より実効性を高めた「市議会BCP」に向けて

ブログ 防犯/防災

台風2号と前線により、全国的に大雨となった昨日。
 
とりわけ、四国や近畿、東海、甲信越、関東の太平洋沿岸部を中心に「線状降水帯」が発生し、各地で河川の氾濫や土砂崩れ、さらには流域住民に「警戒レベル5」の避難情報「緊急安全確保」が出されたほか、東海道新幹線を始め、交通機関にも運休や通行止めが相次ぐなど、大きな影響を及ぼすこととなりました。
 
今も関東地域で、氾濫に警戒を要する河川が発生するところですが、最小限の被害で前線が通過することを願う次第です。
 
福井県内では13市町に大雨警報が出され、勝山市では一時、高齢者等避難を市内全10地区に発令するなど心配されたところですが、その後雨足は緩み、福井地方気象台は22時15分にすべての大雨警報を解除しました。
 
敦賀市において最も警戒すべきは、中心部を流れる「笙の川」であり、昨日も水位上昇に注視をしつつ、昨年8月の豪雨で目の当たりにした東浦地区の河川が気になり、足を運んだところ。
 
午後の時点で雨は強く降ったり弱まったりと、予報においても大事に至ることはないとの判断ができた訳ですが、実際、大比田地区を流れる「大川」に行ってみると、水位こそ低いものの、まさに滝を打ったような勢いで流れていることに驚きました。
 
この雨量でこの勢いとなるのは、谷から海までほぼ直滑降の流形にもあると思いましたが、「土石流指定河川」ともなっている川だけに特段の留意が必要と、改めて感じた次第です。
 

【土石流指定河川「大川」の流れ。上流の国道8号線、下流の「しおかぜライン」とは直交する関係にあります。】
 
また、昨年8月には、上流の大きな岩石が浜にまで流れ出た杉津(すいず)の河川も同様、集落内でカーブする流形と相まって、非常に流速が速まっていたことを確認することができました。
 
「これぐらい降ったらこうなる」とイメージできることは、地元の方の経験則から来る大事なことですが、私自身、昨日見た光景と感じたことをインプットしておきたいと思います。
 
さて、指揮を司る市においては、午前8時30分に敦賀市災害対策連絡室を設置。
 
以降の降雨予測などをもとに、雨が強まることはないとの判断から、14時30分に開催した第3回災害対策連絡室会議の終了をもって、連絡室を廃止しました。
 
なお、市議会においては、本年3月に「敦賀市議会BCP※(業務継続計画)」を策定したところですが、今回はこれに基づく具体的な対応はありませんでした。
 
※BCP::Business Continuity Plan(業務継続計画)。災害や事故など不測 の事態を想定し、業務継続の視点から対応策をまとめたもの。
 
このBCPは、目的を「敦賀市内で大規模災害等の緊急事態が発生した際に、市民の生命、身体及び財産を保護し、並びに市民生活の平穏を確保するため、総合的かつ機動的な活動が図られるよう、敦賀市議会及び議員がどのように対応すべきか、共通の認識を持ち、議会としての体制の整備を行うもの」に置くもの。
 
災害発生直後から、議会機能を概ね平常に運用できるまでの期間を想定し、当該期間における議会・議員等の役割や具体的な組織等について定めるものですが、昨日あのまま市が災害対策本部を設置していたら、議会としてどういう対応をとっていたか。
 
例えば、議会として「対策会議」を設置する場合、「議会は、災害時において、災害初期から議会機能を的確に維持するため市本部の設置後、議長の判断により速やかに対策会議を設置し、災害対応に当たるものとする。」とあります。
 
つまりは、初動判断において「市の災害対策本部設置=議会の対策会議設置」となっていないところがポイントであり、では「議長の判断」は何をもってされるのか明文化されていないため、実際に機能させるためには、昨日のような事象を捉えつつ、さらなるシュミレーションや訓練が必要と感じたところです。
 
災害対策に関しては「備えあれば憂いなし」と言いますが、計画があることは「備え」の第一歩に過ぎません。
 
より実効性を高めた「地域防災計画」にと思い、市に意見提起するのと同様、自ら設置した「議会BCP」に関しても、策定議論に加わった議員の一人として、今後建設的に意見していきたいと思います。