今後の原子力政策の方向性について説明を受ける

ブログ 原子力

ほぼ毎日のように、原子力発電に関する動きが報道されるなか、昨日の新聞には、GX実行会議を踏まえて今国会に提出される原子力活用に向けた関連法案のうち、原子力基本法に「国の責務」を明記するとありました。
 
原子力の将来を明確化する意味において、「国が前面に出て」、或いは「国の責任」に基づく姿勢を求め続けてきた原子力立地地域の立場からすれば、こうして原子力利用の原則を定めた法律に明記するまでの動きに至っていることを歓迎する次第です。
 
さて、そうしたなか、昨日午前中、敦賀市議会では議員説明会が開催され、「GX実行会議を踏まえた今後の原子力政策の方向性と行動指針(案)のポイント」について、経済産業省資源エネルギー庁原子力立地政策室の前田博貴室長より説明を受けました。
 
説明では、昨年末に政府がまとめた「GX実現に向けた基本方針案」を踏まえ、原子力に特化した今後の方向性と方針案のポイントについて約30分説明があった後、約1時間に亘り質疑を交わしました。
 

【議員説明会にて配布された資料】
 
各議員からは、GXの閣議決定や革新軽水炉の定義、リプレースの考え方や長期運転、中間貯蔵、最終処分、規制対応と多岐に亘る質問、意見が挙げられるなか、私からは、
 
①そもそもGX実行会議の基本方針は、第6次エネルギー基本計画の範囲内としているが、そもそもエネ基自体がCO2削減目標からのバックキャストで割り出されたもの。S+3Eの観点において、とりわけ安定供給と経済性に関し、今後電力消費が拡大する想定の中で、具体的な数値を元にした評価はされているのか。
②次世代革新炉の開発・建設に対する事業環境整備の在り方については、事業者側の予見性を高めるための国の支援が必要。例えば英国では新規建設事業に対し、政府の直接投資がされているが、今後どう進めていくのか。
③革新軽水炉の定義を明確化するのは、原子力規制委員会において整備する規制基準によると考えるが、その認識で良いか。
 
の3点について質問しました。
 
①については、第6次エネ基の際に評価している、②は電力市場の脱炭素オークションなども活用し進めていきたい、③は、その方向と考えるが、規制側のことは答える立場にないとの回答がありました。
(注)私の記憶で書いてるため、正確な言葉通りでないことをお断りしておきます。
 
②に関しては、総合資源エネルギー調査会の革新炉ワーキンググループで座長を務めている黒﨑健氏(京都大学複合原子力科学研究所教授)が、次世代革新炉の開発・建設に係わる事業実現に向けて、「ニーズがありユーザーが現れること」を前提に、採算の見通し、規制の確立の必要性を指摘しており、その中で特に、採算見通しのための仕組みとして、EUタクソノミー[※1]、英国のRABモデル[※2]などを例示のうえ、「脱炭素の取組に原子力を盛り込むことが一つのポイントとなる」と述べており、今後そうした方向に進むことを期待いたします。
 
[※1]
持続可能な経済活動を明示し、その活動が満たすべき条件をEU共通の規則として定めるもので、2022年2月に原子力を含めることに関する規則が採択された。
[※2]
規制当局が認可した投資を規制料金を通じて回収する仕組みで、英国では下水道や空港建設で実績がある。
 
③については、敦賀3,4号にも関わることですが、エネ庁としては、利用施策を講ずる立場から「新たな安全技術が搭載された炉(革新軽水炉)を利用する」までで、おそらくこれ以上のことはなく、この後は、開発の動向を見て進められる原子力規制委員会が整備する新規制基準を睨み、事業者がその基準に適合した炉の設計・建設を進めるということに他ならないとの理解をしたところです。
 
即ち、敦賀3,4号機のAPWRは「現時点」においては、革新軽水炉に当たらないというだけで、これをもって将来の可能性を否定する理由はどこにも無い。
 
そのことが直接確認できただけでも、質問した甲斐があったと感じた次第です。
 
こうして議員説明会は終えた後、午後には、敦賀市原子力懇談会にて同様の説明があったようですが、どのような質問、意見が挙がったのか。
 
ひとつ一つの質問に丁寧に答弁する前田室長の姿が印象に残りましたが、政策を司る国におかれましては、立地自治体、議会の声を真摯に捉えていただき、今後の原子力政策に反映いただけますよう切にお願いいたします。