「選書」に「魂込め」進む、敦賀駅西「知育・啓発施設」整備事業

ブログ 北陸新幹線

潮が引くかのように感染者数が減った新型コロナ第5波ですが、改めて福井県のデータを見てみると、直近1週間での感染者は「5人」、確保病床数(424床)に占める数は「7床」(使用率1.7%)と数字でも明らかな状況にあります。
 
但し、第6波への警戒は怠ってはならず、それには何といってもワクチン接種率をさらに高めていくことが重要と、ここ敦賀市でも継続して接種の呼び掛けを行っているところ。
 
県内で7月以降に新規感染した方の約9割が「未接種者」であったことからも、対策としての効果は証明されていることから、まだの方は是非、ワクチン接種のお手続きに進んでいただけますようお願いいたします。
 
参考まで、ワクチン接種に関する敦賀市HPをリンクしますので、以下ご覧いただければと思います。
 
 →→→新型コロナワクチンの接種について(敦賀市HPより)
 
こうしてコロナ禍が続く中ではありますが、並行して進めていかなければならないことは数多くあれど、敦賀で大きなことといえばやはり北陸新幹線。
 
新幹線整備に係る工事もさることながら、受け皿整備も同列で重要であり、昨日は敦賀市議会の新幹線対策特別委員会にて、その目玉とも言える「駅西地区土地開発事業」について、所管する都市整備部、事業を進める(株)青山財産ネットワークス、(株)走坂設計事務所、知育・啓発施設の指定管理者である丸善雄松堂(株)、(株)編集工学研究所を参考人としてお招きし、説明を受けました。
 
まず、青山財産ネットワークスからは、A・Bゾーンのエリア整備状況について、主に
 
◉ホテル建設は順調に進んでいる
◉Bゾーンの誘致テナントの状況として、ホテル横に配置するカフェについては、スターバックスと契約の方向で進めている(ほぼ間違いない)
 
との説明がありました。
 
次に、Aゾーンの知育・啓発施設に関しては、丸善雄松堂ならびに編集工学研究所より、主に「選書方針」について説明がありました。
 
「“本屋”でもない“図書館”でもない、新しい知の拠点づくりへ」をキャッチフレーズに計画を進めるこの施設は、「約3万冊」の蔵書となることは以前に説明があった訳ですが、今回はその「本」をどういったコンセプト、方針で「選書」していくかという、全くもってコアな調査事項でしたが、両社の思いのこもった丁寧な説明、そして実際にこういうイメージのものだと実物の本まで持ち込み、手に取って確認できたことにより、理解が深まった次第です。
 

【レアでコアな実物の本が並ぶ委員会会場の様子(委員会終了後に撮影)】
 
選書のイメージを言葉で表すことは非常に難しいのですが、説明にあった概略を記すと以下の通りとなります。
 
◉選書方針(ポリシー)は、
 ①大都市でなくても“本を介し世界の知と遭遇できる書籍空間”
 ②読書の楽しさを知る機会が少ない世代に“本との接点を創出”
 ③より多くの市民の方々に“本を通じた育児や暮らしの支援”
◉書籍構成は3つの「知」、①世界知、②日常知、③共読知に分類し配置
◉それぞれ「知」ごとのジャンルとしては、
 ①世界知:文化・生活、歴史・社会、生命・科学など
 ②日常知:暮らしのヒント、絵本ワンダーランド、稼ぎと努め、アート&ライフなど
 ③共読知:地域関連情報、企画展示、敦賀市民本棚、企画案として、市民参加型でより多くの市民に参加してもらえる空間づくりなど
 
ひとことで言えば、これらジャンルについて、丸善雄松堂や編集工学研究所の知見や経験をフル活用し、都会でも中々手に入らないような「レア」で「コア」な書籍をふんだんに選書していくとのことであり、私的にはこれまでの疑問であった一般の本屋や図書館との「住み分け」について、十分なイメージができた次第です。
 
なお、民業圧迫とならないことも意識し、どこでも売ってる人気の本などは置かないなどの配慮がされているとの補足説明もありました。
 
また併せて、初期3万冊の書籍購入費用約8,000万円は市が負担したうえで、売れた分を順次費用回収、指定管理開始以降の書籍購入費用は指定管理者が受け持つとのスキームであるとの説明がありました。
 
さらに本施設1階に入るカフェについては、ホテル横のスターバックス出店も念頭に、「敦賀ブランド」を前面に押し出すこと、地域の特色が出せる事業パートナーとの連携を探ってきたとしたうえで、神楽町1丁目で日本茶専門店を営む「中道源蔵茶舗」を選定したとの説明があり、私的には、どこにでもあるような全国チェーンでない、生粋の敦賀の店舗が入ることで、他の新幹線駅との区別化、他にないものが「敦賀にある」ことが広がればと期待するところです。
 
こうして、順次説明を終えた最後に、この特別委員会恒例と言ってはなんですが、都市整備部担当から締め括りの説明があり、その彼はこの駅西開発、とりわけ知育・啓発施設に込める自身の熱い思い、さらには連携事業者全ての名前を挙げ、皆同じ熱い思いで取り組んでいることを述べたうえで、「(仕事にも施設にも本にも)魂を込める」、「選書なくして本屋なし」との名言が今回も飛び出しました。
 
一種、「彼の世界」に対しては、皆さんそれぞれの受け止めがあろうかと思いますが、良く行政のやることは「箱作って魂なし」と言われますが、何のその、これでもかと魂を込めて成功させようとの意気込みを十二分に感じたところであり、私はこうした姿勢、こうした若い職員が思いを述べる場があることは大変良いことと思った次第です。
 
私も発電所の保守管理の仕事をしている際は、担当する機器に「魂と愛情込めて」きましたので、仕事に対する気持ちは十分理解しますが、ひとつ注意することとしては、その思いで「突っ走り」過ぎたり、「空回り」しないようにすること。
 
熱い思いで担当される皆さんが今後、客観的視点も踏まえながら、時にはアクセル、時にはブレーキを踏みながら整備を進め、敦賀の「新たな知の拠点」が実現するよう切に期待するものであります。
 
市民の皆さまにおかれましては、こうした状況も少し頭に置いていただき、近づきつつある北陸新幹線敦賀開業の息吹、変わっていく敦賀駅前の姿を楽しみに見守っていただければ幸いに存じます。