理解できない「不公平」を生み出す「子育て生活支援」

ブログ 敦賀市議会

強風吹き荒れる一日が過ぎ、静けさを取り戻した今日。
 
昨日はかき消されていた虫の音が聞こえる朝を迎えています。
 
一方、議会のほうは逆に、強風が吹く予感がする様相となっておりますが、早速昨日の報告に入らせていただきます。
 
9月定例会2日目の昨日は、補正予算案に係る予算決算常任委員会が開催され、全体会及び分科会を通じ、詳細な審査が行われました。
 

【全員協議会室で行われた予算決算常任委員会(全体会)】
 
まず、10時から行われた全体会では、事前通告のあった28件について、部局入替え制にて順次質疑。
 
議員の質問が重複することは多々あるものの、私を含む5名、加えて2名が関連質問をし、計7名が質問するほど議論を呼んだのが「子育て生活応援事業費」(130,096千円)。
 
これは、マイナンバーカードを取得している0歳から2歳までの子どもを支給対象とし、自治体マイナポイント事業者と連携したポイントを「毎月」付与するというもの。
 
なお、支給額については、0歳児がひとりあたり月5万円、1歳児が月3万円、2歳児が2万円ということで、フルに支給された場合、120万円相当のポイントが得られるというものです。
 
この事業に関しては、既に市長会見を踏まえた記事が福井新聞にも大きく掲載されており、私自身も多くの方から批判や疑問視する意見を伺っているほか、Twitterでは、同新聞のアカウントにて投稿されたこの記事に対し、「こんなまちには住みたくない」など、敦賀市を揶揄する辛辣な意見が多く飛び交ってしまっているところ。
 
そうした状況を踏まえつつ、私自身は、何が本質的な問題なのかを冷静に考え、まずは市の考えを伺うべく、昨日の質疑にあたった次第。
 
全体会での質問では、まず通告した内容に沿い、以下について質問。
(1)大規模な財源を投じる本事業が補正予算で行われることになった理由
(2)マイナンバーカード取得者を支援理由とした理由
(3)カード取得者と未取得者とで生じる不公平感に対する市の考え方
(4)本事業は、制度として継続するものなのか、時限的なものなのか
(5)現金給付ではなく、マイナポイントと連携する理由
(6)「子育て環境日本一」を掲げる本市として、庁内での検討過程において、この事業がマイナスのイメージを持たれるのではとの議論はなかったのか。
 
8月1日時点で0〜2歳児のマイナンバーカード取得率27.1%に対し、本事業では67%取得を前提とした制度設計としている訳ですが、カード未取得者で支給されなくてもそれはご本人の判断、現金などでなくマイナポイントを選択した理由は、付与までの時間や事務効率を優先した、本事業を検討する過程において庁内では全く異論はなかったこと、などなど確認した次第ですが、聞けば聞くほど疑問が湧く状況でした。
 
基本質疑における質問回数は3回までと決まっているため、全てを明らかにはできませんでしたが、質疑を踏まえて、どうしても拭うことができない、私が考える本質的な問題は、以下の2点になろうかと。
 
◉住民サービスの公平性を最大限慮るべき行政が、しかも重点施策の子育て支援において、約3割が支給されないことを前提とした事業としていること。つまりは、対象年齢世帯を始め、様々な点で生じる不公平や分断を行政自らが作り出すことになること。
 
※泉市長の強いリーダーシップで「子育て支援」に「本気」で取組む兵庫県明石市では、子育てに関する全ての所得制限を撤廃しています。これが示す意味合いと今回の敦賀市の施策を比較していただけると、論点が解りやすいのではと思います。
 
◉細かな利点はあるにせよ、子育て支援にマイナンバーカード取得を条件づけること自体、「カード普及のために子どもを使っている」と受け止められ兼ねず(現に「子育て環境日本一を目指すと二度と言うな」などの声も伺っている)、市民或いは社会からどう受け止められるか、敦賀市の品格すら損なう恐れがあることへのリスク意識が欠如している。
 
これ以上、この話題を引っ張るのは止めますが、この事業の是非如何は、補正予算案全体の賛否に関わることから、予定していた一般質問の内容を急遽変更し、この後は本会議場にて市の考えを確認することといたします。
 
たかが1事業とはいえ、これは敦賀市全体に影響する、或いは子育て支援に本気で取り組んでおられる方の気持ちを台無しにしてしまうほど大きなことと思い、時間を割いて説明させていただきましたが、話しを元に戻し、予算決算常任委員会に関しては、全体会を終えた後は、自身が分科会長を務める産経建設常任委員会にて、所管する産業経済部、観光部、建設部、都市整備部に係る補正予算審査を行いました。
 
全ての説明は割愛しますが、都市整備部からあった「第2環状ルート検討事業費」(430万円)については、昭和町(ドンキホーテ前)から東洋紡脇を抜け、若泉町(PSコンクリート辺り)に抜ける「敦賀第2環状道路」の事業化に向け、JR北陸線鉄道交差部(アンダーパス部)の予備設計を行う費用であり、令和6年春の北陸新幹線敦賀開業後の敦賀をさらに躍進させるための予算と受け止めるもの。
 
その他も今の市内経済を活性化させるとともに観光誘客に向けた将来への支援を行う事業もあり、評価をした次第です。
 
こうして進む議会ですが、本日13時が一般質問の通告締切となっています。
 
急遽の項目差替えで、通告書はまだ未完成でありますが、この後最終精査をし仕上げたうえで、極力早目に通告を済ませたいと思います。