敦高野球部の「夏の終わり」で得られた「価値」と「清々しさ」

ブログ 敦賀と野球

連日、高校野球の話題で恐縮ですが、昨日は私にとって生涯忘れないであろう日となりましたのでご紹介を。
 
今日は議員としてではなく、ひとりの親としての立場で述べさせていただきますことご容赦願います。
 
福井県高校野球大会は昨日から2回戦に入り、組み合わせ上、唯一2回戦から登場する敦賀高校、福井商業高校の対戦が敦賀市総合運動公園野球場にて行われました。
 
本大会のスタンド観戦に関しては、背番号を付けた選手の親、家族、1チーム100人までという制限の中、集合・入場時間厳守、事前の観戦者名簿提出、入場時の検温、観戦時のソーシャルディスタンスは勿論、不要な場内移動禁止という徹底した感染防止対策を行なったうえでのものでした。
 
また、大声での掛け声やメガホンを叩くことも禁止、つまり選手へ応援の気持ちを送る方法は唯一「拍手」ということで、恐らく生涯最も拍手をしたのではないでしょうか。
 
そうしたある種静寂、特別な雰囲気で迎えた試合は9時プレーボール。
 

【ベンチ前集合もソーシャルディスタンスで】
 
夏の甲子園出場22回(県内第1位)を誇る「炎の福井商業」、同じく17回(県内第2位:敦賀商業時代含む)を誇る「全者一丸の敦賀高校」、福商は2013年から、敦高は1999年から甲子園から遠ざかってはいるものの、県立屈指の両校。
 
これまでも甲子園の切符を懸け、激闘が繰り返されてきた、いわば「宿敵」であり、昨秋の県大会においても大量点を先制した福商に徐々に追い付き、10-9で敦高が劇的な逆転勝利を納めた関係であり、この大会で再戦するということも何かの運命のようなものを感じた次第。
 
試合の方は、両先発ピッチャーが無難な立ち上がりを見せるものの、1-1から迎えた3回裏、2アウトから3連打にて福商が2点を加点。
 

【我が息子は1安打、守備でも全力プレーが見れただけで十分】
 
その後、敦高は得意の継投で0点に抑えるも、福商のエース奥村君の球威と変化球の切れは最後まで落ちることなくゼロ封。
 
9回表には、2アウト1、3塁とし最後までチャンスを作り粘るも最後は三振で力尽き、結果、1-3で敗戦を喫しました。
 

【試合後のスタンド前挨拶では、さすがにホロリ涙が流れました】
 
この福商のエース奥村君、実はウチの長男も含め敦高の数名のメンバーとは中学時代にKボール(旧名KWBボール)の福井県選抜で同じチームメイトだった選手。
 
当時も唸る速球を武器とし、表情を変えずに投げる頼もしいエースでしたが、この日は敦高の前に立ちはだかりました。
 
体付きは勿論のこと球速衰えることなく一人で9回を投げ切り、しかもマウンド上の闘士満々の姿は、敵ながら天晴であり、その成長を我が子を見るように嬉しく感じました。
 
こうして奥村君と対戦できたことも、野球の神様がくれた運命だったのかもしれません。
 
この敗戦により、敦高にとっては「最後の夏が終わる」ことが現実となりました。
 
思い返せば、秋の県大会準優勝、北信越大会ベスト8まで進み、選抜21世紀枠の全国9校にまで選出されながらもう一歩のところで逃した悔しさ、さらに再度の挑戦を誓った「夏の甲子園」という目標をコロナで失いながらも、仲間と1試合でも多く試合をしたい、先輩から引き継ぐ「敦笑」をもって「地域の方への感謝」をプレーで示したいと最後まで諦めることなく全力でプレーする敦高野球部の姿は、私にとって誇りに思えました。
 
かつて経験したことがないことが相次ぎ、正直何でこの年に…と思った時期もありましたが、そんな中でも腐ったり、やけになったりすることは1ミリもなく、とにかく前を向く、ポジティブに「今出来ることを精一杯やる」敦高野球部そして我が子の姿を見ていると、そんな気持ちなどいつの間にか何処かへ消えていました。
 
一番苦しい、悔しいのは部員、マネージャーであるはずなのに、皆で支え合い、励まし合い、こうして試合を終えた彼等、彼女らの姿は、困難や悔しさを乗り越え、笑顔にまで変えられた「人間としての強さ」を感じるまでに、一回りも二回りも成長していました。
 
今なお人類が戦っている新型コロナですが、彼等、彼女等がこれからの人生を歩むうえで否応なく感じる「社会の理不尽や厳しさ」に対しても、皆で乗り越えたこの時間と経験が糧となり、必ずや乗り越えてくれることでしょう。
 
大会前の激励会で監督さんが部員に対して掛けたのは、「勝負はついてもこの大会で必ず得られるのは『価値』である」との言葉でした。
 
今、戦いを終え、敗戦により高校野球生活にピリオドを打った選手にとっても保護者にとっても、まさしく得られたのは「価値」であり、私は昨日から何か清々しい気持ちになっています。
 
この厳しい環境で戦ったのは、部員のみならず、常に気を配っていただいた指導者の皆さん、そして食事や精神面でサポートを続けてきた親や家族です。
 
そういった意味では、関係した方々皆が、コロナと対峙した高校野球生活の誇りと自信を今後の人生に生かし、それぞれの立場、ステージで必ずや活躍することを祈念するところであります。
 
こうした貴重な経験と選手の全力プレーをこの目に焼き付け、「ひとつの区切り」を迎えることが出来たのも、最後に独自の福井県高校野球大会を開催いただけたからこそであり、福井県高野連を始め、全ての関係者の皆さんに感謝するとともに、勝ち残ったチームにおかれては、最後の最後までの奮闘、全力プレーを期待し応援いたします。
 
最後に一言。
 
ありがとう敦高野球部!ありがとう高校野球!
 
「敦笑」と「全者一丸」の思いは永遠に不滅です!