市民歴史講座第3講「近江の元亀争乱」

ブログ 敦賀の歴史・文化

昨日は日中の気温も10度前後、しかも雨混じりの北風と寒さを感じた1日。
 
暖かい日が続き、これまで季節感なく過ごしてきましたが、明後日からは12月。
 
雪マークこそまだありませんが、あたふたすることのなきようスタッドレスタイヤへの履き替えなどを済ませ、冬将軍に備えたいと思います。
 
さて、やっぱり歴史は面白いとこれまで再三にわたりお伝えしてきたところでありますが、昨日の市民歴史講座も大変興味深く、私にとって新たな発見がありました。
 
気比史学会さんが主催するこの市民歴史講座。
 
「元亀争乱から450年」と題し、元亀年間(1570〜1573)に越前、近江の国を中心として繰り広げられた朝倉義景・浅井長政vs織田信長・徳川家康の戦いの軌跡を総称した「元亀争乱」を中心に各地に残る城跡や戦国時代の周辺地域の様相などを手掛かりに、何度も覇権争いの戦禍を乗り越えてきた敦賀の歴史を探るというのが今期のテーマ(全4講)。
 
昨日は、その第3講ということで、きらめきみなと館小ホールを会場に約80名が参加のもと開催されました。
 

 
前回第2講は「若狭国」から見た元亀争乱でしたが、この日の視点は「近江」から。
 
「近江の元亀争乱 〜志賀の陣と宇佐山城〜」と題し、その道の第一人者である中井均先生(滋賀県立大学)よりご講義いただきました。
 
城の構造からの細かな分析などもあり、私には少々レベルの高い内容でしたので、いつものメモも理解度が不足しているのですが、ひとまず拝聴した概要をざっと以下に記します。
 
・元亀元年(1570年)6月28日、姉川合戦勃発。
・この戦いで浅井・朝倉軍は信長軍に完膚なまでに負けたと言われているが、その2ヶ月後の9月16日には浅井・朝倉軍が3万の軍勢で坂本まで進出していることを思うとその説も信長寄りのものと思われる。
・志賀の陣にて、浅井・朝倉軍が巻き返すが、この戦いは信長vs浅井・朝倉に留まらず、三好三人衆、本願寺、毛利氏、武田氏らによる信長包囲網であった。
・標高336mの宇佐山の山頂に立つ宇佐山城は、実は元亀争乱とは別に、近江の街道封鎖と新道建設に伴う監視の城として、信長が永禄13年(1570)に築城したもの。
・信長がここに陣取り戦ったことを思うと、この宇佐山城が無ければ浅井・朝倉軍はもっと早く、優位に戦えたかもしれない。
・志賀の陣以降、宇佐山城には明智光秀が城番として入り、城としては機能していた。
・地政学的に新たにどこに拠点を置くべきか考えた結果、坂本城となったのでは無いか。
・その後、滋賀郡支配を命ぜられた明智光秀が、下坂本に坂本城を築城。
・琵琶湖岸には、水陸両用の城として安土城・坂本城・長浜城・大溝城があり、これは信長の「湖の城郭網」である。
・城の構造について、宇佐山城は、信長の段階で初めは土の城であったが、明智光秀の入城後、中心部分だけを石垣にしたのではないか。
・明智が滋賀の陣の後すぐに入城した際に石垣化したとの見方が強い。
・坂本の城に石垣が無いのは、大津の城に再利用されたから。
・30年の間に巨大な石垣造りの城に再利用されたのは、琵琶湖岸という地形から水陸両用の機能を求めたから。
・城は身分の秩序が分かるということで興味が尽きない。
・朝倉義景の禁制や浅井長政の奉書形式の書簡などから、「浅井・朝倉」の同名ではなく、長政は義景の下級軍奉行に過ぎなかったとする説もある。
・また、比叡山の焼き討ち自体も、公家の日記だけで信じられてきているが、滋賀県の教育委員会が発掘調査をしても焼き土が出てきていない(実は、真実か定かでない)。
 
前回「若狭国」編では、信長最大のピンチ「金ヶ崎の退き口」から京に逃げ帰れたのは「国吉城」(現美浜町)があったからとありましたが、この「近江」においては「宇佐山城」があったから窮地に陥らずに済んだのかなと。
 
そう思えばやはり、戦国時代の勝ち負けは、先見の目はもちろんなのでしょうが、このような運と言うのも大いにあったということかと感じた次第。
 
また、比叡山の焼き討ちが未だ真実なのか定かで無いことや城の石垣が他の城に流用されていた話し、滋賀特有の「琵琶湖」という地政学を踏まえて入念な戦略を講じられたことも知ることが出来、今回も大変有意義な時間となりました。
 
やはり、今現在においても様々な史実や見方があるという点が、歴史の面白さなのでしょう。
 
それにしても、この中井先生の理論・分析もさることながら人気もスゴいようでして、閉会後に後片付けをしていると、何とサインを求め先生の著書を片手に数人の女性が「出待ち」をするというシーンに遭遇。
 
少しお話しをすると、大垣市や石川県から来られたそうで、大垣の女性は畳甲冑を着て、関ヶ原を始め各地の戦国イベントに参加しているのだそう。
 
「鉄道」も色んなジャンルがあるように「歴女」も様々ですね。
 
今年も残りひと月となりましたが、敦賀の歴史講座はまだまだ熱い。
 
◉12月12日(土)13:30〜 →「大谷吉継の関ヶ原合戦」(講師:奈良大学教授 殿岡慎一郎氏)@きらめきみなと館小ホール
◉12月19日(土)14:00〜 → 市民歴史講座第4講「元亀争乱と朝倉攻め」(講師:元福井県埋蔵物文化財調査センター所長 山口充氏)@敦賀市立図書館3階研修室
 
いずれも興味津々のテーマにつき、12月定例会中ではありますが参加していきたいと思います。
 
皆様方におかれましても、興味のある方は是非参加くださいね。
 
では、本日はこれまでに。