「第4回 地域共生社会推進全国サミットinつるが」が開幕

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昨日開会した「第4回 地域共生社会推進全国サミットinつるが」。
 
3年ぶりとなる対面での本サミットが、地元敦賀市で開催されることを大変嬉しく思います。
 
「地域共生社会推進全国サミット」とは、敦賀市ホームページの説明を引用しますと「2000年(平成12年)から毎年開催されていた『介護保険推進全国サミット』のテーマを、2018年(平成30年)から新たに地域共生社会へリニューアルして開催されている大会です。サミットでは、全国から地域福祉やまちづくりを推進する福祉、医療、行政関係者などが、有識者による講演会などを通じて、地域共生社会についての理解を深め、その実現に向けた取組みなどを考えていきます。」とあります。
 
また、そもそもの「地域共生社会」とは、「制度、分野ごとの『縦割り』や『支え手』『受け手』という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えてつながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会のこと。」と定義付けられており、人口減少を乗り越える持続可能なまちをつくるために今、その実現が求められているもの。
 
初日の昨日はプラザ萬象にて、開会式から基調講演、パネルディスカッション、さらには敦賀市の取組み事例紹介までが行われ、私も興味深く拝聴した次第です。
 

【途中のアトラクションでは「つるが元気体操」(認知症予防や体力維持につながる)が披露され、会場の雰囲気は一気に和やかに。皆さんも一緒に体操しました。】
 
どのパートも、自身にとって学びと気付き多き時間となった訳ですが、以下にトピックスのみご紹介いたします。
 
<基調講演>
人口減少社会と地域共生社会
講師:山崎史郎氏(内閣官房参与、内閣官房全世代型社会保障構築本部事務局総括事務局長)
 
(人口減少・少子化について)
・人口減少という問題を正確に理解する必要がある。スウェーデンの学者ミルダールの言葉に「人口減少は社会を滅ぼすもの」とある。
・1915年の日本は高齢化率5%の若々しい国であったが、将来予想されている日本は、高齢化率40%に近い「年老いた国」になる。
・人口が減少するとマーケット規模が減り、イノベーションも国内では減る。日本経済はマイナススパイラルに陥る可能性が非常に強い。
・少子化は今に始まったことではなく50年前から続いている。20代後半のみならず、30代の出生率も下降傾向にあり、出生数の本格的な回復は見通せていない。
・日本の子育て支援は、サービスメニューはあるが、利用できる量が非常に少ない。皆が利用できるようにならないと福祉につながらない。
 
(「地域共生社会」づくりについて)
・日本の社会保障制度は「個別対処」が基本構造であり、社会が変容し、新たな課題(リスク)への対応が求められている。
・社会保障制度をめぐる歴史の中で、1995年の社会保障制度審議会の勧告がある。「社会連帯」の重要性に対しては、「家族による支え合いが低下し、社会的にしばしば他者との連関が生活の中から取り残されようとしている。個人化の展開が進展すればするだけ、他方で社会的連関が問われ連関関係が同時に形成されないと、社会は解体する。」との指摘がされており、まさに今、そうした危機にある。
・非正規労働者の割合は20.9%であった1995年から2020年では37.2%まで上昇している。雇用形態が大きく変わったと言える。連合総研は20%強程度までが限界としていた。
・従来の社会保障は、「個々のリスク(疾病、老齢、介護、失業など)に個別で対処する」制度体系。この考えをベースに、各制度は「申請主義」、「個別リスク支援」、「課題解決型支援」を基本としてきたが、そもそも利用者が申請窓口に到達できない、複数の問題を抱えているなど、状況は変化している。
・こうした中で新たなアプローチ(「地域共生社会」づくり)が必要であり、「社会的孤立」や「リスクの複合化」に対して必要な3つの要素は、①伴走型相談支援、②包括的対応、③地域づくりである。
・「社会的孤立」を解消するために、困っている人に「寄り添う」とともに、相談者が「地域」で生活していくことを目指す。こうした「受け皿」を作っていくのが「地域共生社会」と言える。
・ヨーロッパでは「住まい」も社会保障で用意するのが当たり前だが、日本の場合、「住まい」は「個人資産形成」でその上で社会保障との関係にある。少子高齢化が進む中で、「住まい保障」は、社会保障の重要な柱になる。人口減少時代には、「住まい」が「社会保障」及び「まちづくり」のあり方に大きな影響を与える。
・(山崎史郎氏の著書「人口減少法案」より)私たちは、将来世代のために『勇気』をもって、人口減少の流れを止めるという挑戦をしなければなりません。それを知りながら、立ち向かう『勇気』に欠け、何もしなかったならば、私たちは責務を怠ったことになります。」、「そしてそのことは、これから100年近く、子や孫など将来世代に、人口減少と高齢化という急な坂道を歩ませることを意味します。決して、そのような、将来世代に重い手かせ足かせをはめ、彼らが生きていく選択肢を狭める、無責任な行動をとってはならないのです」
 
<パネルディスカッション>
全ての人が生き生きと暮らせるまちに 〜SDGs(持続可能な開発目標)と地域共生社会〜
※コーディネーター、パネリスト名は省略
 
・地域共生社会づくり推進の「プラットフォーム」といっても省庁縦割り。そこで縦割りの隙間を埋めるのが市町村であり、その地域の住民が何に困っていて、何をやっていきたいのかを把握し、住民達がプラットフォームを話しあっていくこと(住民主体)、実現につなげていくのが行政の役割。
・重層的支援事業は、まずは集まって、面白そうなことから始めていくことが大事。福岡県久留米市の「10万人女子会」なども福祉団体と出会ったことで、ひとり親家庭の支援につながった例がある。
・キーワードは「動きのある対話」である。
・認知症の対応に関しては、居場所や良いところを見つけてあげることが大切。そういうコミュニティが必要であり、地域の皆さんとできることを「一緒に」考えていくことが重要。
・子育て支援に関しては、世界の中で日本は遅れている。大事なのは、生まれてから、子ども達が元気でチャレンジすることを自分の頑張りでなく、皆で支えること。壊れてしまった、地域で子どもを育てるというコミュニティを、おじいちゃん、おばあちゃんの力も貸りて再生していかないといけない。
・来年度から「子ども家庭庁」がスタートする。厚労省と連携良く、縦割りとならないよう課題解決に取り組む。
 
(コーディネーターまとめ)
①多様な人や組織の力の「重なり」から共創が生まれる場をつくりたい
②多様な「働き」が認められ、一人ひとりが活躍できる地域をつくりたい
③子育て応援「社会」をつくりたい
④地域共生社会も「パートナーシップで目標を達成」したい
誰もがSOSを出せる、弱さが強さになる地域共生社会をつくりたい
 
また、この後は、「認知症ほっとけんまち敦賀」、「農福連携サポート事業」、「地域防災マップ」など敦賀市が取り組んでいる事業の事例紹介がありました。
 
以上、日本が抱える課題は社会全体で解決するとの認識のもと、地域の皆で考え、行動することが非常に重要なことと痛感した次第ですが、先にご紹介した内容が、何か皆さまのお考えやお住まいの地域でも参考になれば幸いに存じます。
 
本日のサミットは、午前は3つに分かれての分科会、午後には分科会報告や特別講演と続いた後、閉会に向かいます。
 
自身も引き続き学ばせていただくことはもとより、地域共生社会づくりに向けては、開会式で渕上市長が仰っていたとおり、「ぬくもりをつなぎ、支え合い、共に生きる社会づくりに向け、ここ人道の港敦賀から全国に発信されること」を私も祈念いたします。