東海第二発電所の「運転差止請求棄却」と「事実上の審査合格」

ブログ 原子力

元々このブログは、議会や政治のことを市民の皆さんにより知っていただきたいとの思いで議員になった時から始めたもの。
 
そうした切掛けであることから、特に定例会会期中は脇目も振らず議会報告の形となっており、読み手の皆さんにとってはさぞ堅苦しい内容ばかりで恐縮なのですが、趣旨を踏まえ何卒ご容赦いただければと存じます。
 
さて、そう言いながら本日も少し堅い話ではありますが、私にとっては明るい話題をひとつ。
 
もう半年以上前のことになりますが、本年4月15日に水戸地方裁判所で出された東海第二発電所の運転差止請求を棄却する判決に対して、同年4月に第一審の原告が東京高等裁判所に控訴していましたが、先の11月24日、今度は東京高等裁判所において、同発電所の運転差止請求を棄却する判決が出されました。
 
つまりは、控訴審において、日本原子力発電株式会社(以下、日本原電)が、東海第二発電所が地震に対する安全性を十分に有していることについて、科学的・技術的観点から説明してきた結果、その主張が裁判所に認められ、理解された結果が示されたことになります。
 
これを受け同社は、同発電所の更なる安全性・信頼性向上を目指し、引き続き、新規制基準に基づく安全性向上対策工事を安全第一で進め、地域の皆さまへの説明を尽くしていくとの考えを公表しています。
 
こうして司法の場において安全性が評価されたことを私自身も大変喜ばしく感じていたところ、12月1日には原子力規制委員会が、東海第二発電所の特定重大事故等対処施設(特重施設)設置などに関する原子炉設置変更許可申請の審査書案を取りまとめ、「事実上の審査合格」としたとのニュースがありました。
 
今後は原子力委員会と経済産業相の意見聴取後に許可を決定するとのことでありますが、BWR(沸騰水型軽水炉)では初の特重施設への許可となる見通しとなり、日本原電は、特重施設の設置期限である2023年10月までの完成をめざすとしています。
 
日本で再稼働を果たしている原子力発電所はPWR(加圧水型軽水炉)のみであり、エネルギー基本計画で示す2030年における原子力発電の比率20〜22%を達成するためには、現在原子炉設置変更許可申請をしている全てのプラントが稼働しなければならないことを考えれば、自ずとBWRプラントの一日も早い再稼働が期待されるところ。
 
こうした期待の一方危機感を覚えるのは、日本国内における慢性的な「電力需給ひっ迫」。
 
今冬も既に「需給ひっ迫」が叫ばれるところですが、昨日も萩生田経産大臣が「企業や家庭への節電呼び掛け」を行った旨の報道がありました。
 
夏も冬も電力需給ひっ迫に怯えなくてはならない理由は明白で、一言でいえば、脱炭素電源且つベースロード電源となり得る原子力発電の割合が著しく低いことに尽きる訳であり、再エネ比率を高めても改善するどころかさらに状況は悪化(コストの問題も含め)するものと考える次第です。
 
そうして考えればやはり、国民生活や経済活動の血液ともいえる「低廉で安定した電力供給」は何より優先すべきものであり、現時点の科学技術において原子力発電が果たす役割は非常に大きいと理解するのが自然の流れかと思うところ。
 
東海第二を始め、これに続くBWRプラントとともに審査をクリアのうえ再稼働を果たし、一日も早くこのエネルギー事情が改善することを願って止みません。
 

【一次エネルギー国内供給の推移(エネルギー白書2021より引用)。電源比率の推移から見えることがあるのかと。】