「シビックプライド」醸成に必要なこととは

ブログ 敦賀市議会

昨日、北陸地方は梅雨入り。
 
平年に比べ、3日遅い梅雨入りとのことですが、この季節も日本固有のもの。
 
「うっとおしい」と言わず、シーズンの主役「紫陽花」がしっとりと咲く姿を楽しむ余裕をもって過ごしたいものです。
 
さて、そんな季節の変わり目の昨日でしたが、敦賀市議会では一般質問初日を迎え、6名の議員が登壇。
 
私もトップバッターで質問しました。
 
今回は、「シビックプライドを醸成するまちづくり」と、やや崇高なタイトルということもあり、何か答えを引き出すというより、地域住民や関係者の多くの声を受け止めたうえで自分の思いを重ね、それを正確に伝えることに主眼を置いた質問構成とし臨んだ次第。
 
以下に主要な項目のみご報告させていただきます。
 
 →→→発言趣旨や質問概要はこちら(6月9日ブログ)をご覧ください
 
【シビックプライドを醸成するまちづくり】
 
(1)自然・歴史・文化
◉敦賀市民が誇りに思う場所を守るため
やまたけ)今から94年前、昭和3年6月28日に史跡名称天然記念物保存法にて名勝指定された「気比の松原」。これまでも松林の中でのバーベキューやキャンプ、駐車場からキャンプ道具を運ぶために車で侵入し、通報されて来たパトカーに制止されることが幾度となく発生していることに加え、土日は特に、浜辺で大勢の人が集まっていわゆるバーベキューがされ、ウォーキングされている方が怖くて通れないと言っています。また、昨日の朝も駐車場入口での大量のゴミ放棄がされるなど、なし崩し的に「無法地帯」となりつつある。文化財保護、都市公園としての管理やルールを遵守し、美しく保ってこそ、敦賀のシンボリックな場所として市民に認知されると考えるが、現況を改善するため、行政として責任ある対応を求めるが、いかがお考えか。
 
市)松林部分については、福井の森林管理署、海浜部分については福井県の管理となっている。市では名勝の景観を維持するために、年間を通して、松林部分と海浜、トイレの清掃などを行なっている状況。松林でのバーベキューが禁止されている中で、一部の方が火気厳禁となっている松林でバーベキューをしていることは承知をしており心を痛めている。昨年から福井森林管理署において看板、ロープ、貼り紙など禁止の対策を行なっており、以前より効果は出ている。
 
やまたけ)一言で言えば、多くの市民が「誇りある場所じゃなくなりつつある」と思っている。国県市と関わるが、根拠法令に基づき、行政としてプライドを持って管理いただきたい。
 
◉「ふるさと再発見、歴史の再発掘」を!
やまたけ)次に歴史の観点で伺う。敦賀は、多種で豊富な歴史・文化を有するが故、磨き上げに苦慮していることを認識するところですが、市民の皆さんにより敦賀の魅力を知ってもらうため、まずは「テーマ性を持った追体験」、「まち歩きストーリー」の多様化、深掘り化(マニア化)することを提案するが、受け止めを伺う。(通告書での例:芭蕉、吉継、戦国、古道、鉄道など)
 
市)市民に郷土の歴史、文化の魅力を知ってもらうことは大変重要であり、テーマ性、ストーリー性をもった文化財の活用は大変有効と考える。本年度から着手している「文化財保存活用地域計画」策定を通じ、本市の持つ文化財の特徴をテーマ、ストーリー性に分けソフト事業化していきたい。
 
(2)鉄道と港
◉「金ヶ崎周辺整備計画」の肝、SLや転車台を活用した部分の実現に尽力を!
やまたけ)古事記に出てくる「百伝う(ももづたう)」は、敦賀の枕詞であり、「色んな人がやってくる」との言葉にある通り、古より「交通の要衝として栄えてきた敦賀のコンセプトは「鉄道と港」であり、これを再現、シンボリックな場所にしていくのが、関係者皆で築き上げた「金ヶ崎周辺施設整備基本計画」と認識するところ。本計画の具現化に向けては、現在、コロナ禍やJR貨物所有用地の課題など、様々な状況を睨みつつ進めていると受け止める一方、市民の皆さんからは「整備計画」の存在自体を危惧する声が多く挙がっている。「金ヶ崎周辺整備計画」にあるSLや転車台を活用した部分は、本計画の肝であり(鉄道のまちを象徴する部分)、市においてはあらゆる手段を講じ、この実現に向け尽力することが重要と考えるが、認識を伺う。
 
市)デザイン計画を策定するにあたっては、「金ヶ崎周辺整備構想」或いは「「金ヶ崎周辺施設整備基本計画」が前提にあるため、排除するものではないが、用地の問題、費用の問題、運営方法の問題といった非常に多くの課題があり、実現には現時点では困難であると認識している。転車台等の鉄道遺産を活用する施設の整備、或いはSLの運行については、民間の企業、投資規模に応じて判断されていくことになると考えているが、いずれにしてもこうした課題、敦賀が「鉄道と港のまち」であることも踏まえ、今後協議会として当該計画を策定する中で整理をしていきたい。
 
◉人道の港の史実を市民皆が誇りに思うために!
やまたけ)人道の港のエピソードに関しては、紛れもない史実として、後世に受け継ぐべきものと認識しており、広く国内外からムゼウムに訪れていただき、その価値に対する声をいただくことによって、市民の皆さんが誇りに感じる(そうした史実があったまちに住んでいることを)ことにつながるものと考える。そのためには、ムゼウム自体に深い専門性、外部とのコーディネーターやファシリテーターなど人材づくり、魅力あるプログラムを持続的に育成することが必要不可欠であり、ムゼウムの組織体制、教育旅行など受入体制を再構築する必要があると考えるが、いかがお考えか伺う。
 
市)指摘の部分の重要性は認識しているが、館内案内の経験を踏まえた営業の話題提供など、同時に複数の分野に通じてこそ、質の高い受け入れ環境となる面もあるので、新幹線開業等の契機に向け、職員の知識の向上につながるような研修に積極的に参加するなど、ソフト面での受け入れ体制の強化を今後も考えている。先日の山野内大使の講演や敦賀高校創生部との連携はシビックプライドを醸成することになるかと考えるので今後も継続していきたい。
 
(3)北陸新幹線
◉新幹線は「目的ではなく手段」であり、開業効果を「自分ごと」にするために!
やまたけ)現在、開業に向けた取組みに特段傾注する時期であることは認識したうえで、新幹線は「目的ではなく手段」であることを思えば、開業後、自分達の住みやすさや生活の利便性向上につなげることが、新幹線があるまちの本来のあり様と考えるところ。開業効果を「部分最適」ではなく「全体最適」とし、市民の皆さんそれぞれが開業の持つ意味合いを実感することで「自分ごと」となり、ひいては交通の要衝の歴史をつなぐことになるものと考える。ついては、開業後、観光分野のみならず、新幹線を敦賀市の発展にどう活かしていくのかのビジョンをもって、仕掛けを行なっていく時期にあると考えるが、市の認識を伺う。
 
市)開業後も見据え、商品開発支援や空き店舗解消にも力を入れ、国道8号空間、通称「ほこみち」での賑わい創出を展開するなど、観光分野での誘客化、地域の稼ぐ力への転換につながるように努めるとともに、新しいビジネスのIT企業を始めとするサテライトオフィスの誘致や新たな産業団地に向けた調査も進めている。交通の要衝敦賀の位置付けや歴史的役割、そして地域間協調の実践として、新幹線駅デジタルサイネージ等による嶺南市町の観光情報の発信など、開業効果の嶺南全域への波及にも取り組んでいる。今後においても受け皿づくりの総仕上げに取り組むばかりでなく、開業後も見据え、多角的な取組みを展開していきたい。
 
やまたけ)この意見を言うには背景がある。それは、本年3月12日にオルパークで開催された「北陸新幹線開業7周年フォーラム」に参加した際、先行開業の都市、団体からあたたかいご示唆を頂戴したこと(以下)。
・函館の方は「マインドの持続。開業以降残るリソースを思考しておくことが大事。開業をお祭り騒ぎにしないこと。」
・NPO黒部まちづくり協議会の方は「当初の観光、おもてなしよりも自分達の生活という視点に変わってきた。新幹線があることによって、市民の生活をどうしていくか考えていかなくてはいけない」
また、取りまとめ役のお一人である青森大学の櫛引素夫先生は以前に、「新幹線と医療」の面で、新幹線ができて医師確保や救命につながった事例は青森県青森市や新潟県上越市などが挙げられることや、新潟県糸魚川市では、県境を越えた金沢市や富山市への新幹線通学が定着し、若者のライフスタイルも変えつつあると述べている。
さらには、新幹線は強いものをますます強くし、一極集中を加速させる装置とも言える。そうしないためには、シビックプライドを向上させ、地域の持続可能性を高めることが最も重要だ。
新幹線に明解なゴールはない。新しい仕組みやコミュニケーションの仕方、地域を見つめる指標をみんなでつくり直す。悩み続けながらでも一緒に未来を探す。新幹線開業は、地元の人たちが幸せになるってどういうことかを突き詰めて考えるチャンスです。
市が取組みを進める中で、こうした視点を是非取り込んで対応いただくことを要望する。
 
以上が、ざっと質問のやり取りとなります。
 
(1)では、敦賀のシンボルだと言っている場所を絶対に「無法地帯化」させてはならない、(2)では、敦賀のまちのコンセプト「鉄道と港」を徹底的に体現するため、シンボリックな場所の実現に全力を尽くすべき、(3)では、新たな交通体系「新幹線」が来る効果を市民皆が感じられるよう取組みをとの思いを込めて意見した次第ですが、これはいずれも「シビックプライド」に結びつくこと。
 
言葉足らずで、市(理事者)の皆さんにしっかり伝わったかどうかは分かりませんが、伝わったのであれば本望。
 
敦賀市が将来に向けて持続的に発展していくため、新たな取組みにチャレンジしていくことはもちろん重要です。
 
しかしながら、それは古より、この地と生業を守り続けて来られた先人たちへの感謝と敬意の上に立ってのことであり、そのことを軽んじて、持続的なまちづくりはないと考えます。
 
すなわちそれは「敦賀固有の文化」を大切にすることと同義であり、よって、「今ある資源」を大切にし最大限活かすこと、このことを徹底して取り組むことによって、郷土への誇りや郷土愛、「シビックプライド」が醸成されるまちづくりになるとの思いを確信するものであります。
 
私自身は、そのことに信念をもって、今後も活動に邁進することをお誓い申し上げ、昨日の一般質問の報告とさせていただきます。