世界で起きている「エネルギー危機」は日本でも起こり得ること

エネルギー ブログ

「地政学的リスク」との言葉は、様々な面に対して当てはまることですが、いよいよ緊張感が高まってきているのがウクライナとロシアの関係。
 
米FOXニュースは22日、米国務省が在ウクライナ大使館員の家族に対し、24日にも国外へ退避を始めるよう命じたと報じたとあり、この理由は、国境付近でロシアとの緊張が高まっているための措置とのこと。
 
当局者の一人は、国務省が一般の米国人に対しても民間機での退避を近く促す見通しを明らかにしたともあり、ロシアのウクライナ侵攻が現実のものになる可能性が極めて高まっていることに肝を冷やすところであります。
 
冒頭、「様々な面に対して当てはまること」と申し上げましたが、この侵攻が現実になった場合、ロシアからのガス供給に依存する欧州諸国のエネルギー事情にも重大な影響を及ぼすことは避けられないと考えられ、まさに「エネルギー」と「地政学リスク」は切っても切れない関係にあることも強く認識する次第です。
 
まさにこうしたタイミングにおいて、昨日は国際エネルギー事情に精通されているエネルギー経済社会研究所代表の松尾豪氏よりお話しを伺う機会を得ました。
 
お話しを伺うこととなった経過までは控えますが、松尾氏においては、私も以前からTwitterなどで発信される情報で勉強させていただいているほか、昨年末に開催されたとある団体の講演会では拙い質問もさせていただいていたところ。
 
こうした有識者から直接お話しを伺えること自体感謝しかない訳ですが、さすがこの分野では国内で一目置かれる方だけあり、マクロの視点、ミクロの視点の両方を持ち合わせた説明により、いま世界で発生している「エネルギー危機」について理解することができました(といっても話しについていくのに必死でしたが)。
 
細かなデータ分析を基にし、世界各国で相次ぐ電力需給ひっ迫や停電など、足元の電力事情や特性のほか、政治的リスク、地政学的リスクについまで及んだ内容は、私が以前から述べている「世界の熾烈なエネルギー資源獲得競争」がより一層激化していることを表すとともに、とりわけ欧州各国では電気料金上昇(例えば伊では55%上昇)が深刻な問題となっていることに加え、英国では2018年以降、40社以上の事業者が撤退に追い込まれており(そのほとんどが小売専門事業者)、エネルギー危機に直面しているほか、政府の最終保証サービスが今後1兆円にも及ぶ見込みとなっており、もはや電力自由化は破綻しつつあることなど、ほんの一例を見ても、現実に起きている状況から日本は学ばなければならないと強く認識した次第です。。
 
ここで全てをご紹介するのは到底無理な内容とボリュームであることと、松尾氏の知見を簡単に開示をしてはいけないと思うため、多くは控えますが、一点だけ、冒頭のロシアと欧州の関係についてだけご紹介しますと、欧州がエネルギー供給を委ねるロシアからのガスパイプラインに関しては、大きく分けて4ルート、6系統となっており(下図①)、欧州各国への供給量は以下の通り(下図②)となっています。
 

【①ロシアのガス供給状況(松尾豪氏の公式Twitterより引用)】

【②欧州各国のガス調達状況(松尾豪氏の公式Twitterより引用)】
 
欧州28ヶ国の天然ガス輸入量の合計では、供給元をロシアが35%を占め、欧州に最もガス供給をおこなっているのがロシアですが、特にドイツ、イタリア、ギリシャでは需要の1/3以上をロシアに依存しています。
 
①②の図に表される通り、ここでウクライナ経由(①の3・4)も非常に重要なラインということがお分かりになるかと思いますが、ただでさえエネルギー危機に陥っているところでの「地政学的リスク」が、この緊張感の高まりからどう転じるのかは、まさに「究極の政治対応」に委ねられている「いま」だということになる訳であります。
 
欧州へのガス供給に関しては、ロシア政府はこれまでも声明により数々の牽制をしており、本当に強かな国だとも思う訳ですが、世界の「エネルギー資源獲得競争」というのはこれが現実であり、日本はいつもまでもお花畑の中にいてはいけないと。
 
ここでは一端を述べるに過ぎませんでしたが、こうした貴重なお話しをお伺いする機会を与えていただきました松尾先生には、この場を借りて心より感謝するとともに、認識したことを胸に、この日本の電力事情にも当てはめ考えていきたいと思います。
 

【最後に、欧州各国の電源構成・電力取引フローを掲載します(松尾豪氏の公式Twitterより引用)。リスクを回避するためには、いかなる電源オプションも排除してはならないとも思う次第。】

今度は関西から北陸へ。今季2例目となる電力融通。

エネルギー ブログ

昨夜半から強く吹き始めた風は、みぞれ混じりの雨とともに窓ガラスを叩き、今朝方はその音で目が覚めました。
 
それもそのはず、福井地方気象台によると、敦賀市には現在、波浪警報、風雪・雷については注意報が発表されていることに加え、本日から週後半に掛けては寒波襲来とのこと。
 
特に今日は冬型の気圧配置が強まるため、日本海側を中心に猛吹雪に警戒の予報となっていることから、車の運転等に十分注意して過ごしたいと思います。
 
さて、私の場合、この「寒波」と聞いて真っ先に思い浮かぶのは「電力需給」な訳ですが、先週末の東京電力パワーグリッド(東電PG)供給域内で発生した「需給ひっ迫」に続き、昨日は北陸電力送配電の供給域内でも厳しい状況となりました。
 
全国的な電力需給ひっ迫の根本的要因については、以前のブログで説明をしたところですが、直接的リスクに関し、東電PGが低気温による暖房需要増であったのに対し、今回の北陸電力送配電の場合は電源トラブルにより供給力が低下したもの。
 
トラブルがあったのは敦賀市にある敦賀火力発電所1号機であった訳ですが、これにより、北陸電力送配電供給区域に対して広域的な融通を行わなければ、電気の需給状況が悪化する恐れがあったため、電力広域的運営推進機関(OCCTO)は、電気事業法の規定に基づき昨日5時31分、関西電力送配電に6時から8時の間、20万kwの電気を供給することを指示。
 
いわゆる電力融通により難を凌いだ次第。
 
なお、電力融通を受けるのは、先の東電PGに続き今季2例目のこと。
 

【1月12日朝時点の北陸送配電「電力使用状況グラフ」。本日実績を示す「赤線」は昨日と同様の推移となっている。】
 
こうして「綱渡り」の状況が続いていることを身をもって感じるところですが、今冬の需給見通しは、以前に公表された需給検証報告書のとおり、厳気象H1需要(過去10年間で最も厳気象(厳寒)であった年度並みの気象条件での最大電力需要のこと)に対して予備率3%を確保する見通しは得たものの、全国的に予備力が十分とは言えない状況にあります。
 
また、OCCTOにおいては、今年度より需給バランス評価として加えている「kWh余力」についても、現時点では厳気象においても燃料在庫・調達に基づく余力は確保しているものの、ベースロード電源の停止など今後のリスクについて継続的に注視することが重要としています。
 
さらに、今冬の高需要期に向けて、kW及びkWhの両面において、今後の需給変動や電源トラブルなどによる需給バランス悪化を早期に捉え、情報発信や対策を講じることが重要であり、当該機関ではkW及びkWhの需給バランスモニタリングを定期的に実施・公表するとしています。
 
そのひとつ「kW面からの電力確保状況」では、気象予報を踏まえた需要想定や発電機の計画外停止状況を監視し、需給バランスを確認しており、具体的には、1ヶ月程度先までの週別バランスについて、需要を厳気象H1需要等に設定し、必要な供給力が確保できているか、リスクケースも含めて週単位での需給バランスを予備率として確認しているとあり、ちょうど今現在の1月2週目に関しては下図のとおりとなっています。
 

【OCCTO公表資料「kW面からの電力確保状況(2022年1月7日時点)」より抜粋)】
 
ご覧のように、予備率は東京の4.2%を最低に、北陸や関西においても7.3%と全くもって予断を許さない状況であることが分かります。
 
OCCTOは、当月半ばに最新の供給力情報等をもとに情報更新し、公開するとしたうえで、但し、想定以上に大規模な供給力減等があり需給バランスの悪化が予見される場合には、確認できたタイミングにて速やかに追加公開するとしています。
 
「需給バランスの悪化が予見された場合には、国や一般送配電事業者と連携し需給対策を講じます。」とした当該機関の役割でもある「電力融通指示」は既に今季2回。
 
こうした状況を肌感覚で感じるに、ベースロード電源であるべき原子力発電所を有しながら戦線に加われないことに忸怩たる思いを抱きつつ、厳しい環境の中にあっても電力安定供給に尽くす関係者の皆さんには、心からの感謝とエールを送る次第です。

電力需給ひっ迫が現実のものに。根本的要因は明確だ。

エネルギー ブログ

ひたひたと忍び寄るかのように近づいてくる新型コロナウイルス感染再拡大。
 
昨日6日は、ここ敦賀市でも1名の新型コロナウイルス感染者が確認されました。
 
福井県の発表では、敦賀市の感染者を含む、昨日の感染者20代男女8人は、検査の結果、いずれもデルタ株ではないことが分かったとあり、県はオミクロン株の可能性が高いとみて遺伝子解析を行うこととしています。
 
このオミクロン株は、既に疑い例が陽性者の46%を占める(厚生労働省試算による)など、この切替わりの速度を見るに、従来株より感染力が強いことは明らかであるため、今後県内でも急速に感染拡大すると想定したうえで、医療体制はもとより、公共施設の運営やイベント(近々では成人式など)への対応などについて、昨日も述べたよう危機管理意識を高めた対応に努めねばなりません。
 
さて、全国的なコロナ感染拡大と相まって、昨日ニュースで取り上げられていたのは関東地方を中心とした降雪や大幅な気温低下。
 
これによる転倒や交通事故などもさることながら、想定事象とはいえ現実のものとなったのが「電力需給ひっ迫」であります。
 
とりわけ、東京電力パワーグリッド(東電PG)供給域内の今冬の需給の厳しさは以前から国の需給検証委員会の中でも明らかとなっていたことから、1月4日からは長期停止していた姉崎火力発電所5号機(千葉県)を再稼働させるなど、供給力確保にも努めてこられた訳ですが、その供給力をもってしても、昨日の需要増への対応は非常に厳しく、予備率3%を切るまでの状況となった次第。
 
実際、東電PGホームページの「でんき予報」では、「日常生活に支障のない範囲での効率的な電気のご使用にご協力いただきますようお願いします」のタイトルで節電を呼び掛けたうえで、「1月6日~7日にかけての低気温による需要増や悪天候による太陽光出力の低下により、電力需給が非常に厳しくなっておりますが、火力発電の増出力運転、冬季追加公募電源の市場供出、電源Ⅰ´厳気象対応調整力の発動、他の一般送配電事業者からの融通電力の受電等により、安定供給を維持できる見通しです。当社といたしましては、お客さまに電気を安定的にお届けできるよう、様々な需給対策に努めてまいります。」と状況説明をしています。
 
このうち「一般送配電事業者からの融通電力の受電等」に関しては、ひっ迫する需給状況改善のため、電力広域的運営推進機関(OCCTO)が※電気事業法第28条の44第1項及び業務規程第111条第1項の規定に基づき、6日13時2分と14時56分に以下の会員に供給を指示したもの。
 
【指示を受けた会員】
◉北海道電力ネットワーク株式会社
◉東北電力ネットワーク株式会社
◉東京電力パワーグリッド株式会社(受電側として)
◉中部電力パワーグリッド株式会社
◉関西電力送配電株式会社
 
※電気事業法第28条の44第1項:推進機関に指示により、当該電気の需給の状況の悪化に係る会員に電気を供給すること。
詳細は、以下リンクより参照ください。
→→→電気事業法へのリンクはこちら
 

【6日17時39分時点の「電気使用状況(でんき予報・エリア計)」(OCCTOホームページより)】
 
これにより、最大192万kwの電力の融通を受けることができたことにより、何とか17時から18時の需要ピークを乗り切ることができた訳であります。
 
ピークを乗り越えた電力需要はその後低下傾向を示し、やや安堵したところでありますが、「停電」という最悪の事態を回避できたのは、先にあったような火力増出力運転などの対応もあってこそのことであり、厳冬期の安定供給を、まさに「死守」した関係者の皆さんには最大限の敬意を表するところです。
 

【ピークを乗り越え、低下傾向に転じた電力需給(東電PG「でんき予報」より)】
 
なお、ニュースなどでは単に「気温低下による暖房需要増」が需給ひっ迫の要因としていますが、それは全くもって上っ面だけのこと。
 
日本では電力自由化以降、常に発電できない再エネ電源の導入拡大が進む一方、火力発電設備量は減少を続けており、その火力も燃料供給のリスクを抱えるほか、何といってもベースロードで稼働していた原子力発電分の供給力が低下しているという根本的な構造に要因があります。
 
国際環境経済研究所所長の山本隆三氏は、コラム「『そのうち停電』は困ります」の中で以下のように述べています。
 
日本では自由化以降火力発電設備量は減少を続けている(図参照)。いつも発電できない再エネ電源が増えれば停電のリスクが高まる。火力発電設備も燃料供給のリスクを抱えている。安定供給のために必要なのは、電源の多様化の徹底だ。脱炭素政策の下、脱石炭火力を進めた欧州のように一つの電源、ここでは天然ガス火力だが、への依存度が高まると、一つのエネルギーの影響を大きく受け、場合によってはエネルギー危機を招くことになる。
 
脱炭素を進める日本が安定供給を確保する手段は限られている。欧州諸国が電力供給量の25%を依存し、米国が20%を依存している原子力発電を使うしか方法はない。再エネ電源が増加し停電の可能性が高まらないうちに原子力発電を整備しなければ、停電にびくびくしながら暮らすことになる。
 

【日本の火力発電設備容量推移。電力自由化以降、激減していることが分かります。(コラム「『そのうち停電』は困ります」より引用)】
 
この先、再エネ導入割合をさらに高めるということは、夏冬の時期「停電」に怯えながら暮らすことを覚悟するということであり、私はそのような脆弱な電力供給体制の日本にしては絶対にいけないと考えます。
 
昨日の電力需給ひっ迫を見るに、問題がどこにあるのかは明確であり、これを放置したままにすることは、我が国が「亡国」の道を歩むことと同義であると強く認識する次第です。
 
(参考)
山本隆三氏のコラムを以下にリンクしますので、宜しければご覧ください。
→→→コラム「『そのうち停電』では困ります」はこちらから

さらに深刻な来夏の電力需給。電事法改正で誤魔化さず根幹にあるエネ政策の見直しを。

エネルギー ブログ

私ごとで恐縮ながら、ふと昨日「やればできるやん」と思ったこと。
 
議員になってからは毎日続けている本ブログですが、昨日、画面右端の“カテゴリー”にある”ブログ”の回数を見るとちょうど「1000」の数字となっていました。
 
元来3日坊主型の私ですが、約2年9ヶ月続いたということになります。
 
敦賀市議会の先輩議員の中には、もう何十年と続けていらっしゃる方もおられますので、まだまだヒヨッコの域を出ませんが、市政や議会の状況をリアルに届け、議員や政治を身近な存在に感じていただきたいとの思いで始めたことを忘るることなく、今後も継続していきたいと思います。
 
また、こうして拙いブログを読んでいただいている皆さんへは感謝しかありません。
 
ありがたいことに、時折ご激励の声なども頂戴するところではありますが、「やまたけ、それは違うんじゃないか」とのご意見などございましたら是非ご遠慮なく連絡いただきたく存じます。
 
多様なご意見を集約し、反映していくことこそ、政治に求められることと考えますし、私も「聞く力」はあるほうだと思っていますので。
 
さて、節目の1001回目となる今日のテーマは、どうしても気になるエネルギーのこと。
 
経済産業省は27日、電力供給を安定させるため火力発電所の過度の廃止を食い止める方針を明らかにし、“廃止の事前届け出を義務づける”電気事業法改正案を2022年の通常国会に提出することを明らかにしました。
 
火力発電所の維持を促す支援策も講じるとしつつ、同日、2022年夏は北海道、四国、沖縄を除く7地域で、安定供給に最低限必要な供給余力を確保できない見通しを示しました。
 
法改正の具体的内容は、発電所を廃止する電力会社に対して数ヶ月前に経産相への届出を義務づけ、電力供給不足が予想されるときは廃止を踏みとどまってもらうため維持費を補塡する措置も講じるほか一旦休止した発電所の再稼働も促すとあります。
 
また、電力需給の調整機関である「電力広域的運営推進機関」の法的な権限を拡大し、経産相に対して“供給力の確保に向けた措置”をとるよう意見できるようにすることや、経産相は意見を踏まえ、必要に応じて電力各社の供給計画の見直しなどを勧告するとありますが、正直違和感を感じざるを得ません。
 
それは、根本的な問題が、再生可能エネルギー(再エネ)に押されて収益性の下がった火力発電所の休廃止が相次いでいることが、電力需給の逼迫を招いていることにあるからであり、裏を返せば、再エネ導入拡大と電力市場の自由化を無理くりに進めてきた、国の政策に起因するからであります。
 
簡単に申し上げれば、他の産業においても“市場を自由化”することの狙いは、「企業間の価格競争を高め」、「コストを低減する」ことにあると理解するところであり、企業にとってみれば、採算が合わない事業があれば撤退するのは市場の原理として至極当然のこと。
 
しかしながら電力の場合は、市場を自由化したとは言え、例えば旧電力会社が長期間使用した発電所を停止するなどの判断をする場合において国が関与することとなる訳であり、さらに需給が厳しいとなれば「それは困る」とばかりに「停止せぬよう」要請することを意味します。
 
そう考えれば「何のための自由化か」という問いに行き着く訳であり、これでは旧電力会社狙い打ちで経営に縛りや足枷をかけているのと同じことではないかと考える次第です。
 
一方、今冬の需給ひっ迫以上に深刻となる、2022年夏の電力供給の余裕を示す予備率は7月に東京と中部でそれぞれ1.1%となり、最低限必要な3%を確保できない見通しであることに加え、8月は東京と中部が0.9%に下がり、東北、北陸、関西、中国、九州も1~2%台に低下する見込みとあります。
 
これまでの繰り返しになりますが、電力需給ひっ迫に怯え、毎年節電要請ばかりしていては、豊かで安心な国民生活や経済活動が担保されないばかりか、国益を失することにつながるものであります。
 
この最強寒波でも明らかなよう、この需給ひっ迫を救うのは、雪に埋もれた太陽光パネルではなく、再エネの元祖である水力発電や長期間使用した実績ある火力(もちろん最新鋭機も含む)、原子力発電であり、やはり「現実的なエネルギーミックス」を進めることしか日本の生き残る道はないと確信するところであります。
 
こうしたエネルギー事情は、国民ひとり一人に密接に関係ある問題であることから、引き続き少しでも関心をもってご覧いただければ幸いに存じます。
 
なお、超重要な問題であるにも関わらず、再エネ導入拡大に水を刺すようなこの手の話題はあまり報道で取り上げられないのは何故か。
 
そのことを考えれば、公正で公平な政策論議を阻害する要因がどこにあるのかについても答えが見つかる次第です。
 

【写真は、今冬の電力需給ひっ迫を救うため年明けに再起動する姉崎火力発電所(千葉県)。ピンチを救うのは40年超選手だ。】

今冬の需給ひっ迫を救う「姉崎火力発電所5号機」は40年超選手

エネルギー ブログ

このブログを書いている趣旨目的の第一は、政治や議会のことを広く知っていただくことにあることから、市議会定例会中はどうしてもそちらに偏重となるところ。
 
とはいえ、合間合間では私の関心ごとも知っていただきたいと思い、日々ペンを走らせている(実際にはタイプですが)訳ですが、今日はその類のこととなります。
 
世界各国は「エネルギー資源獲得競争」であることは以前から述べているところですが、脱炭素の流れや欧州での風力発電比率減少(単純に風が吹かないため)、さらには地政学リスクなどの影響も相まって、一層この競争に拍車が掛かっており、原油や天然ガス、さらには原子力発電用のウランまでも価格上昇を続けていて、エネルギー資源価格にも連鎖している状況にあります。
 
とりわけ、欧州の天然ガス価格が再び急騰しており、こちらはウクライナ情勢の緊迫(ロシアの侵攻懸念)によって新設ガスパイプラインの運用開始がますます不透明になる中、今冬だけでなく、来年度の価格上昇圧力が一気に強まっている訳ですが、この流れに引っ張られ、来年度のアジア向けスポットLNG(液化天然ガス)価格も上昇。
 
LNG火力の発電コストに換算すると1キロワット時当たり平均20円を超えており、電力市場価格の高止まりが長期化する可能性もあるとしています。
 
先ほど「連鎖」と述べましたが、国内ではこの影響が「発電用C重油」に現れてきているとのことで、石油連盟の杉森務会長(ENEOSホールディングス会長)は16日の定例会見で、発電用C重油の需要に関して「かなり強い引き合いが来ており、当初想定比300%程度のオファーがある」と明らかにしました。
 
LNG(液化天然ガス)価格が高止まりする中、「スポットで調達して発電するよりもC重油を使ったほうが安い」と現状を説明したうえで、タンクや輸送船に限度があるものの「200%程度までは何とか対応したい」と述べたとのこと。
 
こうして、自国の電力供給を安定的且つ少しでも安価に供給するために、熾烈なある種「戦い」が繰り広げられていることを知っていただきたいと思う訳ですが、ここ日本も欧州などと同様、エネルギー価格の高騰に加え、既に迫っている危機は「冬の電力需給ひっ迫」であります。
 
この需給ひっ迫は各エリアで厳しい状況にあるものの、特に厳しいとされているのが東京電力パワーグリッド株式会社管内であり、本年5月25日に経済産業省の「電力・ガス基本政策小委員会(第35回)」においても、2021年度冬季の東京電力パワーグリッド株式会社管内の電力需給がひっ迫する見通しが示されている状況にあります。
 
こうした状況を受け、東京電力ホールディングスと中部電力が折半出資する「株式会社JERA」は26日、東京電力パワーグリッド株式会社による「2021年度冬季追加供給力の公募」(2022年1月4日から2月28日の追加供給力55万kWを募集)に対し、長期計画停止中の姉崎火力発電所5号機(千葉県市原市、最大出力60万キロワット)の供給力を応札し、落札者に選定されたことを発表。
 
つまりは、長期停止中の姉崎火力発電所5号機が、冬の需給を守るため「戦列に復帰」することとなりました。
 
この姉崎火力発電所5号機はLNG(液化天然ガス)を燃料とし、1977年に稼働、2021年4月から計画的に停止していたものですが、先にありました需給ひっ迫予測を踏まえ、7月から再稼働に向けた対応を自主的に行い、10月中旬には確認運転を終えるなど準備を進めていたもの。
 

【姉崎火力発電所。右から2番目が5号機(JERAホームページより)】
 
一旦長期停止をしていた発電所を再度稼働させることの決断は非常に重く、困難なことであったと察するところですが、この冬の需給ひっ迫を何としてでもカバーするとのJERAの思いは、ホームページで同社が発表した「当社グループの総力を挙げて、エネルギーの安定供給の確保に万全を期してまいります」とのコメントに表れていると受け止めるところです。
 
今後、同発電所では2022年1月1日の起動、同月4日の並列に向けた最終準備作業を進めるとのことであり、現場第一線で奮闘される皆さん始め、稼働から44年の時を経て、再度切り札として起用された姉崎火力発電所5号機の無事の運転を願うところであります。
 
需給ひっ迫をカバーする発電所の戦線復帰に関しては、九州電力管内では、10月から定期検査中であった川内原子力発電所1号機が18日の17時半に原子炉を起動。
 
19日5時には臨界、本日20日18時には発電を再開する計画としています。
 
もはや電気がなければ成り立たない現代社会において、低廉で安定した電源供給は何を置いても欠かせないもの。
 
この一連の対応を見るに、再生可能エネルギーの比率を上げたとて、代替火力が必要なことに変わりはなく、この状況を救っているのは一旦現役を退いた火力発電所、依存度を低減していくとする原子力発電所であることだけはお分かりいただきたいと思う次第です。
 
そして、この冬の電力コストが上昇するからと、市場から相次いで「撤退」する小売電力事業者に対し、「安定供給」の使命のもと、この電力需給を守るために「戦線復帰」する気概は、根底に流れる「電力スピリット」あってのことであり、そうしたマインドを有する「人」が支えているんだということを、特に霞ヶ関の役人さんや永田町の政治家に知っていただきたいと強く思う訳であり、私自身はこうした現場にある事実を引き続きしっかりとお伝えしていきたいと考えます。

「無秩序・無責任な開発」から敦賀の景観と住民の安全を守るためには

エネルギー ブログ

「自分が良ければそれでいいのか」
 
と思わず憤ってしまうのが、電力市場価格の高騰を受けて高圧供給(特別高圧含む)から撤退する小売電気事業者が出てきていること。
 
市場高騰に伴う調達費用削減のため、ハルエネ、リケン工業、スマートテックなどが11月、契約期間の更新を行わないと顧客に通達したとあり、冬の本格的な需要期を迎える前に顧客をいち早く手放し、自社の電力調達コストを抑える狙いとのことですが、顧客の契約切り替えがスムーズに進まなかった場合、需要家保護の観点で大きな問題になることは必至。
 
顧客側がこうしたリスクも承知して契約したか否かは置いておいて、いきなり「契約更新しませんので電気は他社から買ってください」と言われた立場を思うと気の毒でなりませんが、こうして見るに、これらの事業者が最初から「儲からなければ撤退すれば良い」との考えで電力市場に参入してきたのであれば言語道断と思う次第です。
 
さて、このようなニュースを聞くに、今週行われる市議会一般質問で自身が取り上げる「再生可能エネルギーと地域共生」にも通じてしまうのですが、本日は少しだけ質問内容の解説をさせていただきます。
 
まずお断りしておかなくてはならないのが、大前提のエネルギー政策に関して、私は決して「再エネ否定論者」ではなく「現実的なエネルギーミックス論者」であることをご認識いただき、今から申し上げることは「再エネを止める」ためではないことをご理解いただければと存じます。
 
そのうえで、本年7月に「ゼロカーボンシティ宣言」を表明した敦賀市として、脱炭素化の流れの中で再エネをどのように位置付けるのか、国が再エネ比率をさらに高めていく(2030年で電源構成では36〜38%程度を見込む)とし、改正温暖化対策推進法に基づく再エネ促進区域の設定(いわゆるポジティブゾーニング)など各地域に対しても導入拡大施策を講じる中においても無秩序・無責任な開発・設置と引き換えに美しき郷土敦賀の景観が損なわれることや地域住民の安心と安全が脅かされることのないよう、そうしたリスクをいかに未然防止するのかというのが質問趣旨であります。
 
とりわけ太陽光発電については、2012年7月の固定価格買取制度(FIT)開始以降の急速な導入拡大に伴い、様々な事業者の参入が拡大した結果、景観や環境への影響、将来の廃棄、安全面、防災面等の面で深刻な問題が顕在化している状況にあり、全国でも住民トラブルが絶えないばかりか、7月の静岡県熱海市の大規模土石流災害においては、従前では規制に殆ど引っ掛からない単一で50kw未満の太陽光発電所が10以上も連なっていた(メガソーラー化していた)などの例も確認されているところ。
 
ここ敦賀市においては、今現在そうした案件が確認されている訳ではありませんが、実際市内をパトロールしてみると、現行の技術基準では必要なフェンスや塀で発電設備を囲うこともなく、簡易な基礎、足場パイプで設置されたものも散見される訳であり、メガソーラーばかりでなく、こうした設備がこの先放置されることのリスクを含めてどのように対応していくのかを具体的に考えねばならないと以前より考えていた次第。
 

【市内に設置されている太陽光発電設備。ちなみにこの設備の発電出力は「49.1kw」でした。】
 
従前技術的な規制が緩かった点に関しては、経済産業省が本年4月から太陽光発電設備に特化した技術基準「発電用太陽電池設備に関する技術基準を定める省令」を制定(50kw未満設備の事故報告義務など)するなどの動きはあるものの、一方「設置」に関しては、環境影響評価法などの対象となる案件(出力や面積の大きさ)を除き、様々な法整備がされている中においても十分な規制を掛けることができない状況にあるのが現状。
 
こうした状況を踏まえ、再生可能エネルギー特別措置法においては、「条例」を含む関係法令遵守を認定基準とすることや「地域の実情に応じた条例」への違反に対し、特措法に基づく指導等を可能にすることを定めたほか、第6次エネルギー基本計画においては、各地域の条例等の制定状況やその内容について網羅的に調査し、「各自治体における地域の実情に応じた条例の制定を後押し」するとしているなど、「条例」のある無しが非常にキーポイントになっていると言えます。
 
こうした経過や状況を踏まえ、ゼロカーボンシティ宣言で再エネ由来水素(いわゆるグリーン水素)を拡大していくとすれば、今後そうした再エネ業者が市内に参入してくることも想定し、今ある土地利用調整条例や景観条例の適用の守備範囲はどこまでか確認するとともに、主義範囲外の点に関しては今のうちから備えておく、つまりは抑止力としての条例制定が必要なのではないかというのが私の考えです。
 
仮に「今そういう案件がないから不要」ということになると、それはまさに「発生主義」であり、気づいた時には住民の安全や景観が守れなくなってしまう恐れが生じるため、私としてはそうしたリスク意識のもと意見提起していく所存です。
 
近々で言えば、お隣滋賀県大津市でも条例をすり抜けるかのような太陽光発電を巡るトラブルが起きているのが現実であり、こうした事例を「対岸の火事」と思うことなく、「リアルな教訓」として捉え対応していきます。

国家備蓄石油放出の妥当性はどこにあるのか?

エネルギー ブログ

朝方は晴れ間が覗いたかと思いきや、鉛色の空が広がり、強い風雨が降ったり止んだり。
 
12月を前に、いよいよ冬将軍を思わせる天気の昨日でしたが、これも北陸地方の特徴であることから、ガッカリするのではなく、流れる四季のひとつと楽しむくらいの余裕を持って過ごしたいものです。
 
そんな昨日のお昼休みは、原電総連敦賀総支部の皆さんへ活動報告会の機会を頂戴し、自身の議会活動を始め、至近の市政・議会トピックス、さらにはエネルギー政策に関する考えなどについてお話しさせていただきました。
 
とりわけエネルギー政策に関しては、10月22日のエネルギー基本計画閣議決定や先般閉幕したCOP26の裏事情などについてお伝えする中で、「カーボンニュートラルをめざす欧米は、あらゆる脱炭素オプションを総動員している」ことや「脱原子力は世界の潮流ではなく、逆に原子力を一層利用していこうというのが世界の潮流である」ことなどについてお話ししたうえで、つまりは日本の選択すべきは、「再エネ偏重ではないエネルギーベストミックスでしかない」との思いを共有させていただいた次第。
 
このことは母体労組の皆さんだけに言うのではなく、これまでも他の労組さんや地域の皆さんに対してもお伝えしているものであり、自身の役割、ライフワークとして、今後も「日本の国情に則した現実的なエネルギー政策」に関する理解を広く深めていただけるよう活動していきたいと考えます。
 

【昨日の活動報告風景。皆さん熱心に聞いていただき感謝です。】
 
さて、エネルギーに関して言えば、世界的な原油価格高騰に対応し、日米中などの主要な消費国が備蓄石油の協調放出を決めたとあり、国際的な連携で市場に石油を供給し、石油価格の引き下げをめざすとのこと。
 
原油高騰はコロナ禍からの景気回復機運に水を差すだけでなく、インフレにつながりかねないこと、産油国への増産圧力を掛けるなどの考えなどから、備蓄石油の放出を消費国に呼び掛けるバイデン米大統領の言いなりだ、あるいはサウジアラビアなど産油国と緊密な外交関係を構築してきた日本は、産油国への増産要請にもっと積極的に動くべきだなどとの意見のほか、余剰分備蓄石油には限りがあることから、放出したとしても価格の引き下げ効果は限定的(確かに具体的な価格引き下げ効果は聞いたことがない)だとの見方が強い現状にあります。
 
そして、国民民主党の玉木代表などが「法律違反の可能性がある」と指摘しているよう、私自身も問題ではと思うのは、そもそも価格引き下げを目的に国家の備蓄石油を放出して良いのかという点です。
 
日本の原油備蓄は海外有事や災害時などの供給途絶に備えた制度であり、放出による価格引き下げを想定していないことは、先日「トリガー条項凍結解除」のことを記載した際にお伝えしましたが、実際の法律「石油の備蓄の確保等に関する法律」(昭和五十年法律第九十六号)を確認すると目的は以下のようにあります。
 
(目的)
第一条 この法律は、石油の備蓄を確保するとともに、備蓄に係る石油の適切な供給を図るための措置を講ずることにより、我が国への石油の供給が不足する事態及び我が国における災害の発生により国内の特定の地域への石油の供給が不足する事態が生じた場合において石油の安定的な供給を確保し、もつて国民生活の安定と国民経済の円滑な運営に資することを目的とする。
 
さらに、国家備蓄の放出に関する条項を探しましたが、直接的な文言はなく、類するところでは以下のような条項がありました。
 
(国家備蓄石油の譲渡し及び貸付け)
第三十一条 前条に規定するもののほか、経済産業大臣は、我が国への石油の供給が不足する事態又は我が国における災害の発生により国内の特定の地域への石油の供給が不足する事態が生じ、又は生ずるおそれがある場合において、石油の安定的な供給を確保するため特に必要があると認めるときは、経済産業省令で定めるところにより、国家備蓄石油を譲り渡し、又は貸し付けることができる。この場合において、国家備蓄石油を交換するために譲り渡すときは、同条第二項の規定を準用する。
 
なお、岸田首相は、11月24日に行った「国家備蓄石油の売却」についての会見で「法律に反しない形での対応をしっかりと検討しています。」、同日の松野官房長官会見では「国家備蓄の放出に関しては油種の入れ替えの前倒しで実施するため、石油備蓄法には違反しないとした。」と述べています。
 
法解釈の範囲において、それぞれの考え方があることは分かるものの、「価格の引き下げ目的」で行うことは、法にある「供給不足の事態」「安定的な供給確保」に該当するのか、政府として明確な説明が必要ではないかと考える次第です。
 
私の勉強不足で、既に明確に説明されていたのであれば恐縮ですが、とりわけ自国のエネルギー資源に乏しい日本にとって、有事に備える国家備蓄石油の位置付けの重さを鑑みれば、米政権の呼び掛けに応じるため、あるいは減税したくない(トリガー条項の凍結解除)との理由によって対応されるのだとしたら、それは過去の教訓が生かされない本末転倒の考えではないかと危惧して止みません。
 
もっとも、私如きの危惧などには及ばない、高レベルの政治判断なのかもしれませんが。。。

気候変動問題は「グローバルに考えてグローバルに行動すべき」

エネルギー ブログ

昨日は内容の濃い一日。
 
午前中は、自身が委員長を努める広報広聴委員会にて、年明けに予定している「高校生との意見交換会」(中身は出前授業)で講義するパワーポイント資料の確認、午後は福井県市議会議長会研修会、終了後、議会事務局さんによる「サイボウズoffice」説明会(デジタル媒体を用いた連絡手段の導入に向けて)、夜は原子力ユニオン敦賀支部さんへの活動報告会など。
 
それぞれの詳細は割愛しますが、どの時間も気づきや考えさせられることありで、大変有意義な一日となりました。
 
とりわけ、原子力ユニオン敦賀支部さんへの活動報告の場では、参加された皆さんより、コロナやまちづくり、議会活動などに対し、率直なご意見や提案などを頂戴しありがたい限り。
 
「活動の原点は職場、地域にあり」のモットー通り、こうした機会、ご意見を大切にし、活動に活かしていきたいと思います。
 
さて、報告会の中でも、話題の一つとして取り上げた「第26回国連気候変動枠組条約締結国会議(COP26)」が13日に閉幕しました。
 
COP26では「1.5℃目標」が焦点となった訳ですが、海面上昇の被害を受ける一方、石炭を禁止しても失うものがないカリブ海など島国の支持を議長国イギリスなどが後押しする形でしたが、ボリビア代表の「2050年ネットゼロを強要するカーボン植民地主義を拒否する」との宣言やそれに呼応して旧植民地(イギリスの)のインドが反撃したのが決定的だったようで、結果的に最終文書では1.5℃は「努力目標」にとどまり、石炭火力も”phasedown(段階的に縮小)”という無意味な表現になったというのが交渉の舞台裏だそう。
 
こうした情報を聞くに、まさに気候変動に関する国際目標というのは、「人類のため純粋な思いで」などという世界はことさら遠く、自国の利害を一番に考え交渉されるのが「世界標準」であるということが如実に分かります。
 
COP26の期間中に同意された「石炭火力の段階的廃止声明」に日本は参加しなかったことを「非協力的」だと揶揄する声、報道も耳にしますが、現実的に国内供給の約25%を賄っている石炭火力(再エネの代替電力としての役割も大)を安易に無くしていくなどということは到底できる訳がなく、毅然と参加しなかった日本政府の対応は、私は至極真っ当なことと考えるところです。
 
アゴラ研究所所長の池田信夫氏の言葉を借りれば、そもそもこの「1.5℃」は産業革命(1850年ごろ)からの上昇幅であり、現在までに1.1℃上昇したので、あと0.4℃上昇で半永久的に気温上昇を止めるという話で、直観的に無理なことは明らかだとしています。
 
また、ここがポイントで、「開催国のボリス・ジョンソン首相がこれにこだわったのは、2℃を目標としたパリ協定から前進した形を作りたかったからだが、科学的には1.5℃を超えたら何か特別な現象が起こる訳でははない。これは2050年ネットゼロという政治的目標から逆算した数字なのだ」とありました。
 
逆算した数字、いわゆるバックキャストで思い浮かぶのは、まさに第6次日本のエネルギー基本計画(2030年46%CO2削減を達成するよう電源比率を無理くり当てはめたもの)ですが、科学的意味合いがないことに巨額の費用と生活や経済への負担を強いることにどれだけの価値があるのかと考えてしまう次第です。
 
科学的意味合いの観点では、IPCCの特別報告書で、1.5℃では起こらないが2℃で起こる現象をリストアップしていますが、結果ほとんど差がなく、1.5℃と2℃の間に、南極の氷が一挙に溶ける臨界点があるという説もあったものの、IPCCの第6次評価報告書では「可能性の低いシナリオ」として参考データになっています。
 
また、例として、気温上昇についてIPCCは「中緯度域の極端に暑い日が約3℃昇温する」と書いていますが、高緯度域では「極端に寒い夜が約4.5℃昇温する」ので、ロシアやカナダは快適になることや東京の平均気温は既に産業革命から3℃上昇していますが誰も気づかないこと。
 
同じくIPCCは、「干ばつの影響を受ける世界全体の都市人口が約3億5000万人になる」と予想していますが、干ばつの死者はこの100年で90%近く減っていて、人的被害はインフラ整備で大幅に減らすことができるとされていることなど。
 
IPCC報告書の件に関しては、以前にもこのブログに記載させていただきましたが、学者や有識者の間でも評価が分かれる気候変動問題は、何が確定的な将来予測なのか誰も知る由がないといった状況が現状ではないのかと。
 
池田信夫氏は、コストメリットにも触れており、「先進国にとって脱炭素化のメリットは、その莫大なコストよりはるかに小さい。日本がパリ協定に基づいてCO2の排出を1トン減らす限界排出費用は378ドル。スイスと並んで世界最高である。それに対してほとんどの途上国の費用は1ドル以下だ。」と述べています。
 
その実態は、(公財)地球環境産業技術研究機構(RITE)が以前に提示した、各国とのコスト比較で見れば明らかな訳ですが(下表参照)、日本がCO2を1トン減らすコストでインドでは378トン以上減らせるということを意味します。
 

【約束草案の排出削減努力の評価と2030年以降の排出削減への道筋(RITEシステム研究グループ グループリーダー 秋元圭吾氏資料より抜粋)】
 
つまりは、日本が2030年までに46%CO2を削減するのだと必死に莫大なコストを掛ける分は、中国やインドなどでは極めて小さなコストで削減できるということであり、ローカル(国内)で必死になる意味合いはないとしています。
 
こと気候変動に関しては、「グローバルに考えてローカルに行動しろ」ではなく、日本は「グローバルに考えてグローバルに行動すべき」。
 
池田氏の言わんとすることに自然と共感する自分がいます。
 
だからといって、気候変動問題を決して蔑ろにする訳ではありませんが、高い目標を定めるのであれば、日本には日本の国情に見合った現実的な方法を用いるべき(無責任な再エネ頼みではなく、原子力や環境性能の高い火力の活用など)であり、ことエネルギーに関して政治判断される立場の方は、究極のリアリストであるべきと考える次第です。
 
昨晩の報告会でも生意気にお話しさせていただきましたが、こうした考えもあることを一人でも多くの方に知っていただくことも自身の役割のひとつと考え、引き続きこうした活動にも尽力してまいります。

「NO」と言える日本。COP26石炭火力発電廃止に合意せず。

エネルギー ブログ

「◯○賞」受賞というと大抵はおめでたいものですが、何とも違和感を覚えるものもある訳であり。
 
英グラスゴーで開催されている国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)において、環境NGOの国際ネットワーク「気候行動ネットワーク」が2日、「本日の化石賞(Fossil of the Day Award)」を日本に贈りました。
 
この「化石賞」とは、気候変動交渉・対策の足を引っ張った?国を毎日選出して贈られるもので、問題に対する批判と、改善への期待の意味が込められているとされ、この日は日本の他にノルウェー、オーストラリアがとともに「本日の化石賞」を受賞しました。
 
受賞の理由は、同日に岸田首相が首脳級イベントにおいて行ったスピーチにおいて、化石燃料の火力発電を推進していることにあるとしており、今回のCOP26では、とりわけ脱石炭が求められているにもかかわらず、日本が2030年以降も、そして2050年に向けて石炭火力発電を使い続けるという点が批判されているようであります。
 
さらに、アンモニア・水素を使った火力発電を「ゼロエミッション火力」として盲信していると批判されています。
 

【日本に送られた「化石賞」(NGO気候行動ネットワークHPより)】
 
またCOP26においては、石炭火力廃止声明も合意されていますが、これにも日本政府は加わっておらず、萩生田経産相はその理由について、「単一の完璧なエネルギー源がない現状では、多様なエネルギー源をバランスよく活用することが重要。そのため日本は声明に賛同していない」と述べています
 
これまでであれば、長いものには巻かれるように、本意でなくとも合意したであろう日本が、こうして自国のエネルギー事情をベースに国際社会に「NO」を主張したことを私は大いに評価をするところです(中印米豪などの石炭大量消費国も賛同してませんが)。
 
現に、石炭火力に関しては、経済産業省資源エネルギー庁が発行している「エネルギー白書2021」においても、2019年時点で供給割合が最も大きなものがLNGで37.1%、その他、石炭と石油を合わせた火力発電で75.7%を占めているとあり、2015年度から原子力発電所の再稼働が始まったことで減少しているとはいえ、石炭火力が占める2019年度の発電量は全体の25.3%となっています
 

【一次エネルギー国内供給の推移(エネルギー白書2021より)】
 
ちなみに、国際社会に目を向けると、COP26の開催国で、日本と同じ島国の英国においては、ここのところ風が弱く風力の発電量が不足。
 
石炭火力頼みで綱渡りの電力供給が続いているほか、2024年夏には石炭火力を廃止するとしてはいるものの、本当にこのまま突き進むべきか、電気代高騰や停電頻発が起きるのではないかとの懸念もあり、与党保守党内でも異論が噴出している状況にあります。
 
なお、そもそもの石炭消費量で言えば、2019年の国別シェアを見ると、中国の消費量は38億1879万トンで、中国だけで世界全体の半分を消費しています。
 
中国の石炭消費量は、2000年代に入って急速に増加し、2013年には40億トンを超え、その後大気汚染対策により2016年まで減少しましたが、2018年(前年比2.0%増)、2019年(前年比1.0%増)に再び増加しました。
 
また中国とインド(総消費量の12.9%)で世界の石炭消費量の62.9%を占め、米国、ロシア、日本を含む上位5カ国で世界の石炭消費量の75.1%を占めているものの、「化石賞」を受賞した日本の2019年の石炭消費量は1億8,571万トンで世界第5位ですが、全体に占める割合は「2.4%」となっています。
 
つまりは、どの国が大きな影響を持つのかは言わずもがなですが、その国自体も先の石炭火力廃止に参加しない中では、日本のスタンスのみを批判される筋合いはないものと考えます。
 

【世界の石炭消費量の推移(エネルギー白書2021より)】
 
こうした日本国内のエネルギー事情、世界の状況を冷静に見るに、ここでの日本政府の対応は極めて真っ当なものと考える次第です。
 
環境団体がこうした「賞」の名のもと批判するのも勝手、日本国内でも「温暖化対策に貢献していない」などと自国を貶めるかの報道をするのも結構ですが、日本の石炭火力は高効率で、しかも高いレベルで環境対策も講じられていて、このような技術を途上国や他の国に導入するよう働き掛けていることへの貢献度や、そもそも25%を占める石炭火力の代わりを確実に何の電源で賄うのかについて具体的に示唆している団体、報道機関は皆無であり、これでは「無責任」としか言いようがありません
 
※釈迦に説法ですが、先の英国でありませんが、太陽光や風力などを増やせば増やすほどバックアップの電源が必要となります。
 
佳境に入りつつあるCOP26。
 
繰り返しとなりますが、気候変動、脱炭素とは叫びつつ、自国の電力供給をいかに安定安価で行うかを睨む中での国際交渉であることは明白であることから、日本政府においては是非、国内外世論や圧力に屈することなく、前述にあるよう毅然と「NOと言える」国であって欲しいと切に期待する次第です。

深刻な今冬の電力需給見通し。要因は明らかだ。

エネルギー ブログ

先般はこのブログで、エネルギー基本計画が閣議決定されたことに対する受け止めを述べましたが、拙速に意思決定する必要があったのは、10月31日から英国グラスゴーで開催される国連気候会議・COP26(正式名称:気候変動枠組み条約第26回締約国会議)を睨んでのこと。
 
このCOP26に対し、キャノングローバル研究所主幹の杉山太志氏は、「おそらく膠着状態となり、事実上は何の成果もなさそうだが、中国だけは最大限の利益を得ることになりそうだ」との見方を示しています。
 
中国の習近平は9月に「海外の石炭火力発電事業への資金提供を止める」と発表し、先進各国の称賛を受けたものの具体的な内容は無く、いつから止めるかなどは明確にされていないにもかかわらず、COP26が近づくにつれ欧米の政権は、さほど中国の体制を非難しなくなった。このような形で、COP26の裏では「気候変動」を人質に取り、先進各国を操る中国の姿が予想されるのだとの背景も述べています。
 
また、この4月に米国が開催した気候サミットでは、G7諸国は軒並み「2030年にCO2半減、2050年にはゼロ」を宣言しましたが、G7も言っているだけで実行不可能であるのみならず、欧州ではすでに無理な再エネ依存の政策が祟ってエネルギー価格の高騰が政治問題になっており、早晩、G7の無謀な数値目標は問題視され、見直しが入るだろうとの見解も示しており、私もそのように考えるところであります。
 
そしてこの日本を見れば、現実としてあるのは、この冬の「電力受給逼迫」。
 
27日に公表された経済産業省総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会における「2021年度冬季の需給見通し・対策」によれば、今冬は、安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できているものの過去10年間で最も厳しい見通しとなっているとのこと。
 
資料には、「広域機関によると、今冬の電力需給は、10年に1度の厳しい寒さを想定した場合にも、全エリアで安定供給に必要な予備率3%を確保できる見通し」とする一方、東京エリアは1月に3.2%、2月に3.1%と3%ギリギリとなっているほか、2月は 中西日本6エリア(中部、北陸、関西、中国、四国、九州)で3.9%となるなど、極めて厳しい見通しとなっている」とあります。
 

【総合資源エネルギー調査会電力・ガス事業分科会電力・ガス基本政策小委員会(第40回)の資料より抜粋】
 
予備率3%というのは、どこかの発電所や送電網でトラブルがあれば一発でマイナスとなる危険域であり、詳しくは以下のリンクからご覧いただければと思います。
 →→→2021年度冬季の需給見通し・対策(経済産業省HPより)
 
こうした状況となることを以前から指摘していた国際環境経済研究所の竹内純子氏は、次のように述べています。
 
こんな事態になっている原因は複合的ですが、①福島事故により抜本的に見直された原子力安全規制対応のために原子力発電所は殆ど停止、②再エネが補助制度により大量導入されたため、火力発電は再エネの調整・バックアップ役になる。いざという時だけ頼りにされても、メンテナンス費用も十分回収できないので火力発電は廃止しようということになる。自由化されたので供給責任も負ってないし、といった状況です。
 
喫緊出来ることとして、②に書いた理由で廃止する予定だった火力発電や、電力足りない時に電気の使用を停止する需要家を「公募」を実施して、お金払って再立ち上げしてもらったり、いざという時は止めてもらうということで、東電管内は何とか3%予備率確保までたどり着きました。
 
これ以外にできることというと、原子力の再稼働です。基本的な安全対策はすべて終わっているのに、テロ対策設備追加の猶予期限終了に伴い、先日停止させた美浜発電所3号機など、「本当に今止めなければだめか?」を考えることは一つあり得ます。が、原子力規制委員会は、原子力発電所の安全性だけ考えれば良い組織として設立されているので、エネルギー不足によるリスクなどは「考えなくて良い」のです。米国では、原子力規制委員会とエネルギー省を議会がブリッジするかたちで、リスクを総合評価しますが、日本は放置。
 
総合的に考えて「それでも動かさない」と覚悟するなら良いのですが、今は議論すらない訳です。
 
メディアでも、それぞれの事象が単発で伝えられることが多いですよね。美浜発電所の停止は原子力の問題、火力発電は気候変動対策の文脈、電力不足はこの冬の事象あるいは生活への影響みたいな形で伝えられることが多いので、日本のエネルギー政策の歪みや軋みが消費者の皆さんにもわかりづらいだろうと思います。
 
以前、原子力発電所を使わないリスクを述べたときに「命か経済か」と言われましたが、値上げや電力不足も、命の問題を引き起こします。
 
こちらも全くもって、私も同感な訳ですが、国民の皆さんはどう受け止めているのか。
 
特に、再エネとバックアップ電源の関係を述べた②に関しては、冒頭のエネルギー基本計画通り進めれば、ますますこの状態が顕著になることは明らかであり、夏も冬も需給逼迫に怯えながら生活しなければならなくなります。
 
ここにはありませんが、既に世界各国の資源獲得競争による原油や液化天然ガス(LNG)の価格高騰は現実問題となっており、これはいずれ電気料金にも転嫁される訳であり、各ご家庭、とりわけ企業にとっては死活問題ともなりかねません。
 
決して脅しで申し上げているものでないことをお分かりいただきたいと思いますが、エネルギーはこうして全てつながっています。
 
とりわけ資源小国の日本は、このような状況を真剣に考え、後悔した時には取り返しのつかないこと(原子力や火力の人材、技術を失うなど)になると警鐘したうえで、「命も経済も」守るエネルギー政策でなければ生き残れないことを、皆さんにも是非ご理解いただきたいと強く思う次第です。

« 古い記事