コミュニケーションを向上させ、進む「北陸新幹線工事」

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これは私だけかも知れませんが、報道機関としてどう対応するのか密かに注視していたTBSの情報番組「ひるおび!」での発言問題。
 
出演者の八代英輝弁護士が9月10日の放送で野党共闘について取り上げた際、共産党について、「共産党はまだ『暴力的な革命』っていうものを、党の要綱として廃止してませんから」などと発言。
 
これに対して、共産党の志位委員長が「どんな場合でも平和的・合法的に社会変革の事業を進めるということが、日本共産党の一貫した立場です」「『番組としての謝罪と訂正』をきちんと行うことを求めます」などとツイートし、TBSに抗議していた訳ですが、結果、昨日13日の放送の中で、同局のアナウンサーが「日本共産党の綱領にそのようなことは書かれていませんでした。訂正しておわびいたします」と謝罪した後、八代氏が「先週の私の発言についてですが、私の認識は閣議決定された政府見解に基づいたものでした。一方、日本共産党はそれをたびたび否定していることも合わせて申し上げるべきでした。申し訳ありませんでした」と説明し、自身も謝罪されました。
 
私自身が、この件を何故注視していたかといえば、公安調査庁の公式見解として「共産党は、武装闘争を唯一とする戦術を自己批判しましたが、革命の形態が平和的になるか非平和的になるかは敵の出方によるとする「いわゆる敵の出方論」を採用し、暴力革命の可能性を否定することなく、現在に至っています。こうしたことに鑑み,当庁は,共産党を破壊活動防止法に基づく調査対象団体としています。」と位置付けていることから来る訳ですが、確かに「綱領」にはないので反論するに値しなかったにしても、どこかしら圧力に屈した感が残ってなりません。
 
 →→→公安調査庁の見解はこちら
 
なお、付け加えるとすれば、八代氏は、「テレビで発言する者として、今後はより正確に、バランスに配慮し言葉に責任を持っていきたいと思います」と述べていて、これを局(TBS)としての見解を受け止めれば、政治や外交、エネルギーに関してもそのように責任を持って取り扱っていただきたいと思った次第です。
 
前置きが長くなってしまいましたが、本題は昨日開催された敦賀市議会の「新幹線対策特別委員会」。
 
3月定例会より本特別委員会の所属となり、今回で3回目の委員会となる訳ですが、工程遅延により敦賀開業が1年遅れたことの責任をどこか感じながら、毎回出席している次第。
 
つまりは、鉄道・運輸機構が沿線市町と連携のうえ工程管理を行うのが第一義としつつ、議会としても認識高くチェックの視点を持つべきとの考えであり、この日の委員会前には、同機構HPにある「金沢・敦賀間 工程・事業者管理連絡会議」や「同幹事会」の資料などを確認のうえ委員会に臨んだところです。
 
 →→→「北陸新幹線(金沢・敦賀間)工程・事業費の概況」はこちら(鉄道・運輸機構HPより)
 
この日の調査事項は、(1)並行在来線について、(2)北陸新幹線の整備状況についての2項目。
 
それぞれ要点だけご報告しますと、1点目の平行在来線に関しては、
◉営業区間を敦賀駅〜大聖寺駅(石川)の84.3km、18駅とし、資本金は20億円+約6.2億円(開業遅延に伴う鉄道・運輸機構出資分)
◉出資金に関しては、県(70%)、市町(20%)、民間(10%)を拠出者とし、県全体で支える経営体制を構築
◉運行計画については、運行本数を126本/日程度とし、通勤・通学の利便性向上と新幹線へのアクセス向上のため、朝夕の時間帯に快速列車を運行(結果、増便24本、うち快速8本)
◉運賃水準は、近隣先行県(石川など)や利用者負担(運賃収入)と行政負担のバランスを考慮し、営業開始から5年目までを激変緩和措置(定期外1.15倍、通勤定期1.15倍、通学定期1.05倍)としたうえで、6〜11年目を定期外1.20倍、通勤定期1.20倍、通学定期1.05倍(据え置き)に設定。
◉収支見込みは、過去実績から推測する開業年度の利用者2万人/日を維持するとの前提条件のもと、開業から10年後(令和16年)までの収入累計を約437億円。これに対し、支出累計は約507億円で、収支差では約70億円のマイナスと想定。
◉このマイナス約70億円に対しては、経営安定化策として、運賃値上げ抑制のため、収支不足の補填財源として「福井県並行在来線経営安定資金(仮称)」を設置し、基金総額70億円を県(50%)、沿線市町(50%)が拠出する。
◉このうち市町ごとの拠出は、新幹線試算からの固定資産税収入を念頭に、新幹線駅の有無などを総合的に勘案して決定され、これにより敦賀市の負担は6億3800万円となる。
 
(2)の整備状況については、
◉鉄道・運輸機構の工程・事業の概要によれば、敦賀駅工区は、計画工程より特段の遅延は発生しておらず、駅部はホーム桁までの構築が完了。
◉東口棟の建築工事については、令和3年9月より着手。
◉計画工程通り、駅部については令和3年10月末までに土木工事から建築工事に、駅終点部についても令和4年5月末までに土木工事から軌道工事に引き渡す見込み。
◉敦賀駅工区工程表においても、クリティカル(主要工程)に対し遅延なく、逆にいくつかは計画より先行して進んでいる。
◉遅延リスクに関しても特段の問題は確認されていない。
 

【整備状況資料の表紙。高架は延び、一部レール敷設もされてきているとのこと】
 
以上が説明内容であり、私や他の委員からもいくつか質問がありましたが、印象に残ったのが、並行在来線の赤字ありきの経営に関し、運賃など県民目線に立っているかという点に対する都市整備部長からの答弁。
 
「料金(運賃収入)か税金か。ひとつの交通インフラをどう支えていくかという視点で、地方鉄道のあり方、収益性を議論していくべきであり、県とも連携を取って進めていく。」
 
まさにそういうことと、私も理解した次第。
 
高速鉄道網、大動脈である新幹線を敷設することと引き換えに、今まで主役であった並行在来線が衰退していくようではいけませんし、そこには生活の「足」としてのインフラがあることから、負担を一方に押し付けるのではなく、他の民間鉄道会社とも連携のもと知恵を絞っていくしかない訳であり、その点は強く課題認識として持っておきたいと思います。
 
最後になりますが、開業遅れが明らかになった際に指摘された、鉄道・運輸機構の経営体質等に関しては、令和3年7月に公表された「鉄道・運輸機構改革プラン」に基づき、改革が進められるところ。
 
改革プランの中身を読むと、「対外的なコミュニケーションの強化」との項目があり、ここでは「本年4月には北陸新幹線建設局の設置に合わせ、同局職員や渉外担当職員を福井市、小松市に配置したところ、自治体からは、機構が身近になってコミュニケーションが取りやすくなったとの声をいただいている」との記載がありました。
 
この点は質問の中で少し触れさせていただきましたが、まさに敦賀市の担当部職員の声と同様。
 
両者の強い信頼関係なくして大プロジェクトの成功なし。
 
関係者の皆さんには、今後とも連携を強固に安全第一で作業を進めていただくことをお願いするとともに、私自身も役割を果たしていきたいと思います。