エネルギー基本計画見直しに向け、原子力小委員会にて福井県知事が意見提起

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定例会閉会翌日の昨日は、青空広がる気持ちの良い天気。
 
帰宅してもまだ明るく、近所のグラウンドまで桜の状況を見に行くと、「いざ出番!」と言わんばかりにつぼみは膨らみ、ピンクの花もチラホラと覗けるまでに。
 



【身近に春を感じた瞬間をご紹介します】
 
足元を見ればタンポポも顔を出し、いよいよ敦賀も春到来といった感じで、気持ちも穏やかになりました。
 
また、もうひとつの春と言えば、熱戦繰り広げられるセンバツ高校野球。
 
いよいよ本日の第3試合に地元敦賀気比高校が登場します。
 
ライブ観戦は難しいものの、勝利という春を敦賀にもたらせてくれるよう応援したいと思います。
 
さて、定例会が終わっても気を緩める間はなく、とりわけ敦賀の将来に直結するエネルギーのことについては、夏頃までの策定を目指すとされる次期「第6次エネルギー基本計画」の議論が佳境を迎えつつあり、逐次議論の動向を注視しているところです。
 
この「第6次エネルギー基本計画」に向けては、私も今定例会の代表質問の中で「半世紀に亘り原子力と共存してきた敦賀市だからこそ、国策としてのエネルギー政策は将来に亘って現実的なものであるべきとの考えのもと対応いただきたい」、「実質的な策定議論は経済産業省の総合エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会や基本政策分科会にて行われており、これに委員として直接出席される杉本福井県知事とは強い連携のもと意見反映いただきたい」旨の質問をし、渕上市長からは2点ともに力強い答弁をいただいたところであります。
 
また、最終日に議員提出議案(B議案)として可決しました「エネルギー基本計画見直しに関する意見書」に関しては、求める項目として以下3点を挙げ、今後、国や関係行政庁に意見書を提出する運びとしています。
 
1.ベースロード電源である原子力発電の将来のあり方について、国内における原子力発電所の再稼働や運転延長及び廃止措置の計画を見通した上で、2050年カーボンニュートラルの実現に向けた長期的視点に立った議論を行い、新増設・リプレースを含めた原子力政策の確固たる方針を明確に示すこと。
 
2.第5次エネルギー基本計画において、敦賀エリアを原子力・エネルギーの中核的研究開発拠点として整備していくとしているが、引き続き本市を中核的研究開発拠点に位置付けその実現に向けた具体的施策を示すこと。
 
3.第5次エネルギー基本計画において、使用済燃料の安全で安定的な貯蔵が行えるよう、官民を挙げて取り組むとしているが、使用済燃料の敷地外への早期搬出に向け、国が前面に立ち、中間貯蔵施設や再処理工場の早期整備を明確に示すこと。
 
そうした状況の中、まさに22日の定例会最終日と並行して開催された、経済産業省総合資源エネルギー調査会 電力・ガス事業分科会 原子力小委員会(第22回)において、委員としてオンライン出席された杉本福井県知事が以下のように意見提起をされました。
 
●資料3「前回の議論の振り返り」の事務局説明後にコメントされていますので、以下リンクからもご覧ください。
 →→→原子力小委員会ネットライブ中継より
 
なお、知事は大きく2点について、次期エネルギー基本計画に盛り込むべきと国に求めておりますので、発言部分を抜粋にて記載させていただきます。
 
【以下、杉本知事発言抜粋】
 
◉まず、中長期的な立地地域の将来像の検討については、今回具体的なテーマや進め方などとともに、立地地域の将来に向けて国が主体的かつ継続的に取り組む姿勢を示していただいた。感謝を申し上げる。立地地域としても当事者として前向きな意見を申し上げていくので早急に会議を開催して、将来的な原子力をどう活用していくのか国の考えを示してしていただきながら、今後立地地域が原子力にどう関わっていくのか、また、国や事業者が地域の将来にどう関わっていくのかを具体的に議論して、地域が将来に希望をもてる計画に纏めあげていただきたいと思っている。
 
◉2点目、原子力の位置づけについて、前回の委員会では「原子力について2050年に一定規模の活用を目指す」と書いているが、現在のエネルギー基本計画では、原子力は可能な限り低減させるとされている。原子力を今後維持するのか、どこまで減らすのか、原子力の位置づけが曖昧なっていると思う。先日の福井県議会でも原子力の方向性について、再エネで全て満たせるなら原子力はいらない、満たせないなら原子力は必要というような曖昧な政府の態度に立地地域が振り回されている、という意見があった。安心して国策に協力していくためにも国の方針を明確にしていただく必要があると思う。
次のエネルギー基本計画を議論しているこの機会に、2050年に向けて安全確保を第一として、原子力をどの程度の規模でどのような方式で活用するのか、例えば既存の大型軽水炉なのか、革新的で安全性の高い小型モジュール炉なのかといった方向性を示していただきたいと考えている。
 
◉また昨日、私は40年超運転に関する県民説明会に出ていた。立地地域の住民はコロナ対応含めた広域避難計画の実効性や大阪地裁で敗訴した基準地震動などについて、特に不安を持っている。直ぐに止めるべきというような声も根強い中である。広域避難計画の進化、また、消費地が立地地域を批判するといったことがないように、国民への一層の説明が必要不可欠だと考える。
 
以上が発言内容となります。
 
まさに、敦賀市の思いや敦賀市議会の意見書の内容とも考えの一致した、国策としての位置付け、さらには現場・県民の声を踏まえた原子力立地県を代表する立場の至極真っ当な意見提起と受け止めたところです。
 
この5月にも骨子案が示されるのではなかろうかと示唆されている「第6次エネルギー基本計画」ですが、この原子力小委員会も基本政策分科会も残された議論の場は限られているとも認識するところであり、我が国のエネルギー政策の基本的考えである「S(安全を大前提に)+3E(経済性、エネルギー安全保障、環境の同時達成)」に基けば、さらには2050年カーボンニュートラルの野心的政策の実現に向けては、新増設・リプレースを含めた原子力発電の活用は必要不可欠と考えるところであり、国はこの見直しの機会を逃すことなく、現実的な政策選択を示されるよう強く期待するものであります。
 

経済産業省主催の「エネルギー政策」説明会が開催される

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福井県議会においては連日、関西電力が保有する3基の原子力発電所の40年超運転と使用済み核燃料に係る中間貯蔵施設の問題について議論が繰り返されている状況にあります。
 
こうした中、先月2月9日には、福井県主催の「原子力発電所の審査に関する説明会」が開催され、この時は大飯発電所3,4号機に関わる地盤・耐震性の審査、評価について、原子力規制庁からの説明がメインでありました。
 
これに続き、昨晩は、今度は経済産業省資源エネルギ-庁主催による「エネルギ-政策と高浜発電所1・2号機、美浜発電所3号機に関する住民説明会」が、同じく福井フェニックスプラザで開催されたことから、私も事前申し込みのうえ、会場参加してまいりました。
 

【会場の写真撮影は禁止であったことから、YouTube配信画面を撮影】
 
この日の議題は以下の通り。
 
(1)我が国のエネルギー政策について(経済産業省 資源エネルギー庁)
(2)高浜地域と美浜地域の原子力防災について(内閣府 原子力防災担当)
(3)高浜発電所1・2号機と美浜発電所3号機に関する安全対策の取り組みについて(関西電力株式会社)
 
昨日、来週行います代表質問通告の内容をお知らせしましたが、私自身「エネルギー政策」を取り上げていることも踏まえ、ここでは経済産業省からの(1)の点だけご紹介したいと思います。
 
まず「日本のエネルギー情勢」に関して、日本のエネルギー政策の要諦が、安全性(Safety)を前提としたうえで、①エネルギーの安定供給(Energy Security)を第一とし、②経済効率性の向上(Economic Efficiency)による低コストでのエネルギー供給の実現と同時に、③環境への適合(Environment)を図るため、最大限の取り組みを行うものとし、様々な電源を組み合わせた「エネルギーミックス」により進めるとしています。
 
よって、エネルギー政策の基本的視点を、これらの頭文字を取り「3E+S」との言葉で表しています。
 
この「3E+S」ですが、安全の「S」が大前提であるとすれば、正しくはSが先に来る「S+3E」ではないかということで、ここではそのように使わせていただきます。
 
さて、その「3E」を個別に見てみると、
 
①「エネルギーの安定供給」の観点では、エネルギー自給率の低下が顕著。
東日本大震災前2010年度:20.2%であったものが、2019年度では12.1%に低下。
これは、G7で最下位、OECD36ヵ国中2番目に低い水準となっています。
 
原子力は国際的に「国産エネルギー」と位置付けており、日本では「準国産」の原子力発電の再稼働が東日本大震災以降、少数に留まっていることが起因。
 

【経済産業省資源エネルギー庁説明資料より】
 
②「経済効率」の観点では、電気料金の上昇の問題。
◉一般家庭(2人以上世帯)では、同じく2010年度:約9.8万円(モデル的試算、いずれも1年間の合計値)であったものが、2019年度では約11.9万円(22%上昇)。
◉中規模工場では、2010年度:約4,400万円が、2019年度では約5,500万円(約25%上昇)。
 
東日本大震災以降の原子力発電所長期停止の影響により、一般電力事業者が電気料金値上げをせざる得なかったことが要因。
 

 
③「環境適合」の観点では、電力セクターにおけるCO2排出量はやや減少。
2010年度:4.55億トンであったものが、2019年度で4.40億トン(1,500トン減少)となっています。
 
ちなみに、2018年度までは増加傾向であり、原子力発電所の再稼働により火力の焚き増しが抑えられたことにより、減少傾向に転じたもの。
 

 
この「3E」の状況を見ても、原子力発電の稼働如何で数値に大きく影響する、つまり各側面に対する寄与度の大きさが分かっていただけるのではと思います。
 
次に「エネルギー政策」に関しては、現行の「第5次エネルギー計画」は、先に述べた「S+3E」の基本的考えに基づき、各電源の位置付け、2030年における構成比率を設定し、原子力発電においては「20〜22%」としたうえで、2050年に向けては「エネルギー転換への挑戦」として、あらゆる選択肢を追求する「野心的な複線シナリオ」を掲げていることは周知の事実かと思います。
 
本年は、この「エネルギー基本計画」の改訂年次(3年ごと)にあたっていることから、資源エネルギー庁の基本政策分科会などの場にて、基本的考えは堅持しつつ、大きいのはやはり、2050年までに、温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、「2050年カーボンニュートラル」、「脱炭素社会の実現」を目指すとしていること。
 
カーボンニュートラルの実現に向けては、梶山経済産業大臣が「再エネ、原子力など使えるものを最大限活用する」、「全ての手段や技術をしっかりと駆使していかなければ達成は難しい。そういった観点でも原子力をしっかり活用していくということ。」などと過去の記者会見でも述べられているところであります。
 
こうして説明は進み、(2)、(3)までを終えた後、会場参加者との質疑が行われました。
 
同じ敦賀市議会議員として参加されていた和泉明議員からは、「2050年カ-ボンニュ-トラルに伴う政府のグリ-ン成長戦略の内容も踏まえ次期「エネルギ-基本計画」を策定される段階であるが、どういった方向で進んでいるのか。また、原子力発電の新増設・リプレ-スについてはどう取り扱われるのか」との質問に対し、資源エネルギー庁からは、「2050年に向けては小型炉など原子力のイノベーションを進めていく。また基本計画を検討する基本政策分科会の場においては、有識者の一部からも新増設・リプレースの必要性を求める意見が挙げられている。エネ庁としては、この先電力需要が1.5倍に伸びたとしても2050年の原子力比率は20%程度を維持するとの考えもシナリオのひとつとして提示をしており、そういった中での議論を見守りたい」との回答がありました。
 
この質疑をどう受け取るかは、皆さんそれぞれかと思いますが、私は、既に24基もの原子力発電所が「廃炉」を決定していることや、40年超運転も含めた再稼働の進み具合などを踏まえたとしても、「S+3E」、さらには「カーボニュートラル」の達成に向けては、新増設・リプレースの選択肢は無くてはならないものと強く認識したところです。
 
先に述べた、エネルギー情勢に加え、災害に対する脆弱性、中東からの資源がなければ成り立たない地政学的リスクなども最大限考慮した政策でなければ、国家の根幹を成す「現実的なエネルギー政策」とは言えないことから、この点、昨晩改めて認識できたことを胸に、来週、自身の代表質問に望みたいと考えます。
 

【全ての面で完璧なエネルギーはありません。少資源国の我が国において採るべき電源構成についてお考えいただく機会となったのであれば幸いに存じます。】

風力発電事業に係る市環境審議会を傍聴

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一言の影響は世界中に。
 
森喜朗東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長の「女性がたくさん入っている理事会は時間がかかる」などの発言は波紋を呼び、国際的にも批判を受ける始末になっています。
 
国際オリンピック委員会(IOC)はと言えば既に、森会長自身が発言を撤回し謝罪したことを受けて「この問題は決着した」との声明を発表していますが、この火種が大きくならないことを願うところです。
 
森会長は言わずと知れた、お隣石川県出身の総理大臣経験者な訳ですが、総理就任中も「日本は天皇を中心とした神の国」、選挙前には「無党派層は寝ていてくれればいい」など、失言の多さは随一。
 
史上最もマスコミに叩かれた総理とも揶揄される存在。
 
昨日、記者への質問に対しても「粗大ゴミなら掃いてもらえばいい」と不敵に笑みを浮かべる姿は、当時そのままといったところでしょうか。
 
批判はせず、森会長の姿から我がフリ直すだけでありますが、どうか会長には、シドニーオリンピック女子マラソンで優勝した高橋尚子選手に、陸上競技での日本女子選手初の金メダルを獲得したとして国民栄誉賞を与えた、あの時の気持ちを思い返し、対応にあたっていただきたく存じます。
(とすれば、あのような発言は出ないとの意味です)
 
さて、昨晩は消防庁舎講堂で開催された、令和2年度第4回となる敦賀市環境審議会を傍聴してまいりました。
 
この日は、敦賀市周辺で計画されている3つの風力発電事業のうち、(仮称)美浜新庄ウィンドファーム発電事業と(仮称)福井藤倉山風力発電事業の「環境影響評価方法書」に関する事業者からの説明と委員からの質疑が行われました。
 

 
以前にも本審議会を傍聴しているのですが、その時は「環境影響評価配慮書」に関するものでしたので、今回はステップを一歩進め議論されたこととなります。
 
発電事業を行うまでには、法に基づく「環境影響評価」を行う訳ですが、この評価は別名「環境アセスメント」と呼ばれ、事業が環境保全に十分配慮して行われることを目的とし、開発事業の内容を決めるにあたって、環境にどのような影響を及ぼすかについて、あらかじめ事業者自らが調査、予測、評価を行うものです。
 
また、評価は調査の範囲の設定はもとより、項目も大気、水質、騒音、動物、植物などへの影響まで多岐に亘るため、3〜5年の十分な期間を掛けて進められます。
 

【環境影響評価の流れ(敦賀市環境審議会事務局資料より抜粋)】
 
審議会では、事務局より環境影響評価制度について説明の後、事業者である(株)グリーンパワーインベストメント、JR東日本エネルギー開発(株)から事業概要と方法書の中身についてプレゼン形式で説明が行われましたが、その内容は大変分かりやすいものでした。
 
委員会からも質疑も活発とは行かないまでも多数挙げられ、公募委員として出席されていた会社の大先輩も事前調査のうえで熱心に質問されている姿が頼もしく(上から目線ですみません)、ご活躍されていることを嬉しく感じた次第です。
 
今後、審議会においては、昨日の意見を踏まえつつ、市長への答申案作成に入ることとなります。
 
また、2月16日(火)18時45分からは、残る(仮称)鉢伏山風力発電事業について同様の内容にて審議会が開催されます。
 
比率を高めていこうと全国各地で進む再生可能エネルギー事業でありますが、大切な自然環境に影響が無いよう開発することは、原子力や火力、水力など既存の発電設備と同じこと。
 
そうした観点から、我がまち敦賀の周辺で計画されるこの3つの風力発電事業に関しては、より丁寧に且つ慎重に事業が進められるべきとの視点をもって、今後も可能な限り傍聴をし、審議の状況を見守っていきたいと考えます。

電事連も節電要請。電力需給逼迫の背景にある現実と実態。

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福井県嶺北地方や富山県、新潟県などに大雪をもたらした今期最強寒波は、北陸自動車道での立ち往生を始め各交通機能麻痺など影響を及ぼし、昨日ようやく緩みました。
 
これによる流通・物資調達への影響というのはすぐさま如実に表れており、昨日妻が買い物に行くと、野菜やパン、牛乳などの棚が見事に空であったとのこと。
 
この影響範囲は、決して一部のエリアに留まらないことを思えば尚のこと、今回の事象も我がことと考え、対策に反映すべきことがないか検証を行っておくべきと考えるところです。
 
北陸地方の寒波が過ぎたと思えば、今日は関東地方でも雪の予報。
 
コロナ緊急事態宣言の1都3県を含め、混乱なきようリスク意識を高めた行動をお願いするところであります。
 
さて、この寒波と電力需給の関係については、9日のブログでも節電のお願いなどをお伝えしたところですが、電気事業連合会や大手電力も10日、全国的な電力需給逼迫を受けて節電への協力を呼び掛けています。
 
電力各社は安定供給を確保するため今冬は最大限の対策を取っている訳ですが、電事連は「3連休明けの12日は全国的に悪天候が見込まれ、需給がさらに悪化する可能性がある」と強調したとあります。
 
電事連が需要が増える夏や冬前を除いて節電への協力を求めるのは、東日本大震災直後の2011年3月14日以来となることを思えば、事態は極めて深刻なものと受け止めています。
 
需給逼迫は実態として、各電力会社間で電力を融通し合う綱渡りの状況にある訳ですが、自身のFacebookでのやり取りにおいて、九州管内では廃止を決めた発電機の再稼働や災害用の高圧電源車を系統連携し何とか電力供給しているとの実態を知り、国民生活に欠かせない電気の安定供給に昼夜を問わず懸命な努力を続けている電力関連産業の皆さん、いわゆる「電力マン」の奮闘に対し、改めて心からの感謝と敬意を表するところ。
 
こうして現場は必死でライフラインを守っている状況にありますが、今期の需給逼迫は、単に寒波で需要が高まる一過性の理由ではなく、LNG(液化天然ガス)燃料調達の関係が起因していることが、より深刻さを増している所以と受け止めるところ。
 
NPO法人国際環境経済研究所理事の竹内純子さんの「アゴラ」での投稿を拝見するとタイトルは『ブラックアウトの危機!「電力緊急事態宣言」を出すべきだ』とし、このLNG燃料調達の件に関しては、「中国での寒波や炭鉱事故、中国と豪州の政治問題から中国が豪州産石炭の輸入抑制措置を取り、その代替として天然ガス依存が高まったこと、韓国でも公害対策として石炭火力を16基停止させて天然ガスの利用が増えたなどの事象が重なり、東アジアのマーケットが影響を受けたこともあるのだろうと推測しています。」とあります。
 
また、「豪州やカタールなど天然ガスの産地でトラブルがあったという話も仄聞している。」ことや「天然ガスは-162℃という超低温で液体にして輸送・貯蔵するので、低温冷却するタンクを大量にはもてませんし、LNGは長期保存には向かないのです(長くても1-2カ月)」、つまりは、「石油は半年分くらい国内備蓄がありますが(オイルショックの後にできた石油備蓄法という法律による)、LNGは2週間分程度しか国内に在庫がない。」という現実があります。
 
さらには、「LNG船から陸にLNGを荷揚げするときには、太さ数十センチのパイプを接続します。冬の荒海でそのパイプを接続するなど至難の業で、荒れているときは荷揚げをできない日も当然あります。冬の日本海側でこの作業を安定的にできるなんて思っちゃいけません。」ともあり、陸地続きでガスのままパイプラインで安価で安定的に供給ができる欧州やロシアとの違い、日本は液化して輸送してまた温度を上げてガスに戻して使うということをしないといけないことから、コストも安定供給リスクも他国と同等に語れないと述べています。
 
最後には、「それなのに再エネ比率など含めて、エネルギー政策を他国と比較して安易に語ることが多すぎたように思う。」、「LNG調達のリードタイムに通常2カ月程度は必要でしょうから、早く国民に周知して、電力の節約に努めてもらわねば、燃料が底をつくことになりかねません。」と根幹に関わる部分への懸念と危機意識のもと投稿を結んでいます。
 
電事連や大手電力会社が節電要請する背景には、こうした内外の要因による「調達リスク」があることを強く念頭に置く必要があると考えます。
 
また、あらゆる物資は、需要が供給力を上回れば(需要過多)、必ず価値(価格)は上がる市場の原理と同様、電気とてこの需給逼迫によって市場価格は高騰してきています。
 
この点は、あまり報道されない事実でありますので、また整理のうえお伝えできればと思います。
 
いずれにしましても、外国からの資源調達には地政学上のリスクなど様々な不安定要素があるのは当然の如きであり、こうしたリスクを可能な限り低減させるためにも、エネルギー自給率を高めていくことは、少資源国の我が国において不変の考えであります。
 
本日以降も、仮に需給逼迫を煽ったり、電力会社の手落ちだなどと報道されることがあった際には、ここまで述べたような実態と現実、根本的なエネルギー政策の問題があることを是非頭に置いて、お聞きいただければ幸いに思います。
 
こうしている今も、危険と隣り合わせの中、昼夜を問わず停電復旧に励む電力マンの姿があって電力供給が成り立っていることも現実として胸に留めていただければ尚幸いに存じます。
 


【大雪により電線と干渉した倒木を点検・撤去している状況(北陸電力送配電Twitterより)】

強い寒気により電力供給も緊急事態

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「爆弾低気圧」による大雪は、今のところ予報を裏切り、ここ敦賀ではまとまった降雪がないばかりか、昨日は青空が広がる冬晴れ。
 
路面状況の確認を兼ねて、早朝少し歩くと、凛とした空気に一面真っ白、眼前には朝陽に照らされる野坂山と冬ならではの風景に出会うことが出来ました。
 

 
雪の心配は少し和らいだものの、久しぶりに見る「氷柱(つらら)」と凍結する路面、家の風呂場の窓まで凍って開かないというのも久しぶりではなかったかと。
 
それもそのはず、敦賀測候所データによると昨日の最高気温は2.7度、最低マイナス2.4度と、とにかく一日中気温が上がらず寒い一日となりました。
 
この寒気により、今年一番の冷え込みとなっているのは、もちろん敦賀だけではなく全国各地に及んでいる訳ですが、これを表すのが電力需要。
 
北陸電力送配電エリアにおいては、爆弾低気圧による寒冷な気候条件が続いていることにより、昨日8日の最大使用率は99%(12時〜13時)。
 
11時から16時にかけては同エリアの需給バランスを保つ調整力電源等の供給力が不足し、電気の需給状況が悪化(需給>供給)する恐れがあったため、東京電力パワーグリッド株式会社、中部電力パワーグリッド株式会社から最大30万kwの電力融通を受けるという状況となっています。
 →→→「北陸エリアでんき予報」はこちらから
 

【本日9日の電力需給実績グラフ。緑の折れ線は昨日8日の実績を表しています。】
 
なお、北陸電力送配電に融通する東京電力パワーグリッドにおいては、東北電力ネットワーク株式会社から最大157万kWの電力融通を受けたほか、お隣の関西電力送配電においても使用率は98%に到達しており、まさに各エリアで綱渡りの電力供給状況となっており、「電力供給の緊急事態」とも言えると受け止めるところです。
 
こうした状況となっている理由のひとつは、当然の如く寒波で電力需要が伸びていること。
 
一日中、暖房器具をつけたまま過ごすなど需要が高まることは容易に想像できます。
 
もうひとつは、東京電力パワーグリッドが電力融通を受けた際に出したプレスに表れています。
 
以下、プレス文を引用。
 
「当社サービスエリア内における連日の低気温の影響により電力需要が増加し、LNG火力発電所が計画を上回る稼働を継続していることで燃料在庫が減少したため、発電事業者の持続的な供給力(発電電力量(kWh))が低下し、年明けから厳しい電力需給状況となっていることから、安定供給を確保するために他の一般送配電事業者から電力融通を受けたものです。」
 
ちなみに、北陸電力送配電については冒頭に述べた通り、「需給バランスを保つ調整力電源等の供給力が不足し、電気の需給の状況が悪化する恐れがあったため」とプレスでも述べられています。
 
つまりは、東京のプレスにあるようにLNG(液化天然ガス)の不足が原因であり、調達不足が深刻化していることが背景にあるとのこと。
 
大きくこの二つの要因が重なって発生している電力需給のピンチであり、これは偶然ではなく必然のものと認識するところであり、各電力会社においては、電力需給状況の改善を図るため、電力広域的運営推進機関に電力融通を依頼のうえ対応しているというのが現状であります。
 
そして、もう一つ認識しておかなくてはならないことは、安定した電力供給は「需要と供給のバランス」が釣り合って成り立っているということ。
 
つまりは、どちらかが大きく崩れると一部の人が使えなくなるのではなく、2018年に北海道で発生した「ブラックアウト」が記憶に新しいよう、全体が崩壊(停電)することになるという特殊性を強く頭に入れて置く必要があります。
 
「じゃあ電源は他に無いのか」ということになりますが、ソーラーパネルが雪に埋もれてしまっている太陽光発電は戦線離脱で論外。
 
原子力で言えば、北陸の志賀原子力発電所2号機は135万8千kW、日本原電の敦賀発電所2号機は116万kWと起死回生の戦力になり得る訳ですが、全て審査のため停止中。
 
「たられば」を言ってはいけませんが、この原子力が稼働していれば、厳寒時の需要にも十分耐え得るベースロード電源が確保できることを思えば、本当に「宝の持ち腐れ」であると忸怩たる思いが込み上げてくるところであります。
 
無いものねだりをしていても仕方ありませんので、これ以上は止めます。
 
何をさて置き、需給が逼迫している折迎えるこの三連休、私たちに出来ることは「節電」しかありません。
 
寒さは凌がねばなりませんので、各ご家庭においては、一枚多く着てカイロを貼り、一つの暖房器具や照明のスイッチを切ることにご協力いただけますようお願いいたします。
 
なお、こうした状況を踏まえ、安心で安定的な電源構成のあり方についてもご一考いただければ幸いに存じます。

【内容紹介】2020年エネルギーフォーラムin敦賀

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本日は、プラザ萬象で開催されました「2020年エネルギーフォーラムin敦賀」を聴講。
 
コロナによる社会・環境変化、経済対策、そしてエネルギー政策について「現実的且つ冷静な視点」で述べられたものであり、是非皆さんにも知っていただきたいとの思いのもと、早速シェアをさせていただきます。
 
私のリアルタイムメモの全文掲載となりますが、お読み取りいただけますようお願いします。
 

 
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【2020年エネルギーフォーラムin敦賀】
 
1.日 時:令和2年11月7日(土) 14:00〜16;00
2.基調講演
(1)テーマ:経済情勢の行方とエネルギー問題 〜感染症と地球温暖化の関わりを考える〜
(2)講 師:岸 博幸 氏(慶應大学大学院教授)
(3)内 容:
・原子力は福井県嶺南地方の主力産業であり、日本にとっても益々重要となる電源。
・コロナ発生以降、実体経済は全然良くなっておらず厳しい状況が続いている。
・経済に関しては、コロナで落ち込んだ需要を早く取り戻すとの議論ばかりであるが、コロナ前もそれほど経済情勢は良くなかった。
・デフレは20年以上継続、人口減少などにより、経済の潜在成長率は1%を切っていて生産性も低く、何も解消していない。
・コロナは100年に一度の疫病であり、構造変化・社会の価値観の変化がこれから起こる。
・構造変化のひとつは「デジタル化」。これまで進めようとしても進まなかったリモートや在宅勤務、医療分野では初診から遠隔医療が可能となった。
・もうひとつは、人々の環境問題や社会問題への意識が高まると考えている。
・さらに、コロナで自分の生死に関わる健康の心配をした経験が脳の中に残ることから、生活環境への意識も変わる。
・日本でもディスタンス(距離を取る)が当たり前となってくる。
・渋滞学では、手を伸ばして隣の人が伸ばした手が当たらないのが、人間が快適に過ごせる距離とされている。
・この快適さを経験した社会は、あらゆる面で変化をすると考える。
・ヨーロッパは政策に関しては先進国。オランダの首都アムステルダムでは、復興戦略で経済成長を目指さない、地域住民のつながりを強め、環境を考えるレジリエント(柔軟性ある)都市にすると示している。
・日本においては、コロナで落ち込んだものを取り返すのは当然のこととして、色んなことを改革していくとしており、初めに具体論(携帯料金、デジタル庁)から入った菅政権の取り組みは個人的に評価している。
・過去に成功した政権は、具体論から入り政策を進化させたケースが多く、菅総理にはそのポテンシャルがある。河野大臣も改革の筆頭であり、条件は揃っているのではないか。
・短期的課題が多い中、ひとつだけ長期的課題を述べたのが所信表明演説の「2050年の温室効果ガス実質ゼロ」。
・ではこれで、今後のエネルギー政策や環境問題への対応はどう変わってくるか。
・おそらく現状で政府の中に現実的な考えはない。
・政府の成長戦略会議では極めて入口の議論しかされていない。
・答えはシンプルで、石炭はかなりドラスティックに減、天然ガスもある程度は減らさざるを得ない。現時点で再生可能エネルギーでは賄えないので、原子力が基幹電源として見直されるべきであり、菅総理もその重要性ことは頭にあると考えている。
・野心的目標であるからこそ、そう考える。
・原子力の再稼動を増やす、新増設に向けても良い流れにある。
・菅総理は世論の反発があってもやることはやる。
・分かりやすい例はデジタル化、ハンコを無くすことについて選挙の政策に入れようとした際、当時官房長官として菅さんは「反対」(世論・業界の反発を考慮)したが、総理になったら実施判断した。
・そうやって考えるとエネルギー政策も同じなのではないか。所信表明で原子力を入れたということは、2050年温室効果ガスゼロに必要だと思ったからであり、頑固な菅総理は踏ん切る気持ちがあると考えるのが自然。
・シッカリと言及された点については、非常に大きな意味合いを持つと勝手に考えている。
・福島事故以降、原子力は常にアゲインスト。批判ばかりであった世論がこれから変わるのではないかと期待している。ニュートラルに見て評価すべきは経済産業省の取り組み。例えば福島第一の処理水の問題に対して、非常に前向きに真摯に対応しているので、そう遠くはない時期に解決すると考える。
・高レベル放射性廃棄物の最終処分地の関係も然り、これまでにない動きが出てきている。エネ庁が真剣に取り組んでいる証拠。
・女川原子力発電所も再稼動の見通しが立ってきた。
・これらを考えるとプラスに働く要素が多く出始めており、良い方向と受け止めている。
・反対しているのは、立憲民主党や共産党。これが無くなることはないが、総理は決断していくであろう。
・日本経済の再生のためにはエネルギーコストを下げる必要があることや地方創生のためにはエネルギー産業が必要であることからすれば、そうした正論の声をなるべく多くの方から挙げていくことが重要。
・こうした問題は賛成派の方が冷静なので、声を挙げないケースが多い。基地問題と原子力問題は似ている。
・総理の野心的な目標を達成するためには原子力発電は必要不可欠であり、新増設の話しもどこかでしていくはず。こうした声を地道に挙げていかなければならない。
・「全力脱力タイムズ」に開始から5年間レギュラーで出演しているが、何だか分からない番組と言われながらもここに来て視聴率が良くなってきている。少し違うかもしれないが、地道に続けていれば良い方向に向かう。
・デフレの解消、生産性を上げる、コロナの中でそのことを改善していく大変さがあるが、3E+Sのエネルギー政策の当たり前の考え方は役割を果たす。
・原子力は地域経済に必要なことに加え、そのことが日本経済にも貢献していると立地の皆さんは考えて欲しい。
・地方を活性化する本質は、いかに産業を根付かせて雇用を増やしていくかであり、地域振興の観点からも原子力は必要。安定的稼働で、より長期的に役割を果たすことが出来る。長年の歴史は大きなアドバンテージである。
・批判に負ける必要はなく、この嶺南地域が日本を救うとの矜持を持って行動して欲しい。
・繰り返しになるが、野心的な目標を掲げた頑固な菅総理は、どんな手段を使ってでも必ずやり通す。即ち、原子力の重要性が見詰め直されることになる。
・これからの数年の大事な期間を逃して欲しくない。
 
3.質疑応答
質問)予算委員会の答弁では、「新増設やリプレースは現時点では考えていない」との答弁があったが、どう受け止めれば良いか。
回答)「現時点では」であり、将来的に可能性があるということで気にする必要はない。
質問)このままの再稼動ペースでは、2030年の原子力比率は達成出来ない。
回答)仰る通りで、このままでは無理。再稼動を進めることに加え、40年超え運転や新増設なども必要であり、現政権では前向きな議論が進むと期待している。
質問)日本原電敦賀2号の評価の仕方、志賀の活断層の問題についてはどうお考えか。
回答)菅総理は安倍政権以上のリアリストであり、再稼働を優先するのは当然。規制庁の審査に関しては、否定しても仕方ないが、現実的に対応いただくしかない。世論、風向きが変われば、時間は掛かるかもしれないが、良い方向に変わってくると思う。
質問)世界の原子力の潮流と高レベル放射性廃棄物の問題がクリアされれば、新増設やリプレースなどの動きが出てくるのか。
回答)再生可能エネルギーの良いところだけがPRされているが、負の面もある。再エネ比率拡大の潮流はやむを得ないが、原子力は否定、再エネは良とする報道が続く以上、地道に対応していくしかない。
質問)ウランの資源量が100年で枯渇する実態がある一方、高速増殖炉や新型原子力発電の技術についてはどう考えるか。
回答)新型炉はエネ庁が頑張っているのは知っている。各国とも協力のうえ進められるものと受け止めている。資源の量に関しては、石炭も同じように言われてあまり変わっていないので、もう少し慎重に取り扱うべきかと考える。
質問)アメリカ大統領選挙の結果の影響は。
回答)間違いなくバイデンが勝つと思うが、そうするとパリ協定にも復帰するであろう。そうすると環境を意識した施策が進むので、日本はそれに向けて準備していく必要がある。
質問)教育の面で、若い世代は将来へのエネルギー確保に向け、原子力が必要と考える傾向もあると認識している。是非、小中学校からエネルギー教育を行うべきではないか。
回答)教育は変えていかないといけないことが非常に多いと感じている。最近の傾向を見ると、世の中のために何がやりたいと考える人が増えているようであり、社会問題・環境問題がクローズアップされてくることを考えると、それに関連づけた形で、伝わるようにしていかなければと考えている。役所は分かりやすく工夫する余地がある。地域の方も後世に伝える役割を担っていただければと思う。これまでの「問題解決型」の人材育成ではなく、これからは「問題を発見出来る」人材の育成が重要だと考える。
 
以 上

「エネルギー基本計画」改定に向けた議論がスタート

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昨日は休暇をいただき、以前より計画をしていました敦賀高校陸上部時代の同級生と野坂山登山に。
 
この日集まったのは8人で全員とまではいきませんでしたが、遠くは大野市から駆け付けてくれて嬉しい限り。
 
厳しく苦しい練習や喜び、達成感をともにした友は、30年経っても昔のままで、道中は入れ替わり立ち替わりお互いの近況報告やたわいもないことで大笑いし、しゃべり放し、笑いっ放しの登山となりました。
 
スタート時は晴れ、山頂はあいにくのガスで視界不良、また一ノ丈あたりまで下ると晴れ渡る空という目まぐるしく変化する山の天候でしたが、そんな天候も仲間の笑いあれば関係なし。
 

【元気良くスタート!天気も晴れ!】

【山頂到着!ガスで360度何も見えず…】
 
変わらぬ友からたっぷり元気をもらいましたので、また今日から全力疾走で頑張りたいと思います。
 
さて、そのような昨日でしたが、国の動向に目を向けると、経済産業省が総合資源エネルギー調査会基本政策分科会を開催し、エネルギー政策の中長期的な指針となる次期「エネルギー基本計画」の改定に向けた実質的な議論に着手。
 
二酸化炭素の排出を減らしていく「脱炭素化」の動きが世界的に広がる中、最適な電源構成比率のあり方や、福島第一原子力発電所事故以降の原子力発電の位置づけをどうしていくのかが焦点になるとされています。
 
この基本計画は、少なくとも3年ごとに内容を検討することが法律で決められており、平成30年7月に現行計画を閣議決定してから約2年、計画に対する進捗などを勘案しながらの見直し議論となります。
 
この目標に対する進捗で、とりわけ申し上げておきたいのは原子力発電所の構成比率。
 
2030年目標20〜22%に対し、現在再稼働したプラントを合わせても6%であることに加え、新規制基準審査の長期化などにより後続の再稼働プラントの明確な再稼働目処が立っていないことから、目標の達成に向けては相当ハードルが高いものと考えます。
 

【エネルギー基本計画策定後の動向と今後の対応の方向性について(平成30年12月27日 資源エネルギー庁)より抜粋】
 
この審議会において梶山弘志経産相は「脱炭素化は避けては通れないが、それにはコストがかかり、電気の質も問われる」と言及したほか、世界的潮流である再生可能エネの導入を積極的に進める一方で、国民負担につながるコスト面の議論も深めるよう要望したとのこと。
 
また、脱炭素化の重要な選択肢となる原子力発電所の再稼働も大きな課題とし、今回の審議会でも各委員から、「地域住民に配慮しつつ、原子力の優れた特性を生かし、既設施設の再稼働や新設の必要性がある」、「経済合理性やCO2削減の面で極めて重要な選択となる。再整備のためには、新しい基準や技術開発が必須」といった意見が相次いだとあり、エネルギー自給率を高めるうえでも重要となることから、国民の理解を得ながら、どう整備すべきか議論を深める模様とのことであります。
 
さらに、日本は温室効果ガスを平成25年度比で令和12年度に26%削減する目標を掲げている訳ですが、残り10年での達成は大変厳しく、新型コロナの影響で来年11月に延期された国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)までに、欧州連合(EU)など日本の取り組みに厳しい見方をする国々も納得できる明確な意思表示を行えるよう意見を取りまとめられるかも議論のポイントとされ、今後の全体を俯瞰した審議に大いに注目するところであります。
 
原子力発電に関しては、ロシアや韓国を始め新型炉の実証を終え実用化する方向にあるなど、世界の原子力技術は弛まなく進歩していることや、日本国内においては原子力技術と人材を確実に維持・継承していくことが、安全性を高めることにつながるものであり、そのためには既設炉の再稼働は勿論のこと、新増設やリプレースも必要であると私は考えます。
 
エネルギー政策は経済活動とゆたかな国民生活に直結する「国家の根幹」に関わるものであり、昨日述べた外交防衛と同じく「現実的」なものでなければなりません。
 
世論の顔色を伺っての「理想」ばかりでは、いよいよ国家の衰退にも関わる分岐点と考えることから、菅政権下において是非とも覚悟を持った「エネルギー基本計画」となるよう期待するものであります。

風力発電事業計画に係る環境審議会を傍聴

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現在、敦賀市の周辺では新たに2つの風力発電事業計画があり、令和2年7月28日からは影響評価法に基づき、事業者が作成した「計画段階環境配慮書」が広告・縦覧されてきたところです(市役所の環境廃棄物対策課や東浦公民館などにて縦覧)。
 
2つの計画とは、ひとつが、敦賀市と南越前町に係る鉢伏山周辺の「鉢伏山風力発電事業(仮称)」、もうひとつが、越前市と南越前町に係る藤倉山周辺の「福井藤倉山風力発電事業(仮称)」であり、鉢伏山は中部電力、藤倉山はJR東日本エネルギー開発株式会社が事業者となっています。
 
私も以前に、縦覧されている「計画段階環境配慮書」を確認したところ、「事前調査を進めるにあたっての配慮事項」を示す、いわば計画の第1ステップとなるその書類は大変分厚く、かなり広範囲に亘って記載されているため、要点を確認するだけとなりましたが、法に基づき慎重に手続きが進められていることは理解出来ました。
 
この「配慮書」に関しては、公告・縦覧のみではなく、市の環境審議会にて内容が審議されることとなっており、これまで2回の審議会が開催されてきています。
 
過去2回は所用と重なり傍聴出来ずにいましたが、昨晩開催された第3回目について、ようやく審議の状況を傍聴することが出来ました。
 
環境審議会は、学識経験者6名、区長連合会など関係機関の代表者6名、そして公募による住民の代表者3名の計15名で構成され、任期は令和2年5月から2年。
 
会場の消防庁舎3階の講堂に入ると、上記の審議会委員の皆さんを始め、20名弱の傍聴者がいたことに関心の高さを感じました。
 

 
この日の第3回では、前回までの委員会において挙げられた意見、質問に対する事業者見解を確認したうえで、それぞれの計画に対する答申案取り纏めまでの審議が行われました。
 
実は、鉢伏山側の事業想定区域内では、既に方法書の段階まで進んでいる「南越前・敦賀風力発電事業(仮称)」というものがあり、それとの関係性などについても質問がありましたが、当該事業については、事実上「撤退」しているとし、今後、行政や関係機関と協議を行いながら対応を検討していくとの回答がされていました。
 
また、意見・質問は、超低周波音や風車の破損事故、森林伐採や景観、鳥類魚類への影響、地域振興策、地域住民への対応に至るまで幅広い視点で挙げられており、あの分厚い配慮書を相当読み込まれたうえ、考え得るリスク想定をされたであろう審議会委員の皆さんの審議に臨む姿勢に感心した次第。
 
この計画に関しては、もちろん大きな視点で捉えれば、再生可能エネルギーの導入拡大により、温暖化対策やエネルギー自給率の向上につながるというものであり、委員の皆さんが指摘されたような点に十分配慮をしつつ、私自身は基本「推進」の立場にて今後の検討状況を確認していきたいと考えます。
 
そのうえで、もうひとつ大事な視点は、最後(廃棄処分)まで責任をもって事業運営をしてくれる「信頼ある事業者」であるかどうかだと思います。
 
太陽光発電で顕著に見られる大規模な開発による森林破壊、台風などで吹き飛ばされ周辺に被害を与える太陽光パネル、そして固定価格買取制度や採算の兼ね合いにより無残に放置される状況など、どれもこれも、その事業を営む方の「資質」によるものと考えます。
 
今回計画されている2社は、いずれも社会的信頼ある企業の看板を背負っているため、その辺は問題ないかと思いますが、原子力と同じく、とりわけ「廃止措置」に至るまでの考えが適切であるかについては、今後、自分なりに確認をしていきたいと思います。

COP25で日本は何を語るのか

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12月2日、スペインの首都マドリードにて開幕したCOP25

昨日の敦賀は終日の風雨。
天気図を見ると、今日は見事な「西高東低」で冬型の気圧配置。北海道や日本海側では荒れ模様となるため、タイヤや防寒など油断なく備えをしておきたい。

さて、気候に関して言えば、スペインの首都マドリードにて国連気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)が開催。

昨今、地球規模での気候変動が顕著となる中、地球温暖化防止の新たな国際的取り組みである「パリ協定」の運用開始が年明けに迫る中、実施ルールの詳細を決めていくことが主要な課題となっている。

先進国だけが温室効果ガスの排出削減義務を負った「京都議定書」とは異なり、先進国と途上国が共通ルールの下で排出削減に取り組み、産業革命前から今世紀末までの気温上昇を2度未満、出来れば1.5度に抑えることを目指すのが「パリ協定」。

この「パリ協定」に対し、日本は「2030年度に2013年度比マイナス26%」というCO2の排出削減目標を表明しているものの、原子力発電所の再稼働が遅々として進まず、火力発電で穴埋めせざるを得ない現状では、到底達成など不可能との見方が強く、「消極的」と世界から見られるのも止むを得ないものと考える。

只でさえ「乾いた雑巾から絞る」状態の日本。
再エネ固定価格買取制度の問題などもあり、今後の再エネ普及に暗雲立ち込める中、26%削減が難しいことは明白であり、達成に向けた真の具体策はあるのか甚だ疑問である。

ハッキリ申し上げ、私は、「いま持ち得る資源」を最大限有効活用し、日本が地球規模の対策に貢献するには「原子力発電」しかないと考える。

先般、温暖化対策に消極的とし、国連から演説を拒否された日本。


このような中開催されるCOP25において、日本の代表である小泉環境大臣はスペインで何を語るのか。
意味を持たない「セクシー」発言は初デビュー祝儀として済まされただけであり、温暖化対策で世界を牽引するとの覚悟があるのであれば、確固たる信念を持って具体策を語ってもらいたいものである。

アラビア海のスーパーサイクロン「キャー」と気候変動

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「観測史上最大」「過去最大級」と耳にして思い浮かべるのは、日本では台風。
相次ぐ猛威を目の当たりにした日本人にとっては、あまり聞きたくない言葉でもあります。

この台風。
調べてみると東経180度より西の北西太平洋、南シナ海で日本の分類。
ハリケーンは北太平洋、カリブ海など西経180度より東の北太平洋東部、タイフーンは北太平洋西部、サイクロンはベンガル湾、北インド洋に存在する熱帯低気圧を指すとのこと。
例えば、東太平洋で発生したハリケーンが東経180度を跨ぐと台風になるということになります。

アラビア海に目を向けると、先週発生したサイクロンは、台風19号が発生した時点とほぼ同じ中心気圧915hPaの「観測史上最大級」のスーパーサイクロン。
そして何と、このサイクロンの名前は「キャー(Kyarr)」。

アラビア海に発生したスーパーサイクロン

「キャー」とは何ぞや?ということですが、ベンガル湾とアラビア海を起源とするサイクロンの名前は、インド、バングラデシュ、ミャンマーなど8か国が集まって作成した合計64の名前リストから発生順に名付けられるそうで、今回は「キャー」になったそう。
ミャンマー語で「トラ」の意味があるとのことです。

話しを元に戻すと、この相次ぐ「観測史上最大」の更新、つまり近年の自然発生事象の大型化の要因は、海水温度上昇によることが明らかになってきています。

因みにロスの山火事ではありませんが、北米の山火事の回数増加と大規模化の要因は、気温上昇と言われています。

つまり、気候変動がこのような自然事象とそれによる大規模災害をもたらしていることからすれば、我々に出来ることは何か。
先般参加したエネルギーフォーラムでの講師の言葉を借りれば、「今最も有効な温暖化対策のエネルギー源は、水力+原子力の組み合わせだ」とのこと。
私もそのことに全くもって異論はありません。

刻一刻と進む温暖化のスピードを緩めるため、大袈裟ではなく地球規模の将来と人類のためにも、今出来ることを速やかに判断し実行すべきと考える次第。

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