「核兵器禁止条約」発効

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22日、核兵器禁止条約が発効されました。
 
核兵器を非人道的で違法と明記、開発や保有、使用を全面的に禁じ、廃絶を目指す初の国際法規。
 
条約は2017年7月、国連で122カ国・地域の賛成で採択。
昨年10月、批准が発効に必要な50に達し(現在は51)、90日後の発効が確定したものです。
 
「核兵器なき世界」、「核廃絶」という人類が希求するこのテーマに関しては、世界唯一の被爆国である日本が果たすべき役割は大きく、国際社会をリードする責務を負うところであり、これまで半世紀以上に亘り核保有国への呼び掛けや非核保有国との橋渡し役を務めてきたところ。
 
であるならば、いわゆる法的拘束力を持つ、この核兵器禁止条約に何故日本は批准しないのかとの批判や疑念が湧くのもごもっともかと思いますが、ここには深く、核廃絶に向けた「現実的なアプローチ」と「日本の安全保障」という超高度な政策判断によって批准しないとする考えがあろうかと存じます。
 
私自身の考えはどうかと言えば、ちょうど昨年の敦賀市議会9月定例会において、『日本政府に「核兵器禁止条約」への賛同と批准を求める意見書の提出に関する請願』が提出され、その際、請願に反対の立場で討論を行なっています。
 
ついては、少し長いのですが、討論全文を掲載した令和2年10月3日のやまたけブログを以下にリンクしますのでお読み取りいただければと思います。
→→→敦賀市議会 令和2年9月定例会 請願第2号『日本政府に「核兵器禁止条約」への賛同と批准を求める意見書の提出に関する請願』に対する討論全文
 

 
テーマがテーマだけに解決に向けた正解はなく、現時点で考えられる最善・最適な方法を進めていくしかない訳であり、決して私の考えを押し付けるものではないということはお断りしておきたいと思います。
 
条約の実現に向けた運動を進めてきた国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン」(ICAN)は今後、批准国を増やすことで、核保有国に対して国際的な圧力をかけて核軍縮に向けた具体的な行動を迫る方針とのことですが、条約に参加しなければ遵守義務はなく、核保有国側は条約には縛られないとの立場で一貫しており、今後双方のせめぎ合いは激化しそうとの見方がされています。
 
また、核保有国同士も米中露の軍事的対立は激しさを増しており、核抑止力に依存する核保有国やその同盟国を動かすのは容易ではないことやバイデン新大統領のもと、2月5日に期限切れが迫るアメリカとロシアの新戦略兵器削減条約(新START)の延長交渉で合意できるかが新政権の当面の課題とされるなど、まずは核軍縮の範囲に留まることが重要と考えるところです。
 
条約発効から1年以内に開かれる第1回の締約国会議に、唯一の被爆国日本にオブザーバー参加を求める声も高まったりしていますが、どちらにも良い顔をする八方美人の対応は最悪の事態を招く可能性があることから、核不拡散条約(NPT)の枠組みの中でこれまで日本が果たしてきた歴史的経過を踏まえながら、確固たる姿勢を貫くことがこれからも重要であると考えます。
 
核兵器の問題は、我が国の領土と国民の安全に直結するものであり、決して他人事にできないもの。
 
そうしたことを踏まえ、今後も引き続き世界の動向、日本政府の対応に注視をしつつ、私自身は「解決に向けた現実的な道筋」の視点で、軸となる考えを持ち続けていきます。