2026年8月25日
日本国政府に対し、法と秩序に基づいた厳格かつ迅速な外交対応を求める
「これを許してなるものか」と思うのは、米国政府による赤根智子国際刑事裁判所(以下、ICC)所長らに対する制裁措置。
この背景を辿ると、ICCがロシアのプーチン大統領やイスラエルのネタニヤフ首相に対して戦争犯罪容疑で逮捕状を出したことへの対抗措置とされ、米国はICCに加盟していないものの、同盟国であるイスラエルを擁護するトランプ政権は、ICCの権限行使を「悪意ある権限の乱用」と非難、ルビオ国務長官はICCを「あらゆる手段で解体する」と表明していました。
一方、この発表を受け、高市総理大臣は19日、外務報道官の談話をなぞる形で「大変残念に思う」と述べるにとどめています。
これは単なる感想であり、「断固抗議する」や「撤回を求める」などの意思ではありません。
実際、この制裁措置の影響に関しては23日、産経新聞の電話インタビューに応じた赤根所長の発言によれば、「米社VISAのクレジットカードは日本で発行したものを含めて、使えないと思う。制裁により、私用のGmailも使えなくなる。昨年、米国がICC制裁に動いた後、ICCでは米マイクロソフトから欧州拠点のシステムへのデータ移転を進めており、日常業務に支障はない。金融機関では制裁の波及に対する懸念が強いが、欧州で複数の銀行が制裁を受けたICC職員を支援し、取引を継続してくれている。出張の旅行手配、給与支払いなどは、これらの銀行を通じてやっている」とありました。
また、欧州連合(EU)などと連携し制裁措置に対抗することは可能とした上で、日本政府に対しては、「日本はこれまで、テロや麻薬取引対策で米国の制裁に追随してきた。今回のICC制裁は、全く意味合いが異なる。(正面から制裁を批判しない)日本の対応には、米国の動きをエスカレートさせてはいけないという配慮があったと思う。だが、このままでは、いずれ米国はICC全体に制裁を科すだろう。そうなれば、『法の支配』が崩れるきっかけになる」と警鐘を鳴らしています。
私は、そもそもICCが選択した判断(逮捕状)を「悪意ある権限の濫用」とは全く思わないため、逆に横暴とも言える米国政府によるこの制裁措置をこのまま「許してはならない」と思うところ。
なお、所属する国民民主党においては、20日に党安全保障調査会の山田吉彦会長名で『米国のICC関係者への制裁措置に対する日本政府の毅然とした外交対応を求める声明』を発出。
声明では、以下4点を訴えています。
◉米国政府による赤根智子ICC所長らに対する制裁措置の発表を受け、日本国政府に対し、法と秩序に基づいた厳格かつ迅速な外交対応を求める。
◉ICCは、国際社会における深刻な人権侵害や戦争犯罪を追及し、不処罰を許さない国際刑事正義と「法の支配」を具現化する中核機関である。司法の独立性と公正性は厳格に守られるべきであり、個別の政治的対立から司法機関幹部へ制裁を科す行為は、長年築き上げてきた国際法秩序を損ないかねない。
◉日米同盟が我が国の平和と繁栄の基盤であることは論を俟たない。しかし、民主主義や人権、法の支配といった共通の価値観を共有する真の同盟国・同志国であるからこそ、国際法秩序を揺るがす措置に対しては明確に懸念を表明し、対話を通じて理解を求めていく姿勢が不可欠である。
◉日本はICCの創設以来、最大の拠出国としてその活動を支え、国際的な人権保護と司法の確立に尽力してきた。日本政府は、赤根所長をはじめとする関係者の正当な職務執行を守るため、他のICC加盟国や国際機関と緊密に協調し、行動すべき。
また、昨日24日には、超党派の人権外交議員連盟が「個人制裁を通じて国際司法機関の解体を目指すような手法は到底許されるものではない」などとするアメリカ政府の制裁に対する非難声明をとりまとめ。
声明では、日本政府の対応についても「日本が送り出した所長を守り抜く意思を示す言葉もない」と批判し、総理大臣や外務大臣が明確な抗議や即時撤回を表明すること、赤根所長を金融面で支援すること、有志国と連携することなどを求めています。
議連は近く政府に申し入れる方針としており、国民民主党の声明で求めることと相まって、日本政府には毅然とした態度を示していただくことを強く求める次第です。
なお、先の産経新聞インタビューの最後に、赤根所長の率直な心境がありました。
「日本では(米国の制裁撤回と日本政府への行動を求める)署名活動が広がり、これまでに6万人が賛同してくれた。正直なところ、食欲が落ち、眠れないときもあるが、日本からの応援が『がんばろう』という気持ちの原動力になっている。私は日本政府に指名され、ICC裁判官になった。日本はICC存続のため、力を貸してほしい」。
まさに私を捨て、使命感をもって国際機関の要職で任務を遂行する赤根所長のような方を自国が守らずしてどうするのか。
政策措置への対抗も赤根所長を守るのも、日本の姿勢、応援が原動力である。

【会見に応じる赤根ICC所長(日本産経新聞記事より引用掲載)】






