美浜発電所3号機、本日原子炉起動

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話題が若干遅れますが、一昨日21日、資源エネルギー庁が主催する「福井県・原子力発電所の立地地域の将来像に関する共創会議」の初会合が若狭湾エネルギー研究センター(敦賀市)で開催されました。
 
この会議は、福井県内において、原子力の長期的利用に向けて、運転終了後も見据えながら持続的な地域の発展を実現すべく、「立地地域の将来像」について議論する場として立ち上げられたもので、杉本県知事始め、原子力発電所を有する敦賀市、美浜町、おおい町、高浜町の各首長ら立地自治体代表の他、関係行政機関の幹部、関西電力、北陸電力、日本原子力発電の各社社長、および有識者で構成されたもの。
 
既に新聞報道もされておりますが、同会議では、各自治体の地域振興計画なども踏まえ、20~30年後を見据えた地域産業・くらしの「将来像」や、その実現に向けた国・事業者による対応のあり方を「将来像に関する基本方針」として、また、必要となる国の施策や事業者による地域共生の取組内容・スケジュールを工程表として、それぞれ取りまとめたうえで、毎年フォローアップを実施。
 
今後は、実務担当者レベルのワーキンググループも通じて検討を進め、今秋までを目途に具体的アウトプットを目指すとのこと。
 
 →→→「共創会議」資料はこちらから(経済産業省HPにて)
 
現在、エネルギー基本計画見直しに係る検討が佳境を迎えている総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会でも、「中長期的な立地地域の持続的発展」が原子力政策の課題の一つとして掲げられており、梶山経済産業相は、4月末に行われた杉本知事との会談の中で、地域振興の取組について次期基本計画にも着実に反映していく考えを示しており、共創会議開始に際し挨拶に立った保坂資源エネルギー庁長官の言葉にあったよう、「新たな『福井モデル』を創り全国に発信していく」との思いを真の目的として受け止めておきたいと思います。
 
また、この日も一部の首長さんが強く意見されたようですが、「国は、エネルギー政策における原子力の位置付けを明確にすべき」との主張は、従前から再三に亘り求めていることであり、「共創」の原点になければならないものと、私も認識するところであります。
 
さて、共創会議では、関西電力の森本社長が、原子力発電所の40年超運転に向け「引き続き安全最優先で取り組んでいく」との決意を改めて表明のうえ、今後の同会議での議論に際し「地域の皆様の声をしっかりと聴き、持続的な地域の発展に向け主体的かつ積極的に取り組んでいく」と述べたとありましたが、いよいよ本日、その美浜発電所3号機(加圧水型、定格電気出力82万6千kw)が原子炉起動を迎えます。
 
明日には臨界、その後は諸試験を実施し、6月29日の定期検査の最終段階である調整運転に入り、7月27日には総合負荷性能検査の実施を経て、本格運転の再開を予定していますが、思い返せば、第25回定期検査のため発電所を停止したのが、東日本大震災、福島第一原子力発電所事故の約2ヶ月後の2011年5月14日。
 
ちょうど10年と1ヶ月が過ぎた訳ですが、この間、新規制基準の審査、数え切れないほどの設備保全や点検工事、さらには福島第一原子力発電所事故を踏まえた安全性向上対策工事などを完遂したことに加え、この起動にあたっては、トラブルの未然防止を目的として、再稼働経験のある大飯発電所の技術系社員を美浜発電所に派遣するなど、社員、協力企業、メーカー述べ約320名を擁しての、現場パトロール(総点検)を3回実施し、万難を拝したとのこと。
 
「新規制基準下における国内初の40年超運転※」という、只ならぬプレッシャーがあると思いますが、何をおいても「安全第一」で、五感を研ぎ澄ました運転操作、点検作業にあたっていただき、トラブル発生なき「一発起動」で計画通り工程が進むことを切に願うところです。
 ※国内原子力発電所の40年超運転は、日本原電敦賀発電所1号機で実績あり。
 
ここ美浜発電所は、既に1、2号機が運転停止したものの、とりわけ1号機は敦賀半島の反対側にある日本原子力発電敦賀発電所1号機とともに、先の1970大阪万博に「原子の灯」を届けた、言わば同志。
 
わが国の原子力黎明期からここまで、ともに原子力の平和利用、原子力発電で国民生活と産業を支え、国の発展に寄与するとの思い一筋で発電所運営にあたってきたもの同士であり、そうした特別な関係でもあることを思えば尚のこと、携わっておられる全ての関係者を応援する気持ちで一杯であります。
 
とかく、この再稼働に対しては否定的な意見があるのも事実でありますが、そうした声ももちろん大事であり、飽くなき安全を追求する精神のもと、今後も改善し続けることを前提としつつ、この美浜3号の再稼働により、今夏の関西圏の電力需給逼迫が改善される現実も捉えながら、この再稼働を冷静に見守っていただければ幸いに存じます。
 
今日の天気は晴れ予報。
 
10年ぶり戦線復帰に向かう美浜発電所3号機の門出を応援するかのような天気のもと、晴れやかな気持ちで、見通し明るく前に進むことを願い、私も3号機の起動過程を見守っていきたいと思います。
 

【以前に撮影した美浜町丹生から見た美浜発電所。一番右が再稼働に向かう3号機。】