再稼働に向け「島根原子力発電所2号機」が大きく前進

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原子力の分野においては「司法リスク」という言葉がありますが、先日はまたやこの言葉に直面。
 
5月31日、札幌地方裁判所において、泊発電所の運転差止め請求を認容する判決(以下、原判決)が出されました。
 
北海道電力においてはこれまで、泊発電所の安全性等について、裁判所の理解が得られるよう説明を重ねてきたところですが、この主張が理解されない原判決となったことに対し、同社は誠に遺憾、到底承服できるものではないとし、昨日、札幌高等裁判所へ控訴。
 
控訴審で原判決が取り消されるよう、引き続き泊発電所の安全性等の主張・立証を尽くすとしています。
 
判決に対する受け止めは、私も全くもって北海道電力と同じでありますが、いつまでこの「司法リスク」に苦しまなければならないのか、忸怩たる思いが込み上げてくる次第です。
 
一方、こちらは同じ原子力でも大きな前進となる朗報。
 
2日、中国電力島根原子力発電所2号機(沸騰水型炉:BWR、出力82万kW)の再稼働について、丸山達也島根県知事が「現状では原子力発電が一定の役割を担う必要がある」と述べ、島根県議会の正式同意の判断を踏まえ再稼働に同意すると表明。
 
地元自治体の再稼働への同意は、沸騰水型軽水炉(BWR)では東北電力(株)女川原子力発電所2号機に続いて2番目となりました。
 
 →→→中国電力ホームページ「原子力発電」のサイトはこちらから
 
中国電力においては、東日本大震災以降の原子力発電所の停止に伴い、火力発電所の高稼働により供給力を確保してきましたが、現下の厳しいエネルギー情勢において、原子力発電所の再稼働が安定供給に及ぼす効果は大きく、同社によると、島根2号機の稼働によって、燃料費減少額は年間400億円程度が見込まれ、燃料価格の変動による影響を受けにくくなり、電気料金の安定化に寄与するとしています。
 
また、CO2排出量は年間約260万トン削減できる見込みであり、中国電力全体のCO₂排出量の約1割の削減が可能とも試算されており、まさに経済性、環境への適合の観点からも同発電所の再稼働は大きな意義を有するものであります。
 
我が国のエネルギー政策を考えるうえで根幹となる「S+3E」(安全確保を大前提に、安定供給、経済性、環境への適合を同時に達成すること)に、この島根2号機の再稼働は大きく貢献するものであり、改めてここまでの関係者の皆さんのご尽力、地域の皆さまのご理解に対し、心から敬意を表するものであります。
 
ただ、同発電所の再稼働にはまだ時間を要するのも事実。
 
安全対策工事を終えた後、原子力規制委員会の審査手続きが残っているからでありますが、これに関しては「安全確保を大前提」に規制委員会の審査が迅速且つ効率的に進められることを期待する次第です。
 
何故ならば、我が国の極めて深刻な電力需給逼迫は、最早「エネルギー危機」と捉えるべきあり、政府が企業や家庭に節電を要請してばかりの状況を打開するためには「原子力発電」を早期に再稼働させていくことしかないことはで明白であるからであります。
 
「司法リスク」や「政治リスク」にあっても歯を食いしばり、全国の現場で汗する仲間の思いは、只々「安価で安定した電気を届ける」との電力マンスピリッツ。
 
そうした同志とも言える仲間の皆さんの思いを胸に、私にできることは、少しでもエネルギー政策に関する理解を広めることとと思い、引き続き活動にあたる所存です。
 

【中国電力のパンフレット「島根原子力発電所の安全対策」表紙を抜粋】