求められる姿勢は「無関心でもなければ過剰でもない、中間のさりげない配慮」

ブログ まちづくり

このブログでも何度か引用させていただいている、かのマザー・テレサが残した「愛の反対は憎しみではない 無関心だ」との言葉ですが、これは、無関心であること、苦しむ者に関わりを持たずに傍観者であることが愛の対極にあることを意味するもの。
 
若干ニュアンスが違うのかも知れませんが、まさにこの言葉とリンクする、大変意義深い講演を拝聴することができました。
 
ここ敦賀市では、来年11月に「地域共生社会推進全国サミット」を開催する予定ですが、これに先立ち、昨日は「プレセミナー」として、株式会社ミライロの田中利樹氏をお招きしての講演会がプラザ萬象大ホールにて開催され、私も参加させていただいた次第。
 
演題は「ユニバーサルマナーセミナー」ということで、恥ずかしながら私、この「ユニバーサルマナー」という言葉自体、聞いたことがある程度であった訳ですが、右目の視力が全く無く、幼少時代から「視覚障害があるからこそ、できることはたくさんある」との思いのもと、様々なスポーツやボランティア活動に挑戦されてきた田中先生の実感こもった分かりやすいお話しにより、多くのことを学ばせていただきました。
 
講演は、途中前後の席同士がペアを組んでの体験ワークショップなども挟みながら、大きく3つのセクションについてお話しされましたので、ここではポイントだけご紹介させていただきます。
 
【セクション1:ユニバーサルマナーとは】
 
◉「バリアフリー」は高齢者や障害者のみを対象にしているのに対し、「ユニバーサルデザイン」はより多くの人を対象としている。
◉つまり、「ユニバーサルデザイン」とは、国籍や性別、年齢、障害の有無に関わらず、使いやすいモノやサービスのあり方を意味する
「ユニバーサルマナー」とは、こうした考えのもと、自分とは違う誰かのことを思いやり、適切な理解のもと行動することを指す
◉ユニバーサルマナーを巡る日本の惜しい現状として、「無関心」と「過剰」があり、人も企業も向き合い方が二極化している
 
【セクション2:障害者差別解消法】
 
◉日本では、高齢者3662万人(29%)、障がい者962万人(8%)、3歳未満280万人(2%)と社会の約4割が何かしらの必要性、ユニバーサルマナーを求める層となっている。
◉障害者差別解消法などの概念では、「ハードがすぐに変えられなくても、私たちのハートはすぐ変えられる」
障害とは何か?を考える時に、「障害は人ではなく、環境にある」というスタンスにあるべき
◉障害者の障害別割合では、身体障害436万人(44%)、精神障害419万人(44%)、知的障害109万人(11%)。さらに身体障害では、肢体不自由障害(45%)を始め5種類に分類される。
◉それぞれの障害をサポートする際のポイントとして、肢体不自由では、車椅子ユーザーの「目線の高さを感じること」や「移動経路に障害物を置かない」など、視覚障害では、大枠の情報から伝えるなど(風景が思い浮かぶよう)の情報伝達のコツや注意点があること、内部障害に関しては、「オストメイト」や「ヘルプカード」により、ご本人の意思や必要なサポートについて理解することが肝要である。
 

【講演会のワンシーン】
 
【セッション3:多様性との向き合い方】
 
ユニバーサルマナーとして私たちに求められる姿勢は「無関心でもなければ過剰でもない、中間のさりげない配慮」である
◉過剰にならないためには、「押し付け」ではなく「選択肢」を提供することが大事(障害があるから◯○はできないと決めつけない)。
◉つまり、サポートへのはじめの一歩を踏み出すためには、困っている姿を見た場合などに「大丈夫ですか?」ではなく、「何かできることはありますか?」の声掛けをすること
 
このようにザッとお伝えするだけでもこの内容で、まだまだ聞いていたいくらいでしたが、約1時間20分の講演を終え、こうしたお話しを聞くことができたこと、多くの気づきを頂戴できたことに感謝した次第です。
 
併せて、この日は「勤労感謝の日」の祝日にも関わらず、プレセミナーの企画・運営にあたられました敦賀市福祉保健部職員の皆さまにも感謝を申し上げます。
 
大変お疲れ様でした。
 
自身がモットーとする、知って行わざれば知らぬことと同じなりの「知行合一」の精神に則り、今回得た貴重な知見を今後実践と行動に移していく所存です。
 
このプレセミナーはもとより、地域共生社会とは、制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」「受け手」といった関係を超え、地域住民や地域の多様な主体が「わが事」として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて「丸ごと」つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく社会をいうものであり、ここ敦賀市が、来年開催される「全国サミット」を開催するにふさわしいまちにしていきたいとも感じたところ。
 
最後になりますが、マザー:テレサはこうも述べています。
 
私たちは、大きいことはできません。
小さなことを大きな愛をもって行うだけです。
 
今回の講演とも重なる、慈愛に満ちたこの言葉も胸に、今日から実践あるのみです。