伊方原子力発電所3号機 運転差し止め「認めず」

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本日は冒頭、昨日のブログに記載しました「再エネ賦課金」による電気料金値下げに関し、あたかも賦課金の「徴収停止」によって行われるかの表現をしてしまったことから、お詫びのうえ、これを訂正いたします。
 
経済産業省のプレスリリースによると、正しくは、
◉賦課金単価については、毎年度、当該年度の開始前に、再エネ特措法で定められた算定方法に則り、経済産業大臣が設定しています。
2023年度の賦課金単価については、足元のウクライナ危機による急激な市場価格の高騰により、再エネ電気の販売収入(回避可能費用)が増加すること等から、以下のとおり、1kWh当たり1.40円(2022年度は3.45円)となります。目安として一ヶ月の電力使用量が400kWhの需要家モデルの負担額を見ると、月額560円(▲820円)、年額6,720円(▲9,840円)となります。
 
つまりは、年度ごとの単価見直しによって、たまたま「下げ方向」となったものでしたが、逆にこのような市場環境の変化によって、来年度以降、再び再エネ賦課金が値上がりする可能性があることから、やはり国民民主党が提案しているよう、再エネ賦課金自体の引き下げや徴収停止などの見直しが必要であり、私も同じ考えで、今後の政府の対応を注視していきたいと思います。
 
さて、電気料金に関し、原子力発電の稼働率を上げることが値下げに通ずることは、最早周知の事実かと思いますが、昨日は四国電力伊方原子力発電所3号機(愛媛県伊方町)の運転差し止めの裁判について、広島高等裁判所の判決が下されました。
 

【伊方原子力発電所(四国電力HPより)】
 
この裁判は、地震に対する安全性が不十分だとして、広島県や愛媛県の住民7人が運転差し止めを求めた仮処分申し立ての即時抗告審でしたが、結果、申し立てを却下した広島地裁決定を支持し、住民側の即時抗告を棄却しました。
 
裁判長は「住民らの生命や身体に具体的な危険があると立証されたとは認められない」と判断したものですが、この決定は、四国電力が3号機を運転できるようになったのは、新規制基準に基づき、地震に対する安全性を含めて原子力規制委員会で審査され、許可されたからだと指摘。
 
住民側が運転の差し止めを求める場合、運転による具体的な危険性があるかどうかを立証する責任は四国電力側ではなく、住民側が負うのが原則だとしました。
 
この結果について、四国電力はホームページにて、
(抜粋)
今回の決定は、伊方発電所3号機の安全性は確保されているとの当社のこれまでの主張が 裁判所に認められたものであり、妥当な決定をいただいたものと考えております。
当社といたしましては、引き続き、安全性の向上に終わりはないことを肝に銘じ、伊方発電所の安全対策に不断の努力を重ねるとともに、今後の安全・安定運転に万全を期して まいります。
 
とのコメントを発表。
 
原子力発電を巡っては、いわゆる「司法リスク」がありますが、今回「真っ当な判断」がされたことに安堵した次第です。
 
エネルギー危機に直面するいま、電力の安定供給はもとより、電気料金や事業者の経営にも大きな影響を与える原子力。
 
高い専門性を有する「原子力裁判所」のような存在がない日本においては、裁判官の私観やイデオロギーによって、運転差し止めとなることがないよう願うばかりです。
 
なお、この日、関西電力は、1月に自動停止した高浜原子力発電所4号機の原子炉を起動し運転を再開。
 
本日25日に発送電を再開し、営業運転に入る予定とのことであり、こちらも戦線復帰に安堵するとともに、今後の安全・安定運転をお願いする次第です。