茨城県下妻市の「地域連携公共ライドシェア」を視察

ブログ まちづくり

昨日、今日と嶺南広域行政組合議会の行政視察のため茨城県に来ています。
 
視察1日目の昨日は、下妻市へ。
 
下妻市は、人口40,923人(R8.10.1現在)、面積80.88平方キロメートルで、人口規模に比べて市街地規模が小さく、既存集落が用途地域別に分散。
 
公共施設、医療施設、商業施設等の主要施設が下妻駅周辺に集中して立地しているという地理的特性に加え、マイカーの保有率が非常に高く、なんと939.7台/千人(茨城県第2位)とのこと。
 
その下妻市にお伺いした目的は「公共ライドシェア」。
 

【下妻市議会の一室にて】
 
公共ライドシェアとは、地域住民の移動が困難になった地域(交通空白地)に適用される「自家用有償旅客運送」のことで、下妻市においては従前より、旧千代川村エリアの交通空白地帯が課題。
 
コミュニティバスやタクシー助成券による実証試験を実施するも、住民からはドアtoドアの交通モードが求められ、一方でタクシー供給能力への不安があったところ、「デジタル田園都市国家構想交付金デジタル実装タイプ(TIPES)」の補助要件である自治体間連携の基盤が構築されていたことで、共通課題を持つ4市(つくば市、土浦市、下妻市、牛久市)での「地域連携公共ライドシェア」の取組で2024年度に実現。
 
下妻市役所での視察では冒頭、利用者が配車予約できる専用Webアプリ(下妻エリアと牛久エリアの一部は電話申込にも対応)について、実際の予約画面をご紹介いただきました。
 
予約メニューは、乗車希望日の7日前から前日昼12時までの事前申し込み(乗合の可能性あり、利用料金は700円)と、前日12時以降の直前申し込み(乗合の可能性なし、利用料金1,000円)があり、AIオンデマンドシステム「mobi」により、AIが予約申込状況に合わせて最適な運行ルートやスケジュールを算出し、効率的に配車・運行しているとのこと。
 
運行管理は市町村やNPO法人などが担当し、ドライバーは地元住民が担うもので、その際、ドライバーには乗務に向けた各種講習や運行前点検などが義務付けられており、募集・育成・管理などを共同で実施するとともに、運営事業者のCommunity Mobilityによるプラットフォーム「Community Crew」を活用。
 
下妻市においては、既存の交通システムや住民の移動ニーズを把握した上で、タクシー需要が集中する時間帯の供給不足を補完する観点から、10時〜16時までをライドシェア、8時〜10時までと16時〜20時を定時定路線運行(バス)とする設定でカバーしようというもの。
 
なお、タクシーの“供給不足”と書きましたが、お話を伺うに、タクシー借り上げのオンデマンドタクシーを検討した際、タクシードライバー不足等があり成立しなかったことから、本制度(一般ドライバー活用)につながったとも。
 
気になる運行した後の運行実績は、2025年度、下妻市で年間422人で運行回数として385回(乗合があるため)。
 
平均して月35人程度の利用実績があるものの、特定の利用者が繰り返し利用している状況であり、新規利用者が少ないことが課題として挙げられる一方、これまで公共交通による移動が難しかった地域に新たな移動手段を確保できたことや、既存のバスやタクシーを補完する選択肢が確保できたことは、一定の成果と認識されていること。
 
定時定路線については、利用者が少なく(乗車率15.8%)、現状のまま運行することが難しい状況にあると、切実な評価を伺った次第。
 
また、「公共ライドシェア」に関しては、モデル事業として3年は続けないといけないものの、国からの交付金があるのは初年度のみ。
 
2〜3年目においては、下妻市で約1千万円の支出となっており、利用者数で割り戻すと一人当たり約13,000円補助していることになり(定時定路線は600〜700円)、現在の実績や収支だけで判断すると、現状のまま持続可能なサービスであるは言い難いとの認識をお伺いした次第です。
 
将来的には、自治体の予算の範囲内において自走できる事業の実現を謳うも、率直な実感を聞けたことは非常に参考になったところです。
 
机上での視察後は、冒頭に予約したライドシェアカーを拝見。
 
ドライバーの方(実は市議会議員さんだった)からの説明や具体的な運行方法などをご教授いただいたところ。
 

【マイカーを用いたライドシェア】
 
人口減少に高齢化、過疎化が進む中での公共交通のあり方について大変参考になった次第です。
 
ご丁寧にご説明いただきました下妻市役所のご担当様、対応いただいた議会事務局の皆様、誠にありがとうございました。
 
一夜明け、視察2日の今日は茨城県常総市にて、「防災先進都市を目指す取り組み」について学んでまいります。