廃棄物行政の根幹を揺るがす「敦賀・ごみ処分場巡る訴訟」

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一般質問2日目の敦賀市議会は5名の質問を終え、早や本日最終日。
 
質問者も残すは4名となりましたが、理事者とのやり取りの中から、自身の気づきや学びにつなげたいと思います。
 
さて、そのような中、昨朝の福井新聞トップは「敦賀・ごみ処分場巡る訴訟“市外排出元 対策義務なし”」との記事。
 
全国から許可量の13倍を超えるごみが持ち込まれた敦賀市樫曲の民間最終処分場の抜本対策工事費を巡り、本市がごみの排出元の「南那須地区広域行政事務組合」(栃木県那須烏山市、那珂川町で構成)など5団体に費用の一部約6億3千万円の支払いを求めた控訴審の判決言い渡しが7日、名古屋高裁金沢支部であり、ここで何と、吉田尚弘裁判長は敦賀市側の控訴を棄却し、一審の福井地裁で5団体に命じた計約1億2千万円の支払いのうち、4団体の計約1億1800万円の支払いを取り消す判決を下したとのこと。
 
いわゆる「ごみ問題」に関する訴訟対応に関しては、これまでも市から状況説明をいただきつつ、進捗や対応方針などを伺ってきたところでありますが、この判決を受けての考えについては、15日に開催される議員説明会にて説明を受けることになっているところ。
 

【全国から許可量を超えるごみが持ち込まれた敦賀市樫曲の処分場(FBCネットニュースより引用)】
 
改めて判決理由や関係法令などを把握したうえで、この説明会に臨むところですが、そもそも、本来はごみを発生した自治体(排出元)が自分のまちで処理するとの原則論や、ごみの処分を受け入れた自治体(今回の場合は敦賀市)が要する対策費用の負担義務もないとすれば、どこが他のまちで発生したごみまで受け入れるのかなど、廃棄物行政を揺るがす判決と認識することから、「まさか」の判決を受けた市の対応に注視する次第です。
 
奇しくも昨日は、米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設を巡り、沖縄県の埋め立て承認撤回を国土交通相が取り消す裁決をしたのは違法として、同県が裁決の取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁は県の上告を棄却しました。
 
訴訟を起こす資格(原告適格)がないとして訴えを退けたことに、私としては安堵した訳ですが、裁判官で変わるといえば、敦賀のごみ訴訟に関してはどこか、原子力の「司法リスク」にも似ているよう。
 
「司法リスク」とは、原子力発電に関する技術は極めて高度で専門性が高いが故に、専門家ではない裁判官によって発電所停止の仮処分命令などがされることへの「リスク」という意味であり、疑問を投げかける意見も多くあるところ(ちなみに、こうしたことを防ぐため英国では原子力裁判所がある)。
 
廃棄物に関してはそこまで専門性が高くないとはいえ、裁判官によって、受け入れた側の「リスク」になっては困る訳であり、本件が廃棄物行政の根幹を揺るがすものとすれば尚のこと、受け入れ自治体としての主張を最高裁の場でも明らかにし、徹底して戦うべきと考える次第です(あくまでも個人的見解です)。