風力発電事業計画に係る環境審議会を傍聴

エネルギー ブログ

現在、敦賀市の周辺では新たに2つの風力発電事業計画があり、令和2年7月28日からは影響評価法に基づき、事業者が作成した「計画段階環境配慮書」が広告・縦覧されてきたところです(市役所の環境廃棄物対策課や東浦公民館などにて縦覧)。
 
2つの計画とは、ひとつが、敦賀市と南越前町に係る鉢伏山周辺の「鉢伏山風力発電事業(仮称)」、もうひとつが、越前市と南越前町に係る藤倉山周辺の「福井藤倉山風力発電事業(仮称)」であり、鉢伏山は中部電力、藤倉山はJR東日本エネルギー開発株式会社が事業者となっています。
 
私も以前に、縦覧されている「計画段階環境配慮書」を確認したところ、「事前調査を進めるにあたっての配慮事項」を示す、いわば計画の第1ステップとなるその書類は大変分厚く、かなり広範囲に亘って記載されているため、要点を確認するだけとなりましたが、法に基づき慎重に手続きが進められていることは理解出来ました。
 
この「配慮書」に関しては、公告・縦覧のみではなく、市の環境審議会にて内容が審議されることとなっており、これまで2回の審議会が開催されてきています。
 
過去2回は所用と重なり傍聴出来ずにいましたが、昨晩開催された第3回目について、ようやく審議の状況を傍聴することが出来ました。
 
環境審議会は、学識経験者6名、区長連合会など関係機関の代表者6名、そして公募による住民の代表者3名の計15名で構成され、任期は令和2年5月から2年。
 
会場の消防庁舎3階の講堂に入ると、上記の審議会委員の皆さんを始め、20名弱の傍聴者がいたことに関心の高さを感じました。
 

 
この日の第3回では、前回までの委員会において挙げられた意見、質問に対する事業者見解を確認したうえで、それぞれの計画に対する答申案取り纏めまでの審議が行われました。
 
実は、鉢伏山側の事業想定区域内では、既に方法書の段階まで進んでいる「南越前・敦賀風力発電事業(仮称)」というものがあり、それとの関係性などについても質問がありましたが、当該事業については、事実上「撤退」しているとし、今後、行政や関係機関と協議を行いながら対応を検討していくとの回答がされていました。
 
また、意見・質問は、超低周波音や風車の破損事故、森林伐採や景観、鳥類魚類への影響、地域振興策、地域住民への対応に至るまで幅広い視点で挙げられており、あの分厚い配慮書を相当読み込まれたうえ、考え得るリスク想定をされたであろう審議会委員の皆さんの審議に臨む姿勢に感心した次第。
 
この計画に関しては、もちろん大きな視点で捉えれば、再生可能エネルギーの導入拡大により、温暖化対策やエネルギー自給率の向上につながるというものであり、委員の皆さんが指摘されたような点に十分配慮をしつつ、私自身は基本「推進」の立場にて今後の検討状況を確認していきたいと考えます。
 
そのうえで、もうひとつ大事な視点は、最後(廃棄処分)まで責任をもって事業運営をしてくれる「信頼ある事業者」であるかどうかだと思います。
 
太陽光発電で顕著に見られる大規模な開発による森林破壊、台風などで吹き飛ばされ周辺に被害を与える太陽光パネル、そして固定価格買取制度や採算の兼ね合いにより無残に放置される状況など、どれもこれも、その事業を営む方の「資質」によるものと考えます。
 
今回計画されている2社は、いずれも社会的信頼ある企業の看板を背負っているため、その辺は問題ないかと思いますが、原子力と同じく、とりわけ「廃止措置」に至るまでの考えが適切であるかについては、今後、自分なりに確認をしていきたいと思います。