これからは原子力の「基本原則」と「3S+E」

ブログ 原子力

今日は敦賀市議会議員任期の満了日。
 
本日をもってご勇退される議員の皆様におかれましては、これまで敦賀市政発展に向け、多大なるご尽力いただいたことに心より感謝申し上げます。
 
今後はそれぞれの方面でのご活躍を祈念するとともに、引き続いてのご指導を賜りたく存じます。
 
私のほうは、ちょうど今書いているブログで更新回数が1500回を迎えました。
 
一番最初の投稿は、4年前に後援会事務所開きをした時のことでしたが、その時の初心忘るることなく、今後も「より議会活動を知っていただきたい」、「自身の政治理念や考えを知っていただきたい」との思いのもと書き綴っていきたいと思います。
 
さて、1500回の投稿をカテゴリー別に見ると、4番目に多い(109回)のが「原子力」。
 
自身の関心度の表れとも思いますが、本日もその話題となります。
 
福井県原子力平和利用協議会(以下、原平協)は昨日、「第52回(令和5年度)定期総会」を開催し、私はこれに出席。
 
この原平協、ホームページの「原平協とは?」には、「原子力発電をはじめとする『原子力平和利用の推進』を目指しています。平和利用を推進するには、住民に原子力を正しく理解してもらうことが重要です。このため、『原子力の正しい理解の輪を拡げる』ことが、原平協の大きな活動の一つになっています。原平協には、こうした考えや活動に賛同する民間の人たちが自主的に参加しています。」とあります。
 
 →原平協ホームページはこちら
 
こうした考えのもと集い、連綿と活動を続けられていることには敬意を表するばかりですが、総会では令和4年度の事業報告や令和5年度事業活動計画などが承認され、新たな年度の活動スタートとなりました。
 

【定期総会会場の様子(敦賀観光ホテルにて)】
 
なお、令和5年度事業活動計画では、「原子力発電を取り巻く多くの課題はまだまだ山積していることに変わりない。私たちはこれからもこの課題に真正面から向き合い、理解促進活動を続けてまいります。」との認識を確認。
 
私も同じ思いで、個人的にも取り組む所存です。
 
定期総会後は、山口彰氏(原子力安全研究協会理事)による記念講演「GX実行会議とこれからの日本の原子力政策」を拝聴。
 
山口先生は、先に衆議院で可決した「脱炭素社会の実現に向けた電気供給体制の確立を図るための電気事業法等の一部を改正する法律案(GX脱炭素電源法案)」の審議にあたっては、委員会に参考人として招致され、同法案に関し、
・「安全最優先」の原子力利用
・脱炭素社会の実現に貢献する基本的政策
・持続的なエネルギー確立の実現
・電気事業の安定性と予見性の確保
の方向性が示されたと強調した方。
 

【記念講演で配布された資料】
 
資料と照らし合わさないと分かりづらいのですが、お話しにあったポイントは以下にご紹介します(メモ的な記載で恐縮です)。
 
・潤沢、低廉、安定の電源を使う時代から「あらゆる電源」を使わなくてはいけない時代になった。エネルギー源の多様化。
・我が国における第1の選択は、国内石炭から輸入石油へ。この時、エネルギー自給率は58%→15%に低下した。
・第2の選択は、輸入石油依存からの脱却。電気料金は高騰(100→203)した。
・1990年代から気候変動に適応性ある電源を使っていく、安定的に供給できるエネルギーが求められ、特にエネルギーの環境適合性が叫ばれるようになった。
・安全最優先に、潤沢・低廉・安定なエネルギーを供給すること、それが環境適合性に備えること。
・ロシアのウクライナ侵攻により、エネルギーを巡っては、世界が「断層的変動」状態となっている(第2回GX実行会議での表現)。
・このエネルギー危機を乗り越えるには「省エネ、再エネ、原子力」が必要。
・原子力基本法改正案の基本方針に(福島第一の事故を踏まえ)「真摯に反省」との文言が書かれたが、法律の記載として、これ自体が珍しいこと。
・現状、日本の原子力発電所33基のうち10基は再稼働済み。7基は未申請、16基は未申請もしくは審査中。活用できる原子力発電所が、制度によって利用できないことが問題。
・フランスのエネルギー政策では「原子力50%、再エネ50%がベスト」との考えが示されている。
・日本では、エネルギー基本計画にある「可能な限り原子力依存度を低減する」との兼ね合いを考えた中での「次世代革新炉によるリプレース方針」となっている(廃止措置を進める同一敷地内での建て替えが条件)。
・三菱重工のSRZ1200を始め、第3+世代の原子炉、第4世代の原子炉の開発が進められている。
・次世代革新炉に関し、我が国において、ナトリウム高速炉を進めるのは極めて効率的。
・各エネルギー源の敷地占有度(同じ量の発電に必要な敷地面積)では、「原子力が最も低い」優位性がある。
・敷地占有度と炭素放出量との関係で見ても原子力は優位。
・原子力発電所の年齢(稼働年数)と設備利用率(世界平均)を見ても、年齢に関わらず80%程度ある。古い発電所がトラブルが多く、停止期間が長いとのデータの裏付けはない。

【稼働年数を「年齢」と称するところに山口先生の愛情あり。確かに年齢に関わらず高い設備利用率である。】
 
・これから21基の廃止措置を進めていかなくてはならない。着実且つ効率的に廃止措置を実現するため、知見・ノウハウの蓄積・共有や資金の着実な手当てを担う主体を創設する。
・高レベル廃棄物最終処分の基本方針が閣議決定された。
・これからは原子力の「基本原則」と「3S+E」
 
従来の考えは「S+3E」でしたが、結論にあった「これからは原子力の『基本原則』と『3S+E』」に「なるほど」と共感した次第です。
 3S:Safety、Security、Sustainability
 E:Economic Efficiency
 

【それを示すスライド】
 
そして何より、根幹にある考え方として持っていなければならないのは、冒頭にあった「潤沢、低廉、安定の電源を使う時代から『あらゆる電源』を使わなくてはいけない時代になった」ということ。
 
とりわけ、資源の少ない我が国においては、エネルギー源の多様化を是とし、「原子力か再エネか」ではなく、「原子力も再エネも」使っていくことが必要不可欠であることから、原平協総会で確認した「この課題に真正面から向き合い、理解促進活動を続けてまいります」との考えのもと、引き続き、自身も役割を果たしてまいります。