産経建設常任委員会 行政視察2日目(山口県下関市)

ブログ 敦賀市議会

行政視察調査2日目。
本州を西に進み、昨日は山口県下関市へ。
同市が進める「下関港ウォーターフロント開発」について、計画の内容や進捗状況についてお話しを伺ってきました。
 
下関は、関門海峡に位置し、古くは壇ノ浦の古戦に始まり、宮本武蔵と佐々木小次郎の巌流島、下関戦争など戦いの場となったことや、明治維新発祥の地とも呼ばれており、数々の歴史の転換点となった場所であることから、「海峡と歴史のまち」と称しているとのことでした。
 
潮目が1日に4度変わるという関門海峡やフク(幸福とも掛けておりフグとは呼ばないそう)取扱い日本一、クジラも有名なまちでもあります。
 
視察の方は、建設工事中の下関市役所にお伺いした後、ウォーターフロント(WF)開発エリアも見させていただくなど、議会事務局や港湾局、WF推進室の皆さんにご対応いただきました。
 
下関港は、国の特定重要港湾に指定され、古くから国際ゲートウェイとして栄えてきたほか、国際クルーズ拠点形成に向けて整備を進める国内9港にも指定され、まさに「港まち」のイメージを活かしたまちづくりに取り組んでいました。
 
その取り組みの目玉であるWF開発を始め、港湾、大型クルーズ船対応などに関して調査した内容とポイントは以下の通りでした。
(昨日同様、議事メモとして書き留めますことご容赦のほど…)
 
◉港湾関係
・取扱貨物量は、S47第一次オイルショック時の2,321万トンからは大きく減少しているものの、韓国との国際定期航路などを継続し、H30では549万トンとなっている。
・国際定期航路は、釜山・馬山(韓国)とのコンテナ航路、石島・蘇州(中国)とのRORO船は週2便、釜山とのフェリー航路は毎日運行している。
・スピーディーなCIQ検査体制(税関・出入国管理・検疫)により、即日通関、即日発送を可能としている。
・なす、パプリカ、むき栗、あさりの輸入実績は日本一。
・さらなる港湾発展を目指し、長州出島(既存)を拡大する整備計画を進めている。
 
◉大型クルーズ船関係
・下関港への大型クルーズ船寄港は、2017年では年間57回、2018では37回にも及ぶとともに、約17万トン級にまで大型化している。
・各級クルーズ客船の着岸を可能とする岸壁は、22万トン級までを可能とする長州出島、5万トン級までに対応する本港・あるかぽーと(WFエリア)の3つ。
・これまでは団体ツアーが多くを占めており、寄港後はバスで福岡方面に向かう傾向にあったが、近年ではFIT(Foreign Independent Tour:団体旅行やパッケージツアーではない個人旅行)が増加しており、下関を周遊してもらう機会としてプラスの環境にある。
・国際クルーズ拠点に向けた整備計画として、MSCクルーズ社と30年間の連携を結び。寄港回数の目標を運用開始年の2023年には120回、目標年の2023年には180回に置いている。
・市内商店でのキャッシュレス化に関しては、取組みを進める必要性はあるとしているが、市としての補助金精度などは無いとのこと(敦賀市は県と連携して制度あり)。
 
◉WF開発計画関係
・水族館や魚市場、小型遊園などを配置し、整備をしてきていた関門海峡に面するエリアについて、市民の意向も伺いながら、観光客の滞在性などにも鑑み「あるかぽーとWF開発」として計画。
・ちなみに、「あるかぽーと」とは、理想郷を意味する「アルカディア」と港の「ポート」を掛け、公募で選ばれた名前とのこと。
・本計画については、1回目は大型商業施設への地元商店街の反対、景観眺望に対する近隣住民の反対を受け頓挫。2回目は、リーマンショックの影響などにより頓挫と過去2回不調に終わっていることを踏まえ、3度目の今回は、住民との合意形成や最新ニーズなどを確実に汲み取ることに重きを置いている。
・地元住民に対する丁寧な合意形成に関しては、市側で基本構想構築を提示したのち、みなとまちづくりに関係の深い主要団体など29者への説明会を行ったほか、パブリックコメントも行い、100件を超える意見収集を行った。
・収集した意見については、官民連携のもと設置した「WF開発推協議会」(6名の委員で構成)により、若手事業者や子育て世代の意見なども取り込みつつ、基本構想や公募要件に的確に反映している。
・最新ニーズに関しては、32者へのサウンディングを時間を掛けて実施。トレンドも把握している。
・業者の選定に関しては、定量的評価を行う委員会(学識経験者などが中心:4名)」と訂正的評価・総合評価を行う委員会(市内まちづくり関係者:5名)の二部構成にて慎重に審議。
・最終的に「下関から見た海、海から見た下関」として景観を重視した案を提示した「星野リゾート」に優先交渉権を決定。今年度中の事業契約を目指すとのこと。
 
その後、WFエリアもご案内いただきました。
その場でもご担当の方と詳しくお話しをさせていただきましたが、関門海峡を背に、このエリアの開発を通じ、市民の皆さんとともに下関を何としても盛り上げたいとの情熱と思いがヒシヒシと伝わってきました。
 
規模はやや違えど、同じ「良好な港」を有する敦賀。
金ヶ崎エリアもいわばWFであり、ここで得たことは勿論、情熱や思いを市民の皆さんにどう伝え、理解を得ていくかが大きな課題と改めて認識した次第。
 
視察調査最終日の本日は、宮崎県延岡市にて学んでまいります。