同じ島国の英国では「高温ガス炉」を選択

ブログ 原子力

昨日から始まった一般質問には7名の議員が登壇され、様々な視点から理事者との議論が交わされました。
 
自身も関心の高いエネルギー政策やまちづくりの方向性を始め、コロナワクチン接種や中心市街地活性化、ふるさと納税などに関し、各議員の質問からは多くのことを吸収させていただき、毎度のことながら大変有意義な時間となった次第。
 
また、複数の議員より、今回の質問が現庁舎で最後になることを踏まえた「お礼と感謝」の言葉もあり、皆さんそれぞれ議員活動の中で感慨深い思いで質問席に立たれているのだと感じました。
 
そうした思いを感じながら、本日は私も出番となります。
 
質問順9番の私の登壇予定は、本日2番目、11時過ぎあたりになろうかと思いますので、お時間許す方は是非ご視聴などいただければ嬉しく思います。
 
さて、今日の質問とも少し関係するのですが、世界のエネルギー政策に関する動きに関し、日本と同じ島国の英国で2030年代初頭の実証を目指して建設する先進的モジュール式原子炉技術として、高温ガス炉(HTGR)を選択したことを明らかにしたとの報道がありました。
 
これは、英国ビジネス・エネルギー・産業戦略省(BEIS)のG.ハンズ・エネルギー担当相が12月2日に明らかにしたもので、英国が2050年までにCO2排出量の実質ゼロ化を目指すにあたり、政府がHTGRを最も好ましい技術と認識していることを示したもの。
 
ハンズ大臣の今回の発表は、英国原子力産業協会の年次大会で述べられており、「得られたコメントを評価した上で、HTGRに重点的に取り組む判断を下した」と説明したうえでBEISの幅広い活動の一環として、今後もすべてのAMR開発を継続的に支援していく方針であるとし、将来的な可能性を秘めた先進的原子炉技術の実現に向け、原子燃料の強力なサプライチェーンを国内で構築・維持するための予算7,500万ポンド(約110億円)を確保したと述べました。
 
また同大臣は、「CO2の排出量を実質ゼロ化するには原子力が必要だ」と明言しており、近年はとりわけ、天然ガス価格の世界的な乱高下により、エネルギーミックスの多様化に向けた勢いが加速していることを踏まえ、エネルギーの自給を確実なものにするためにも、原子力など英国内の一層強力なエネルギーシステムに投資する推進力が増していると指摘しています。
 
同大臣によると、英国では1990年以降、CO2排出量の44%削減を達成するなど、実質ゼロ化に向けた取り組みが驚くほど進展したものの、今後30年の間はこのペースをさらに上げ、2035年までに発電部門を確実に脱炭素化する必要があるとし、そのためには低炭素なエネルギー技術を広範囲に取り入れること、新たな原子力発電設備については特に、大規模かつ迅速に開発していかねばならないとの考えのもと、再生可能エネルギー等のポテンシャルを全面的に活用するのに加えて、風が吹かなくても太陽が照らなくても、低炭素な電力を安定的かつ確実に供給可能な原子力が必要だと同大臣は訴えています。
 

【日本原子力研究開発機構が研究を進める「高温ガス炉(HTTR)」の概念図(同機構大洗研究所ホームページより引用)】
 
カーボンニュートラルをめざす欧米では、その実現に向けて「あらゆる脱炭素オプションを総動員している」状況は以前から把握していたところですが、この英国の政策がまさにそのことを示すものと痛感した次第です。
 
先日、カナダの小型モジュール炉開発についてもご紹介しましたが、脱炭素化に向けた世界の流れは「原子力の利用」に舵を切っています
 
というより、元々、CO2排出がなく、経済性にも優れる原子力発電のメリットが再認識されてきたというのが正しい表現なのかもしれませんが、いずれにしても、こうした合理的且つ現実的に目標を達成していくための政策を明確に示すことは、同じ島国で尚且つ資源小国の日本こそ大いに見習うべきことと強く思うところであります。
 
本日の一般質問では、「再生可能エネルギーと地域共生」をテーマに取り上げている訳ですが、最後となる現庁舎と同様、半世紀に亘り「原子力と共生」してきた敦賀に思いを馳せつつ、自身の考えるエネルギー政策についても触れていければと思います。