この際「再エネ賦課金」を考える機会に

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昨日から始まった統一地方選前半戦。
 
国政選挙と同様、ここでも争点のひとつとして挙げられるのは、生活に直結する物価やエネルギー価格高騰などへの対応になろうかと思います。
 
そうしたなか、3月22日に開催された政府の「物価・賃金・生活総合対策本部」では、高騰が続いている電気料金に関して、料金に上乗せする形で徴収されている「再生可能エネルギー賦課金」を4月使用分の料金から減額されることが報告されました。
 
具体的には、標準家庭(月の電気使用量が400キロワット時の)で月平均800円に相当する額が、5月請求分から追加で値下げされるほか、鋳造など「特別高圧」契約の企業は約80万円/月(年間約1000万円)の値下げとなります。
 
いわゆる「再エネ賦課金の一時徴収停止」による「電気料金値下げ」は、国民民主党が昨年夏の参議院選挙の時に追加公約をし、10月24日には高騰する電気代値下げのための「再エネ賦課金停止法案」を参議院に提出したほか、年末には物価高騰に苦む国民、企業の負担軽減策のひとつとして、岸田総理に直談判した案件でもあります。
 
すなわち、提案から約8ヶ月を経て、同党がまた公約を実現したことになる訳ですが、政治判断さえすればすぐにできて、しかも国民、企業すべて一律に「電気代値下げ」効果があり、目に見える形の方法をここまで選択しなかったことは遅きに失していると、私は思う次第です。
 

【昨年9月に発表した国民民主党の緊急経済対策。電気代値下げの方法はまさに「再エネ賦課金の一時徴収停止」】
 
「再エネ賦課金」に関しては、これまで何度も紹介していますが、改めて、この賦課金は固定価格買取制度において、「再エネ由来の電力を決められた価格で大手電力が買い取る制度(FIT)の費用など、再エネの普及促進のため、電力会社が利用者から賦課金という形で電気料金に上乗せして徴収している」ものです。
 
経産省によると、賦課金は平成24(2012)年の導入開始時は1キロワット時あたり0.22円でしたが、その後増え続け、令和4年度は1キロワット時当たり3.45円が徴収されている状況になっています。
 
また、下図をご覧いただくとお分かりの通り、年々賦課金は上昇しており、国民から徴収する賦課金総額は「2.7兆円」となっていることを、改めて認識いただければと思いますが、皆さんはこのシステムをどうお感じでしょうか。
 

【固定価格買取制度導入後の賦課金の推移(資源エネルギー庁HPより引用)】
 
皆さまにおかれましては自己チェックの観点から、毎月支払う電気料金明細を確認いただくとともに、現在の日本のエネルギー政策で一番に掲げる「再エネ主力電源化」の意味するところは、今以上の国民負担を強いて進めることであり、本当にそれで良いのか、是非についてご一考いただければ幸いに存じます。
 
なお、くれぐれも誤解なきよう、私は、再エネ否定論者では決してなく、「超」現実的なベストミックス論者であることを最後に補足しておきます。