日米で大きく異なる原子力規制

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イラン攻撃に伴う原油価格の高騰が日本経済に及ぼす影響を第一生命経済研究所のエコノミストが試算。
 
試算によれば、米原油先物指標WTIが1バレル=80ドル台に上昇し、その価格水準が1年続いた場合は日本の実質国内総生産(GDP)を0.21%押し下げ、2年続くと0.35%下振れさせる。
 
さらに、戦況悪化で同130ドル台に上がり、その水準が1年続くと0.58%、2年続くと0.96%と1ポイント近くの押し下げを予測し、影響が深刻化すれば実質賃金の悪化が懸念され、日本銀行の利上げにも逆風と指摘しました。
 
先日も敦賀市内のガソリンスタンドで、給油する車が長蛇の列になっている光景を見ましたが、言うまでもなく、原油価格の影響は日本経済、国民生活に直結することから、イラン情勢が早期に収束することを願うばかりです。
 
さて、3月3日のブログでは、ホルムズ海峡の事実上封鎖とわが国のエネルギーについて思いを述べましたが、こちらは「直ちに」ではなく「長期化」した場合の懸念として述べたものであり、変に不安を煽ることや、これみよがしに原子力発電を推進したいがために書いたものでないことはご理解いただきたいところ。
 
その上で、以前からご紹介しているよう、エネルギー供給力確保のための世界各国の原子力開発の進捗は著しく、その先頭をいくであろう米国では、原子力開発ベンチャー企業「TerraPower(テラパワー)」社が現地時間4日、ナトリウム冷却高速炉と溶融塩エネルギー貯蔵を組み合わせた第4世代のナトリウム冷却小型高速炉「Natrium(ナトリウム)」(基本電気出力34万5千キロワット)初号機の建設許可を米原子力規制委員会(NRC)から取得したと発表しました。
 
商業規模の先進的原子力発電所として建設許可を取得したのは初めての事例。
 
同社はワイオミング州でナトリウムの原子炉以外の部分を建設中で、今後数週間以内に原子炉部分の建設を始め、2030年代初頭に運転を開始する計画とのこと。
 

【ナトリウム炉とエネルギー貯蔵システムの完成予想図(テラパワー社資料より引用)】
 
なお、テラパワー社は2008年に設立した、米マイクロソフト社の創業者ビル・ゲイツ氏が会長を務める原子力開発ベンチャー企業。
 
あらためて、猛烈なスピードで原子力開発を進める米国の政策推進力に驚くばかりですが、同社がNRCに建設許可を申請したのは2024年3月末。
 
ちょうど2年で許認可されたことになり、やはり原子力規制の面で、日本との大きな違いがあると認識する次第です。
 
そのNRC。
 
本年2月には、さらなる原子力技術の許認可審査の効率化と迅速な導入に向けて、意思決定の合理化および業務機能の統合を柱とする大規模な組織再編に着手すると発表。
 
今回の再編は、2025年5月の大統領令「原子力規制委員会改革の命令」および、同年2月の「政府効率化に向けた人員最適化の実施」に基づく要件をふまえたもので、当面は、原子炉安全プログラムの主要ポストの任命を進めるほか、今後60日以内に新たな組織図と変更管理計画を策定し、9月末までの実施をめざすとのこと。
 
原子力政策は国策であるという点は、日米とも変わりませんが、政府(政治)が関与し、主導している点において、ここでも日本の違いが。
 
NRCのホー・ニエ委員長が述べた、「本再編は、原子力技術の安全な導入を加速するという国家的優先事項に沿ってNRCの組織構造を見直すものであり、より効率的かつ迅速な意思決定を可能にする」との言葉が、米国の姿勢を象徴するものとして、強く印象に残った次第です。

敦賀発電所2号機が「39歳」の誕生日を迎える

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昨日は、久々となった街頭活動からスタート。
 
理由は、昨日のブログで述べたとおりですが、粟野交番前の交差点をお借りし約30分。
 
主に県知事選と衆院選の振り返りや敦賀市議会3月定例会の告知などについてお話しした次第です。
 
ご通行中のお車からは、お手振りしてくれる方、窓を開けて声掛けしてくれる方もいて嬉しい限り。
 
雪も解け、自転車通学の高校生とも久々のあいさつを交わすなど、気持ちの良い朝となりました。
 
効果のほどは置き、こうして旗を立てるということが国民民主党の知名度を上げることにつながるものと、今年はさらに別の場所でも辻立ち、街頭演説を展開していきたいと思います。
 

【粟野交番前の交差点にて。やわらかい朝日も応援してくれている気分に。】
 
さて、今日2月17日は、日本原子力発電(以下、日本原電)の敦賀発電所2号機(以下、敦賀2号)が営業運転を開始した日。
 
営業運転開始日を誕生日とすると、今日で39歳を迎えたことになります。
 
実は毎年、この周年を忘れないようブログに掲載しているため、再掲となる訳ですが、敦賀2号のことを、日本原電のホームページでは以下のように紹介しています。
 
<以下、日本原電HP引用>
 
1982年3月に着工(第1回工事計画認可)、同年4月に建設工事を開始し、当初の予定よりも工期を4ヶ月あまり短縮し、1987年2月に営業運転を開始。この発電所は、わが国最初のプレストレスト・コンクリート製格納容器を採用して耐震性の一層の向上を図るとともに、国内外の新技術を積極的に導入し、各種の設備に種々の改良・改善を加え、安全性、信頼性、環境保全の各面に優れた発電所です。
 
<引用終わり>
 
発電所構内には「信頼と安心の敦賀2号」の標柱があるよう、これまでの発電電力量合計1,923億kWhを誇る敦賀2号ですが、東日本大震災後の2011年5月7日20時00分に原子炉停止して以来、これで15年の歳月が流れようとしています。
 
その敦賀2号は現在、新規制基準適合性確認の申請に向けた現地調査を行なっており、「破砕帯(K断層以外を含む)」の調査 を目的とした作業の一つとして,調査坑(立坑)周辺の地盤改良作業を進めている状況にあります。
 

【げんでん いんふぉめーしょん(2026年2月号)より抜粋引用】
 
なお、「(活断層の)可能性が否定できないため不許可」とされた敦賀2号においては、この大掛かりな調査によって得られる科学的データにより、「活断層ではない」ことが証明されるものと信じてやみませんが、一方、原子力発電所の地盤(断層変位)審査に関わる国際基準に照らすと、日本の原子力規制においても「確率論的」評価を組み入れるべきではと考えるところであり、実際に国内外の規制基準を比較すると次のようになっています。
 
<日本>
◉約12〜13万年前以降の活動が否定できない断層の直上への設置を禁止(立地不適格)。
アメリカやIAEAのように、確率論的な評価を認めていない。
 
<アメリカ>
◉断層変位が想定される場合に立地不適格とする記載はない。
◉敷地において地表変形(断層変位を含む)の可能性がある場合は、審査者は地表変形の潜在的影響が施設の設計基準内であることを確認するという記載がある。
日本のような禁止規定はなく、実際、ディアブロキャニオンのように、既設発電所に対して「確率論」的に評価して認められた例がある。
 
<IAEA>
◉既設サイトに対しては、敷地及び/又は敷地近傍に存在する断層がcapable fault(活断層)ではないと結論づけるだけの十分な根拠(決定論的な根拠)がなく、原子炉施設の安全性に影響を与える可能性がある場合は、確率論によって評価するべき。
 
このように、国際基準では、「確率論的」評価手法が“標準”であるという事実を知っていただければ幸いです。
 
1990(平成2)年に入社し、敦賀発電所の保修業務に携わってきた私にとって、敦賀2号は、先輩や同僚、協力会社の皆さん、メーカーの方々と一緒に、たくさんの思い出が詰まった、愛車のような、誇れる「マイプラント」。
 
必ずや再審査をクリヤし、再稼働を果たすことが使命と役割であり、国の「エネルギー基本計画」上も必要な発電所であると、今年の誕生日も思いを強める次第です。
 
2月13日のブログで、1975年に運転開始し、45年以上にわたり稼働したのち、経済性の悪化を理由に2020年に閉鎖された米デュアン・アーノルド発電所(51歳)が「運転再開」を目指していることをご紹介しましたが、敦賀2号はまだ「39歳」。
 
人間も発電所も、39歳はこれからが働き盛りです。

Google社がデュアン・アーノルド原子力発電所と「25年間の電力購入契約」

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2月9日に原子炉を起動した東京電力ホールディングス(以下、東京電力HD)の柏崎刈羽原子力発電所6号機(以下、柏崎刈羽6号機)。
 
現在、起動工程における各種試験を順調に進め、今週末の15日には、発電機を試験的に送電系統へ接続する「発電機仮併入」により20%出力まで上昇、一旦切り離した後、発電機を送電系統へ接続する「発電機本並列」を16日に行う予定となっています。
 
50%出力まで上昇させた後は、段階的に出力を降下し、タービンおよび原子炉を計画停止。
 
20日には「中間停止」をし、各部の点検を行うなど、慎重には慎重を重ねた工程となっており、引き続き状況を見守るところです。
 
なお、東京電力においては「柏崎刈羽原子力発電所 情報ポータル」を立ち上げ、リアルデータや詳細工程などをお知らせしたいますので、関心のある方は以下リンクよりご覧ください。
 
 →東京電力HD「柏崎刈羽原子力発電所 情報ポータル」サイトはこちら
 
さて、既設原子力発電所の再稼働に喜ぶ一方、柏崎刈羽6号機に至ってはここまで14年の時間を要したほか、今なお停止したままの発電所が複数あることに忸怩たる思いがあるところ。
 
そうした思いが込み上げてくる理由の一つとしてあるのが、諸外国の原子力利用、開発スピードの速さであり、とりわけその先頭を行くのが米国。
 
12日付の電気新聞には『米NRC、再編に着手/許認可・検査効率化へ、9月末めど』のタイトルのもと、米原子力規制委員会(NRC)は、昨年5月の大統領令に基づき組織再編に着手したとあり、新型原子炉、稼働中の原子炉、核物質・廃棄物の中核事業分野を中心に再編するとのこと。
 
また、許認可と検査機能を各事業分野に統合、説明責任を一元化し、プロジェクト開始時点から許認可と検査のチーム間連携を強化するとともに、企業支援事業分野の機能を統合し、効率化を図るとあった上で、NRCは今後60日以内に新しい組織図と変更管理計画を策定、9月末までに再編計画を実施する見通しとありました。
 
日本と同じ原子力規制組織にあって、NRCはもちろん厳格な審査体制はあった上で、経済性や効率性も踏まえた合理的な運営をしていると言え、日本もこうした考えや手法を取り込むべきではないかということは以前から申し上げているところ。
 
さらに、民間の動きも速く、これまでもいくつかご紹介してきましたが、こちらは原子力産業新聞を見ると『米ネクストエラがSMR最大600万kW配備を検討 Google向けPPAで既設炉の運転再開へ前進』のタイトル。
 
読めば、米大手電力会社でフロリダ州に本拠地のあるネクストエラ・エナジー社は1月27日、AIやクラウドサービスの拡大に伴い急増する電力需要を背景に、同社が所有する複数の既存サイトや新規サイトを開発し、最大600万kWeの小型モジュール炉(SMR)の追加配備を検討していることを明らかにした。
 
ネクストエラ社は現在、フロリダ州以外に所有する既存・新規サイトについて、先進原子力導入に適した状態にあるとし、様々なSMR炉型の詳細評価を実施。2025年10月に発表した米IT大手のGoogle社との25年間の電力購入契約(PPA)により実現した、アイオワ州デュアン・アーノルド原子力発電所(BWR、62.4万kWe)の運転再開に向けた作業も進めている
 

【デュアン・アーノルド原子力発電所(原子力産業新聞より引用)】
 
同PPAにより、Google社が25年間にわたり電力を固定価格で購入するため、ネクストエラ社は運転再開に必要な巨額投資を長期収益で回収できる見通しを得た。今回のGoogle社とのPPAは、政府補助に依存しない事例として注目を集めており、今後同社とは全米で原子力発電の展開についても検討することで合意しているとありました。
 
なお、デュアン・アーノルド発電所は、1975年に運転開始し、45年以上にわたり稼働したのち、経済性の悪化を理由に2020年に閉鎖された発電所。
 
2025年1月にNRCへの運転再開を申請しており、2029年第1四半期を目処に送電を開始したい考えとあります。
 
このように、法規制上、次世代革新炉とは何かさえ定まっていない日本に対し、既に実用領域に入っている米国。
 
予見性ある事業環境をどう整備するかと検討中の日本に対し、既に大手IT企業など民間が原子力発電所から直接電気を購入契約する時代に入っている米国。
 
遅れをとっているのが、もはや一歩や二歩でないことは察知いただけるかと思いますが、このことが先の「忸怩たる思い」が込み上げてくる理由であります。
 
こうして世界から大きく遅れる日本が急ピッチで追いつくためにまず必要なのは、政府の積極的かつ具体的な投資。
 
「知って行なわざれば 知らぬことと同じなり」
 
口だけで「原子力の最大限活用」と言っている場合ではないと、強く思う次第です。

「理想への挑戦」と並行して進めていただきたい「国家の根幹にあるエネルギー政策」

ブログ 原子力 政治

衆院選から一夜明けた昨日、高市首相(自民党総裁)は、党本部で記者会見し、政権運営への決意を表明しました。
 
ちょうどテレビで流れていたため、手を止めて見ると、今回の解散・総選挙は責任ある積極財政や安全保障政策の抜本的強化、政府のインテリジェンス(情報活動)機能強化といった重要な政策転換を自民と日本維新の会の連立政権で進めてよいのかどうかを国民に問う選挙でもあったと、まずあらためて、今回の解散総選挙の意味を説明。
 
その上で、「この大きな政策転換が国民に信任いただけなければ、私が首相でいる意味はない。『私の進退をかける』と繰り返してきた。(衆院選で大勝し)国民から政策転換を何としてもやり抜いていけと、力強い形で背中を押してもらった」との言葉は、民主主義国家における選挙結果の意味合いを指すものであり、反論の余地はないところ。
 
その上で、気になった点としては以下2点。
 
1点目は、「中低所得者を支援し、恒常的に手取りが増えるようにする観点から、給付付き税額控除制度導入に向けた議論を進める。導入までの間、2年間に限り飲食料品の消費税率ゼロとすることについて、国民会議で諸課題の検討を進める。」「国民会議をできるだけ早期に設置し、給付付き税額控除と合わせて議論し、結論を得たい。夏前には国民会議で中間取りまとめを行いたい」
 
2点目は、「国の理想の姿を物語るのは憲法だ。国の未来を見据えながら、憲法改正に向けた挑戦も進めていく」
 
1点目に関しては、物価高対策として選挙公約に「2年間の飲食料品の消費税ゼロ」を掲げた割には、「夏前に中間取りまとめ」ではスピード感がないことに加え、「検討を進める」との言葉に含みを持たせているのは「高市首相らしくない」と思え、党内の緊縮財政派に意識した発言となっているのではと推察されること。
 
また、2点目は、以前の安倍政権の時代から、憲法改正は自民党の悲願であるとし、確か岸田政権の時には「自分の代でやる」と言っていて、与党が過半数を占める時でさえ、遅々として進みませんでした。
 
国論を二分することが予想されるだけに、憲法改正論議を持ち出すのは「選挙に不利」と考えたのかどうかまでは分かりませんが、衆議院の憲法審査会において再三、国民民主党側から議論の加速を訴えるも、目に見える本気の対応がされてこなかったと認識するもの。
 
私としては、世界を見れば、70年間も憲法改正をしていない国の方が稀であり、「挑戦」というよりは、「時代や現実に沿った見直し」の観点から進めていっていただきたいと思う次第です。
 
さて、ついつい前置きが長くなりましたが、「国家の理想の姿を物語る」ことと並行して、高市政権に強く押し進めていただきたいのは「国家の根幹にあるエネルギー政策」。
 
高市首相は、自論として原子力の最大限活用はもとより、以前には核融合のことまで話されていた方であり、その点に関しては国民民主党の政策とほぼ同じ考えと認識するものであり、国家を支え、日本の今後の成長のために必要な「安定で低廉な電気の安定供給」を現実的な仕組みとして構築していっていただきたいと強く求めるもの。
 
そうした中、一丁目一番地である「既設原子力発電所の早期再稼働」に関し、首都圏の電気を賄う、東京電力の柏崎刈羽原子力発電所6号機(ABWR、135.6万kWe)が現在、「再再起動中」であります。
 

【再再起動を進める東京電力 柏崎刈羽原子力発電所】
 
「再再」と書いたのは、同6号機が1月21日、制御棒の引抜操作を開始し原子炉を起動したものの、制御棒の引抜操作時に操作監視系の警報が発生したため、同作業を中断。
 
東京電力では9日、警報設定の不具合などの原因を特定し、対策を終えたとして、原子炉の起動工程を明らかにした上で、同日再起動すると発表したため。
 
同6号機は9日午後2時に制御棒を引き抜き、原子炉を起動したと発表した後、午後3時過ぎには臨界を達成し、現在順調に起動工程を進めるところでありますが、柏崎刈羽とはじめ、日本国内にはまだ再稼働を果たしていない「眠ったままの財産」(原子力発電所)が複数基あります。
 
福井においては、日本原子力発電(株)敦賀発電所2号機(以下、敦賀2号)もそのひとつであり、地盤に関わる再調査を進めるところでありますが、ふと、一昨日の衆院選福井2区で当選された候補の「原子力発電所の新増設・リプレースに賛成か?」(福井新聞アンケート調査)の回答を見るに、「推進する」とした上で、結語にあったのは「一方で安全は絶対であり、断層や地震動のデータ操作などには厳しい姿勢で臨む」とありました。
 
敢えて「データ操作」のキーワードを用い、この分野(断層や地盤)だけを取り出して「厳しい姿勢で臨む」とした本意とは何か。
 
過去の経緯からして、敦賀2号のことを頭においていらっしゃるのでは?と、直感的に思った訳ですが、新たに「政治リスク」が生じることだけはないよう、ここは自民党のエネルギー・原子力政策、そして政権の考えに沿った対応を、高市首相にはお願いしたいと思います。
 
なお、新増設やリプレースを進めるにあたって必要不可欠な「次世代革新炉」の法規制上の整備や、取り組もうとする事業者の予見性を高めるための事業環境整備に関しては、スピード感をもって加速させることが日本の国力の維持向上につながることから、この点に関しては高市政権に大いに期待する次第です。

柏崎刈羽原子力発電所6号機が14年ぶりに起動!

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「大雪警報」発令中の敦賀市。
 
福井地方気象台の発表によれば、福井県全域で、22日夕方まで大雪に警戒とあり、今は静かに、シンシンと雪が降る状況にあります。
 
雪による交通障害などの心配もさることながら、ここまでの冷え込みも重なると気になるのが電力需給。
 
そこで、北陸電力送配電ホームページ(HP)の「北陸エリアでんき予報」を見てみると、今日の需要ピーク時で広域ブロック(※)の使用率は91%(9:00〜9:30)で「安定」した状況にあるものの、明日23日は94%で「やや厳しい」とありました。
 
(※)広域ブロック:原則、北陸エリアを含む全国9エリア(連系線状況によりエリア範囲が異なる)
 
なお、同HPによれば、現在の需給運用は、エリア単位での使用率管理ではなく、地域間連系線を最大限活用した広域ブロック単位での使用率管理を行う仕組みとなっており、状況によっては北陸エリア使用率実績が100%に近づく場合がありますが、広域ブロック使用率に余裕がある場合は、電力の安定供給において支障は生じないとしています。
 
つまりは、仮に北陸エリアの需給が厳しくなっても、余裕のある他のエリアから電力融通を受けることにより補うということであり、日本全体でカバーし合う体制、それを担う「電力マン」にあらためて敬意を表するところです。
 
さて、その話ともつながるのが、昨日書きました東京電力ホールディングス(以下、東電HD)の柏崎刈羽原子力発電所6号機(以下、柏崎刈羽6号)の再稼働。
 
東京電力は21日、柏崎刈羽6(ABWR、135万6千キロワット)の原子炉を起動しました。
 
起動は何と約14年ぶり。
 

【原子炉モードスイッチを起動に切り替える運転員(電気新聞より引用)】
 
福島第一原子力発電所事故から15年の節目を前に、信頼回復、安全確保に努めてきた東電HDの原子力事業が再始動することを心から嬉しく思うところです。
 
発電所に関しては、制御棒を午後7時2分から引き抜き、核分裂が開始すると午後8時28分に臨界に。
 
順調に進めば27日に系統に並列(送電開始)し、点検のための原子炉停止を挟んで2月26日に営業運転入りする予定となっています。
 
先に述べた、広域ブロック運用を考えると、例えば今日の北陸エリアの需要ピーク時使用電力が「530万キロワット」に対し、柏崎刈羽6号の「135万6千キロワット」もの供給力が追加される意味は非常に大きいことであり、いかに安定供給に貢献するかが分かります。
 
一方、柏崎刈羽6号の起動により、廃止措置を決めた24基を除く36基(建設中3基)のうち、再稼働した原子力発電所は計15基になったものの、国がエネルギー基本計画で示す、原子力発電の電源構成に占める割合を2040年度に「2割程度」とする目標に対し、2024年度は9.4%に留まっており、残る既設プラントの再稼働が待たれるところ。
 
現在、再度の再稼働申請に向けた追加調査を行っている、わが日本原子力発電の敦賀発電所2号機もそのうちのひとつ。
 
14年の歳月を経て再稼働を果たした柏崎刈羽6号の姿を見るに、一日も早く戦線復帰することが与えられた使命と役割であると、あらためて胸に置く次第です。

柏崎刈羽原子力発電所の皆様に心からのエールを送ります

ブログ 原子力

「政策転換を歓迎する」と受け止めるべきなのでしょうか。
 
綱領に「原発ゼロ社会を一日も早く実現する」と明記していた立憲民主党ですが、公明党と結成した新党「中道改革連合」は「原発ゼロ」に触れず、基本政策でも「安全性が確実に確認され、実効性のある避難計画があり、地元合意が得られた原発を再稼働」すると明記したとのこと。
 
(注)本来「原子力発電」と書くべきですが、ここは引用のため、そのまま「原発」と表記することをご容赦ください。
 
あらためて、昨夏の参院選で立憲民主党が掲げた公約を読むと、次のようにあります。
 
<2025参院選公約における立憲民主党のエネルギー政策(抜粋)>
 
◉50年までのできる限り早い時期に化石燃料にも原子力発電にも依存しないカーボンニュートラルを達成
◉原発の新増設は認めない。廃炉作業を国の管理下におく体制をつくる。実効性のある避難計画の策定、地元合意がないままの原発の再稼働は認めない
◉今後10年で省エネ・再エネに200兆円(公的資金50兆円)を投入する
 
同党の〝背骨〟とも言える政策を、公明と足並みをそろえるために条件付きで再稼働を容認した転換に、与野党から疑問視する声が上がっているところ、国民民主党の玉木雄一郎代表が述べた「背骨となる政策がこんなに簡単に変わるのか、という印象だ」との言葉に、私も思いをともにする次第です。
 
いずれにしても、AIなどの急速な発展に伴い電力需要が増加に転じた日本において、低廉な電気の安定供給のためには既設原子力発電所の早期再稼働は待ったなしであるとともに、この先、脱炭素電源である原子力発電所の、さらに安全性を高めた次世代革新炉によるリプレースや新増設まで進めることが「現実的」な政策であると考えるもの。
 
と同時に思うのは、「化石燃料(火力)」の扱いをどうされるのか。
 
転換したとはいえ、2050年までのできる限り早い時期に「省エネ・再エネだけで電力を賄う」としていた政策を、新党はトータル的にどのようなエネルギー政策にするのか注視する次第です。
 
さて、先に述べたよう、喫緊の課題は既設原子力発電所の早期再稼働にあるところ、東京電力は20日に予定していた柏崎刈羽原子力発電所6号機(以降、柏崎刈羽6号)の再稼働を見送ると発表しました。
 
17日に発生した制御棒の警報が作動しないトラブルで、動作確認が最長21日ごろまでかかる見込みとなったことが理由とあり、その後の状況を心配していましたが、2月26日を予定する営業運転の再開に大きな影響は出ないとの見方を示したとのことでやや安堵。
 

【自身も半年間お世話になった、再稼働間近の柏崎刈羽原子力発電所(原子力産業新聞より引用)】
 
なお、長い道のりを経て再稼働にたどり着こうとしている同発電所は、昨年12月24日に東京電力が柏崎刈羽6号機(ABWR、135.6万kWe)について、原子炉起動予定日を2026年1月20日、営業運転開始予定日を2026年2月26日とした使用前確認変更申請書を原子力規制委員会へ提出(あわせて、6号機の運転開始に伴い共用設備を使用する必要があるため、7号機も使用前確認変更申請を提出)。
 
その後12月22日に、新潟県議会が柏崎刈羽6・7号機の再稼働容認を表明した花角英世知事を信任する決議案を可決。
 
翌23日、花角知事が赤澤経済産業大臣に再稼働の地元同意を正式に伝達し、再稼働に向けた議論は最終段階に入るとともに、原子力規制委員会から試験使用の承認が得られたことを受け、ここに至っています。
 
また、原子炉起動から営業運転開始までの当初の主な工程は、まず、2026年1月20日を予定日として原子炉を起動。制御棒を引き抜き、原子炉内で核分裂反応を開始した後、原子炉の出力を徐々に上昇させる。
 
この過程で、原子炉冷却系や制御系などが設計どおり機能しているかを確認する。
 
次に、原子炉で発生した熱を用いてタービンを起動し、その後、発電機出力をおよそ50%まで段階的に引き上げる。この時点で一度中間停止を行い、主要機器の設備状態を詳細に点検する。
 
中間停止後は、再び原子炉を起動し、同様に出力を上昇させ、タービンを再起動したうえで発電機出力を高め、最終的に原子炉の定格熱出力を約100%まで到達させる。
 
定格出力に達した後は、総合負荷性能検査を実施。
 
これらの工程を経て、2026年2月26日に営業運転を開始する予定としており、現在遅れてはいるものの、2月26日の営業運転開始に向け、何をおいても安全最優先で、着実に工程を進める関係者の皆様に、心からのエールを送る次第です。

半世紀前の先人が築いた原子力エネルギーが再び必要とされる時代    

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仕事始めと月曜が重なった昨日は、今年最初の街頭演説からスタート。
 
普段に比べ、やや交通量の少ない朝でしたが、皆様方におかれては無理なく、徐々に調子を上げていっていただければと。
 
なお、今朝使用したのは、初当選時からの「活力と魅力あふれる敦賀の未来のために」と書かれたのぼり旗。
 
本年も、キャッチフレーズに込めた思いと初心忘るることなく活動にあたってまいります。
 
また、その後は11時から、プラザ萬象大ホールで開催された「新春市民交流会」に参加。
 
この「新春市民交流会」は、令和8年の幕開けにあたり、市民のどなたでも参加できる交流会(飲食はなし)であり、新年の顔合わせや名刺交換など互いにご挨拶する場。
 
会では、米澤光治敦賀市長、浅野好一市議会議長から年頭のご挨拶、しばし懇談の後、奥井隆敦賀商工会議所会頭のご発声による万歳三唱で本市の発展を祈念しつつ、本年の本格スタートを切った次第です。
 
ご挨拶で特に印象に残ったのは奥井会頭からの、(生成AI急拡大などに伴う電力需要増を踏まえ)「半世紀前の先人が築いた原子力エネルギーが再び必要とされる時代が来ている」、「電力事業者と地元事業者の連携を密にして、いま一度、エネルギー産業で世界に打って出られるような地域にしていきたい」(私の記憶と、一部福井新聞の記事を引用)との言葉。
 

【年頭のご挨拶をされる浅野議長】
 
とりわけ、敦賀発電所2号機(以下、敦賀2号)の長期停止は、市政や地元経済等に影響を与え続けていると深く認識するところである中での、こうした期待の言葉を嬉しく思うとともに、身の引き締まる思いがしたところであります。
 
敦賀においては、現在進められている敦賀2号の追加調査で「活断層ではない」ことを科学的に立証した上での、早期再申請、再稼働が期待されるとともに、敦賀発電所1号機、ふげん、もんじゅの安全で着実な廃止措置工事や原子力リサイクルビジネス、さらには、もんじゅ敷地内に設置予定の試験研究炉に敦賀3、4号増設計画など、いま、そして将来に向け、原子力関連だけでもこれだけの項目が並んでいます。
 
会頭が仰った言葉の背景には、日本の商業用原子力開発は敦賀から始まったという誇りと、国策である日本のエネルギー政策に貢献し続けてきたという自負からくるものと推察するところであり、そのお気持ちに敬意と感謝を表するとともに、原子力事業者はこのような思いと期待をしかと胸に留め、安全第一と地元のご理解を第一義に、歩みを進めていかねばと考える次第です。
 
さて、こうして思いを新たにした“仕事始め”でしたが、一方で同日、経済産業大臣から中部電力に対し、原子力規制委員会による原子炉等規制法に基づく浜岡原子力発電所3号機・4号機の新規制基準適合性確認審査において、浜岡原子力発電所の地震動の評価を不適切な方法で実施していた事案が確認されたとして、電気事業法第106条第3項の規定に基づく報告徴収を求めた(報告期限は2026年4月6日)とのニュースがありました。
 
中部電力ホームページのプレスリリースで詳報を見るに、原子力規制委員会による新規制基準適合性審査を受ける中において、昨年5月から原子力規制庁による基準地震動の策定に関する調査への対応を行ってきたところ、このたび、浜岡原子力発電所の地震動評価における代表波選定が、審査会合での当社による説明内容と異なる方法や意図的な方法で実施されていた疑いがあることが確認されたとのこと。
 
 →中部電力プレスリリース「浜岡原子力発電所の新規制基準適合性審査における基準地震動策定に係る不適切事案について」はこちら
 
中部電力は、「本事案は審査に重大な影響を及ぼすおそれがあるとともに、地域の皆さまをはじめとするステークホルダーの皆さまからの当社原子力事業に対する信頼を失墜させ、同事業の根幹を揺るがしかねない事案であると極めて深刻に受け止めている」とお詫びした上で、今後は独立した外部専門家のみで構成される委員会(第三者委員会)を設置することを取締役会で決議し、これによる調査を進めていくとありました。
 
同じ原子力産業に携わる者として、一報は極めて残念なことに違いなく、報告徴収を受けた中部電力の調査・対応に注視してまいる所存です。

小型モジュール炉「BWRX-300」に日本の技術あり

ブログ 原子力

人事院勧告や国の補正予算を踏まえた追加議案が提出されることを受け、敦賀市議会は昨日、議会運営委員会を開催し、今後の日程を協議。
 
十分な審査を行うため、休会日にあたる19日(金)に本会議ならびに各委員会を開催する日程とし、元々予定されている22日(月)の最終日に併せて、採決まで行うことに決定しました。
 
なお、追加議案は本日提出されることから、会派の皆さんとともに精査の上、審査・審議に臨む所存です。
 
さて、話は変わり、先日、卓球の張本智和選手(世界ランキング5位)が日本勢初となる(※)WTTファイナルズで優勝し、悲願の年間王者になったとありましたが、まさにこれは快挙。
 
※:WTT(ワールドテーブルテニス)は、国際卓球連盟(ITTF)が主催する卓球の国際大会の新シリーズ
 
準々決勝では世界ランク2位の中国選手、決勝では同4位のスウェーデン選手を撃破しての優勝であり、真の実力で王者の座をつかんだことを喜ぶ次第です。
 
こうして世界レベルの卓球界において、張本選手はじめ、「日本ここにあり」と存在感を示していることを誇りに思うところですが、その思いは原子力の分野でも。
 
原子力産業新聞によれば、米GEベルノバ日立ニュークリアエナジー(GVH)社は12月11日、同社製の小型モジュール炉(SMR)「BWRX-300」が、英国の包括的設計審査(GDA)のステップ2(実質的な技術評価段階)を完了したことを明らかにしたとありました。
 
既にご承知のとおり、BWRX-300への期待は世界中で高まっており、カナダのオンタリオ州営電力ダーリントン発電所では、BWRX-300初号機の建設が進められている(サイト内で計4基建設予定)ほか、米原子力規制委員会(NRC)は、テネシー州オークリッジにあるクリンチリバー発電所で米国初となるBWRX-300の建設許可申請を受理し、審査中。
 
また、米デューク・エナジー社は、ポーランドのシントス・グリーン・エナジー社とともに、BWRX-300の標準設計に共同出資するなど、世界の中でシェアと存在感を高めている状況にあります。
 
なお、BWRX-300は、電気出力30万kWの次世代沸騰水型炉(BWR)で2014年にNRCから設計認証を取得した第3世代+(プラス)炉「ESBWR(高経済性・単純化BWR)」をベースにしており、BWR開発の歴史の中で10番目に開発されたことから、ローマ数字で10番目を意味する「X」を用いて名付けられたとあります。
 

【日立GEベルノバニュークリアエナジー社のBWRX-300パンフレットより抜粋引用】
 
先の「日本ここにあり」の心境がなぜかといえば、この開発には、60年にわたって培った「日立製作所」の原子力技術が大いに生かされているから。
 
日立製作所といえば、私は敦賀発電所1号機のメンテナンスで大変お世話になり、人なつっこい「日立なまり」と職人気質の現場責任者の方々の顔が浮かぶところであります。
 
話を戻し、社名がややこしいので分かりにくいのですが、日立GEベルノバニュークリアエナジーは、日立製作所が1950年代に始めた原子力事業の50有余年の歴史の中で培った技術と経験を引継ぎ、さらにグローバルにビジネス展開することをめざし、2007年7月1日に、日立製作所とGEベルノバ社(旧ゼネラル・エレクトリック社)とが経営資源を融合して設立された原子力専門メーカー。
 
この経営資源の融合により、2007年6月4日に、米国にGEベルノバ日立ニュークリアエナジーが設立されています。
 
こうした関係により、海外では「GEベルノバ日立」と米企業が先になるわけですが、実は「日本の原子力技術ここにあり」。
 
なお、BWRX-300は60年にわたるBWRの技術と実績をもとに、信頼性の高いカーボンフリー電源の1つとして開発されたものであり、極めて高い安全性と迅速に展開できる即応性を備えています。
 
同社においては、今後、欧米諸国のプロジェクトに参画して経験を蓄積し、平行して国内市場開拓を進めていくとあります。
 
既に立ち遅れている日本の革新軽水炉開発でありますが、こうして世界で技術と経験を積む日本の原子力プラントメーカーの存在に敬意を表するとともに、日本国内でも早く、導入の機運が高まることを切に望む次第です。

研究開発や人材育成の基盤として不可欠な「試験研究炉」

ブログ 原子力

敦賀市議会12月定例会は、今日から一般質問。
 
先般お伝えしましたとおり、11日(木)までの3日間に17名が登壇いたします。
 
各議員の質問項目を以下に再掲いたしますので、議場傍聴あるいはご視聴(敦賀市議会インターネット中継、YouTube配信、嶺南ケーブルネットワーク放送)いただければ幸いに存じます。
 
 →「令和7年第4回敦賀市議会定例会 一般質問 発言通告一覧」はこちら
 
さて、昨日の続きのようになりますが、「もんじゅ」サイト(福井県敦賀市)を活用し、原子力分野の新たな研究開発や人材育成の中核的拠点となっていくことを目指して検討が進められている「試験研究炉」について。
 
中性子ビーム利用を主目的とした新たな試験研究炉として、計画の詳細設計段階以降における実施主体として日本原子力研究会開発機構(以下、JAEA)が選定され、JAEAと協働して原子炉設置を支援する主契約企業として三菱重工業と契約締結までを終えているところ。
 
研究用原子炉は、RI製造、燃料・材料照射等にも利用されるとともに、学術研究や産業利用に関わる幅広い研究、施設や装置の利活用を通じた人材育成等が行われることから、私自身、今後大きな期待を寄せていることは昨日述べたとおり。
 
なお、研究用原子炉で扱われる放射線の特性は、工業、医療、農業、先端的な科学技術、環境保全、核セキュリティ等の様々な分野で利用され、物質の構造解析や機能理解、新元素の探索、重粒子線やα線放出、RI等によるがん治療を始めとして、これまで国民の福祉や生活水準向上等に大きく貢献しているうえ、今後も利活用による発展が見込まれています。
 
一方、大きな懸念は、わが国におけるこうした研究施設等の基盤的施設・設備が減少の一途を辿っていること。
 
「令和6年度版原子力白書」によれば、研究炉や臨界実験装置は、最も多い時期には約20基が運転していましたが、令和6(2024)年3月末時点で運転中6基、停止中2基の計8基にまで減少
 
福島第一原子力発電所事故以降に全ての研究炉が運転を一旦停止し、新規制基準への対応が行われたものの、JAEAが管理・運用している原子炉安全性研究炉(NSRR)、JRR-3、HTTR、定常臨界実験装置(STACY)の4基については運転が再開され、「常陽」は令和8(2026)年度半ばの運転再開が計画されています。
 
また、京都大学研究用原子炉(KUR)、近畿大学原子炉(UTR-KINKI)の2基についても運転を再開しているものの、京都大学は令和4(2022)年にKURの運転を令和8(2026)年5月までに終了することを発表しています。
 
また、民間企業の研究炉である東芝エネルギーシステムズ株式会社東芝教育訓練用原子炉(TTR-1)及び東芝臨界実験装置(NCA)、ならびに株式会社日立製作所日立教育訓練用原子炉(HTR)では廃止措置が進められている状況にあります。
 

【我が国の研究・臨界実験装置の状況(「令和6年度版原子力白書」より引用)】
 
前述のとおり、研究炉や放射性物質を取り扱う研究施設等の基盤的施設・設備は、研究開発や人材育成の基盤となる不可欠なものですが、高経年化や新規制基準への適合性から、利用可能な基盤的施設・設備等は減少しており、「原子力白書」においても、その強化・充実が喫緊の課題としています。
 
そのため、国、JAEA及び大学は、長期的な見通しのもとに求められる機能を踏まえて選択と集中を進め、国として保持すべき研究機能を踏まえて基盤的施設・設備の構築・運営を図っていく必要があること、また、それらの基盤的施設・設備は、産学官の幅広い供用の促進や、そのための利用サービス体制の構築、共同研究等の充実により、効果的かつ効率的な成果の創出に貢献することが期待されるとあり、まさにこの「期待」がもんじゅサイトに建設する新試験研究炉にかかっていると言えます。
 
つまり、新試験研究炉は、「わが国」の持続的発展のために必要不可欠なものであることから、KURの運転終了なども念頭に、一日も早く、切れ目なく整備せねばならないものと考える次第です。
 
結びに、ノーベル化学賞に選ばれた京都大学の北川進特別教授は、授賞式前の会見でこう仰っていました。
 
「多くの人が言うように、基礎研究には長い時間がかかります。この基礎研究の支援援助には25年ほど見込む必要があります。」
 
本日述べた試験研究炉然り、日本が科学立国に返り咲くためには、基礎研究の重要性を国が理解し、国が積極的に援助・投資すること。
 
緊縮財政の名のもと、すぐに成果や効果が出ないと(誰かさんの「2番じゃダメなんですか」を思い出します)、このまま学術研究予算削減を続けていては、優秀な日本の研究者・技術の国外流出に歯止めがかかる訳がないことから、こうしたノーベル賞受賞者らの声に、国は真摯に耳を傾け、対応を講じていただきたいと切に願う次第です。
 
※投稿後、追加

【参考:大学の研究費を減らす日本(国民民主党本部資料より抜粋引用)】

高速増殖炉もんじゅ「ナトリウム漏えい事故」から30年

ブログ 原子力

平成7(1995)年12月8日。
 
今から30年前の今日は、試験運転中の高速増殖原型炉もんじゅで「ナトリウム漏えい事故」が発生した日。
 
これにより、原子炉を手動で緊急停止し、事故発生の翌日、12月9日以降の調査結果、原子炉格納容器内にある中間熱交換器から出ている2次系配管(出口配管)のナトリウム温度計が破損、漏えいしていたことが判明。
 
サイクル機構(当時)においては、破損温度計以外の温度計の調査、流力振動水試験等の模擬試験および解析による調査を行い、破損原因は、配管内を流れるナトリウムの流体力により、さや細管部に振動(流力振動)が発生し、さや段付部に高サイクル疲労が生じたため破損に至ったとされ、これは、メーカーの温度計さや管の設計に問題があったとの判断に至りました。
 
なお、漏えい事故では、発生から6時間後の9日午前2時5分に5人の職員が現場確認のため配管室に入り、ビデオ撮影したものの、それを隠していたことが大きな批判を浴び、連日テレビや新聞に取り上げられる社会問題に。
 
当時、日本原電に入社して5年目、同じ敦賀半島の敦賀発電所で勤務していた私にとってもこの事故はセンセーショナルであり、原電からもんじゅに出向に行かれていた方からのお話とも併せ、壮絶な現場対応であったことを思い返す次第です。
 
その後、もんじゅは運転再開のための本体工事を平成19(2007)年に完了し、平成22(2010)年5月6日に2年後の本格運転を目指して運転を再開したものの、同年8月には炉内中継装置落下事故が発生。
 
平成24(2012)年に再稼働する予定でしたが実現することなく、平成28(2016)年12月21日に組織的な問題を理由に、原子力関係閣僚会議において廃止が正式決定され、以降、廃止措置工事を続け、今に至る。
 
これが、もんじゅに関する一連の経過となります。
 
なお、廃止判断がされる前には、地元をはじめ、敦賀市議会からは「核燃料サイクル政策に係る国の責任ある対応を求める意見書」提出により、国においては、そうした立地地域の思いや意見を十分に踏まえた上で、核燃料サイクル政策の目的を果たせるよう、長期的な視野に立ち、取り組むことが肝要であるとの考えを伝えたことを書き置く次第です。
 
しかしながら、意見書の思いに国が応えることなく、結果、平成28(2016)年12月21日に原子力関係閣僚会議にて「もんじゅの廃止」が決定。
 
その際、今後の取扱いについてはこう書かれています。
 
「このような状況を勘案し、『もんじゅ』においてこれまでに培われてきた人材や様々な知見・技術等を、将来の高速炉研究開発において最大限有効に活かす観点からも、これまでの『もんじゅ』の位置付けを見直し、『もんじゅ』については様々な不確実性の伴う原子炉としての運転再開はせず、今後、廃止措置に移行するが、あわせて『もんじゅ』の持つ機能を出来る限り活用し、今後の高速炉研究開発における新たな役割を担うよう位置付けることとする。」
 
 →「もんじゅの取扱いに関する政府方針」(平成 28年12月21日 原子力関係閣僚会議)はこちら
 
加えて、同日、同じく閣僚会議発出の『高速炉開発の方針』では、「高速炉開発は、長期にわたるプロジェクトであり、将来を見据えた一貫性のある継続した取組が欠かせない。国内のすべての関係者が、本方針を踏まえ、それぞれの責任を自覚して役割を果たしつつ、 相互の連携を強化することによって、着実に高速炉開発を進めていくことの重要性を改めて強調したい。」とありました。
 
 →「高速炉開発方針」(平成28年12月21日 原子力関係閣僚会議)はこちら
 
以降、(高速炉)『戦略ロードマップ』(平成30年12月21日 原子力関係閣僚会議)では、「7.地元自治体との協働」として次の記載。
 
「今般の政策の見直しによって、今後『もんじゅ』の廃止措置に取り組むとともに、『もんじゅ』を含む周辺地域において高速炉研究開発を実施していくが、説明会を開催するなどこれらの経緯・取組について政府として丁寧に説明し、地元の理解を得られるよう最大限取り組んでいく。また、地域雇用・経済の観点を含め、地元がともに発展するよう、政府として最大限に応えていく必要がある。このため、今般の「もんじゅ」に係る政策変更に伴い、地元に大きな影響が生じないよう、また地元が共に発展していけるよう、必要な地域振興策等に政府として取り組むこととする。」。
 
そして直近では、『第7次エネルギー政策』(令和7年2月)の「Ⅵ.カーボンニュートラル実現に向けたイノベーション」の(2)原子力の項に「高速増殖原型炉もんじゅについては、安全の確保を最優先に、着実かつ計画的な廃止措置に責任を持って取組を進めるとともに、国は地元の協力を得ながら、福井県敦賀エリアを原子力・エネルギーの中核的研究開発拠点として整備していく。」と明記されています。
 
こうした30年間、一連の過程を経て今がある訳ですが、中核的研究開発拠点の中心的役割を担う、もんじゅ敷地内に建設予定の「試験研究炉」は、昨年“推定活断層”なるものの指摘により先は見えず、停滞感が否めない状況にあります。
 
30年前の事故、社会問題となった教訓は決して忘れてはいけないことであることはもちろんとして、廃止決定の際、国が地元と約束したことも同じく忘れてはならないことであり、さまざま約束したことについて、一日も早く実現に向けた道筋、見通しが得られるよう、国が責任と役割を果たしていくことは言うまでもないこと。
 
もんじゅで目指した「夢の原子炉」によって、わが国の原子燃料サイクルの一翼を担うはずだったのが敦賀であり、今後もその役割を引き継ぐとともに、この後建設される試験研究炉には、国内外の研究者が集い、ここで学んだ技術者たちが世界で活躍する。
 
また、ここで研究された製品が世界に貢献し、人々を救う。
 
私自身は、もんじゅを巡るこれまでの歴史を胸に刻みつつ、この先敦賀がそうした拠点となるものと、ポジティブに捉え取り組む所存です。
 

【日本海の荒波と高速増殖炉もんじゅ(2022年12月 やまたけ撮影)】

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