2025年5月7日
期待高まる三菱重工の「革新軽水炉」開発
「手取りを増やす」を掲げる国民民主党ですが、このうち、高止まりの「電気代」を引き下げる方策として主張するのが「再生可能エネルギー賦課金(以下、再エネ賦課金)」の徴収停止。
再エネ賦課金とは、再生可能エネルギーなどによる発電事業者(以下、再エネ事業者)が発電した電気の買取価格を政府が保証する「固定価格買取制度(以下、FIT)」に基づき、国民ひとり一人が電気代に併せて徴収されているもので、今や各家庭の電気代の約15%を占める額になっていることは、これまでもお伝えしてきたとおり。
これに関連し、帝国データバンクが6日に発表したレポートによると、再エネ事業者の倒産と休廃業・解散件数が2024年度に過去最多の52件に達したことが分かったとあり、再エネ事業者の淘汰は、今後も進む可能性が高いとのこと。
2023年度も過去最多の45件であり、2020年度以降の5年間では、倒産した発電事業者19件のうち太陽光が7件と最多。
次いで木質バイオマスの4件で、天然ガスなどの火力発電(3件)、風力発電(2件)が続いており、要因としては、発電設備などの投資に対して維持管理コストや、発電に使用する燃料価格が当初計画を上回り、再エネ発電事業者の採算性が低下していることとあります。
加えて、FITの水準が引き下げられたことで利益が見込めなくなり、事業継続が困難となるケースが目立ったとあるものの、再エネ事業者の経営環境について、帝国データでは「減収や設備コストの増加が課題だ」と指摘しています。
なお、FITによる事業用太陽光発電の買い取り期間は、2032年以降に順次終了することを思えば、年間4兆円近くに及ぶ国民負担(再エネ賦課金)無くして成り立たないエネルギー源を「主力」に置くのかと、沸々と疑問が湧いてくる次第です。
一方、原子力発電においては、早期の再稼働が待たれる東京電力柏崎刈羽原子力発電所7号機に関し、経済産業省・資源エネルギー庁は2日、新潟県内で行ったエネルギーや原子力に関する広報事業の調査結果を発表。
アンケート調査で同発電所を「再稼働すべき」との回答は18.2%、「規制許可と避難対応があれば容認」は31.4%で、合計49.6%が再稼働を認める立場の回答。
なお、「規制許可と避難対応があっても容認できない」は8.2%、「再稼働すべきでない」は22.7%で合計30.9%。
「わからない」と答えた19.4%を除くと、容認が反対を大きく上回っている結果となっています。
また、既設原子力発電所再稼働の先にある話題として、三菱重工業が原子力発電所の「建て替え(リプレース)」に向けて200社以上の部品メーカーと調達協議を進めていることがわかったとの日経新聞記事。
新型の「革新軽水炉(SRZ-1200)」の安全弁などについて約150品目で調達可能と判断したとあり、国内で原子力発電所建造が滞る中で、今後のリプレースに備えて部品調達網を維持すること。
三菱重工では2030年代の実用化を目指して、開発中の革新軽水炉の仕様の概略をサプライヤー企業に示したとあり、こちらはリプレースの具現化に加え、日本の原子力技術、サプライチェーンの底力を見せる時と士気高まるところです。
【「SRZ-1200」のイメージ図(三菱重工HPより)】
この革新軽水炉。
決定した事項はないものの、建設候補として最も可能性が高いのは、関西電力美浜発電所4号機としてか…(あくまで私見です)。
いずれにしても、日本原電の敦賀発電所1号機(BWR:沸騰水型軽水炉)、関西電力美浜発電所1号機(PWR:加圧水型軽水炉)が発電を開始してから、今年で55年。
半世紀以上を経て、安全性をさらに高めた新たな型式の原子力発電所により、ここ福井県から日本の電力供給に貢献されることを期待し、応援する次第です。