敦賀市にて「原子力由来水素」の実証開始

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ここ数日は寒波による冷え込みが続いていますが、同じく厳しいのは今冬の電力需給。
 
そうした中、関西電力大飯発電所3号機(PWR、定格電気出力118万kw)が定期検査を終え、12月16日に原子炉を起動。
 
諸試験を行った後、本日18日よりに調整運転に入る予定となっており、逼迫する電力需給を救うべく戦線復帰する原子力発電所の存在を心強く思うと同時に、我が敦賀2号も早く社会に貢献せねばとの思いを強くするところです。
 
さて、電力需給の点にも通ずることかと思いますが、昨日の福井新聞に、「国内初」となる原子力発電の電気を活用したCO2フリー水素製造の実証が開始された旨の記事が掲載されていました。
 
これまで敦賀市では、水素サプライチェーンの構築を目指す「敦賀市調和型水素社会形成計画(ハーモニアスポリス構想)」を策定し、水素エネルギーの活用に向けた取組みを進めており、既に市公設地方卸売市場(以下、卸売市場)などに設置した水素ステーションでは「再エネ由来」(太陽光)による水素製造を行ってきていたところ。
 
一方、関西電力では、ゼロカーボンロードマップにおいて、「原子力エネルギーを、将来的には、その電気や高温熱を使った水素製造にも活用し、原子力のさらなる可能性の拡大を図る」ことを掲げており、原子力発電所で発電した電気を活用した水素製造の検討を進めてきており、福井県の嶺南Eコースト計画とも連動する中で、今回の実証実験に至ったとの流れとなります。
 
本実証では、水素製造装置が設置されている卸売市場に関西電力の原子力発電所で発電した電気を供給し、水素製造から利用に至るまでの一連の流れを追跡(トラッキング)することにより、水素が原子力発電の電気によって製造されたことを特定するもの。
 

【実証の概要(関西電力ホームページより引用)】
 
実はこの「原子力由来水素」に関しては、令和3年第2回(6月)定例会の中で、「調和型水素社会とスマートエリア形成」と題した一般質問にて、私の方から以下意見しています。
※議事録から抜粋しているため口語調となっています。
 
「何由来の電源かというのを、その種別とか産地を追跡するシステムがございまして、これがRE100というトラッキングシステムということで、これによってさっき言いました、どの電源なのか、どこから来た電気なのか。非化石電源であればそれを証明するということで、そういうトラッキングシステムのほうは関電のほうでも実証していると思いますけれども。こうなると、先ほどの再エネ由来、メガソーラー由来というところに加えまして、嶺南地域においては原子力発電由来というものも選択肢の一つということになってくるわけですけれども、こちらについては、この先、原子力発電由来の電源も活用していくというお考えでよろしいでしょうか。
 
これに対し、当時の企画政策部長からは「現段階では、そこまでの計画というか調査まで達していないのが現状でございます。」との考えがありました。
 
おそらく、公式見解としては言えないだけで、水面下では視野に入れていたことかとは思いますが、結果してこの後、関西電力との調整が進み、こうして「国内初」の取組みにつながったことを嬉しく思う次第です。
 
一度発電した電気で水素を製造するのは非効率だとの指摘があるのは十分承知ですが、水素の特徴は「貯めておける」こと。
 
これと同じ発想は、夜間の原子力余剰電力でダムに揚水し、必要な時に使う(発電する)揚水発電かと思いますが、気まぐれな「再エネ由来」ではなく、安定した「原子力由来」で将来的に水素製造容量を増やすことが、実用的な脱炭素電源比率の拡大につながること、CO2フリー電源供給地として敦賀市の市場価値が高まること、さらには敦賀市が目指す「真の」ゼロカーボンシティにつながることを期待する次第です。