「球都」の名に恥じぬスコアボードであるために

ブログ 敦賀と野球

2回戦から登場の敦賀高校vs福井商業のカードは本日9時に順延となったものの、昨日の福井県高校野球大会は福井・敦賀両球場とも3時間遅れで1回戦の計4試合が行われました。
 
試合は大差がついたものもあれば、終盤までもつれたものもありましたが、福井新聞D刊の速報写真に写る球児はどれも泥まみれの全力プレー。
 
この先も傘と曇りマークが混在する天候が続くようですが、どんより空気を吹き飛ばす熱戦と元気ハツラツのプレーを期待するところです。
 
さて、タイトルを見るに今日は何の話しかとお思いかと存じますが、取り上げるのは本大会でも使用されている敦賀総合運動公園野球場のスコアボードのことであります。
 
今から述べますことは、決して市の対応への「批判」や「なぜ修理してないのか」と結果論で申し上げるものではないということを初めにお断りさせていただきますので、その点誤解なきようお願いします。
 
敦賀総合運動公園野球場は、これまでも市内の学童野球から高校野球までを始め、ビッグイベントとしては2013年に開催された「第23回世界少年野球大会」や2018年の「福井しあわせ元気国体」(成年男子:軟式野球)の会場としても使用されてきているところです。
 
しかしながら、昨秋の高校野球県大会でも表示がされていなかったのは一時的な故障と思っていたスコアボードに関して、実は国体を終えた頃から調子が悪く、表示がされたりされなかったりの状態が続いていたそうで、タイミングの悪いことに、この福井県高校野球大会開幕日の朝には完全に制御不能状態となってしまったとのこと。
 

【制御不能状態のスコアボード】

【3塁側の芝生エリアにある第23回世界少年野球大会の記念植樹】
 
「スコアボードくらい無くたって野球は出来る」と仰る方もおられると思いますが、甲子園のイメージにあるように、選手にとっては、チーム旗がなびくボードに自分の名前が掲示されていることによる誇りや自負心、観る側にとっては常に得点やカウント、エラーかヒットかなど視線を送る、野球場に無くてはならないシンボル的存在がこのスコアボードであると言えます。
 
不調のスコアボードに関しては、地元野球ファンの方からもご意見をいただいたこともあり、管理者である市のほうに確認すると、不調当初から市内業者やスコアボードメーカーによる点検を行なったり、制御基盤の熱が原因ではないかと扇風機などでの冷却を試みたり、本大会開幕日の試合終了後には数時間を掛けて調査を行ったりと、出来得る対応、手は尽くしているとのことでした。
 
ちなみに、今回の大会での球場使用に際しては、このスコアボードの状態では選手や関係者も残念であろうと、敦賀市からは美浜や丹南など別球場での開催を打診したそうですが、高野連としては、グラウンドコンディションや設備面を優先され、結果、敦賀にて開催することとなったとのこと。
 
この不調状態に関し、経過や対応などについて市に話しを聞くに、何より一番の問題は、設計・据付したメーカーが、今ではスコアボード事業から撤退しており、ブラックボックス的な部分(制御基板)に対し設計思想に基づいた対応が出来ないということだそう。
 
また、磁気パネルを使い電光表示と同等のスコア表示や文字情報を表現する「磁気反転型」スコアボード(オセロのイメージ)が既に古い型式になってきているということで、パソコンで言えば、サポートされていないOSを騙し騙し使用している状態であることを考えれば、メンテナンスで対応せよというのは酷な状況であるということが良く分かりました。
 
そうなると、抜本的に最新の機能のものに取り換えれば良いのではとなる訳ですが、制御基板のみならず、もちろんボード側の改修も必要となるため、費用も大きなものとなり、予算措置など事業採択に対しては行政サイドでも苦慮していることも伺った次第。
 
私の考えを述べさせていただくとすれば、桐生市(群馬県)、木更津市(千葉県)、松山市(愛媛県)と並び、この敦賀市は、「野球どころ」であることを示す全国4つの「球都」の称号を与えていることを「誇り」に思うことや敦賀気比高校の選抜大会優勝で全国に「敦賀」の名を轟かせたこと、その反面「球音が聞けない」松原の市営野球場、「県内唯一バックネットのない高校」と揶揄されている敦賀高校の存在などに加えて、「表示されないスコアボード」の存在は正直、「球都」として「恥ずかしい」ものであり、すぐにでも改修すべきとの考え。
 
一方、既に手は尽くし、残るは抜本的な改修の道しかないことからすれば、大規模な支出を伴うこの改修が、災害対策や公衆安全など緊急を要する事業と較べ、優先してでも実施すべきことなのかとの考えも浮かびます。
 
両者が交錯するところでありますが、議員である以上、自身の考えは明確にしておかなければなりません。
 
一番には、先に述べたように、敦賀は野球のまち「球都」であるとの誇りをベースとし、本来あるべき施設の機能や住民サービスは維持すべき行政の立場、病気と同じでこのまま末端治療を続けていても抜本的改善とならないこと、そして何より、こうして不安定な状態であることにより、学童野球から大人まで、この球場で試合をした証や積み重ねた努力の成果がスコアボードに表されることで残る、親御さんを含めた「記憶」や「思い出」の機会を逸することは、お金に代えることが出来ない崇高なものであることを踏まえれば、答えはひとつ、「改修すべき」であります。
 
もちろん、掛かる費用やいつ実施するかに関して入念な検討が必要であることは言うまでもありませんが、これ以上、余計な不満や批判を生まないためにも、やはり「今後の対応方針」をキチンと示すことが大事なことだと思います。
 
昨日の「ふるさとの海」も同じかもしれませんが、野球場ひとつとっても、そこでプレーした人、スタンドで応援した人のかけがえの無い思い出は一生ものであり、次代に受け継がれるもの。
 
本日残念ながら、私にとっても「スコアボードなし」の記憶と思い出が残ることになる訳ですが、この思いをする方が1人でも少なく出来るよう、今後の課題として捉え、しかと対応せねばと思う所存であります。