役割を終える東濃地科学センター

ブログ 原子力

昨日から友好都市である岐阜県各務原市議会との交流会に出席。

各務原市と敦賀市は、平成元年に友好都市の締結をし、今年で30年を迎える。
これまでの間、産業、文化、スポーツなど様々な分野で交流を図り、両市の発展に寄与するなど結び付きは大変強く、今回初めて出席した私もその意義と役割を感じることが出来た。
数あるまちの中から敦賀市を友好都市として選択いただいたことへの感謝を忘れず、引き続きこの関係性を大切にしていきたい。

交流会に先立ち、議員研修として、同じ岐阜県の瑞浪市にある「東濃地科学センター」(日本原子力研究開発機構)へ。

このセンターは、原子力発電所の運転に伴って発生する高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、地下深部における地質環境の特性や長期の安定性などについて研究する、いわゆる「地層科学研究」を行っているもの。

センターロビーにて。これまで4万人を超える見学者が訪れている。

この研究センターにおいては、地層処分を安全に実施するため、地下について岩盤の強さや地下水の流れ、水質などの調査を始め、実際に研究坑道(立坑・水平坑道)を建設し、様々な角度から研究を行っており、特に立坑の深さは500mにも及ぶ。

15年ぐらい前に訪れた際には、確か地下深度300mまでしかなかった記憶があるが、その後も地道で確実な作業を続けられ、この深度まで到達したことに密かに驚いたところであり、この日は立ち入り可能な300m坑道を視察させていただいた。

地下300m坑道にて調査概要の説明を受ける。
深度500mまでの坑道レイアウト。

この「地層処分」については、世界中で様々な方法が考えられた結果、最も技術的に実現性が高いとして、既にフィンランド、スペイン、フランスでこの技術を採用しているほか、スイス、ドイツ、イギリス、アメリカ、カナダなどでも処分地の選定や研究開発を進めており、今や世界標準となりつつある。

日本国内においては現在、高レベル放射性廃棄物の最終処分に関しては、原子力発電環境整備機構(NUMO)が全国各地で説明会を開催するなど、「地層処分」について国民の理解活動にあたっているところ。

この「東濃地科学センター」は、瑞浪市との土地賃借契約の関係もあり、長年の研究の多大なる成果を残し、今後埋め戻し、令和4年1月までに更地にして返還するための作業に入るとのことで、大変勿体無くも感じるところですが、これも致し方なし。

約30年に亘る研究成果を無駄にしないためにも、国民理解のもと選定地を定め、着実に「地層処分」を前に進めるべきであり、その先頭に立つのは国でしかないと改めて考える次第。

大きな成果を残し、役割を終える東濃地科学センター。