今年の夏も冬も「電気が足らない」

エネルギー ブログ

毎週水曜日の朝に行なっている西浦での辻立ちですが、ここ最近は穏やかな春の天気に恵まれています。
 
始業前の7時頃から8時過ぎまでの約1時間に過ぎませんが、青空の下、アイコンタクトや手振りながら、通行者の皆さんと交わす挨拶は気持ちの良いもの。
 
また、この時間、のぼり旗を持ってお付き合いいただいている母体の原電労組敦賀分会の皆さんには大変感謝。
 
こうして仲間に支えられ、活動が成り立っていることを忘るることなく、何事も継続は力なりで臨む所存です。
 
さて、昨朝も辻立ちしている間、ロシア情勢やエネルギーの関係などの話題で会話していた訳ですが、予想の通り、数字で明らかとなったのが今年度の電力需給の厳しさ。
 
既に新聞報道もされているので、ご承知置きの方が殆どかと思いますが、4月12日に開催された経済産業省・資源エネルギー庁の総合資源エネルギー調査会(経産相の諮問機関)の電力・ガス基本政策小委員会で需要対策検討の方向性が示されました。
 
同小委員会の資料を確認してみますと、まず2022年度「夏」の需給に関しては、最新の見通しにおいて、全エリアで10年に1度の厳しい暑さを想定した場合(厳気象H1)の需要に対して、安定供給に最低限必要な予備率3%を確保できる見通しとしつつ、7月の東北・東京・中部エリアにおいては3%はかろうじて超えているものの、3.1%と非常に厳しい見通しとなっています。
 
そしてさらに厳しい「冬」ですが、現時点では2023年1月、2月に東京から九州の全7エリアで安定供給に必要な予備率3%を確保できない見通しであり、東京エリアは特に厳しく、1月がマイナス1.7%、2月がマイナス1.5%となるとのこと。
 
また、全国7エリアで予備率が3%を下回る現時点での来年2月の見通しは、2012年度以降で最も厳しいものとなっています。
 

【電力・ガス基本政策小委員会「資料4:2022年度夏季及び冬季の電力需給について」より抜粋】
 
需給ひっ迫の要因は様々ありますが、近年、電源の新設等による供給力の回復を上回る速度で、事業採算性が見込めない電源の休廃止が進んでいることや、例えば原子力で言えば、本年8月24日に特重施設設置期限を迎える玄海3,4号では工事工程の見直しがあり、特に9月以降の供給力が大幅に減少するなど、リスクが高まる要因は複合的に絡んでいるものと理解するところです。
 
この対策として、火力発電所の補修時期調整等の追加供給力対策や追加の供給力公募などが検討された訳ですが、見逃せなかったのがやはり国民生活や企業活動へ負担を強いること。
 
委員会では「2022年度高需要期に向けた需要対策等」の中で、
 
●夏季に向けては、より効率的、効果的に節電を行うための準備を進めるとともに、セーフティネットとしての計画停電についても実施の準備を進めていくこととしてはどうか
●加えて、全国的に深刻な供給力不足が明らかとなっている冬季に向けては、短期間で供給力の大幅な増加は見込めないことを踏まえ、電気事業法に基づく電気の使用制限も含めたあらゆる需要対策の準備を進めていくこととしてはどうか
 
との記載がありました。
 
本当にこのようなことが毎年繰り返されていては、この先日本に成長は見込めないどころか、あるのは衰退だけと強い危機感が募るばかりですが、今一度、4月8日にロシアへの制裁を発表した岸田総理会見を振り返ってみるとこう仰っています。
 
「第1に、ロシアからの石炭の輸入を禁止いたします。早急に代替策を確保し、段階的に輸入を削減することで エネルギー分野でのロシアへの依存を低減させます。夏や冬の電力需給ひっ迫を回避するため、再エネ、原子力などエネルギー安保及び脱炭素の効果の高い電源の最大限の活用を図ってまいります。」
 
「最大限の活用」の具体的意味は不明のまま、日にちだけが過ぎていっている訳ですが、まさに電力需給を検討するこの小委員会でも意図するところに触れられていないことを思えば、経産省にさえ指示がされていないのか、または政治判断と役所は知らんぷりなのか。
 
真意は分かりませんが、とにかく岸田総理も認識されている「夏や冬の電力需給ひっ迫」が数字で表された以上、「危機回避」のための政治判断を早期にしていただきたいと思う次第です。
 
でなければ、「節電」や「計画停電」が続く日本で、国民や企業に我慢と負担を強いながら、一方で総理が掲げるデジタル田園都市構想や電気自動車普及など、電力を大量消費するような政策が進むはずがない、理解されないことは明白なのですから。