志賀原子力発電所に関する北陸電力の発信は「最新情報」へのアップデートだ

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約12,700戸。
 
これは、今朝5時現在における能登地区の停電戸数ですが、北陸電力送配電ではこれまで、医療機関、福祉施設、各地域の避難所など、重要施設を優先して停電復旧を進めてきています。
 

【北陸電力送配電のXポストより引用】
 
写真をご覧いただく通り、傾斜約1,150本、折損約310本(1月10日までの判明分)の電柱に代え、新たに電柱を建てていく途方もない作業であることが分かりますが、避難所(100名以上)については、電源車等のアクセスが困難な9箇所を除き、すべて送電を完了したとのこと。
 
応援に入っていただいている他の電力会社、関係会社の皆様のご尽力に改めて敬意を表する次第です。
 
一方、能登半島地震で被災した北陸電力志賀原子力発電所を巡っては、経済産業省が10日までに、発表の訂正が相次いだことを受け、同社に対し正確な情報発信を行うよう指示したとのこと。
 
確かに、北陸電力においては5日、志賀原子力発電所2号機の変圧器から漏れた絶縁油の量について、当初発表した約3500リットルを約1万9800リットルに訂正したほか、発電所敷地内にある取水槽の水位の数値なども訂正しており、これにSNSや一部の新聞では、「信用ならん」、「被害を小さく見せようとしているのでは」などといった流布がされている訳ですが、まったく履き違えた捉え方であり、事実無根と考えるところ。
 
国民民主党においては、先の能登半島地震を巡る与野党党首協議の中で、「偽情報の拡散抑制と事実に基づいた発信の強化」とし、「特に原子力発電所関連情報については、北陸電力だけに頼るのではなく、政府や規制委員会からも正確かつ最新の情報を積極的に発信していただきたい」と求めていますが、その玉木代表は11日、この経産省指示に対し、以下のXポストをしています。
 
(以下、ポスト全文を引用)
確かに正確な情報発信は重要です。ただ、この経産省の指示は、危機管理の観点からは必ずしも正しくありません。危機時に情報の正確性を過度に求めてしまうと情報の伝達スピードが格段に落ちるからです。
 
「悪い情報ほど早く伝える」は危機管理の基本です。それに、北陸電力の「訂正」は、時間が経ってより正確な情報が得られたときに、追加情報として情報を付加しているものが多いのが実情です。プレスリリースの添付資料を見ると分かりますが、情報の新旧対照表も載せています。むしろ、それを理解せずに危機を煽るような一部報道が行われていることが問題ではないでしょうか。
 
経済産業省におかれては、北陸電力をはじめ現場からの情報発信や報告が萎縮することのないよう十分に注意していただきたいと思います。
(引用終わり)
 
発言すべてを太字にしたいくらい、私の言いたいことと同じな訳ですが、現に北陸電力においては、アップデートした最新情報を透明性をもって公開し、丁寧な説明・解説を続けています。
 
※玉木ポストでも出てきた「比較表」は以下となりますので、ぜひご覧ください。
 
 →北陸電力HPの志賀原子力発電所関係プレスリリース(1月9日)はこちら
 

【上記プレスに掲載されている発電所の現況。一目で確認でき分かりやすい。】
 
なお、原子力規制委員会は10日の定例会合で、能登半島地震による北陸電力志賀原子力発電所などの被害状況や対応について、各発電所の使用済み核燃料プールの冷却や、放射性物質を閉じ込める機能に問題はないとしています。
 
原子力発電所に関しては、この地震を利用して危険なものだと印象操作し、不安を煽る報道がされている感が否めないところ(昨日の福井新聞でさえ、センセーショナルな印象を受けました)ですが、経産省においては、これら報道や世論に萎縮して、さも自分たちに責任がないかの如く、電力会社に指示して終わらせるのではなく、また「北陸電力だけに頼る」ことのなきよう、科学的根拠のもと積極的な発信に努めていたくようお願いする次第です。

経済同友会が意見書「活・原子力」を発表

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以前のブログで「第2のマイプラント」と表現した東京電力(以下、東電)柏崎刈羽原子力発電所。
 
同発電所はテロ対策の不備により、事実上の運転禁止命令を出されている状態ですが、原子力規制委員会は昨日、27日にも命令を解除する方針を決めました。
 
東電の改善状況や今後の取り組みを確認した上で、「テロ対策に一定の改善がみられる」と判断したほか、経済性よりも安全性を優先する同社の基本姿勢に「問題はない」と評価されたことを、私も安堵したところです。
 

【東京電力柏崎刈羽原子力発電所の全景(原子力規制委員会HPより)】
 
命令が解除されれば、同発電所は2年8ヶ月ぶりに再稼働に向けて動き出すこととなります。
 
私がお世話になった柏崎刈羽原子力発電所6/7号機は、電気出力135万6千キロワットを誇る当時最新鋭の改良型沸騰水型軽水炉(ABWR)。
 
今後も多くのハードルはあろうかと思いますが、それを乗り越え、戦線復帰を果たされますこと敦賀の地から応援しています。
 
さて、原子力発電に関しては、先般開催されたCOP28において、日本をはじめとする米英仏加など22か国が、世界の原子力発電設備容量を「3倍に増加させる」という宣言文書に署名したところですが、改めて、環境や経済性、エネルギー安全保障の面から重要な役割を担うことが期待されているところ。
 
そうしたなか、国内では経済同友会が20日、脱炭素社会の実現や将来の電力需要増への対応に向けて、安全性の認められた原子力の長期的な活用を訴える新たな意見書「活・原子力」を発表しました。
 
従来も既存原子力発電所の着実な再稼働や次世代革新炉の開発は訴えていましたが、題名が「反・原発」や「脱・原発」を連想させ、「真意について誤解を招く表現でもあった」ことから、今回は高レベル放射性廃棄物の最終処分や人材育成、規制の問題なども含めて総合的に考える必要があるとして題名の文言に「原子力」を使用したとのこと。
 
私はこれまでも、「原子力発電所」を「原発」と略すこと自体に※違和感があることから、自身が発する際は必ず「原子力」あるいは「原子力発電所」と使っていますが、今回、広い意味での言葉としても「原子力」と表現されたことを評価する次第です。
 
※火力発電所は「火力」、水力発電所も太陽光発電も「水力」に「太陽光」なのに、なぜ原子力発電だけ「原発」なのか?何かの言葉をイメージするよう、意図して略しているのに、今ではそれが蔓延してしまっているのが悔しくて仕方ありません。なので、自分だけでも「正しく」表現し続けます。
 
意見書では、
「Ⅰ.『縮・原発』から『活・原子力』へ」とし、2050年カーボンニュートラル実現やエネルギー安全保障の重要性が高まるなど、当時(2011年)と社会情勢が大きく変化したことから、今回『縮・原発』の表現を見直し、新たな考え方『活・原子力』を示す
 
「Ⅱ.カーボンニュートラル実現や将来のエネルギー需要を考えると、安全性の認められた原子力の活用が不可欠と考える」では、一次エネルギーを可能な限り非化石化するため、次の有力な選択肢が手に入るまで、世界最高水準の安全性を担保したうえで、原子力を活用すべきである。将来必要となり得るエネルギー需要を考えると、既に一定の理解が得られた既存炉の再稼働だけでなく、リプレース・新増設の実装への動きを今から開始することが求められる。
 
既存炉の再稼働については、短期的には審査合格後の国民へのファクトベースの説明、短中期的には立地地域と消費地の相互理解の促進、中期的には原子力規制委員会のあり方の見直しを行うべきである。また中長期的なリプレース・新増設については、安全性の高い革新炉の導入を前提として、既成概念にとらわれずに新たな規制の整備や立地の選定を行うことが望ましい。
 
また、「Ⅲ.多様な意見を聴きながら、エネルギー問題を開かれた形で熟議していく」では、エネルギー問題は国の未来に関わる重要テーマであり、グローバル社会での日本の理想像を目指すという目的の達成のため、長期の将来に向けた社会全体での建設的な熟議が必要である。事故の教訓も踏まえながら、「原子力を語れない空気」を払拭し、あらゆる選択肢をフラットかつ科学的に検討することが望ましい。
 
などとしています。
 
国がGX実行会議の基本方針で示した「原子力の活用」と重複するものの、意見書として考えを明確に示されたことは大変心強いものであり、今後は「活・原子力」が合言葉になればとも思う次第です。
 
なお、今後注視すべきは国の「エネルギー基本計画」見直し。
 
「可能な限り低減」するなかで「最大限活用する」という、極めて分かりにくい表現となっている原子力発電の位置付けをどうするのか。
 
時代は刻一刻と変化し、世界のエネルギー事情が混沌とする中において、次こそ明確に、国の根幹となる「基本計画」で示されることを期待いたします。

三菱重工業が「試験研究炉」の主契約者に選定

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昨日の敦賀市議会は、補正予算審査のための予算決算常任委員会を開催。
 
10時からの全体会では、事前通告のあった28件について基本質疑を行った後、総務民生、産経建設、文教厚生に分かれての分科会にて詳細審査しました。
 
私は、基本質疑で、ふるさと納税事業費、新幹線敦賀開業まちづくり推進会議負担金、配水管漏水修理費の3件について質疑。
 
このうち、ふるさと納税事業費(返礼品事業)に関しては、当初予算の寄附額を上方修正し、昨年同規模の90億円を見込むものの、10月からの「ふるさと納税制度改正」(募集適正基準の改正など)の影響は、既に兆候として表れてきているとのことでした。
 
また、債務負担行為として1,800万円を計上した新幹線敦賀開業まちづくり推進会議負担金については、開業後の持続的な賑わいづくりに向け、同会議のイベント部会にて検討した、来年9月を目途に開催を見込む「音楽フェス」に関する費用であり、プロモーションとの調整などについて今年度から準備を始めたいとありました。
 
これらを含む補正予算案については、12月14日に開催予定の予算決算常任委員会にて、分科会長報告から採決まで行うことになります。
 
さて、議会のトピックスは以上とし、昨日の関心事は、高速増殖原型炉「もんじゅ」の敷地内に設置検討を進める「試験研究炉」に関し、設計、製作および据付を実施する主契約企業に三菱重工業が選定されたとのニュース。
 
このほど、実施主体である日本原子力研究開発機構(以下、JAEA)との間で基本契約を締結し、今後はJAEAの下で新試験研究炉の整備に係る事業を一括して取りまとめ、建設を推進していくとのこと。
 
三菱重工業はこれまで、国内全24基の加圧水型軽水炉(PWR)の建設や新規制対応をはじめとする多くの原子力プラント工事を完遂するほか、先行の試験研究炉である高温工学試験研究炉(HTTR)においても幹事会社として主導的役割を果たし、発電炉から試験研究炉まで幅広い知見と実績を有しています。
 

【新試験研究炉の施設イメージ(JAEAホームページより)】
 
また、同社は「もんじゅ」の廃止措置工事を取りまとめており、新試験研究炉整備においても「もんじゅ」廃止措置工事との工程やエリアなどを調整しながら円滑に建設を推進することが可能であり、今回の選定では、これらの実績や知見、円滑な建設工事の遂行などの観点について高い評価を受けたとありました。
 
今後は、同社がこれまで培ってきた技術力を生かし、着実に新試験研究炉の開発に取り組んでいただきたいと思います。
 
なお、JAEA、京都大学、福井大学の3者連携のもと、コンソーシアム形式にて本計画を進めるところですが、文部科学省が「西の原子力研究拠点」と位置付けるのが、新試験研究炉を有することになる敦賀。
 
将来的には、多くの若い学生や国内外の研究者が集い、学び、磨いた技術や成果をもって、ここ敦賀から世界に発信されるような、そんな環境が構築されることを切に期待する次第です。

杉本知事が関電の使用済み燃料搬出計画を容認

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再生可能エネルギー由来でCO2を排出しない水素は「グリーン水素」、原子力発電由来は「ピンク水素」や「イエロー水素」などと呼ばれますが、敦賀市では以前より、自立型水素ステーションでの「再エネ由来水素」製造を行うほか、関西電力(以下、関電)と共同で「原子力由来水素」にも取り組んでいるところ。
 
先日は、後者に関し、実際に製造した「原子力水素」をカードル(容器)に充填のうえ、原子力発電所の発電機冷却などへ利用する実証を開始すると発表。
 
「全国初」の取り組みで、実証は2024年3月まで実施するとのことでしたが、「調和型水素社会形成計画」を掲げる本市として、こうした実証を通じて、水素サプライチェーン(供給網)構築実現の検討に資することを期待する次第です。
 
さて、原子力並びに関電に関しては、関電が保有する原子力発電所から出る使用済み燃料を一時保管する中間貯蔵施設の県外搬出を巡る議論が、今週に入り急加速。
 
10日には、資源エネルギー庁と関電の幹部が県庁を訪れ、副知事並びに県議会に対し、青森県六ケ所村の再処理工場への令和17年度までの使用済み燃料の搬出計画、フランスへ燃料200トンを搬出する時期、中間貯蔵施設の確保を掲げたロードマップを提示したほか、発電所敷地内での乾式貯蔵設置についても考えを明らかにしました。
 
これに、県議会の最大会派などからは一定程度理解する意見が挙げられたことに加え、杉本達治 福井県知事からは「原子力発電所を安定的に稼働させるうえで、必要な量を搬出する考えが示された」との考えが示されていたところ。
 
そして、昨日13日、杉本知事が敦賀市内で西村康稔 経済産業大臣、関電の森望社長と個別に会談。
 
森社長は「私自身が先頭に立って、必要な搬出量を確保する」などと伝え、続いて面談した西村大臣が「使用済み燃料対策に政府一丸となり、政府の責任で取り組んでいく」と話したことに対して杉本知事からは、(関電の)計画を受け入れ、「来年以降の3基稼働に理解を示させていただきたい」と表明しました。
 

【西村経産大臣(右)に受け入れ方針を伝える杉本知事(手前左)<福井新聞WEBより引用>】
 
これにより、関電が使用済み燃料を一時保管する中間貯蔵の県外立地を年内に確定できなければ、運転開始から40年超の県内の原子力発電所3基(美浜3、高浜1、2号機)を停止するとの約束、停止は事実上回避されることとなりました。
 
これまで難航していた課題が、この4日間で一気に決着がついたことに違和感を覚える方もいらっしゃるかと思いますが、これがまさに「政治判断」ということなのでしょう。
 
杉本知事が国と関電の説明を受け入れる姿勢を強めた背景には、立地地域の経済を原子力発電が支えているだけでなく、歴史的に国のエネルギー政策を担う福井県として、国や関電との信頼関係を維持するとの思いがあったことと推察するところですが、この課題が早期に解決することを願っていた私としては、この結果を大いに歓迎、安堵した次第です。

2回目の処理水「海洋放出」と「ホタテ祭り」

ブログ 原子力 社会

昨日の敦賀市議会は、予算決算常任委員会(全体会)を開催し、補正予算案並びに決算認定の件について、分科会での審査報告から委員会採決までを行いました。
 
9月8日から始まった9月定例会も残すところ来週11日の本会議のみとなり、同日、会派として3件の「討論通告」。
 
最終日は、会派所属議員3人それぞれ討論にて、論点を明確に示したうえで採決に臨む所存です。
 
また、予算決算常任委員会終了後は、議会改革のひとつとして、議会運営委員会のワーキングにて検討を進めている「タブレット導入」に向けた調査。
 
「タブレット導入」に関しては、他市町の議会を見ても既に遅れている感は否めませんが、導入は「目的ではなく手段」との考えのもと、他のワーキングメンバーの皆さんとともに前に進めていきたいと思います。
 
さて、話しは変わり、福島第一原子力発電所ALPS処理水の海洋放出について、昨日2回目の放出が行われました。
 
東京電力は3日に、同処理水の2回目となる海洋放出に向けた準備作業を始め、海水で薄めた少量の処理水を大型水槽に入れて放射性物質トリチウムの濃度を測定のうえ、想定通りの濃度であることを確認した後、放出。
 
2回目の海洋放出に関しては、ネットニュース上でも検索しないと出てこないほど、取り扱いが小さく感じられますが、1回目にあれほど大騒ぎしたのは何だったのかと呆れるところ。
 
メディアにとって、「安全」であることはニュースソースにならないのか、いや、国益に叶うよう逆に、「安全」であることこそもっと発信するのがメディアの役割ではないかと、日本の報道(すべてではありませんが)のあり方を考える次第です。
 
そのうえで、この海洋放出にあたって、最も懸念されたのが「風評」でありますが、実際、日本の国産水産物は「風評」というより「言い掛かり」に近い、中国政府による輸入停止措置の影響により大きな打撃を受けているのが実態。
 
そうしたなか、現在特に、国産ホタテが行き場を失っており、漁業関係者を中心に損害が発生している状況を踏まえ、東京電力ホールディングス(以下、東京電力HD)では、安心・安全な北海道・三陸常磐エリアの水産物をPRし、国内での消費拡大を推進すべく、JR御徒町駅前・おかちまちパンダ広場(東京・台東区)で、「緊急プロジェクト!ホタテ祭り in おかちまちパンダ広場」を10月5日まで開催しました。
 

【ホタテ祭りのチラシ。終了後の掲載となったことを反省。】
 
X(旧Twitter)のポスト(投稿)を見ると、この「ホタテ祭り」会場は連日超満員で、ほとんどフェス状態。
 
フェス開始から2時間ほどで多くの物が完売し、ホタテだけではなく、福島の「常磐もの」も大人気で供給が追いついていないと、大盛況の様子が複数レポートされていました。
 
こうして、都内でも多くの皆さんが、「風評」を払拭し、「食べて」応援しようと来場されていることを大変嬉しく感じた次第です。
 
東京電力HDのホームページを拝見すると、「当社は、事故の当事者として、風評払拭に向けた取り組みを継続的に実施しており、多くの消費者の皆さまに福島県産品の美味しさや魅力をお伝えしてまいりました。このたびのALPS処理水海洋放出に伴い、より一層の風評払拭に向けて、本年は、首都圏や福島県内に加えて、北海道や九州、沖縄県においても福島県産品をはじめ国内水産品の美味しさや魅力をお伝えするため、2023年10月13日(金)~12月17日(日)の期間で「発見!ふくしま」キャンペーン2023 ~食べて応援 ニッポンの幸~ を実施いたします。」と掲載されていました。
 
以前にこのブログでも書きましたが、中国や国内からの言われなき風評に屈しないためにも、鍵を握るのは、日本の水産物の「国内消費」を高めること。
 
キャンペーンならずとも普段から、買うなら「国内水産品」をスローガンに、私自身も微力ながら、国内水産業者の皆さんを応援していきたいと思います。
 

【Xにポストされていた、ホタテ祭りの「ホタテ」。写真からも磯と醤油の香りが漂ってきます🎵】

IAEA総会にて日本の正当性を主張

ブログ 原子力 政治

終盤戦に入った敦賀市議会9月定例会ですが、本日、週明け月曜日と予算決算常任委員会を開催し、令和4年度の決算審査を行います。
 
本日10時からの全体会に向けては、27日に基本質疑の事前通告を終え、結果、81件の質問が挙げられています。
 
私も6件の質問を予定しておりますが、他の議員の質疑もしっかりと拝聴し、議会全体として、次に続く分科会での深掘り審査につなげねばと思う次第です。
 
さて、昨日は原子力発電所から出る高レベル放射性廃棄物の最終処分について、長崎県対馬市長が文献調査に応募しない旨、表明したことを記載しましたが、市長の判断のひとつにあったのが「風評への懸念」。
 
これまで何度も述べてきました「科学が風評に負けてはならない」と照らせば、本当に残念としか言いようがありませんが、一方、毅然とした態度で反論を続けているのが日本政府。
 
福島第一原子力発電所のALPS処理水海洋放出に関し、とりわけ国際世論を巻き込んで、科学的に問題ないことを広めるべく取組みが続けられています。
 
その一例が、既に新聞記事にもなっている国際原子力機関(IAEA)の第67回通常総会における高市早苗内閣府特命担当大臣の発言。
※以下、主に「原子力産業新聞」の記事を引用
 
9月25日から29日までの日程でオーストリアのウィーン本部で開催されているIAEA総会においてはまず、開会の冒頭でR.M.グロッシー事務局長が演説し、8月から福島第一原子力発電所のALPS処理水の海洋放出が始まり、IAEAが独自に客観的かつ透明性のある方法でモニタリングと試料の採取、状況評価等を行っていると説明したうえで、この先何10年にもわたり、IAEAはこれらを継続していく覚悟であるとの考えが示されました。
 
これに続く各国代表からの一般討論演説では、日本から参加した高市大臣が登壇。
 
核不拡散体制の維持・強化や原子力の平和利用、ALPS処理水の海洋放出をめぐる日本の取組み等を説明し、とりわけALPS処理水の海洋放出に関しては、処理水の安全性に関してIAEAの2年にわたるレビュー結果が今年7月に示されたことに言及。
 
処理水の海洋放出に関する日本の取組みは関連する国際安全基準に合致していること、人および環境に対し無視できるほどの放射線影響となることが結論として示された点を強調しました。
 

【IAEA総会で発言する高市大臣(日本原子力産業協会のX(旧Twitter)より引用)】
 
高市大臣はまた、日本は安全性に万全を期した上で処理水の放出を開始しており、そのモニタリング結果をIAEAが透明性高く迅速に確認・公表していると説明。
 
放出開始から一か月が経過して、計画通りの放出が安全に行われていることを確認しており、日本は国内外に対して科学的かつ透明性の高い説明を続け、人や環境に悪影響を及ぼすことが無いよう、IAEAの継続的な関与の下で「最後の一滴」の海洋放出が終わるまで安全性を確保し続けるとの決意を表明しました。 
 
同大臣はさらに、日本の演説の前に中国から科学的根拠に基づかない発言があったと強く非難。
 
この発言に対し、「IAEAに加盟しながら、事実に基づかない発言や突出した輸入規制を取っているのは中国のみだ」と反論しており、「日本としては引き続き、科学的根拠に基づく行動や正確な情報発信を中国に求めていく」と訴えました
 
国際会議の中で「中国のみだ」と主張したことは、かなりのインパクトがあったと思いますが、中国を孤立化させることで、日本の正当性を明らかにできたのではと、高市大臣の態度と発言を大いに評価するところです。
 
なお、4年ぶりに行われたオープニングセレモニーでは、日本原子力産業協会の新井理事長による乾杯が行われ、福島県浜通り地方の日本酒が来訪者に振舞われるなどしたとのこと。
 
日本政府の固い決意と合わせ、旨い福島のお酒の味が、各国の皆さんの印象に残ったのであれば、なお幸いに思った次第です。
 

【2回目の海洋放出を前にIAEAが公表したコメント。今回の総会を通じ、世界の共通認識になったものと思います。】

永久閉鎖した「パリセード原子力発電所(米)」の再稼働を決定

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19日からの一般質問を前に休会中の敦賀市議会ですが、昨日午前中は広報広聴委員会を開催。
 
11月に開催する「議会報告会」の意見交換テーマやその後予定している「出前報告会」について協議しました。
 
1期目の4年間も属した本委員会は、フランクに建設的な意見を言い合える場。
 
この日も自由闊達な議論がされましたが、大事な広報広聴活動であり、前例踏襲ではなく、市民にとってより身近な議会となれるよう、委員の皆さんと知恵を絞り、改善を重ねていきたいと思います。
 
さて、ここ福井県嶺南地方にある関西電力の原子力発電所ですが、昨日は高浜発電所2号機が原子炉起動。
 
これで、関西電力が保有する廃止措置プラント以外の全7基が再稼働を果たしたことになりますが、この間のすべての関係者の皆様のご努力に心より敬意を表する次第です。
 
国内ではこれで12基目の原子力発電所再稼働ということになり、我が国の低廉な電力安定供給はもとより、地球温暖化対策に貢献するため、今後も順次、粛々と運転プラントを増やしていくことが必要と考えるところです。
 
さて、こうした国内の状況と照らし、一歩も二歩も先を行くのが米国。
 
原子力産業新聞では、米国のホルテック・インターナショナル社が9月12日、ミシガン州で2022年に永久閉鎖となったパリセード原子力発電所(PWR、85.7万kW)を再稼働させるため、子会社を通じて、同原子力発電所が発電する電力を州内のウルバリン電力協同組合に長期にわたり販売する契約を締結したとの記事がありました。
 
「永久閉鎖」した原子力発電所を再稼働させること自体、今の日本では考えられないことですが、ホルテック社は今年2月、同発電所の再稼働に必要な融資依頼を米エネルギー省(DOE)に申請。
 
米原子力規制委員会(NRC)のスタッフとは、すでに複数回の公開協議を通じて、同発電所の運転再認可に向けた規制手続について議論を重ねており、「パリセード発電所は閉鎖後に再稼働を果たす米国初の原子力発電所になる」と強調。
 
再稼働を必ず実現させて、ミシガン州の各地に無炭素エネルギーによる未来をもたらしたいと述べたほか、長期停止中の原子力発電所を数多く抱える日本や脱原子力を完了したドイツでも、同様の流れになることを期待すると記載されていました。
 

【閉鎖後の再稼働を決めたパリセード原子力発電所】
 
なお、ホルテック社で原子力発電と廃止措置を担当するK.トライス社長は、「パリセード発電所を再稼働させることで、ミシガン州は今後のエネルギー需要を満たしつつ地球温暖化の影響を緩和できるほか、高収入の雇用を数百名分確保し地方自治体の税収を拡大、州経済の成長にも貢献できる」と指摘しています。
 
日本で同じことを言ったら、「金のために閉鎖した危険な発電所を動かすのか!」と即座に反応するであろう姿が目に浮かびますが、さすが「超」がつくほどの「現実主義」の米国。
 
国も自治体も、そして規制側も、環境負荷や経済性を踏まえ判断していることが分かります。
 
この点に関しては、「文化の違い」で片付けてはいけませんので、エネルギーは国力の源とすればまず、いま持っているポテンシャル(停止している原子力発電所)をフルに発揮すること、さらには次世代革新炉の開発、実装を急ぐことに他ならないと考えます。
 
皆様方におかれましては、世界の「現実」を睨みながら、「理想論」では決して国益を利することはできないことを、ご理解いただければ幸いです。

敦賀発電所2号機「審査再開」

ブログ 原子力

先日は、敦賀まつりの「民謡の夕べ」に参加したことを紹介しましたが、昨晩はそのメンバーによる打ち上げ。
 
ひばりケ丘町会館にて、小学生から中堅、お年寄りの方まで、まさに老若男女が集合し、ささやかながらオードブルと缶ビールにて懇談。
 
何と最後には「踊って締めよう」とのことで、会館内で輪になり、民謡2曲を踊って楽しいひと時を終えました。
 
帰り際には、来年も参加する意気込みはもちろんのこと、より多くの方に参加してもらおうと盛り上がり、解散。
 
まつりの効果は、地域コミュニティとともに「来年も楽しもう」と、1年先に目標ができることにもあるのかなとも感じた次第です。
 
さて、同じく以前にご紹介した、敦賀発電所2号機(以下、敦賀2号)の原子炉設置変更許可申請の補正に係る審査の件について。
 
8月31日には、敦賀2号の原子炉設置変更許可申請について、敷地内のD-1トレンチ内に認められるK断層の活動性及び原子炉建屋直下を通過する破砕帯との連続性に関係する部分の補正書を原子力規制委員会に提出しましたが、昨日は、原子力規制委員会の定例会合において、敦賀2号の新規制基準への適合性確認審査の今後の対応方針が示され、補正内容に係る審査の再開が了承されました。
 
規制委員会(YouTube)の全てを視聴できていないため、詳細な議論までは記載できませんが、ひとまず「審査再開」の了承が得られたことに安堵したところです。
 

【昨日開催された原子力規制委員会の様子(YouTubeより)】
 
日本原電は、ホームページに掲載したコメントにて、「今後、原子力規制委員会の対応方針に沿って、補正書に反映した最新知見・技術を活用した新たな評価方法を含め、品質を確保した資料にて丁寧にご説明してまいります。」、「当社は、引き続き、原子力規制委員会の審査に真摯かつ迅速に対応するとともに、敦賀発電所2号機の安全性、信頼性の向上と地域の皆様への積極的な情報提供に努めてまいります。」と述べており、今後は審査の中で、客観性と透明性をもって、科学的な議論がされることを切に望む次第です。
 
実質的な「審査再開」を意味する、次の審査会合がいつになるかは今後調整とのことですが、地元の皆様に期待いただいている「再稼働」に一歩づつ近づくため、万難を排して進むのみであります。

高レベル放射性廃棄物の最終処分に関する「対話型全国説明会」in敦賀

ブログ 原子力

「秋の訪れ」を告げたはずの敦賀まつりでしたが、昨日は夏に逆戻りしたかの暑さ。
 
と思えば今日は雨予報ということで、夏の疲れもあってか体調管理が難しいところですが、栄養と睡眠をしっかり採って、季節の変わり目を乗り越えましょう。
 
さて、敦賀まつりの話題が続いたこのブログですが、本日は原子力のことを。
 
原子力発電環境整備機構(NUMO)では、高レベル放射性廃棄物の最終処分について全国の皆様にご理解いただくため、全国的な対話活動を実施しており、この取組みのひとつとして、経済産業省資源エネルギー庁とともに、対話型説明会を全国で順次開催しています。
 
昨晩は、この説明会が敦賀(会場はプラザ萬象)で開催されるということで、私は傍聴者として参加してまいりました。
 

【説明会の開催案内チラシ】
 
この説明会では、高レベル放射性廃棄物の最終処分の方法である「地層処分」の仕組みや、処分地の選定プロセス、地層処分の実現に向けた取組みなどについて、少人数での対話形式で説明するとしており、昨日は30名弱の参加がありました。
 
参加者を4つの会議室に分け、前半50分はビデオや主催者側からの説明、その後約1時間をグループ質疑に充て進められましたが、グループ質疑では、長期間に亘る保管の安全性や40,000本としている施設の容量に関することなど、技術的な質問があったほか、文献調査を実施している寿都町や神恵内村に応援の気持ちを届けるにはどうしたらいいかなどの声もあり、どこか嬉しい気持ちになった次第です。
 
なお、「応援の気持ち」に関しては、NUMOとしてそうした仕組みは持ち合わせていないものの、両町村では、文献調査を受け入れて以降、ふるさと納税の寄付額が増えており、そうした形で国民の皆さんが後押しの思いを届けられているのではとの説明がありました。
 
私は、他の部屋も移動して良いとの立場でしたので、隣の会議室を覗かせていただくと、がらりと雰囲気が変わり、こちらでは4人の参加者のうち2人の高齢男性が大きな声で自論(慎重姿勢)を述べていました。
 
開会時にはルールとして、参加者が均等に質疑できるよう、発言時間は極力短くとありましたが、お構いなしの態度に、他の参加者から「他でやってください」と言われる始末。
 
推進・慎重、それぞれのお考えの方が同じテーブルについて話すことが目的なところ、こちらは大変残念に感じました。
 
20時頃には順次、各会場ごとに解散となり、NUMOの方ともお話しをさせていただいたうえでプラザ萬象を後にしましたが、全体的に見れば、地層処分のことを冷静にご理解いただいている方がほとんどだったのではと感じたところです。
 
原子力発電所が立地する敦賀だからそうなのかもしれませんが、やはりこうして地道に理解活動を展開することが肝要であり、一人でも多くの国民に、この問題を「自分ごと」として捉えていただければと思う次第です。
 
なお、この説明会は、今後も全国各地で開催されますので、お近くにお住まいの方はぜひ、参加いただけますようお願いいたします。
 

【今後の説明会開催スケジュール(NUMOホームページより)】

敦賀発電所2号機の原子炉設置変更許可申請の補正書が提出される

ブログ 原子力

月日が過ぎるのは早く、今日から9月。
 
2日から4日にかけては、4年ぶりの「敦賀まつり」が開催されますが、まつりが終わった8日からは9月定例会。
 
1週間前の今日は告示日ということで、午前中には議会運営委員会が開催されることとなっておりますが、まつりはまつりで楽しみつつ、それと並行して、定例会に向けた準備もしっかり進めたいと思います。
 
さて、8月も終わりましたが、この月末までを期限として提出を求められていたのは、日本原子力発電(以下、日本原電)敦賀発電所2号機の原子炉設置変更許可申請の補正。
 
これは、2023年4月18日に原子力規制委員会から、敦賀発電所2号機の原子炉設置変更許可申請(2015年11月5日申請)について、これまでの審査資料の誤りを巡る経緯を踏まえ、今後の審査を進めるため、敷地内のD-1トレンチ内に認められるK断層の活動性及び原子炉建屋直下を通過する破砕帯との連続性に関係する部分を、本年8月31日までに補正を行うよう指導を受けたものでしたが、日本原電は昨日、これを踏まえた補正書を原子力規制委員会に提出しました。
 
期限までに提出された補正にあたっては、ボーリング柱状図記事欄の記載変更の是正として改善した業務プロセス及び強化した社内体制のもと、補正書の品質管理を行ったほか、最新知見・技術を活用し、新たな評価方法を追加して、補正書に反映したと、同社のプレスリリースにあります。
 
また、補正書の作成においては、審査が先行している電力会社やプラントメーカーに専門的、客観的な視点から確認、助言のもと、同社として補正書の品質を確保したとあり、より科学的信頼性と品質を高めた補正書になったものと認識するところです。
 
今後は、本補正書を原子力規制庁で確認のうえ、正式には原子力規制委員会にて審査再開の判断がされるものと思いますが、指摘のあった点が改善されていると認められ、本題の地盤関係の審査に進むことを強く願う次第です。
 

【今も保存されている重要な証拠「D-1トレンチ」】
 
※1 OSL分析
断層近傍の地層中の石英や長石に光を当て、そこから発する微弱な光の強度により、当該地層が堆積した年代を測定する方法のこと。
 
※2 鉱物脈法
断層を横断する鉱物にズレや変形が生じているかどうかを見ることで、断層の活動時期を確認する方法のこと。
 
なお、地盤審査の最大のポイントである「K断層の活動性」と「K断層と原子炉建屋直下を通過する破砕帯(D-1)との連続性」に関しては、新たに、「OSL(光ルミネッセンス)分析(※1)」や「鉱物脈法」(※2)による評価を実施したことにより、K断層が将来活動する可能性のある断層等ではないこと、K断層と原子炉建屋直下を通過する破砕帯とは連続しないことが、より科学的根拠をもって立証されています。
 
いわゆる敦賀2号の「敷地内破砕帯問題」については、忘れもしない平成24年12月10日、原子力規制委員会が法的根拠なく設置した「有識者会合」が、敦賀2号原子炉建屋直下を走る破砕帯(D-1)を「活断層の可能性があることは否定できない」と結論づけたことから始まっています。
 
「可能性を否定できない」ことを覆すことは「悪魔の証明」とも呼ばれ、非常に困難であることを意味しますが、審査が再開されれば、科学的データと根拠をもってこの証明がされるものと、従前から本件に関わってきた一人として確信する次第です。
 
ALPS処理水の海洋放出と同様、「科学が風評に負けてはならない」との信念をもってこのハードルを何としてでもクリアするとともに、時間が掛かろうとも、マイプラントである「敦賀発電所2号機」が再び、原子の灯をもって社会に貢献することを切に期待いたします。

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