冬季パラリンピック北京大会閉幕。平和への希求はどこへ向かうのか。

オリンピック ブログ

第13回冬季パラリンピック北京大会は13日夜に閉会式が行われ、障害者スポーツの冬の祭典が幕を閉じました。
 
この10日間、ロシアのウクライナ侵攻が続く中での開催に複雑な心境を抱きつつ情報を見ていましたが、選手が懸命に競技する姿からはやはり競技に懸ける純粋な思い、平和への希求を感じる、そんな大会であったように感じた次第です。
 
大会開幕直前にロシアとベラルーシが排除された一方、ウクライナ勢は同国史上最多の29個のメダルを獲得し、冬季過去最高の2位の成績。
 
選手村で黙とうするなど、世界に反戦平和を訴え掛けたことを含め、存在感が際立っていたように思います。
 
日本は1988年長野大会に次いで多い金メダル4個を含む、計7個のメダルを獲得。
 
メダルの数を評価する野暮なことは誰もしないと思いますが、何を置いてもこのような国際情勢の中、意義と役割をもって大会に臨まれた選手の皆さんには心からの敬意を表したいと思います。
 
この大会の理念は、違いを認め合う「多様性」や「共生」。
 
国際政治の激動に翻弄されて大切なことまで見失うことのなきよう、自分の中でのパラリンピック北京大会を記憶に留めておきたいと思います。
 

【この後消灯した、聖火が灯る「雪の結晶」のオブジェ(共同通信写真を引用)】
 
閉幕して思えば、ロシアがウクライナ侵攻を開始した2月24日は、オリンピック北京大会が閉幕した直後でした。
 
昨日のニュースでは、ウクライナ西部の要衝リビウの軍事基地「国際平和維持・安全保障センター」がロシアの攻撃(ミサイル30発以上)を受け、少なくとも35人が死亡、134人が負傷したことが明らかになっています。
 
これまで戦火が及んでいなかったためリビウはポーランド国境まで約60キロと近い位置にあり、激しい攻撃を受ける東部など各地から避難民が集まるとともに物資供給の拠点であるとのことであり、攻撃が激しくなれば、市民の避難が一層困難になることに気を揉むところです。
 
こうして見るに、パラリンピックが閉幕した直後に、ロシアがまた違った行動を起こすのではないかと懸念するところですが、この懸念が現実とならぬことを祈るばかりであります。
 
昨日もウクライナのクレバ外相が強調したよう、「交渉はするが降伏はしない」。
 
祖国を守り抜くというこの強い決意と覚悟を皆で共有することの重要性とともに、奇しくもロシア孤立の鍵を握っているのが「祭典の開催国」の立ち居振る舞い如何となっているように思え、同時に国際情勢の皮肉さを感じて止みません。