2025年1月26日
祝!「敦賀のおぼろ昆布製造技術」が国登録無形民俗文化財に登録へ!
昨晩は、小浜市で開催された日本郵政グループ労組(JP労組)福井南部支部の「新春交歓会」にお招きいただき出席。
労組関係の「旗開き」や「新春の集い」の中で唯一、家族参加型で開催されているのがJP労組さんの交歓会であり、この日も小さなお子さんの声にアットホームな雰囲気を感じたところです。
一方、関係者のごあいさつや各テーブルでの歓談では、苦渋の郵便料金値上げや年賀状3割減の状況、ゆうちょ事業では「民業圧迫になるから」と上限規制がかかっているなど、郵政事業を巡る様々な課題をお伺いしました。
また、移動は最寄りの粟野駅からJR小浜線を利用。
行きは多くの高校生が乗車されにぎやかだったものの、帰り(終電)の乗客は5名ほど。
課題は聞いて、乗らねば分からぬことと実感した次第です。
さて、話題を変え、本日発行の「やまたけNEWS」では“文化財センター”のことを紹介するところ、一昨日は悠久の歴史と文化を有する敦賀にとって大変嬉しいニュースがありました。
そのニュースとは、「敦賀のおぼろ昆布製造技術」が国登録無形民俗文化財に登録されたこと。
1月24日(金)に国の文化審議会が開催され、同審議会文化財分科会の審議・議決を経て、登録無形民俗文化財の登録について、文部科学大臣に答申。
今後、官報告示を経て登録されるとともに、福井県では初めての無形民俗文化財の登録となります。
なお、敦賀市HPに掲載されたページにある『登録の趣旨』は次のとおり。
<以下、記事引用>
本件は、古くから日本海の海運の要衝であった敦賀において、交易品の昆布を用いた細工昆布の製造加工の技術として伝承されてきたものである。機械製造による昆布の加工・製造が進む中で、敦賀では、現在も手作業による伝統的な製法が維持されている。専用の刃物を用いて様々な厚みに削り分ける技術や、刃先の調整技術などが良好に継承されており、地域的特色のある昆布の製造技術として注目される。
→敦賀市HP『「敦賀のおぼろ昆布製造技術」が国登録無形民俗文化財に登録されます』はこちらから
併せて、ぜひご覧いただきたいのが、同ページに掲載の『敦賀のおぼろ昆布加工技術調査報告』(2024 敦賀市教育委員会)。
敦賀市教育委員会 文化振興課の学芸員を中心に、龍谷大学との共同研究によって実施した調査報告書は、「令和4年度和食を支える「敦賀昆布ストーリー」創出・発信事業 敦賀おぼろ昆布加工技術概要報告書」(敦賀市教育委員会、2023 年3月)に令和5年度分の調査成果を踏まえて加筆修正を行ったもの。
拝見するに、①調査の概要、②おぼろ昆布の加工技術の概要、③敦賀におけるおぼろ昆布加工の姿、④敦賀以外の地域におけるおぼろ昆布加工の概要、⑤おぼろ昆布加工職人の現状と今後の課題 に章立てされ、文献調査はもとより、丁寧に聞き取りをされたうえで、歴史を掘り起こしたことが伝わってくる内容となっています。
おぼろ昆布は、酢に漬けて柔らかくした昆布の表面を、職人が専用の包丁で帯状に削った昆布加工品である。機械生産のできるとろろ昆布とは異なり、機械化は困難で、職人の手によって一枚一枚削られる。敦賀市はおぼろ昆布の一大産地として知られている。(中略)またおぼろ昆布は、薄ければ薄いほどよいとされ、透けるように薄く、口に入れた瞬間に溶けるような食感が特徴である。実際、薄いものは口に入れたときにスーッと溶けるという。おぼろ昆布の厚みは一般的には 0.02mm から 0.05mm くらいだが、薄いものは0.01mm である。
と、機械では削り出せない技術を紹介していたり、材料となる昆布の輸送に関しては、
昆布は北海道がその一大産地であり、北海道および一部三陸沿岸にのみ産出する。地元では採れない昆布の加工が敦賀で盛んになる背景には港町としての敦賀の歴史がある。敦賀は日本列島の日本海側のほぼ中央に位置する。若狭湾の東端にある敦賀湾は南北に深いリアス式の海岸を形成し、その奥に形成された小さな三角州に古代から港が形成されてきた。特に京の都までの地理的距離の近さと、琵琶湖のすぐ北という立地から、日本海側から畿内へ向かう際の玄関口として、また日本海海運と琵琶湖水運の結節点として重要な拠点となってきた。
日本史上の昆布の初見資料は、『続日本紀』の霊亀元年(715)十月丁丑条で、蝦夷の朝貢あるい は交易によって古くから昆布が機内にもたらされていたことが伺える。(中略)敦賀と昆布については、狂言の古典『昆布売』(室町期成立か)のなかにみられる「若狭小浜の召しの昆布」 といった表現や、同じく室町後期までに成立した『庭訓往来』に「宇賀(現在の函館付近)の昆布」について、「越前ノ敦賀ニ着クト云ヘリ」とあるのが初現期の史料であり、14世紀ごろまでには敦賀湊を介した昆布の流通ルートが完成していたとみられる。
などとあり、その後、北前船につながっていったことが分かります。
この報告書の巻頭には、前教育長の上野弘氏の言葉が記されていますが、そこにあったのは、「そうした中で今回その歴史と職人の技、それらを支える産業構造などを調査し、歴史的文化的価値を明らかにできたことは非常に意義があることと考えております。この調査が、今後この素晴らしい食文化を未来へと伝えていくための取り組みにつながる一助となるよう願います。」。
日本のダシ文化が注目されることと合わせ、「みなと町敦賀」を表す「おぼろ昆布」が、技術伝承などの課題を克服し、今後も日本、さらには世界へ発信されることを期待する次第です。
【Youtubeで公開されている「敦賀の昆布加工技術紹介動画」。ぜひこちらもご覧ください。】
→敦賀市作成の上記YouTube動画はこちら