 

【決意の一端を述べられる寺門議員。祈必勝!】
 
こうして賀詞交歓会を終え、皆さんと再会を誓いつつ会場を後に。
 
帰りの東京駅構内を歩くと、北陸新幹線福井・敦賀開業カウントダウンボードが「64」を示していました。
 
前回東京に来たときは100を切ったところでしたので、月日が経つ早さを感じつつ、能登半島地震の発生により、この開業を敦賀のみならず、被災地の復旧・復興につながる北陸全体の効果にすべきものと、自身の考えにも変化が生じていることを認識したところ。
 
被災地のことを思うあまり、何事も消極的になるのではなく、消費行動をはじめ地域全体の経済を回していくことが被災地支援の意味において重要であることは、これも東日本大震災から得た「現実的な」教訓であり、そうした視点をもって対応していくことを自分に言い聞かせながら帰路についた次第です。

わが国の「3E」に資する「原子力再稼働」

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週末の大雪に伴い、石川県を中心に発生した停電については、関係者の皆様の必死の復旧作業により、今朝の段階で10戸未満にまで減少。
 
12月21日(木)10時〜12月26日(火)9時に発生した述べ約17,670戸の停電に対し、北陸電力株式会社および北陸電力送配電株式会社では「非常災害対策本部」を設置のうえ対応された訳ですが、改めて献身的且つ迅速な業務遂行に敬意を表する次第です。
 
一方、福井県では、関西電力高浜発電所3号機が定期検査の最終段階である調整運転に入り、27日0時現在で75%出力に到達したところ。
 
今後も順調に100%出力到達(その後は定格熱出力一定運転へ)のうえ、冬期の電力需給に貢献されることに、こちらも安全運転を守る現場の皆さんを始め、関係者の皆様に敬意を表するところです。
 
さて、こうして私たちの生活や産業活動と切っては切れない「電気」ですが、日本エネルギー経済研究所が12月20日に発表した、2024年度のエネルギー需給見通しでは、一次エネルギー国内供給は、対前年度比0.6%減となり、3年連続で小幅な減少が続く見通しとのこと。
 
内訳を見ると、化石燃料については、石炭が対前年度比0.5%増、石油が同1.6%減、天然ガスが同8.3%減。
 
再生可能エネルギー(水力を除く)は、同3.3%増で一次エネルギー国内供給の7%を占め、原子力については、計16基が再稼働し同36.0%増となる見通しとあります。
 
エネルギー起源CO2排出量は、3年連続で減少し、2024年度は9億900万トンで、同26.4%減となるものの、2013年度比では26.4%減と、“野心的”に掲げた「2030年度に2013年度比45%削減」の目標には及ばず、排出量削減進捗は遅れると見ているとも。
 
なお、原子力発電に関するシナリオとしては、2024年度末までに、
 
・現在再稼働しているプラント12基のみが稼働する「低位ケース」
・16基が稼働する「基準シナリオ」
・17基が稼働する「高位ケース」
・既に新規制基準適合性審査が申請された計27基がすべて稼働する「最高位ケース」
 
を想定し評価したところ、経済効率性では、化石燃料の輸入総額が、「高位ケース」では、「基準シナリオ」比1,300億円節減、「最高位ケース」で同9,100億円節減されるとの試算結果とのこと。
 

【原子力発電量の影響(基準シナリオ比)・・・原子力産業新聞掲載を引用】
 
特に、ウクライナ情勢に伴う地政学リスクに鑑み、原子力発電のシナリオに応じたLNG輸入量については、「基準シナリオ」に比して、「高位ケース」で140万トン減、「最高位ケース」では960万トン減となると見込んでいる。
 
また、CO2排出量については、同じく、「高位ケース」で400万トン減、「最高位ケース」では2,800万トン減となると見込んでいます。
 
同研究所では、「個々のプラントの状況に応じた適切な審査を通じた再稼働の円滑化が、わが国の3E(経済性、環境適合、エネルギー安定供給)に資する」と結論付けていますが、こうして数字を見れば貢献度は明らか。
 
本日の原子力規制委員会で正式なスタンス(停止命令に対する)が示されるであろう東京電力柏崎刈羽原子力発電所を始め、日本原電東海第二発電所など、遅々として進まないBWR(沸騰水型)プラントの再稼働はもとより、ポテンシャルを有しながら停止状態にある原子力発電所を眠らせたままでは国益に失することは言うまでもありません。
 
「原子力か再エネか」の議論は不毛であり、「原子力も再エネも」進めていくことが重要との考えは、幾度もこのブログでも書いてきましたが、やはり鍵を握るのは「原子力再稼働」。
 
一日も早く、前述の「最高位ケース」に進むことを期待して止みません。
 
もちろん、3Eの前には、第一義である「S(Safety:安全)」の文字がつくことを申し添えたうえで。

COP28で「敦賀」の取組みが紹介される

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ドバイで開催されている「国連気候変動枠組み条約第28回締約国会議」(以下、COP28)。
 
日々の協議やセッションの内容に注視しているところですが、何とCOPのような国際会議の場で「敦賀」の取組みが紹介されるという肝心な記事を見落としていました。
 
原子力産業新聞によれば、COP7日目となる12月6日、「電力部門ならびに排出削減困難なセクターにおける原子力の活用」をテーマに開催されたトークセッションに日本から東京大学公共政策大学院の有馬純特任教授と日本原子力産業協会の植竹明人常務理事が登壇。
 
有馬教授からは、日本では「原子力か、再生可能エネか」の二項対立的な議論があるが不毛だとの前置きに続き、グリーン水素製造にあたっては「再生可能エネルギーを唯一の選択肢とするのではなく、原子力も活用するべき」との考えが示されました。
 
そのうえで、植竹常務理事からは、関西電力が10月から敦賀市で開始した「水素トラッキング」を紹介。
 

【「水素トラッキング」を紹介する植竹常務理事(原子力産業新聞より引用)】
 
これは、「原子力由来」の水素を原子力発電所の発電機冷却に利用しつつ、製造から利用に至るまでの一連の流れの追跡(トラッキング)を実証するもので、原子力由来水素を原子力発電所で利用する日本国内初の取り組みのこと。
 
有馬教授の言う「グリーン水素製造に原子力を活用」を体現しているのがまさに、関西電力と敦賀市が進める取り組みになろうかと思いますが、以前に私も市議会一般質問の中で、RE100トラッキングシステム(どこから、何由来の電気かを追跡するシステム)を用いて「地場の原子力の電気を使って水素製造しては」と提案した案件だけに、こうして国際会議の場で紹介されたことを嬉しく感じた次第です。
 
なお、地場といえば、本来供給したいのは日本原電敦賀発電所2号機の電気。
 
これが整えば、真の「地産地消の原子力水素」になる訳であり、このことに期待をするところですが、その敦賀発電所2号機においては本日、明日と原子力規制委員会による現地調査が行われます。
 
あの「有識者会合」による現地調査から10年以上が経過してようやく行われる「敷地内破砕帯」に関する調査。
 
現在進められる審査、さらには再稼働に向けて極めて重要な現地調査になろうかと思いますので、選挙ではありませんが、ここは「組織の総力を挙げて」対応いただき、科学的根拠に基づく説明、立証が果たされることを願って止みません。
 
話しがやや脱線しましたが、昨日の自身の活動に話題を移しますと、朝は恒例の辻立ち(息子と同世代の若手組合役員とともに)、夜はパナソニック オートモーティブシステムズ労組若狭支部にて活動報告の機会を頂戴しました。
 
活動報告会では、お仕事上がりのところ、多くの役員さんにお集まりいただいたうえ、率直なご意見、質問を賜りありがたい限り。
 
会でも申し上げたよう、私の役割のひとつは、こうして顔と顔を合わせてお話しすることで「政治を身近に」感じてもらうこと。
 
政治への信頼はそこから生まれるとの思いから来るものですが、引き続き、特定の労働組合や地域に関わらず、一人でも多くの方に思いを伝えていく所存です。
 

【活動報告会の模様。定時後の参加、誠にありがとうございました。】

「若狭原電紀行」にて敦賀半島を巡る

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アラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催されている国連の気候変動枠組み条約第28回締約国会議(COP28)。
 
岸田首相は1日、首脳級会合で演説し、温室効果ガスの排出削減対策の取られていない石炭火力発電所の新規建設を「終了する」としたうえで、「徹底した省エネと、再エネの主力電源化、原子力の活用などを通じたクリーンエネルギーの最大限の導入を図る」と表明したとのこと。
 
国際会議においては日本の取組みに理解を求めつつ、国内では「野心的」ではなく粛々と、環境、経済成長とエネルギー安全保障が両立する政策を進めていただきたいと強く願うところです。
 
さて、昨日からは、「現実的」な視点でエネルギーを考える「若狭原電紀行」の皆さんと行動をともにしています。
 
「若狭原電紀行」とは、東日本大震災以降の原子力に対する不安や風評を払拭、さらには原子力の理解につなげるため、全国の原子力関連施設(主に発電所立地地域)の見学をしながら、地域各団体とのワークショップや意見交換などを通じて各地の文化に触れ、情報発信する企画を開催し続けている、団体というよりはツアー。
 
私は、昨年に続き、2回目の参加となりますが、今回もエネルギー分野の有識者や原子力関係、金融機関にお勤めの方など、様々な方面から集った9名にて工程を進めました。
 
2泊3日工程の初日は、日本原電の敦賀発電所から日本原子力研究開発機構「もんじゅ」、同じく日本原電の敦賀総合研修センターを見学。
 
敦賀発電所では、敦賀原子力館での概要説明に続き、現在審査が進められている敦賀発電所2号機敷地内破砕帯調査現場、敦賀3,4号機建設予定地を回り、破砕帯調査現場では、今月予定されている原子力規制委員会の現地調査を前に、地層表面の確認をしている様子を、3,4号予定地では、ここに革新軽水炉が建設されることをイメージしつつ、いずれも大規模な調査、開発が行われていることをご覧いただきました。
 

【敦賀発電所2号機敷地内破砕帯調査現場】

【敦賀3,4号機建設予定地】
 
また、その後は「もんじゅ」にて、高速増殖原型炉の設計や現在進める廃止措置工事の状況について説明を受けるとともに、プラントが一望できる展望台より全景を拝見。
 
敦賀総合研修センターでは、原子力人材育成の取組みや同センターの設備紹介に続き、フルスコープシュミレーターを用いた福島第一原子力発電所の事故模擬ではまさに、ブラックアウトで中央制御室が真っ暗のなか鳴り響く警報など、リアルな体験ができたことに感嘆の声をいただいた次第です。
 

【教育用シュミレータの説明を聞く様子(フルスコープではありません)】
 
こうして一日目は、私もコーディネートする中で、敦賀半島の原子力施設をともにしましたが、一部時間をオーバーするほど熱心に、質問や意見が挙がったところです。
 
昨年と同様、宿泊先の高浜町の旅館まで移動し、現在を迎えており、二日目は大飯町漁協でのワークショップや関西電力大飯発電所の見学を予定していますが、私は、本日東京で予定があるため、ご一行とは、宿の出発に合わせてお別れ。
 
誠に残念ではありますが、道中の安全を祈る次第です。
 
こうして、昨年に続き参加した「若狭原電紀行」。
 
広い視点をもって、日本のエネルギーと原子力を考える皆さんとは、生まれた関係を大切に、引き続き連携させていただければと存じます。

欧州大陸で衰えつつある「脱炭素」の勢い

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写真は、熊本県阿蘇の大地を覆う無数の大規模太陽光発電施設(メガソーラー)。
 
最大の地域は東京ドーム25個分、約20万枚もの巨大パネルが並ぶ状況に、地元住民や自治体からは景観破壊で世界文化遺産登録が危ぶまれるとの声が挙がっており、雄大な阿蘇の景色が様変わりしてしまったことに憤りを感じるところです。
 
2012年に国の「再生可能エネルギー固定価格買取制度」が始まると、設置計画が次々と出始め、「阿蘇くじゅう国立公園」の周辺10ヶ所ほどの場所にメガソーラーができたとのことですが、この太陽光発電について。
 
昨日の新聞記事によれば、太陽光発電施設の投資物件売買サイトへの売却依頼が急増し、今年1~6月は前年同期比約2.3倍となったことが分かったとのこと。
 
送電容量の関係から、再生可能エネルギーの発電事業者に一時的な発電停止を求める「出力制御」が今年過去最大となり、事業継続の不安が高まったとみられ、2019年では54件だった売却依頼件数が、2020年は240件、昨年は686件と年々増加傾向にあるとも。
 
つまりは、採算が取れないと判断するやさっさと市場から撤退する事業者がこれだけ存在するということかと思いますが、このような状況を見るに、第6次エネルギー基本計画において、再エネ比率36~38%(2030年)とする「野心的な」目標自体、達成する見込みは極めて低く、ましてや再エネの「主力化」をめざすとする政策自体を見直さねばならない、直感的に考えるところです。
 
そうしたなか、キャノングローバル戦略研究所の杉山大志研究主幹は、政治的視点からこう述べています。
 
英国のリシ・スナク首相が、英国の脱炭素政策(ネットゼロ)に誤りがあったので方針を転換すると9月に演説して反響を呼んでいる。この演説はもっと重要な内容を含んでいる。具体的な政策について述べただけではなく、首相がこれまでの英国政府の誤りを指摘し、今後の方針を明確に述べたからだ
 
欧州大陸でもこれまでのような脱炭素の勢いは衰えつつある。ドイツは「エネルギーベンデ(転換)」というスローガンの下、最も急進的なエネルギー政策を取ってきた。脱炭素推進だけでなく、脱原発も同時に進めてきた。だが、これまで頼ってきた安価なロシアの天然ガスが入手できなくなり、エネルギーコストが高騰し、エネルギー集約産業は苦境に立ち、産業空洞化に拍車がかかっている。
 
欧州大陸では既に右派ないし右派中道政権が次々に誕生しており、さらに広がりを見せるかもしれない。そうすると、欧州でも脱炭素の見直しは進むことになるだろう。
 
日本政府は今も脱炭素一色である。だが気が付けば旗を振っていた欧米諸国が全く違うことになっているかもしれない。リスク管理としては、動向を注視する必要があるだろう。これは企業についても言えることだ。
 
そして日本として脱炭素一色のままでよいのか、エネルギー政策のあり方も再考すべきである。まずはスナク英首相に学んではどうか。日本政府は脱炭素で「グリーン成長する」という、経済学の初歩を無視した主張を展開し、コストがかからないフリをして国民を欺いてきた。日本も過去の過ちを認め、コストについて精査し国民に正直に語るべきだろう。
 
仰ることはごもっともと深く頷くところですが、これを示すのが、次期「第7次エネルギー基本計画」。
 
国際情勢が変化しつつあるのであれば尚のこと、日本だけ「夢物語」のままではいけません。
 
「望みなどの、身分不相応に大きいさま」を意味する「野心的な」政策から早く目を覚まし、今後は真に現実的なエネルギー政策論議に進ことを期待して止みません。

エネルギーも議会もキーワードは「より身近に」

エネルギー ブログ 敦賀市議会

議会が休会の昨日は、広報広聴委員会を開催。
 
「議会だより」次号に関することや、11月16日に開催する今年度の「議会報告会」について、活発に議論しました。
 
1期目の後半2年は委員長を務めた私ですが、今期は委員として参画。
 
委員会では、各委員のご意見を尊重しつつ、主に経験則からの意見をさせていただきました。
 
市民の皆さんにとって、議会をより身近に感じていただくため、この広報広聴活動は大変重要との思いをもって参画しておりますが、過去の慣例に固執することなく、小さくとも新たな視点を取り込んで、改善を続けていければと思います。
 
さて、議会と同じく、「固い」、「難しい」といったイメージを解き、分かりやすい広報広聴活動を行っているのは、エネルギー・原子力の世界。
 
ちょうど、原子力産業新聞ウェブ版を見ると、電気事業連合会(以下、電事連)が、電気の安定的な供給確保の必要性とカーボンニュートラルの取組を紹介する2種類の新テレビCMの放映を10月1日から開始したとの記事が掲載されていました。
 
構成は「持続可能な電気の供給」篇と「効率的な電気の利用」篇(各30秒)の2本立てで、昨秋に制作したテレビCMに続き、若手女優の今田美桜さんを起用。
 
今回は、「エネルギーから、明日をおもう。」というキャッチコピーのもと、明治時代と現代の教師に扮した2人の今田さんが、各篇CMで、「持続可能な電気の供給」、「効率的な電気の利用」をテーマに、教室の黒板やプロジェクターを使って、過去と現在の電気の価値や使われ方の違いを説明しています。
 
実際の内容は、言葉より映像にてということで、以下のリンクよりご覧ください。
 
 →電気事業連合会 CM特設サイトはこちら
 

【電事連 CM特設サイトページより。今田美桜さんに説明されると妙に説得力があると感じるのは私だけでしょうか?】
 
なお、2つのCMを通じ、「私たちの暮らしに欠かせない電気を、より身近に感じもらう」のが狙いとのこと。
 
エネルギーも議会も、キーワードはやはり「より身近に」ですね。
 
結びは自分のことで恐縮ですが、昨夕は、いつもの粟野交番前ではなく、木崎の交差点にて街頭活動を行いました。
 
市役所通りと新旧木崎通りが交差するこの場所では2回目でしたが、格段に多い交通量のなか、車中からお声掛けいただけたりと嬉しい限り。
 
暗くなるのが一段と早くなってきましたので、最後は安全運転の呼び掛けをし活動を終えましたが、各所での街頭活動の目的は、自分ごとというより、政治や議会に少しでも関心を持っていただきたいとの思いの方が強いのかと。
 
こちらも「より身近に」をキーワードに、今後も引き続き頑張ります。
 

【18時前にはこの暗さ。交通安全の支障にならないよう注意して活動いたします。】

2025大阪・関西万博に向け「水素ロータリーエンジン」が完成!

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「やまたけブログ」を通じてお便りをいただいたり、その後お付き合いさせていただくことになったりと、人間関係が広がる切掛けの場ともなっていることをありがたく感じてきましたが、7月末にも1通のメールが届きました。
 
その方は、私のブログ(2021年5月23日投稿:2025大阪万博へ「敦賀から羽ばたく水素の翼」)をご覧いただき連絡をされたという、大阪枚方市にある日東工作所の社長さん。
 
 →「2021年5月23日 やまたけブログ」はこちら
 
実はこの日東工作所さんは、近畿経済産業局(以下、近経局)が「水素でつくる未来社会『水素×ドローン』〜2025大阪・関西万博の空へ〜 (関西スマートエネルギーイニシアティブ)」と題し、関西地域の中小企業等の力を集結して、地球にやさしい「水素の翼(ドローン)」を2025大阪・関西万博でお披露目させることを目指す「HyDrone(ハイドローン)プロジェクト」で「水素ロータリーエンジン」の開発を任されている会社。
 
水素を燃料とする高出力、高航続距離のドローンを開発する「ハイドローンプロジェクト」は、近経局との官民連携プロジェクトであり、平成31年度には、敦賀市が掲げる「ハーモニアスポリス構想」先導事業の敦賀市産業間連携推進事業費補助金において、株式会社日東工作所による「高効率水素エンジン利用ドローン研究開発」を採択。
 
その後、同社による開発が進められてきたところですが、社長からのメールによれば、「敦賀市さんの応援で水素ロータリーエンジンが実用の域まで完成が出来ました。」とのこと。
 
また、このことが、7月18日の日刊工業新聞第1面にカラーで紹介されたことやyahooニュースで取り上げられたことまでご報告いただいた次第。
 
yahooニュースの詳細は、以下リンクよりご覧ください。
→「日東工作所が開発した『水素ロータリーエンジン』の実力」(令和5年7月20日:yahoo掲載)はこちら
 
記事には、「日東工作所は、小型発電機用の水素ロータリーエンジン(RE)を開発した。燃やしても二酸化炭素(CO2)を排出しない水素を燃料とし、排気量80ccで1分間に3600回転、4時間弱の連続運転に成功した。動力試験で1キロワットを超える出力を得られており、小型発電機やマイクロモビリティー駆動に使えるという。発電機メーカーなどに今回のREシステムを提案し、早期の実用化を目指す。」とありましたが、社長のメールには「エンジンですのでまだまだ改善をしていきます」との言葉がありました。
 
こうして並々ならぬ意欲をもって、中小企業が新たな技術に挑戦し、見事に完成させたことはまさに、「下町ロケット」を彷彿させるところですが、こうした開発に敦賀市が関わりを持ち、支援できたことを嬉しく思えた次第です。
 
(参考)以下リンクをご覧ください。日東工作所は、独自の技術を持つスゴい会社でした。
 →日東工作所のホームページはこちら
 

【大阪万博会場で飛ぶ水素ドローンのイメージ(出典:近経局)】
 
社長のメールの最後には、「取り急ぎ、ご報告と3年間の敦賀市へのお礼にて失礼致します。」とありました。
 
私なんぞにご丁寧にご報告いただき、こちらこそ感謝ですが、ここからさらに乗用水素ドローンとして完成させていくに、まだまだあろうハードルを乗り越え、2025年には「水素ロータリーエンジン」を動力に、大阪の空を飛ぶことを願い、エールを送らせていただきます。
 
なお、準備の遅れが懸念される2025大阪・関西万博に関しては、2日に西村経産相が、「抜本的な体制強化を行い、建設への支援を経産省の総力を挙げて取り組みたい」と省内の会議で述べ、運営を立て直す方針を示すとともに、海外パビリオンの建設を後押しする保険も創設するなど、異例の陣容で対応を急ぐとのこと。
 
私にとって大阪での万博といえば、敦賀発電所1号機及び美浜発電所1号機が「原子の灯」を会場に送り届けた、53年前の「1970大阪万博」ですが、この時と同様、2025年もまさに「新たな時代」を迎える象徴的なイベントになることを期待する次第です。
 
最後に、前述の3年前のブログにも記載しました、渕上隆信前敦賀市長が記者会見で仰られた言葉を再掲します。
 
「(当時)50年前の大阪万博では原子力の灯を届けましたが、次の万博には『敦賀から羽ばたく水素の翼』をキャッチフレーズに敦賀から水素の翼を送り届けたいというふうに考えております。」
 
半世紀を経て開催される万博においても、「敦賀」の名が刻まれんこと切に期待いたします。

「エネルギーについて真剣に考える仲間によるオンライン意見交換会」を開催

エネルギー ブログ 原子力

早いもので今日から6月。
 
時節柄から入りたいところですが、本日1日をもって、電力大手7社が家庭向け電気料金(規制料金)の値上げを実施。
 
背景は以前に述べた通りですが、ロシアのウクライナ侵略を発端とするエネルギー資源高騰は表層的な要因であり、根本的には、国がこれまで進めてきた電力システム改革や電力の全面自由化が問題としてあることを改めて指摘しておきたいと思います。
 
また、帝国データバンクによると、この6月には3575品目の食品が値上げする予定との調査結果。
 
電気代や人件費の上昇を背景に値上げは少なくとも今秋まで続く見通しで、消費者の値上げ疲れ、生活防衛志向が強くなっているとあります。
 
ガソリン値上げ時、原油高の際も価格転嫁がされたよう、電気代も然りであり、低廉で安定したエネルギーの確保は国民生活と経済活動に直結していることを痛感する次第です。
 
さらには、今政府が行なっているガソリン、電気料金値下げへの補助金も当然、税金で賄っているもの。
 
これに捻出する分があれば、例えば昨日の少子化対策など、もっと他の予算に配分できる訳であり、やはり構造的な見直しを行わねば、この状態はいつまでも続くものと推察する次第です。
 
さて、そうしたなか、昨日はエネルギー安全保障と脱炭素社会に向けて重要な法案が国会で可決。
 
本年2月に閣議決定された「GX実現に向けた基本方針」に基づき、原子力利用に係る原則の明確化、安全確保を前提とした既設炉の最大限活用に向けた運転期間に係る規律の整備、円滑かつ着実な廃止措置の推進、再エネ導入に向けた系統整備や事業規律の強化等を盛り込んだ「GX脱炭素電源法案」(衆議院で原案一部修正)が、本日31日午前の参議院本会議で、自民・公明両党や国民民主党、日本維新の会等の賛成多数により可決成立しました。
 
法案審議の過程では、参議院経済産業委員会・環境委員会の連合審査(5月23日)で質問に立った浜野よしふみ議員(電力総連組織内国会議員)が、運転期間に係る新たな規律における停止期間の扱いや新制度への移行に際した課題への対応、60年超プラントの安全性に係る科学的・技術的評価の可能性の確認、競争環境下における原子力事業環境整備の必要性等について、政府から重要な答弁を引き出すとともに、円滑で着実な廃止措置のための環境整備や再エネ導入に向けた系統整備費用負担の在り方等が盛り込まれた附帯決議が採択されました。
 
とりわけ、附帯決議にある「競争環境下における原子力事業環境整備」に関しては、「安全確保を大前提とした原子力施設の研究や運営・保守管理、廃止措置等、原子力の安全の ための施策が長期にわたって必要となることを踏まえ、原子力事業者を取り巻く経営環境にかかわらず、施設の安全性の向上やバックエンド事業の着実な実施等に事業者が確実に取り組むことができるよう、必要な人材の確保及び技術の維持・強化等に向けた事業環境の整備を進めること」としており、政府においては、今後この認識に立って、各種施策を進めていただきたいと期待するところです。
 
たまたま、このような法案が成立した日と重なった訳ですが、昨日19時からは、原子力ユニオン(日本原子力研究開発労組)・明日の東海村を創る会(吉田充宏・東海村議会議員の後援会)共催による「エネルギーについて真剣に考える仲間によるオンライン意見交換会」が開催されました。
 
この会はこれで2回目となるもので、水戸市議会の佐藤昭雄議員、東海村議会の寺門定範議員と吉田充宏議員、そして敦賀からは私の4名の議員、並びにそれぞれの労組関係者が参加のもと、「我々が今やるべきこと」について語り合う場として設定されたもの。
 

【オンライン意見交換会の開催チラシ】
 
昨日のテーマはまさに「GX実現に向けた基本方針」について、さらには地元の東海第二発電所、敦賀発電所2号機の再稼働に向けて等々、まず議員それぞれから考えを述べた後、参加者から議員に対して「やってほしいこと」等のご意見を頂戴し、最後は双方向の意見交換会の流れで約1時間半、大変有意義な時間となりました。
 
ここで感じたのはやはり、原子力だけ進めれば良いというのでは決してなく、あらゆる電源を活用していくことが必要不可欠であり、そのための情報発信や関係各所との対話に、私たち自身が本気になって汗をかいていくとの思い。
 
つまりは、会のタイトルにある「エネルギーについて真剣に考える仲間」であるということでした。
 
「GX脱炭素電源法案」成立と電気料金値上げ実施直前のタイミングで開催されたことに大きな意味合いを感じつつ、この場で頂戴したご意見、共有した事項、そしてこうした「同志」の存在を念頭に、「自分のできること」を今日からまた取り組んでいく所存です。

電気料金値上げの責任はすべて電力会社に負わすのか

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以前より大手電力7社が申請していた電気料金(規制料金)値上げについて、昨日、政府が開いた物価問題に関する関係閣僚会議でこれを了承し、7社が即日値上げを再申請しました。
 
西村経産大臣が近く認可するとあり、電力7社は6月1日から値上げを実施すると発表。
 
火力発電に使用する燃料価格の高騰などを反映させ、経済産業省によると、標準的な家庭(月の電気使用量400キロワット時)の値上げ率は14~42%となり、月の負担増は2千円程度~5千円程度となる見通しとのこと。
 
なお、値上げするのは中部、関西、九州の3電力を除く7社で、政府の試算によると、43年ぶりに値上げする北陸電力の値上げ率は42%。北海道電力は21%、東北電力は24%、東京電力14%、中国電力29%、四国電力25%、沖縄電力38%。
 

【当初申請と今回圧縮された各社の料金(産経NEWSより引用)】
 
これまで耐えに耐えた末、43年ぶりの値上げとなる北陸電力の長高英常務執行役員は「お客様にご負担をおかけすることになり非常に心苦しく思っている。了承された査定案の値上げ幅は当社にとって非常に厳しいものだが、引き続き効率化を進めて補っていきたい」と述べました。
 
一方、西村経済産業大臣は閣議の後の記者会見で、「直近の燃料価格などを踏まえ、原価の再算定を行うなど前例に捉われない極めて厳格な査定を行った。」と、さも政府の成果と言わんばかりに述べています。
 
正直申し上げ、このように電気料金値上げの責任を旧一般電気事業者に押し付けるかの姿勢には大いに疑問があります。
 
即ち、値上げの主要因となった、海外に燃料を依存する火力発電の比率を高めなければならなくなったのは、純国産エネルギーである原子力発電の長期停止を余儀なくされていることに加え、原子力なきまま進めた再生可能エネルギーの普及拡大によって、※代替する火力の必要性が増したことに原因があるからです。
 
※日照や風のある時しか発電しない再エネには必ず代替電源(今は火力)が必要であり、再エネ比率を高めれば高めるほどその代替電源の燃料負担が増える。要するに個社の経営判断でなく、国のエネルギー政策(電源比率)によって生じていると言える。
 
また、東日本大震災以降に進めた電力システム改革や電力自由化は聞こえこそ良いものの、結果して電力需給逼迫と料金高騰を招いているほか、自由化なのに何故、旧一般電気事業者だけ国の厳格な審査が必要なのか。
 
これ以外にも、電力市場が高騰した際には、調達価格の上昇に耐え切れず、いくつもの新電力が撤退したり、需給逼迫時には旧一般電気事業者が所有する、本来停止していた年数の経過した火力を再稼働させて対応したことなど、様々な事柄が思い出されるところであります。
 
要するに、こうして国が整備してきた制度自体に理不尽な点や根本的な問題があると、私は思う訳であり、そのような中で「大手電力の料金値上げをギリギリと絞り上げた」と言わんばかりの姿勢は、責任から逃れる政府のパフォーマンスとしか思えません。
 
制度自体が複雑化し、専門家でなければ分からなくなっている状況において、まさにこうした点を国会で指摘しているのは、国民民主党の竹詰ひとし議員(参議院比例)でありますが、わが国の安価で安定した電力供給の根幹に関わる制度につき、悪しき点があるのであれば改善すべきと、強く望むところであります。
 
そして何と言っても「電力危機」の改善に向けて鍵を握るのは原子力発電。
 
「再エネか原子力か」ではなく「再エネも原子力も」使わなくては、この日本は成り立たないことを改めてお伝えし、本日のブログを閉じます。
 
本日はやや批判的な論調となりましたが、昼夜を分かたず、懸命に安定供給を守り続ける全国の電力関連産業にお勤めの皆さんが、上っ面の報道だけで批判に晒されることだけは我慢なりませんでしたので、思いの丈を書かせていただきました。
 
考えに間違いがあればご指摘いただきたく存じますが、記載の趣旨についてはご理解賜りますよう宜しくお願いいたします。

「水素基本戦略」改定と「ハーモニアスポリス構想」         

エネルギー ブログ まちづくり

新たな年度を迎え、初の出勤日となった昨日、多くの企業や省庁で行われた「対面」や「マスクを外しての」入社式や入庁式のニュースを拝見し、フレッシュで若い皆さんの門出を祝うとともに今後の活躍を祈念する次第です。
 
また、政府の子ども政策の司令塔となる「こども家庭庁」の発足式も行われましたが、こちらは縦割り行政を打破し、各省庁間が連携のもと、真に「異次元」の少子化対策に進むことを期待いたします。
 
さて、桜咲く4月の雰囲気と相まって、こうした明るいニュースに触れるなかではありますが、やはり気になるのはエネルギー関連の話題。
 
同じく昨日は、脱炭素化を加速させるため、政府は水素のエネルギー化に向けた「水素基本戦略」を改定する方針の骨子を固めたとの報道がありました。
 
これによれば、2040年の水素供給量の目標を、現在の約6倍となる「年1200万トン程度」に設定し、官民で今後15兆円を投資する計画を示すことが柱。
 
2030年頃に水素の商用化を実現させるため、大規模なサプライチェーン(供給網)やコンビナートの拠点を構築する必要性も指摘し、財政的な支援や官民の投資で後押しすることも明記したとのこと。
 
さらには、企業の負担を軽減して供給網を構築するため、石炭や天然ガスの市場価格との差額を補助する制度を創設する方向で調整を進めているともありました。
 
以前に聴講した有識者のセミナーで、「水素は今後20兆円規模の市場になる」とありましたが、まさにその通りとなったことに加え、政府が本腰を入れて技術開発や市場の整備に取組む意思の表れと理解したところです。
 
さて、こうした国の動きを踏まえ、頭に浮かぶのは、従前から水素の取り組みを進める敦賀市のこと。
 
敦賀市においては、産業構造の複軸化とエネルギーの多元化を目的とした「ハーモニアスポリス構想」とその基本計画である「産業間連携推進計画」、「調和型水素社会形成計画」、「道路網整備計画」を策定のうえ、それぞれ取り組むところですが、今般の基本戦略改定を受け、戦略を見直す必要は無いのか。
 

【「ハーモニアスポリス構想」概要版の表紙】
 
とりわけ「調和型水素社会形成計画」に関しては、水素エネルギーの活用とサプライチェーンの構築を目指すものであり、渕上市長が掲げた目玉政策であったと認識しますが、市議選と同時に行われる市長選で誕生する新市長におかれては、これをどう取り扱うのか、大変高い関心を持つところであります。
 
昨年度は、全国初となる「原子力由来水素」の実証試験を行なった敦賀ですが、集積する原子力関連施設や火力などと合わせ、水素の利用拡大で、あらゆる電源を活用する真の「エネルギー都市」を目指せる。
 
そんなポテンシャルがあるまちは、全国、いや世界広しといえど、ここ敦賀にしか出来ないことと考えるため、この点に関しては、私自身も思考を重ね、今後もその任を与えていただけるのであれば引き続き、建設的に意見していく所存です。

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