浜岡原子力発電所で働く現場の皆様にエールを送る

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14日に正式な発表があるとしていた中部電力浜岡原子力発電所の基準地震動(Ss)策定を巡る不適切事案について。
 
外部の調査委員会による報告書の内容が公表され、同社が基準地震動の策定過程で選定した代表波全225ケースのうち、208ケースが不適切な方法で選定されたと整理。
 
新規制基準適合性審査での虚偽の説明や、隠蔽工作といえる行為もあったことが確認されたとし、調査委は「極めて特異な考え方」が事案に通底する原因と断じました。
 
この公表を受け、経営責任を明確化するために林欣吾社長と勝野哲会長が9月30日付で辞任すると発表し、後任の社長に安井稔取締役・専務執行役員を充て、体制を刷新して経営改革を断行することとなりました。
 
同じ原子力産業に属する者として、本件は言語道断の事案であることは言うまでもなく、技術者倫理はもとより、こうした行為が社会からの信頼を失墜することになることを踏まえ、徹底した再発防止対策を講じていただきたいと強く思うところであります。
 
と同時に、浜岡原子力発電所の審査取り下げにより、再稼働が白紙状態となったことは、原子力を最大限活用するとの国策に大きく影響するものであり、極めて残念なこと。
 
こうして、既設原子力発電所の早期再稼働、2040年代に2〜5基の次世代革新炉開発を国策に掲げながら、思うように進まない日本に対し、生成AIの急速な普及により求めらる莫大な電力を安定供給するため、欧米列国では猛烈なスピードで、原子力による電源供給力の増強が進められているところ。
 
その様子は、原子力産業新聞(以下、原産新聞)に掲載される日々の“海外ニュース”を見れば手に取るように分かるところ。
 
→原産新聞の『LATEST NEWS』はこちら
 
その中でも、最近のニュースで驚いたのは、9月11日付の『米テネシー州 核融合専用規制で全米初のライセンス』のタイトル。
 
記事では、米テネシー州のB. リー知事が8月31日、テネシー州環境保全局(TDEC)が核融合開発企業のタイプ・ワン・エナジー(Type One Energy)社に対し、核融合装置の運転に必要な副産物物質ライセンスを発給したことを明らかにした。核融合装置に特化した新たな規制制度に基づくライセンス発給は全米初。
 
同州オークリッジ近郊にあるテネシー峡谷開発公社(TVA)のブルラン・エネルギー・コンプレックス(旧ブルラン火力発電所サイト)で進められる、ステラレータ技術[1]を採用した商用核融合プロジェクト「プロジェクト・インフィニティ」(Project Infinity)が今回のライセンス発給の対象。同プロジェクトは段階的に進められ、工学的検証・訓練用プラットフォーム「Infinity One」に続き、40万kWeの商用核融合設備「Infinity Two」の建設を計画している。
 

【「Infinity Two」の完成予想図(原産新聞より引用)】
 
プロジェクト・インフィニティは段階的に進められる。第1段階では、工学的検証・訓練用プラットフォームの「Infinity One」を年内に着工し、2029年の運転開始をめざす。続く第2段階では、「Infinity Two」を2028年に着工し、2034年の全面運転を計画している。タイプ・ワン・エナジー社の商業用地は、オークリッジ国立研究所(ORNL)、TVA、テネシー大学などとのプロジェクトを通じて核融合開発キャンパスとして整備される予定だ。
 
リー知事は、「テネシー州は原子力エネルギーの世界的中心地として、次世代の原子力イノベーションを牽引するために必要な人材、インフラ、規制の枠組みを整備している。核融合のような新技術に向けた明確な道筋を示し、今後何世代にもわたり信頼性が高く豊富なエネルギー源を推進している」と強調した。
 
<引用終わり>
 
日本では遠い先のことに思える核融合炉が、すぐそこに現実のものになろうとしている米国との違いに落胆もするわけでありますが、見習うべきは結びにあったリー知事の考え。
 
私が以前に議会で意見した「敦賀を“エネルギーの未来都市”に』はまさにこの考えと類似するものですが、原子力開発分野でこうして国を挙げて大きく先を行く米国を始め、欧米、中国、ロシアなどとの差は、そのまま国力の差につながるものと、大いに危惧するもの。
 
そうした考えに立てば、冒頭の中部電力の問題はあるとて、浜岡原子力発電所を無くしてしまって良いとは決してならないと考えます。
 
再申請、その先の再稼働を目指す、地元の敦賀発電所2号機も同様でありますが、時間を要したとしても、明らかな科学的根拠をもって審査をクリアし、地域や国民からの信頼を得た上での戦線復帰を期待するものであり、おそらく忸怩たる思いを抱えているであろう、浜岡原子力発電所で働き、技術者としての倫理観をもって日夜懸命に現場を守る皆様に対しエールを送る次第です。