水島新司先生死すとも、作品は我が心の中で生き続ける

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昨日、第208通常国会が召集され、岸田首相の施政方針演説を始め、外相、財務相、経済財政政策担当相からの各演説が行われたました。
 
首相の施政方針演説については、私も全文拝見させていただきました。
 
国のトップリーダーが考える課題認識とは何かに焦点を当てて拝見するに、最優先課題は新型コロナ対応としつつ、「資本主義の負の側面が凝縮しているのが気候変動問題であり、新しい資本主義の実現によって克服すべき最大の課題でもあります。」と述べられた点に、「そこが最大の課題か」と若干の違和感を感じた次第。
 
また、既に野党各党党首からは受け止めの声が挙げられていますが、私が支持する国民民主党の玉木雄一郎代表は自身のTwitterで「岸田総理の施政方針演説は手堅い印象です。また『賃上げ』や『人への投資』を重視する政策は、国民民主党の政策そのもの。しかし、不十分な点が多々あるので、そこはまさに『対決より解決』の姿勢で、具体的な政策、解決策をどんどん示していきます。今国会を『給料が上がる国会』にしたいと思います。」と述べています。
 
政府与党は、令和4年度予算案の今年度内成立を期すとしており、19日から始まる各党代表質問を皮切りに、この国難とも言える時期に開かれる国会が真に与野党の政策論戦の場となることを期待するとともに、私自身、今後の状況把握に努めたいと思います。
 
さて、話題をガラリと変え、私にとって昨日の一番の出来事は、漫画家の水島新司先生がお亡くなりになったこと。
 
享年82歳。
 
私世代では知らない人はいないであろう代表作「ドカベン」を始め、数々の代表作は多くの国民に長年愛され、「野球漫画の世界に革新」をもたらしたとも称される水島先生の、これまでのご活躍とご功績に敬意を表するとともに、ファンの一人として、心よりご冥福をお祈りいたします。
 
この訃報を受け、一時はTwitteのトレンドでトップ、Yahooニュースではコメントが多過ぎて閲覧できなくなったほか、「平成の怪物」松坂大輔さんなど、水島漫画に登場した実在の選手なども多くコメントを発するなど、魅力的なキャラクターが登場する全く新しいタイプのリアル野球漫画に魅了された人々への影響の大きさは計り知れないものがあったことを実感した次第です。
 
私自身、「ドカベン」や「球道くん」などはもちろん、永久保存版として全巻保管しているほか、あぶさん、野球教の詩、男どアホウ甲子園、一球さん、ダントツ、そして水島作品に登場する高校球児が甲子園に結集し戦う「大甲子園」など、読みふけった漫画は数知れず。
 
大人になってからも、これだけ夢中になって読んだというのは、単に野球漫画というだけでなく、それぞれの登場人物の人間模様、ライバル関係の中にもどこか清い優しさがあふれる作品であったことが一番大きな理由としてあったのかと思う訳ですが、「ドカベン」の「明訓高校」は、水島先生が希望していた新潟明訓高等学校への進学の思いから名付けられたことなど、水島さん自身の分身が漫画の世界の中に生きているようにも映るものであります。
 
数ある作品に優劣をつけるつもりは毛頭ありませんが、一番好きな作品はと聞かれれば、私は「球道くん」と答えます。
 
詳細は割愛しますが、小さい頃に親と別れ(南海ホークスの選手であった実父は死去)、胸に「球けがれなく道けわし」のボールをお守りのようにぶら下げた「中西球道」くんは、その後プロ野球選手となる父に育てられ、数々の野球仲間と切磋琢磨しつつ、高校進学では甲子園常連校ではなく、自らの剛腕で全国一をめざすと弱小「青田高校」(千葉県)に入学。
 
球道くんを慕うメンバーの加入により、戦力を増した青田高校は、150キロを誇る豪速球を引っ提げて甲子園に出場、決勝戦では、小学生時代のチームメイトらがいる「博多どんたく高校」をノーヒットノーランで破り、見事優勝を果たすとともに、全国的に有名になった球道くんを我が子と知り、実母と感動の再会を果たすというストーリー。
 

【雄叫びとともに豪速球を投げる中西球道くん】
 
何を置いても、球道くんの「男気あふれる」考え方や生き方がカッコ良く大好きな訳ですが、もうひとつこの漫画が好きなのは、死に別れた元プロ野球選手の実父が残した「球けがれなく道けわし」の言葉。
 
球道くんが、何か壁にぶつかり悩んだ時、感情が抑えられず激昂した時に、この言葉が書かれたボールを見て落ち着きを取り戻す訳ですが、それほど球道くんが大切にしている、亡き父が残した言葉。
 
野球を人生に置き換えれば、この言葉の意味とは、「人生という道は険しいけれど、白球を無我夢中で追った直向きな努力と信念があれば乗り越えられる」ではないかと。
 

【「球けがれなく道けわし」と書かれたボールとともに(「球道くん」の表紙より)】
 
この言葉と出会って以降、私も球道くんばりに大事にしているのですが、話しを戻し、こうして人生訓まで示唆してくれた水島先生には本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
 
大げさかも知れませんが、かの吉田松陰の残した詩に、「身はたとひ武蔵の野辺に朽ちぬともとどめおかまし大和魂」があります。
 
死に際に詠んだ詩で「自分の身は死んでなくなっても、その魂(大和魂)は生き続ける」との意味ですが、この詩は水島さんにも通ずるのではと思うところです。
 
水島先生が描いた作品、登場人物は皆、ファンの心の中に生き続け、その魂は今後も「野球界の宝」として語り継がれる。
 
改めて、数えきれないくらいの感動や教えをいただいた水島先生に心から感謝申し上げ、今日はどこかで時間を見つけ、「球道くん」のページをめくってみたいと思います。