「『もんじゅ』サイトにおける新たな試験研究炉」について説明を受ける

ブログ 原子力

重く受け止め、徹底した原因調査と再発防止策に取り組むしかない。
 
昨日行われた日本原電敦賀発電所2号機(以下、敦2)の審査会合にて、日本原電より、提出している審査資料に関し、地質調査データの薄片試料について最新活動面で作成されていない箇所が8件あるとし、追加の変更・修正があることを報告。
 
これを受け、本審査を所管する原子力規制委員でもある石渡明委員からは、以下の総括コメントがありました(要旨)。
 
「まずは、このことを重大に受け止めてほしい。適正データでの審査を進めるために、変更、修正を反映させたトレーサビリティの確認結果が全て揃った資料を一式提出することを求める。また、規制委員会で全てのサイトを対象に、四半期1回の審査状況報告を受けている。次回は4月上旬。昨年10月に審査再開することを判断したが、不十分な資料、また、新たな誤りがあり敦2は実質的な審査に入れない状況。このまま審査を続けるか否か、4月上旬の審査状況報告を踏まえ委員会の場で議論したい。」
 
敦2に関しては、昨年12月に審査を再開したところですが、その経過があっての今回の報告は、再稼働を期待していただいている方々のことを思うと誠に申し訳ない思いで一杯であるとともに、冒頭の気持ちに尽きる訳ですが、会合の最後に原電の剱田裕史副社長が述べた「原因分析をしっかり行い、是正措置を講じる。その上で全体を整理した資料を作成して説明したい」との言葉に沿って対応いただくしかないと考える次第です。
 
さて、同じ原子力に関する話しが続き恐縮ですが、同じく昨日の午前中、議員説明会が開催され、「『もんじゅ』サイトにおける新たな試験研究炉」について、文科省 研究開発局 原子力課長の新井知彦氏より説明を受けました。
※同席者:日本原子力研究開発機構、福井大学、京都大学
 
この「もんじゅサイトでの新たな試験研究炉設置」に関しては、平成28年12月の原子力関係閣僚会議にて、「もんじゅ」を廃止措置し、「もんじゅ」サイトに新たな試験研究炉を設置することを決定したことが発端で、これまで基本設計や現場調査などを進めてきており、今回の説明では、現状と今後の進め方について報告があったもの。
 

【議員説明会での説明資料】
 
私としては、もんじゅ廃止措置を受けての計画ではあるものの、国内で新規建設がない中での原子力施設新設となることや①我が国の研究開発、②人材育成を支える西日本における中核的拠点としての機能の実現、③地元振興への貢献の観点が盛り込まれていることから、これまで何度か議会の一般質問でも取り上げるなど、大いに期待するところ。
 
そのうえで、文科省からの説明後に設けられた質問の場では、私から以下4項目を意見。
 
国が、我が国の原子力研究が脆弱化している(1995年には20施設が運転していたが、現在運転中は6施設しかない)との認識であることや京都大学炉(KUR)が2026年に運転停止予定である(後継施設が急がれる)ことなども念頭に、
①審査に期間を要するとはいえ、本計画を早期に進めていくこと
  →設置許可申請の見込み時期を令和6年度中に提示予定
②詳細設計に進む段階から実施拠点を敦賀に置くこと
③試験研究炉開発としては国内初となる産官学・コンソーシアム形式での検討体を今後も継続すること
④原子力部門に係る大学の広域連携を進めていくこと
について意見提起しました。
 
まだまだ沢山伺いたいことがありましたが、限られた質問時間であることに配慮をし、ここまでに留めましたが、国が「西の原子力研究拠点に」と位置付ける、敦賀に建設するこの試験研究炉が、日本の原子力人材育成や産業利用がより進むこと、さらには放射線利用についての理解を深めるなど、様々な目的を実現する存在となるよう、今後も地元の立場、原子力産業に携わる立場から確認、意見していく所存です。
 
「原子力を志すものは、敦賀から世界に羽ばたく」
 
後にそう言われるような存在になるよう、我々も志をもって思考せねばと思う次第です。