動き多き一日 〜原子力発電所の安全、核燃料サイクル、高レベル廃棄物の最終処分〜

ブログ 原子力

新型コロナ対応に大雪と災害に関するニュースで持ち切りのところでありますが、ここ最近を見ていると、洋上風力発電の拡大に向けた戦略や再生可能エネルギー拡大に向けた民間の技術導入、さらには原子力発電に対する位置付けなど、エネルギー政策に関する報道が多く目につくと感じています。
 
これも以前の所信表明演説において、菅総理が「2050年温室効果ガス排出実質ゼロ」を目指すとして以降、議論が活発化しているとすればやはり、トップリーダーが明確な政策目標を掲げるだけで無く、達成に向けた道筋を示していくことが不可欠であり、今はそのプロセスの始まりといったところかと。
 
第6次エネルギー基本計画の見直し論議も開始されておりますが、その中においても冷静で現実的、さらには将来に向け技術の発展を生む明るい政策を示していただくことを切に願うところであります。
 
そのような中、昨日は原子力に関し、大きな出来事が目白押し。
 
ひとつは、先日、大阪地裁で原子力規制委員会の審査に不備があるとして設置許可を取り消すとの判決が下された関西電力大飯発電所3、4号機の耐震設計を巡る問題について、大阪地裁判決を不服として被告の国側は17日、大阪高裁に控訴しました。
 
原子力規制委員会においては16日に、1審判決を受けて「計算結果に数値を上乗せするような方法は、(政府の地震調査委員会が公表している)地震動の予測手法で示された方法ではない」とする考えを公表、大飯3、4号機の耐震設計や審査は「妥当なものだ」と反論したうえでの控訴。
 
これにより、判決が確定するまで、取り消しの効力は発生しないこととなります。
(発電所を停止せねばならない法的拘束力は無い)
 
また同日、原子力規制庁の調整官が福井県庁を訪れ、本件に対する原子力規制委員会の見解を説明したうえで、控訴したことを報告。
 
さらには、運転開始から40年を超えた関電美浜発電所3号機と高浜発電所1、2号機の審査も「判断に問題はない」と述べたとあり、改めて国として安全性はお墨付きであると示したことは大きな意味があると受け止めるところです。
 
次に使用済み核燃料の取り扱いに関しては、電気事業連合会会長が梶山経済産業大臣に、使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設(青森県むつ市:リサイクル燃料貯蔵)に関し、原子力発電所を有する電力各社での共同利用の検討に着手すると報告したとのこと。
 
梶山経産大臣は、中間貯蔵施設の共同利用の検討着手について、「核燃料サイクルを推進するうえで大きな意義がある」と述べられましたが、勿論これは受け入れる側のむつ市や青森県との調整、同意があってこそ成り立つものであり、この断面で自身の意見を述べることは控えたいと思います。
 
廃棄物の関係でいけば、高レベル放射性廃棄物の最終処分場選定に向け、第1段階の文献調査が始まった北海道寿都町で、高レベル放射性廃棄物の持ち込み拒否を掲げる条例案が町議会に提出されたものの、反対多数で否決されたともあります。
 
批判や誹謗に屈することなく、国策への貢献、現世代でこの問題を解決するとの町長の毅然たる対応と行動に敬意を表するところですが、こうして反対される住民の民意についても民主主義のルール、すなわち議会の判断によって適切に対応される姿には頭が下がる思いです。
 
ひとつ一つ、冷静且つ丁寧に物事を進め、国民皆が「自分ごと」として考えていくことが、この問題を解決する筋道と考えるところであり、その点は是非ともご協力願いたいと思います。
 
偶然ではありますが、原子力発電所の安全、核燃料サイクル、高レベル廃棄物の最終処分と大きなテーマをひとつづつ取り上げることとなりましたが、昨日はもうひとつローカルな話しにはなりますが、敦賀市の隣々接にあたる越前市議会に提出されていた「停止中原発の再稼働に関する請願」が反対多数で否決。
 
簡単に言いますと、関電が保有する原子力発電所は全て停止せよとの内容であり、これは「安全が確認された原子力発電所については再稼働する」との国や県の考えと異なるとともに、請願の内容も事実誤認ではと思われる部分が多くあったことから注視していたもの。
 
反対、賛成それぞれ討論が行われましたが、客観的に見ても、国家観をもったエネルギー政策の観点からも論ぜられた反対討論の方が説得力があったと受け止めるところです。
 
こうした議会での請願審議においても、冷静且つ現実的な視点を持って議論されれば答えは自ずと見えると考えることから、今後も敦賀市議会のみならず県内の各議会対応にも留意していく所存です。
 
今日は、全て原子力の話題となりましたが、電力が国民生活や産業発展に欠くことのできない血液のようなものだと思えば、この問題は決して皆さんにとって遠い問題ではなく、逆に「直結」する問題とも言えますので、今後もこの点に関心を持ってご覧いただければと思います。
 
(思いが募り、やや上から目線になってしまった点はご容赦願います。)
 

【移動中に立ち寄った「気比の松原」もすっかり雪化粧。これも敦賀の風情ですね。】