「GX脱炭素電源法」が国会に提出される

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一昨日の全体会に続き、昨日は予算決算常任委員会(分科会)を開催。
 
令和5年度当初予算案の各議案について、3つの分科会に分かれての審査を行いました。
 
私が所属する産経建設分科会では、所管する水道部、産業経済部、観光部、建設部、都市整備部に対し、順次質疑。
 
終わってみれば、一番遅くまで審査をしてましたが、審査の結果は、3月16日に開催される予算決算常任委員会(全体会)にて報告することとなっておりますので、以降、正副分科会長で論点を絞って取りまとめていきたいと思います。
 
さて、2月28日のことになりますが、政府はエネルギー関連の5つの法改正案を閣議決定し、これらをまとめた束ね法案「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案」(GX脱炭素電源法)として、今通常国会に提出しました。
 

【GX脱炭素電源法の概要(内閣官房発表資料より)】
 
GX脱炭素電源法のうち、とりわけ原子力に関しては、以下の4法案が柱となっています。
 
◉原子力発電の利用に係る原則の明確化(原子力基本法)
◉高経年化した原子炉に対する規制の厳格化(原子炉等規制法)
◉原子力発電の運転期間に関する規律の整備(電気事業法)
◉円滑かつ着実な廃炉の推進(再処理等拠出金法)
 
原子力基本法の改正では、安全最優先、原子力利用の価値を明確化したほか、運転期間については、原子炉等規制法から電気事業法に移され、経済産業相の認可を受けた場合に限り延長を認め、「延長しようとする期間が20年を超える」場合は、事業者が予見しがたい事由(東日本大震災以降の安全規制に係る制度・運用の変更、司法判断など)に限定して運転期間のカウントから除外することで、実質的に60年超運転を可能とするとされました。
 
なお、運転期間に関しては、経産省資源エネルギー庁の遠藤原子力政策課長が記者会見で、「明らかに電力会社側に責任があって停止している期間は、追加延長の期間には入れない」と説明のうえ、テロ対策の不備で規制委員会から事実上の運転禁止命令を受けている東京電力柏崎刈羽(新潟県)は、命令中の期間分は追加延長に加算しない、日本原電の敦賀2号機に関しては、「ケース・バイ・ケースで判断する」と、追加延長の基準についてあいまいな説明に終始したとあります。
 
法案で明記はしたものの、停止している理由によって、除外するしないか判断するとあっては、これまた「非科学的」と思わざるを得ない訳ですが、果たしてペナルティ意味合いの強い、この条件は必要なのでしょうか。
 
なお、今後判断するのは、独立性の高い原子力規制委員会ではなく、利用施策側の経済産業省となりますが、逆に世論や政治の意向に左右されやすくなるのではと、別の意味で危惧するところ。
 
本件については特に、敦賀2号機を例に挙げて話しがあったものでもあり、重要なポイントかと思いますので、今後の国会での法案審議に注視するとともに、あいまいな状態とならないよう、あくまでも「科学的」な考えを根拠に制度化されるよう求める次第です。