2026年6月27日
遺作 髹漆鉢「暁天」に故 浅賀貴宏氏を偲ぶ
6月22日のブログでご案内した、敦賀市文化協会主催の『第45回敦賀市総合美術展』。
『市美展(しびてん)』の略称で親しまれる同美術展の会期は、6月21日(日)〜28日(日)まで。
なお、『市美展』を構成する部門は多岐に富み、すべては以下のとおり。
◉日本画・水墨画、水彩画
◉絵画・造形
◉デザイン・版画
◉彫刻
◉工芸
◉書道
◉写真
毎年この時期に開催される『市美展』を楽しみに、鑑賞に訪れていますが、様々な部門における「市民アーティスト」の作品を拝見していると、完成に至るまでには相当の研鑽をされたのであろうと、それまでのご努力が浮かぶなど、感嘆の思いとともに、それぞれの力作から力を頂戴しているところ。
そして、このように多くのアーティストが活動されていることに、敦賀の文化力の高さ、芸術の分野においても「市民力」を感じる次第です。
そうした『市美展』に、昨夕は“特別な思い”をもって鑑賞してまいりました。
会場のプラザ萬象 大・小ホールには、例年同様に素晴らしい作品が並び、一点づつ歩を進めましたが、先の“特別な思い”とは、その先の多目的室に展示される作品に。
工芸(漆塗)の分野で、日本国宝 川北良造氏をはじめ、多くの現代の名工に学び、これまで全国レベルの賞を数々受賞され活躍をされていた、本市在住の浅賀貴宏(あさか たかひろ)さんが、本年3月末に逝去されました。
お一人暮らしのところの急病であったことっや、ご実家が県外ということで、訃報を知ることなく、実はこの事実を知ったのは今週に入って、ある方から聞き、驚くやら残念やら、葬儀にも参列できなかった無念を思うなど、複雑な心境で今もいるところ。
実は、浅賀さんと私は、最初、議員としての私を慕ってお声かけいただいたことをきっかけに親交が始まり、以降は、直接あるいはLINEのやり取りなどで、私は浅賀さんの作品が全国クラスの展覧会で受賞したことや、人間国宝から教えを受けていることなどを伺うなど、仕事をしながら、ゆくゆくは自分も人間国宝を目指す思いで漆塗工芸に精進されている彼を心から尊敬し、応援していたところ。
それだけに、急逝という形で、その才能が閉じてしまったこと、最後のお別れも伝えられず、お見送りすることもできなかったことを含め残念無念。
こればかりは、人生の非情を恨む心境であります。
そうした心境にあって、いま私にできることは、浅賀さんの生前のご功績と生きた証を一人でも多くの方に知っていただくことではないかと、追悼の意味を込め、そのことを以下にご紹介したいと思います。
<故 浅賀貴宏氏を偲ぶ>
日本文化財漆協会正会員であり、本市在住の浅賀貴宏氏においては、敦賀市立短期大学在学時に漆芸と出会って以降、石川県立輪島漆芸研究所で研鑽、重要無形文化財(木工芸)保持者(いわゆる人間国宝)の川北良造氏、村山明から指導を受け、さらなる漆芸技術の向上に努められていた有望な工芸家。
漆工芸家として全国各地で出品活動を続ける中において、福井県はもとより、石川県、全国公募展に出品し、数々の受賞や入選を重ね、令和3年には第35回日本煎茶工芸展にて文部科学大臣賞を受賞するなど、大いに活躍されました。
浅賀氏は、本市における文化芸術の発展、漆塗りの本場である輪島との関係から、令和6年能登半島地震からの復興を期する思いも込めて、一層の精進を積み重ねられていましたが、令和8年3月30日、病気により逝去されました。
以下に、浅賀様のご経歴、数々の受賞履歴をご紹介し、そのご功績を讃え、本市の文化の発展にご貢献されたことに敬意と感謝の意を表するとともに、心よりご冥福をお祈りいたします。
【所属団体等】
・日本工芸会研究会員
・漆工房あさか代表
・日本文化財漆協会正会員
・福井県総合美術展工芸部門会員(無監査)審査委員
・敦賀市文化協会/工芸部門(無監査)審査委員
【略歴】
・1983年 新潟県柏崎市に生まれる
・2004年 敦賀短期大学日本史学科 卒業
・2007年 石川県立輪島漆芸研修所 普通研修課程 髹漆科 修了
敦賀短期大学地域交流センター職員(漆工芸演習助手・進路支援員)
・2008年 敦賀短期大学公開講座 漆の未来~伝統工芸とする産学協働の実践教育Ⅰパネルディスカッション・パネラー
・2011年 重要無形文化財(木工芸)保持者川北良造氏から指導を受ける
・2015年 重要無形文化財(木工芸)保持者村山明氏に木工芸を学ぶ
・2019年 重要無形文化財伝承者養成研修会「髹漆」
・2021年 重要無形文化財伝承者養成研修会「蒔絵」
・2022年 重要無形文化財伝承者養成研修会「色絵磁器」
重要無形文化財(木工芸)保持者 川北良造氏より「漆工房あさか」と名付けていただき工房を設立
【主な入選・受賞歴】
・日本伝統漆芸展 入選6回
・第5回藝文京展 京都新聞社賞
・日本煎茶工芸展 最高賞・文部科学大臣賞受賞(入選6回)
・石川の伝統工芸展 奨励賞(入選12回)
・新潟伝統工芸展 奨励賞(入選2回)
・全国木工芸の祭典in屋久島 屋久島教育委員会賞
・讃岐漆芸美術館 カップ展 特別賞・夏炉賞
・伊勢国際クラフト展「酒器・酒器台」入選1回
・福井県総合美術展 最高賞・知事賞1回、受賞6回 無監査推挙
・敦賀市総合美術展 最高賞・市長賞1回、受賞1回 無監査推挙
※浅賀さんの作品は、以下、日本工芸会およびGALLERY JAPANのホームページをご覧ください
→日本工芸会HP 浅賀さんの作品はこちらから
→「GALLERY JAPAN」HPはこちら
浅賀さんが魂を込め、おそらく最後の受賞作品となった、髹漆鉢「暁天」。
工芸作品が並ぶ多目的室に、“遺作”として展示される「暁天」を、これまでの感謝の思いを込めて鑑賞いたしました。

【浅賀さんの遺作 髹漆鉢「暁天」】
本当にこれまでありがとうございました。
そして、お疲れさまでした。
これは書こうか迷いましたが、お亡くなりになったことをまったく知らず、4月6日に浅賀さん宛に送ったLINEメッセージに書いた言葉は、「ご無沙汰しております。試練の嵐に耐えた桜はやはり、日本人の心と思うところ。以前にお話ししていました受賞作品の返却時期がもうそろそろではと。手元に戻ってきましたら、市長表敬訪問についても調整してまいります。」
言葉は届くことなく、以前から望んでいた市長表敬訪問も叶わぬまま逝ってしまったことが誠に心残りでなりませんが、LINEは既読にならずとも、私の思いは、天国の浅賀さんに届いているものと信じる次第です。
結びに、浅賀さんの漆塗工芸に対する思いは、自らが敦賀で立ち上げた「敦賀工藝鹿鳴会」に引き継がれることを願うとともに、市美展は明日28日(日)16時まで。
皆さま方におかれましては、故人を偲び、プラザ萬象の一室で“輝く遺作”を鑑賞いただければ幸いに存じます。

【2024年の市美展会場にて。浅賀さん、ありがとうございました。天国でも漆塗工芸を極めて、必ずや人間国宝になってくださいね】






