まちの歴史と未来を感じる「航空宇宙博物館」

ブログ まちづくり

各務原での航空産業の始まりとなった記念すべき機体を再生

各務原市との議員交流会2日目も快晴。
青空のもと悠々と流れる木曽川、広がる平野は何か雄大に感じる。

視察のほうは、各務原に拠点を置く製薬会社のエーザイが開設している「内藤くすり記念館」、昨年リニューアルした「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」と続きました。

「内藤くすり記念館」は、創設者の内藤豊次氏が「薬学・薬業の発展を伝える貴重な史資料が失われる恐れがある」と考え、多くの方の協力と資料寄贈(その数65,000点にも及ぶ)のもと、薬学の歴史と医学史の研究・調査活動を行うため開設したものでありました。

川崎重工を始め多くの企業がある各務原市でありますが、こちらも地元に根を張り、まさに「各務原で歴史を残す」といった企業の思いを感じました。

企業博物館ランキングで全国5位にもなった「内藤くすり記念館」

次に「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」。
これまで市で運営していたものを、昨年のリニューアル以降は岐阜県からの補助も得て運営している、「まちのシンボル」的施設で愛称は「宇宙博(そらはく)」。
同行いただいた各務原市議会の方も「大きく変わった」と胸を張っておられることを表すかのように、平日にも関わらず多くの来館者で賑わっていました。

青空に映える「岐阜かかみがはら航空宇宙博物館」

リニューアルにあたってのコンセプトは、「宇宙部門の充実」。
人類の宇宙への挑戦の物語と最新テクノロジーを発信する「宇宙エリア」をテーマに、宇宙航空ステーション(ISS)で最大の実験モジュールで日本初の有人実験施設「きぼう」の1/1模型や「はやぶさミッション」、「火星探査車マーズ・エクスプロレーション・ローバー」などが並び、子どもはもちろん、大人にとっても夢とワクワク感が高まる空間でした。

2階面は夢の広がる宇宙への挑戦空間
「きぼう」の実機モデル。内部も精巧に再現されています。

実際にこのモデルを見た日本人宇宙飛行士からは、「実機とそっくり」とのお墨付きをもらったとのことでした。

航空部門においては、先の大戦で使用された岐阜を生まれとする「飛燕二型」の展示。
終戦後は紆余曲折を経て、日本航空協会所有のもと鹿児島県の知覧特攻平和会館に貸与されていたものを、製作者の川崎重工は日本航空協会へ、行政は南九州市へ粘り強く働き掛け、当展示館での展示に至ったとのこと。

ここでの想いは、「飛燕を故郷に」であったとのことであり、官民がともに汗を流した成果と言えよう。

川崎重工業岐阜工場での修復を経て展示される「飛燕二型」

このほかにも話し始めると切りがないのですが、冒頭の写真にある各務原での航空産業の始まりとなった記念すべき航空機「サルムソン2A2」。
第一次大戦末期の主力偵察機を平成7年に復元製作(木製)されたもの。
各務原飛行場で初飛行したのが大正12年、その後各務原で300機が製作されたとのことで、このまちの航空産業の歴史を語るに相応しい1機である。

我がまちにある産業と歴史(航空)を大切にし、夢や希望ある未来(宇宙)を同時に語り継ぐ、この航空博物館は、まさに「まちのシンボル」。
この日、議員のお一人もボランティアガイドを務めておられるなど、さぞかし市民の皆さんも自慢に思う施設であることも強く感じた次第。

「鉄道と港」をまちの歴史に持つ敦賀市にも大変参考になる視察となりました。