350年の時を経て「北前船」の航路は世界へ

ブログ 敦賀の歴史・文化

「豪商、河村瑞賢が東北から日本海、瀬戸内海を経由、大阪に至る西廻り航路を確立して今年で350年。後に蝦夷地(北海道)まで延び、大阪との間を往来する北前船が隆盛を誇る。」との書き出しで綴られた昨日の福井新聞「越山若水」。
 
350年の節目に北前船の歌を作ろうとの機運が生まれ、北前船の寄港地の一つ敦賀市の隣町出身の五木ひろしさんが快諾し、上総(かずさ)優のペンネームで自ら作曲までを手掛け「北前船」を発表したことや、10月には北前船床地の地が交流を続けている「北前船寄港地フォーラム」がフランス・パリのルーブル美術館などで行われ、これに敦賀市で昆布の加工販売を行う奥井海生堂の奥井隆社長が日本の食をテーマに講演を行うことも記されていました。
 
北前船で運ばれ、支えられた日本の食と文化をパリから世界に発信する意欲的な試みであるともありましたが、パリで開催されるフォーラムには、敦賀市長や敦賀市議会議長を始めとする団を現地に派遣することで、今年度当初予算及び先の6月定例会での補正予算を議決しているところ。
 
※ちなみに私は、6月定例会の本補正予算に係る賛成討論で、「市長と議長には胸を張って、敦賀が誇る歴史と文化を世界に発信してききていただきたい」と意見を述べました。
 
コラムは、「歴史学者、磯田道史さんの『北前船の歴史、文化の物語は大切で、見える化すべきだ』との提言も生かし、北前船の世界遺産への航路を拓いてほしい」との言葉で結ばれていましたが、改めてこうして350年の時を経てなお注目と期待をされる北前船、そしてここ敦賀が寄港地の一つであり、特産品である「敦賀の昆布」が評価されていることを誇らしく感じた次第です。
 
奇しくも昨晩は、今年度末をもって45年の活動に一旦区切りをつける方向としている敦賀の市民歴史団体「気比史学会」について、私を始め、比較的若い理事らで「何としてでも継承したい」との思いのもと、組織運営や財政面、活動内容など、具体性をもって受け継ぐための検討会を行ったところ。
 
この件は、また改めてご紹介したいと思いますが、「地域史の再発掘」と「郷土の歴史・文化の大衆化」(市民歴史ファンの裾野を広げる)を目指す気比史学会の代表的な活動は、37年間続けてきている「市民歴史講座」であり、先の「北前船」はこの講座のテーマとして何度も登場しているもの。
 
現代を生きる者の使命と責任は、こうして次代に「伝える」ことでもあり、「越前若水」に書かれていたことと「気比史学会」が果たしてきた役割、そして45年の活動の歴史こそ継承せねばならぬとの思いがさらに込み上げてきたところ。
 
「北前船」に関しては、10月に予定されているパリのフォーラムでの発信を始め、2024年春開業の北陸新幹線敦賀駅2階コンコース天井には、北前船の帆をイメージした装飾がされることとなっています。
 
こうした機会も捉え、世界に発信する郷土の歴史・文化を敦賀市民の皆さんがより深く知れば、必ずやこのまちを誇りに思い、愛着が生まれ、住み続けたいという気持ちが芽生えるのではないかというのが私の考えです。
 
気比史学会の結成以来変わらぬ会是は、「過去に学び 未来に期待し 今を生きる」。
 
私の大好きなこの言葉を今一度胸に、自分が出来る精一杯の役割を果たしていきたいと思います。
 

【冒頭に記載した五木ひろし氏の「北前船」。ある方にCDをいただいたまま聴くのを忘れていましたので、早速本日は、350年の歴史に思いを馳せつつ流してみようと思います。】