「予算修正案」を賛成多数で可決

ブログ 敦賀市議会

シーズン最終打席で放たれた「王さん超え」のホームラン。
 
ヤクルトスワローズの村上選手が、待ちに待った日本人シーズン最多本塁打となる「56号」を放ったシーンには鳥肌が立ちました。
 
さらに「令和初の三冠王」を達成。
 
偉業達成を心から祝福するとともに、22歳にしてこの貫禄と実力を兼ね備えた村上選手の、今後益々のご活躍を祈念する次第です。
 
さて、こうして夜は「偉業」に立ち会ったところですが、日中は「異例」の対応。
 
最終盤を迎えている敦賀市議会は昨日、予算決算常任委員会を開催し、補正予算案の採決、令和3年度決算認定を行いましたが、このうち「第61号議案 令和4年敦賀市一般会計補正予算案(第7号)に関しては、結果、予算修正案を賛成多数で可決することとなりました。
 
この補正予算案に含まれる「子育て生活応援事業費」(事業費:1億3009万円、マイナンバーカードを取得している0~2歳児に対して、いずれも月額で0歳児には5万円、1歳児には3万円、2歳児には2万円相当のマイナポイントを給付するもの)に関しては、「その公平性や事業継続性、課題なる経費または事業開始時期等について、行政サービスの基本である“最小の経費で最大の効果を挙げる”ことから逸脱するとの疑問があり、リセットして理事者で精査する必要がある」との理由のもと、市政会、同志会、市民クラブ、公明党の4会派連名により予算の「組替え」を求める動議を提出し、これを賛成多数で可決。
 
この「組替え」を渕上市長に申し入れたところ、「重く受け止めるものの、説明は尽くした」として、これに応じていただけなかったことを受け、同じく4会派連名にて、同事業の関連費用を削除した予算修正案を提出(修正動議)。
 
採決の結果、これを賛成多数で可決した次第です。
 
私自身も各議員の皆さんも、これまでの予算審査や一般質問の場での答弁等を通じ、熟慮に熟慮を重ねた結果であり、市民の皆様にはその点ご理解いただければと思う次第です。
 
私は「組替えを求める動議」の際、これに賛成する旨の討論を行いましたが、残す6日の最終日においても、改めて自身の考えを明確に述べたうえで、採決に臨みたいと思います。
 
こうして「異例」の対応が採られた議会でしたが、終了後は街頭へ。
 
定着しつつある、粟野交番前交差点にて、この日あった議会のこと、昨日から始まった臨時国会に臨む国民民主党の考えなどをお話しさせていただきました。
 
50歳となっても村上選手のような貫禄も実力もありませんが、日々精一杯活動することだけは胸が張れるよう、引き続き活動に邁進してまいります。
 

【街頭演説を終えた交差点。臨時国会が始まりましたので、のぼり旗は「国民民主党」を掲示しました。】
 
なお、長文とはなりますが、先の「組替え動議」の際に行った、私の討論全文を掲載いたします。
 
新聞報道だけでは読み取れない部分も含め、この討論の内容をご覧いただき、「そうだ」または「それは違う」でも何でも構いませんので、お感じになられたことがあれば、当ホームページからのメールなどにてご意見いただければと思います。
 
【以下、討論全文】
 
市民クラブの山本武志です。
私は、会派を代表して、第61号議案 令和4年度敦賀市一般会計補正予算(第7号)の件について、組替えを求める動議に賛成の立場で討論を行います。
 
まず、この討論は、私が考える政策と市の考えとの乖離、さらには本市のこれから、将来を考えたこととして申し上げるものであり、批判のための反対ではないことをお断りしたうえで、その理由6点について、以下討論いたします。
 
1点目は、公平性の担保について
これに関しては、基本理念に係るものとして、私も一般質問で質問しましたが、片山副市長からは「子育て支援に限らず行政が支援を行う上で、誰一人取り残さないでありますとか、あるいは公平性を確保するということは非常に重要なことであるというふうに考えている。しかしながら、様々な支援を実施するに当たっては、その目的に応じた実施時期、対象者、手続などを行政として確保すべき公平性と比較考慮した上で決定する必要がある。」、「その結果、最も迅速かつ確実に支援を行うことができるマイナポイント付与をゼロ歳から2歳児に対して所得制限を設けずに行うこととしたものである。」との答弁がありました。
しかし、子育て支援に関してはすべからく、敦賀に住んでいるお子さんに全てに行き届くことを基本に制度設計すべきとの私のスタンスからすれば、途中の経過があったにせよ今回の事業は結果、支給方法から支給条件が決まっており、この時点で基本理念を見失ったのではないか。しかも現時点において、普及率が27%しかない、さらには予算算定も普及率67%を前提とする中において、強制力がなく、行政として「100%支給」と言えない「マイナンバーカード取得」を条件にしたことは、先の「行政として確保すべき公平性」に類さないものと考えます。
 
2点目は、必要性に対する根拠の妥当性について。
本事業のゼロから2歳という年齢帯を支給対象とする根拠について、市の答弁では、「県の調査結果を参考に、特に経済的な支援を必要としているゼロ歳から2歳までの子供がいる子育て世帯を的確に支援するため実施することした。」と、妥当性の根拠を福井県が行ったアンケートに置いています。しかしながら、このアンケート調査(県民子育てに関するニーズ調査)の結果において、「支援を必要とする年齢」の確かにトップはゼロ歳であるものの、私の認識では次は5歳。また求める支援の方法においても、「直接的な金銭での支援」を必要とする旨の数値としての明確な記載はなく、県のアンケート調査結果一点をもって妥当とするには、根拠が乏しいものと考えます。
 
3点目は、財源の裏付けについて。
財政に関しても同じく、自身の一般質問において、「今回の子育て生活応援の財源はふるさと応援基金、ふるさと納税の充当を見込んでおり、財源は令和3年度分の収入でほぼ確保されている。従って、中期財政計画上は影響がないと考えている。」との答弁がありました。また、補正予算で計上することとした理由も伺いましたが、果たしてそうした財政計画でいいのか。ここ3年間では19億8351万円、3年目にゼロ歳、1歳を迎えた子どもに4年目、5年目に支給する総額は24億2530万の見込みとありました。
5年総額24億円の事業は、中期財政計画における「大規模事業」に十分あたると思いますし、年あたり6億5千万円の支出規模は、令和4年2月の「中期財政計画」の今後5年間の収支見込みの「扶助費」の約1%にあたるものであります。ちなみに、扶助費については、1〜2%/年の増加見込みとしていますが、この事業実施によって、もう1%プラスを見込むことになると認識するところです。
なお、3年目以降も継続する場合はさらに大きな支出となることや、事業の性質から「持続性」が非常に重要なことからすれば、ふるさと納税の充当を見込むとて、中期的視点で財源確保の見通しが立っているのかどうか、慎重な検証がされるべきであり、その説明なく「当面大丈夫」では、了とする判断ができないと言わざるを得ません。
 
4点目は、政策決定のプロセス、優先順位について。
市長は、「敦賀市の人口減少に対して対策を打たなければ、なかなか出生数は上がっていかない。そしてその中で一番有効な施策として今回出させていただいた。」との答弁をされています。
「一番有効な施策」ということは、それ以外も検討された中で選択されたという意味と認識しますが、これを出生数アップの施策とした場合、これまた市長は、「第一子応援で(出生数は)少し増えているところはある。敦賀市も下がっていないというところまでは来ています。」と仰いましたが、県の統計を調べますと、敦賀市の今年度の出生数は7月1日時点で120人、単純に3倍しますと年360人。多少増減はあるとしても、令和3年度の470人から大幅に減少するものと推察されます。決算審査の際に、奇しくも福祉保健部より答弁があったとおり、つまりは、現金給付型の第一子出産応援手当支給費の事業効果が出生数に直接寄与しているのかについて、市は現段階で判断がつかないと認識している訳であり、そうしたデータがある中において、この現金給付型の事業が「一番有効な施策」とは言い切れないものと考えます。
私は、どうも市長の答弁を伺っていると、子育て世帯の「損失補填」のための事業としか思えない訳ですが、私は、そもそも「子育てにお金のかからない」施策を講ずることによって支援することの方が、これまでの敦賀市の取り組みと整合性が図れると考える次第です。そうした考えのもと、優先すべきは例えば、ゼロ歳児から2歳児の保育料無償化(年間約2千万円)や3歳児から5歳児の副食費無償化(約8千万円)、小学校の給食費無償化(約1.6億円)、中学校では約1.1億円などに取り組むことのほうが、すべての子どもに必ず行き届き、経済的支援にも確実につながり、ひいては出生数増や人口減少対策としての効果が高いと考える次第であり、「現金給付」でなく「現物給付」がグローバルスタンダードの中において、これに近づくための施策を講じ、国内トップランナー的役割を担うことこそが、「子育て環境日本一」を目指すにふさわしい効果、イメージアップが発揮できるものと考えます。
ついては、あまりに唐突なこの事業は、議論に議論を積み重ねて生まれたものとは思えず、市の政策決定プロセスへの疑問があること、また、そもそもの事業実施の優先順位として、私の考えと大きく乖離するものであります。
 
5点目は、事業提案時期の問題について。
私の一般質問の中で市は、「事業開始時点でのマイナンバーカード普及率を67%と見込んで計上したものであり、67%を上限として考えているわけではない。この事業が認められれば、事業の広報やマイナンバーカードの交付申請のサポートに努めていく、給付費が見込みを超えることとなった場合には、改めて増額補正をお願いすると考えている」との答弁がありました。市の本意であるかないかは別として、マイナンバーカード普及率は、市全体で見ても40.77%で県内最低であることや、さらにゼロから2歳では27%という低取得率の状況にあって、「これからマイナンバーカード普及率を高める」ということはつまり、本事業の利用を目的にカード取得を促進することとなり、趣旨が逆転してしまう結果を招いている。これに関しては既に多くの市民の声、SNS上でも「マイナンバーカード普及率アップのために子育て施策を使っている」と揶揄されている実態がある。つまりは、本事業を仮に実施した場合、今後、本市が「子育て環境日本一」を謳い施策を進めるうえで、大きな負のイメージが生まれてしまう(生まれてしまっている)ことから、こうした環境下において行うべき事業ではないと考える。
また、現金給付した場合には、市長より「そういうシステムを開発しようとするとすごく時間がかかる。今年度は間に合わないだろうというようなスケジュールになります。」との答弁がありましたが、この事業を提出するタイミングは、システム開発のスピード感から来るものなのか、別の必要性があってこの時期としたのか、なぜそれほど急ぐ必要があるのか。マイナポイント付与に拘るあまり、事業提案時期について納得性が不足しているものと考えます。
 
最後6点目は、市の説明責任について。
まず費用について、予算決算常任委員会や文教厚生分科会の質疑において、19億5千万円と説明されていたものが、最後に行った私の一般質問で総額24億2530万円との答弁がありました。最後の場まで明言されていなかったこと自体、市の説明責任としていかがなものかと私は認識しています。
また、マイナポイントに関しては、最後、いわゆる「購買付与」まで言及されましたが、文教厚生分科会の質疑では「今年度に関してはポイント付与、今後は決済事業者との協議もあって、来年に向けて協議」との回答に留まっています。市長曰く「購買によってポイントを付与するということであれば所得に入らないということがありますので、そういう逃げ方が何とかできないかというところの中で今回の政策になっています。」と答弁されています。マイナポイント付与は、総務省マイナポイントQ&Aや国税庁のタックスアンサーを見ても「一時所得」扱いですが、この「逃げ方」というのが、納税から逃れる「非課税」ということを意味するのであれば、果たしてこの方法自体、納税を求める立場の行政が用いる手法、概念として正しいのか否か、現段階で私には判断ができません。
ついては、聞かなければ掛かる費用の全容が示されない、ポイント付与方法に関しては、「購買付与」とする考え方や妥当性について、説明責任が果たされていないものと考えます。
 
最後に、私は、これまで確実な財政の裏付けを確認したうえで、ひとつ一つ着実に子育て支援施策を進めてきた敦賀市として、今回の事業は「らしくない」ものと言わざるを得ません。
以上、これまで述べた理由により、「第68号議案 令和4年度敦賀市一般会計補正予算(第7号)」の件について、組替え案に賛成とする討論といたします。
 
議員各位のご賛同をよろしくお願いいたします。