渕上隆信 敦賀市長、片山富士夫 副市長が退任

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原子力発電の最大限活用と脱炭素化を目指すなか、「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案(GX脱炭素電源法案)」が27日、衆議院を通過し、原子力発電所の運転期間を現行の原則40年、最長60年から、60年超とする長期利用に大きく近づきました。
 
ただ、運転期間に上限があることには変わりがなく、当面は既存の原子力発電所を活用しつつ、安全性が高く、効率的な発電が可能な次世代革新炉の開発や建て替えを具体化することが急務であることを認識しておかねばなりません。
 
昨今の電力需給逼迫や電気料金高騰も含め、本気で脱炭素社会を目指すのであれば、実現のポイントは「省エネ、再エネ、原子力」であり、とりわけ安定的な「準国産エネルギー」としての原子力発電の活用策、官民一体となって取り組むための仕組みづくりや国の支援策をより明確に打ち出すことが極めて重要であると考えます。
 
また、今回の束ね法案の中にある原子力基本法に新たに規定された「国の責務」のうち、国民の信頼確保・理解獲得に関しては、立地地域だけでなく「電力の大消費地である都市の住民」が追加されたことは、ぜひ皆様にもお知りいただきたいと思います。
 
さて、今ほど述べた原子力基本法への追加事項を含め、政府の原子力政策の動きに関しては、これまで数々の要請を行なってきた「全国原子力発電所所在市町村協議会(以下、全原協)」の存在が大きいものと考えるところ。
 
全原協のホームページを見ると、「市町村に原子力発電所が立地されることによって生じる諸問題に、結束して解決し、住民の安全確保と地域発展を目指す任意団体です」とあり、立地25市町村の首長、議長が会員になっていることが分かります。
 
 →全原協ホームページはこちらから
 
直近では、令和5年4月12日に、総理大臣官邸で岸田総理に表敬訪問したほか、令和4年10月4日には、現実的な観点からの「エネルギー政策に関する要請書」を提出するなど、積極的な意見提起をされてきたところ。
 
そして、会の設立以来、脈々と会長を務めてきているのが敦賀市長。
 

【令和5年4月12日 岸田総理に表敬訪問する渕上隆信全原協会長(左から3人目)(首相官邸HPより)】
 
このことをもってしても、我が国の原子力黎明期から牽引してきた歴史、原子力とともに歩む敦賀の位置付けが分かる訳でありますが、現在、会長を務める渕上隆信市長におかれては、福島第一原子力発電所事故以降に就任され、これまで8年に亘り、その任を務められています。
 
この間、会是としてある「住民の安全確保と地域発展」の高みを目指すとともに、市長の言葉をお借りすれば、「力強いエネルギー政策」の実現を強く、そして繰り返し政府に訴えてこられたことは周知の事実であります。
 
現に、昨年10月の要請では、「エネルギー自給が脆弱な日本において、エネルギー政策は我が国の行く末を左右する最重要政策であり、深刻なエネルギー危機に直面している今こそ、脱炭素エネルギーである原子力発電の在り方について、国民に見える形で議論し、国として明確な方針を示していただく必要がある。」とし、様々な観点からその具現化を求めています。
 
こうして粘り強く、立地地域から声を挙げ続けてきたことが政府を動かす一助になったと認識する次第ですが、その渕上市長が本日をもって退任されます。
 
市長に先んじて昨日は、片山富士夫副市長が退任されたところですが、任期最後の平日となる今日は、渕上市長の退任式が執り行われます。
 
先の定例会でも市長が仰られたよう、敦賀においては、長期化する原子力発電所の停止、未曾有の新型コロナウイルス、大雨・大雪などの自然災害、北陸新幹線敦賀開業に向けた取組み等々、数々の難局に対応されたこの8年間はまさに「激動」であったと思います。
 
「リーダーは孤独である」と言われますが、激動の時代を乗り越えるべく苦悩の日々を送られた市長の心中はいくばくか。
 
これは、その立場に立った者にしか分からないのだと思います。
 
私は議員として4年間のお付き合いであり、議場では時に大変生意気な物言い、態度をしてしまったことを思い返す次第ですが、これも市長と是々非々で真剣勝負の議論を挑んだことの表れとご容赦いただきたく存じます。
 
渕上市長が残された功績は多々あれど、私の中では「人道の港」のエピソード、敦賀の歴史を再発掘し、スポットを当てたこと。
 
「人道の港敦賀ムゼウム」に関して揶揄する方もいらっしゃいますが、世界各国から多くの要人、大型客船の外国人観光客などが訪れ、涙し感銘を受ける姿、そして何より、敦賀に住む皆さんが、敦賀であった「世界でオンリーワン」の史実を知り、今では地元の高校生が語り継ぐまでになっていることは、必ずや「郷土への誇り」につながるものであり、市長の思いとともに、これを継承せねばと胸に刻む次第です。
 
市長の退任式は、本日16時30分より、市役所2階講堂にて行われ、その後、職員の皆さんに見送られ、市役所を後にする予定となっています。
 
あいにく、私は別件がありお見送りすることはできませんが、先に退任された片山副市長とともに、この間、敦賀市政の舵取り役としてご尽力いただいたことに、最大限の感謝と敬意を表します。
 
渕上市長、片山副市長、本当にお疲れ様でした。
 
そして、ありがとうございました。