全国の同志に力を与える、福井県知事の「40年超運転」同意判断

ブログ 原子力

杉本福井県知事は28日、県庁で記者会見し、運転開始から40年を超える関西電力美浜発電所3号機と高浜発電所1、2号機の再稼働への同意を表明しました。
 
立地県の知事が、福島第一原子力発電所事故を受けて作られた、新規制基準に適合した運転40年を超える原子力発電所の再稼働に同意するのは全国初となります。
 
まずは、ここに至るまでご尽力いただいた全ての関係者の皆さまに対し、感謝と敬意の念を表したいと思います。
 
高浜発電所1、2号機は、テロ対策の「特定重大事故等対処施設(特重施設)」の整備が期限の6月9日に間に合わないため、再稼働したとしても同日までに運転停止する必要があることや10月25日が設置期限の美浜発電所3号機も同じく特重施設は完成していないなどの状況にはあるものの、とりわけ「原則40年、最長で延長20年」のルール下で初となる運転延長に向け、長期間に亘り、規制基準審査対応や安全性向上対策工事に懸命に取り組まれた、協力会社を含めた皆さんの努力と苦労が、こうしてひとつの判断につながったことを大変嬉しく思うものであります。
 
今後の運転再開に向けては、これまで同様、安全第一で工程を進めていただき、原子力発電で再び社会に貢献されることを、心より応援いたします。
 
なお、テレビ報道を始め、メディアは、このニュースを取り上げる際、敢えて「老朽」という言葉を使い、「古くて危険」という印象操作に躍起になっておられるように見受けられますが、正しくは「高経年化」。
 
同意を得た3基は、世界で最も厳しいと言われる、日本の原子力規制基準に適合したプラントであり、それを危険と煽る必要性と根拠はどこにあるのか。
 
少なくとも、こうした「風評を流布」する勢力がいることは間違いないところであり、こうした言葉ひとつにも惑わされないよう、客観的且つ科学的視点をもって、正しく対応していきたいと考えます。
 
加えて言えば、福島第一事故後に、民主党政権下で作られた「根拠なき40年運転制限ルール」自体に問題(停止している間も運転しているとカウントされることや発電所のどの機器を想定して40年と規定しているのかなど)があると私は考えており、このことはまた別の機会に記載できればと思います。
 
(参考)
商業用原子炉として国内初の日本原電敦賀発電所1号機の営業運転開始は1970年3月14日、運転停止は2015年4月27日。
上記のカウントでいけば、45年運転の実績がある。
 
さて、「おぼろげに浮かんだ」と言えど、2030年の温室効果ガス排出量を2013年度比46%削減、2050年では実質ゼロにする「カーボンニュートラル」の実現を掲げているところでありますが、これらを達成していくには、既存原子力発電所の活用を最大限進めなければ成り立たないことは周知の事実であり、そうした観点においても、今回の判断は大きな節目となると言えます。
 
このような中、九州電力の池辺社長は28日の記者会見で、川内原子力発電所(鹿児島県薩摩川内市)について、40年超運転の可否を判断するため特別点検を実施する検討に入ったことを明らかにしました。
 
川内原子力発電所は、1号機が36年、2号機が35年を迎えており、このタイミングで表明されたということはやはり、国が「46%減」という野心的目標を掲げる中において、低炭素電源の一つの柱である既存原子力発電の長期活用を目指すべきとの経営判断、国策への貢献という意思の表れではないかと、私は受け止めるところです。
 
かつて、54基あった国内の原子力発電所は福島第一の事故以降、33基にまで減少し、そのうち再稼働を果たした発電所は、わずか9基となっています。
 
「46%削減」を目指す2030年までには、10基の原子力発電所が運転から40年を迎えることになることから、安全性を向上させたプラントの運転延長はもとより、脱炭素社会の実現、安定した電力供給のためには、原子力発電所の新増設・リプレースなども必要不可欠であることを重ねて記しておきたいと思います。
 
そんな昨日、東京、茨城(東海村)、そして敦賀をオンラインでつないでの日本原子力発電関連企業労働組合(原電総連)の執行委員会にお時間を頂戴し、組織内議員である、大先輩であり同志の「寺門さだのり」東海村議会議員と私の活動報告をさせていただきました。
 
この中で、「40年超運転の知事同意判断」をお伝えし、東日本、沸騰水型炉(BWR)で初の40年超運転を目指す、日本原電の東海第二発電所で働く仲間の皆さんにもエールを送らせていただいた次第。
 

【画面を通しての活動報告。写真は東京の会場。】
 
先の関西電力同様、東海第二も現場では懸命な努力が続けられています。
 
先ほどの九州電力も然り、今回の同意判断は、福井県のみならず、全国の原子力発電所に勤める皆さんに対して、「愛するマイプラント」とこの先もまだまだ働ける、電力供給に貢献できるんだとの希望と強い思いを与えたことに違いありません。
 
「電力スピリット」でつながる全国の仲間は、皆「同志」。
 
こうしたひとつの判断も契機とし、より連携と絆を強めることにつながるのだと確信するところ。
 
原子力発電に対しては、まだまだ批判や反対の声が大半を占めていることを重々承知しつつも、「では何のためにやるんだ」ということに対して現場の皆は、「電力は国力の源泉である」との認識のもと、「国益に資する貢献を果たす」との思い一心で、日々取り組んでいるのだと思います。
 
そのことだけはご理解いただければと思います。
 
最後に、我が国のエネルギー構成に関しては、「賛成」と「反対」の二項対立構図ではなく、「国力を維持、発展させるため」という大きな視点でどうしていけば良いのか。
 
国はこうしたことを考えるための、判断材料を分かりやすく提示しつつ、国民の皆さんおひとりお一人が「自分ごと」として、そうした視点でお考えいただくことこそが、より一層必要な時期に来ていると考えるところであり、最後にそのことを皆さまにもお願いをし、本日のブログを閉じさせていただきます。