広く国民に伝えるべきUNSCEARの「科学的評価」

ブログ 原子力

関西電力は15日に原子炉起動した大飯発電所4号機に続き、高浜発電所3号機(PWR、87万キロワット)も運転再開の見通しが立ったとし、23日に原子炉を起動、26日に並列(発電開始)すると発表しました。
 
順調に進めば8月19日に本格運転を開始する予定であり、経済産業省が6月末の審議会で示した8月の広域予備率5.7%に対し、今夏の運転再開を織り込んでいなかった高浜3号機の戦線復帰により、0.5ポイント程度改善する見通しとのこと。
 
定期検査中に見つかった蒸気発生器(SG)内の伝熱管損傷のため再稼働時期が未定となっていたものではあるものの、厳しい夏季の電力需給を改善するため対応にあたられた関係者の皆さんに敬意を表する次第です。
 
さて、こうして再稼働を果たす原子力発電所ですが、大前提にあるのが「安全」と「国民理解」。
 
このうち「国民理解」に関し、2012年3月に発生した福島第一原子力発電所事故による影響は、11年を経過した今も、負のイメージが払拭されていない状況にあると認識するところ。
 
この影響に関しては、偏見を持たず、中立的・公正な視点のもと、科学的に評価することが極めて重要であると、これまでも述べてきているところですが、7月19日「原子放射線の影響に関する国連科学委員会(UNSCEAR)」のメンバーらが日本記者クラブで記者会見し、福島第一原子力発電所事故について「放射線被曝(ひばく)を原因とする健康被害は認められない」とする解析結果を紹介しました。
 
メンバーは、昨年3月に公表した事故影響に関する報告書を住民や科学者らに解説するため来日しており、22日まで東京と福島で住民や学生、科学者らと対話イベントを開くとのこと。
 
この「UNSCEAR(アンスケアー)」とは、「United Nations Scientific Committee on the Effects of Atomic Radiation=原子放射線の影響に関する国連科学委員会」の頭文字をとったもので、国連の中でも最も歴史のある委員会のひとつ。
 
東西冷戦下で大気圏核実験が頻繁に行われていた1950年代。
 
環境中に放射性物質が大量に放出され、放射性降下物による環境や健康への影響について懸念が増大する中、1955年の国連総会でのUNSCEAR設立は全会一致で決議され、それ以来、核兵器《非》保有国の委員が持ち回りで議長を務めながら、放射線の発生源と影響に関する国際的な調査研究成果を包括的に取りまとめ国際社会に提供。
 
設立当初、日本を含め15カ国だった加盟国は、その後21カ国に増え、さらに今年からは27カ国になっています。
 
その同委員会が昨年3月に公表した報告書は、世界の放射線医学などの専門家が参加し、500本超の論文や調査を基にまとめたものであり、住民の避難経路などを精査した結果、被曝線量は高くないと推計し、「被曝によるがんなどの健康影響が増加する可能性は低い」と結論づけたほか、前議長のギリアン・ハース氏は「報告書は最新の知見やデータに基づいている。結論は堅固で将来も大きく変わるとは思われない」と強調されています。
 

【日本記者クラブで会見するUNSCEARのギリアン・ハース前議長(読売新聞WEB版より)】
 
科学的・中立的な立場から、放射線の人・環境等への影響等を調査・評価等を行う国際機関「UNSCEAR」の重大な報告は、先にあった「国民理解」の醸成に寄与すると思われるものの、私の見る限り、報道の扱いは極めて小さいもの。
 
福島第一原子力発電所に滞留する処理(済)水に対するIAEAの見解然り、こうした国際機関の「お墨付き」は、我が国にとって都合の悪いものなのでしょうか。
 
私は決してそうは思いません。
 
真の福島復興に向けては「風評」を払拭することが極めて重要であること、そのためには「空気感」ではなく、透明性と中立性のもと「科学的」な判断によって物事を進めることが必要不可欠です。
 
本日は、重要な「事実」を一人でも多くの方に知っていただきたく書かせていただきました。
 
「空気感」ではなく「科学的」に物事を判断する国「日本」に。
 
微力ながら、今後も引き続き発信を続けていく所存です。

議会広報はラブレター。想いを届けて恋してもらうもの。

ブログ 敦賀市議会

「正常性バイアスを捨てる」ことが、災害対応には重要なことと述べたばかりですが、昨晩は敦賀でも屋根を叩く激しい降雨がありました。
 
すぐさまスマホで雨雲レーダーを確認すると、帯状の雨雲が嶺南地方一帯を覆っておりヒヤリとしましたが、幸い短時間の降雨で済み、安堵した次第。
 
本日は、九州では引き続き大雨に警戒、関東以西は厳しい暑さに見舞われる予報に加え、新型コロナウイルス感染の急拡大などもあり、留意する事項も多岐に亘りますが、何事に対しても「油断禁物」で過ごしたいと思います。
 
さて、昨日の福井新聞では、おおい町議会が導入開始した「通年議会」の記事がありましたが、裏を返すと年4回の定例会以外は議会が活動していないような印象を受けた方も多いのではないでしょうか。
 
確かに、議会が有する「議決機関」としての機能・役割は定例会でしか執行出来ないものの、定例会以外の期間も委員会や所管事務調査、議長が招集しての議員説明会を開催するなど、「行政監視機能」を果たしているところであり、その点ご理解いただければと思う次第です。
 
昨日もそのひとつ、総務民生常任委員会では市庁舎整備に関わる所管事務調査、自身が委員長を務めます広報広聴委員会では、次号「議会だより」の紙面構成や掲載内容の確認、11月に開催予定の「議会報告会」などについて協議したところ。
 
「議会報告会」に関しては、コロナ禍でのオンライン開催から、今年度は会場参加型としたうえで、新たな取組として、市内のいくつかの団体にお伺いすることとしており、昨日は対象とする団体の候補まで絞り込んだところです。
 
また、その他事項として、先般、私が受講した「議会広報」に関わるオンライン研修報告をし、
◉読まれない、愛のない広報紙は税金の無駄
◉伝えたいことでなく、相手が知りたいことを分かりやすく。
◉「伝える」=アート(自己満足)vs「伝わる」=広報
◉SNSは、ひとつのメディアで全てを囲い込むことはできないため、ターゲットを決めて利用する
◉分かりやすい文章、シンプルな言葉を心掛ける
など、特に印象に残った言葉の紹介をしましたが、どれも自身の胸に刺さるもの。
 
講師が結びに述べたのは
◉議会広報はラブレター。想いを届けて恋してもらうもの。
◉広報が変わる→住民が変わる→まちが変わる

とのことでしたが、「想いなくば届かず」はまさに、私も共感するところ。
 
敦賀市議会の「議会だより」も自身の「やまたけNEWS」もそうした想いのもと、一層改善を図っていきたいと思います。
 
なお、定例会閉会後1ヶ月以内の発行を目標としている「やまたけNEWS」ですが、今回はやや遅れそうです。
 
「旬」のものを伝えねば情報としての価値も落ちますので、タイムリー性も強く念頭に置き、発行準備にあたる所存です。
 

【常に建設的な意見が飛び交う敦賀市議会の「広報広聴委員会」。先輩方が築き上げてこられたスタイルも大事にしつつ、市民の皆さんへの「ラブレター」となるよう改善あるのみです。】

「正常性バイアス」を捨て、備えを

ブログ 防犯/防災

海の日を最後に三連休が終わりましたが、前半の2日間をほぼほぼ「カッターレース」に費やした私の顔は、気付けば真っ黒に。
 
屋外でのマスク運用を意識しつつも、基本マスクを着使用していたことから、恥ずかしながらマスク焼け状態となってしまいました。
 
今日以降、お会いする皆様には若干お見苦しい形となりますが、コロナ感染対策を徹底した証ということでご理解いただければと思います。
 
さて、「戻り梅雨」とも言われるここ最近の天気。
 
二十四節気の「小暑」も後半に入り、これから益々暑くなる期間のはずですが、この先の天気予報を見ると月末までは晴れマークは無く、曇りや雨のスッキリしない天気の日が多くなっています。
 
特に週後半は強雨や雷雨に注意とあり、別の意味での心配が募るところ。
 
その心配とは、昨日も長崎県壱岐・対馬に線状降水帯が発生し記録的な大雨が降ったほか、今朝ほどは、大分県玖珠町付近で3時40分までの1時間に約120mmの猛烈な雨が降ったとみられるとして記録的短時間大雨情報が発表されたことにあるよう、不安定な大気の流入に伴う自然災害の発生ということになります。
 
大分県の大雨に関しては、北部・西部で線状降水帯による非常に激しい雨が同じ場所で降り続いているとして、これまた聞き慣れない「顕著な大雨に関する情報」を3時50分に発表したことに加え、19日未明にかけては、山口、福岡、佐賀県でも線状降水帯が確認され、気象庁は土砂災害や河川の氾濫に厳重な警戒を求めている状況にあります。
 

【大分県の記録的短時間大雨情報(ウェザーニュースより)】
 
西日本では20日にかけて、九州を中心に大雨が降る恐れがあり、21日は再び別の低気圧が西日本に接近する見込みで、九州では21日に、東北は22日に警報級の大雨となる恐れがあるとしています。
 
近隣ではつい先日、福井市を中心に大雨が降り、一部床下・床上浸水被害も発生したところ。
 
線状降水帯が少しでも南方に来ていれば、ここ敦賀も同じ状況に陥ったかもしれないと思えば、やはり対岸の火事と思っていてはいけません。
 
異常事態が迫っているのに、「大したことはない」、「自分だけは大丈夫」など、人間の脳がストレスを回避するために自動的に機能する、いわゆる「正常性バイアス」を捨て、楽観視することなく冷静に行動出来るよう、日頃から「心の備え」をしておくことが大切ですね。
 
もちろん、そういう事態がないに越したことはありませんが。

夏の風物詩「敦賀港カッターレース」を開催

ブログ まちづくり

「3年ぶり」の枕言葉が良く聞かれる今日この頃ですが、この三連休は、一昨日の「海開き式」に続き、昨日は「敦賀港カッターレース」が開催されました。
 
第25回目となる敦賀の「夏の風物詩」ですが、ここ2年はコロナ禍により、一昨年は大会直前の市内感染確認により中止、昨年はチーム数が揃わず、体験交流会に切り替えての開催としていたところ。
 
大会を主催する敦賀港カッターレース実行委員会では、4月の会議にて大会開催を前提とし、準備を進めてきた訳ですが、何と言っても嬉しかったのは、22チームが参加申込みをしてくれたこと。
 
昨年は大会を開催出来るまでの参加チームに到達しなかったことを思えば、各企業や団体なども感染対策を講じながらの屋外イベント参加について、理解が進んでいるものとも感じた次第です。
 
カッターレースに向けては、県港湾事務所へ開催場所(川崎・松栄岸壁)の占用許可や海上保安部への事業実施の届出をしたりと諸手続きを早目に済ませたうえで、7月2日にはカッター下ろし(陸から海上に浮かべること)、7月9・10日には練習会を開催したうえで、昨日の大会を迎えました。
 
最も心配していた天気については、朝方強く降ったものの、9時の開会式前にはピタリと止み、渕上隆信敦賀市長のご挨拶などを頂戴しましたが、22チームの参加チームが勢揃いし、大会が開催出来ることは感無量でした。
 
上級向けの1部6チーム、初心者でもOKの2部16チームに分けてのレースでは、際どい接戦もあれば、自コースの回頭ブイ(Uターンする目印)を間違え、失格になるハプニングも生じる中、敦賀市議会チームも2回の予選レースに出場。
 
決勝進出こそならなかったものの、チーム8人の一体感が生まれるカッターはやはり最高で、漕いだ充実感がありました。
 

【スタート前の市議会チーム】
 
こうして決勝までの全レースを終え、最後閉会式までを行った後、実行委員会全員にて会場の後片付け、撤収作業を行い、全ての工程を終了。
 
私が実行委員会の事務局に携わらせていただいたのは2年前からに過ぎませんが、こうして25回を数えるまで、海洋少年団OB・OGの方もいれば、カッターの楽しさ、魅力に引き込まれて参加された方などが、こうしてボランティアで支えていることに敬意を表する次第。
 
いずれにせよ夏の風物詩「カッターレース」で敦賀を盛り上げていこうとの思いをもった方の集まりであり、全員が自分で考え、テキパキと行動する姿は見ていて本当頼もしいことはもとより、老若男女が和気藹々とカッターでつながっていることを思えば、短い期間でありながらもその一員であることを誇らしく感じる次第です。
 
コロナ禍の25回大会を終え、今後も「みなとまち敦賀」のイメージや歴史を市内、そして市外へと広げていけるよう続けていきたいと思いますが、何を置いても今回のレースに参加をいただいた各チーム、応援に駆け付けていただいた皆さんに感謝。
 
参加いただくことによって、大会を盛り上げていただいたことに、心より御礼申し上げます。
 
それではまた来年、今年以上の参加をいただけることを祈念し、「カッターの聖地」川崎・松栄岸壁でお会い出来ることを楽しみにしています。
 

【大会を無事に終え、充実感あふれる笑顔の敦賀港カッターレース実行委員会の皆さん。長きに亘る準備から運営まで本当にお疲れ様でした。】

「名勝気比の松原」が3年ぶりの「海開き」

ブログ 敦賀の自然

新型コロナウイルスの新規感染者が爆発的に増加する中ではありますが、予定通り「3年ぶり」に気比の松原の「海開き式」が昨日開催されました。
 
浜茶屋は開設されないものの、こうして関係者一同が介して、敦賀の自慢「気比の松原」の「夏」の訪れを祝い、また水難事故等なきよう安全祈願を行いました。
 
この貴重な機会に、私も産経建設常任委員会委員長としてお招きいただいた訳ですが、既に海に入り、はしゃぐ子ども達の姿を見るに、親子や友達、或いはカップルそれぞれが、この気比の松原で良き思い出を作って欲しいなと、しみじみと願った次第です。
 

【安全祈願の様子。式の最後には海中献花も行われました。】
 
さて、この敦賀のシンボルとも言える「名勝気比の松原」は、保安林としての指定は明治35年で今から120年前、江戸時代には、海岸に広がる松原は「白砂」(はくさ)とともに賞賛されるようになり、明治7年(1874年)に刊行された「萬国地誌略」(文部省)に「白砂青松」(はくさせいしょう)の言葉にて紹介されています。
 
また、今から94年前、昭和3年6月28日には史跡名称天然記念物保存法(大正8年の法律)にて名勝指定。
 
ちなみに、日本三大松原の名勝指定では、三保の松原(静岡県静岡市)が大正11年(1922年)、虹の松原(佐賀県唐津市)が昭和30年(1955)であり、気比の松原は三保に次いで2番目の指定ということになります。
 
さらに、敦賀市史を見るに、「松原海岸で海水浴を始めたのは明治16年のことで、当時は山中温泉、但馬の城崎温泉より効能が高いと、京阪神から夫婦連れや海水浴客がやってきた。ことに京都の病院の院長は、海水浴の効能では敦賀の海が最も優れていると言ったので、地元の住民は我も我もと押し掛け、最寄りの海岸は混雑した」などと当時の情景が残されています。
 
このような歴史と郷土の文化を築いてきた「敦賀の誇り」とも言える場所は国定公園でもあるが故、森林法、文化財保護法、自然公園法、都市公園法のもと管理されるエリアでもあります。
 
管理者も国や県、市、さらに市の中でも都市整備部、観光部、教育委員会などにまたがるものと認識するところですが、この景観の保全に向けては、日頃からの管理・整備、そしてモラルある利用なくば維持できぬもの。
 
松原小学校から花城に抜ける道沿いには、昭和5年に建立された碑(先の法により昭和3年内務省大臣指定)かありますが、ひっそりと建つこの碑が泣くようなことがなきよう、それぞれのお立場の行政の皆さんには、名勝を有する誇りと使命感を高く持って管理いただきたい。
 
そのことを改めて思う「3年ぶり」の日となりました。

「原子力発電を最大限活用」の意味するところとは

ブログ 原子力

東北電力は14日、原町火力発電所2号機(石炭:100万キロワット)が同日午前0時に運転を再開したと発表。
 
原町2号機は元々、3月5日から7月3日を期間として進めていた定期点検中に、3月16日の福島県沖地震で被災し、変形したボイラー内部の配管を補修する関係から、当初の点検期間を10日程度延長していたもの。
 
先行復旧した1号機(同)を含め、厳しい電力需給にプラスの影響を与えることを喜ばしく思うところです。
 
また、西日本では関西電力の大飯発電所4号機(加圧水型軽水炉:定格電気出力118万キロワット)が定期検査を終え、15日に原子炉を起動。
 
本日16日には臨界に達すると発表しており、その後は7月17日に定期検査の最終段階である調整運転(実際に送電すること)を開始、8月12日には総合負荷性能検査を実施のうえ、本格運転を再開する予定としています。
 

【15日に原子炉を起動した大飯発電所4号機(手前)】
 
同機は、新規制基準で要求されるテロなどに備えた「特定重大事故等対処施設」(特重施設)の運用を8月10日に開始する予定で、調整運転中に同施設が運用を開始する初のケースとなるとのこと。
 
ちなみに、この特重施設の設置に関しては、プラント本体の設計・工事計画認可から5年間の猶予期間が設けられており、大飯4号機は8月24日が期限となっています。
 
特重施設の設置については、現在13基で原子炉設置変更許可に、5基が運用開始に至っており、最近では、7月13日に東京電力柏崎刈羽6・7号機について、規制委員会が審査書案を了承しているところ。
 

【特定重大事故等対処施設の状況(原子力産業新聞より)】
 
こうして火力、原子力、それぞれの発電所が稼働することにより供給力が増す状況にありますが、忘れてならないのは、この夏を乗り越えたとて、電力需給が一層厳しいのは「今冬」であるということ。
 
現に、安定供給に最低3%は必要とされる予備率についても、来年1~2月に東電、東北電管内では1.5%に留まる厳しい状況が見込まれていることからも明らか。
 
岸田首相は「今冬に原子力発電所最大9基稼働」を掲げ、さも特段の判断をしたかのように報道されていますが、既に原子力規制委員会の審査に合格して再稼働済みのプラントは西日本の10基、そのうち、検査のため運転を停止する九州電力玄海4号機を除く9基で、今冬をやりくりするしかないのが実情であり、何か政治判断がされた訳ではないと言えます。
 
さらに言えば、9基の原子力発電所がすべて稼働したとて、これらはすべて規制委員会による安全審査に合格した「西日本」の発電所が対象です。
 
3月の需給逼迫警報や6月の需給逼迫注意報は、すべて首都圏を含む「東日本」で発令され、同地域の電力不足は深刻さを極めていますが、西日本で発電した電力を東日本に融通できる量は、周波数変換や送電網の容量もあって限定的です。
 
「原子力発電を最大限活用」し、電力の安定供給を確保するためには、東日本における原子力発電所の再稼働が欠かせない訳であり、即ちそれは、審査が進んでいる日本原電の東海第二、東電柏崎刈羽7号機、東北電力女川2号機と福島第一原子力発電所と同じ「沸騰水型軽水炉」の再稼働判断を意味するもの。
 
立地自治体の地元の皆さんはもちろんのこと、近隣市町、さらには東京を始めとする電力大量消費地の皆さんのご理解を得ることに対して、事業者任せにせず、この場面でこそ国が全面に出て、再稼働の必要性を説明する。
 
「原子力発電を最大限活用」の意味のひとつには、こうしたことが挙げられると考えますが、岸田首相の覚悟、腹はいかに。

350年の時を経て「北前船」の航路は世界へ

ブログ 敦賀の歴史・文化

「豪商、河村瑞賢が東北から日本海、瀬戸内海を経由、大阪に至る西廻り航路を確立して今年で350年。後に蝦夷地(北海道)まで延び、大阪との間を往来する北前船が隆盛を誇る。」との書き出しで綴られた昨日の福井新聞「越山若水」。
 
350年の節目に北前船の歌を作ろうとの機運が生まれ、北前船の寄港地の一つ敦賀市の隣町出身の五木ひろしさんが快諾し、上総(かずさ)優のペンネームで自ら作曲までを手掛け「北前船」を発表したことや、10月には北前船床地の地が交流を続けている「北前船寄港地フォーラム」がフランス・パリのルーブル美術館などで行われ、これに敦賀市で昆布の加工販売を行う奥井海生堂の奥井隆社長が日本の食をテーマに講演を行うことも記されていました。
 
北前船で運ばれ、支えられた日本の食と文化をパリから世界に発信する意欲的な試みであるともありましたが、パリで開催されるフォーラムには、敦賀市長や敦賀市議会議長を始めとする団を現地に派遣することで、今年度当初予算及び先の6月定例会での補正予算を議決しているところ。
 
※ちなみに私は、6月定例会の本補正予算に係る賛成討論で、「市長と議長には胸を張って、敦賀が誇る歴史と文化を世界に発信してききていただきたい」と意見を述べました。
 
コラムは、「歴史学者、磯田道史さんの『北前船の歴史、文化の物語は大切で、見える化すべきだ』との提言も生かし、北前船の世界遺産への航路を拓いてほしい」との言葉で結ばれていましたが、改めてこうして350年の時を経てなお注目と期待をされる北前船、そしてここ敦賀が寄港地の一つであり、特産品である「敦賀の昆布」が評価されていることを誇らしく感じた次第です。
 
奇しくも昨晩は、今年度末をもって45年の活動に一旦区切りをつける方向としている敦賀の市民歴史団体「気比史学会」について、私を始め、比較的若い理事らで「何としてでも継承したい」との思いのもと、組織運営や財政面、活動内容など、具体性をもって受け継ぐための検討会を行ったところ。
 
この件は、また改めてご紹介したいと思いますが、「地域史の再発掘」と「郷土の歴史・文化の大衆化」(市民歴史ファンの裾野を広げる)を目指す気比史学会の代表的な活動は、37年間続けてきている「市民歴史講座」であり、先の「北前船」はこの講座のテーマとして何度も登場しているもの。
 
現代を生きる者の使命と責任は、こうして次代に「伝える」ことでもあり、「越前若水」に書かれていたことと「気比史学会」が果たしてきた役割、そして45年の活動の歴史こそ継承せねばならぬとの思いがさらに込み上げてきたところ。
 
「北前船」に関しては、10月に予定されているパリのフォーラムでの発信を始め、2024年春開業の北陸新幹線敦賀駅2階コンコース天井には、北前船の帆をイメージした装飾がされることとなっています。
 
こうした機会も捉え、世界に発信する郷土の歴史・文化を敦賀市民の皆さんがより深く知れば、必ずやこのまちを誇りに思い、愛着が生まれ、住み続けたいという気持ちが芽生えるのではないかというのが私の考えです。
 
気比史学会の結成以来変わらぬ会是は、「過去に学び 未来に期待し 今を生きる」。
 
私の大好きなこの言葉を今一度胸に、自分が出来る精一杯の役割を果たしていきたいと思います。
 

【冒頭に記載した五木ひろし氏の「北前船」。ある方にCDをいただいたまま聴くのを忘れていましたので、早速本日は、350年の歴史に思いを馳せつつ流してみようと思います。】

エネルギー危機の欧州から学ぶこと

エネルギー ブログ

ここ最近の曇天で助かっていることといえば電力需給ですが、先日は関西電力美浜発電所3号機が再稼働時期を前倒しするなど、「安定供給」の使命感のもと、電力各社は供給力確保に全力を挙げるところ。
 
九州電力の発表によると、2022年2月21日より第25回定期検査を実施していた川内原子力発電所2号機が、6月13日の発電再開後、徐々に出力を上昇させながら、各機器の機能を確認するための調整運転、最終検査である総合負荷性能検査を終え、通常運転に復帰したとのこと。
 
また、同じく2022年4月30日から第14回定期検査を実施してきた九州電力の玄海原子力発電所4号機は、原子炉停止中における所要の検査をほぼ終了し、7月10日に原子炉起動の後、13日には発電を再開し、現在徐々に出力を上昇させている状況にあります。
 
順調に進めば、8月上旬には総合負荷性能検査を実施し、通常運転に復帰する予定とのことであり、厳しい夏季の電力需給において、ベースロード電源が補完されることを頼もしく思うとともに、一日も早い「戦線復帰」に向けご尽力されている関係者の皆さんには、敬意と感謝を申し上げる次第です。
 
一方、世界に目を向けますと、主に再生可能エネルギーに偏重し過ぎた政策によってエネルギー危機に陥っている欧州ですが、ロシアの軍事侵攻以降、その危機が一層深刻さを増しているのは言うまでもないところ。
 
11日には、ロシアとドイツをつなぐ天然ガスの主要パイプライン「ノルドストリーム」が定期検査で供給が止まり、経済制裁やウクライナへの武器供与を理由に、ロシア側が検査終了後も供給停止を続ける恐れがあるとのこと。
 
ロシアからドイツに向けてはノルドストリームのほか2本のパイプラインがありますが、このうちポーランド経由は5月中旬に停止、ウクライナ経由も7分の1に供給量が落ちている中での停止であり、現にプーチン大統領は「制裁はエネルギー市場の破滅的な価格上昇につながり、欧州全体の家計に打撃を与える可能性がある」と述べていることからも、明らかな報復措置と受け止める次第です。
 
思えば、このノルドストリームの定期検査は昨年も夏でした。
 
普通考えれば、電力需給の高まる夏季を避けて検査する訳ですが、昨年欧州が大混乱に陥ったきっかけはノルドストリーム1の定検停止だったことを踏まえれば、明らかに「狙って」夏に定期検査をぶつけていると考えるところであり、冒頭に述べたよう欧州のエネルギー危機はいよいよ厳しくなるものと認識する次第です。
 

【ロシアから欧州へのガスパイプライン。図の1がノルドストリーム(1)】
 
振り返って日本。
 
欧州の状況を「対岸の火事」と見ている場合ではありません。
 
欧州がここまでの危機に陥った要因から大いに学ぶとともに、関西、九州の例から明らかな通り、この需給逼迫と迫るエネルギー危機を乗り越える鍵は原子力発電であり、この参院選で大勝した与党には、「原子力発電を最大限活用」と述べたことを速やかに行動でお見せいただくことをお願いする次第です。
 
「黄金の3年間」でやるべきことは山ほどあると思いますので。

敦賀の「夏の風物詩」開催に向けて

ブログ まちづくり

16日の土曜日には、3年ぶりの「海開き式」が行われる敦賀。
 
夏本番と言いたいところですが、予報を見ると、ここから先暫くは曇り/雨マークが続く、梅雨のような天気。
 
晴れが続けば雨が欲しい、曇り空が続けば晴れて欲しいと、人間とはわがままなものと苦笑いするところですが、願ってもどうにもならない天気ばかりは受け入れるしかありませんね。
 
さて、その「海開き」のメインとなる「気比の松原海水浴場」ですが、既にプレハブの救護所設置や照明用の電柱、バーベキュー・キャンプ禁止、路上駐車禁止などの注意看板が立つなど、着々と海水浴客の受け入れ準備がされるところですが、昨日も立ち寄ると、有料駐車場となる浜グラウンドでは区画杭を打つ作業が行われていました。
 
気比の松原に関しては先の6月定例会一般質問において、「敦賀のシンボル」に相応しい、モラルある利用に向けた管理について意見提起したところですが、この夏も多くの海水浴客に訪れて欲しいと思う一方、節度ある利用をお願いするところ。
 
とりわけ、松陵中学校前の交差点から松原中央駐車場に向かうまでに3箇所設置された、敦賀観光協会名での「バーベキュー・キャンプ全面禁止」の看板は大変目につきやすいものとなっていますが、ここは「名勝指定」された「国定公園」であるとの意思の表れと感じるものであり、この点については、海水浴客の皆さんはもとより、市民の皆さんにも今一度ご理解いただく旨、私の立場からもお願いする次第です。
 

【敦賀観光協会名で設置された看板。何卒ご理解のほど。】

【駐車場用の杭打ちが進む浜グラウンド】
 
また、もうひとつ、敦賀の「夏の風物詩」といえば「敦賀港カッターレース」ですが、こちらは7月2日にカッター下ろし(陸から海にカッターを浮かべること)と初心者練習、9日並びに10日には参加チームによる練習会が行われ、いよいよこの週末17日に本番を迎えるところ。
 
私も事務局として運営に携わらせていただいているところですが、今回で第25回を数えるこの大会をすべてボランティアでされてきた皆さんと和気藹々、アイデアを凝らしながら準備にあたるだけで楽しいもの。
 
こういったことがまさに「市民力」であり、まちの「活力や活気」につながると肌身で感じるところです。
 
そのカッターレースに関しては、昨晩、本番前最後の実行委員会を開催し、準備事項や大会運営について最終確認を行いました。
 
こちらも3年ぶりとなる大会には、ありがたいことに22チームに参加いただくこととなっています。
 
敦賀港を舞台に開催される「カッターレース」。
 
コロナ感染対策には十分留意しつつ、参加チームの皆さん、実行委員の皆さんとともに「夏の風物詩」と感じるためにも、何とか17日は晴れて欲しいと願うのはやはり、人間の性というものでしょうか。
 

【7月2日のカッター下ろしの様子】

【練習会の風景。青い空に青い海を颯爽と進むカッター。これぞ「夏の風物詩」ですが、本番はいかに。】

政治屋は次の選挙を考え、政治家は次の世代を考える

ブログ 政治

参院選から一夜明けた昨日、選挙期間中に銃撃され、死去した安倍晋三元首相の通夜が東京・芝公園の増上寺で営まれ、約2500人が参列したとのこと。
 
天皇、皇后両陛下は同日、増上寺に侍従を派遣し、供物や生花などを贈られたともあり、改めて生前のご貢献に対し感謝申し上げるとともにご冥福をお祈りする次第です。
 
また昨日は、同じ町内にお住まいで、ともに町内活動などもされていた方の通夜も営まれました。
 
日曜日の朝刊に掲載されていた訃報で知った彼の死。
 
私より7歳も若い、彼の早過ぎる死は大変ショックであり、私と同じ思いで来られたであろう葬儀会場に入りきらんばかりの弔問者の数を見るに、彼の交流範囲の広さや皆から慕われていたことが想像出来るもの。
 
ご遺体に手を合わせ彼の顔を見ると感情が抑えきれませんでしたが、安らかにお眠りいただくこと、そして志半ばで逝った彼の分も精一杯生きることをお誓い申し上げた次第。
 
人生どこで何が起こるか分からないことを痛感する出来事が続いている訳ですが、今日死んでも悔いのない生き方、つまりは今生きている瞬間を大切に、そして丁寧に過ごすことを改めて自身の胸に留め置きたいと思います。
 
さて、悔いなきようにと言えば、この参院選。
 
当落という結果はあれど、どの陣営に置かれてもこの18日間の戦いは決して無駄になることはないと考えるところ。
 
我が国民民主党は、改選7議席から5議席に減らしたことが報じられていますが、昨日参院選結果を受けての党声明を発信していますので、以下ご覧ください。
 
【第26回参議院議員通常選挙結果を受けて(党声明)】
 
国民民主党
 
第26回参議院通常選挙の結果、国民民主党は、選挙区では公認候補者2名、推薦候補者3名の議席を獲得しました。比例代表においては昨年の衆院選時の259万票を超える316万票をいただき、3名が議席を獲得いたしました。応援をいただいた全国の皆さまに心より感謝を申し上げます。
 
党幹部が全国を回る中で、多くの皆さん、特に驚くほど多くの若い方々に演説会場に足を運んでいただきました。私たち国民民主党は「給料を上げる。国を守る。」を掲げ、教育・科学技術予算倍増など人への投資により給料が上がる経済をつくることを一貫して訴えました。演説会後には、奨学金が返済できるか、十分な給料がもらえるかといった将来への不安を中心に多くの声をいただきました。我々の訴えの重要性を再確認するとともに、政策実現にむけて邁進していかなければならないことも実感しました。
 
国民民主党は今後も「対決より解決」との考えのもと、政策本位でこれからも国民のための政策を実現していきます。国民民主党に対するさらなるご支援をよろしくお願いします。
 
以上
 

【11日、記者会見に臨む国民民主党の玉木雄一郎代表】
 
党本部の受け止めに習い、福井県連として考察すれば、昨秋の衆院選での比例獲得票約1万2千票に対し、今回の参院選では2万617票(政党名と名簿搭載者票の合計)と8千票以上得票数を伸ばしています。
 
とはいえ、党が掲げた比例獲得票500万票、福井県では2万7千票の目標を達することは出来なかった訳ですが、3月の県連設立、そこからの党勢拡大街宣や政策ビラの配布等の活動によって、これまで目につくことのなかった「国民民主党」の名前や存在が、少しづつでも認知された結果と推察するところです。
 
ジェイムス・フリーマン・クラークの有名な言葉に「政治屋は次の選挙を考え、政治家は次の世代を考える」とあります。
 
選挙目当てのパフォーマンスや活動ではなく、将来を創造し、その実現に向け日頃からの地道な活動を大事にせよと理解するところ。
 
そうした言葉も念頭に、国民民主党が党勢を拡大すれば、必ずや日本の政治は良くなるとの確固たる思いと合わせ、有権者の皆さんはもとより若い人が政治に関心を持ってもらうことが何よりも肝要であるとの考えのもと、選挙期間中自粛していた街頭での政治活動を再開のうえ、今後も「コツコツ」と頑張る所存です。
 
皆様方におかれましては、引き続きのご理解と叱咤激励のほど宜しくお願いいたします。

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