『エネルギー安全保障と安全性を高めた原子力の最大限の活用』について 〜福井県原子力平和利用協議会「第55回定期総会」が開催される〜

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原子力発電をはじめとする「原子力平和利用の推進」を目指し、そのためには住民に原子力を正しく理解してもらうことが重要であり、その輪を拡げることを活動の大きな柱とする「福井県原子力平和利用協議会(以下、原平協)」。
 
昨日は、原平協の「第55回定期総会」がニューサンピア敦賀で開催され、出席いたしました。
 
会場狭しと、多くの方が集った総会ではまず、河瀬一治会長(元敦賀市長)のご挨拶に続き、池澤俊之敦賀市副市長、力野豊福井県議会議員からの祝辞に続き、議案に関しては、令和7年度の活動実績や収支決算、令和8年度の事業計画や収支予算を承認した後、電力事業者からの報告として、関西電力、日本原電、原子力機構、北陸電力より順次、それぞれのトピックスや課題について報告をいただいたところです。
 
その後は、セッティングを変え、第二部の記念講演会。
 
講師は、私自身、以前より大変尊敬する北海道大学名誉教授の奈良林直(ならばやしただし)先生。
 
『エネルギー安全保障と安全性を高めた原子力の最大限の活用』をテーマに、約70分のお話を関心高く拝聴した次第です。
 

【講演される奈良林先生】
 
詳細までは割愛しますが、各項(スライド)のタイトルだけでも内容がお分かりいただけるかと思いますので、以下記載いたします。
 
1.再エネは主力電源になり得ない
・わが国は既に世界の太陽光発電大国なのにCO2排出係数は世界の中位(CO2削減の効果小)
・水力+原子力のノルウェーのCO2排出係数13g/kWhに対し、日本は534g/kWh
・太陽光や風力は他の電源を必要とする
・太陽光で100%電気を供給するというが、稼働率はたったの13%しかない
・出力が変動する太陽光・風力のシステムコストは高い
・変動再エネの過度な普及は国民負担を増大させ、財政破綻
第7次エネルギー基本計画(再エネ比率38%)の壮大な無駄
・メガソーラーによって、わが国の年平均気温は世界の3.8倍
 
2.世界一高い電気代とわが国の産業の淍落
・世界一高い、日本の産業用電力料金
・わが国の太陽光パネルシェア激減(中国のシェアが1位)
・わが国の基幹産業である自動車産業ですら危うい
・一人当たりGDPの順位が低下(2020年で日本23位、韓国27位)
「再エネの主力電源化」はやめて、「原子力の最大限活用」に舵を切れ
 
3.原子力発電所の新規制基準による安全対策とリスク低減
・福島第一原子力発電所事故の教訓を基に採られた、世界一の安全対策を国民にお知らせしなければならない
国は原子力推進のため立地地域に積極策をとるべき
・三菱重工SRZ1200の特徴
・GEベルノバ日立のBWR-X300の快進撃
・国内の原子力関連機器のサプライチェーンの復活は、国内の新増設・リプレースが必須
 
4.原子力発電所の新規制基準による女川原子力発電所などの安全対策
(割愛)
 
5.世界の潮流は小型モジュール炉(SMR)、わが国は革新軽水炉
・COP28で原子力の3倍増に23カ国が賛同
原子力推進は世界の潮流、原子力を止めたドイツはダーク
・米国ではAIやITサーバの急激な普及で原子力発電3倍化
・先進原子炉国際会議(ICAPP2024)で奈良林先生が大会名誉会長
・パッシブ冷却による簡素化・安全性の向上
・WH(ウエスティング・ハウス)社製AP1000の自然冷却システム
・中国は華龍1号(100万kW級)やAP1000を多数建設、さらにSMRで石炭消費削減すると明言
・100万kWの出力・負荷追従可能な革新モジュール炉
 
6.活断層が動くリスクは安全対策で1万分の1に低減。ましてや原子炉建屋の下のヒビは非常に古く、動く可能性は極めて低い
活断層有無の審査に「悪魔の証明」を入れたのは、「原子力ゼロ」を目指した菅直人元首相
・確率論的断層変位ハザード解析(PFDHA)により副断層による断層変位を計算
・原子炉建屋(PWR)建物直下の構築物の評価解析では、応力ひずみは変位量30cmであり、格納容器は損傷しない
・断層変位の同時影響を避けるよう配慮したアクシデントマネジメント(可搬型ポンプ、代替補機冷却、PCVベント)を考慮した場合の海水冷却源の全喪失(LUHS)の炉心損傷頻度は、アクシデントマネジメントを実施しない場合と比べて、リスクは1万分の1に低減する
 
最後、「まとめ」だけ、資料を抜粋引用いたします。
 

【ご講演資料の最終スライドを抜粋引用】
 
結びには「嶺南地区に必要なのは敦賀2号の早期再稼働と、複数基の新設」とあり、敦賀2号のいわゆる“破砕帯問題”当初から、毅然と正論を主張し続けてこられた先生の思いが、ここに込められているものと強く受け止めたところ。
 
なお、「悪魔の証明」(devil’s ploof)とは、ある事実や物が「存在しない(ない)」ことを完全に証明することは、理論上ほぼ不可能であるため、無理難題を要求することを悪魔に例えたローマ法の古代でも否定された非科学的な論理であり、原子力規制委員会に対しても新規制基準から削除し、最新の「サイエンスで評価すべき」と引き続き求めていくとの言葉に、至極共感するとともに頼れる大きな存在と感じた次第です。
 
その後の懇親会では、先生ともしばし歓談することができましたが、あらためて奈良林先生の今後ますますのご活躍を心から祈念いたします。
 
なお、こういう機会に接することができるのも原平協のおかげ。
 
原平協ホームページによれば、昭和46年ごろ、関西電力の大飯1・2号機新設計画への反対派の運動が激しくなり、ついに町長のリコール騒ぎにまで発展した際、こうした状況を見て、それまで個別に行動していた福井県嶺南地方の推進派のなかの有志が、「安全確保を前提条件として、組織だった推進運動を展開すべきではないか」と話し合い、昭和47(1972)年1月30日に設立したのが、同協会の設立経緯。
 
私が生まれたのが翌月2月7日につき、ちょうど同じ年。
 
日本の原子力黎明期から、その礎を築いたのはここ敦賀、そして福井県嶺南地域であると言え、そのことを誇りに思いつつ、半世紀を超え、連綿と原子力への正しい知識と理解を深める活動を続けられている原平協の皆様に敬意と感謝を申し上げるとともに、私も微力ながらお役に立てればと思います。