「労多くして益少なしの(憲法)改正」になることを懸念

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昨日行われた衆院憲法審査会では、日本国憲法に密接に関連する基本法制などについて議論がされ、「緊急集会」を定めた憲法54条、「戦略の不保持」に関する9条などについて、各政党より発言がありました。
 
これに関し、国民民主党 玉木雄一郎代表の発言要旨を以下にリンクしておきますが、憲法9条に関する発言では、こう結んでいます。
 
「憲法9条こそ、軍事的公権力の行使という最大の統治行為に関する規定である。まさに厳格に解釈すべき「ルール」「準則」であるはず。だからこそ、無理な解釈から卒業し、自衛隊を明確に戦力と位置付けることが、憲法の規範性を回復する上でも必要であることを指摘しておきたい。」
 
 →5月11日 衆院憲法審査会での玉木代表発言要旨はこちら
 

【発言する玉木代表】
 
また、9条関連の議員間の議論では、次のようなやり取りがありました。
 
◉自民党 新藤議員
「自衛隊を憲法に明記すべき。自衛権の行使については、現在の解釈に変更はない」
 
◉国民民主党 玉木代表
「自衛隊という組織を憲法に明記するだけでは、自衛隊の行使する自衛権についての違憲論が残り続ける。自衛権の範囲をある程度憲法に明記すべき」
 
◉自民党 新藤議員
「国防を担う実力組織として自衛隊を憲法に明記する事は、基本法である憲法が掲げる《あるべき国の形を整える事に繋がる》と考える。国防及び自衛隊の規定を設けたとしても、現行の9条1項2項はそのまま維持するので【自衛権の行使は必要最小限度という現在の解釈に全く変更はない】」
 
◉玉木代表
「自民・維新の憲法9条改正案は「自衛権の範囲は従来の解釈を維持」としているので、自衛隊という組織の違憲性は消えるが、自衛隊が行使する自衛権の範囲については解釈論争が残り続ける。目的である【違憲論に終止符を打つ事が達成できず、労多くして益少なしの改正になる】ことを懸念する
 
なお、玉木代表が発言で引用した、1952年の「憲法改正と再軍備」に関する憲法学者の対談記事での「やはり重要な問題については憲法の無理な解釈をしないで、それを堂々と取り上げて、国民全体の与論を聞いて、十分論議を盡した上で改正するかしないかを決めるという公明な態度をとる必要がある」との指摘はまさにその通りと思うところ。
 
ではその「与論」たる国民の考えも感覚論ではなく、ある程度成熟せねば、真の憲法改正論議につながらないのではと考えるところです。
 
皆さんに考えを押し付けることは決してするつもりはありませんが、改憲派・護憲派それぞれの主張はもとより、改憲派の中において9条ひとつとっても意見が分かれるのは至極当然のこと。
 
以前にも述べたよう、憲法改正論議を自分ごととして捉え、各政党が示す異なる考えの中で、どの考えが自分にしっくりくるのか、国民ひとり一人が思考しておくことが重要と考える次第です。