「地域づくり」は「人づくり」 〜一般質問を終える〜

ブログ 敦賀市議会

一般質問を終えました。
 
トップバッターとしてまず、今季限りでの勇退を表明されている渕上市長に対し、長引く原子力発電所停止の中、この間、北陸新幹線敦賀開業に向けた受け皿づくりなどに精力的に取り組まれたほか、何をおいても未曾有の新型コロナウイルス感染対応に行政のトップとして重責を担われてこられたことに、心から敬意を表する旨お伝えさせていただきました。
 
また、残る任期を「全身全霊を賭して」取り組むとも仰られた市長と、私も同じ気持ちであるとし、建設的な議論に努めることを前置きしたうえで質問に入らせていただきました。
 
本日のブログは、一般質問の質疑を議事録的に書き起こしたものを掲載させていただきます。
 
かなり長文となりますが、最後までお目通しいただければ幸いに存じます
 

 
テーマ:持続的な地域経営と人づくりについて
 
【発言趣旨】
人口減少と少子高齢化が進む中において、地域を持続的に維持継承していくためには、効率的な地域経営※並びに地域の行政との協働を礎とした地域コミュニティは欠くことのできないものと考える。
※ここでは、地域社会のニーズを把握しながら、行政が地域と一体となって民主的に地域を運営していくとの意で用いる。
また、協働の観点から重要なのは、行政職員と地域住民双方の顔が見える関係づくり、さらには、地域に存在する課題を共有し、改善・解決に向けて取り組むことにあり、その拠点を担う公民館が果たす役割は大きいものと認識するところ。
ついては、そうした観点において、敦賀市の現状を把握するとともに、「地域づくりは人づくり」の認識に立ち、これまで私自身が考えてきたことに加え、先般参加した「第4回地域共生社会推進全国サミットinつるが」で得た知見、さらには平成30年に報告された総務大臣主催の「自治体戦略2040構想」などを踏まえ、今後、行政がどのように持続的な地域の仕組みづくりや人づくりに関わっていくのか、以下考えを伺う。
 
【質疑の内容】・・・記載の質問は通告した内容+’は更質問、答弁は録画から概要を文字起こし
 
(1)現状認識
 
質問1:人口減少、地域の高齢化率の高まり等に伴い、各地区が運営を行うにあたり、抱える現状の課題について認識を伺う。
答弁1:地域の人材が不足する成り手不足、地域によっては個人の価値観の変化により、地域のつながりや絆が希薄になっている傾向があり、全国的に自治会への加入を拒む世帯が増えていることは承知している。
 
質問2:市民と行政との協働のまちづくりを進める本市として、各地区の活性化、連携や支援について、行政としての取組み状況を伺う。
答弁2:各地区の自主活動活性化を目的に区長連合会を通じ活性化補助金や課題の抽出などを行うほか、公民館で活動を行う団体への支援、協働のまちづくり推進を掲げる本市として市民共同事業補助金などを設けている。
 
質問3:地域の活性化をめざす活動に取り組んだ経験を持つ多くの方から、「人づくり」の課題を痛感していると聞く。地域の持続性を考えるうえにおいて、「人づくり」は個人的にではなく、行政や地域が連携し、組織的に展開(育成)する必要があると認識するが、市の考えを伺う。
答弁3:活動を支えるためには、リーダーだけでなく、リーダーを支える一人ひとりがそれぞれの立場で協力、連携することが重要。そのため、地域活動、まちづくりに住民自らが参加できる仕掛けづくりが必要であり、市では市民活動推進研修会の開催やミライエ、敦賀高校創生部などの活動など、あらゆる分野で支援している。
 
質問3’:例えば民生委員の担い手が減少している現状を見るに、本来の役割に加え、自然災害発生時の要支援に対する連絡が行き届かない、或いはその代わりを行政サイドで対応しているなど、地域と行政の役割分担にも支障をきたすこととなる。ついては、こうした事例も踏まえれば、地域を支える機能の実態把握に努め、今まで以上に地域と行政が一体となって、人材発掘、育成に取り組んでいかないといけないと考えますが、そのあたりの認識を伺う。
答弁3’:民生委員をやってもいいという声はあるが、受け手の要望が高く成り手につながらないといった面もある。市から声掛けるというより、市民の皆さんが自ら活動していこうという環境を支援していくとの考えで取り組んでいる。
 
(2)地域の活力維持・向上に向けた仕組みづくり
 
質問1:行政と地域や民間との協働ないしパートナーシップは、いわゆるローカル・ガバナンスといわれるものであり、地域の課題を把握し、その課題を解決するためにはどのような協働が考えられるかを行政と市民や社協などが手を携えて考え、課題解決のための計画を立て、PDCAを回していくことにあるが、そうした仕組みはあるのか伺う。
答弁1:課題の吸い上げとしては、日々の窓口対応での聞き取りに加え、アクセス21や市長への提案メール、さらには市民とのざぶとん集会などで挙げられた事項について、担当部署ごと分野ごとに解決に向け取り組んでいる状況。
 
質問1’:この仕組みに関しては、先の地域共生社会全国サミット1日目の「すべての人が生き生きと暮らせるまちに」をテーマとしたパネルディスカッションの中で、パネリストをお務めになられた堀田力(つとむ)氏が述べておられました。地域の産業や文化振興、子ども子育て支援、高齢者、障がい者支援など、あらゆる分野の活動実践の協議を行う場、各分野が連携、協働する場としての推進拠点、いわゆる「プラットフォーム」の仕組みが必要とのことでありましたが、この辺りの考えに関して、ディスカッションをお聞きになったうえで、敦賀市としての受け止めがあればお伺いします。
答弁1’:まずは市役所だろうと思う。あらゆる課題について行政として検討する場所に加え、先ほどのざぶとん集会などを通じ膨らませていくことだろうと考えている。
 
質問1’’:今取り組まれていることを是としつつ、高齢人口がピークを迎える2040年ごろに向けて、個別具体的な対応ではなく、先進事例も踏まえ体系的に何をすべきか検討することが必要と申し上げているが、再度認識を伺う。
答弁1’’:プラットフォームの必要性は認識しているので、先進地での状況を踏まえつつ、効率化の観点も必要かと思うので、区長連合会との役割など総合的な観点で検討していく。
 
質問2:地域活性化の全体最適を実現していくためには、地域における組織間の連携、即ち市内各地区間のネットワークと相互支援により、行政がより踏み込んで、相乗効果を図ることが有効と考える。65歳以上の高齢者人口が最大となる2040年頃の自治体が抱える行政課題を整理したうえで、今後の自治体行政のあり方を展望し、早急に取り組むべき対応策を検討することを目的とした「自治体戦略2040構想」では、行政が新たな公共私相互間の協力関係を構築する「プラットフォーム・ビルダー」に転換することが求められているが、こうした果たすべきとされる役割に対する市の考えと現状の取組みを伺う。
答弁2:先進的な取組みを行なっている自治体によっては、市民との協働窓口を一本化して対応する自治体もあると聞いている。本市としては現状、課題ごとに対応しているが、今後どのような形が効果的なのかについては、他の自治体の取組みを注視し、研究していきたい。
 
質問3:各地区の拠点となる公民館について、平成27年第4回定例会での公民館のコミュニティセンターへの移行に関する質問に対し、「まずは地区の実情に合った形で、どのような事業や活動を推進していくのか、何ができればよいのか、それぞれの地域の思いがあろうかと思いますので、市にとって最良な手法を見極めるため、意欲ある公民館をモデル地区として、敦賀市独自のコミュニティセンター化も視野に入れ、検討してまいりたいと考えております。」との答弁があったが、その後の取組みと改めて現状の考えを伺う。
答弁3:まずは平成28年度から意欲のある粟野地区をモデル地区として設立された「コミュニティ運営協議会」の主体的な活動を支援するところから始めてきた。この動きは、令和2年には東浦地区で今年度から北地区にも広がっており、市民主体のコミュニティ活動が行われている。当初は将来的なコミュニティセンター化を検討もしていたが、現状のコミュニティ運営協議会が新たな敦賀モデルとして定着してきているので、引き続き各地区に協議会の設立を働き掛けていきたい。
 
質問3’:敦賀市では粟野地区を皮切りに、東浦、今年度は北地区にて取り組まれている「コミュニティ運営協議会」と重なるものがありますが、臼杵市では、単にイベント開催に留まらず、地域住民への防災啓発や訓練、認知症講座の開催、国際交流視察団の受け入れ、さらには自主財源確保の取組みまでがされているとのこと。高齢化率が極めて高い地区があることも念頭に、敦賀で言えば、公民館単位での機能や役割をどう構築していくのかについて、地域共生社会全国サミット2日目の分科会C「地域コミュニティを活かしたまちづくり」の中で紹介された大分県臼杵市(うすき)の「地域振興協議会」などの先進事例も参考に真剣に検討すべきと考えるがいかがか。
答弁3’:自助・共助・公助の中でもやはり公助が重要。公助の精神をもって基盤づくりを進めていくべきだとは考えているので、検討課題として認識しておく。
 
質問4:同じく、平成27年第4回定例会における、公民館長及び職員の地域まちづくりに対する役割の明確化と意識高揚に関する質問に対し、「若いうちに公民館勤務を経験することは、市民の皆様と直に接し貴重な体験をすることができること、また貴重な人脈を得られることなどが見込まれ、職員の人材育成という観点では非常に有意義であると考えておるところである。」、「今後とも可能な限り職員の適性や関心のある分野への配属に努めてまいりたいと考えておりますので、公民館への職員配置につきましてもその一環として取り組んでまいりたいと考えているところである。」との答弁があったが、この認識に変わりはないのか伺う。
答弁4:職員にとって非常に有意義であると認識している。また、職員配置の考え方についても認識に変わりはない。
 
(3)行政・地域の人づくり
 
質問1:先に述べた「プラットフォーム・ビルダー」への転換に関し、行政職員は関係者を巻き込み、まとめるプロジェクトマネージャーになる必要があるとされている。また、自治体は、個人の自立性を尊重し、自助を基本としながら、放置すれば深刻化し、社会問題となる課題については、従来の地域社会や家族が担ってきた領域にまで踏み込んでいく必要があるとしている。つまりは、今後のポイントは、そうしたプロジェクトマネージャー的人材を育成していけるかであり、人づくりには時間が掛かることを踏まえ、今から政策的に環境づくりに取り組む必要があると考えるが市の認識を伺う。
答弁1:本市では既にプロジェクトマネージャー的な役割を果たせる職員が育ってきているものと認識しているところだが、地区の問題解決に向けた更なる対応を進めるうえで、どのような職員配置、体制等が効果的なのかについて、今後先進自治体の例を注視しながら検討を行なっていきたい。
 
質問2:(地域共生社会推進全国サミットの分科会Cであった生駒市の経験として)公務員が地域に関わる利点は多くある。地域と関わりを持ちたいと入庁した人が、その機会を与えられず意欲を失っていくパターンが多いと伺ったが、本市の状況はいかがか伺う。。
答弁2:本人の希望を聞いたうえで、適正及び能力を見極め適正に対処してきているところである。本市においては、その意欲を失ったという話しは聞いていない。
 
質問3:(プラットフォーム・ビルダーの育成にもつながることですが、足下の課題について)何といっても地域活動の拠点は公民館。住民対応の最前線でもあり、若い行政職員が地域の方とともに汗して経験することは、キャリア形成のうえで大いに生きるものと考える。現在の公民館体制は、9公民館中3館(西、松原、愛発)以外は会計年度任用職員のみの配置となっているが、持続性と継承性、さらには市の将来を考えるにおいて、正規職員の配置に戻していくべきと考えるが、市の考えを伺う。
答弁3:コロナ禍への対応を受けた正規職員の不足により、現在公民館に配置されている正規職員の配置は3名となっている。持続性と継続性を考えれば、さらに正規職員を配置することが望ましいと考えており、今後コロナ禍が落ち着けば、職員数に一定の余裕が生まれると思うことに加え、コロナ禍が継続する場合でも、今後財政面の負担にも考慮しながら出来る限り正規職員の採用を増やし、特に若手職員の配置することが出来るよう努めていきたい。
 
質問4:地域の「人づくり」に関して。地域活性化とは、地域において目的や価値を共有している度合いが高く、且つ能動的に地域の問題を解決しようとする度合いが強い「活性化されたメンバー」が増加することにあると考える。こうしたメンバーを増やしていくためには、積極的に活動する住民を今まで以上に心理面(表彰制度やメディアでの取り上げなど)、環境面(必要な教育や講座受講、制度や活動費用のバックアップなど)の両側面から支援することが重要になってくると考えるが、今後に向けた市の取組みを伺う。
答弁4:メディアへの取り上げはだいぶ増えたのではないかと認識している。議員ご指摘の心理面、環境面について、引き続き市民活動への支援を積極的に行なっていきたい。
 
 
以上の議論を踏まえ、私は、2040年頃の自治体の姿は運命的に与えられるものではなく、根本にあるべきは、住民が自らの意思に基づき戦略的につくっていくべきものと考えます。そのためには、自治体が住民とともに落ち着いて建設的な議論に向かい、時間をかけて準備ができるよう、地域全体で共有する課題に対し、長期的な戦略を早い段階で定め、住民にとって実感のできる選択肢を示す必要があります。
 
自治体は、住民の暮らしを支える基盤であり、欠かすことのできない存在であることは言うまでもありません。であるからこそ、迫り来る危機を自らの危機と認識し、2040年頃の自らや地域の姿を具体的に想起して、バックキャスティング(逆算して)で必要な対策に着手しなければなりません。
 
市におかれては、限られた人的資源と財源の中で、様々な分野の課題に尽力いただいているところと存じますが、今申し上げた対策に向けては、これを支える「人」があって、行政も地域も成り立つものであることを強くご認識いただき、敦賀市が持続的に地域経営できることを目的とし、早期に検討に着手されますことをお願い申し上げ、私の一般質問を終わります。
 
 
以上、最後までご覧いただき、誠にありがとうございました。
 
引き続き、敦賀のいま、そして将来を考えて頑張ります。